リングゲージ

リングゲージとは

リングゲージ

リングゲージとは、穴の内径を測定する内径測定機器のマスターや、軸や円筒の直径を通止め検査によって管理する限界ゲージとして使用する測定具です。

限界ゲージは、寸法が公差の上下限で作られた2つのゲージに、検査対象物が通過できるか否かで寸法の合否判定をする検査具です。内径が公差範囲の上限で作られた通しゲージに対して製品が通過し、内径が公差範囲の下限で作られた止まりゲージに対しては通過しないことを確認します。この検査によって、軸径の寸法が公差内であることを判定可能です。

軸や円筒の寸法管理の応用として、ねじ形状を素早く検査するために用いるねじリングゲージもあります。内径測定機器のマスターとして使用されるリングゲージは、マスターリングゲージやセットリングとも呼びます。

リングゲージの使用用途

マスターリングゲージは、シリンダーゲージやホールテスト、三点式内径測定用マイクロメーターといった、内径測定機器のゼロセットに使用します。内径測定機器をマスターリングゲージによってゼロセットし、実際に測定する穴径との寸法差を測定することで穴径を測定します。

ゼロセットとは、各種測定機器のゼロ点セットをする作業です。あくまでも実測値を基準とします。なお、マスターリングゲージには、呼び寸法と実測値が刻印されています。また、マスターリングゲージは、日本精密測定機器工業会規格 (JMAS) によって、ゲージ部の真円度・円筒度・直径の許容値が規定されています。

限界リングゲージは、軸や円筒部分の寸法検査として、製造工場の加工ラインや製品検査作業で使われます。ねじリングゲージも、ねじ製造工場の生産ラインや、出荷前検査、ねじを購入した工場の受け入れ検査で使用用途は幅広いです。

リングゲージの原理

リングゲージは、正確な寸法を維持していることによって、測定機器の測定の確からしさや、検査する製品の合否判定を行います。よってリングゲージには、経時変化によって寸法変化が起こらないこと、製品を繰り返し通過させても摩耗しにくいことが求められます。寸法安定性と耐久性を満たすために、適した材料と加工が施されています。

通常、マスターリングケージは、sks3などの工具鋼に焼入れ焼戻しを施します。硬さは、58~62HRC程度です。経時による寸法変化を起こさせないため、焼入れ後に、サブゼロ処理を施してから焼戻しを行います。サブゼロ処理とは、焼き入れした製品を急速に0度以下まで冷却することによって、寸法を安定化させる処理です。

熱処理後には研削、ラッピング仕上げを施して、きれいな面に仕上げるとともに溶着を防止するなど、ゲージを長期間使用できるようにします。限界リングゲージは、検査対象の製品と頻繁に摺動するため、長く使用していると摩耗していきます。そこで、耐摩耗性が高い超硬合金で製作する場合もあります。

限界ねじリングゲージは、雄ねじの検査に使います。ねじには規格と公差の等級があるので、検査するねじに適した正しいゲージを使用することが大切です。限界ねじリングゲージにも、通り側と止まり側があります。通り側は、ねじリングゲージが無理なく通り抜けること、止まり側は2回転以上ねじ込まれないことを確認します。

リングゲージのその他情報

1. リングゲージを使用する上での注意点

リングゲージは鋼製なので、熱膨張によって寸法変化が生じます。人の体温でも寸法が変化してしまうことがあるため、扱いには注意が必要です。測定対象となる工作物も同様です。加工直後と時間が経過した後では、温度が下がることによって寸法が変化します。寸法を検査する際には、温度に十分注意します。

2. リングゲージの校正

マスターリングゲージ、限界リングゲージ共に定期的な校正が必要です。具体的には、リングゲージの製造メーカーや、測定の専門会社に依頼します。

特に、ねじリングゲージの通しゲージは、検査する製品が多いと摩耗して寸法が変化していきます。ねじの製造会社の出荷検査で摩耗した通しゲージが使っていると、ねじを購入した工場の受け入れ検査で、不合格になってしまいます。顧客とのトラブル防止のためにも、検査具の校正は不可欠です。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/

ハンドヘルドオシロスコープ

ハンドヘルドオシロスコープとは

ハンドヘルドオシロスコープ

ハンドヘルドオシロスコープとは、屋外での使用を想定した小型のオシロスコープを指し、電池で動作させることができるものです。

ハンディオシロスコープとも呼ばれます。オシロスコープとは、電子回路内の信号電圧の変化を時系列に波形データとして表示する測定器のことです。この波形の変化や振幅の大きさを読み取って、信号の変化を計測します。

