制御盤用クーラー

制御盤用クーラーとは

制御盤用クーラーとは、電気制御盤や電子機器の冷却に使用される装置です。

電気制御盤は機械やプロセスを制御するための機器であり、高温や過熱によって故障する内部機器が故障する危険があります。制御盤用クーラーは、このような制御盤内の温度を適切な範囲に保つために使用されます。

熱交換器や冷却装置を使用して制御盤内の熱を外部に排出する製品が多いです。ファンによって外気を取り込むだけの簡素な製品も販売されています。これにより、制御盤内の環境温度が上昇せず、機器の動作に必要な温度条件を維持することが可能です。

ただし、制御盤用クーラーを設置する際は、適切な空間と通風を確保することが重要です。クーラーの周りに遮蔽物がないことを確認し、冷却効果を最大限に引き出すために適切な空気の流れを確保する必要があります。

制御盤用クーラーの使用用途

制御盤用クーラーは以下のような用途で広く使用されています。

1. 製造業

産業機械の制御盤用クーラーは、工場や製造現場で使用される機械の制御盤内でも重要です。これらの機械は高負荷で動作し、制御盤内の温度上昇が問題となります。

一例としては、自動車組み立てラインの制御盤や金属加工機械の制御盤などが該当します。制御盤用クーラーは、制御盤内の温度を適切な範囲に維持することで、機械の安定した動作と信頼性を確保します。

2. ビル・オフィス

建築物や施設内の自動制御システムにおいて、制御盤用クーラーが広く使用されます。これらのシステムには、エレベーター、冷暖房装置、照明制御、セキュリティシステムなどが含まれます。制御盤用クーラーによって、制御盤内の温度を適切に管理することで、システムの効率性や信頼性の向上が可能です。

3. 電力配電

電力供給や配電システムにおいても、制御盤用クーラーが必要な場合も多いです。発・変電所、送電設備などの電力制御や保護機器の制御盤内で使用されます。これらの制御盤は高電力負荷や電力変換に伴う熱を発生させます。

制御盤用クーラーは、制御盤内の温度を管理し、機器の過熱や機能低下を防止することが可能です。これにより、電力供給や配電の安定性と信頼性が確保されます。

4. 通信・ネットワーク機器

通信基地局やデータセンターなどの通信・ネットワーク機器では、制御盤用クーラーが重要です。これらの機器は高度な処理能力を要求されるため、発熱が発生しやすく、適切な冷却が必要です。

制御盤用クーラーは、通信機器やネットワーク機器の制御盤内の温度を適切に管理し、機器の動作安定性と信頼性を確保します。特にデータセンターでは、大量のサーバーやネットワーク機器を冷却するために効果的に使用されます。

制御盤用クーラーの原理

制御盤用クーラーは、熱を除去するための冷却原理を使用します。冷却原理には、強制対流冷却や熱交換器を使用した冷却を実施する場合が多いです。ファンを使用して強制的に空気を循環させることで冷却効果を得ます。

ファンは制御盤内の熱を外部に排出するために使用されます。制御盤内の熱気がファンによって吸い込まれ、外部へ排出されることで、制御盤内の温度を下げることが可能です。制御盤用クーラーには熱交換器が組み込まれている場合があります。

熱交換器は、制御盤内の熱を外部の冷却媒体に移動することで熱を除去する仕組みです。制御盤内の熱気が熱交換器によって冷却媒体に熱を移し、冷却媒体は外部へと放熱して制御盤内の温度がさせます。

制御盤用クーラーの選び方

制御盤用クーラーを選ぶ際は、以下の要素を考慮します。

1. 冷却能力

制御盤用クーラーの冷却能力は、制御盤内の熱負荷や環境条件に応じて選択する必要があります。制御盤内の熱負荷を正確に評価し、適切な冷却能力を持つクーラーを選ぶことが重要です。

制御盤内に設置されたCPUなどの発熱量を合算し、制御盤内温度が許容温度以下となる冷却能力を選定します。電子部品の許容温度は40℃程度の場合が多いため、40℃以下となるように設計します。また、風量の多いファンを選定しておき、盤内サーモスイッチによって入切して使用する場合もあります。

2. 雰囲気

制御盤周辺の雰囲気を考慮して機器を選定します。外気がきれいな場所に設置する場合は制御盤用ファンを用います。海岸沿いなどでは塩害による腐食が懸念されるため、内気を循環させる制御盤用クーラーが用いられます。

3. 冷媒

内気循環の盤用クーラーを選定した場合、冷媒種類に注意が必要です。以前はフロンガス多く使用されましたが、現在は代替として二酸化炭素などを用いるノンフロンクーラーが多く販売されています。

制御盤用クーラーは業務用に分類されるため、フロンを使用すると第一種特定製品として扱われます。第一種特定製品は簡易点検義務などがあり、厳重な管理が必要です。ノンフロンクーラーを使用することで、環境へ配慮し、管理体制を緩和することが可能です。

4. 電源

電源の種類を選定する必要があります。単相電源や三相交流電源などさまざまです。冷却能力を満足したうえで、供給可能な電源を選定します。

参考文献
https://www.apiste.co.jp/enc/guide/

電圧継電器

電圧継電器とは

電圧継電器とは、電気回路において電圧の変化を検出し、それを別の回路や機器に伝達するための装置です。

主な目的は電力システムや制御システムにおいて電圧の変動や異常を検知し、それに応じた制御や保護を行うことです。電圧継電器は通常、電気的に絶縁された回路を介して電圧を伝達します。

