電磁流速計

電磁流速計とは

電磁流速計 (英: electromagnetic flow meter) とは、電磁誘導の物理法則を使って流速を測定する測定器です。

従来の計測機に取り付けられたプロペラの回転を利用する方式と比べて、電磁流速計は故障するリスクが軽減されて取り扱いが容易になっただけでなく、微流速から高流速まで幅広い流速に対応できます。ただし、測定原理上、電磁流速計の測定対象は導電性の液体に限られます。

油などの絶縁性の液体や気体の測定はできません。電磁流速計は、センサ部分、尾翼部分、重錘部分などから構成されています。各部分を整流効果の高い形状にすることで流れが乱れないため、正しい流速の測定が可能です。

電磁流速計の使用用途

電磁流速計は、主に河川や湖沼、水路やダムなど水の流れが生じている場所で、水流の流速を正確に計測するために使用されます。

流速の計測により、水害の防止や河川調査、海流・潮流調査、橋梁建設、雨水、下水、汚水、養殖・海洋生物の研究など様々な分野で活用されます。電磁流速計は電磁海流計とも言われ、表層海流の流速を測定する海洋測器として用いられます。

電磁流速計の原理

電磁流速計は、ファラデーの電磁誘導の原理を利用して水流などの流速を計測します。ファラデーの電磁誘導の法則とは、「磁界を導電体が横切って運動する場合、その導電体に電圧が生じて電流が流れる」という法則です。

地球の磁場を流れる水流には、電磁誘導によって電流が生じています。同じように、電磁式流速計を河川や海洋などの水中に入れて磁界を発生させ、その磁界を導電体である水が流れることにより、流体に対して電磁誘導が生じることで起電力が発生します。その起電力と水流の流速は、比例の関係になるため、電位差から流速を測定することが可能です。

電磁流速計は、高圧線や河川の底の石・金属類などにより、ノイズが入ることが一般的です。しかし、電磁流速計が作り出す磁界の範囲を狭め、集中的で強力なものにすることで、ノイズの防止ができます。

電磁流速計のその他情報

1. 電磁流速計の長所

広い測定条件
水深3cm程度から測定が可能です。また、0.1m/s以下の微流速から、6m/s以上の高流速まで、流速の広い範囲の測定ができます。さらに、液体の温度・圧力・密度・粘度の影響がありません。

高精度・高信頼性
流速の測定精度は微流速から高流速まで、±0.3~2%程度です。電磁流速計は、プロペラ式流速計と比較して、センサー部に可動部がないので、故障が少ないです。

また、付着物がなく、メンテナンス性に優れています。測定器による圧力損失は無視可能で、固体・気泡などの混入物があっても測定できます。

データ処理が容易
測定データは本体メモリーに記録でき、後でパソコンに転送して、データ処理が可能です。

2. 電磁流速計の短所

導電性の液体に限定される
電磁流速計は、導電性液体の流速測定に限定されます。導電率が5μS/m以下の低導電率の液体は測定できませんが、センサー部が静電容量形の電磁流速計は液体中の起電力を測定するので、流速測定が可能です。

誤動作が起こりやすい
電極付着やライニング付着による誤動作が起こりやすいことが短所です。また、河川などで使用する場合、川底の石や金属異物などによる誤動作が発生することがあります。高圧線の近くでは、ノイズが入ってしまう可能性も高いです。

3. 電磁流速計による低流速の測定法

河川での低流速の測定法として、1点法、2点法、精密法などが行われています。

1点法
1点法は、流速計測線上の鉛直方向に、水面から水深の60%の位置で流速を測定する方法です。水深が75cm以下のところで多く使用されます。

2点法
2点法は、流速計測線上の鉛直方向に、水面から水深の20%と80%の位置で流速を測定する方法です。水深が75cmより深いところでの測定に使われます。

精密法
精密法は、流速計測線上の鉛直方向に、水面より20cm間隔で流速を測定し、その平均値を流速とする方法です。

参考文献
https://www.jfe-advantech.co.jp/products/ocean-ryusoku.html
http://www.dentan.co.jp/technology/denji_ryusoku.html
http://www.hicon.co.jp/product/fh950.html
https://www.kenek-co.com/ryusokutop.html
https://sooki.co.jp/rental/product/detail/37602/

