リニアフィーダ

リニアフィーダとは

リニアフィーダとは、部品を整列させながら供給する機能を持つパーツフィーダの一種です。

ショートフィーダあるいは直進フィーダとも呼ばれています。このカテゴリーには、ホッパーフィーダ、ボールフィーダ、リニアフィーダ(シュートフィーダ)などが含まれます。リニアフィーダの主要な機能は、部品や材料を振動させ、一定の方向や姿勢で整列させて供給することです。

具体的には、シュート(レールまたはトラフ)に振動を加えることで、ワーク(部品や部材)を目的の位置へと効果的に送り出します。この装置の設計時には、シュートの長さやワークの重量を考慮する必要があります。適切な振動フィーダを選ぶことで、供給速度が遅くなることを防ぐことが可能です。

リニアフィーダにはいくつかの異なる形式があり、固定式、ゴム足方式、板ばね式などが一般的です。それぞれの方式は、設置環境や必要な振動の特性に応じて選ばれます。各タイプは、特定のアプリケーションにおいて最適な性能を提供するよう設計されています。

リニアフィーダの使用用途

リニアフィーダを含むパーツフィーダは、大量のワーク(部品や材料)を一斉に同一方向や姿勢に整列させながら、次の工程の機械(組立機、包装機、検査機など)へ供給する役割を担います。これにはボウルの振動や特別なアタッチメントの誘導が利用されます。

組立機、包装機、協働ロボット、検査機など、多様な自動化システムと組み合わせて使用されることが一般的です。リニアフィーダの使用により、手作業で部品を供給する場合と比較して、作業速度だけでなく正確性も大幅に向上します。その結果、全体としての生産性が向上するため、効率的な製造プロセスに貢献します。

リニアフィーダの原理

リニアフィーダは、設置場所の強度が不足していても振動が安定するタイプも存在します。また、周波数可変のコントローラを採用することで、バネ調整やコアギャップ調整が不要になるため、据付けや位置合わせが簡単になります。

低反力及び板ばね防振タイプのリニアフィーダは、従来品に比べて床反力をさらに抑えた改良型です。駆動部の構造が細部まで改善されたことにより、さらなる低反力が可能となり、より高精度かつスムーズに部品を供給できるようになりました。

リニアフィーダは、パーツフィーダの振動数(全波及び半波)の中間帯域で振動するため、組み合わせて使用しても振動干渉が発生しません。また、シュート全体の振動角が均一であることから、部品の供給がより滑らかです。加えて、共振の近くで駆動するため、少ない電流で運用することができ、これにより少ない消費電力で充分な振幅を得ることが可能です。

リニアフィーダの選び方

リニアフィーダを選ぶ際は、その使用目的と設置環境に合わせた適切なモデルを選定することが重要です。まず、扱う部品の形状、サイズ、重量を考慮し、それに対応する振動幅と強度を持つモデルを選びます。部品が小さい場合や軽量である場合、小さな振動幅で正確に供給可能なリニアフィーダが適しています。

次に、部品供給速度の要求も考慮する必要があります。高速で部品を供給する必要がある場合は、迅速に反応する強力なモーターを備えたモデルを選択します。また、使用する部品の材質によっては、静電気防止や耐腐食性の特性を持つモデルが必要になることもあります。

設置環境はリニアフィーダの選定においても重要な要素です。狭い空間に設置する場合や、特定の温度や湿度条件下での使用が予定されている場合、それに適した設計のモデルを選びます。振動が周囲に影響を与えないよう、低反力型や防振設計のものを選択することも検討する必要があります。

参考文献
https://www.parts-feeder.com/qa/yougo.html
https://www.sinfo-t.jp/partsfeeder/linear/linear.htm
https://www.shinwa-gikencorp.co.jp/partsfeeder/

メーターリレー

メーターリレーとは

メーターリレー (英: Meter relay) とは、メーターゲージとして値を指示しつつ、接点出力する装置です。

電力システムや制御システムにおいて使用されることが多いです。また、通常のメーターゲージと同様に視覚的に値を確認することができます。

一般的なメーターゲージは単に数値を表示するだけであり、制御機能は備えていません。メーターリレーは異常な状況を検出し、適切なアクションを実行することが可能です。したがって、システム異常に対して迅速に応答できます。

メーターリレーの使用用途

メーターリレーは、さまざまな産業・用途で使用されます。以下はメーターリレーの使用用途一例です。

1. 電力系統制御

メーターリレーは、電力系統の制御に使用されることがあります。電力回路に過負荷が発生した場合に過電流を検出し、関連する回路を遮断することで過負荷を防止することが可能です。また、電圧の低下や上昇が検出して、使用機器の保護をするために関連する回路を遮断することもあります。

また、再生可能エネルギー (太陽光、風力など) を電力システムに統合する際にも使用されます。エネルギーの生成と供給を監視し、電力系統への安定的な連携をサポートします。

2. 機器制御

メーターリレーでポンプやファンなどの機械を制御することが可能です。機器を駆動させるモーターの電流値を監視して制御する場合が多くあります。上限電流値を設定しておき、設定以上の電流値の場合にはトリップさせることが可能です。

