搬送ロボット

搬送ロボットとは

搬送ロボット

搬送ロボットとは、組立機械や加工機械の間に設けることで工程間切り替えを自動で行う産業用ロボットの1つです。

センサーで移動させる位置を設定するものから、画像認識で搬送先を自動で判断して搬送するものまで、さまざまな種類が存在します。具体的には、単純用途に適しているスライダー、EMS用途で有効であるスカラロボット、工場内を自由に動き回ることができる自律ロボットなどです。 

搬送ロボットの使用用途

1. スライダー

スライダーは、前後の2方向 (1軸) しか移動できない特徴があります。モーターとしては、サーボモーターステッピングモーターを用います。

機構が簡単な分、安価に利用可能です。重量物の搬送やトラックの荷台への搬入・搬出にも使用されています。

2. スカラロボット 

スカラロボットは、水平移動に特化した多関節式のロボットです。コンベアから搬送されてきたワークをつかんで横のコンベアに移動させたり、容器の中に入れたりといった役割があります。

省スペースで稼働できる点がメリットであり、搬送ロボット以外にもワークの組付けやネジ締めなどでも使用されます。

3. 自律ロボット

自律ロボットは、工場内の離れた場所にワークを移動させることに特化しています。「Autonomous Mobile Robot」の略称で「AMR」とも呼ばれます。

人とロボットが共同で搬送業務を行える点が特徴的です。例として、倉庫内で人がラックから物を取り出して、物の搬送は自律ロボットが行うなどの用途が挙げられます。

自律ロボット導入のメリットは、作業者の移動距離削減や作業人員の削減などです。

搬送ロボットの原理

搬送ロボットがワークを認識して移動させる際、XYZの座標をあらかじめ設定しておくと、動作させることができます。また、その他の方法として最近主流になってきているのが、画像認識を用いた座標認識です。

上部から撮影を行い、スペースを判断します。そして、自動で積載すべき場所を判断して積載します。事前に座標を設定しなくてよいメリットはありますが、コストが多少かかってしまうところが難点です。

搬送ロボットの構成

一般的なロボットは、6軸の構成となっています。その理由は、3次元空間で物体の位置と姿勢を直行座標系で表した際に、自由度は6になるためです。XYZ軸方向で各1の自由度を持ち、XYZ軸周りの方向で各1の自由度を持っています。ロボットに自由度が6あることで位置と姿勢を制御しながら3次元で作業することが可能になります。

産業用ロボットは動作を行い作業するマニピュレータ、マニピュレータを動かして制御するコントローラ、マニピュレータに動作を教えるプログラミングペンダントで構成されています。基本的にはこの3要素です。

マニピュレータの6つの軸には、ACサーボモーターを使用して制御するのが一般的です。それぞれ体の旋回、体を前後に動かす下腕、腕を上下に動かす上腕、腕を回転させる手首旋回、手首を回転させる手首回転の6つに分かれます。

搬送ロボットのその他情報

1. 搬送ロボットの市場規模

搬送ロボットの市場規模は増加傾向にあり、2018年度時点では約160億円でしたが2020年度では約200億円程度となります。

現在では、病院における利用や飲食店における配膳、倉庫の物品搬送用途が主な使用用途となっています。企業は人件費とロボット導入コストを比較検討した上で、搬送ロボットを取り入れ始めています。

参考: 搬送ロボットの市場規模

2. 搬送ロボットの課題

労働力不足の解消に大きな期待がされている搬送ロボットですが、課題も存在します。一番の課題は導入コストです。現在搬送ロボットが導入されている業界は、大規模であったり高い売り上げが期待できたりする分野に限られています。

導入にかかるコストが高いため、取り入れられていない企業が多いです。また、動作の安定性も課題となっています。経路上に予定外の障害物があったり、想定外の事象が発生したりすると動作できません。搬送が必達である重要な現場では、導入が難しい現状があります。

ただし、近年では自動で障害物を避けたり、AIを導入して自動でイレギュラーに対応したりする搬送ロボットも登場しています。

3. 病院における搬送ロボットの活用

搬送ロボットは、病院での活用方法も期待されています。医療分野は慢性的に人手不足であるため、ロボット導入での省人化が求められています。搬送ロボットは、スタッフに代わり薬や検体の搬送を担うことが可能です。

また、搬送ロボットにセンサーを設置することで、最適な巡回経路を判断できます。現在では、エレベータに自動で乗り降りするなどの技術も実現されています。

患者への情報提示を行うためのディスプレイも有しており、患者とのコミュニケーションを取ることが可能です。

参考文献
https://www.yano.co.jp/market_reports/C62106500
https://robotstart.info/2019/06/21/moriyama_mikata-no91.html

振動モーター

振動モーターとは

振動モーター

振動モーターとは、駆動することにより振動を発生させるモーターです。

一般的には小型で、振動を発生させるための部品や機構を内蔵しています。スマートフォンやゲーム機のコントローラーなどの振動機能や粉粒体を扱う機械における滞留防止のために使用されています。

空気圧により駆動するエアバイブレータと比較して、より大きな振動力を発生できるメリットがあります。

振動モーターの使用用途

振動モーターはさまざまな分野で利用されています。以下は代表的な使用用途一例です。

1. バイブレーション通知

携帯電話やスマートフォンなどの通信機器で一般的に使用され、最も身近な代表例です。メッセージの受信やアラームの通知などを振動として伝えることで、音を出さずにユーザーに知らせるようになります。会議中などの大きな音を発生させられない場面で重宝されます。