電源制御ユニット

電源制御ユニットとは

電源制御ユニットとは、一般的にはあるシステムの電源部を制御するユニットでもあり、又、工場やビルなどにある多数の電源を集中してコントロールする装置のことでもあります。

いずれの場合も、システムの最初の入力部である電源を制御することには変わらないユニットになります。よって、システムに過電流や過電圧の異常があれば保護する動作が働くのは当然のこと、最近では電源制御ユニット部に各種通信などの汎用高機能を持たせて、別システムとの通信が可能になっているものも登場しています。

電源制御ユニットの使用用途

電源制御ユニットの使用用途として、その対象範囲は拡大しています。

従来の電源制御ユニットと言えば、例えば、UPS等の停電時も電力を供給することが出来る安定化電源であったり、各種製品やシステムの電源部を司る電源ユニットであったり、基本的には電源を供給することを主な役割とするユニットでした。

しかし、昨今のデジタル化と無線を使った汎用品の増加に伴い、電源制御ユニットも電源供給のみならず、Wi-FiやLANなどを使って、他のシステムとの通信が可能になった電源制御ユニットが主流になりつつあります。

電源制御ユニットの原理

制御ユニットの原理は、電源制御ユニットと呼ばれる装置の対象範囲によって、その内容は大きく異なりますが、電源を制御すると言う共通点において着目して、その原理を説明していきます。

電源を制御するとは、電源供給を制御することになります。つまり、電源は商用電源などの外部から電源を入力して、供給すべきシステムに電気を出力する役割が主であるため、そのシステムに必要な電源電圧や電流、電源周波数を設定して、制御することが出来ます。又、過電圧や過電流や雷サージなどの危険なノイズが入力された様な異常発生の際には、この電源制御ユニットにおいて、保護動作が動作して、システム全体を保護する機能も持っています。更に、昨今の世界全体における情報社会の進化に伴って、システム全体の電源状態を制御している電源制御ユニットの中に、外部通信機能を搭載して、別システムとの通信によるシステム連結なども可能にさせる等、高機能化が進んでいます。

パワーホイール

パワーホイールとは

パワーホイールは、レールに沿って多数のホイールが取り付けられており、そのホイール上を転がすことで輸送を可能とする装置です。ホイールコンベアとも呼ばれます。

工場における製品の輸送、雑誌・新聞の配送、物流などで使用されます。

使用できる搬送物は、底面がフラットで、負荷重量が均等でバランスが取れるものが適しています。

ホイール上で搬送物を自走させるためには、一定の勾配をつける必要があります。

必要な勾配は搬送物の材質や質量などによって異なるため、用途に応じて設計します。

パワーホイールの使用用途

パワーホイールは様々な物資をライン上に輸送する必要がある、産業、製造、物流といった分野で使用されます。

例えば、工場などの製造ラインにおいて、段ボール、プラスチックケース、木箱などを搬送したい場合に適しています。

これらは複数のホイールが棒に取り付けられたコンベアによって搬送されます(ソロバンコンベア)。

一方、もし搬送物の底面を傷つけたくない場合はホイールの間隔が広いコンベアも使用されます(コロコンキャリア)。

パワーホイールの原理

パワーホイールは、搬送物の寸法や質量、形状などに応じて、適した装置があります。

車輪が棒に複数のホイールが取り付けられています。

これらのホイールがラインに沿って並んでおり、そのホイール上を物資が転がり、輸送されます。

その形状からソロバンコンベアと呼ばれることもあります。(ホイールがソロバンの珠のように見えるためです)

こちらは底面がフラットで、負荷重量が均等でバランスが取れるものが適しています。

パワーホイールに似た装置としてパワーローラがあります。

パワーローラの場合、一本の太いローラーがラインに沿って並び、ローラーの上を輸送されます。

一般的にはパワーホイールの方がローラーに比べて騒音も少なく、なめらかに回転します。
その分、自走勾配が小さくて済む場合があります。

搬送物のサイズや形状に応じてどちらが適しているか異なります。

また搬送物同士の間隔、気温や湿度も影響するため、使用用途に応じてホイールやローラーを検討する必要があります。

参考文献
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/TOH_0032

電磁カウンタ

電磁カウンタとは

電磁カウンタとは、電気信号のパルス波などが電磁カウンタに内蔵している電磁石を動作させ、その動作によってカウントを行う装置です。

実際の回路に接続し、その電気信号の変動値を磁石によって機械的な力に変更してカウントするため、外部からの電力のみで動作します。電磁カウンタは、カウントした数値に応じて機器を動作させるスイッチの役割を持つプリセットカウンタと、カウントした数値のみを出力するトータルカウンタに分類できます。