もともと実験室や工場の生産ラインで使う前提だったため、高精度、高感度、高速のデータ処理等、高性能を求め、筐体は大きくかつ大きな消費電力となっています。一方、電子機器が設置された現場で機器の調整や修理対応に使えるオシロスコープも必要となります。

この場合は、性能が多少劣っても、小型軽量かつ商用電源が不要な電池駆動であることが必須条件です。この条件を満たすのがハンドヘルドオシロスコープです。なお、ポータブルオシロスコープとは、一般に設置タイプのオシロスコープの小型の製品を指し、ハンドヘルドオシロスコープとは異なります。

ハンドヘルドオシロスコープの使用用途

ハンドヘルドオシロスコープの使用用途は、前項で記した通り、機器が設置された現場へ持ち込んでの波形観測です。小型で電源不要であることから、小回りが利き、使い易く、作業の能率が高まります。

また、電池で駆動することから、フローティング状態の機器の波形観測に適しています。商用電源を用いるオシロスコープでは、感電防止のため本体は接地することが推奨されます。しかし、接続先の機器のグランドレベルが定まらないフローティング状態だと、両者の間に大きな電位差が生じている可能性があり、機器やオシロスコープを破壊する恐れもあります。

それに対して、電池駆動であれば、ハンディオシロスコープ側もフローティング状態であるため、そのような問題は発生しません。さらに、ハンディオシロスコープは、比較的機能がシンプルで安価なことから、個人の電子工作でも活用されます。同様に、教育機関における授業においても使いやすいものです。

ハンドヘルドオシロスコープの原理

オシロスコープには、ブラウン管の残像効果を利用したアナログタイプと、信号波形をA/D変換してメモリに記録するデジタルタイプがありますが、ハンドヘルドオシロスコープは全てデジタルタイプです。

したがって、信号波形を取り込む原理は、デジタルオシロスコープと全く同じです。ただし、小型で電池駆動とするため、機能面での制約がいろいろとあります。主な制約事項は以下の通りです。

  • 波形メモリの容量が小さい
  • 波形のサンプリング周波数を高速にできない
  • プローブなどのアクセサリーが限定されている
  • チャンネル数が限定される (2チャンネル構成の機種が多く、それ以上の機種は少ない)
  • 複雑なトリガ条件の設定ができない

一方で、電池駆動であることから、前項に記したようにグランドレベルは接地とは無関係に設定できるので、通常のオシロスコープでは差動プローブが必要な場面でも、普通のプローブが使えることがあります。

ハンドヘルドオシロスコープの種類

小型化されたハンドヘルドオシロスコープには、以下の様なタイプがあります。

1. PCをオシロスコープ化するタイプ

信号をA/D変換しメモリに格納するデジタイザー機能を纏めたもので、USB経由でPCに接続し、PCのディスプレイ上に信号波形を表示する機種を指します。USBバスパワー駆動を採用する機種では、ACアダプターも不要です。このタイプは全般的に機能が単純で安価ですが、波形観測にPCが欠かせないので、厳密にはハンディとは言えません。

2. オールインワンタイプ

ディスプレイデバイスを備え、単独で信号波形の取り込みと波形の表示が可能なタイプです。取り込んだ信号波形をUSBやメモリーカードを介して外部機器に出力できるので、そのデータをPCを用いて波形解析することも可能です。

また、充電池を内蔵しているため、ACアダプターで充電しておけば、商用電源に接続せずに測定することができます。機種によっては、市販のアルカリ乾電池が使えるものもあります。

3. デジタルマルチメーター機能付きのタイプ

オシロスコープの機能に加えて、デジタルマルチメーターの機能や周波数カウンタの機能を一体化したものです。個々の機能は専用の測定器には及びませんが、1台で一通りの測定機能を備えているため、特に機器が設置された現場へ持ち込んで測定する際に極めて便利なものです。

参考文献
https://wavecrestkk.co.jp/wc/owon-handheld/
https://www.yrl.com/product/tm_rental/cmp/13.html
https://jp.tek.com/oscilloscope/ths3000-handheld-oscilloscope

ディスプレイケーブル

ディスプレイケーブルとは

ディスプレイケーブル

ディスプレイケーブルとは、コンピュータディスプレイを接続するケーブルのことです。

コンピュータの出力先機器は様々ですが、ディスプレイへ映像を出力する際は、データ量が膨大なため有線で接続します。ディスプレイケーブルにはアナログ出力とデジタル出力があり、現在はデジタル出力が主流です。