2. タッチフィードバック

タッチスクリーンデバイスにおいて、画面上のボタンやアイコンをタッチした際に振動を発生させます。これによってユーザーに物理的な反応を与え、操作時のフィードバックやタッチの確認を容易にすることが可能です。

3. ゲームコントローラー

ゲームコンソールやパソコンのゲームコントローラーにも振動モーターが組み込まれています。ゲーム内のアクションやイベントに合わせて振動を発生させることで、臨場感を高めます。

4. 工業用装置

ホッパーなどの工業用装置には、振動モーターが使用されることがあります。多くの粉体がホッパーへ流入した際、粉体の圧力が増大して詰まる場合があります。この現象は棚吊り現象と呼ばれ、振動モーターを使用することで粉体が動きやすくなり、棚吊り現象を防止することが可能です。

また、振動ミキサーにおいても使用されることがあります。振動ミキサーは材料の混合や均一化を目的とした装置であり、振動モーターが振動を発生させて材料を撹拌・混合します。

振動モーターの原理

振動モーターには、回転軸に振動子と呼ばれる重りが接続されています。振動子は回転軸との接続部と重心がずれるように設計されます。回転した際には偏心により振動し、周囲へ振動が伝播することにより振動源として機能します。

振動の振幅が変化する要素は、振動子の質量と偏心の度合いです。振動の周波数は、モーターの回転速度に応じて変化します。それぞれ使用する用途に応じて選定されます。

携帯端末に使用する場合には、エネルギー源としてバッテリーを使用しているケースが多いです。したがって、いかに小さい出力で有効な振動を発生させられるかが重要となります。

粉粒体の棚吊り防止に使用する場合には、振幅や周波数の設定が重要です。適切な値を設定するためには、タンクや配管の固有振動数などから理論的に導出する場合があります。また、試運転検証を実施することにより有効な値を探る方法も1つの手段です。

振動モーターの種類

振動モーターには、コイン型や円筒型などの種類があります。

1. コイン型振動モーター

円盤状の回転子と固定子から構成される振動モーターです。その形状が円盤状の硬貨に似ていることから、この名前が付けられました。

回転子にはコイルが巻かれており、電流を流すことで振動します。一般的に回転子は磁性体で構成されており、固定子はコイルで構成されています。

コイン型振動モーターは、一般的に小型で薄型です。このため、スマートフォンや携帯電話などの小型デバイスに適しています。薄さが特徴的であり、設置スペースを最小限に抑えることが可能です。

2. 円筒型振動モーター

円筒状の回転子と周囲に配置されたコイルから構成される振動モーターです。振動の強さや周波数をコイルに流す電流の制御によって調整することができます。電流の強さや方向、周波数の変化に応じて振動の特性を制御することが可能です。

また、円筒型振動モーターは一般的に振動力が大きく、比較的高い振動周波数を発生することができます。そのため、大型の機器や産業機械などに適しています。

参考文献
https://www.uras-techno.co.jp/products/vibrators/

振動ふるい機

振動ふるい機とは

振動ふるい機

振動ふるい機とは、粉体や顆粒状の物質を分類や分離するために使用される機械です。

主な目的は、物質を異なる粒度や粒子サイズに分けることです。一定の網目を有するふるい (スクリーン) に粒体を入れて振動させることにより、粒体を粒の大きさで分別します。

振動ふるい機を使用することで、粒径の材料を規定範囲内ごとに選別して型番を分けた製品としたり異物を除去したりすることが可能です。粒状製品の付加価値や品質の向上に役立ちます。 効率的かつ効果的な方法で物質を分類や分離するための重要な機械です。

振動ふるい機の使用用途

振動ふるい機はさまざまな産業・用途で使用される機械です。以下は振動ふるい機の使用用途一例です。

1. 建設業

砂や骨材などの建設資材の粒度分類に使用されます。建設現場において、コンクリートやアスファルトの製造に使用される骨材の品質管理は重要で、特定の粒度要件を満たしていなければなりません。振動ふるい機は異なる粒度の砂や骨材を分類し、必要な粒度の素材を選別するのに役立ちます。

また、解体や改築によって生じる建築廃棄物を適切に処理する必要があります。振動ふるい機は、建築廃棄物を粒度や種類に応じて分別し、リサイクルや再利用のための処理を行う際に有用です。

2. 鉱業業界

鉱石や石炭の選鉱プロセスにおいて使用されます。鉱石や石炭には、異なる粒度や密度の鉱石や不純物が含まれています。振動ふるい機はこれらの物質を分類し、鉱石や石炭の品質向上や不純物の除去に有用です。

また、石炭などは燃焼させる際、微粉として空気と一緒に炉内へ吹き込む場合があります。大粒の粉体が流入すると閉塞の原因となることから、振動ふるい機を使用して大粒の石炭を除去するために使用されます。

3. 食品産業

粉体や顆粒状の原料の分類や分離に使用されます。食品産業では、小麦粉や砂糖、スパイスなどの原料の品質管理が重要です。振動ふるい機はこれらの原料を特定の粒度や品質基準に基づいて分類し、品質の均一性を確保するために用いられることがあります。