これにより、異なる回路間の絶縁性を確保し、電気的な安全性を高めます。特に高電圧環境などにおいて、絶縁性は非常に重要です。また、電圧継電器は高い測定精度を持ち、信頼性の高い動作を提供します。

電圧センサーや回路の設計によって、正確な電圧値を検出して動作することができます。これにより、正確な制御や保護が可能となります。

電圧継電器の使用用途

電圧継電器は、さまざまな使用用途に利用されます。主な用途は送配電や発電・変電における使用です。

1. 電力システム

電圧継電器は電力システムにおいて異常な電圧を検出した際に保護処理を行うために使用されます。過電圧や低電圧を検出することにより、電気の遮断や電力品質の監視などを行う場合が多いです。

2. 変圧器

変圧器において、適切な電圧レベルを維持するためにも使用されることが多いです。一部の変圧器は電源電圧や需要電力変動に対応するために、タップ切替器を有する場合があります。電圧継電器で電圧の変動を感知できるため、自動的に出力電圧を調整することが可能です。

3. 発電機

発電機の適切な動作と安全性を確保するために、電圧継電器が使用されることもあります。発電機の電圧変動や異常を検出し、電圧調整や回路遮断を実施することが可能です。発電機における過電圧や低電圧、逆電力の検出と遮断、同期装置の制御などが発電機における主な用途です。

電圧継電器の原理

 電圧継電器は、測定したい電圧を入力として受け取ります。入力として受け取った電圧は、計器用変圧器などを介して測定されることが多いです。

入力された電気信号は変換回路などに送られます。変換回路によって信号を増幅または変調させ、適切なレベルに変換します。これにより、信号の強度や範囲を調整することが可能です。

変換回路を経由した信号は出力回路で適切な形式に変換されます。これはアナログ信号またはデジタル信号である場合があります。アナログ信号の場合は電圧レベルとして表され、デジタル信号の場合は出力は制御信号や接点信号で発信されることが多いです。

また、電圧継電器は入力回路と出力回路の間に絶縁しているケースがあります。これにより、電気的な絶縁が実現され、安全性や回路の独立性が確保されます。絶縁材料や絶縁トランスを使用することで、回路を絶縁します。

電圧継電器の種類

電圧継電器はさまざまな種類が存在します。以下は電圧継電器の種類一例です。

1. 過電圧継電器

過電圧継電器 (英: over volt relay) は、電力システムにおいて電圧が指定された範囲を超えた場合に動作する継電器です。一定の電圧レベルを超えたときに制御信号を発生させ、通常は回路の遮断や制御装置への信号送信を行います。これにより、電力システムにおける過電圧による機器の損傷や過負荷を防止することが可能です。

2. 不足電圧継電器

不足電圧継電器 (英: Under Voltage Relay) は、電力システムにおいて電圧が指定された範囲よりも低下した場合に動作する継電器です。一定の電圧レベルを下回ったときに制御信号を発生させ、通常は回路の遮断や制御装置への信号送信を行います。これにより、電力システムにおける電圧不足による問題や機器の運転不良を防止することが可能です。

バックアップ電源の起動などに使用する場合が多いです。バックアップ電源の多くは非常用発電機を指し、非常灯も含まれます。また、インバータの不足電圧や欠相は故障に繋がるため、インバータの保護用途としても用いられます。

3. 地絡過電圧継電器

地絡過電圧継電器 (英: Over Voltage Ground Replay) は、電力システムにおいて地絡が発生した場合に動作する継電器です。地絡が発生すると正常相の対地間電圧が1.7倍程度となるため、地絡を検知することが可能です。地絡による過電圧による機器の損傷や電気事故を防止するために使用されます。

ただし、地絡過電圧のみで地絡保護を行うと、他場所の地絡によって回路が遮断される危険性があります。したがって、地絡方向継電器や地絡過電流継電器が使用されることが多いです。

参考文献
https://jinden-tool.com/

絶縁シート

絶縁シートとは

絶縁シートとは、電気や熱の絶縁を目的として使用されるシートです。

一般的には、電子機器や電気配線などで使用されることが多いです。絶縁シートは、導電性の材料や部品同士が接触することを防ぎ、電気的なショートや漏電を防止します。

また、熱伝導を低減させ、熱源と他の部分の熱の移動を防ぐ場合もあります。絶縁シートは電気や熱を制御する上で重要な役割を果たす材料であり、安全性や信頼性を向上させることが可能です。

絶縁シートの使用用途

絶縁シートは、さまざまな用途で使用されます。特に広く使用されるのは電子機器および電気回路の絶縁用途です。電子機器や電気回路内での導電性部品の絶縁に使用されます。

基板上の電気回路の絶縁や集積回路などの電子部品の間の絶縁に利用されることが多いです。また、電気自動車や携帯電話などの電池パック内部で絶縁シートが使用されます。

これにより、電池のプラスとマイナスの端子間などが絶縁され、ショートや漏電を防止することが可能です。そのほか、太陽光パネルにも使用されることが多いです。外部の劣化要因からパネルを保護するために使用されます。