ディスプレイケーブルの使用用途

ディスプレイケーブルはコンピュータとディスプレイを接続するケーブルです。一般家庭でもパソコンなどがあれば利用されます。産業用では、ストレージサーバへの接続や分散型制御システムへの接続などに使用されます。

ディスプレイケーブルの原理

前述の通り、パソコンとディスプレイを接続するディスプレイケーブルにはアナログ方式とデジタル方式があります。

1. アナログ方式

アナログ方式では、パソコンで映像信号を送るときにデジタル信号をアナログ信号に変換します。デジタル信号は離散値ですが、アナログ信号は連続値です。アナログ信号はノイズを受けやすく、信号が劣化しやすい欠点があります。「VGA」方式において画質が劣化しやすいのは上記が原因です。

2. デジタル方式

デジタル方式では映像信号の劣化は起きないため、現在はデジタル方式が主流です。ただし、規格によって解像度に差があります。「HDMI」は映像と同時に音声が送れる特徴もあります。医療分野など高画質な映像を出力したい場合は、高画質対応のディスプレイケーブル (DisplayPort方式が主な候補) を選定する必要があります。

ディスプレイケーブルのその他情報

1. ディスプレイケーブルの規格

ディスプレイケーブルの接続規格のうち、アナログ方式はデータをアナログで送る規格のケーブルです。規格としては「VGA」ケーブルがあります。「VGA」ケーブルは別名「アナログRGB」「D-sub 15pin」ケーブルとも呼ばれます。画質はデジタルケーブルに劣ります。

デジタル方式はデータをデジタルで送る規格のケーブルです。「DVI」「DisplayPort」「HDMI」「USB Type-C」ケーブルなどがあります。アナログ方式よりも高画質な映像を出力可能です。また、HDMIやUSBは映像のみでなく音声も同時に出力可能です。

2. ディスプレイケーブルのパッシブ・アクティブとは

HDMIケーブルとDisplayPortケーブルには、用途に応じてアクティブタイプとパッシブタイプに分けられます。アクティブタイプのケーブルは、内部のICで信号を変換して伝送を行います。内部で信号処理を行うため、長距離伝送でも信号が劣化しないことが特徴です。

ただし、不正確な信号変換処理によって安定性に欠ける場合があります。基本的には教室などの広い場所で用いるケーブルです。パッシブタイプのケーブルは、あらゆる用途で利用できるケーブルです。内部にICはなく、機器からの信号をそのまま伝達します。

ただし、長距離伝送すると信号が減衰して使用できません。短距離ではパッシブタイプが優位ですが、長距離通信を行う場合はアクティブタイプを推奨します。なお、アクティブタイプは信号の流れ方向が決まっており、接続する際には出力元と出力先を正しく接続しないと動作しません。ケーブルにINとOUTの記載があるため、確認の上で接続します。

3. ディスプレイケーブルの変換コネクタ

ディスプレイケーブルのコネクタを他の規格に変換するためには、変換コネクタを利用します。変換コネクタを用いることで、異なる規格のポート同士でも通信を行うことが可能です。

近年では、出力ポートがUSB typeCのみのPCも多く発売されており、変換コネクタの必要性が増しています。ただし、変換コネクタによって上位の規格に変換しても、元の規格以上の画質で通信はできません。 

参考文献
https://jpn.nec.com/techrep/journal/g06/n03/pdf/t060315.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ieiej/30/8/30_653/_pdf/-char/ja
https://www2.elecom.co.jp/cable/display/guide.html
https://www.eizo.co.jp/eizolibrary/other/itmedia02_02/
https://hytec.co.jp/useful/video5122
https://kjshintani.com/?p=5990
https://masafumiiwasaki.com/blog/about-displayport/
https://www.sanwa.co.jp/product/cable/howto/hdmi/hdmi.html

チューブ充填機

チューブ充填機とは

チューブ充填機

チューブ充填機とは、粘度のあるクリームなどをチューブ型の容器に充填するための装置です。

充填のみならず、チューブの洗浄や排出といった充填前後の工程を一貫して行える製品が多いです。充填する内容物やチューブの材質は様々です。充填量の再現性は高く、品質検査のためにウエイトチェックが可能な製品も販売されています。

また、充填作業の高速化に伴い各機構も高速で動作するため、安全ドアカバーが設けられている製品が多いです。これにより、充てん作業を安全に実施することができます。高精度の充填によって、内容物のロスやチューブへの付着も軽減することが可能です。

内容物の品種切り替えが短時間で行える製品も多く販売されており、多品種生産においても生産性が向上します。

チューブ充填機の使用用途

チューブ充填機は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 化粧品

化粧品産業では、クリームやローションまたはリップグロスなどの製品をチューブに充填するために、チューブ充填機が使用されます。これらの製品は美容やスキンケアに関する製品であり、顧客が直接肌に塗布するものが多いため、衛生的な充填が重要です。化粧品の特性に合わせて粘性や流動性、粒子の大きさなどを考慮した設計がされています。