振動ふるい機の原理

振動ふるい機は、以下のような主要部品で構成されています。

1. 架台

振動ふるい機の基本的な構造であり、鋼鉄やアルミニウムなどの剛性のある材料で作られます。架台は機械全体を支える役割を果たし、振動ふるい機の安定性と耐久性を確保します。

2. 振動生成装置

振動ふるい機には振動を発生させるための装置を備えています。一般的な振動生成装置は、電動モーターと連動した偏心軸です。電動モーターは回転力を提供し、偏心軸は回転運動を振動運動に変換します。

3. ふるいメッシュ

ふるいメッシュは物質が振動する面です。通常は金属製の網目板が使用され、異なる粒度の物質を分類するための穴やスロットが配置されています。ふるいメッシュの種類とサイズは、処理する物質の特性や目的に応じて選択されます。

4. 振動制御機構

振動ふるい機には、振動の振幅や周波数を制御するための機構を有します。これにより、振動の強さや速度を調整し、処理物質に適切な力と振動を与えることが可能です。制御機構は、偏心錘や振動モーターの設定によって調整されます。

振動ふるい機の選び方

振動ふるい機を選ぶ際は、処理物質の特性、処理能力、メンテナンス性などを考慮して選定します。

1. 処理物質の特性

処理する物質の種類や特性に基づいて、適切な振動ふるい機を選ぶ必要があります。物質の粒度、湿度、密度などの特性が重要な要素となります。また、処理する物質の粒度範囲や分類精度も考慮することが必要です。

2. 処理能力

処理物質の性状を考慮して、時間あたりの処理量について検討します。処理する物質の量や生産ラインの要件に基づいて、適切な容量やスループットを持つ振動ふるい機を選ぶ必要があります。

3. 耐久性・メンテナンス性

機械の耐久性とメンテナンス性も考慮する必要があります。振動ふるい機は、可動部品が多いため、定期的なメンテナンスが必要です。耐久性のある振動ふるい機を選ぶことで、長期間にわたる安定した運転とメンテナンスの容易さが期待できます。

参考文献
https://www.aishin-sangyo.co.jp/FURUI_top.html
https://www.tokujuk.co.jp/products/separator/ 

急速冷凍庫

急速冷凍庫とは

急速冷凍庫とは、食品を急速に冷凍させて食品を保存する冷凍庫のことです。

急速冷凍は、マイナス30℃以下の冷気を吹き付けて30分以内に凍結させる技術を指します。旨味を閉じ込めて冷凍できるため、食品業界ではあらゆる食品に応用されています。

食品の中でも組織構造のしっかりした生肉や魚介類などの冷凍に向いており、素材の品質を損ねることなく保存することが可能です。その一方で、水分量の多い食材は凍結時に大きな氷結晶ができてしまうため不向きと言えます。ゆっくりと凍らせる冷凍では食品品質を劣化させますが、急速冷凍庫を用いると食品品質を最大限保持することが可能です。

急速冷凍庫の使用用途

急速冷凍庫は主に食品業界で使用されますが、家庭用としても販売されています。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 高級レストランや料亭
  • 家庭用冷凍庫
  • 食品加工工場や食品貯蔵庫
  • 輸出・輸入用冷凍食品

急速冷凍庫は品質を損ねることなく食材を保管することができるため、食品産業や調理現場で使用されています。着色料や防腐剤などが不要となる場合もあります。

急速冷凍庫の原理

一般的な急速冷凍庫も、家庭用冷凍庫と同様の原理で食品を冷凍させます。冷凍庫内部にフロンなどの冷媒が内封され、冷媒の凝縮によって系内の熱を奪う仕組みです。

ただし、急速冷凍庫の場合はマイナス30℃以下の強風を作り出して食品に吹き付けています。これにより、一気に氷結晶生成温度以下まで下げて大きな氷結晶の生成を防いでいます。

急速冷凍庫の場合は液体窒素などの液化ガスで食品を冷凍することもあります。ただし、液化ガス充填が必要なため採用されることは稀です。液体窒素が漏洩し、窒息による人身事故が発生するリスクもあります。

急速冷凍庫のその他情報

1. 緩慢冷凍と急速冷凍

食品を凍結させた状態で保存することを冷凍貯蔵と呼びます。とりわけ、マイナス15℃以下で食品を保存することを冷凍とする場合が多いです。冷凍には、緩慢冷凍と急速冷凍があります。

一般的な冷凍庫の冷凍方法は緩慢冷凍です。氷結晶が作られる温度帯を通過する時間が長いために氷結晶が大きくなり、食品の組織を破壊して品質の低下を起こします。

一方で、急速冷凍庫は急速冷凍です。氷結晶が作られる温度帯を通過する時間を可能な限り短くして急速に冷凍しています。これにより、大きな氷結晶の生成を防いで食品の鮮度や味を損ねない高品質な状態を維持することができます。

2. 急速冷凍庫の補助金

急速冷凍庫の購入には各種補助金が適用される場合があります。なかでも、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」 (通称:ものづくり補助金) は、急速冷凍庫を導入する場合によく使われる補助金です。

ものづくり補助金とは国による補助金施策の一つで、中小企業向けの補助金です。革新的なサービス開発や生産プロセス改善など目的とする設備投資などを支援します。年に数回の公募があり、必要な書類を揃えて申請すると随時審査されます。

