圧送ポンプとは
圧送ポンプとは、液体や気体を吸い込み、目的の場所まで移送するために利用されるポンプです。
高低差がない場所や、低い場所から高い場所への汲み上げ、または高速での移送が必要な場面でポンプが活躍します。すべてのポンプは、吸込口と吐き出し口との圧力差を利用して機能します。この基本的な原理により、ある意味でどのポンプも圧送ポンプと呼べます。しかし、圧送ポンプという用語は、特にトイレ排水、下水システム、杭立て作業、トンネル掘削工事などの現場で用いられるポンプを指す総称として使われることが多いです。
圧送ポンプの使用用途
圧送ポンプは以下のような様々な用途で活用されています。
- 一般家庭のトイレ排水システム
- 高層ビル内の給排水タンク間での水の上下移送
- 掘削現場で有毒ガスを含む掘削土を排出する作業
- 杭立て工事中の泥水の汲み上げ作業
- 汚水処理施設でのろ過装置の駆動
- 浚渫(しゅんせつ)工事における砂の揚げ作業
- 特殊な形式の燃料噴射装置
- 水中に投入するポンプ
- 食品加工工場における材料の移送システム
- 給油システム
井戸からの上水の給水システムこれらの用途では、液体や気体を効率的かつ確実に目的地まで移送する必要があるため、圧送ポンプの役割は極めて重要です。そのため、圧送ポンプはその多様性から、さまざまな産業や家庭で広く利用されています。
圧送ポンプの原理
ポンプの基本的な作動原理は概して共通で、さまざまなメカニズムを利用してポンプ内で圧力差を生み出し、これにより吸込みと吐出を繰り返して液体や気体を移動させます。この観点から、すべてのポンプは圧送ポンプとして分類することが可能です。
ポンプは構造上の特徴により、主に二つの形式に分けられます。一つ目の形式は非容積式ポンプと呼ばれ、ポンプ内部のタービンを高速回転させることで動作します。このタイプのポンプは低い圧力でも比較的多量の液体を移送できますが、液体の性質によっては流速などの正確な調整が困難です。
二つ目の形式は容積式ポンプと呼ばれ、ポンプ内部に設置されたコンパートメント内の圧力を変化させることで動作します。このタイプは吸込み圧と吐出圧の両方を高く維持でき、流速などの正確な設定が可能ですが、送液量は比較的少ないのが特徴です。
圧送ポンプという用語は、現在では特定のポンプ形式を指すものではなく、さまざまなシステムや作業工程で利用されるポンプの総称として用いられます。
圧送ポンプの選び方
圧送ポンプを選ぶ際には、まず、ポンプを使用する目的と具体的な要求を明確に理解することが重要です。液体の性質 (粘度、腐食性、温度など) 、必要な流量、送液距離、圧力要求、そして設置環境は選定の際に考慮すべき基本的な要素です。
圧送ポンプの選定においては、以下の点がポイントになります。
- タイプ
圧送ポンプの主なタイプは非容積式と容積式の二つです。非容積式ポンプは、液体や気体を高速で移送することができ、連続運転に適していますが、精密な流量制御が難しい場合があります。これに対して容積式ポンプは、正確な流量制御が可能で、高い圧力下でも安定した送液ができますが、比較的流量が少ない傾向にあります。 - 材質
液体の腐食性に応じてステンレス鋼、プラスチック、または特殊合金を選ぶ必要があります。特に化学液体を取り扱う場合や食品産業で使用する場合には、材質が重要な要因となります。 - エネルギー効率
長期にわたる運用コストを考慮すると、初期投資額以上に運用中のエネルギー消費がコストに影響を与えることがあります。より効率の高いポンプは運用コストを低減させるため、全体的なコスト削減に寄与します。 - メンテナンスの容易さ
定期的なメンテナンスが容易なモデルを選ぶことで、長期的な運用でのトラブルを防ぎ、持続的な性能を保つことができます。