2. 医薬品

医薬品産業では、軟膏やクリーム、ジェル、歯磨き粉などの医薬品をチューブに充填するためにチューブ充填機が使用されます。医薬品の製造は厳格な規制に従う必要があり、充填機は衛生基準と品質管理基準を満たすように設計されています。また、医薬品は患者の健康に直接影響するため、充填機は高い精度と信頼性を有することが重要です。

3. 食品産業

食品産業ではソースや調味料などの食品をチューブに充填するためにチューブ充填機が使用されます。食品の充填は食品安全規格に合致する必要があり、食品品質と衛生基準を満たすように設計された製品を使用します。また、食品の特性によっては、流動性や粘性、温度管理などの要因を考慮することが重要です。

4. 化学産業

化学産業では、接着剤やシーリング材料などの化学製品や工業用製品をチューブに充填するために、チューブ充填機が使用されます。これらの製品は建築業や自動車などの産業で使用されるため、耐久性や耐腐食性が重要な要素です。化学製品の特性によっては、特殊な材料や設計が必要な場合があります。

チューブ充填機の原理

チューブ充填機には、まずチューブが供給されます。カセット式の供給装置が搭載されていることが多く、カメラチェックなどによる個数管理が可能です。供給されたチューブはエアーなどによりチューブ洗浄されます。

その後、チューブにカラーマークを合わせセンサーで読み取ることで位置合わせを行います。これにより、漏れなくチューブに対象物を充填することが可能です。この際に、容器回転が可能な機構を有する製品も販売されています。

チューブの位置合わせが完了したら、規定量をピストンで吸引して充填します。シリンダーピストン式やバルブレスロータリーピストン式の製品が多いです。この工程での気泡混入を防ぐため、高速回転などによって気泡除去を行います。

充填されたチューブにはシーリングを実施します。シーリングによって製品に封をして、漏れを防止する仕組みです。シールにはホットエアー式や折り締め式、ヒートシール式、超音波式などがあります。

チューブ充填機の選び方

チューブ充填機を選ぶ際は、以下の要因を考慮することが重要です。

1. 充填物の性質

使用する物質の粘度、流動性、粒子の大きさなどに応じて、適切な充填機を選択する必要があります。特定の物質対しては、特別なポンプやノズルが必要なことも多いです。

2. 速度

日々の生産量や必要な充填速度に応じて、適切な能力を持つ充填機を選択する必要があります。高い生産量を必要とする場合は、高速で効率的な充填機が必要です。

3. 充填精度

製品の品質と一貫性を確保するために、充填機の精度が重要です。特に医薬品や化粧品の場合は、非常に正確な充填が必要とされます。

4. チューブ形状

使用するチューブのサイズや形状に応じて、充填機の調整や設定が必要です。一部の充填機は複数のサイズや形状のチューブに対応できる場合があります。

参考文献
https://jutenki-sanmi.com/feature/about/
https://www.matsubo.co.jp/product/file904-html/
https://www.mutual.co.jp/product/atpack_at60at80/
http://www.jm-mfg.co.jp/product/mk5
http://www.discus.co.jp/machine_f.html

ステップドリル

ステップドリルとは

ステップドリルとは、金属やプラスチックなどの材料に穴を開けるためのドリルビットの一種です。

通常のドリルビットと異なり、複数のサイズの穴を開けられます。「タケノコドリル」と呼ばれることもあります。

ステップドリルには複数の異なるサイズの刃があり、各刃は前の刃よりも大きなサイズの穴を開けられます。これにより複数のサイズの穴を開けるために複数のドリルビットを使う必要がなくなります。

また、穴を開ける際に生じる振動を減らせて正確な穴を開けられることも利点です。ステップドリルは金属板やパイプ、樹脂、木材など様々な材料に使用されます。

ステップドリルの使用用途

ステップドリルの使用用途は主に下記の通りです。

  1. 金属板やパイプ
    航空機のボディやエンジン部品、車両のボディパネルやフレーム、水道管や配管などの穴開けなど
  2. 電気配線用
    家庭やオフィスの壁に配線を通すための穴開けなど
  3. 木材やプラスチック
    家具や工芸品などの穴開け、ハンドルやノブを取り付けるための穴開けなど
  4. シャーシや筐体
    電子機器の筐体やシャーシに部品を取り付けるための穴開けなど
  5. レールやアルミ材
    窓枠のレールに取り付けるための穴開け、自転車やモーターサイクルの部品に穴を開けるなど
  6. メンテナンス作業
    ブレーキパッドやホイールなどの部品交換に必要な穴開け、排気系の穴開けなど