公募ごとのばらつきはみられるものの、過去の傾向から採択率は40%程度です。多くの企業から審査項目に合致している企業が採択されます。ものづくり補助金は補助率が高いためよく利用されますが、申請に多くの資料を作成する必要があります。そのため、補助金申請サポートの専門コンサルタント業者が利用される場合もあります。

3. 小型の急速冷凍庫

急速冷凍庫の中には小型でリーズナブルな価格帯の製品もあります。小型急速冷凍庫の場合、約1時間あたりに2~10kg程度の食品を冷凍する能力を持つ製品が多いです。使用用途は飲食店の厨房などで、食品を冷凍保存する目的で活用されています。

小型であっても急速冷凍は十分可能であり、熱伝達を上げる工夫などによって高い冷凍能力を有します。動力電源は三相200Vの製品が主流です。ただし、単相100Vで使用可能な製品も販売されており、設置予定の環境に合わせて選択することが可能です。

参考文献
https://www.galilei.co.jp/
https://www.hoshizaki.co.jp/p/blast/ability02.html
https://e-roots.co.jp/product/gram/typesf/
https://frozen-lab.eda-mame.jp/knowhow/small-freezing-machine

微粉砕機

微粉砕機とは

微粉砕機とは、微粒の数マイクロメートル単位まで粉砕加工を行うことができる機器のことです。

ある大きさの固体の原料にエネルギーを掛けることで、原料を粉末状に細かく砕きます。粉砕する粒子の大きさによって、粗粉砕・中粉砕など段階的に区別されています。

また、粉砕する粉体の粒度でその性質が変化するため、粉砕機で均一な粒度にすることや、粉砕の単位などをふまえて微粉砕機を選択することが重要です。

微粉砕機のエネルギーを加える方法は、ローラーミルやジェットミル、高速回転粉砕機、容器駆動型ミルなど様々な種類があります。

微粉砕機の使用用途

微粉砕機は、加工したい物質を粉末状にして、粒度の大きさをそろえることを目的として使用されています。

工業などの生産の現場では、粉砕によって固体の粒子が細かくなることでその個体の表面積が増え、加工のプロセスの効率があがるメリットがあります。また、複数の成分を含んだ物質などを細かく粉砕することが可能で、必要な成分のみを選んで抽出することも可能です。

微粉砕する加工物の例としては、アルミナニッケルなどの金属類や、樹脂、化学物質、医薬品などです。

微粉砕機の原理

粉砕には、物質の表面が摩擦などによって削られて断片から小さくなって粒子になっていく表面粉砕と、全体に力が加わることで大きく分割されて徐々に小さな粒子になっていく体積粉砕の2つの種類があります。

実際には、この2つが組み合わさることで粉砕が起きます。固体物質は、はじめから構造として内側に小さなひびや欠陥を持っています。外部から力が加わることでその部分的欠陥に影響して大きな破壊となり、粉砕につながります。

粉砕機は、エネルギーの加え方を変えることができます。ローラーミルは、ローラーの重力や遠心力などを利用して回転する容器に押し付けることでエネルギーを加え、圧縮して粉砕します。ジェットミルは、噴射ノズルによってガスを高圧に噴射し、ジェット気流で粒子同士を衝突させることでエネルギーを加えて摩擦や衝撃によって粉砕します。

微粉砕機の種類

微粉砕機の代表的なものとして以下の7つがあります。

1. ローラミル

数個のローラーの重力と遠心力が回転するテーブルまたは鉢形の粉砕容器に押し付ける構造になっており、挟まれた砕料を圧縮粉砕します。

2. ジェットミル

数気圧以上の圧搾空気、または高圧蒸気、高圧ガスを噴射ノズルより噴出させた気流によって原料粒子を加速させ、粒子の衝突・衝撃により粉砕します。

3. ハンマーミル

高速回転するハンマーによって供給粒子に衝撃を加え粉砕する。排出口に多孔板やスクリーン、グリットなどをおいて、いわゆるスクリーンミルとして粉砕製品の粒度のコントロールを行います。

4. ピンミル

向かい合った2枚の円板の表面に数十本のピンを互いにかみ合うように植え、片方の円板あるいは両方の円板を高速で回転させて砕料を円板中心に供給し、遠心力で円周方向に移動する間にピンによる衝撃力、せん断力によって粉砕を行います。 

5. 回転ミル

水平軸を中心として回転円筒の中に、その容積の1/3を満たす量の粉砕媒体 (ボール、ロッドなど) を充填し、これを回転させることによって砕料を粉砕します。

6. 振動ミル

円筒状ないしトラフ状のミル内にボールその他の粉砕媒体を充填し、このミルに振動を加え、媒体に運動を与えて粉砕します。

7. 遊星ミル

砕料とともにボールを充填した容器が自転しながら公転する機構によって、媒体同士および、媒体-容器内壁間の衝突力により粉砕します。

8. 自動乳鉢

鉢もしくは乳棒をモーターによって回転させ、粉体の粒子を細かくすり潰ししながら、同時に均一に混ぜ合わせて分散させ、混練する機械。粉砕中の試料を肉眼で容易に確認することが可能で、研究レベルの少量の試料から、量産まで見据えた利用が可能。

参考文献
https://www.hosokawamicron.co.jp/jp/product/search?type=category&group=1&group_small=13
https://www.aishin-nanotech.co.jp/nanojetmizer.html
https://www.nisshineng.co.jp/news/tech-info8.html

