スイッチングダイオード

スイッチングダイオードとは

ダイオードは、トランジスタやICなどと同じように基本的な電子部品の1つで、抵抗やコンデンサが受動部品と呼ばれるのに対して能動部品とも呼ばれています。

材質としてシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素などの半導体が使われています。

一般的にダイオードは電流や電圧を一定に保つ働きに加え、一定方向にのみ電流を流す働きがあります。

スイッチングダイオードは、一定方向に電流を流している導通状態から、逆方向に電流の向きを切替た場合に遮断状態に切り替わるまでの時間(スイッチング時間)が短いという特性を持つダイオードです。

スイッチングダイオードの使用用途

電子回路において、ダイオードの果たす役割には、主に以下に説明する2つの役割があります。

  • 整流の働き
    商用電源から供給されるのは交流です。他方、電子機器に搭載されているのは、直流回路でこれらの各種制御回路は設計されています。交流で入ってきた電流を直流に変換するために、シリコンダイオードの電流を一定方向に流す性質を利用しています。これを整流化の機能と言います。
  • 検波
    シリコンダイオードにはテレビやラジオなどの放送電波の中から、映像や音声の信号を取り出す機能である検波の機能があります。

一般的にダイオードが有する機能の中で、スイッチングダイオードは、整流および検波用として使われますが対象となるのは小信号です。電源回路における大きな電流の流れを制御するような用途には使えません。

スイッチングダイオードの原理

ダイオードはトランジスタやIC同様、半導体の1つでスイッチングダイオードはその中に含まれるものです。半導体とは、電流をよく流す金属などの導体と電流を流さないプラスチックなどの絶縁体との中間の性質を有する物質のことを言います。

金属はよく電流を流しますが、これは金属原子内の電子が自由電子としてよく移動するからです。金属に電圧をかけると電荷が、自由電子によって運ばれ、その結果電流が流れます。

他方、半導体の場合は、電流の状態により導体になったり絶縁体として動作したりします。

P型半導体とN型半導体は電流を流す仕組みの違いにより分類しています。P型半導体の場合、足りない穴を埋めるように電子が移動していきます。P型半導体は、電子が不足している状態なので+に帯電とします。

N型半導体の場合、金属結合よりも少ない自由電子で電流を運んでいきます。N型半導体は、P型半導体とは逆に、電子が余分な状態なので-に帯電とします。

このP型半導体とN型半導体を接合して作られているのがダイオードの1つがスイッチングダイオードです。スイッチング時間が早くデバイスの大きさが小さいことから小信号処理の用途としてよく使われます。 

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/diodes/di_what4
https://www.matsusada.co.jp/column/diode.html
https://kurashi-no.jp/I0021164

ユニバーサルカウンタ

ユニバーサルカウンタとは

ユニバーサルカウンタ

ユニバーサルカウンタは周波数カウンタの持つ周期や周波数の測定機能に加え、いくつかの付加的な機能を装備した電気信号用のカウンタです。

信号のパルス幅や信号の位相に加えパルス幅に対する周期の測定、更には信号の立ち上がり時間や立ち下がり時間の測定が可能です。

また2つの入力信号の時間差や周波数比なども測定ができるため非常に便利な測定機器といえます。

一定時間取りためたデータを解析して、その結果を表示させることが可能なユニバーサルカウンタも中にはあります。

ユニバーサルカウンタの使用用途

製品開発の際にまずは、製品の要求仕様を満足する回路設計を行いますが、その結果に基づき制作した基板の動作確認を行う際や、技術教育の現場などにおいても有効な測定機器です。

更に、製品の生産ラインや検査ラインにおいて期待する周波数を始めとする他のパラメータ値が得られているかどうかを確認する際にも有効です。

以前は、専用のロジック回路にて構成する必要があったため決して安くはありませんでしたが、最近では、ワンチップマイコンや周辺ICの低廉化と高機能化によりかなり低コストな製品も販売されています。

ユニバーサルカウンタの原理

繰り返しの信号において単位時間当たり、いくつの信号が存在するかを示す数値が周波数です。

ユニバーサルカウンタは、この周波数を測定するために以下の様な構成となっています。
まず、入力された被測定信号の波形を正確に測定するためにきれいな信号に整形するための波形整形が行われます(信号A)。

他方、信号Aの一定の測定期間のみを取り出すゲート信号を作ります。このために、特定の周波数のゲート信号を入力します。(信号B)

以上、入力された信号Aと信号BのANDを取り、その出力を計数します。特定の周波数期間に存在する信号Aの数をカウントすることにより、信号Aの周波数を算出することができます。

