ファイバーレーザー溶接機についての概要、用途、原理などをご説明します。また、ファイバーレーザー溶接機のメーカー11社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。ファイバーレーザー溶接機関連企業の2024年3月注目ランキングは1位:株式会社共和、2位:株式会社アマダ、3位:株式会社群協製作所となっています。
監修:株式会社 共和
ファイバーレーザー溶接機とは、ファイバーレーザーを使用して金属やその他の材料を溶接するための装置です。
ファイバーレーザーは、光ファイバー内でレーザー光を発生させるレーザーの一種です。 光ファイバーの特性により、ファイバーレーザーは焦点性能が高いという特徴を有します。高エネルギー密度の光を生成することができるため、溶接プロセスに適しています。
ファイバーレーザー溶接機はエネルギー密度が高い光を生成するため、素材を素早く溶接することができます。また、高い制御性能により、溶接ビードの形・幅・高さにおいても非常に精密で均一な溶接が可能であり、熟練度に関わらず初心者でも扱いやすいという特徴があります。厚い材料の溶接や、多層の材料の溶接も容易に行えます。
YAG溶接(ヤグ溶接)や、TIG溶接(ティグ溶接)と比べて3〜10倍のスピードで溶接することができるため、人手不足の解消や熟練溶接工不足の解消に繋がります。また完全溶け込み溶接においても、ファイバーレーザー溶接の方が強度面でも優れています。またエネルギー変換効率が約30%程と高く、ランニングコスト(電気代)もTIG溶接機の約1/5程度に抑えられます。
ファイバーレーザー溶接は、直線的な熱源を利用するため、熱影響の範囲が狭く、素材の溶接焼け・熱変形・ひずみが少ない、高い制御性能による設定でスパッタ付着を軽減できる、など後工程の時間も大幅に短縮することができ、生産工程全体の生産性を大幅に高めることができます。
レーザーの中でも波長が短いファイバーレーザーは、エネルギーが強く、鉄に加えてステンレス、チタンなどの強度の高い素材も溶接が可能です。またCO2レーザーなどと比較しても素材への吸収率が高いため、アルミなどの高反射材でも溶接部の温度が上がりやすく、うまく溶接ができる、などの特徴があります。
また上記の通り溶接速度が速く、扱いやすいファイバーレーザー溶接機は協働ロボットなどによる自動化にも適しています。
図1. 溶接シーン
ファイバーレーザー溶接機は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。
溶接による焼けや歪みが少ないファイバーレーザー溶接機は、薄板板金の溶接に適しています。またきれいで滑らかな溶接ビードが出せるため、外観の美しさを求められる板金部品の溶接加工にも最適です。
ファイバーレーザー溶接機は、歪みが少なく、気密性の高い溶接ができるため、製缶加工の溶接に適しています。
高精度で溶接による歪みが少ないファイバーレーザー溶接機は、プラント配管の溶接にも適しています。
建築金物等の溶接にもファイバーレーザー溶接機は適しています。
高品質が求められる自動車用部品や高精度溶接を求められる機械部品等の加工に適しています。
ファイバーレーザー溶接機の核心部分は、光源であるファイバーレーザー装置です。光ファイバー内でレーザー光を発生させる装置であり、高いエネルギー密度の光を生成します。光ファイバーのコア領域には、通常は希土類ドープされた材料が使用されます。
また、光ファイバーから出力されるレーザー光を制御し、焦点を調整するための光学系が搭載されています。レンズやミラーなどがその一例であり、これらに加えて制御装置でレーザーの出力や焦点位置、溶接パラメータなどを制御し、細かい設定が可能。製品によっては材質・板厚を設定し登録しておくこともできます。
ファイバーレーザーはファイバー内に希土類ドープされたコア領域を通過する光の励起により、レーザー光が発生する原理です。レーザー光を生成するために用いられるドープ物質としては、イッテルビウムやエルビウムなどが使用されます。
光ファイバー内に半導体レーザーからの光を送ると、ドープされたコア領域の原子が励起され、エネルギーが放出されます。この放出されたエネルギーが他の原子と相互作用し、共鳴する光が反射され、光増幅が起こります。これにより、光がレーザー光として放出されます。
図2. 協働ロボット
ファイバーレーザー溶接機を選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。