電磁カウンタの使用用途

電磁カウンタは、様々な製品の生産工場で主に使用されます。電磁カウンタの選定の際には、カウントの精度、接続する回路の電流量や電圧の大きさ、メンテナンス性、接続性、耐振動性や防塵性などを考慮する必要があります。

1. 電気回路計測

電流計や電圧計として使用され、電気回路の電流や電圧を測定します。これにより、電力供給網の管理や電子機器の設計、トラブルシューティングが可能となります。

2. 電力計測

電力メーターとしても利用され、家庭や工業用の電力消費を計測し、電力供給の調整や料金の計算に役立ちます。

3. 地磁気測定

地磁気計として使用され、地球の磁場の変動を測定します。これは地磁気活動の研究や、地磁気方位を利用するコンパスの校正に重要です。

4. 金属探知

金属探知機として使用され、埋まっている金属物体 (例: 貨幣、武器、地下のパイプなど) を検出します。セキュリティ検査や貴重品の捜索に利用されます。

5. 非破壊検査

材料内部の欠陥や異常を検出するための非破壊検査に使用されます。例えば、溶接部の品質評価や材料の密度測定などに応用されます。

6. 医療機器

医療分野では、MRI (磁気共鳴画像法) やCTスキャン (コンピュータ断層撮影) などの画像診断装置にて、電磁カウンタの原理が使用されています。これらの装置は、体内の組織や臓器を詳細に可視化するのに役立ちます。

電磁カウンタの原理

電磁カウンタは、回路に接続するための配線、コイル、電磁石、電磁石の移動によって数値が変動するカウンタで構成されています。プリセットカウンタの場合は、カウントの数値を他の機器に伝達するための装置が付属されています。

電磁カウンタは通常、外部からの電流パルスを生成し、それをコイルに流すことで、コイル周りに磁場を生成します。の磁場が近くにある金属物体に影響を与え、金属物体内に電流を誘導させる仕組みです。この誘導電流は、金属物体によって発生したものであり、その大きさは物体の性質や位置に依存します。

電磁カウンタの選び方

1. 使用用途

まずは、どのような用途に電磁カウンタを使用するのかを明確にすることが大切です。電流測定、電圧測定、地磁気測定、金属探知など、用途に応じた適切な機種が存在します。

2. 測定範囲と精度

測定範囲と精度は、特定のアプリケーションに合わせて選ぶ必要があります。高精度の測定が必要な場合、精度の高いカウンタを選びます。また、広範囲の電流や電圧を測定する場合は、広い測定範囲を持つカウンタが適しています。

しかし、過度に高精度や広範囲のカウンタを選びすぎるとコストが高くなることがあるため、バランスを取ることが重要です。

3. インターフェースとデータ収集

データの取得や記録が必要な場合、インターフェース (アナログ出力、デジタル出力、RS-232C、USB、イーサネットなど) やデータロギング機能 (カウンタが測定したデータを一定の間隔で記録し、後で解析機能) などがあるかを確認する必要があります。

4. キャリブレーションと保守

電磁カウンタは、定期的なキャリブレーションと保守が必要です。選んだモデルのキャリブレーション手順や保守の容易さを確認します。特に保守に関しては、定期的な点検、清掃、および部品の交換が含まれ、カウンタの部品が劣化や摩耗することを防ぎます。

カウンタが特定の環境条件下で使用されている場合 (例: 高温、高湿度、腐食性環境など) は 、その条件に合わせた保守措置が必要です。

参考文献
https://www3.panasonic.biz/ac/j/service/tech_support/fasys/glossary/component/counter/index.jsp
https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/counter_tg_j_1_2.pdf

パワーIC

パワーICとは

パワーICとは、大電力回路に使用されるパワー半導体を内蔵する集積回路 (IC) の総称です。

パワー系半導体にはパワートランジスタパワーMOSFETIGBTなどがあります。半導体材料の中で、1Aを超える大電流を制御する電子部品をパワー半導体と呼びます。パワー半導体には、トランジスタやサイリスタなどの電子部品も含まれます。

