スプリュー

スプリューとは

スプリューとは、菱形のステンレス製鋼線をコイリングして作られる雌ネジ用の補強部品です。

この補強部品はスプリングバックの原理を巧みに利用し、高い精度のネジ締結を実現します。ネジ山のリード誤差や角度誤差が調整されることで、挿入されたネジ全体にわたり応力が均等に分散されます。この結果、母材とネジの接合部が強化され、より確実な固定が可能です。

スプリューの使用用途

スプリューは主に雌ネジの補強に用いられ、特に軽金属、鋳鉄、樹脂などで形成された雌ネジが本来持つ強度では不十分な場合にその締結力を高めるために利用されます。これにより、ステンレス鋼で形成される転造雌ネジのように、ネジ山の応力を均一化し、強固で確実な締結を実現可能です。

加えて、スプリューは雌ネジの耐久性向上にも貢献します。磨耗、腐食、振動、熱などによるダメージから雌ネジを保護し、母材の損傷を防ぎながら信頼性の高いネジ締結が可能です。

また、製造過程で発生した不良タップ穴や損傷したタップ穴の修理にもスプリューが活用されます。これにより、原状回復またはそれ以上の強度を持つ雌ネジの修復が可能です。

スプリューの使用はコスト削減にも効果的です。雄ネジの径やハメアイの長さを小さくすることができ、それによって製品の重量や体積を減らし、原価を低下させると同時に品質向上を図ることができます。

スプリューの原理

スプリューは、アルミニウム製品や樹脂製品などの強度が低い製品に装着することで、雌ネジの耐久性を向上させ、破損を防ぐ補強部品です。

装着にはスプリュー専用のタップが必要で、その特徴として自由外径は挿入前の状態でタップ穴の外径よりも約15~20%大きく設計されています。この自由巻数は、スプリューの巻数をノッチ位置を基準にしてカウントし、第1コイルはタップ溝穴に食い込む部分で、タングはスプリューを挿入工具で捻じ込む際に使用されます。

ノッチは、スプリューを挿入後にタングを折り取るための切り欠き部分です。工業製品の小型化、コンパクト化、軽量化が進む中で、軽合金、非鉄金属、各種プラスチックなど強度が低い材質で問題となる雌ネジの磨耗や破壊、焼付き、カジリを防ぐためにスプリューが広範囲にわたって利用されています。

スプリューの種類

スプリューは、雌ネジの補修や補強を目的とした部品であり、その用途に応じてさまざまな種類が存在します。主に、材質、形状、機能によって分類されることが多いです。ここでは、代表的なスプリューの種類を紹介します。

1. 材質による分類

ステンレス鋼製のスプリューは、その耐腐食性と耐熱性から、化学的に厳しい環境や高温下での使用に非常に適しています。一方で、軽合金製のスプリューはアルミニウム合金などから作られており、軽量でありながら必要十分な強度を持つため、重量を抑えたい場合に最適です。

また、特殊な環境下での使用に特化した特殊合金製のスプリューもあり、ニッケル合金などが用いられています。これらは耐酸性や耐アルカリ性が特に求められる状況での利用に適しています。これらの材質による選択肢は、スプリューをより多様な環境や用途に対応させることが可能です。

2. 形状による分類

自由巻き型は、最も一般的に見られるタイプで、スプリューが自由に巻かれた状態で提供され、装着後には内部で拡張し固定される仕組みを持っています。このタイプは、幅広い用途に対応可能であり、多くの場合において基本的な選択肢です。

スクリューロック型は、ねじれ防止機能を備えたスプリューで、振動が頻繁に発生する環境下での使用に特に適しています。この機能により、振動によるねじの緩みを効果的に防止し、安定した固定力を維持することが可能です。

ピッチ差型スプリューは、異なるピッチのねじ山を持っており、特定の要件を満たすために特別な用途で使用されます。このタイプは、標準的なねじとは異なる固定が求められる場合や、特殊な締結を必要とする状況で選ばれることがあります。

参考文献
http://www.sprew.co.jp/sprew.html
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/036/

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