ステップドリルの特徴

長所

ステップドリルは複数の穴径に対応できるため、多様な穴径が必要な場合でも複数のドリルを用意する必要がなくなり作業効率が向上します。また鋭い先端部分が素材を切削するため、加工時の振動やバリの発生が少なく、仕上がりが良好です。これにより作業時間の短縮が可能となります。

ステップドリルは専用の加工技術や技能が不要であるため、初心者でも扱いやすい工具です。木材や金属、プラスチックなど広範囲な材料に適用できるため、様々な用途に使用できます。

短所

ステップドリルは、薄い先端部分が他のドリルビットよりも脆いため、長期的には耐久性に欠ける可能性があります。またステップドリルは通常のドリルビットよりも高価であるため、費用対効果が低くなる可能性があります。

ステップドリルは小さな穴を開けるために設計されており、大きな穴を開けるには適していません。また硬い素材や、ガラス、セラミックなどのような脆い素材を加工する場合は、他のドリルビットを使用する必要があります。

ステップドリルの種類

ステップドリルは素材や形状、切削方式などいくつかの分類方法がありますが、切削する素材で分類すると主に以下のような種類があります。

1. 金属用ステップドリル

主に金属板やパイプ、アルミニウム、真鍮、鉄などの金属材料に使用されます。金属用ステップドリルの刃先は非常に硬く、高速回転にも耐えられます。また金属用ステップドリルは、金属を切削する際に発生する熱を逃がすために冷却液の使用が推奨されます。

2. 木材用ステップドリル

主に木材などの柔らかい材料に使用されます。木材用ステップドリルは、金属用ステップドリルと比べて刃先がやや柔らかいため刃先が欠けることが少なく、切削面の仕上がりが滑らかになるように設計されています。

3. プラスチック用ステップドリル

主にプラスチックなどの軟質材料に使用されます。一般的に、プラスチック用ステップドリルは鋭い刃と先端部分がより広がっている形状をしています。これは、プラスチックなどの軟質材料を切削する際に生じるチッピングやバリの発生を抑えるためです。

ステップドリルのその他情報

1. ステップドリルの加工の種類

ステップドリルは、ドリルビットの先端部分に切削刃を付けたものであり、材質や使用目的に合わせて焼入れやコーティングなどの加工が施された様々な種類があります。

焼入れ
ドリルビットの先端部分を焼入れして、耐久性や切削性能を向上させます。焼入れを施したステップドリルは、より高速での切削が可能で切削面の精度も向上します。

コーティング
ドリルビットの表面に特殊な材料をコーティングして表面硬度や耐摩耗性を向上させるもので、様々な種類があります。例えばチタンコーティングは、ドリルビットの表面にチタンをコーティングすることで、耐摩耗性や耐食性が向上します。またダイヤモンドコーティングは、ドリルビットの表面に人工ダイヤモンドをコーティングすることで硬度や耐摩耗性を向上できます。

2. 穴あけの過程

ステップドリルによる穴あけの過程は以下のようになります。

  1. マーキング
    ステップドリルが正確な位置で切削するためにまず穴をあける場所に目印をつけます。
  2. ステップドリルの取付
    必要な穴の大きさに合わせて適切なステップドリルを選択し、ステップドリルをドリルチャックに取り付けます。
  3. 切削開始
    ステップドリルを穴をあける場所に合わせて、軽く圧力をかけながら回転させます。最初は少しだけ切削し、その後段階的に切削量を増やしていきます。
  4. 穴の拡大
    ステップドリルには直径の異なる複数の刃があります。必要な穴の大きさに合わせて適切な刃を選択しながら切削を続けて穴を拡大します。
  5. 切削終了
    穴を完全に切り抜いて切削を終了します。
  6. 穴の仕上げ
    ステップドリルで切り抜いた穴は、比較的滑らかな面を持ちますが、必要に応じてサンドペーパーやバリ取りツールなどを使って切断面を仕上げます。

スリットチューブ

スリットチューブとは

スリットチューブ

スリットチューブとは、延長方向にスリット加工が施されているチューブです。

配線材をスリットチューブで覆い、保護や補強をしたり結束したりするために使われます。配線後に簡単・迅速に電線保護できることが大きな特徴です。メーカーによってはコルゲートチューブとも呼ばれています。