パワーICの使用用途

パワーICは産業用として広く使用されています。

以下がパワーICの使用用途です。

  • 太陽電池の駆動モジュール
  • LED照明の点灯回路
  • 電動自動車の制御用ユニット
  • インバータエアコンのインバータユニット

特に車載ユニットの需要向上が凄まじく、今後パワーIC市場は拡大すると予想されています。

パワーICの原理

パワーICは電圧を制御し、モータの駆動や蓄電池への充電を実現します。電源や電力を制御する中心的な半導体で、AC/DC変換や直流電源の昇圧を目的としています

基本的に半導体素子の整流作用や、コンデンサの特性を利用する場合が多いです。半導体素子を使用して電源を高速スイッチングしたり、コンデンサで増幅・平滑化したりすることで電源を制御しています。

パワーICのその他情報

1. パワーICの制御対象半導体

パワーICが内蔵する半導体には以下のような素子が挙げられます。

ダイオード

  • 一般整流ダイオード
  • ファストリカバリダイオード
  • ショットキーバリアダイオード
  • ツェナーダイオード

トランジスタ

最近では耐圧が高く高速スイッチングに優れたシリコンカーバイド (SiC) を使用したものもあります。その他、トランジスタや高耐圧ドライバーなどの各種ICを1パッケージに内蔵したインテリジェントパワーモジュール (IPM) も存在します。

2. パワーIC市場の将来性

2020年7月20日、矢野経済研究所はパワー半導体の世界市場予測を公開しました。同社は2020年1月~6月にかけて、半導体メーカーなどへのヒアリングや文献調査から、2025年には243億5100万ドルにまで市場が成長すると予測しています。

パワー半導体の需要分野は「情報通信」、「民生」、「産業」、「自動車」の4つに区分されます。特に情報分野については5G基地局などのインフラ機器への投資が進むと見られています。

また、従来半導体と比較してパワー半導体はコスト的に不利です。コスト競争の厳しい自動車分野では、限られた領域にのみ使われてきました。近年では、一部のEVでモーター駆動用インバータにパワーICが採用されています。結果として、2019年の自動車分野では2018年と比較して約2倍にまで成長しています。

民生や産業分野でも、コロナ禍の低迷から2022年には従来と同程度の市場規模へ回復しました。さらに2023年には成長に転じると予測されます。

3. パワーIC材料としてのSiC

SiC (シリコンカーバイド) はシリコンと炭素から構成される化合物半導体です。

絶縁破壊電界強度がSiの約10倍、バンドギャップがSiの約3倍あり、次世代のパワー半導体材料として期待されています。これは同じ耐電圧であればSiよりも10倍ほど半導体層を薄くできることを意味します。薄型化によって抵抗が低減され、低消費電力で動作させることが可能です。

つまり、パワーIC材料としてSiCを使うことで、従来と比較して低消費電力かつ高耐圧なICを作成できる訳です。その他パワー半導体材料としてGaN (ガリウムナイトライド) やGa2O3なども期待されています。

参考文献
https://www.shindengen.co.jp/products/semi/column/basic/semi/power_semi.html
https://www.fujielectric.co.jp/products/semiconductor/about/
https://eetimes.jp/ee/articles/2007/28/news027.html
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/1219080.html

電磁アクチュエータ

電磁アクチュエータとは

電磁アクチュエータとは、電磁気の現象で生じる電気的な力を回転運動や直進運動などの機械での物理的な力に変換することができる機器のことです。

様々な分野の産業において、モーター類やソレノイドを用い、機械を動かしたり止めたりして制御するモーションコントローラに電磁アクチュエータは利用されています。

電磁アクチュエータの利用には、確かな経験に加えて、電磁界や構造や機構の解析など専門的な知識を必要とするため、電磁界などの物理面に関する原理を理解することが重要です。

電磁アクチュエータの使用用途

電磁アクチュエータのは、産業機械や医療機器、分析機械など、多方面の電気・電子機器で広く用いられています。特にモーションコントローラだけでばく、ソレノイドやモーター類として用いられるため、実に様々な業界で利用されます。