その結果を、ユニバーサルカウンタの専用の液晶ディスプレイ等に表示します。

一般的に、ユニバーサルカウンタでは、ゲート信号Bの周波数の設定やゲートされた信号の計数などは内蔵するマイコンに行わせることにより回路構成をシンプルにしていることも多いです。

参考文献
https://ekuippmagazine.com/measuring/universalcounter/

プログラムタイマ

プログラムタイマとは

プログラムタイマ

プログラムタイマとは、電気機器を特定の時間にONし、特定の時間にOFFすることのできるタイマのことです。

一般的なプログラムタイマの場合、毎日同じ時間にONさせ、その後、同じ時間にOFFさせるような使い方をします。製品の中にはON/OFFさせる時間の組み合わせを複数種類持っているものもあります。

例えば、月曜日はAパターンのON/OFF時刻で制御し、火曜日はBパターンのON/OFF時刻で制御し、以降C、D、E…のパターンで、各曜日単位でいずれのプログラムを有効にするか選択するような使い方が可能です。

プログラムタイマの使用用途

プログラムタイマは、照明器具や家電機器などに使われます。

1. 基本的な使用用途

毎日同じ時刻に照明のイルミネーションを点灯させ、所定の時刻になったらOFFにさせたり、毎日同じ時刻に加湿器をONにして、例えば決まった就寝時刻にOFFさせたりする使い方があります。

2. その他の使用用途

以上の基本的な使い方に加え、近年は様々な付加機能が搭載されています。例えば、明るさセンサーを備えており、周囲が明るくなったらON、暗くなったらOFFといった使用方法です。夜間は使用せず、昼間だけ稼働してほしいような場面において便利です。

また、屋外での利用を想定して防水型のものや、接続されている機器の使用電力量を表示してくれるタイプもあります。価格は安いもので1,000円程度から、中には1万円以上するものまであります。 

プログラムタイマの原理

プログラムタイマには、商用電源AC100Vを入力するACコンセント (電源供給側) の差込口と制御対象の電気機器のACコンセント (電源取出し側) の差込口とが用意されています。所定のON時刻になった場合、前述の電源供給側と電源取出し側を導通させることにより、接続された機器に電力を供給するシンプルな仕組みです。

毎日特定の時間にONし、特定の時間にOFFさせるといったプログラムタイマの場合は、単純なロジック回路のみで設計されています。他方で、複数のプログラムを持ち、操作用の複数のプッシュボタンと液晶表示を持つような高機能型のプログラムタイマの場合は、ワンチップマイコンを搭載した設計がなされていることが多いです。 

プログラムタイマの構成

プログラムタイマは電源部、入力部、計時部、出力部の4つから構成されます。

1. 入力部

入力部の機能は入力機器からの信号を受け取り、計時部に信号を送信することです。

2. 計時部

計時部では時間を測定しており、使い手があらかじめ定めた時間が経過すると出力部へ信号を送り出します。

3. 出力部

出力部にて計時部から信号を受け取った際に出力機器へ信号を出します。

 

この4つの構成で入力信号が入ってから、定められた時間で出力信号を出す機能を実現したものがプログラムタイマです。

プログラムタイマの選び方

1. 許容電力

許容電力がプログラムタイマの種類によって異なり、許容電力を超える電力の供給はできません。

そのため、プログラムタイマの許容電力を確認し、使用する機器が必要とする電力量がそれ以下であることを確認の上、使用する必要があります。

2. 動作パターン

器具の用途を考慮し、プログラムタイマでどの様な動作パターンや動作数が必要かを確認します。一定時間後にスイッチのON/OFFを切り替えるカウントダウン機能を使用するのか、特定の時間帯のみON/OFFの設定ができる機能を使用するかの検討が必要です。

動作数は、動作パターンや動作時間を登録できる動作数です。1つの動作パターンしか登録できないタイマから複数動作の設定が可能なタイマがあります。

3. 誤差

プログラムタイマは、種類によって時計の誤差幅が異なります。サーバと同期通信を行う種類では誤差は数秒以内ですが、一日に約10分程度の誤差が生まれるタイマもあります。

4. 防水性

屋外で使用する場合、防水機能は必須です。一般的な製品は防水機能が無いものが多いため、防雨型ケーブル等がついた屋外専用品を選択する必要があります。

デジタルカウンタ

デジタルカウンタとは

デジタルカウンタ

デジタルカウンタは、スイッチやセンサーなどからの出力信号を入力として、これをカウントするための機器です。

カウント数を専用の表示装置に表示するのみの機能を有するデジタルカウンタに加え、あらかじめ設定されたカウント値に達した場合、外部に対してこれを知らせる機能を有するタイプもあります。

少ない数を単純に数えるだけであれば、このようなカウンタは不要ですが、カウントする数が大きくなったり、それが長時間にわたってカウントしなければいけない場合など、ただひたすら正確にカウントを続ける用途においては、デジタルカウンタは有効です。