絶縁シートの原理

絶縁シートは、主に電気絶縁と熱絶縁の2種類の原理を有します。

1. 電気絶縁シート

電気絶縁シートの場合は、電気的な絶縁性を提供するために使用されます。導電性材料同士が接触することを防ぎ、電流の流れや漏電を防止することが可能です。

絶縁シートの材料は、電気を通さない特性を持っており、電子機器や電気回路の異なる部品間で絶縁が確保されます。

2. 熱絶縁シート

熱絶縁シートの場合は、熱の伝導を低減するために使用されます。熱エネルギーは高温から低温へと伝導しようとする性質を持っていますが、熱絶縁シートの材料は熱を通しにくい性質が求められます。熱絶縁シートは熱の移動を防ぐバリアを形成し、熱が逃げるのを防ぐことが可能です。

絶縁シートの種類

絶縁シートにはいくつかの種類が存在します。以下は絶縁シートの種類一例です。

1. ポリマー系絶縁シート

ポリマー材料を基にした絶縁材料です。ポリマーは長い鎖状分子から構成される高分子化合物であり、その特性によって電気絶縁性や耐久性が備わっています。ポリエステルやポリイミド、ポリテトラフルオロエチレンなどのポリマーが使用されます。

ポリエステル絶縁シート
ポリエステル絶縁シートは、ポリエチレンテレフタラート (PET) 樹脂を基材としたシートです。高い耐熱性と耐久性を持ちながらも柔軟性があります。一般的に、電子機器の基板上での絶縁や電気回路の保護に使用されます。

ポリイミド絶縁シート
ポリイミド絶縁シートは、ポリイミド樹脂を基材としたシートです。ポリイミドは非常に高い耐熱性を持ち、広い温度範囲で安定した性能を発揮します。そのため、高温環境での電気絶縁や耐熱性が要求される場面に使用されます。

ポリテトラフルオロエチレン絶縁シート
ポリテトラフルオロエチレン絶縁シートは、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) 樹脂を基材としたシートです。PTFEは、非常に低い摩擦係数と優れた耐化学性を持ちます。絶縁性に優れており、耐薬品性や耐熱性も高いため、化学工業や高温環境での電気絶縁に使用されます。

2. ガラス繊維系絶縁シート

ガラス繊維絶縁シートは、ガラス繊維を基材として使用した絶縁材料です。主成分はシリカ (二酸化ケイ素) であり、他の酸化物や添加物も含まれます。ガラス繊維は高い強度と耐熱性を持ち、非常に軽量です。

高い耐熱性から、高温環境での使用に適しています。高温電子機器や電気絶縁の要求される場所で使用されます。

3. セラミックス絶縁シート

セラミックス絶縁シートは、セラミックス材料を基材とした絶縁材料です。セラミックスは優れた絶縁性と耐熱性を持ち、高温環境での使用に適しています。電力変換装置や高電圧大型装置などの高い電気絶縁要求がある場所で使用されます。

4. シリコンゴム絶縁シート

シリコンゴム絶縁シートは、シリコンゴム材料を基材とした絶縁材料です。シリコンゴムは広い温度範囲で柔軟性を保ち、耐熱性や耐候性に優れています。耐熱性や耐候性が求められる電気絶縁材料などに使用されます。

参考文献
https://www.jpmarkets.net/sell/show-9111922.html
https://www.tomoegawa.co.jp/product/icas/kr.html
https://kenkou888.com/category18/wrap.html

循環ポンプ

循環ポンプとは循環ポンプ

循環ポンプとは、液体を循環させるために使用されるポンプです。

小規模の循環ポンプの一例として、家庭の熱帯魚水槽が挙げられます。大規模な循環ポンプの一例は、水道局が管理する浄水槽です。様々な場所で活躍しているため、循環ポンプは都市生活に欠かせない動力機械であると言えます。

水槽や貯水タンクの貯蔵液を、第二水槽やろ過装置に送出して再還流するのも循環ポンプの役目です。

循環ポンプの使用用途

循環ポンプは家庭用から産業用までさまざまな場面で使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • クーリングタワーの冷却水循環用
  • スクラバーにおける薬液循環用
  • 強制循環型水管ボイラーの純水循環用
  • プールの貯水ろ過装置
  • 鉱水泉の湧出する深井戸から浴槽までの送水
  • 養殖水槽
  • 浄水ろ過システムの循環動力
  • 透析濾過装置や人工心臓

循環ポンプの原理

循環ポンプには主にモーターポンプが使用されます。そのため、多くの循環ポンプの動力は電力です。また、ポンプ部分は遠心ポンプが多く使用されます。

遠心ポンプの構成部品は、羽根車やケーシング、回転軸などです。回転軸はモーターと連結されており、モーターの動力により回転します。回転軸に取り付けられた羽根車が回転して圧力を生み出し、液体を送り出します。ケーシングは回転軸や羽根車を堅牢に支えつつ保護します。遠心ポンプ以外にも、ピストンポンプやダイヤフラムポンプなどを使用する場合もあります。

循環ポンプの種類

循環ポンプには多くの種類があります。以下は循環ポンプに使用されるポンプの一例です。

1. ピストンポンプ

ピストンを上下させることで2つの弁を駆動させて液体を汲み上げるポンプです。原理としては、井戸用手押しポンプと同様です。高い圧力が必要な場合に適しています。

2. ダイヤフラムポンプ

ダイヤフラムを上下させることで、圧力を生み出して液体を汲み上げるポンプです。液漏れトラブルなどが発生しにくいのが特徴です。動力に圧縮空気を使用するダイヤフラムポンプも販売されています。