また、下限を設定して制御する場合もあります。ポンプにエアーが噛み込んだ際は、吐出圧力が上昇せずに電流値が低下します。このような不具合を検知して、ポンプを停止させつつ警報を発報させることも可能です。

メーターリレーの原理

メーターリレーは、検出部、指針・ばね、リレー部分などで構成され、電流や電圧を検出するためのセンサーを備えています。電流や電圧がメーターリレーに入力されると、センサーが検出します。センシングデバイスによって検出された値に応じて、内部のコイルが磁気力を発生させる仕組みです。

磁気力などによって、指示用の指針を動かします。無負荷時の指針はばねによって原点位置を指しており、力が加わった場合にのみ動作します。メーターリレーは検出した値を表示する指針とは別に、接点出力用指針を有する場合が一般的です。

リレー部分では実際の値を示す指針が接点出力用指針と重なることで、内部のばねなどの作用によって接点が動かされます。この接点の動作によって出力を発生させるのがリレー部分です。このリレー部分には、無接点のトランジスタ出力などが使用される場合もあります。

メーターリレーの種類

メーターリレーは入力信号に応じてさまざまな種類が存在します。以下はメーターリレーの種類一例です。

1. 電流リレー (英: Current relay)

電流リレーは電流を検出し、しきい値に応じて接点出力するリレーです。内蔵の変流器(CT:Current Transformer) を使用して電流を検出します。CTは電流の変換器であり、電流を検知しやすい低電流に変換する役割を果たします。電動機などの保護や、配電線の過電流保護などに使用されます。

2. 電圧リレー (英: Voltage relay)

電圧リレーは、電圧を検出して接点出力するリレーです。内蔵の電圧センサー (PT:Potential Transformer) を使用して電圧を検出します。PTは電圧の変換器であり、電圧を検知しやすい低電圧に変換する役割を果たします。

電圧リレーは、電力システムの電圧に関する保護や制御を担当する重要な装置です。

3. 温度リレー

温度を検出して接点出力するリレーです。温度センサーを使用して環境や装置の温度を検知します。サーミスタや熱電対などの温度センサーが使用されるのが一般的です。

装置やシステムを過熱から保護するために使用されます。また、温度が設定された範囲外に上昇しないように制御する場合にも使用します。

参考文献
http://www.toyokeiki.co.jp/product/analog_instrument.html

ベリリウム銅

ベリリウム銅とは

ベリリウム銅 (ベリリウム銅合金:BeCu) とは、をベースに0.5-3.0%のベリリウムを加えた合金です。

銅の高い導電性、熱伝導性を保ちながら特殊鋼に匹敵する高い強度と耐久性、更には耐熱性、耐食性も兼ね備えています。

特殊鋼とは、普通の鉄合金と比較して特長的な性質をもつ鉄合金のことです。ニッケルクロムなどを添加して合成されます。したがって、ベリリウム銅は数ある銅合金の中で最も特性バランスに優れた銅合金と言われています。優れた特性を持つベリリウム銅は、様々な産業において信頼性の高い部材として使用されています。

ベリリウム銅の使用用途

ベリリウム銅の主な使用用途を4つ紹介します。

1. 導電バネ材

導電バネ材とは電気を流すことが可能で、コイル状にしてバネとして利用できる材料のことです。板や線状のベリリウム銅は、高導電性、高強度、高耐久性に優れています。この性質を利用して、自動車や産業機器、携帯電話、家電など電子部品の導電バネ材として使われています。

2. 摺動部材

摺動部材(しゅうどうぶざい)とは、部品同士の接触部分に使用される材料のことです。ベリリウム銅は高強度、高耐久性に加え、鉄鋼材料に対する耐摩耗性、耐かじり特性に優れています。したがって、航空機のランディングギア等の摺動部材に使用されています。

3. 抵抗溶接用電極部材

まず抵抗溶接とは、溶接したい金属に電気を流したときに発生する抵抗発熱を用いる溶接方法の一つです。抵抗溶接用電極部材とは、この抵抗溶接で使用する電気を流す電極に使用する材料です。

抵抗溶接用電極部材には、高い導電性に加え、圧力をかけることから耐久性も求められます。ベリリウム銅は高導電性、高強度、高耐久性に優れていることから、抵抗溶接用電極部材として自動車産業等で使用されています。

4. 安全工具

ベリリウム銅は特殊鋼に匹敵する高強度でありながら、非着火性、非磁性、耐食性に優れています。したがって、作業現場での爆発事故を防ぐ安全工具として、ペンチスパナなどに使用されています。

ベリリウム銅の強化機構

金属の内部には「転位」と呼ばれる原子配列の欠陥が多数含まれています。この転位が結晶中を移動することで金属結晶は変形します。したがって、材料の強度を上げるためには「転位」ができる限り移動しないように、転位の移動を抑制する必要があります。

