ネットキャップとは
ネットキャップとは、毛髪落下の帽子を目的として、ヘアーキャップの内側に着用するメッシュの帽子です。
主に、クリーンルームなど、清浄を保たなければならない作業環境で使用される帽子です。衛生管理が必要とされる作業場で使用されることから、「衛生帽子」「衛生キャップ」と呼ばれる場合もあります。他にはヘアキャップなどの別名もあります。毛髪や頭部に付着した汚れ等は、本人が気づかないうちにでも、落下して異物混入となってしまう恐れがありますが、ネットキャップを被っていれば、そのようなリスクから、作業環境を守り、異物の混入をしっかりと防止できます。
ネットキャップには細かいメッシュがあり、毛髪やふけなどの落下、混入を防止することが可能です。一方で、頭頂の部分には比較的荒いメッシュが使用されていることから、通気性が確保でき、蒸れ感が和らげられます。ネットキャップには、使い捨ての物と、洗濯して再度利用可能なものもあります。
ネットキャップの使用用途
1. 概要
ネットキャップは、毛髪や毛髪に付着したゴミなどの異物を混入させていけない場所で用いられています。具体的には、
- 食品加工工場
- 精密機器製造工場
- クリーンルーム
- 研究室
- 医療現場 (手術室など)
などで用いられており、製造物や研究対象に対して異物が混入するのを防ぎます。また、場合によっては液体や細菌などの飛散物から作業者を守ります。
2. 食品衛生
食中毒の原因となる「黄色ブドウ球菌」は、健康な人でも鼻や毛髪、皮膚などに2~4割の割合で保菌しているとされます。そのため、食品製造の衛生管理の上では、毛髪の混入を防ぐことが重要です。
特に、食品製造施設において、HACCPのガイドラインを遵守する上でネットキャップの着用は重要です。HACCPとは、食品等の事業者が、食品を製造する過程で生じる可能性のある、危害要因を除去し、安全性を確保することを目的とした、衛生管理手法のことを指します。
ネットキャップの原理
1. 素材
ネットキャップの材質は、ポリプロピレン不織布、ナイロン/ナイロントリコットなどがあります。不織布タイプは最も安価な使い捨てタイプであり、見学者用などにも適しています。ナイロン製も安価ですが、洗濯して10日程度使用することが可能です。
中には電石加工された不織布を使用したネットキャップ製品もあります。電石とは、恒久的に電気分極を保持、周囲に対して電界を形成する物質です。電石加工した超極細繊維不織布は、一本一本の繊維が電石の力を持ち、シートの内外部に強い電界を形成します。この電界の強い吸着力によって、毛髪や浮遊塵、落下菌をとらえることができます。
2. 正しい被り方
ネットキャップには様々な形態がありますが、正しい被り方は概ね下記のとおりです。
- 髪が長い場合は後ろに束ねる
- キャップを裏返して異物が付着していないか確認する
- 裏返しのまま中心が顔に来るように額に当てる
- 額に当てた部分を固定したままもう片方の手で裾を裏返して被る
- 中心がズレないように固定しながら引っ張って整える
- 髪の毛がはみ出ていないか確認する
異物の混入を正しく予防するためには、ネットキャップを正しく装着することが必要です。また、着用する人にフィットするサイズの物を選ぶことと、次に髪の毛をしっかりとネットキャップ内に入れることも大切です。また、そして脱着についてのルールやマニュアルがあるケースでは必ず守らなければなりません。
ネットキャップの種類
ネットキャップの形状には様々な種類があります。最も簡素な作りであるメッシュタイプでは、細いゴムで額を締める者の他に、幅広ネットで固定するものがあります。
更に毛髪落下防止機能を高めたネットキャップは、伸縮する素材でできたニットタイプや、顔まわりから首元までをカバーするフードタイプ、フルフェイスタイプなどです。電石素材を用いたネットキャップは電石帽と呼ばれ、帯電素材の特性を用いて毛髪やチリが落ちないようにしています。フルフェイスタイプでも冷感素材を用いて夏の暑さを軽減するなど、製品によってそれぞれ工夫が施されています。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。
参考文献
https://www.monotaro.com/k/store/%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%97/
https://www.l-m.co.jp/blog/?p=7041
https://www.askul.co.jp/f/special/product_column/haircap/