彫刻機

彫刻機とは彫刻機

彫刻機とは、文字やデザインをガラスやプラスチック、金属などに彫刻するための機械のことです。

回転する工具やレーザーを用いて、素早く正確な加工が可能です。手動式のものやパソコンと接続して、自動的に加工できる彫刻機もあります。

彫刻の工具には、ダイヤモンドなどの材質の刃やレーザーなどがあり、加工対象物の種類によって適した工具を選びます。彫刻機の大きさも卓上で使える小型なものから大型のものまで幅広く、彫刻をしたい対象物の大きさに合わせた選定が可能です。

従来は、彫刻機を扱う職人によって培われた高度な技術を必要としていましたが、彫刻機の加工技術の発展により、安価で容易に精密な加工ができるようになりました。彫刻機を使うことで、商品のデザイン性や装飾性を高めたり、彫刻された文字やデザインが美しく印象的な名刺やプレート、トロフィーなどを作ったりすることができます。

また、彫刻機を使うことで、製品に独自のデザインを施せるため、ブランドイメージの向上や製品の付加価値の向上につながることもあります。さらに、彫刻機を使用することで、大量生産の製品でも簡単に個別にカスタマイズでき、顧客のニーズに合わせた製品を提供可能です。

彫刻機の使用用途

彫刻機は、文字やデザインの刻印から、立体的な彫刻まで幅広い使用用途があります。加工する素材の種類や形状に合わせて、適切な彫刻機を選び、高精度な加工を行うことが可能です。

例えば、宝飾品や時計、自動車部品、電子機器などの小型部品に対して、文字やデザインを刻むことが可能です。また、建築や建材、看板、優美な装飾品などにも使用されています。

さらに、プラスチックや金属などの素材に対して、立体的な彫刻も可能です。例えば、工業製品のスムーズな曲線や、自動車部品のエンブレムなど、さまざまな立体デザインを彫刻できます。また、彫刻機を利用して、レリーフ彫刻、浮彫り、凹凸を表現することもできます。

金属やプラスチックだけでなく、ガラス、木材、石材、アクリルなどの素材に対応可能です。また、医療機器や航空宇宙機器、半導体などの精密部品の製造にも利用されています。

彫刻機の原理

彫刻機の原理には、モーターや加工刃、レーザー光による熱加工の2つの方法があります。

1. モーター・加工刃

接触させて加工することで成り立ちます。モーターや加工刃を使用する手動式の彫刻機は、回転する工具によって加工対象物の表面を削り、彫刻や切削を行います。

2. レーザー光

レーザー加工の彫刻機は、レーザー光を利用して熱を加えることで、加工対象物の材料を部分的に溶かして彫刻を行います。摩擦や刃の硬度が不要であるため、高い自由度で加工が可能です。

レーザー光の強度を調整することで、彫刻の線の幅なども自由に変化させることができます。また、手動式の彫刻機に比べて高速で、正確で、大量の加工も容易に行えます。

彫刻機の種類

彫刻機には、主にロータリータイプとレーザータイプの2種類が使用されます。また、使用用途にあった彫刻機を選定する必要があります。

1. ロータリータイプ

ロータリータイプは最も一般的な彫刻機です。これは回転する工具で加工を行い、手動式や自動式などがあります。手動式は職人による技術が必要ですが、自動式はパソコンと接続して、事前に用意したデータに従って自動的な加工が可能です。

2. レーザータイプ

レーザータイプの彫刻機があります。これはレーザー光を使って材料の表面を切削する方式で、摩擦や刃の硬度を必要としないため、高精度な加工が可能です。また、自由度が高く、文字やロゴ、写真などの細かいデザイン加工も可能です。

3. その他

彫刻機の種類には、彫刻対象物の大きさによって分類されるものもあります。卓上で使える小型なものから、大型のものまで幅広く展開されており、用途に応じて選ぶ必要があります。

参考文献
https://www.engraver.jp/
https://www.engraver.jp/m_engraver.html

帳票作成ツール

帳票作成ツールとは

帳票作成ツールとは、注文書や請求書、旅費精算書などの帳票を簡単に作成できるソフトウェアのことです。

従来は、手書きなどによる紙媒体の帳票が一般的でしたが、ペーパーレス化へのニーズやパソコンやネット環境の充実の後押しもあり、現在では電子化してファイル形式で管理することが主流となっています。表計算ソフトで帳票作成を行う企業も多いですが、帳票のレイアウト作成に時間がかかったり、データ入力で転記ミスが発生したりするなど課題は多いです。

帳票作成ツールを用いることで、帳票のレイアウト設計をプログラミングの必要なく、クリック操作のみで行うことができます。また、データベースやCSVファイルなどと連携することで効率的にミスなく入力可能となります。

帳票に関する課題を改善し、作業にかかる時間や手間を大幅に短縮つながります。また、帳票作成ツールがあれば自社内で自由かつ簡単に帳票を作成できることもメリットです。

帳票作成ツールの使用用途

帳票作成ツールは、請求書や振込伝票などの帳票デザイン作成から、データとの紐づけ、様々なファイル形式への出力に使われています。ビジネスを行う現場では、業種を問わず必ず帳票が必要になります。そのため、帳票作成ツールはあらゆる分野の企業で使用されています。