転位の移動

図1. 転位の移動

一般的に、鉄やチタンアルミニウムなどの合金は強度を上げるために、熱処理が行われます。これは金属強化の方法の中でも、固溶強化、析出強化という方法を用いています。

1. 固溶強化

固溶強化とは、母相となる金属元素中に合金添加元素を溶かし込み、添加元素を母相中に均一に分散させることで材料を強化させる方法です。大きさの違う元素が混ざると、混ざった周辺でひずみが発生します。結果、転位の移動が阻害されて、金属が強化されます。ベリリウム銅の場合、母相となる金属が銅、添加元素がベリリウムです。

固溶強化

図2. 固溶強化

2. 析出強化

析出強化とは、結晶の中にナノレベルの微細で硬い結晶を析出させることで、転位の動きを阻害して金属を強くする手法です。微細な結晶を析出させるためには、時効と呼ばれる熱処理を行います。時効熱処理時間の経過に伴い、微細結晶が析出します。しかし経過時間が長すぎると、微細結晶が粗大化し、逆に金属結晶は軟化するため注意が必要です。

析出強化

図3. 析出強化

ベリリウム銅も適切な温度と時間で熱処理を行うことで、特殊鋼に匹敵する強度や性質を得ています。

ベリリウム銅のその他情報

ベリリウム銅に関する法規制と取扱い

ベリリウム銅は、ベリリウムを含んでいるため、環境や健康などの面から利用制限などを懸念されることがあります。しかし、現在ベリリウム銅の使用に制限を与える法規制はなく、EUにおけるRoHS指令やELV指令、REACH規則等も非該当です。ただし、ベリリウム自体は有害性が高いため、日本国内ではPRTR制度において、事業規模取扱量等によっては排出量や移動量を行政に届け出る義務が生じます。

また労働衛生面においても、ベリリウム銅はベリリウム含有量が3%未満であるため特定化学物質障害予防規則について非該当であり、通常の使用において健康影響はありません。ただし、溶接や乾式での研削・研磨等でヒュームや微粉じんを発生させる加工をする場合には局所排気や防塵マスクの着用などの防護措置が推奨されています。

六角穴付ボタンボルト

六角穴付ボタンボルトとは六角穴付ボタンボルト

六角穴付ボタンボルト (英語: Hexagon Socket Button Bolts, Hexagon Socket Button Head Screws, Hexagon Socket Head Shoulder Screws, Hexagon Socket Button Head Cap Screws) とは、ボルト頭部の形状が丸みを帯びた半球の形で、横から見るとボタンのような形状をしているボルトです。

ボルト頭頂部端面は水平にカットされており、六角形状の穴があけられています。締め付けは、六角レンチを使用し、頭部上面に六角穴に差し込み使用します。

一般的な総称として、ボタンボルトやボタンキャップも同義語です。六角穴付ボタンボルトの形状は、ネジの呼び径が同じであれば、ボタン小ねじと同じですが、六角穴付ボタンボルトはボタン小ねじより大きい呼び径があります。

なお、六角穴付ボタンボルトの規格は以下のとおりです。

  • JIS B 1174 六角穴付きボタンボルト
  • ANSI/ASME B 18.3 Hexagon Socket Button Head Cap Screws。

六角穴付ボタンボルトの使用用途

六角穴付ボタンボルト_図1

図1. 六角穴付ボタンボルトの使用例

六角穴付ボタンボルトは、主に取り付け作業のスペースが狭く、小さな機械や装置などへ部品を取り付け、固定するために使用します。六角穴付ボタンボルトを取り付ける相手側に、ボルト頭部の外径より少し大きく、頭部高さより少し深いザグリ穴あけを施工します。

これによりボルト頭部は、完全にはみ出さずに取り付けることが可能です。ボルト頭部と他部品との干渉が避けられ、すっきりとした状態になります。また、ザグリ穴を施工せず、六角ボルトと同様に使用する場合もあります。

六角ボルトと比較すると、ボルト頭部が円滑で引っ掛かりが無いため、人が触れたりしても傷がつきにくく安全です。なお、ザグリ穴とは、ボルト頭部が隠れるように、取り付け部に穴あけ加工することを示します。

六角穴付ボタンボルトの原理

六角穴付ボタンボルト_図2

図2. 六角穴付ボタンボルト

六角穴付ボタンボルトは、一般の六角ボルトと同じで、ねじ (この場合の「ねじ」は、スクリュー状の形状だけを示します) により締結します。六角穴付ボタンボルトは、ナットを使用して締結せずに、タップ加工したメスねじに直接ねじ込み締結する方法に使用される場合が多いです。

六角ボルトのように、ボルト頭部にレンチをはめ込むのではなく、断面が六角状のレンチを六角穴に差し込み締め付けます。そのため、ボルト頭同士や他部品との間にスペースの確保が必要です。

しかし、六角穴付ボタンボルトの締め付け工具は、六角レンチのためボルト頭外側のスペースは不要で、密接して六角穴付ボタンボルトを配置することができます。その結果、小さい寸法で設計が可能で、コンパクトな部品や装置が実現できます。