デジタルカウンタの使用用途

例えば、宅内で使用されるキッチンタイマーは、計時機能を内蔵し、料理をする際に時刻の経過を管理することで所定の調理時間を把握するために使用されます。

万歩計は、人が歩行する際に発生する振動を検出する振動センサーからの出力信号をカウントして、専用のディスプレイに表示することによりユーザにその結果を提示します。

業務用途で考えれば、工場の生産ラインなどでは、製品が所定の場所を通過したことを感知するセンサーと組み合わせて使用することで製品の生産台数をカウントする場合などに使用されます。

デジタルカウンタの原理

一般的なデジタルカウンタの場合、カウント値を表示する液晶等のディスプレイとカウント値を設定するためのボタンや時刻設定を行うためのボタン、更にカウント値をリセットする等いくつかのボタンが主たる構成要素になります。

更に業務用途のデジタルカウンタの場合、外部からの信号を入力する端子と外部へ信号を出力する端子がついているものが一般的です。

電源は、民生用途のデジタルカウンタの場合、基本的にDCバッテリーです。業務用途のデジタルカウンタは、外部からDC電圧を直接供給するタイプがほとんどです。

デジタルカウンタのその他の情報

製品の生産ラインにおけるデジタルカウンタの利用例

デジタルカウンタは、生産ライン上のセンサーの出力と接続しておきます。このセンサーは、製品が通過したい際にこれを検知して、出力信号を発生させるセンサーです。

あらかじめ、デジタルカウンタに所定の値、例えば10と設定しておきます。生産が開始されると、センサーの前を製品が通過していきます。その度にセンサーは、デジタルカウンタに信号を出力します。

これを受けて、デジタルカウンタは、カウント値を+1ずつインクリメントすると同時に液晶画面にその時のカウント値を表示していきます。

そして、センサーからの信号入力を受け、デジタルカウンタがカウントした値が10に達すると、例えば、ブザーを鳴らすとか、もしくは、後の工程に信号を出力するといった連携動作を行うという流れになります。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/11/95/index.html

JTAGエミュレータ

JTAGエミュレータとは

JTAGエミュレータはCPUのソフトウェア開発時に、そのデバッグを行うために使用されるものでオンチップエミュレータの1種です。

基板上のCPUをプローブに差し替えることにより、CPUの動作をそのままエミュレートするインサーキットエミュレータ(ICE)に対し、JTAGエミュレータはCPUを基板から取り外すことなく実装した状態で、そのままデバッグすることができます。

このため、製品基板と同等の電気的特性環境下での評価が可能となるため、早期製品化に貢献できるという利点があります。

JTAGエミュレータの使用用途

JTAGは、LSIや基板の検査を行うための業界標準規格であり、この技術規格に基づき各CPUメーカーはテストアクセスポート(TAP)を設計し、バウンダリスキャンテスト(Boundary Scan Test)を行っています。

その結果、JTAGエミュレータは、CPUメーカーによってその仕様が夫々異なっています。メーカー毎に異なる仕様のものをJTAGとは呼べないことから、JTAG準拠として独自の仕様によりインターフェース規格を策定し、これによりJTAGエミュレータが作られています。

JTAGエミュレータの原理

JTAGの規格は1990年にIEEE 1149.1として標準化されています。
その背景には、CPUやLSIの高性能化や高機能化に伴いピン間ピッチがどんどん狭くなった結果、CPUやLSIのピンに直接テストプローブを当ててデバッグやテストを行う事が困難になったという理由があります。

これを解決するため、チップ内部の回路を従属的につなぎ、その回路の状態を順次読み出すことにより内部回路の状態を解析する方法がバウンダリスキャンとして考案されました。

この方法であれば、いちいち、CPUやLSIのピンにテストプローブを立てることなく内部の状態を確認することができるからです。

元来、CPUやLSIのテスト方法として考案されたJTAGの規格を利用して、その後、CPUのソフト開発におけるデバッグの方法として利用されるようになりました。

JTAGにはTCK(クロック)、TDI(データ入力)、TDO(データ出力)、TMS(状態制御)、TRSTの5本の信号端子がありますが、技術規格では、これらの信号の電気的特性は定められていません。メーカーが個々に規定しています。

このようなJTAGにて実現可能なことは、CPUのデバッグ、基板検査、ICの内部回路とホストPC間通信に加えFPGAへのデータ書き込みなどです。

JTAGエミュレータによるデバック方法

設計したプログラミングの動作確認や不具合の特定、性能改善を行う時に用いられる方法を紹介します。

ステップ実行
デバックの基本で、最もよく使われる方法です。ステップ実行を行うには、実行中のグログラムを一度停止させる必要があります。停止させる方法として、ブレークポイントと呼ばれる条件設定や強制ブレーク機能があります。プログラムが停止すると、ソースコードを1行ずつ、または関数やメソッド単位ごとに実行させながらメモリやレジスタの状態、変数の内容を確認することが出来ます。