ファイバーレーザー溶接機のレーザー出力は、レーザー光の出力パワーを示す指標です。必要な出力は溶接する素材の厚さや溶接速度によって異なります。高い出力の製品の方がより速い溶接速度を可能にし、厚い材料の溶接に適しています。また仕様のレーザー出力以上の仕事はできませんので、将来的な仕事の拡大も視野に、大きめのレーザー出力の機種を選定することをおすすめします。
ファイバーレーザー溶接機はビーム径が細いというデメリットがありますが、溶接ワークの隙間(ギャップ)を埋めるためのスイングビームシステムが付属することもあります。スイングビームシステムはレーザー光を一定点を軸に左右に振るシステムで、深い溶け込みだけでなく、薄板のワーク間ギャップ溶接でも溶け落ちなく高速溶接対応でき、溶接の精度が向上します。
またダブルウォブルというシステムでは、レーザービーム形状が8種類あるものもあり、ブローホール防止に効果を発揮します。
ファイバーレーザー溶接機では、溶接ワイヤを使用できるタイプもあります。溶接ワイヤを使用することにより、溶接強度が大幅に向上します。また溶接ワークの隙間(ギャップ)を埋めることも可能となります。またダブルワイヤフィーダーを使用することにより、2本のワイヤ供給が可能となり、厚い肉盛り溶接で脚長を実現することができます。
図3. ダブルワイヤフィーダー
ファイバーレーザー溶接機には、レーザーヘッドや光ファイバーを冷却するための冷却装置が必要です。主な冷却方式は水冷式や空冷式です。水冷式は一般的に安定した稼働が期待できるメリットがある一方、溶接機の大きさが大きくなるというデメリットがあります。
空冷式は一般的には水冷よりは安定性に劣るデメリットがある一方、溶接機の大きさを小さくできるというメリットがあります。工場の広さや連続使用する時間など、使用環境に合わせて最適な冷却方式を選択する必要があります。
ファイバーレーザー溶接機のレーザー光(クラス4)は、高エネルギー密度であるため、日本工業規格に定められた適切な取り扱いが必要です。レーザー光の中でも、ファイバーレーザーの波長は目に見えない「不可視光レーザー」となり、分類は「クラス4」です。
ファイバーレーザー溶接機を選ぶ際には必ず「クラス4」対応の製品(キーコントロール、インターロック接点、パーテーションなど)やサービス(作業者への安全教育実施)を選ぶ必要があります。
ファイバーレーザー溶接機は、消耗品交換やメンテナンスが必要な機械です。購入後もサービス対応ができる体制かどうかをしっかりと確認しておきましょう。また保証期間についても最低でも1年以上の保証があるものが安心です。溶接についての専門的なアドバイスができる体制があれば、さらなる溶接品質向上にもつながります。
ファイバーレーザー溶接機の中には、溶接だけでなく、切断・焼け取り・クリーナーなどの機能を兼ね備えた、4in1(3in1)の機種もあります。1台でファイバーレーザーの能力を最大限発揮できるものです。仕事内容に合わせて選択しましょう。
本記事はファイバーレーザー溶接機を製造・販売する株式会社 共和様に監修を頂きました。
株式会社 共和の会社概要はこちら
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
2024年3月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 株式会社共和 |
12.3%
|
2 | 株式会社アマダ |
12.3%
|
3 | 株式会社群協製作所 |
12.3%
|
4 | Demark(Wuhan)Technology Co.、Ltd. |
10.8%
|
5 | 日本アビオニクス株式会社 |
10.8%
|
6 | 株式会社エイム |
9.2%
|
7 | 済南 AccTek 機械有限公司 |
7.7%
|
8 | 株式会社smartDIYs |
7.7%
|
9 | ティー・エイチ・エム株式会社 |
7.7%
|
10 | HGTECH Co.,Ltd |
4.6%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2024年4月のファイバーレーザー溶接機ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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