なお、六角穴付ボタンボルトの長さ表示は、六角ボルトなど一般のボルトの長さと同様に、ボルト頭部の高さを除きねじ部を含む軸部の長さで表されています。

六角穴付ボタンボルトのその他情報

1. 六角穴付ボタンボルトの主な材質と表面処理

六角穴付ボタンボルトの材質は、比較的強度区分の高い材質を使用しており、鋼製の場合 JIS B 1051 8.8, 10.9, 12.9、ステンレス鋼の場合 JIS B1054 A2-70, A2-50などを採用しています。高い締め付け力が必要で、高い強度が必要な場合に使用されています。

使用箇所や用途に適した材質や強度区分選定が必要です。ステンレス鋼は、耐食性が求められる箇所に使用されます。ボルトの強度区分と材質は下記の通りになります。

鋼製

  • 強度区分 8 炭素鋼 (焼き入れ・焼き戻し、合金元素で強化) 、S45C (熱処理で強化) など
  • 強度区分 8 炭素鋼 (焼き入れ・焼き戻し、合金元素で強化) 、SNB7、SCM435
  • 強度区分 9 合金鋼、SCM435、SCM440
  • 強度区分 9 合金鋼、SCM435

ステンレス鋼製

  • 強度区分 A2-50, 70 SUS304、SUS304L、SUS XM7

六角穴付ボタンボルト材質選定において、電蝕を防止すること重要です。ボルトの材質と被締結物の材質が異なる場合、それぞれの金属間に電位差が生じて腐食することがあります。特に、アルミやステンレスの場合は注意が必要です。

六角穴付ボタンボルトの表面処理は、鋼製の場合、耐食性を目的として電気メッキ、無電解メッキ、アルマイト処理黒染めなどの施工が一般的です。

2. 六角穴付ボタンボルトの適正な使用

基本的な六角穴付ボタンボルトの適正な使用方法は、主に下記のようになります。

  • 六角穴付ボタンボルトと被締結物のねじ穴部が壊れないよう、締め付ける力が許容範囲内であること
  • 六角穴付ボタンボルトと被締結物のねじ穴部に加わる、繰り返しの力 (振動などによる) が、許容範囲内であること

3. 六角穴付ボタンボルトのゆるみ止め

六角穴付ボタンボルトのゆるみ防止として、ゆるみ止め用接着剤の使用、ゆるみ止め施工されたボルトの採用などがあります。

4. 六角穴付ボタンボルトの締め付け工具

六角穴付ボタンボルト_図3

図3. 六角穴付ボタンボルト締め付け工具の種類と形状

六角穴付ボタンボルトの締め付けは、ボルトのサイズに合った六角レンチ (六角棒レンチ) などの締め付け工具を使用します。六角レンチは、スパナモンキーレンチなどと比較して、小さい力で強い締め付け力を加えることが可能で、締め付けるときにボルト周辺の作業スペースが狭くて済むなどのメリットがあります。

六角レンチには、ミリサイズとインチサイズがあり、六角レンチの選定には注意が必要です。締め付け工具の種類は、L形六角レンチ (六角棒レンチ) 、T形ハンドル六角レンチ、ドライバー形六角レンチ、ヘキサゴンビットなどがあります。

また、六角レンチとヘキサゴンビットの六角穴付ボタンボルト差し込み側の先端形状は、「フラット」と「ボールポイント」があります。ボールポイント先端の形状は、角部をR加工しているため、六角レンチが斜めの状態でも締め付けが可能です。

参考文献
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element18.html
http://www.soshin-net.co.jp/seihin/kikaku/cap_button_jis.htm
https://www.monotaro.com/s/c-104765/attr_f2-M12/
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/resources/specialscrew/article/nedzicom-topics-13-galvanic-corrosion/?SelectedLanguage=ja-JP

ネットキャップ

ネットキャップとはネットキャップ

ネットキャップとは、毛髪落下の帽子を目的として、ヘアーキャップの内側に着用するメッシュの帽子です。

主に、クリーンルームなど、清浄を保たなければならない作業環境で使用される帽子です。衛生管理が必要とされる作業場で使用されることから、「衛生帽子」「衛生キャップ」と呼ばれる場合もあります。他にはヘアキャップなどの別名もあります。毛髪や頭部に付着した汚れ等は、本人が気づかないうちにでも、落下して異物混入となってしまう恐れがありますが、ネットキャップを被っていれば、そのようなリスクから、作業環境を守り、異物の混入をしっかりと防止できます。

ネットキャップには細かいメッシュがあり、毛髪やふけなどの落下、混入を防止することが可能です。一方で、頭頂の部分には比較的荒いメッシュが使用されていることから、通気性が確保でき、蒸れ感が和らげられます。ネットキャップには、使い捨ての物と、洗濯して再度利用可能なものもあります。

ネットキャップの使用用途

1. 概要

ネットキャップは、毛髪や毛髪に付着したゴミなどの異物を混入させていけない場所で用いられています。具体的には、

  • 食品加工工場
  • 精密機器製造工場
  • クリーンルーム
  • 研究室
  • 医療現場 (手術室など)