リアルタイムトレース
予想外の条件が発生した場合のデバックに使われる方法です。プログラム設計時に分岐条件の検討を十分行っても、ハードウェアと組み合わせたり、他のシステムと連動させると想定外の不具合が多々発生します。ステップ実行では、未知な条件による不具合を解析できません。そこでプログラムの実行履歴や、データアクセスのアドレスやタイプ(リード/ライト)、割り込み発生状況などをトレースメモリに記憶させ、不具合の解析を行います。

時間計測
指定された関数単位のモジュールの実行時間(開始から終了までの二点間)の最大・最小・平均値が測定できます。また、呼び出した関数(子関数)や呼び出し元の関数(親関数)との関係や、呼び出し頻度の測定が可能です。実行時間のばらつき改善や関数の構造を見直すことで、システムの性能向上に繋げます。

JTAGエミュレータによるプログラミング

FPGAへデータを書き込むには、FPGAに直接書き込む方法と、FPGAを経由してコンフィギュレーションメモリに書き込む方法があります。FPGAに直接書き込む場合には揮発性メモリ(RAM)に書き込まれるので、電源をOFF/ONする度にプログラムを書き込む必要があります。一方コンフィギュレーションメモリは不揮発メモリ(ROM)なので、一度書き込まれればプログラムが失われることはありません。

コネクタ数の削減や、製品開発のステージ(設計中、量産)に合わせて書き込み方法を選択しましょう。

参考文献
http://www.tokudenkairo.co.jp/jtag/whatisjtag.html
https://www.bitran.co.jp/ice/jtag.html
https://www.cqpub.co.jp/dwm/Contents/0027/dwm002700380.pdf
https://www.renesas.com/jp/ja/document/tnf/featured-tool-improved-debugging-efficiency-rx-and-rl78-families-introducing-external-trigger-io?language=ja
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/intel/122065/

変換基板

変換基板とは変換基板

変換基板とは、ピッチの狭いICやLSI、マイクロプロセッサ等を実験、評価用のユニバーサル基板のピッチ2.54mmに実装するためにピッチを変換するための基板です。

また、開発後の基板の機能拡張に伴い、周辺機器との接続を実現するためにも変換基板を使用します。マイコンボードに搭載されている通信端子を使用してサーボモータやLED等の周辺機器を接続することで、簡単に制御ができるようになります。

変換基板の使用用途

変換基板の使用用途は、ICやLSIならびにマイクロプロセッサを搭載する回路の設計検証です。変換基板を含む評価環境で設計検証を行い、設計完了後には最終的な製品化にあたり、専用の基板を制作します。

設計完了後は変換基板は使用せず、製品基板はIC、LSI、マイクロプロセッサを製品用専用基板に直接実装した基板です。理由として、変換基板を使用する分だけコストがかかることが挙げられます。

ただし、設計期間が限られていたり、制作する製品基板の数がさほど必要ではないような場合には、変換基板を使用したまま製品化を行うケースもあります。

変換基板の原理

1. マイコン基板との接続

変換基板はIC、LSIやマイクロプロセッサのピンピッチからユニバーサル基板のピンピッチ2.54mmへの変換を行います。マイコンピンには汎用入出力や通信などの機能が割り当てられており、変換基板のピンにも機能割り当てが行われています。

変換基板をマイコンに接続する際は、使用したいピン同士の機能が合う変換基板が必要です。適合する変換基板を接続することで、マイコンからの電気信号が変換基板を通して周辺機器に送信可能となります。

2. 評価プロセスでの使用

従来のICのピン間ピッチは2.54mmのものも多く、ユニバーサル基板に直接実装することができました。各種電子機器の小型軽量化および高機能化に伴い、これを制御するICやLSIおよびマイクロプロセッサは高機能化と小型化が進みました。

その結果、ピンピッチもどんどん狭くなり、直接ピンをあてて評価検証することが困難になります。このような中で変換基板を使うことで、ピン間ピッチを2.54mmとしユニバーサル基板へ実装可能となり、評価しやすい環境を作ることができます。

変換基板のその他情報

1. 対象基板の規格

変換基板によりSMD (Surface Mount Device: 表面実装部品) をPGA (Pin Grid Array) に変換するケースがあります。PGAとは、ICの底面に短いピンを格子状に配置したタイプのパッケージのことです。