用途に合わせてPDF、Excelファイル、HTMLなどを選択して、保存や印刷などのアウトプットを行うことが重要です。

帳票作成ツールの原理

帳票作成ツールは、帳票設計、データ紐づけ、帳票出力などの機能で構成されています。

1. 帳票設計

帳票設計は、マウス操作で必要な項目を配置するだけで完成できます。PDFやExcel、Wordなどから既存の帳票を取り込んで、帳票設計できる機能を持つものもあります。

2. データ紐づけ

また、配置した項目とデータベースやCSVファイルと紐づけられるため、プログラミングをする必要なく帳票設計を行えます。

3. データ出力

帳票設計で作成した帳票に紐づけられた入力源より取り込んだ帳票をPDFやHTML、Excelなどへ出力し、メール添付やFax送信まで行うことができるものもあります。

帳票作成ツールの選び方

帳票作成ツールを選ぶときには、以下のポイントに注意します。

1. 帳票の種類や量

帳票作成ツールには、対応できる帳票の種類や量に制限がある場合があります。自社で必要な帳票の種類や量を把握し、それに見合った帳票作成ツールを選ぶことが重要です。

2. データソースとの連携

帳票作成ツールは、データベースやスプレッドシートなどのデータソースから情報を抽出して帳票に反映させます。そのため、データソースとの連携がスムーズにできるかどうかもチェックする必要があります。

3. 帳票の出力形式や配布方法

帳票作成ツールは、PDFやExcelなどのさまざまな形式で帳票を出力したり、メールや印刷などの配布方法を選択したりできます。しかし、すべての形式や方法に対応しているわけではありません。

自社で必要な出力形式や配布方法が利用できるかどうかの確認も大切です。

4. サポート体制

帳票作成ツールは、導入後もトラブルや不具合が発生する可能性があります。その際に、迅速かつ的確なサポートを受けられるかどうかも重視するべきです。

サポート体制は、電話やメールだけでなく、オンラインチャットやFAQなども含めて評価してください。

帳票作成ツールのその他情報

帳票作成ツールの機能

帳票作成ツールには、効率的に帳票を作成できるように様々な機能が搭載されています。

1. 帳票設計
最も基本的な機能として、帳票の作成機能があります。あらかじめ用意した帳票のフォーマットに都度情報を入力し、帳票を自動作成するものです。

契約書や請求書など、金額や品目、日付等以外の要素が変わらない場合に便利な機能です。

2. ライフサイクルの設定
帳票管理に関する便利機能として、帳票のライフサイクル設定機能があります。法律で保管期限が定められている請求書や会計書類など、10年など一定の期間を超えたら削除できる機能です。

システムの容量が増え続けることを防ぐために、保管期限を過ぎたら自動で削除するよう設定できます。

3. マイナンバーの管理
最近では、特定個人情報 (マイナンバー) の保護ルールが厳格に定められています。帳票ツールによっては、マイナンバーの保護ルールに準拠した機能を持つものもあります。

4. OCR連携
OCRと連携した帳票作成ツールも増えており、紙帳票を読み込んで電子化する機能を備えているものもあります。これにより、取引先から送られてきた請求書等を電子媒体で管理することができるようになります。

参考文献
https://www.createform.jp/knowledge/document-form.html
https://www.nav-assist.co.jp/products/goods/navisiareport.html
https://www.nhs.co.jp/package/paples/function/PaplesReports.html
https://data.wingarc.com/chohyotool-27849

 

巻取機

巻取機とは

巻取機とは、フィルムなどのシート状製品やホースなどを巻き取る装置です。

一般的には、シートなどを巻き取ることで、取り扱いや保管を容易にするために使用されます。生産された長手製品を芯に巻き取ることで、製品の品質を損なうことなくコンパクトに扱うことができます。

巻取り機は素材の巻き取り作業を効率化し、整理や保管を容易にするための重要な機械です。産業や日常生活のさまざまな場面で使用されており、素材の取り扱いや管理を効果的に行うために欠かせない存在となっています。

巻取機の使用用途

巻取り機は、さまざまな使用用途で利用されます。以下にいくつかの一般的な使用用途を挙げます。

1. 糸や繊維製品の生産

紡績工場や織物工場などで、糸や繊維製品の生産ラインで巻取り機が使用されます。糸を巻き取ることで、取り扱いや加工が容易になります。

糸などの線状の製品を巻き取る場合には、ボビン巻きという手法を採用されるケースが多いです。巻取りの周回毎に常に製品が隣り合った状態で巻き取ることで、絡みや外径のばらつきの無い巻取り状態が実現されます。 

2. 電線やケーブルの製造

電線やケーブルの製造工程では、長い電線やケーブルを巻き取るために巻取り機が使用されます。巻き取りにより、取り扱いや保管が容易です。販売時にも木製ドラムなどに巻き取られた状態で運搬されます。

3. 釣り糸や釣りラインの巻き取り

日常生活で最も身近な例は釣具です。釣り糸や釣りラインを巻き取るために、釣り用の巻取り機が使用されます。巻き取りにより、釣り糸を整理し、絡まりや結び目を防ぐことができます。

4. 化成品の製造

プラスチックフィルムや粘着テープ、紙製品などのシート状の製品を巻き取る場合には、巻芯やリールで製品を巻き取ります。この際、巻き取る力を常に一定に保つようにすることで、シートにしわやたるみがでないように精密な制御がされています。