3. 渦巻ポンプ

遠心ポンプの一種で、羽根車を回転させて液体を汲み上げます。構造が簡単で、圧力が高くない代わりに大量の液体を循環できるのが特徴です。

循環ポンプのその他情報

1. 温水暖房用循環ポンプ選びのポイント

温水暖房用循環ポンプとは、熱源機で作られた温水を放熱端末へ送り込むポンプです。必要圧力に応じて回転数が可変する仕組みで、海外市場では省エネの観点から注目されています。そのため、さまざまな温水暖房用循環ポンプが販売されています。

温水暖房用循環ポンプの選ぶ際は、揚程と流量という2つのポイントを押さえる必要があります。揚程はポンプが水を汲み上げる高さです。配管抵抗による圧力損失を考慮してポンプを選定します。

流量は循環ポンプが1時間あたりに送り出す水量です。流量が足りない場合は、熱量が不足して部屋が温まらなくなります。放熱端末に必要な流量を満たした送水ができる流量を選ぶ必要があります。

2. 温水循環ポンプと熱交換器の関係性

熱交換器とは、熱エネルギーを温度の高い方から低い方へと移動させる機械です。主に、空調機や給湯器に使用します。温水プールや温泉では大型の熱交換器が使用されます。

多くの場合、熱交換器には循環ポンプが必要です。設置する熱交換器の大きさに合わせて、必要流量と必要圧力を満たす循環ポンプを選定します。圧力や流量が足りない場合は、大きな循環ポンプを選定します。ただし、小さいポンプの方が必要電力が少ないため、必要十分なポンプを選定することが肝要です。

3. 高層ビルにおける循環ポンプ

建造物では高層ビルには加圧式の循環ポンプは欠かせません。水道管より引き込んだ導管から貯水タンクに貯水した水を循環ポンプを駆動して地表管に送り出します。また、10階以上の建築物では一度に上階まで送水することが困難なため、中階にて加圧ポンプを使用して圧力を復帰させる場合があります。

参考文献
https://04510.jp/times/articles/-/216?page=1
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/third_period.html

メタルカッター

メタルカッターとは

メタルカッター

メタルカッターとは、金属素材を裁断するためのハサミやカッター類を指す総称です。

主に、手動の手鋏み式とコンプレッサなどを用いた動力式のエアーメタルカッターの2種類が存在します。それぞれのメタルカッターは、用途に応じた切断性能を発揮します。

例えば、補助固定具がセットされたものは安定した切断が可能であり、二枚刀式の2枚刃メタルカッターは美しい切断面を実現可能です。また、穴空けニブラカッターは穴あけ作業に特化しています。

価格帯も手鋏み式は1,000円台からと手頃で、種類も豊富です。メタルカッターは、金属素材だけでなく、厚手ウールや表畳の切断にも対応しており、幅広い用途で活躍します。

メタルカッターの使用用途

メタルカッターは多様な使用用途を持ち、工業や日常生活で大変便利な道具です。主な使用目的として、鉄鋼板やアルミニウム板の裁断が挙げられます。特に、電動式エアメタルカッターは厚手金属板の裁断も可能で、ガルバリウム波板のカット面も美しい断面が得られるため、建材加工において欠かせない工具です。

また、金属や軽金属板だけでなく、塩ビ板やカーペットなどの裁断にも使用できます。リフォームや趣味の工芸作品制作にも活躍しています。比較的柔らかい金属素材、例えばアルミニウムや銅板などを用いた立体製作の際にも使用されることが多いです。

鉄鋼板やアルミニウム板の裁断はもちろん、塩ビ板やカーペットの加工、立体製作における金属素材の取り扱いなど、幅広い分野でメタルカッターは重宝されています。

メタルカッターの原理

メタルカッターは、力学的な原理を利用して金属素材を効率的に裁断できるように設計されています。手動式メタルカッターでは、鋏の柄が長く、テコの原理を活用して薄手鉄板を容易に裁断が可能です。また、固定刃付きのカッターでは、片方の柄だけに体重をかけ押し切ることで、厚手の銅板も切断できます。

しかし、厚みや曲線のある金属板を切断する際には、2枚刃先のメタルカッターが推奨されます。反りを防ぐ効果があるからです。電動式メタルカッターでは、裁断線を2本作り出し、両端を美しくカットすることが可能です。2枚刃先のメタルカッターの特徴として、カッティングと同時に螺旋状のテープダストが出る点が挙げられます。

また、ニブラカッターと呼ばれる電動式メタルカッターは、尖端ロッドを交換することで金属板に穴を空けたり、連続裁断で自由な曲線を再現したりすることが可能です。刃先は、鋼や超硬質合金で作られており、刃こぼれ以外であれば手入れが容易なのもメタルカッターの魅力と言えます。

メタルカッターは、力学的原理を利用した設計や、さまざまな機能を備えた刃先によって、金属素材を効率的に切断する道具です。

メタルカッターのその他情報

メタルカッターと併用される機械

メタルカッターは金属加工に必要不可欠な道具ですが、他の機械と併用することでさらに効率的な作業が可能になります。併用される機械として、主に金属ベンダー、ドリルプレス、金属研磨機が挙げられます。