などで用いられており、製造物や研究対象に対して異物が混入するのを防ぎます。また、場合によっては液体や細菌などの飛散物から作業者を守ります。

2. 食品衛生

食中毒の原因となる「黄色ブドウ球菌」は、健康な人でも鼻や毛髪、皮膚などに2~4割の割合で保菌しているとされます。そのため、食品製造の衛生管理の上では、毛髪の混入を防ぐことが重要です。

特に、食品製造施設において、HACCPのガイドラインを遵守する上でネットキャップの着用は重要です。HACCPとは、食品等の事業者が、食品を製造する過程で生じる可能性のある、危害要因を除去し、安全性を確保することを目的とした、衛生管理手法のことを指します。

ネットキャップの原理

1. 素材

ネットキャップの材質は、ポリプロピレン不織布、ナイロン/ナイロントリコットなどがあります。不織布タイプは最も安価な使い捨てタイプであり、見学者用などにも適しています。ナイロン製も安価ですが、洗濯して10日程度使用することが可能です。

中には電石加工された不織布を使用したネットキャップ製品もあります。電石とは、恒久的に電気分極を保持、周囲に対して電界を形成する物質です。電石加工した超極細繊維不織布は、一本一本の繊維が電石の力を持ち、シートの内外部に強い電界を形成します。この電界の強い吸着力によって、毛髪や浮遊塵、落下菌をとらえることができます。

2. 正しい被り方

ネットキャップには様々な形態がありますが、正しい被り方は概ね下記のとおりです。

  1. 髪が長い場合は後ろに束ねる
  2. キャップを裏返して異物が付着していないか確認する
  3. 裏返しのまま中心が顔に来るように額に当てる
  4. 額に当てた部分を固定したままもう片方の手で裾を裏返して被る
  5. 中心がズレないように固定しながら引っ張って整える
  6. 髪の毛がはみ出ていないか確認する

異物の混入を正しく予防するためには、ネットキャップを正しく装着することが必要です。また、着用する人にフィットするサイズの物を選ぶことと、次に髪の毛をしっかりとネットキャップ内に入れることも大切です。また、そして脱着についてのルールやマニュアルがあるケースでは必ず守らなければなりません。

ネットキャップの種類

ネットキャップの形状には様々な種類があります。最も簡素な作りであるメッシュタイプでは、細いゴムで額を締める者の他に、幅広ネットで固定するものがあります。

更に毛髪落下防止機能を高めたネットキャップは、伸縮する素材でできたニットタイプや、顔まわりから首元までをカバーするフードタイプ、フルフェイスタイプなどです。電石素材を用いたネットキャップは電石帽と呼ばれ、帯電素材の特性を用いて毛髪やチリが落ちないようにしています。フルフェイスタイプでも冷感素材を用いて夏の暑さを軽減するなど、製品によってそれぞれ工夫が施されています。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

参考文献
https://www.monotaro.com/k/store/%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%97/
https://www.l-m.co.jp/blog/?p=7041
https://www.askul.co.jp/f/special/product_column/haircap/

ドレンセパレーター

ドレンセパレーターとは

ドレンセパレータの外観イメージ

図1. ドレンセパレーターの外観イメージ

ドレンセパレーターとは、圧縮空気及び蒸気中の水分が熱を失って凝縮した水 (復水、ドレン) を、分離及び排除する装置です。

別名は、汽水分離機です。配管輸送される飽和蒸気は輸送途中の放熱でその一部が凝縮し、ドレンが発生します。ドレンは装置の加熱効率を低下させたり、トラブルを引き起こす原因であるため、輸送管にはスチームトラップやエアトラップが設置されます。しかしながら、ドレンは完全に気相と分離されているわけではありません。その一部は気相中にとどまって蒸気や圧縮空気と共に飛沫状になって飛んでしまいます。そのため、ドレンの強制分離を行う目的でドレンセパレーターが使用されます。構造や仕組みは装置によって様々ですが、基本的には気体と液体の比重の差を利用して水滴を分離する仕組みです。

ドレンセパレーターの使用用途

1. 概要

ドレンセパレーターの適用流体は、蒸気や空気などです。空調設備や各種工業設備など (蒸気釜、ランドリー機器、プレス機など)における蒸気配管・空気配管に用いられます。主管・分岐部、各種装置入口など、様々な使用場所があります。主な効果は下記の通りです。

  • 蒸気の乾き具合が改善されるため、単位熱量の高い飽和蒸気を作ることが可能になる
  • 装置の昇温時間短縮
  • 流量計の測定精度向上
  • 調整弁動作時の安定化、および腐食・摩耗の軽減
  • 配管機器や装置の損耗・侵食予防 (錆の発生を低減)
  • 蒸気通気初期の滞留ドレンなどによって発生するスチームハンマを低減させる

2. 使用されている産業分野

ドレンセパレーターは、下記のような様々な産業分野で使用されています。

  • 自動車
  • 電子工学
  • 食品・飲料
  • 化学・石油化学、およびプラスチック

ドレンセパレーターの原理

ドレンセパレーターには、様々な動作方式がありますが、基本的に気体と液体の比重の差を利用して水滴を分離しています。主な動作機構には、バッフル式とサイクロン式があります。

