微粉砕機とは
微粉砕機とは、微粒の数マイクロメートル単位まで粉砕加工を行うことができる機器のことです。
ある大きさの固体の原料にエネルギーを掛けることで、原料を粉末状に細かく砕きます。粉砕する粒子の大きさによって、粗粉砕・中粉砕など段階的に区別されています。
また、粉砕する粉体の粒度でその性質が変化するため、粉砕機で均一な粒度にすることや、粉砕の単位などをふまえて微粉砕機を選択することが重要です。
微粉砕機のエネルギーを加える方法は、ローラーミルやジェットミル、高速回転粉砕機、容器駆動型ミルなど様々な種類があります。
微粉砕機の使用用途
微粉砕機は、加工したい物質を粉末状にして、粒度の大きさをそろえることを目的として使用されています。
工業などの生産の現場では、粉砕によって固体の粒子が細かくなることでその個体の表面積が増え、加工のプロセスの効率があがるメリットがあります。また、複数の成分を含んだ物質などを細かく粉砕することが可能で、必要な成分のみを選んで抽出することも可能です。
微粉砕する加工物の例としては、アルミナやニッケルなどの金属類や、樹脂、化学物質、医薬品などです。
微粉砕機の原理
粉砕には、物質の表面が摩擦などによって削られて断片から小さくなって粒子になっていく表面粉砕と、全体に力が加わることで大きく分割されて徐々に小さな粒子になっていく体積粉砕の2つの種類があります。
実際には、この2つが組み合わさることで粉砕が起きます。固体物質は、はじめから構造として内側に小さなひびや欠陥を持っています。外部から力が加わることでその部分的欠陥に影響して大きな破壊となり、粉砕につながります。
粉砕機は、エネルギーの加え方を変えることができます。ローラーミルは、ローラーの重力や遠心力などを利用して回転する容器に押し付けることでエネルギーを加え、圧縮して粉砕します。ジェットミルは、噴射ノズルによってガスを高圧に噴射し、ジェット気流で粒子同士を衝突させることでエネルギーを加えて摩擦や衝撃によって粉砕します。
微粉砕機の種類
微粉砕機の代表的なものとして以下の7つがあります。
1. ローラミル
数個のローラーの重力と遠心力が回転するテーブルまたは鉢形の粉砕容器に押し付ける構造になっており、挟まれた砕料を圧縮粉砕します。
2. ジェットミル
数気圧以上の圧搾空気、または高圧蒸気、高圧ガスを噴射ノズルより噴出させた気流によって原料粒子を加速させ、粒子の衝突・衝撃により粉砕します。
3. ハンマーミル
高速回転するハンマーによって供給粒子に衝撃を加え粉砕する。排出口に多孔板やスクリーン、グリットなどをおいて、いわゆるスクリーンミルとして粉砕製品の粒度のコントロールを行います。
4. ピンミル
向かい合った2枚の円板の表面に数十本のピンを互いにかみ合うように植え、片方の円板あるいは両方の円板を高速で回転させて砕料を円板中心に供給し、遠心力で円周方向に移動する間にピンによる衝撃力、せん断力によって粉砕を行います。
5. 回転ミル
水平軸を中心として回転円筒の中に、その容積の1/3を満たす量の粉砕媒体 (ボール、ロッドなど) を充填し、これを回転させることによって砕料を粉砕します。
6. 振動ミル
円筒状ないしトラフ状のミル内にボールその他の粉砕媒体を充填し、このミルに振動を加え、媒体に運動を与えて粉砕します。
7. 遊星ミル
砕料とともにボールを充填した容器が自転しながら公転する機構によって、媒体同士および、媒体-容器内壁間の衝突力により粉砕します。
8. 自動乳鉢
鉢もしくは乳棒をモーターによって回転させ、粉体の粒子を細かくすり潰ししながら、同時に均一に混ぜ合わせて分散させ、混練する機械。粉砕中の試料を肉眼で容易に確認することが可能で、研究レベルの少量の試料から、量産まで見据えた利用が可能。
参考文献
https://www.hosokawamicron.co.jp/jp/product/search?type=category&group=1&group_small=13
https://www.aishin-nanotech.co.jp/nanojetmizer.html
https://www.nisshineng.co.jp/news/tech-info8.html