1. 金属ベンダー
金属ベンダーは、金属板を曲げるための機械です。メタルカッターで裁断した金属板を、所定の角度に曲げることが可能です。建築や金属加工業界でよく使用される道具で、手動式や電動式などさまざまタイプがあります。

2. ドリルプレス
ドリルプレスは、金属板に正確な穴を開けるための機械です。メタルカッターで切断された金属板に、所定の位置に穴を開ける作業を行います。ドリルビットを使用して、安定した状態で正確な穴を開けられるため、金属加工には欠かせない機械です。

3. 金属研磨機
金属研磨機は、メタルカッターで切断された金属の端面を整えるための機械です。切断面がざらついている場合や、バリが残っている場合に使用されます。研磨ディスクやベルトサンダーなど、さまざまなタイプの金属研磨機があります。

マイクロシーケンサ

マイクロシーケンサとは

マイクロシーケンサとは、産業装置制御やプロセス制御に用いる小型制御装置です。

デジタル信号処理、入出力制御、制御アルゴリズムの実行など、さまざまな制御タスクを実行することができます。マイクロシーケンサは小型で、設置が簡単かつ安価な点が特徴です。

また、マイクロシーケンサを複数組み合わせることで、自動制御や遠隔コントロールが容易になる場合があります。制御機器内部のプログラムを書き換えることで、別の装置の役割を補うことが可能です。

マイクロシーケンサの使用用途

マイクロシーケンサは、産業機器としてさまざまな使用用途があります。以下が代表的な用途です。

1. 自動化および制御システム

マイクロシーケンサは、自動化された生産ラインや製造プロセスの制御に使用されることが多いです。一例としては、自動車製造工場の組み立てラインにおいて各工程の制御を担当します。ボディの溶接や塗装工程、部品の取り付けなどの工程で使用されます。工程ごとにマイクロシーケンサが制御信号を送り、生産ラインを効率的かつ正確に動作させます。

食品や医薬品の包装ラインなど、製品のパッケージングにも使用されることが多いです。ラベルの貼り付けや包装材の供給など、各工程を制御して高速かつ正確なパッケージングします。

2. ビルディングオートメーション

マイクロシーケンサは、オフィスビルの照明や空調などの設備制御に使用されます。人の存在を検知して自動的に照明を制御したり、温度や湿度をモニタリングして効率的なエネルギーを使用したりすることが可能です。

また、同様にスマートホームの制御にも利用されます。照明や家電機器の遠隔操作や自動制御だけではなく、セキュリティシステムの監視やアラート機能などのサービスも制御可能です。快適で安全な住環境を提供します。

3. エネルギー管理

発電所や電力供給ネットワークなどのエネルギー管理システムにおいて、マイクロシーケンサは制御と監視の役割を果たします。電力の供給や分散制御、電力品質の管理、エネルギー効率の最適化などに利用可能です。

4. 交通制御システム

交通信号制御や鉄道信号制御などの交通制御システムに使用されます。交通の流れを調整したり、信号のタイミングを最適化することで交通事故の減少や交通の円滑化を図ることが可能です。

マイクロシーケンサの原理

マイクロシーケンサは、CPUと周辺回路を組み合わせた制御基板を基にしています。使用される処理装置はデジタル信号処理や入出力制御を行うための特化したプロセッサです。

まず、センサーや外部デバイスを介して、入力データを取得します。使用されるセンサは温度センサや光センサなどです。取得したデータがアナログデータの場合、マイクロシーケンサ内部でアナログ-デジタル変換器 (ADC) を使用してデジタルデータに変換されます。

その後、プログラムメモリに格納された制御アルゴリズムを実行します。このアルゴリズムは入力データを基に制御処理や演算を行い、適切な出力を生成するプログラムです。制御アルゴリズムはプログラミング言語で開発され、マイクロコントローラに書き込まれます。

この制御アルゴリズムに基づいて適切な出力を生成します。出力はデジタル信号やアナログ信号として、他の機器に送られます。これら一連の動作を繰り返すことで機器の制御が可能です。

マイクロシーケンサの選び方

マイクロシーケンサを選ぶ際に考慮すべき要素はいくつかあります。以下は主な選定要素です。

1. 入力点数

マイクロシーケンサが処理できる入力信号数です。産業プロセスや制御システムに必要な入力点数を評価し、それに応じた入力点数を持つマイクロシーケンサを選ぶ必要があります。拡張することで、数百点まで増やすことができる場合もあります。

2. 出力点数

マイクロシーケンサが制御できる出力信号数です。制御対象となる機器やアクチュエータの数を考慮して、必要な出力点数を評価します。電磁接触器や電磁弁の制御に使用されることが多いです。

3. プログラム容量

マイクロシーケンサにはプログラムメモリがあり、制御アルゴリズムやプログラムコードが格納されます。大規模な制御タスクや複雑なアルゴリズムを実行する場合は、十分なプログラム容量を持つマイクロシーケンサを選ぶことが必要です。製品によってはステップ数などと呼ばれることがあります。

4. 通信インターフェース

他のシステムやデバイスとの通信を行うためのインターフェイスです。産業ネットワークやプロトコルに対応した通信インターフェースを持つマイクロシーケンサを選ぶことで、システムの統合やデータの収集・監視が容易になります。