また、圧縮空気中のドレンには、水分以外にも不純物として、潤滑油、エアロゾル、固体粒子や錆、などが含有されていることも考えられます。これらの不純物を圧縮空気から除去することは、プロセスにとって非常に重要です。

1. バッフル式 (衝突式)

バッフル式のドレンセパレータの模式図

図2. バッフル式のドレンセパレーターの模式図

バッフル式のドレンセパレーターでは、セパレーター内に入ったドレンがバッフルと呼ばれる板状の部品と衝突します。バッフルに衝突したドレンは、急低下して流速が減衰し、自重で落下する仕組みです。バッフル式セパレーターの気水分離効率は最大で98%です。

2. サイクロン式

サイクロン式のドレンセパレータの模式図

図3. サイクロン式のドレンセパレーターの模式図

サイクロン式のドレンセパレーターでは、流れてくる空気やドレンを含んだ蒸気を旋回させて遠心分離動作を行います。旋回させることで比重の重い水滴は底部へ振り落とされ、上記のみが上方から放出される仕組みです。

ドレンセパレーターの種類

1. 概要

ドレンセパレーターは、前述の通り、バッフル式やサイクロン式などの種類があります。中にはバッフルとサイクロン旋回とを併用している製品もあります。

配管接続には、ねじ込み式とフランジ式とがあります。過大流量で使用すると分離効率が低下するため、配管太さ・流量・最高圧力などの条件をよく確認して選定することが必要です。圧力損失も許容値以内に収まるかどうか製品仕様を確認することが必要といえます。使用されている原料素材には、ねずみ鋳鉄、炭素鋼鋳鋼、青銅鋳物などがあり、素材によって使用可能な最高温度などが異なっています。

2. トラップ

ドレンを受けるトラップについては、内蔵型の製品と内蔵していない製品とがあります。トラップ非内蔵の製品では、別途トラップを設置することが必要です。また、内蔵トラップの場合も排水能力は製品によって異なるため、排水能力を超えないよう、用途に合わせて選択することが必要です。

参考文献
https://www.tlv.com/ja/steam-info/steam-theory/other/1004separator2/
https://www.fukuhara-net.co.jp/product_af_cyclone.html

トルクレンチテスタ

トルクレンチテスタとはトルクレンチテスタ

トルクレンチテスタとはボルトなどを締め付けるトルクレンチの設定されている数値と実際のトルクレンチのトルク数の校正・調整を行うための器具です。

トルクレンチテスタを現場で利用することで、締め付けに用いる工具の精度や強度を確認することが可能で、作業の際に数値が狂っていたり間違っていることによる事故やトラブルなどを未然に防ぐことができます。

製品によっては測定できるレンチのサイズやトルクの大きさなどが変動するため事前にトルクレンチのスペックを確認しておくことが重要となります。

トルクレンチテスタの使用用途

トルクレンチには用途が2通りあり、実際にボルトやナットを締め付ける作業用と付属の目盛りやデジタル計などによりどれくらいの力(トルク)で締め付けることができるのか確認できる計測用の2種類です。

特に正確な締め付けのトルクが必要な現場(航空機や工業機械の整備)ではトルクレンチを長年の使用により精度に狂いが生じたままトルクレンチを使ってしまうと取り返しのつかない事故やトラブルを引き起こしてしまいかねません。

こういった現場で常にトルクの精度を高いレベルで保つためにトルクレンチテスタはなくてはならないものです。

トルクレンチテスタの原理

トルクレンチテスタには大きく分けて機械式とデジタル式の2種類のものがありますが、ここでは主にデジタル式のトルクレンチテスタについて詳しく述べていきます。

デジタル式のトルクレンチテスタでは機種によりますがおよそ数ニュートン・メートルのトルクのものから1000ニュートン・メートル(トルクの単位)と非常に幅広い範囲のトルクレンチの精度校正を行うことができます。

トルクレンチテスタは主にトルク計測器(目盛りまたはデジタル)、トルクレンチを載せる台とハンドルから構成されています。

台の末端にはレンチをセットする六角形の部分あり、ハンドルを回すと台にセットされたトルクレンチが徐々に締め付けを行い計測器によってトルクが読み取られます。

ここで予め設定したトルクレンチとテスタの計測器によって表示されたトルクの値の違いによって、トルクレンチのトルクを調整・校正することができます。

トルクレンチテスタの精度はおよそ1%未満で、かなり高い精度で調整が可能です。

参考文献
https://www.tohnichi.co.jp/products/categories/25

スプリュー

スプリューとは

スプリューとは、菱形のステンレス製鋼線をコイリングして作られる雌ネジ用の補強部品です。

この補強部品はスプリングバックの原理を巧みに利用し、高い精度のネジ締結を実現します。ネジ山のリード誤差や角度誤差が調整されることで、挿入されたネジ全体にわたり応力が均等に分散されます。この結果、母材とネジの接合部が強化され、より確実な固定が可能です。