例えば、医療分野における分析機器、半導体や産業用の機器などの精密機器に使用されており、電磁アクチュエータの種類や大きさによって、用いられる用途が異なります。

電磁アクチュエータが行うことができる動きには、向きを変えずに移動させる並進運動、その場で向きを変えて運動する回転運動があります。

空気圧や油圧で動くシリンダよりも動作が早いことが特徴で、機械のモーションコントロールに利用され、動作を制御するスイッチや弁の開閉動作などに使用されます。

電磁アクチュエータの原理

電磁アクチュエータの原理は、内部のコイルに電気を流すことで生じるファラデーの法則を活用して、コイル内部の可動鉄芯(プランジャ)を磁石の力で動かすことで、電気量を物理的な動作に変換させることにあります。

その動作自体は、電磁石の原理を用いており、電磁アクチュエータの内部にあるコイルに電気を流すことで磁力が生じます。この際にコイル内部の可動鉄芯が動くため、回転運動や前後運動をします。また、磁力は電流の大きさに比例し、電流の向きによって磁力の方向が変えられます。

モーターは、電磁石の極性を変えることで持続的な回転を発生させるため、電流が流れると鉄心をコイル内部に引き込む力を生じます。その結果、電磁石が直動アクチュエータとなります。

電磁アクチュエータのその他情報

1.電磁アクチュエータとシリンダ、モーターの違い

「アクチュエータ」という言葉の意味するところは、電気的な入力信号やその他のエネルギーを物理的な運動に変換する要素を言います。よって、電磁アクチュエータという言葉のカテゴリには、各種モーター類や直線運動用のモーションコントローラなどが含まれています。

「シリンダ」も基本的には同義ですが、ただし電磁アクチュエータと呼ばずに、あえてシリンダという言葉を使用する場合には、エア (空気圧) や油圧の場合が含まれており、注意が必要です。

産業機械は、電磁アクチュエータのコスト低減に伴い、エアや油圧の制御と比較して素早くかつきめ細かい制御が可能で、省エネの観点でも優れる電磁アクチュエータ化への動きが加速しています。

2. モーションコントローラ

電磁アクチュエータが最も活用される産業機器の分野においては、アクチュエータだけなく、動きをセンシングするセンサーや実際に細かい動作を制御する各種のサーボコントロールユニットや装置間の通信システムなどをソフトウエアとセットでシステムサポートするメーカーも多数存在しています。

これらのシステムをすべて装置開発メーカーや最終セットメーカーが自前で開発可能である場合もありますが、IC (CPU) や複雑かつノウハウが不可欠な (PWM制御などの) オペレーションソフト開発をすべて自前で賄うと負担が大きい場合もあります。

特にデジタル分野の制御ソフトやそのICの分野は時代の流れとともに大きく技術が進歩しているため、流れに追従する専門部隊が必要な場合が多いです。そのためモーションコントローラを専門にサポートする業者も存在しています。

参考文献
http://www.mech.tohoku-gakuin.ac.jp/rde/contents/course/mechatronicsB/archive/MechatroBS_No12_s8.pdf
https://www.takano-net.co.jp/portal/field/actuator/
https://smt.shindengen.co.jp/product/solenoid/index.html

電圧増幅器

電圧増幅器とは

電圧増幅器 (英: Voltage Amplifier) とは、さまざまな電気信号の電圧を増幅する機器です。

電圧アンプと呼ぶこともあります。入力電圧を増幅して出力する回路で、電子機器の基本的な構成要素の1つです。

電圧増幅器の使用用途

増幅器は小さな信号レベルを入力し、出力として大きな信号を得る際に使用されています。多くの場合、入出力信号は電圧信号なので、このような目的の機器は電圧増幅器と呼ばれます。

目的によりさまざまな形態や性能を備えた電圧増幅器が販売されていますが、主な用途としては音声信号や映像信号、各種センサーからの出力信号の増幅などです。

電圧増幅器の原理

一般的な増幅器の回路構成は、増幅素子 (トランジスタやオペアンプなど) とそれを制御するための回路 (バイアス回路やフィードバック回路など) です。増幅素子に入力された電圧が増幅されて、大きな信号レベルで出力されます。

使用目的により重視する性能が異なりますが、それぞれに適した回路が提案されています。

電圧増幅器の種類

市販の電圧増幅器には、多様な種類があります。例えば、オーディオアンプ、高周波増幅器、計測用増幅器などです。

これらの市販の電圧増幅器は、さまざまな用途に対応できるように、それぞれ異なる性能を持っています。適切な性能指標を選択し、使用する環境に合わせた適切な電圧増幅器を使うことが重要です。