5. 電源

マイクロシーケンサには電力の供給が必要です。電源の種類や電圧範囲を確認し、産業環境に適した電源を持つマイクロシーケンサを選ぶ必要があります。また、バッテリーバックアップや冗長電源などの機能も考慮することが重要です。

防水ねじ

防水ねじとは

防水ねじ

防水ねじとは、座面 (ねじの頭部の裏側) にねじと締結物との隙間を防水するためのシール部品が付属したねじのことです。

シール部品はシールリング、シールドリング、Oリングなど、ねじメーカーによって名称は異なりますが、同じ役割をはたします。一般的に、ねじの座面と被締付物のと間にはわずかな隙間ができるため、水や有機溶媒の侵入経路になりやすい場所です。

防水ねじで用いられるシール部品は耐水性と密閉性が高く、座面と被締付物の隙間を塞ぐことができます。このため、家電製品の電子基板を水の飛沫から保護したり、屋外で使用する機械に雨水が浸透するのを防いだりする目的で使われるねじです。

防水ねじの使用用途

防水ねじは、精密機器や水に触れやすい機器を浸水から守るために使われます。特に以下の機器では防水ねじが欠かせません。

  • 浸水に弱い精密機器 (パソコン、計量機器、医療機器など)
  • 屋外で使われる機器 (気象観測器、太陽光発電設備など)
  • 水がかかる場所での使用を想定した機器 (食器洗浄機など)

防水パッキンとねじを別々に購入すると、サイズが合わなかったり密閉性が弱かったりする恐れがあります。防水性のシール部品がセットになった防水ねじを選べば、高い防水性を確保することが可能です。

防水ねじの原理

防水ねじは水がかかる環境を想定しているため、本体 (ビス部) は錆びにくいSUSで作られています。座面 (頭部の裏側) には、本体のサイズに合ったシール部品が付随しており、被締付物との隙間を塞ぐ役割を果たします。

シール部品の材質はニトリルゴムが一般的です。ニトリルゴムは、アクリロにトリルと1,2-ブタジエンの重合で合成されます。水だけでなくガソリン、アルコールなどの溶媒にも耐えられるため、油脂の浸透防止にも使用可能です。

ただし、酢酸エチルやエーテルには腐食されるので、これらの有機溶媒への耐性が求められる場合はフッ素樹脂 (PTFE) 製のものを選びます。

防水ねじのその他情報

1. 防水ねじの適正な使い方

防水ねじは基本的に外部のカバーなど、水がかかるところの使用を想定されたねじです。適正な使い方をしないと、相手側のナットが破損したり、防水ねじを使用して組み立てた製品や、機器が破損したりすることがあります。

これを防ぐために、基本的な考え方は下記となります。

  • 防水ねじ (特にシールドリング) 、相手側部材が壊れないよう、締め付ける力が許容範囲内であること。
  • 防水ねじと相手側部材に加わる、繰り返しの力 (振動などによる) が、許容範囲内であること。
  • 防水ねじの座面 (お互いに接触する側の面。工具が触れる面ではない) に加わる圧力で、締め付ける対象物 (金属や木材など) を陥没させないこと。
  • 防水ねじを締め付けることで、締め付ける対象物を壊さないこと。

2. 防水ねじの締結条件

防水ねじを締結する際には、締結条件の選定に気をつけなければなりません。一般的にねじが対象物を固定する締結力は、ねじ自体が弾性変形によって伸ばされ、元の長さに戻ろうとする力によって生み出されます。ねじを引っ張るための力はねじの締め付け作業によって発生しますが、トルクが引っ張り力に変換できるのは、ねじの螺旋形状によるものです。

重たい荷物をまっすぐに上に持ち上げるには大きな力が必要ですが、なだらかな斜面を滑らせれば、比較的小さな力で荷物を高い位置に運べます。滑らかに回るタイヤがついた台車を使えば、さらに軽い力で運ぶことが可能です。

一般のねじ締結が台車を使った場合とするなら、防水ねじの締結は斜面を滑らせた場合に相当します。つまり、シール部品が締結時の抵抗になり、十分な軸力が得られないこともあります。防水ねじで大きな外力が作用する部品を固定する場合には、締結条件は慎重に決定することが大切です。

参考文献
https://www.daimaru-neji.co.jp/pdf/seal_catalog_vol1.pdf
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/

真空シール

真空シールとは

真空シールとは、磁石によって引き寄せられる磁性流体という液体の性質を利用した密封装置です。

磁性流体は流体を持ちながら、砂鉄のように磁石に吸い寄せられます。真空シールに備えられた磁石によって磁性流体を保持することで、装置との結合部分のすき間を密封します。密封された対象物への空気やガス、微粒子などが侵入することを防ぎ、真空環境の維持が可能です。

磁性流体の保持される力は磁石の強さ (磁力) によって決まるため、磁力が強ければ磁性流体のリングの耐圧は大きくなります。

真空シールの使用用途

真空シールは、不純物の混入や空気、水分の混入が厳禁となる製品を製造する際に、品質を維持するために使用されています。流体磁性を利用した遮断効果の高さから、高真空を有する製造業などで使用されていることが多く、例えば半導体や太陽電池、あるいはスマートフォン向けの有機ELパネル製造などが例です。