スリット加工のおかげで着脱が簡単に行え、さらに取り外し後の再利用も可能です。色は半透明、白、グレー、黒といった配線を束ねても目立ちにくいものが主流です。素材は樹脂、6ナイロン、ポリエチレン等があります。

スリットチューブの使用用途

スリットチューブは装着の容易さ、高い柔軟性から幅広い場面で使用されています。具体的な使用場面としては以下のようなものが挙げられます。

  • 事務所や工場等、オフィス内の配線保護
  • 大きな機械の内部での配線結束
  • ゴムホースのプロテクターとして
  • 耐衝撃性を有するため、コンピュータの配線の保護・整理
  • 家庭等でのテレビ・パソコン・オーディオ機器などの配線整理

また、内径の小さいスリットチューブは光ケーブル保護材としても使用されます。

スリットチューブの特徴

スリットチューブは非常に軽く柔軟性が高いことが特徴です。さらにスリット加工のおかげで曲線部分への装着も容易で、装着後に配線をまとめて移動・変形する際も動きがスムーズです。

装着作業は非常に簡単で、装着用の治具が同梱されている製品も多いです。作業手順としては、治具を用いて装着物 (電線、ホース等) をはさみ、スリット部を内側にしてスリットチューブを治具に差し込みます。続いて治具とスリットチューブの先端を手で持ち、治具を手前にひけば装着完了です。端末処理には結束バンドやビニールテープが用いられます。

延長方向にスリット加工が施されているため、配線を終えたあとでも簡単に装着できます。結束を解きたい場合もチューブの端を上に引っ張るだけで簡単に取り外せます。さらに、取り外し後の再利用も可能です。

用途に応じた素材選択が可能で、特に6ナイロンは耐熱・耐薬品・耐摩耗性に優れています。長いものは箱に梱包されているものが多く、持ち運びや在庫管理も容易です。

参考文献
http://www.safety.co.jp/product/1098
https://www.hagitec.co.jp/yy/sin/surituto1.html

リベットナット

リベットナットとは

リベットナット

リベットナットはブラインドナットとも呼ばれており、薄い鉄板などにネジ穴を作りだすことが出来るパーツです。

1mm程度の厚さの薄い鉄板にネジ留めをしたいと思っても鉄板が薄すぎてネジ穴が切れませんので直接ねじ留めをすることは出来ません。そんな時にネジ穴が付いたビスのような形状のリベットナットを鉄板に開けた穴にかしめて取り付けることで、薄い鉄板にもネジ穴を作り出すことができます。

リベットナットは単独では使用できず、専用のかしめ器であるハンドナッターを用いる必要があります。

リベットナットの使用用途

リベットナットは薄い板に物をネジで取り付ける際に使用します。

薄い板にネジ穴が無くても反対側からナットで締め込むとリベットナットが無くても事足りるのですが、後ろに手が回らずにナットにアクセスできない場合やナットを取り付ける手間を省きたい場合にはリベットナットは非常に重宝されます。なぜなら、ナットを使用せずにネジのみで締め付けて取り付けることが出来るからです。

薄い板が使用されている電化製品のカバーや自動車などによく使用されています。

リベットナットの原理

リベットナットの素材にステンレス製などがありますが、ステンレス製は非常に硬いのでハンドナッターを用いてかしめる場合には柔らかい素材であるアルミ製が適しています。ステンレス製やM6以上の大きめのリベットナットを使用する際には空気圧や油圧でかしめる専用の機器を使用しなければ難しいです。

リベットナットを使用する場合にはリベットナットはまずはハンドナッターにセットされます。ハンドナッターの軸となる部分はマンドレルと呼ばれていますが、このマンドレルにリベットナットを取り付けます。そしてしっかりと固定すると薄い板に開けた穴に差し込み、ハンドナッターのハンドルを引きゆっくりとかしめていきます。

リベットナットは引っ張ることで中腹部分を潰して平らにすることでリベットナットのつばの部分と共に板を締め付けます。リベットナットをかしめる際にはかなりの力が必要になりますし、力を入れ過ぎて手元がぶれてしまい失敗する場合や最悪のケースではマンドレルが折れてしまう場合もありますので注意が必要です。

参考文献
http://blindfence.web.fc2.com/03_Purchase/04_nut_rivet.html

スパイラルパイプ

スパイラルパイプとはスパイラルパイプ

スパイラルパイプとは、帯鋼をらせん状に捲きながら帯鋼の両端をハゼ折りにかしめて製造したスパイラル鋼管です。

スパイラルダクトとも呼ばれ、プレスや深絞りなどの製法を用いているものもあります。かしめ部分は帯鋼が重なり合っており強度が高く、そのかしめ部分がパイプの外周をらせん状に走ることでパイプ全体の強度を高めています。