1. 周波数による分類

直流増幅器
直流増幅器は、直流信号の増幅や処理に使用される電子機器です。直流増幅器は、センサー信号の増幅やDCモーター制御、電源管理など、様々なアプリケーションで使用されます。

直流増幅器を選ぶ際には、入力信号、出力信号、電源電圧、入力インピーダンス、出力インピーダンス、周波数特性などの性能要件を考慮する必要があります。

低周波増幅器 (オーディオアンプ)
低周波増幅器の中でも代表的なものは、オーディオアンプです。音声信号を増幅するために、スピーカーやヘッドフォンなどの音響機器で使われています。主な性能指標は、周波数特性、歪み率、SN比、出力電力などです。

高周波増幅器
高周波増幅器は、高周波信号を増幅するために使われます。具体的には、無線通信や衛星通信、放送などです。主な性能指標として、周波数帯域、ゲイン、ノイズフィギュア、入出力インピーダンスなどが挙げられます。

2. 機能による分類

計測用増幅器
計測用アンプは、高精度な測定を行うために使われます。具体的には、センサーや計器などの信号増幅です。主な性能指標として、増幅率、入出力インピーダンス、線形性、帯域幅、ノイズフィギュアなどが挙げられます。

ローノイズ増幅器
ローノイズ増幅器は、低いノイズフィギュアを持ち、感度の高いアプリケーションで使用されます。ローノイズ増幅器は、弱い信号の増幅や処理を行う場合に用いられます。

ローノイズ増幅器を選ぶ際には、ノイズフィギュア、電圧利得、帯域幅、入力電圧範囲、消費電力などの性能指標を確認することが重要です。なお、ローノイズ増幅器は、機器内部のノイズを減らすために用いられる場合があり、機器外部のノイズに対する抵抗性は保証されていないことに注意して下さい。

差動増幅器
差動増幅器は、2つの入力端子と1つの出力端子を持ちます。入力信号の差を増幅することで、ノイズの影響を減らし、信号品質を向上させることが可能です。

特に注目すべき性能指標に、PSRRとCMRRがあります。これは、ノイズの影響をキャンセルする上で非常に重要な項目です。

高電圧増幅器
高電圧増幅器は、高電圧信号の増幅や処理に使用される電子部品の1種です。高電圧増幅器は、レーザーや放電装置、医療機器、産業機器など、多様な分野で使用されます。

高電圧増幅器を選ぶ際には、出力電圧、電流、帯域幅、安定性、保護機能などの性能指標を確認することが大切です。また、高電圧を扱うため、安全性についても考慮する必要があります。

電圧増幅器のその他情報

1. 電圧増幅器の特性

増幅器の性能は、増幅率、周波数特性、歪み率、入力インピーダンス、出力インピーダンスなどが重要な指標となります。これらの性能は使用目的に応じた回路設計によって最適化され、さまざまな用途に対応しています。

2. 電圧増幅器の利得

電圧増幅器の入力信号がVin、出力信号がVout であれば、その利得は「Vout/Vin 倍」または「20log (Vout/Vin) dB」で表されます。

3. 電流供給能力

電圧増幅器であっても、一定範囲までは負荷に電流を流せます。しかし、基本的に電圧特性が優先され、電力増幅器の様に大きな電流が流せるものではありません。

参考文献
https://www.nfcorp.co.jp/techinfo/keisoku_kouza/vamp/vamp/feature6.html
https://web.archive.org/web/20180723215332/

電動昇降機

電動昇降機とは電動昇降機

電動昇降機は、電気を動力源として人や物を上下に輸送する装置です。

小型でワイヤーによって対象を引っ張り上げる製品や、車いすが乗れるサイズの土台があり、階段などの縁に取り付け、階段の上り下りができない車いすの人が階段の先に移動できるようにする製品などがあります。人を輸送せずに、物のみを輸送する製品はリフトと呼ばれ、高重量な物を輸送できる製品や、物を高速で輸送できる製品など、様々な昇降の機構の製品があります。

電動昇降機の使用用途

電動昇降機は、倉庫や公共施設、建設現場などで使用されます。倉庫や工事現場などでは、物の搬送に使用され、公共施設では、車いすなどの輸送に使用されます。電動昇降機の選定の際には、輸送対象が電動昇降機に適しているかどうか、運搬のスピード、輸送距離、安全性、サイズなどを考慮する必要があります。また、備え付け型のほかに、簡単に移動が可能な製品もあるため、用途に応じて選定することが大切です。