SMDをDIP (Dual in Line Package) に変換する基板やSMDからメッキしたスルーホール基板などに変更し、さらにQFP (Quad Flat Package) 、SSOP (Thin Shrink SOP) 、MSOP (Mini/Micro SOP) 、SOP (Small Outline Package) の形態への変換基板もあります。

変換基板にICをはんだ付けした後に、変換基板から出ているピンをスルーホールにはんだ付けし、ユニバーサル基板へ挿入します。

2. 機能拡張で使用する変換基板

機器制御用マイクロコンピュータは、周辺の部品と共に基板上に実装されます。製品化完了後、機能拡張が必要となり、例えばLCDやLED等の表示部が必要となると、データの変換基板が必要です。

変換基板側に、サブマイコンおよび周辺部品を実装します。そして、もともとシステム制御を行っていたマイコンと新設したサブマイコン間の通信により機能を拡張させるといった用途に変換基板を使用します。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_control/E2200000000/E2204000000/E2204030000/

ポテンショメーター

ポテンショメーターとは

ポテンショメーター

ポテンショメーターとは、回転角や移動量を電圧に変換する機器・素子のことです。

抵抗体と抵抗体の表面を移動する摺動子 (しゅうどうし・ワイパー) からできており、摺動子の移動により抵抗値を自在に可変できる特徴があります。

このように、ポテンショメーターは可変抵抗の1形態であることから、英語圏の国々では可変抵抗のことをポテンショメーター (英: potentiometer) と呼んでいます。

ポテンショメーターの使用用途

1. 可変抵抗値

ポテンショメーターは、電流の量を調整したり電圧を調整したりする働きがあります。自由に好きな抵抗値に設定することができるという特徴を生かし、ポテンショメーターは以上のような回路上の役割を果たしています。

民生用機器としては、オーディオ機器の音量制御等の各種ボリューム調節用、ゲーム機のコントローラ等に使用されています。

2. 変位センサー

もう1つの機能として、変位センサーの役割をポテンショメーターは持っています。被測定物までの距離や寸法などの測定が可能なものを変位センサーと言います。

車などのワイパを動かしてその位置が変化した場合、この変位センサーの機能を使い距離や寸法などを測定することが可能です。安価で比較的精度も高いポテンショメーターは、産業機器向けの用途としても使用されています。

具体的な例は、船舶機器や医療機器、建築機械、工作機械などです。

ポテンショメーターの原理

1. 抵抗値の確定方法

ポテンショメーターは摺動子 (可動部) が抵抗体の上を動いて移動した場合、抵抗体の停止した場所により抵抗値が決まります。一定の電圧を抵抗体から出ている2つの端子にかけ、3本目の端子から摺動子 (ワイパー) の移動する位置により異なる出力がなされます。

抵抗体の表面に均一な抵抗物が塗られているため、長さあたりの抵抗値は同じになり、摺動子 (ワイパー) の移動位置で抵抗値は確定します。

2. 変位センサーへの利用方法

以上の仕組みを利用し、実際に出力された電圧から変位量を測定します。この測定結果を変位センサーとして利用することも可能です。

さらに、システムコントローラにアナログ量を入力して制御させたり、サーボモーターの出力状態の検出したりする際に使われます。

ポテンショメーターの種類

ポテンショメーターは、リニアポテンショメーターとロータリーポテンショメーターがあります。前者は直線上の位置を検出するタイプで、後者は回転角度を検出するタイプです。

ロータリー型には単回転型と多回転型とがあり、これは導電性プラスチックなどを使用しています。精度を高める目的で、抵抗値の変化が移動量に対してリニアになるように慎重に製作されています。

他の分類方法として、接触型と非接触型があります。接触式にはセラミックと金属を混合したサーメット抵抗素子型、巻線抵抗素子型およびコンダクティブプラスチック抵抗素子型などの種類があります。

ポテンショメーターのその他情報

デジタルポテンショメーター

上記で説明したアナログポテンショメーターに対して、これらの欠点をカバーする機器がデジタルポテンショメーターです。コントローラー側でアナログ方式のポテンショメーターの摺動部を設定する電子部品を指します。

IC内部に存在する集合抵抗をコントローラーからの制御で切り替えていきます。可動部がないため摩耗することがなく、高精度の抵抗値を安定して得ることが可能で、ノイズも発生しません。そのため、寿命が長く高性能という特徴があります。

アナログ方式およびデジタル方式のポテンショメーターには個々の特徴があるので、使用する回路で要求されるスペック、コストを考え、いずれを使うべきかの判断を行うことが重要です。

参考文献
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/analog_devices/115321/
https://www.aor.co.jp/glossary/syllabary/potentiometer/
https://engineer-education.com/variable-resistor/
https://book.mynavi.jp/files/topics/56029_ext_90_0.pdf
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/2814/