スパイラルパイプは建築設備工事において空調用ダクトとして多く用いられています。パイプの内面がなめらかなため圧力損失が非常に少なく、取付施工や管の接続も簡単です。材質はさまざまで、溶融亜鉛めっき鋼板、ステンレス、ガルバリウム鋼板、塩ビ鋼板などがあります。

スパイラルパイプの使用用途

スパイラルパイプは空調用ダクトとして幅広い場所で活用されています。

1. 工場等

  • 石油化学工場・パルプ製造プラント工場の排気用
  • 半導体製造工場の排気用
  • 海浜地帯の工場の排気用
  • 薬品やガスを使用する工場の排気用
  • 実験用動物舎・実験用クリーンルームの排気用

2. 産業用・公共の建物等

  • 病院の手術室の空調用ダクト
  • 工場や店舗の煙道・プラントの保温配管
  • オフィスビル・店舗ビルのダクト
  • トンネル内の送排気管
  • 産業用建物の集塵用ダクト
  • 下水・し尿処理場の換気用

3. 住宅等

  • 住宅用煙突
  • 給湯器のボイラー
  • 集合住宅の厨房・浴室トイレの換気ダクト、冷暖房用ダクト

スパイラルパイプのその他情報

スパイラルパイプの特徴

スパイラルパイプには次のような特徴があります。

1. 強度が高い
ハゼ折りにかしめて製造されているためダクト全体が補強されており、高速ダクト、集塵ダクト、排煙ダクトといった用途にも耐えうる強度があります。

2. 摩擦損失・漏れが小さい
スパイラルパイプは強度が高いことから送風の際の変形が少なく真円性が高いです。内面がなめらかなため空気抵抗が極めて小さく、摩擦損失が少なく抑えられます。また、かしめ部分がらせん状に走っているため、角ダクトなどに比べ漏れ量が小さいという特徴があり、ダクト周りの保温工事費削減も期待できます。

3. 施工や接続作業が簡単
スパイラルパイプの接続や天井等への吊込みといった施工作業が容易なことも大きなメリットです。

材質によって程度は異なりますが、耐触性、耐熱性、耐薬品性、耐候性に優れています。もちろん材質によって価格に違いがあるため、用途に応じた材質の選択が必要です。

参考文献
http://www.kurimoto.co.jp/download/data/j03/catalog_spiralduct.pdf

シリンジ充填機

シリンジ充填機とは

シリンジ充填機のイメージ

図1. シリンジ充填機 (充填部) のイメージ

シリンジ充填機とは、各種シリンジへの材料充填を行う装置の総称です。

シリンジ充填機を使用することによって手間のかかる作業を効率化・高品質化することができます。充填前に材料と流路の気泡を除去することで純度の高い充填が可能なため、下記のような局面において幅広い業種で使用されています。

  • コンタミや泡の再混入を避けたい材料の充填
  • 中~高粘度の液剤や材料の充填
  • チクソ性 (攪拌の有無で粘度が大きく変化する性質) の高い材料の充填
  • 均一に分散した材料の充填
  • 生産現場でのリアルタイムな充填

シリンジ充填機の使用用途

シリンジ充填機の具体的な使用事例は下記の通りです。

1. 歯科材料

歯科ではコンポレットレジン、シリコーン印象材、接着用レジンセメント、コンポジット用ボンディング材など、高粘度材料や紫外線硬化型材料、二液性材料などが扱われています。シリンジ充填機は、このような素材をシリンジに充填するためにシリンジ充填機が使用されています。シリンジ充填機を用いることにより効率的な重点が可能です。また、コンタミ予防にも繋がります。

2. 電子部品材料

電子部品製造では、シリンジ詰めされた材料を用いて定量供給を行います。シリンジ充填機でシリンジへ充填される主な材料には、銀ペースト、クリームハンダ絶縁材料、導電性材料、高粘度ガラスペーストなどです。粘度が高い材料やグリスなどのチクソ性の高い材料などが扱われます。

シリンジ充填機の原理

シリンジ充填機には、手動式と自動式のものがありますが、多くのものは基本的に、内容物の入った容器の上部にシリンジの先端を下向きにセットし、下側から内容物を加圧して充填する下方充填式です。

1. 手動式

手動式シリンジ充填機のイメージ

図2. 手動式シリンジ充填機のイメージ

手動式では、ハンドルを回してシリンジ部分を下に押し下げるものや、液剤入りの缶を直接シリンジの下部加圧容器にセットして充填するもの、ボタンを一回押すと内容物の入った容器が0.5mm程度押し上げられて充填される仕組みなどがあります。ボタン式のものは空圧を油圧に変換して使用するエアハイドロ式などの機構です。