これらの製造下においては、省エネルギーや製造装置のコンパクト化が求められており、真空シールは非常に幅広い用途があります。

1. 半導体

半導体製造では、スパッタリング装置CVD装置イオン注入装置に利用されています。これらは均一な薄膜を形成したり、イオン注入により半導体の電気的特性を制御したりする上で、真空シールによる高い真空環境が必要とされます。

2. 太陽電池

太陽電池の製造に欠かせないシリコンインゴッドを製造するための単結晶引上装置にも使用されています。シリコンインゴッドは、製造する過程でゴミやチリなどのコンタミネーション、空気による酸化を防止するために、真空状態で行われます。真空シールは、装置内の真空環境を維持するために活用されています。

3. 有機EL

有機ELにおいては、有機EL素子の薄膜形成のために真空蒸着を行う上で真空シールが必要とされています。近年、液晶ディスプレイから有機ELへの需要が高まったことに伴い、真空シールの需要も高まってきています。

真空シールの原理

真空シールは、磁性流体と呼ばれる液体を使用します。磁性流体とは、磁性を持ったナノサイズの微粒子 (磁性微粒子) 、界面活性剤、水や油などのベース液の3成分から構成されます。

通常、磁性微粒子同士は磁石のように互いに凝集してしまうため (スパイク現象) 、これを防ぐのに界面活性剤を使用するのが一般的です。界面活性剤は極性を持つため、同極同士は反発し合います。その結果、凝集せずコロイド溶液として安定した磁性流体を作成することが可能です。

さらに真空シールでは、磁性流体に加え、永久磁石とシャフトと呼ばれる回転軸が用いられます。高速回転しながら密閉する仕組みを持つ真空シールですが、回転軸と磁極材や永久磁石との接触を防ぐことができます。オイルシートのように固体同士が接触することがないため、摩擦が発生する心配もありません。

真空シールの構造

シールの軸形は、数mmの小型製品から数m規模の大型製品まで幅広く製造されています。真空シールは、回転軸と強い磁性を持つポールピースで構成されており、2つの素材の隙間には磁界が発生します。

この磁界の隙間に磁性流体を導くことで、磁性流体がOリング状となって密着し、外部からの侵入を防ぐことができる構造です。

真空シールの特徴

回転軸と液体の接触であるため、回転軸を摩耗させず任意に回転させることができます。さらに、磁性流体が磁力線に沿って隙間を塞いでいるため、圧力の差によって流れ出すこともなく、真空環境の維持が可能です。

また、磁力が大きければ大きいほど磁性流体が形成するリングの耐圧も高くなります。リングを何段階にも形成することによって、耐圧性の高い真空シールが完成し、より大きな圧力にも耐えられます。

磁性流体は不活性で蒸気圧が低いという特徴は、真空シールの寿命にも関係しています。反応しにくい磁性流体を用いていることによって、劣化しにくく、長期間にわたって使用できるのが利点です。

圧送ポンプ

圧送ポンプとは

圧送ポンプ

圧送ポンプとは、液体や気体を吸い込み、目的の場所まで移送するために利用されるポンプです。

高低差がない場所や、低い場所から高い場所への汲み上げ、または高速での移送が必要な場面でポンプが活躍します。すべてのポンプは、吸込口と吐き出し口との圧力差を利用して機能します。この基本的な原理により、ある意味でどのポンプも圧送ポンプと呼べます。しかし、圧送ポンプという用語は、特にトイレ排水、下水システム、杭立て作業、トンネル掘削工事などの現場で用いられるポンプを指す総称として使われることが多いです。

圧送ポンプの使用用途

圧送ポンプは以下のような様々な用途で活用されています。

  • 一般家庭のトイレ排水システム
  • 高層ビル内の給排水タンク間での水の上下移送
  • 掘削現場で有毒ガスを含む掘削土を排出する作業
  • 杭立て工事中の泥水の汲み上げ作業
  • 汚水処理施設でのろ過装置の駆動
  • 浚渫(しゅんせつ)工事における砂の揚げ作業
  • 特殊な形式の燃料噴射装置
  • 水中に投入するポンプ
  • 食品加工工場における材料の移送システム
  • 給油システム

井戸からの上水の給水システムこれらの用途では、液体や気体を効率的かつ確実に目的地まで移送する必要があるため、圧送ポンプの役割は極めて重要です。そのため、圧送ポンプはその多様性から、さまざまな産業や家庭で広く利用されています。

圧送ポンプの原理

ポンプの基本的な作動原理は概して共通で、さまざまなメカニズムを利用してポンプ内で圧力差を生み出し、これにより吸込みと吐出を繰り返して液体や気体を移動させます。この観点から、すべてのポンプは圧送ポンプとして分類することが可能です。

ポンプは構造上の特徴により、主に二つの形式に分けられます。一つ目の形式は非容積式ポンプと呼ばれ、ポンプ内部のタービンを高速回転させることで動作します。このタイプのポンプは低い圧力でも比較的多量の液体を移送できますが、液体の性質によっては流速などの正確な調整が困難です。

二つ目の形式は容積式ポンプと呼ばれ、ポンプ内部に設置されたコンパートメント内の圧力を変化させることで動作します。このタイプは吸込み圧と吐出圧の両方を高く維持でき、流速などの正確な設定が可能ですが、送液量は比較的少ないのが特徴です。