巻取機の原理

巻取機はフレーム、モーター、ドラム、制御装置などで構成されます。

1. フレーム

巻取り機の基本的な構造は、頑丈なフレームで支持されています。一般的には鉄などの金属で構成されます。フレームは機械の安定性と堅牢性を提供し、他の構造要素を支えます。

2. モーター

巻取機の多くは電動巻取の場合が主流です。電動の場合、駆動源としてはモーターが使用される場合がほとんどです。モーターは、巻取りドラムを回転させる力を供給します。

モーターのサイズや出力は、巻取る素材の重さや巻取り速度に合わせて選定されます。なお、手動巻取の場合はモーターは省略され、代わりにハンドルが付きます。

3. ドラム

フィルムなどの素材を巻き取るためのドラムがあります。巻取りドラムは素材を巻きつけるための表面や溝を持っており、モーターの回転によって素材を巻き上げます。巻取りドラムの形状やサイズは、素材の特性や巻き取り要件に応じて設計されます。

4. 制御装置

巻取り機は制御装置によって操作されます。制御装置は巻取り速度やトラバースの制御など、巻取りプロセスのパラメータを調整します。

巻取り機でシート状の製品をしわやたるみ無く巻き取る場合には、常に一定の張力とする必要があります。しかしながら、巻取りが進行するに連れてロール径も大きくなるため、巻取り軸のモータの出力を一定に保つだけでは張力は維持できません。

そこで、シート製品を巻き取る巻取機にはオープンループ制御やダンサーロールと呼ばれるフィードバック制御を利用して張力を一定に維持しています。

巻取機の種類

巻取り機能の自動化のために2軸以上の巻取軸を備えたターレット巻取機が使用される場合もあります。ターレット巻取機は、製品の巻取りが完了すると、ターレットが回転しシートを切断する巻取機です。同時に切断された端面を新しい巻芯に接着することで、再度巻き取りが開始されます。

線状の製品を巻き取る場合は、ボビン巻取機が使用されます。製品の外径と巻取り位置を幅方向に走査することで、均一な巻径のロールを作ります。巻取り位置がボビン端に到達すると、走査方向が折り返されて製品の絡まりを防止します。 

参考文献
http://www.kyoei-system.jp/makitori/index/indexG000000008_2.html

差圧計

差圧計とは

差圧計

差圧計とは、流体中の圧力差を測定するために使用される計測機器です。

2つの異なる地点の圧力差を検知し、その差を定量化して表示します。流体が配管や管路内を流れる際に生じる圧力の変化を検知するのが役割です。

差圧計は2つのポートを有します。一方のポートには測定したい場所の流体が入り、もう一方のポートには参照点や基準点の圧力が入ります。差圧計は2つのポートの圧力の差を測定し、その結果を表示または記録します。

差圧計の使用用途

差圧計は幅広い用途で使用される機器です。以下は差圧計の使用用途一例です。

1. クリーンルーム

クリーンルームのドアの上部などに取り付けて使用される場合があります。クリーンルーム内が常に揚圧で外部からちりやほこりが入り込まないことを確認するために用いられます。

2. 液位測定

タンクや貯液槽の液位を確認するために使用されます。タンク下部圧力と上部圧力の差を測定することで、液位へ変換します。

タンク内の圧力が高い場合などに有用です。ボイラーや圧力容器の液位測定には、差圧計が適しています。

3. ガス漏れ検知

差圧計はガス漏れの検知にも使用されます。ガスパイプラインやガスタンクの圧力差を監視し、異常な圧力変化を検知することでガス漏れを早期に発見することが可能です。

4. フィルター監視

フィルターシステムの監視にも使用されます。フィルターの目詰まりや効果の低下によって生じる圧力差を測定し、フィルターの交換時期やメンテナンスのタイミングを判断するのに役立ちます。バグフィルタなどは濾布の目詰まりを監視するため、基本的には差圧計が付属する場合が多いです。

差圧計の原理

差圧計はその種類に応じて、原理や構造が異なります。代表的な差圧計はマノメータであり、流体の静水圧を利用して圧力差を測定する機器です。

1. 液体用

液体用の場合は、液体の高さやバネの変形を利用して圧力差を測定します。垂直な透明なガラス管またはチューブに液体が充填されているのが一般的です。

一方のポートには測定したい地点の圧力が入り、もう一方には参照点や基準点の圧力が入ります。測定したいポイントの圧力と参照点の圧力の差によって、液体の高さが変化します。

高さの変化量に応じて圧力差を読み取ることが可能です。目盛りがガラス管上に配置されており、液面の高さを視覚的に確認できる場合が一般的です。

2.  気体用

気体用は気体圧力によるバネやダイヤフラムの変形を利用して、圧力差を測定します。バネやダイヤフラムが外部からの圧力によって変形し、変位を圧力差として示します。圧力差の値の表示方法は、デジタル表示やアナログスケールなどです。

差圧計の種類

差圧計はマノメータ以外にもさまざまな種類が存在します。以下は差圧計の種類一例です。

1. ピトー管式

ピトー管は、流体の速度圧力を利用して圧力差を測定する機器です。主管と静圧孔という2つのポートから構成されています。流体がピトー管の主管に当たることで速度圧力が生じ、その圧力差を測定することで流体の速度や流量を推定します。

