六角穴付ボタンボルト

六角穴付ボタンボルトとは六角穴付ボタンボルト

六角穴付ボタンボルト (英語: Hexagon Socket Button Bolts, Hexagon Socket Button Head Screws, Hexagon Socket Head Shoulder Screws, Hexagon Socket Button Head Cap Screws) とは、ボルト頭部の形状が丸みを帯びた半球の形で、横から見るとボタンのような形状をしているボルトです。

ボルト頭頂部端面は水平にカットされており、六角形状の穴があけられています。締め付けは、六角レンチを使用し、頭部上面に六角穴に差し込み使用します。

一般的な総称として、ボタンボルトやボタンキャップも同義語です。六角穴付ボタンボルトの形状は、ネジの呼び径が同じであれば、ボタン小ねじと同じですが、六角穴付ボタンボルトはボタン小ねじより大きい呼び径があります。

なお、六角穴付ボタンボルトの規格は以下のとおりです。

  • JIS B 1174 六角穴付きボタンボルト
  • ANSI/ASME B 18.3 Hexagon Socket Button Head Cap Screws。

六角穴付ボタンボルトの使用用途

六角穴付ボタンボルト_図1

図1. 六角穴付ボタンボルトの使用例

六角穴付ボタンボルトは、主に取り付け作業のスペースが狭く、小さな機械や装置などへ部品を取り付け、固定するために使用します。六角穴付ボタンボルトを取り付ける相手側に、ボルト頭部の外径より少し大きく、頭部高さより少し深いザグリ穴あけを施工します。

これによりボルト頭部は、完全にはみ出さずに取り付けることが可能です。ボルト頭部と他部品との干渉が避けられ、すっきりとした状態になります。また、ザグリ穴を施工せず、六角ボルトと同様に使用する場合もあります。

六角ボルトと比較すると、ボルト頭部が円滑で引っ掛かりが無いため、人が触れたりしても傷がつきにくく安全です。なお、ザグリ穴とは、ボルト頭部が隠れるように、取り付け部に穴あけ加工することを示します。

六角穴付ボタンボルトの原理

六角穴付ボタンボルト_図2

図2. 六角穴付ボタンボルト

六角穴付ボタンボルトは、一般の六角ボルトと同じで、ねじ (この場合の「ねじ」は、スクリュー状の形状だけを示します) により締結します。六角穴付ボタンボルトは、ナットを使用して締結せずに、タップ加工したメスねじに直接ねじ込み締結する方法に使用される場合が多いです。

六角ボルトのように、ボルト頭部にレンチをはめ込むのではなく、断面が六角状のレンチを六角穴に差し込み締め付けます。そのため、ボルト頭同士や他部品との間にスペースの確保が必要です。

しかし、六角穴付ボタンボルトの締め付け工具は、六角レンチのためボルト頭外側のスペースは不要で、密接して六角穴付ボタンボルトを配置することができます。その結果、小さい寸法で設計が可能で、コンパクトな部品や装置が実現できます。

なお、六角穴付ボタンボルトの長さ表示は、六角ボルトなど一般のボルトの長さと同様に、ボルト頭部の高さを除きねじ部を含む軸部の長さで表されています。

六角穴付ボタンボルトのその他情報

1. 六角穴付ボタンボルトの主な材質と表面処理

六角穴付ボタンボルトの材質は、比較的強度区分の高い材質を使用しており、鋼製の場合 JIS B 1051 8.8, 10.9, 12.9、ステンレス鋼の場合 JIS B1054 A2-70, A2-50などを採用しています。高い締め付け力が必要で、高い強度が必要な場合に使用されています。

使用箇所や用途に適した材質や強度区分選定が必要です。ステンレス鋼は、耐食性が求められる箇所に使用されます。ボルトの強度区分と材質は下記の通りになります。

鋼製

  • 強度区分 8 炭素鋼 (焼き入れ・焼き戻し、合金元素で強化) 、S45C (熱処理で強化) など
  • 強度区分 8 炭素鋼 (焼き入れ・焼き戻し、合金元素で強化) 、SNB7、SCM435
  • 強度区分 9 合金鋼、SCM435、SCM440
  • 強度区分 9 合金鋼、SCM435

ステンレス鋼製

  • 強度区分 A2-50, 70 SUS304、SUS304L、SUS XM7

六角穴付ボタンボルト材質選定において、電蝕を防止すること重要です。ボルトの材質と被締結物の材質が異なる場合、それぞれの金属間に電位差が生じて腐食することがあります。特に、アルミやステンレスの場合は注意が必要です。

六角穴付ボタンボルトの表面処理は、鋼製の場合、耐食性を目的として電気メッキ、無電解メッキ、アルマイト処理黒染めなどの施工が一般的です。

2. 六角穴付ボタンボルトの適正な使用

基本的な六角穴付ボタンボルトの適正な使用方法は、主に下記のようになります。

  • 六角穴付ボタンボルトと被締結物のねじ穴部が壊れないよう、締め付ける力が許容範囲内であること
  • 六角穴付ボタンボルトと被締結物のねじ穴部に加わる、繰り返しの力 (振動などによる) が、許容範囲内であること

3. 六角穴付ボタンボルトのゆるみ止め

六角穴付ボタンボルトのゆるみ防止として、ゆるみ止め用接着剤の使用、ゆるみ止め施工されたボルトの採用などがあります。

4. 六角穴付ボタンボルトの締め付け工具

六角穴付ボタンボルト_図3

図3. 六角穴付ボタンボルト締め付け工具の種類と形状

六角穴付ボタンボルトの締め付けは、ボルトのサイズに合った六角レンチ (六角棒レンチ) などの締め付け工具を使用します。六角レンチは、スパナモンキーレンチなどと比較して、小さい力で強い締め付け力を加えることが可能で、締め付けるときにボルト周辺の作業スペースが狭くて済むなどのメリットがあります。

六角レンチには、ミリサイズとインチサイズがあり、六角レンチの選定には注意が必要です。締め付け工具の種類は、L形六角レンチ (六角棒レンチ) 、T形ハンドル六角レンチ、ドライバー形六角レンチ、ヘキサゴンビットなどがあります。

また、六角レンチとヘキサゴンビットの六角穴付ボタンボルト差し込み側の先端形状は、「フラット」と「ボールポイント」があります。ボールポイント先端の形状は、角部をR加工しているため、六角レンチが斜めの状態でも締め付けが可能です。

参考文献
https://www.urk.co.jp/contents/elements/element18.html
http://www.soshin-net.co.jp/seihin/kikaku/cap_button_jis.htm
https://www.monotaro.com/s/c-104765/attr_f2-M12/
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/resources/specialscrew/article/nedzicom-topics-13-galvanic-corrosion/?SelectedLanguage=ja-JP

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