スプリューの使用用途

スプリューは主に雌ネジの補強に用いられ、特に軽金属、鋳鉄、樹脂などで形成された雌ネジが本来持つ強度では不十分な場合にその締結力を高めるために利用されます。これにより、ステンレス鋼で形成される転造雌ネジのように、ネジ山の応力を均一化し、強固で確実な締結を実現可能です。

加えて、スプリューは雌ネジの耐久性向上にも貢献します。磨耗、腐食、振動、熱などによるダメージから雌ネジを保護し、母材の損傷を防ぎながら信頼性の高いネジ締結が可能です。

また、製造過程で発生した不良タップ穴や損傷したタップ穴の修理にもスプリューが活用されます。これにより、原状回復またはそれ以上の強度を持つ雌ネジの修復が可能です。

スプリューの使用はコスト削減にも効果的です。雄ネジの径やハメアイの長さを小さくすることができ、それによって製品の重量や体積を減らし、原価を低下させると同時に品質向上を図ることができます。

スプリューの原理

スプリューは、アルミニウム製品や樹脂製品などの強度が低い製品に装着することで、雌ネジの耐久性を向上させ、破損を防ぐ補強部品です。

装着にはスプリュー専用のタップが必要で、その特徴として自由外径は挿入前の状態でタップ穴の外径よりも約15~20%大きく設計されています。この自由巻数は、スプリューの巻数をノッチ位置を基準にしてカウントし、第1コイルはタップ溝穴に食い込む部分で、タングはスプリューを挿入工具で捻じ込む際に使用されます。

ノッチは、スプリューを挿入後にタングを折り取るための切り欠き部分です。工業製品の小型化、コンパクト化、軽量化が進む中で、軽合金、非鉄金属、各種プラスチックなど強度が低い材質で問題となる雌ネジの磨耗や破壊、焼付き、カジリを防ぐためにスプリューが広範囲にわたって利用されています。

スプリューの種類

スプリューは、雌ネジの補修や補強を目的とした部品であり、その用途に応じてさまざまな種類が存在します。主に、材質、形状、機能によって分類されることが多いです。ここでは、代表的なスプリューの種類を紹介します。

1. 材質による分類

ステンレス鋼製のスプリューは、その耐腐食性と耐熱性から、化学的に厳しい環境や高温下での使用に非常に適しています。一方で、軽合金製のスプリューはアルミニウム合金などから作られており、軽量でありながら必要十分な強度を持つため、重量を抑えたい場合に最適です。

また、特殊な環境下での使用に特化した特殊合金製のスプリューもあり、ニッケル合金などが用いられています。これらは耐酸性や耐アルカリ性が特に求められる状況での利用に適しています。これらの材質による選択肢は、スプリューをより多様な環境や用途に対応させることが可能です。

2. 形状による分類

自由巻き型は、最も一般的に見られるタイプで、スプリューが自由に巻かれた状態で提供され、装着後には内部で拡張し固定される仕組みを持っています。このタイプは、幅広い用途に対応可能であり、多くの場合において基本的な選択肢です。

スクリューロック型は、ねじれ防止機能を備えたスプリューで、振動が頻繁に発生する環境下での使用に特に適しています。この機能により、振動によるねじの緩みを効果的に防止し、安定した固定力を維持することが可能です。

ピッチ差型スプリューは、異なるピッチのねじ山を持っており、特定の要件を満たすために特別な用途で使用されます。このタイプは、標準的なねじとは異なる固定が求められる場合や、特殊な締結を必要とする状況で選ばれることがあります。

参考文献
http://www.sprew.co.jp/sprew.html
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/036/

スケール除去

スケール除去とは

スケール除去

スケール除去とは、スケールという水に含有する無機塩類化合物が車や設備などに固着したものを除去することです。

無機塩類化合物とはカルシウムイオンやマグネシウムイオン、ケイ素などのことを指します。

スケールは、非常に硬く水に溶けにくいため一度固着すると除去することが難しいです。工場など水質を改善することが可能な場合は発生を抑制する方法がありますが、雨水が原因の場合は乾ききる前に濡れた部分を完全に除去するしか対策方法がないという問題があります。

スケール除去の使用用途

スケール除去は主に雨水に濡れた後の車のボディに使用されますが、他にも、水道管や工場の配管、ポンプ、ボイラーなどでも使用されています。

スケールが水道管に発生すると、健康被害の原因になることがあり、水道管のつまりの原因になります。工場では配管や、ポンプや、ボイラーなどで発生し、製品の品質に問題が生じたり、機器の故障の原因になったり、ボイラーなどの効率が悪くなったりします。

スケール除去の原理

スケール除去の原理は水質によって異なります。

1. 改質水

スケールは水のpHを10以下にすることで、スケールの発生を軽減できます。pH調整剤や脱酸素剤もスケール除去剤として利用可能ですが、脱酸素剤には健康被害の可能性があります。

そこでセラミック水改質装置を用いることで、改質水においては溶け込んだ気体が気化しづらくなり、スケールとして付着した炭酸カルシウムが水中の二酸化炭素と化合及び反応して水溶性の重炭酸カルシウムになり、容易に剥離しやすくなります。