電動昇降機の原理

電動昇降機の動作原理を、代表的な電動昇降機であるリフトテーブル型、ワイヤー型、車いす型に分けて説明します。

1. リフトテーブル型

リフトテーブル型は、土台と足場、それらを接続する可動式の柱で構成されています。柱は、2本が交差する形で接続されており、その交差点に電動のモータが取り付けられています。動作時は、モータが回転することによって交差した柱の交差角が変化することによって、物体を昇降します。

2. ワイヤー型

ワイヤー型は、ワイヤーとワイヤーの巻取り部、モータで構成されています。ワイヤー型は、移動したい物の上側に設置し、モータを回転させ、ワイヤーを巻き取ることで物体を上部に輸送します。

3. 車いす型

車いす側は、階段に取り付けられたレールとそのレール上を移動するためのタイヤ、足場で構成されています。動作時は、モータが回転することによって、タイヤがレール上を移動し、足場を輸送することで、車いすに登場している人を車いすごと輸送します。 

参考文献
https://www.watabesangyou.co.jp/
https://www.iura.co.jp/products/udc400/index.html

除塵機

除塵機とは

除塵機 (英: dust remover) とは、塵や土砂などを除去するために使用する機械です。

汚水処理施設や排水設備などで、ごみをかき集めて回収して取り除けます。ごみの回収方式にはレーキ式と回転ネット式があり、使用する用途や設置する場所を考慮して選択可能です。

レーキ式では、ローラー部分の周囲にピンがついており、ピンが回転してごみをほぐして、水面からかき上げていきます。回転ネット式では、除去したい対象物の大きさに合った網目のネットを回転させてごみを集めています。

除塵機の使用用途

除塵機は、塵やごみなどをかき集めて除去できるため、流れがある場所で河川のごみや滞留物を取り除く際に用いられます。排水設備に使用されるため、排水時に自然の流れを止めずに排水が行えるように工夫がされています。

そのほか、農業や工業用水、上水道や汚水処理施設、発電所などの様々な場所で使用可能です。

ポンプの力を利用してごみを吸い上げ、ごみを効率よく搬出できるように、ベルトコンベアを用いるなど、工夫されています。使用用途に合わせて、除塵機に多種多様な機能を追加できます。

除塵機の原理

除塵機にはレーキと呼ばれる回転する円筒状のローラー部分の周上に針が取り付けられており、この針がごみやほこりを小さくしながらかき集めます。

チェーンにレーキを複数取り付けて回転させることで、連続的にレーキを使用可能です。そのためごみの量が多い場合でもレーキを複数設置すると、ごみを効率よくかき上げられます。

また、スクリーンやネットの網目の粗さが細かい除塵機から大型の除塵機もあります。除去したい対象物に応じてサイズを変更し、集めたごみを下流に取り逃がすことなく除去可能です。

除塵機の種類

レーキ形除塵機には、レーキ回動式除塵機とレーキ往復式除塵機があります。レーキ式回転除塵機はエンドレスチェーンが搭載されており、レーキ式往復除塵機はチェーンにレーキを複数取り付けて大型のレーキで除去可能です。レーキ形除塵機には定置式と移動式があり、定置式は既存のバースクリーンを使い、移動式は広範囲の取水口を移動します。

ネット形除塵機には回動式はなく回転式のみで、デュアルフロー式とストレートフロー式があります。デュアルフロー式は水路軸に平行で、ストレートフロー式は直角です。デュアルフロー式にはイン・アウト式とアウト・イン式があり、イン・アウト式ではネットスクリーンの内から外に水が流れ、アウト・イン式では外から内に水が流れます。ネット形除塵機にはセパレートネット式とエンドレスネット式があり、セパレートネット式はフレームやネットスクリーンで、エンドレスネット式は途切れのないネットスクリーンによって構成されています。

除塵機の選び方

レーキ形の回動式除塵機は、背面降下前面搔揚式と前面降下前面搔揚式に分類可能です。メリットやデメリットを考慮して、除塵機を選ぶことが重要です。

背面降下前面搔揚式はレーキがスクリーンの下流を降下して、最下部で反転後にスクリーンの開口部をくぐり、スクリーンの上流に流着したゴミをレーキが搔き揚げます。効率的に小さいゴミを搔き揚げますが、一体式であり設置には全取り換えまたは新規製造が必要です。