圧送ポンプという用語は、現在では特定のポンプ形式を指すものではなく、さまざまなシステムや作業工程で利用されるポンプの総称として用いられます。

圧送ポンプの選び方

圧送ポンプを選ぶ際には、まず、ポンプを使用する目的と具体的な要求を明確に理解することが重要です。液体の性質 (粘度、腐食性、温度など) 、必要な流量、送液距離、圧力要求、そして設置環境は選定の際に考慮すべき基本的な要素です。
圧送ポンプの選定においては、以下の点がポイントになります。

  1. タイプ
    圧送ポンプの主なタイプは非容積式と容積式の二つです。非容積式ポンプは、液体や気体を高速で移送することができ、連続運転に適していますが、精密な流量制御が難しい場合があります。これに対して容積式ポンプは、正確な流量制御が可能で、高い圧力下でも安定した送液ができますが、比較的流量が少ない傾向にあります。
  2. 材質
    液体の腐食性に応じてステンレス鋼、プラスチック、または特殊合金を選ぶ必要があります。特に化学液体を取り扱う場合や食品産業で使用する場合には、材質が重要な要因となります。
  3. エネルギー効率
    長期にわたる運用コストを考慮すると、初期投資額以上に運用中のエネルギー消費がコストに影響を与えることがあります。より効率の高いポンプは運用コストを低減させるため、全体的なコスト削減に寄与します。
  4. メンテナンスの容易さ
    定期的なメンテナンスが容易なモデルを選ぶことで、長期的な運用でのトラブルを防ぎ、持続的な性能を保つことができます。

ロータリーソレノイド

ロータリーソレノイドとは

ロータリーソレノイドとは、特定の角度までの往復回転運動を実現できるソレノイドの一種です。

ソレノイドとは本来、電線を高密度に巻いたコイルを意味します。しかし、現在では一般的にコイル内部に可動金属芯を置き、電流を流すことで金属芯を動かす仕組みを指します。

ロータリーソレノイドは金属芯を回転させるよう設計されたもので、通常のモーターとは異なり連続的な回転運動ではなく、ある角度領域における往復回転運動を実現可能です。バックラッシュ等の位置ずれや動作時間の誤差が少ないのが特長で、光遮断用高速シャッター、製造ラインの選別システムなどに利用されます。

ロータリーソレノイドの使用用途

ロータリーソレノイドは、科学計測機器における光遮断用高速シャッター、製造ラインにおける製品の選別システム、特定の場所に対するスタンプの繰り返し等々の動作メカニズムに広く活用されています。代表的な例は、連続でスタンプを押す機械です。

スタンプを押す動作は、直線動作でスタンプを往復させる必要があります。ギアを用いることでロータリーソレノイドの回転運動を直線運動に変換することが可能です。ロータリーソレノイドは一定角度の範囲内での回転運動は簡単に制御できる特徴があります。そのため、スタンプを押したい位置まで回転運動を行い、スタンプを押すことができたら元の位置まで戻るといった動作を簡単な機構で実現することができます。

このような使用例では、モーターを使用すると一定角度まで止まるように制御を行わなければならず複雑な機構になってしまいます。そのため、直線往復運動はロータリーソレノイドを使用するケースが多いです。

ロータリーソレノイドの原理

ロータリソレノイドは1組の磁極を適切な位置に配置し、この極間と電流が流れるコイルとの間に発生する電磁力を利用して動作する装置です。そのため、特別なドライバーメカニズムは必要ではなく、比較的単純な構造で精確な動作を得られます。

回転角度はソレノイドと磁極との相対配置によって、トルクは両者の相対的強さによって自由に調節できます。また、駆動部分において軸受け以外の機械的接触が少ないため、位置ずれや動作時間の誤差が小さいだけでなく、故障が少なくメンテナンスフリーで長寿命であることも特長です。

ロータリーソレノイドの構造

ロータリーソレノイドはコイルの周りをケースが覆っており、ケースの中にベアリングボールと呼ばれるボールが格納されている構造です。ベアリングボールはボールレースと呼ばれるケースに掘られた溝の中に格納されており、ケース内に3箇所バランスを取るように配置されています。

コイルに電圧を印加した際に、このベアリングボールが速い速度で移動します。ベアリングボールを格納しているボールレースを強く押すことで、回転運動が生じる仕組みです。

ロータリーソレノイドのその他情報

モーターとの違い

ロータリーソレノイドとモーターとの大きな違いは、回転運動の可動域です。モーターは、回転子が回転する原理となっています。回転子が一定の角度を回転して周囲の永久磁石と回転子が近づくと、回転子に流す電流方向を変化させて回転子が回転を続けるように制御を行います。

ロータリーソレノイドには、回転子を制御するブラシのような役割を持つ機構はありません。そのため、一定角度回転するとそこで運動が止まる機構になっています。モーターと比較すると、複雑な制御や構造が不要である点がメリットです。

参考文献
https://www.kyo-d.co.jp/wp-content/uploads/2018/11/20170530_shindengen_shinshouhinn_mechatronics_25.pdf
https://smt.shindengen.co.jp/product/lineup/seihin/c/act/rotary/
https://www.takano-sanki21.com/sanki/products/rotary/bistable/drivesystem/