デジタルレコーダ

デジタルレコーダとは

デジタルレコーダ

デジタルレコーダとは、音声や映像データをデジタル形式で捉え、保存する装置のことです。

この装置は監視カメラの記録から、会議や講演の記録、さらには音楽制作やフィールドレコーディングまで、あらゆるシーンで活躍しています。データはハードディスクやSDカードなどに保存され、デジタルの特性上、保存期間が長く、再生時の品質劣化がほとんどありません。

また、デジタル化されたデータは編集や共有が容易で、様々な用途に応じた活用が可能です。これらの特性により、デジタルレコーダは我々の生活や仕事の情報管理に不可欠なツールとなっています。

デジタルレコーダの使用用途

デジタルレコーダは映像や音声をデジタルデータとして記録できるため、用途は極めて多岐に渡ります。

1. セキュリティ

デジタルレコーダは、商業施設や住宅のセキュリティシステムの中心的な役割を果たします。防犯カメラからの映像を高解像度で記録し、必要に応じて瞬時に再生が可能です。これにより、不審な動きや事件の発生を迅速に検知し、対応が可能になります。

2. 監視

デジタルレコーダは、工場や施設の運用監視にも使用されます。設備の動作状況や作業の進行を記録し、後から詳細に分析して、問題の早期発見や改善策の策定を支援します。

3. 教育

教育現場でもデジタルレコーダの活用が進んでいます。授業の内容を記録し、生徒や教師が後から確認して、理解の深化や教育方法の改善につながります。また、オンライン教育の普及に伴い、授業内容のストリーミングや保存にも重宝されています。

4. エンターテインメント

映画や音楽、テレビ番組の制作で、デジタルレコーダは欠かせないツールとなっています。現場での音声や映像を高品質で記録し、後の編集や配信に使用します。また、ライブイベントの記録やアーティストのデモテープ作成にも使用されます。

5. バックアップ

デジタルレコーダはデータのバックアップにも利用されます。重要な映像や音声データを安全に保存し、データロスのリスクを軽減します。また、記録されたデータは、必要に応じて容易にアクセス、共有、再生可能です。

デジタルレコーダの原理

デジタルレコーダは、音声や映像をデジタル信号として記録・保存する装置であり、その基本的な原理は「サンプリング」「量子化」「圧縮」の3つです。

1. サンプリング

この過程では、連続的なアナログ信号 (音声や映像) を一定の間隔でサンプル (抽出) し、それを一連の離散的なデータ点として表現します。このサンプリングレート (サンプルを取る頻度) は、録音の品質に大きく影響します。例えば、CDの音声は1秒間に44,100回のサンプリングが行われることで、高品質な音声を再現しています。

2. 量子化

サンプリングによって得られたデータ点は、次に量子化過程を経てデジタル信号に変換されます。これは、各データ点を一定のステップサイズで近似し、それを二進数 (ビット) で表現する過程です。量子化ビット数が多いほど、録音の精度が高くなります。

3. 圧縮

デジタルレコーダに使われる動画圧縮の方式はいくつかありますが、最も一般的に使われるのは以下の3つです。これらの動画圧縮方式は、デジタルレコーダで記録される映像の量を大幅に削減し、ストレージの効率的な使用を可能にします。

H.264 
H.264は現在最も広く使われている動画圧縮の方式で、高品質な動画を低ビットレートでストリーミングできます。これにより、大容量のビデオデータを効率的に保存したり、インターネット経由で送信したりが可能になります。

H.264はデジタルレコーダだけでなく、Blu-ray Disc、ウェブビデオ、モバイルビデオなど、広範なアプリケーションで利用されています。

H.265
H.265はH.264の後継として開発された動画圧縮の方式で、H.264と同等の画質を、さらに低いビットレートで提供できます。これは特に4Kや8Kのような超高解像度ビデオの圧縮に有用で、デジタルレコーダでの長時間録画や、ネットワーク帯域を節約する場合に活用されます。

MPEG-4
MPEG-4は動画だけでなく、音声や3Dオブジェクトなど、様々なメディアデータを圧縮するための方式です。MPEG-4 Part 2 (通常はDivXやXvidと関連付けられる) はかつて広く使われていましたが、現在ではMPEG-4 Part 10 (別名H.264) が主流となっています。

デジタルレコーダのその他情報

デジタルビデオレコーダの活用

デジタルビデオレコーダの製品の中には、PCやスマートフォンを使用して、リモートでデジタルビデオレコーダを操作が可能なモデルもあります。

例えば、外出先から、宅内の様子を確認するために、スマートフォンを使い、デジタルビデオレコーダにアクセスし、記録された映像により例えば宅内の様子に不審な点がないかの確認をするような使い方が可能です。 

