ロータリーソレノイドとは
ロータリーソレノイドとは、特定の角度までの往復回転運動を実現できるソレノイドの一種です。
ソレノイドとは本来、電線を高密度に巻いたコイルを意味します。しかし、現在では一般的にコイル内部に可動金属芯を置き、電流を流すことで金属芯を動かす仕組みを指します。
ロータリーソレノイドは金属芯を回転させるよう設計されたもので、通常のモーターとは異なり連続的な回転運動ではなく、ある角度領域における往復回転運動を実現可能です。バックラッシュ等の位置ずれや動作時間の誤差が少ないのが特長で、光遮断用高速シャッター、製造ラインの選別システムなどに利用されます。
ロータリーソレノイドの使用用途
ロータリーソレノイドは、科学計測機器における光遮断用高速シャッター、製造ラインにおける製品の選別システム、特定の場所に対するスタンプの繰り返し等々の動作メカニズムに広く活用されています。代表的な例は、連続でスタンプを押す機械です。
スタンプを押す動作は、直線動作でスタンプを往復させる必要があります。ギアを用いることでロータリーソレノイドの回転運動を直線運動に変換することが可能です。ロータリーソレノイドは一定角度の範囲内での回転運動は簡単に制御できる特徴があります。そのため、スタンプを押したい位置まで回転運動を行い、スタンプを押すことができたら元の位置まで戻るといった動作を簡単な機構で実現することができます。
このような使用例では、モーターを使用すると一定角度まで止まるように制御を行わなければならず複雑な機構になってしまいます。そのため、直線往復運動はロータリーソレノイドを使用するケースが多いです。
ロータリーソレノイドの原理
ロータリソレノイドは1組の磁極を適切な位置に配置し、この極間と電流が流れるコイルとの間に発生する電磁力を利用して動作する装置です。そのため、特別なドライバーメカニズムは必要ではなく、比較的単純な構造で精確な動作を得られます。
回転角度はソレノイドと磁極との相対配置によって、トルクは両者の相対的強さによって自由に調節できます。また、駆動部分において軸受け以外の機械的接触が少ないため、位置ずれや動作時間の誤差が小さいだけでなく、故障が少なくメンテナンスフリーで長寿命であることも特長です。
ロータリーソレノイドの構造
ロータリーソレノイドはコイルの周りをケースが覆っており、ケースの中にベアリングボールと呼ばれるボールが格納されている構造です。ベアリングボールはボールレースと呼ばれるケースに掘られた溝の中に格納されており、ケース内に3箇所バランスを取るように配置されています。
コイルに電圧を印加した際に、このベアリングボールが速い速度で移動します。ベアリングボールを格納しているボールレースを強く押すことで、回転運動が生じる仕組みです。
ロータリーソレノイドのその他情報
モーターとの違い
ロータリーソレノイドとモーターとの大きな違いは、回転運動の可動域です。モーターは、回転子が回転する原理となっています。回転子が一定の角度を回転して周囲の永久磁石と回転子が近づくと、回転子に流す電流方向を変化させて回転子が回転を続けるように制御を行います。
ロータリーソレノイドには、回転子を制御するブラシのような役割を持つ機構はありません。そのため、一定角度回転するとそこで運動が止まる機構になっています。モーターと比較すると、複雑な制御や構造が不要である点がメリットです。
参考文献
https://www.kyo-d.co.jp/wp-content/uploads/2018/11/20170530_shindengen_shinshouhinn_mechatronics_25.pdf
https://smt.shindengen.co.jp/product/lineup/seihin/c/act/rotary/
https://www.takano-sanki21.com/sanki/products/rotary/bistable/drivesystem/