ドレンセパレーター

ドレンセパレーターとは

ドレンセパレータの外観イメージ

図1. ドレンセパレーターの外観イメージ

ドレンセパレーターとは、圧縮空気及び蒸気中の水分が熱を失って凝縮した水 (復水、ドレン) を、分離及び排除する装置です。

別名は、汽水分離機です。配管輸送される飽和蒸気は輸送途中の放熱でその一部が凝縮し、ドレンが発生します。ドレンは装置の加熱効率を低下させたり、トラブルを引き起こす原因であるため、輸送管にはスチームトラップやエアトラップが設置されます。しかしながら、ドレンは完全に気相と分離されているわけではありません。その一部は気相中にとどまって蒸気や圧縮空気と共に飛沫状になって飛んでしまいます。そのため、ドレンの強制分離を行う目的でドレンセパレーターが使用されます。構造や仕組みは装置によって様々ですが、基本的には気体と液体の比重の差を利用して水滴を分離する仕組みです。

ドレンセパレーターの使用用途

1. 概要

ドレンセパレーターの適用流体は、蒸気や空気などです。空調設備や各種工業設備など (蒸気釜、ランドリー機器、プレス機など)における蒸気配管・空気配管に用いられます。主管・分岐部、各種装置入口など、様々な使用場所があります。主な効果は下記の通りです。

  • 蒸気の乾き具合が改善されるため、単位熱量の高い飽和蒸気を作ることが可能になる
  • 装置の昇温時間短縮
  • 流量計の測定精度向上
  • 調整弁動作時の安定化、および腐食・摩耗の軽減
  • 配管機器や装置の損耗・侵食予防 (錆の発生を低減)
  • 蒸気通気初期の滞留ドレンなどによって発生するスチームハンマを低減させる

2. 使用されている産業分野

ドレンセパレーターは、下記のような様々な産業分野で使用されています。

  • 自動車
  • 電子工学
  • 食品・飲料
  • 化学・石油化学、およびプラスチック

ドレンセパレーターの原理

ドレンセパレーターには、様々な動作方式がありますが、基本的に気体と液体の比重の差を利用して水滴を分離しています。主な動作機構には、バッフル式とサイクロン式があります。

また、圧縮空気中のドレンには、水分以外にも不純物として、潤滑油、エアロゾル、固体粒子や錆、などが含有されていることも考えられます。これらの不純物を圧縮空気から除去することは、プロセスにとって非常に重要です。

1. バッフル式 (衝突式)

バッフル式のドレンセパレータの模式図

図2. バッフル式のドレンセパレーターの模式図

バッフル式のドレンセパレーターでは、セパレーター内に入ったドレンがバッフルと呼ばれる板状の部品と衝突します。バッフルに衝突したドレンは、急低下して流速が減衰し、自重で落下する仕組みです。バッフル式セパレーターの気水分離効率は最大で98%です。

2. サイクロン式

サイクロン式のドレンセパレータの模式図

図3. サイクロン式のドレンセパレーターの模式図

サイクロン式のドレンセパレーターでは、流れてくる空気やドレンを含んだ蒸気を旋回させて遠心分離動作を行います。旋回させることで比重の重い水滴は底部へ振り落とされ、上記のみが上方から放出される仕組みです。

ドレンセパレーターの種類

1. 概要

ドレンセパレーターは、前述の通り、バッフル式やサイクロン式などの種類があります。中にはバッフルとサイクロン旋回とを併用している製品もあります。

配管接続には、ねじ込み式とフランジ式とがあります。過大流量で使用すると分離効率が低下するため、配管太さ・流量・最高圧力などの条件をよく確認して選定することが必要です。圧力損失も許容値以内に収まるかどうか製品仕様を確認することが必要といえます。使用されている原料素材には、ねずみ鋳鉄、炭素鋼鋳鋼、青銅鋳物などがあり、素材によって使用可能な最高温度などが異なっています。

2. トラップ

ドレンを受けるトラップについては、内蔵型の製品と内蔵していない製品とがあります。トラップ非内蔵の製品では、別途トラップを設置することが必要です。また、内蔵トラップの場合も排水能力は製品によって異なるため、排水能力を超えないよう、用途に合わせて選択することが必要です。

参考文献
https://www.tlv.com/ja/steam-info/steam-theory/other/1004separator2/
https://www.fukuhara-net.co.jp/product_af_cyclone.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です