制御盤用クーラーとは
制御盤用クーラーとは、電気制御盤や電子機器の冷却に使用される装置です。
電気制御盤は機械やプロセスを制御するための機器であり、高温や過熱によって故障する内部機器が故障する危険があります。制御盤用クーラーは、このような制御盤内の温度を適切な範囲に保つために使用されます。
熱交換器や冷却装置を使用して制御盤内の熱を外部に排出する製品が多いです。ファンによって外気を取り込むだけの簡素な製品も販売されています。これにより、制御盤内の環境温度が上昇せず、機器の動作に必要な温度条件を維持することが可能です。
ただし、制御盤用クーラーを設置する際は、適切な空間と通風を確保することが重要です。クーラーの周りに遮蔽物がないことを確認し、冷却効果を最大限に引き出すために適切な空気の流れを確保する必要があります。
制御盤用クーラーの使用用途
制御盤用クーラーは以下のような用途で広く使用されています。
1. 製造業
産業機械の制御盤用クーラーは、工場や製造現場で使用される機械の制御盤内でも重要です。これらの機械は高負荷で動作し、制御盤内の温度上昇が問題となります。
一例としては、自動車組み立てラインの制御盤や金属加工機械の制御盤などが該当します。制御盤用クーラーは、制御盤内の温度を適切な範囲に維持することで、機械の安定した動作と信頼性を確保します。
2. ビル・オフィス
建築物や施設内の自動制御システムにおいて、制御盤用クーラーが広く使用されます。これらのシステムには、エレベーター、冷暖房装置、照明制御、セキュリティシステムなどが含まれます。制御盤用クーラーによって、制御盤内の温度を適切に管理することで、システムの効率性や信頼性の向上が可能です。
3. 電力配電
電力供給や配電システムにおいても、制御盤用クーラーが必要な場合も多いです。発・変電所、送電設備などの電力制御や保護機器の制御盤内で使用されます。これらの制御盤は高電力負荷や電力変換に伴う熱を発生させます。
制御盤用クーラーは、制御盤内の温度を管理し、機器の過熱や機能低下を防止することが可能です。これにより、電力供給や配電の安定性と信頼性が確保されます。
4. 通信・ネットワーク機器
通信基地局やデータセンターなどの通信・ネットワーク機器では、制御盤用クーラーが重要です。これらの機器は高度な処理能力を要求されるため、発熱が発生しやすく、適切な冷却が必要です。
制御盤用クーラーは、通信機器やネットワーク機器の制御盤内の温度を適切に管理し、機器の動作安定性と信頼性を確保します。特にデータセンターでは、大量のサーバーやネットワーク機器を冷却するために効果的に使用されます。
制御盤用クーラーの原理
制御盤用クーラーは、熱を除去するための冷却原理を使用します。冷却原理には、強制対流冷却や熱交換器を使用した冷却を実施する場合が多いです。ファンを使用して強制的に空気を循環させることで冷却効果を得ます。
ファンは制御盤内の熱を外部に排出するために使用されます。制御盤内の熱気がファンによって吸い込まれ、外部へ排出されることで、制御盤内の温度を下げることが可能です。制御盤用クーラーには熱交換器が組み込まれている場合があります。
熱交換器は、制御盤内の熱を外部の冷却媒体に移動することで熱を除去する仕組みです。制御盤内の熱気が熱交換器によって冷却媒体に熱を移し、冷却媒体は外部へと放熱して制御盤内の温度がさせます。
制御盤用クーラーの選び方
制御盤用クーラーを選ぶ際は、以下の要素を考慮します。
1. 冷却能力
制御盤用クーラーの冷却能力は、制御盤内の熱負荷や環境条件に応じて選択する必要があります。制御盤内の熱負荷を正確に評価し、適切な冷却能力を持つクーラーを選ぶことが重要です。
制御盤内に設置されたCPUなどの発熱量を合算し、制御盤内温度が許容温度以下となる冷却能力を選定します。電子部品の許容温度は40℃程度の場合が多いため、40℃以下となるように設計します。また、風量の多いファンを選定しておき、盤内サーモスイッチによって入切して使用する場合もあります。
2. 雰囲気
制御盤周辺の雰囲気を考慮して機器を選定します。外気がきれいな場所に設置する場合は制御盤用ファンを用います。海岸沿いなどでは塩害による腐食が懸念されるため、内気を循環させる制御盤用クーラーが用いられます。
3. 冷媒
内気循環の盤用クーラーを選定した場合、冷媒種類に注意が必要です。以前はフロンガス多く使用されましたが、現在は代替として二酸化炭素などを用いるノンフロンクーラーが多く販売されています。
制御盤用クーラーは業務用に分類されるため、フロンを使用すると第一種特定製品として扱われます。第一種特定製品は簡易点検義務などがあり、厳重な管理が必要です。ノンフロンクーラーを使用することで、環境へ配慮し、管理体制を緩和することが可能です。
4. 電源
電源の種類を選定する必要があります。単相電源や三相交流電源などさまざまです。冷却能力を満足したうえで、供給可能な電源を選定します。