前面降下前面搔揚式除塵機はスクリーン面から離れた上流をレーキが降下し、最下部で反転後にスクリーンに沿って上昇して、スクリーンの上流に流着したゴミを掻き揚げます。既存のスクリーンに後付けで設置でき、大きいゴミも掻き揚げます。

除塵機の構造

自動除塵機は除去する対処物に合わせて、スクリーンの目幅がおよそ20~50mmに選定されています。材質にはSS400が使用され、水中部に入る部分もあるため、屋外部と水中部で塗分けが必要です。近年では機器の高寿命化を考えて、ステンレス化が増えています。

製缶溶接や機械加工によって、除塵機を製造可能です。塗装種や塗装膜厚が指定され、注意して塗装する必要があります。

参考文献
http://www.marsima.co.jp/product/trash_removers/index.html
http://www.marsima.co.jp/product/trash_removers/net.html

工具収納

監修:山金工業株式会社

工具収納とは

工具収納とは、垂直面に立てた面にフックや横桟を取り付けて吊下げ収納を行うためのものです。

保持金具を利用して棚板を取り付けて水平面を作り収納したり樹脂製の色別ボックスを引っ掛けて部品などを入れて収納管理を行う什器の総称にもなっています。垂直面に立てるものは、規則的に穴が開けられたパンチングパネルや支柱に対して水平間口方向にセットした横桟などです。

工具収納のメリットは、縦収納として全体が常に見える状態になるため「見える化管理」を可能にする点です。どの部品がどこにあるか、欲しい工具はどこかが瞬時にわかり作業の効率化に繋がります。

工具収納の使用用途

工具収納の使用用途

図1. 工具収納の使用用途

工具収納は、各種製造工程や梱包・加工工程において必要とされる部品や工具を収納する使用方法が一般的です。

取り付けはテーブルの背面側に卓上用としてクランプ固定したり、キャスターを付けて床置きしたり、棚の側面に付けたり、普段使用しない壁面などで行われます。デッドスペースを収納場所として有効活用できます。

工具収納の原理

工具収納の基本構造は支柱と支柱間のパンチングパネル又は横桟によって構成されます。

作業台の天板にクランプ固定するもの、しっかりした脚部やキャスターによって自立するもの、壁面に支柱を固定しパネル部をはめ込んでいくもの、物品棚 (中量ラック) の棚の普段使用しない側面に取付けて有効活用するものなど様々なタイプがあります。しかし、どのタイプも瞬時に全体の収納状況を視認でき、見える化管理を可能にします。

部品や工具を収納するオプションパーツは豊富にあり、規則的に穴の開いたパンチングパネルにはワンタッチで取付ができる各種フック (ドライバー用、吊下げ用、ペンチ類保持用など) が取り付けられます。

横桟を利用すると樹脂製の色別ボックスを引っ掛けて部品などを収納できます。また、保持金具をセットする事で棚板を取り付けられたり、ハンガーバーを取り付けて電動ドライバーやエアツールを吊下げたりすることができ、効率的な作業を可能にします。

工具収納の種類

工具収納は主に下記のような種類があります。

1. マルチシステム

マルチシステムは、作業に使う工具やパーツを作業台の上で整理整頓できる収納棚です。テーブルの天板に取り付けることで作業効率が上がります。

2. パーツハンガー

パーツハンガーは、独立型のハンガーを多種多様なサイズとオプションでカスタマイズし、散らかりやすい工具部品を効率よく収納します。

3. 壁面ハンガーパネルシステム

壁面ハンガーパネルシステムは、使っていない壁面を見える化収納に有効活用できます。備品の散らかりや探しにくさなどの問題を壁面収納することで解決します。

4. サイドハンガーパネル

サイドハンガーパネルは、ラック側面を工具の収納スペースにできるパネルです。普段使われていないラックの側面にサイドハンガーパネルを取り付ければ、フックで自由にレイアウトして効率的に工具を収納できます。

参考文献
https://www.webshiro.com/syouhinsetumei3/M350LS-3PSU.html
https://shopping.yahoo.co.jp/search/

本記事は工具収納を製造・販売する山金工業株式会社様に監修を頂きました。

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