ポテンショメーターとは
ポテンショメーターとは、回転角や移動量を電圧に変換する機器・素子のことです。
抵抗体と抵抗体の表面を移動する摺動子 (しゅうどうし・ワイパー) からできており、摺動子の移動により抵抗値を自在に可変できる特徴があります。
このように、ポテンショメーターは可変抵抗の1形態であることから、英語圏の国々では可変抵抗のことをポテンショメーター (英: potentiometer) と呼んでいます。
ポテンショメーターの使用用途
1. 可変抵抗値
ポテンショメーターは、電流の量を調整したり電圧を調整したりする働きがあります。自由に好きな抵抗値に設定することができるという特徴を生かし、ポテンショメーターは以上のような回路上の役割を果たしています。
民生用機器としては、オーディオ機器の音量制御等の各種ボリューム調節用、ゲーム機のコントローラ等に使用されています。
2. 変位センサー
もう1つの機能として、変位センサーの役割をポテンショメーターは持っています。被測定物までの距離や寸法などの測定が可能なものを変位センサーと言います。
車などのワイパを動かしてその位置が変化した場合、この変位センサーの機能を使い距離や寸法などを測定することが可能です。安価で比較的精度も高いポテンショメーターは、産業機器向けの用途としても使用されています。
具体的な例は、船舶機器や医療機器、建築機械、工作機械などです。
ポテンショメーターの原理
1. 抵抗値の確定方法
ポテンショメーターは摺動子 (可動部) が抵抗体の上を動いて移動した場合、抵抗体の停止した場所により抵抗値が決まります。一定の電圧を抵抗体から出ている2つの端子にかけ、3本目の端子から摺動子 (ワイパー) の移動する位置により異なる出力がなされます。
抵抗体の表面に均一な抵抗物が塗られているため、長さあたりの抵抗値は同じになり、摺動子 (ワイパー) の移動位置で抵抗値は確定します。
2. 変位センサーへの利用方法
以上の仕組みを利用し、実際に出力された電圧から変位量を測定します。この測定結果を変位センサーとして利用することも可能です。
さらに、システムコントローラにアナログ量を入力して制御させたり、サーボモーターの出力状態の検出したりする際に使われます。
ポテンショメーターの種類
ポテンショメーターは、リニアポテンショメーターとロータリーポテンショメーターがあります。前者は直線上の位置を検出するタイプで、後者は回転角度を検出するタイプです。
ロータリー型には単回転型と多回転型とがあり、これは導電性プラスチックなどを使用しています。精度を高める目的で、抵抗値の変化が移動量に対してリニアになるように慎重に製作されています。
他の分類方法として、接触型と非接触型があります。接触式にはセラミックと金属を混合したサーメット抵抗素子型、巻線抵抗素子型およびコンダクティブプラスチック抵抗素子型などの種類があります。
ポテンショメーターのその他情報
デジタルポテンショメーター
上記で説明したアナログポテンショメーターに対して、これらの欠点をカバーする機器がデジタルポテンショメーターです。コントローラー側でアナログ方式のポテンショメーターの摺動部を設定する電子部品を指します。
IC内部に存在する集合抵抗をコントローラーからの制御で切り替えていきます。可動部がないため摩耗することがなく、高精度の抵抗値を安定して得ることが可能で、ノイズも発生しません。そのため、寿命が長く高性能という特徴があります。
アナログ方式およびデジタル方式のポテンショメーターには個々の特徴があるので、使用する回路で要求されるスペック、コストを考え、いずれを使うべきかの判断を行うことが重要です。
参考文献
https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/analog_devices/115321/
https://www.aor.co.jp/glossary/syllabary/potentiometer/
https://engineer-education.com/variable-resistor/
https://book.mynavi.jp/files/topics/56029_ext_90_0.pdf
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/2814/