また、改質水においてはケイ素の周囲を水分子が取り囲む現象が生じて、ゲル皮膜の形成を防げるため、ケイ素の堆積やスケールの付着が生じにくくなります。

2. 雨水

水質を変えることができない雨水によるスケールは予防できないため、物理的もしくは化学的に除去します。

物理的な除去は、研磨剤を含んだスポンジなどを使います。研磨剤とスポンジさえあれば気軽に試行できる上、塗装についた傷も研磨できますが、かなり負担が大きく、コーティングがはがれてしまう問題もあります。

化学的な除去は、酸性ケミカルを用いることでスケールを反応させてから拭き取って除去します。単純な研磨剤に比べて早く除去できるうえ、塗装への負担が少ないです。しかし、使用方法を間違えると車体にダメージを与えることもあります。塗装の種類によってはコーティングも一緒に落としてしまう場合もあります。

オートドレン

オートドレンとは

オートドレンとは、配管内に溜まった不要な水分などを自動的に外部へ排出する装置です。

ドレンは、圧縮空気や蒸気の配管内に混在している水分のことです。空気の場合は、圧縮や熱交換を行った際に発生します。蒸気配管内では移送中に温度が低下して発生します。配管内の水分は装置の故障や誤作動の原因になるため、オートドレンを配管への接続が必要です。

ドレンを排出する装置をドレントラップと呼び、自動でドレン排出を行う装置をオートドレンまたはオートドレントラップと呼びます。

オートドレンの使用用途

オートドレンは、圧縮空気配管や蒸気配管で使用されるのが一般的です。圧縮空気の配管では、主にコンプレッサの二次側などに取り付けられます。コンプレッサで空気を圧縮する際に水分が発生するため、出口配管に取付けることで水分を排出します。

蒸気配管に使用する場合は、勾配が低い箇所や熱交換器出口などに取り付けます。水蒸気中の水分のみを排出し、水蒸気は可能な限り漏洩させない運用が理想的です。ただし、現実には多少の水蒸気と共に水分を排出します。また、蒸気用のドレントラップをスチームトラップとも呼びます。

状況に応じて、排水管に取り付ける場合もあります。逆流防止や臭いの漏洩防止が目的です。空調機や冷蔵庫のドレン配管に使用されます。

オートドレンの原理

オートドレンの原理は種類によって異なり、それぞれ使用する配管などに応じて選定が必要です。代表的なオートドレンは、ディスク式とフロート式です。

1. ディスク式オートドレン

内部のディスクが上下することでドレンを排出するオートドレンです。電気が不要で構造が簡単なのが特徴です。塵埃などの不純物が含まれていても排出可能ですが、蒸気や圧縮空気を余分に排出する欠点があります。比較的小容量の配管箇所で使用されます。

2. フロート式オートドレン

内部にフロート (浮き) があり、ドレンによる浮力でフロートに接続された排出口が自動的に開くオートドレンです。ディスク式と同様に電源が不要で、簡単に取り付けることができます。ただし、フロート式は比較的きれいなドレンの排出に使用します。

ドレンに塵埃を含む場合、フロートや周辺に付着して故障の原因となるためです。ただし、ディスク式よりも大量のドレンを排出可能なため、比較的大容量の排出箇所で使用されます。

オートドレンの種類

オートドレンには上記以外にもさまざまな種類があり、特徴に応じて選定する必要があります。代表的な種類は、以下の通りです。

1. ベローズ式オートドレン

ベローズ式は内部にベローズ (蛇腹) 形の筒があり、ドレンが充満するとベローズが伸縮してドレンを排出します。小型・軽量ですが、排出量は比較的多いのが特徴です。ただし、ベローズが故障した際は閉塞してしまうため、ドレンが詰まってしまう危険性があります。また、構造的に高圧配管には不向きです。

2. バイメタル式オートドレン

バイメタルの膨張によってドレンを排出するオートドレンです。バイメタルとは、熱膨張率が違う2種類の金属を張り合わせた部品で、温度変化によって湾曲するのが特徴です。

バイメタル式のオートドレンは、ドレン排出時の蒸気損失が極めて少ないのが特徴です。また、凍結しても故障せず、使用できる圧力範囲は広いという利点もあります。ただし、圧力変動が大きい場合は作動点が若干変化するため注意が必要です。

3. バケット式オートドレン

排出口が繋がった内部バケットへドレンが流入することで開放するオートドレンです。内部のごみや塵埃に強いという特徴があります。ただし、一部の製品では取り付け方向に制限があるため注意が必要です。また、バケットを駆動させる金属部品が摩耗する故障が発生します。

4. 電磁弁式オートドレン

ドレン排出口に電磁弁が採用されたオートドレンです。排出能力が極めて高く、大量にドレンが発生する箇所で採用されます。ただし、取り付けに電源が別途必要になります。タイマで駆動するタイマ方式や、ドレンをセンサで検出排出する方式があります。

参考文献
https://www.hygro.co.jp/media/2018/10/02/11
http://fushiman-trd.co.jp/