参考文献
https://nvr.bz/basic/

イーサネットスイッチ

イーサネットスイッチとは

イーサネットスイッチ

イーサネットスイッチとは、コンピュータネットワークの中継を行うとともに効率的な通信をサポートするハードウェアデバイスです。

コンピュータの通信はイーサネットが主流のため、スイッチングハブとほぼ同義です。

ハブは通信データが入力された場合、接続された全ての機器にデータを再送出します。一方、イーサネットスイッチは入力データの中に含まれる相手先機器アドレスを読み出して、先方の機器にのみ通信データを再送信します。したがって、ハブと比較して高速かつ高度なトラフィック制御を提供します。 

イーサネットスイッチの使用用途

イーサネットスイッチはOAネットワークにおいて重要な役割を持つ機器です。以下はイーサネットスイッチの使用用途一例です。

1.  ローカルエリアネットワーク(LAN)の接続

複数のコンピューターやサーバーなどのOAデバイスを接続し、通信を制御するために使用されます。ネットワーク負荷を低減しつつ円滑に各機器を中継します。

2. ネットワークセグメンテーション

ネットワーク上のデータを分割し、通信の効率性と安全性を向上させるために使用されます。一例として、企業ネットワークの部門分割があります。部門ごとにセグメントを作成することでセキュリティを強化したり、通信速度を改善したりすることが可能です。

3. ネットワーク拡張

異なる場所にある複数のLANを接続するために使用されます。企業が別の地域に支店を開設する場合、支店と本店のこにゅにケーション向上のためにネットワークでつなぐ必要があります。イーサネットスイッチを使用することで、支店ネットワークを本部ネットワークに接続することが可能です。

4. ネットワーク監視

イーサネットスイッチを使用して、ネットワーク上のトラフィックを監視することが可能です。ネットワーク上のトラブルや接続されたデバイスの状態などをモニタリングし、問題が発生した場合には管理者に通知することが可能です。

イーサネットスイッチの原理

イーサネットスイッチはデータリンク層に位置するネットワークスイッチで、イーサネットプロトコルを使用してデータを転送します。MACアドレスを含む「フレーム」と呼ばれるデータ単位で通信します。

まず、接続されたデバイスからデータフレームを受信し、そこに含まれる宛先MACアドレスを調べます。宛先MACアドレスを確認した後に自身のMACアドレステーブルを使用して宛先ポートを決定し、データフレームを直接送信されます。その後、必要に応じてMACアドレスとポート情報を自身のMACアドレステーブルに追加または更新します。

MACアドレスはデータリンク層の中で定義されていることから、イーサネットスイッチのことをレイヤ2スイッチまたはL2スイッチとも呼ばれます。

データリンク層とはOSI7階層モデルによって定義された階層です。OSI7階層モデルはISOによって定義されたネットワーク通信規格です。イーサネットスイッチは、相互に通信する機器間のデータの受け渡しを定めた第2層 (データリンク層) 用機器に分類されます。

イーサネットスイッチの選び方

イーサネットスイッチを選ぶ際にはポート数、速度、サポート機能などを考慮して選択します。

ポート数は接続するデバイスの数やネットワークの規模に応じて選択します。一般的なスイッチは8ポート~48ポート程度です。

速度はデータ転送の速度に影響を与えます。一般的なスイッチは、10/100Mbpsまたは1,000Mbps (ギガビットイーサネット) です。高速な機器を選択すると高速なネットワーク通信を実現できますが、コストが高くなる可能性があります。

サポート機能はセキュリティやVLAN機能などを指します。VLANはネットワークを仮想的に分割し、セキュリティや管理性を向上させるために使用されます。その他にもリモート設定・監視機能やビデオ・音声などのリアルタイム通信を優先するQoS機能等があります。

イーサネットスイッチのその他情報

イーサネットスイッチとルーターの違い

イーサネットスイッチはデータリンク層で動作するのに対して、ルーターはより上位のネットワーク層で動作します。イーサネットスイッチはMACアドレスを使用してデータ転送しますが、ルーターはIPアドレスによってデータ転送します。したがって、ルーターのほうがより広域のネットワーク使用されます。

あるデータが転送される際には、まずはイーサネットスイッチにファイルが送られます。イーサネットスイッチはルーターにファイルが送り、複数のルーターを経由して宛先のイーサネットスイッチにファイルを届けます。最後にスイッチから宛先端末にファイルを伝送します。

LAN内ではイーサネットスイッチによって高速かつ近距離の通信を行い、より広域の世界ではルーターによって通信を行うように設計されます。

参考文献
https://jp.rs-online.com/web/c/semiconductors/interface-ics/ethernet-switch-ics/
https://thinkit.co.jp/story/2015/04/30/5800