2. 自動式

自動式シリンジ充填機のイメージ

図3. 自動式シリンジ充填機のイメージ

自動式のシリンジ充填機も、手動式と同様に下方加圧充填式の製品が多いです。サーボモータ/二リアスケール制御などの制御機構が搭載されています。一部の自動式のシリンジ充填機では、容積移送式の上方充填方式が採用されています。

シリンジ充填機の特徴

シリンジ充填機の主な特徴は下記の通りです。

  • 気泡や不純物のコンタミを防げる
  • 充填量は再現性が高いため過剰・過少になることがなく、液剤の無駄が省ける
  • 充填時の液だれを防げる
  • シリンジ容量は3ml~180ml程度と幅広い
  • 構造がシンプルなものが多く、使用後の洗浄や手入れが簡単
  • 充填に必要な消耗品が少ない

シリンジ充填機の種類

シリンジ充填機は、製品によって充填可能なシリンジの大きさ (容量) が異なります。一般的に、手動式のほうが小型のシリンジに対応しています。また、用途や材料に応じて、下記のように様々な種類の製品があります。用途に合わせて適切なものを選択することが必要です。

  • 同時に複数本のシリンジに充填が可能な製品
  • シール性の高いプランジャに対応した真空ポンプ搭載の製品
  • 充填制御、真空圧制御などを全て自動化した製品
  • 二液性の材料をツインシリンジに別々に充填する装置
  • 高粘度になればなるほど充填時間がかかるため、材料を加温して粘度を下げ、充填時間を短縮するオプション装置

参考文献
https://www.thinkymixer.com/ja-jp/products/arc-600twin/
https://www.thinkymixer.com/ja-jp/products/arc-40h/
https://www.san-ei-tech.co.jp/products/dis_syringe_system.html
http://www.hohsen.co.jp/jp/products/category.php?bg_id=7
http://e-fineflow.com/filling-machine/
http://e-fineflow.com/use/

テストポンプ

テストポンプとは

テストポンプとは水を流す配管に漏れがあるかどうか、もしくは一定の圧力に耐えられるかどうか耐久性を測る機器になります。

テストポンプはポンプですので水を送り出しますが、手動で水を送り出す手動式と電気で水を送り出す電動式のテストポンプがあります。また、ポンプの送水能力によりテストできる配管の容積が決まってしまう上に、配管内にかけることのできる水圧も決まってしまいますので、テストしたい内容によりテストポンプを選択する必要があります。

一般家庭程度の水道配管の規模ですと、持ち運びができる小さなテストポンプでも事足りますが、大掛かりな水道配管のテストを行う場合にはより大型のテストポンプが必要になります。

テストポンプの使用用途

水道配管を設置した後には漏れなど不具合がないかどうか、使用に耐えられる施工であるかどうかを調べるためにテストが必要です。

配管に亀裂が入っていたり接合が悪かったりすると水が漏れてしまいます。漏れた状態で使用し続けると周囲の建築材を腐食させますし、カビの発生などにもつながります。また、意図せぬ水道代を支払わなければならなかったりしますので、このようなテストを行う際にテストポンプが使用されます。

他にも水道配管のバルブを交換した場合や水道配管に分岐を作り別の場所に蛇口を取り付けた後などにもテストポンプで水圧テストが行われます。

テストポンプの原理

テストポンプは水圧テストをしたい配管にテストポンプに繋がっている配管を接続した後に、空気を抜きながらポンプで水を送り込み配管内を水で満たします。

この時配管内に充満している水には水圧がかけられます。配管内の水圧は圧力計によりモニターされており、もし配管に亀裂があり水が漏れていると配管内の水が徐々に抜けていき圧力計の値は徐々に低下していきます。水圧をかける理由は、水圧をかけないと水が漏れていても圧力変化がないので、水が漏れているかどうかわからないためです。

また、水道配管にはウォーターハンマーなど衝撃が加わることがありますので、一定の圧力をかけても破損しないことも併せて確認します。

手動式はレバーを操作することで水圧を上げていきますので、水圧の微調整が可能になる上に電源が必要ないという特徴があります。小規模の水道配管のテストには小型の手動式テストポンプが使い勝手が良いです。

一方の電動式ですと電源が必要なのですが、ポンプが電動で動きますので自動的に送水が行われます。容積の大きな配管ラインのテストには電動式の方が向いています。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/523/
http://www.tukaikata-labo.com/content/3597