ピトー管での流量測定は、ベルヌーイの定理から流量を求める事ができます。非常に簡単な構造で信頼性も高い流量計です。

2. オリフィスプレート式

ピトー管と同様に、流速や流量を測定するための差圧計です。流体の流れるパイプラインに設置される板状のデバイスです。流体の圧力差を測定し、その値から流量を算出します。ピトー管と同様にベルヌーイの定理から流量を計算します。

3. 差圧発信器

差圧発信器は、差圧を測定するための電気機器です。圧力センサーによって差圧を検知し、アナログまたはデジタルの電気信号として出力します。

圧力センサーにはダイヤフラム、伸縮体、またはピエゾ素子などの感圧素子が使用されます。差圧が加わると感圧素子が変形し、その変形量が電気信号として変換されます。

また、圧力センサーからの信号を処理し、変換するための電気回路が組み込まれています。増幅回路やアナログ-デジタル変換回路などが含まれるのが一般的です。圧力センサーからの微小な電気信号を増幅し、信号のノイズを低減して正確な測定結果を得るために使用されます。

参考文献
https://ekuippmagazine.com/measuring/mano/

導電性ゴムシート

導電性ゴムシートとは

導電性ゴムシートとは、電気を通す特殊な素材をゴムに配合したシートやマットのことです。

一般にシリコンゴムは、ケイ素を含む化合物を原料としており、絶縁性があり、電気を通しにくいという特性を有しています。そのため、導電性ゴムシートは、絶縁性を持っているシリコンゴムなどの合成ゴムや天然ゴムに大量の導体を配合することで、電気を通さないシリコンゴムに導電性を付与しています。

さらに、ゴムの素材を変えることで、耐候性や耐熱性、耐薬品性などの特徴を付加することも可能です。よって用途に合わせて適した材質を用いて作られている導電性ゴムを選択すると、より高い導電性の効果を得ることができます。

導電性ゴムシートの使用用途

導電性ゴムシートは、摩擦により発生する静電気に起因する帯電発火や装置の誤動作防止が必要な箇所、およびESD破壊に敏感な電子部品を扱う実験室や工場ラインなどで使用されています。具体的には、火薬を扱う現場や手術室などの床材、半導体や電子部品などの製造評価設備などにESD破壊を防ぐ目的で使用されることが多いです。

そのほか、ガスやオイルなどのタンクの昇降時に摩擦によって発生する静電気の除去する際に使用されます。導電性ゴムシートは、シートやマット状であるため、様々な場面で使用可能です。静電気による埃の付着を抑制することができるため、作業台やクリーンルームの床材などへの使用の他に、人体に帯電することを防止し、工場におけるショック事故の防止する目的にも用いられています。

導電性ゴムシートの原理

導電性ゴムシートの原理は、絶縁体であるゴムにフィラーと呼ばれる金属粉末やカーボンブラックなどの電気を通す導体を配合することで、導電性を付与できる点にあります。一般的なゴムシートでは、帯電力の減退には時間を要しますが、導電性ゴムシートでは触れた瞬時に帯電の電流や静電気がゴムシート側に流れこみ、人体や特定の部分が帯電することを防ぐことが可能です。

導体成分の含有率を上げることで、帯電された電荷を瞬時に逃がせるという特性を有するようになりますが、ゴム固有の弾性や伸張性は損なわれるため注意が必要です。特性を表す指標である体積固有抵抗率は1.0×10²Ω・cm前後であり、帯電された電荷を逃がすためのアース線が接続可能なものもあります。

導電性ゴムシートの種類

ゴムシートの中でも、以下の3種類がシートが導電性ゴムシートに使用される場合が多いです。色は黒や緑が多いですが、メーカーによってはその他の色も取り扱っています。

1. CRシート

クロロプレンシートとも呼ばれ、耐熱性や耐油性に優れています。

2. NBRシート

ニトリルゴムシートとも呼ばれ、耐油性に優れている素材です。

3. NRシート

 天然ゴム素材であり、耐摩耗性、弾力性や耐候性に優れています。

導電性ゴムシートのその他情報

1. アースキット対応の導電性ゴムシート

ESD対策が重要な電子部品などを扱う作業テーブルやフロアマット用の導電性ゴムシートには、専用のアースキット対応している製品が多いです。その場合には、通常はパッキンでシートの隅に電源コンセントに取りけるためのアース線がクリップされており、さらに数Mオームの抵抗がモールド具備されているものもあります。

2. スイッチ接点対応の導電性ゴムシート

導電性ゴムシートに用いられる導電性ゴムは、静電気や電磁気対策用シートとしての活用のほかに、微小なシートサイズでリモコンスイッチの接点として広く用いられています。この導電性ゴムは、経年劣化や汚れなどにより、スイッチ接点としての機能を果たさなくなる場合があります。

その際によく用いられる応急処理の手法が、汚れの除去や劣化し破断したゴムにアルミ箔や導電性テープで補強し修理する方法です。ただし、その手法だと耐年性の懸念が残ります。市場ではリモコン接点用の専用の個片の導電性ゴムシートも市販されており、それを活用するのも一つの手法です。

参考文献
https://www.kyowakg.com/si-sheet/doden/
http://www.irumagawagomu.co.jp/products/material/dbr.html
https://www.polisher.jp/product/5690
https://www.kimoto-gomu.co.jp/index.php?id=rubber-tokushu#bbb