ベベルギヤ

ベベルギヤとはベベルギヤ

ベベルギヤとは、垂直に配置した2つの軸の間で回転動力を伝達する円錐形の歯車のことです。

傘歯車とも呼ばれます。工作機械や産業用ロボット、自動車のデファレンシャルギヤなど多くの機械において実績があり、回転方向や回転速度を変更する減速機としての利用も可能です。伝達する動力が大きい場合や高速回転時の騒音を抑えたい場合には、歯面が曲線状に捻れているスパイラルベベルギヤ (曲がり歯傘歯車) が使用されます。

ベベルギヤの使用用途

ベベルギヤは、回転軸の動力を直行する軸に伝達する機構として使用される場合が多いです。世の中の産業用機械で広く用いられています。特に自動車や列車では、エンジンやモーターによって生み出された回転出力を任意の直角方向に伝達する機構としてベベルギヤが使われます。

また、平歯車と同様に歯車の歯数を変更すると、動力の回転数とトルクを変換することが可能であるため、減速機としての機能も有しています。ベベルギヤを介して2つの回転軸を直線状に接続することにより、2軸間の動力伝達をしながら回転数の差を吸収する特性を利用可能です。

これは、特に自動車が右左折する際に左右の車輪の回転速度の差を許容するデファレンシャルギヤ (差動装置:デフ) として使用されており、ベベルギヤは自動車がスムーズにカーブを曲がるための重要な構成部品になります。

ベベルギヤの原理

ベベルギヤの動作原理は、広げた傘のような円錐面上に歯を刻んだ2つの歯車同士を組み合わせることで、平行でない (例えば直角に配置されている) 歯車の中心の軸と軸の間の回転動力を、効率よく伝達することを可能としている点にあります。ベベルギヤの歯は一般的な平歯車と同様に歯の噛み合いによって動力を伝達するため摩擦力の影響を受けにくく、動力伝達効率は98%以上を実現しています。

ただし、軸の回転速度を大きく設定しすぎると歯が接触する際の衝撃力が騒音となって生じ、伝達効率も低下してしまいます。回転速度が大きい場合には、歯の接触面積が大きいスパイラルベベルギヤを使用することで、騒音を防ぐことが可能です。スパイラルベベルギヤは強度においても優れるため、伝達する力が大きい場合や減速比を大きく設定したい場合などに有効であると言えます。

ベベルギヤの種類

ベベルギヤには、通常のベベルギヤのほかに、、スパイラルベベルギヤやハイポイドギヤ、ゼロールギヤ、マイタギヤなどがあります。

1. スパイラルベベルギヤ

ベベルギヤの歯面が螺旋状の渦巻きの歯を有しており、かみ合わせ時の歯面への負担が少なく高速回転時の騒音が小さいのが利点です。曲がり歯傘歯車とも呼ばれます。

2. ハイポイドギヤ

スパイラルベベルギヤの直交軸のピニオン側をオフセットさせたベベルギヤです。軸をずらすことでベベルギヤに比較してかみ合い率を高めて回転のトルクを大きくすることができますが、伝達効率は下がります。

3. ゼロールギヤ

ストレートベベルギヤ (すぐ歯傘歯車) とスパイラルベベルギヤ (曲がり歯傘歯車) の特徴を併せ持つベベルギヤです。ねじれ角がゼロである点が特徴です。

4. マイタギヤ

ベベルギヤのうち、軸角度が90°で歯数が1:1であるものを言います。変速の必要がなく、回転軸を変換させたいだけのときに使われます。

ベベルギヤのその他情報

ベベルギヤのピッチ円直径

ベベルギヤは歯車が噛み合う位置が設定されており、この位置を示す円の直径がピッチ円直径です。2つの軸をベベルギヤにより接続する際には、互いのベベルギヤのピッチ円が接触する距離で配置する必要があります。据え付けに大きな誤差がある場合は、伝達効率が大きく低下してしまいます。

平歯車と同様に、ベベルギヤの歯形はインボリュート形状となっているため多少の誤差は許容されますが、設置する際には注意しましょう。また、ハイポイドギヤのように、かみ合い率が大きく減速比率 (回転トルク) が大きいベベルギヤではその分発熱量も増加するため、専用のギヤオイルが必要です。

ちなみに、ハイポイドギヤは焼き付き防止の専用オイルが実用化されたことを受け、自動車用にギヤとして実用化された開発の経緯を有します。

参考文献
https://www.khkgears.co.jp/khk_products/Bevel.html
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/kikaikiso_0108/
https://www.zurich.co.jp/car/useful/guide/cc-whatis-differential-gear/