アルミパイプ曲げ加工とは

アルミパイプ曲げ加工とは、アルミ製のパイプを特定の形状に曲げる加工技術です。
軽くて耐食性にも優れ、加工もしやすいアルミの特性から自動車や建築、家具、機械部品など広い分野で利用されます。用途に応じ、さまざまな種類や太さのパイプを製造可能です。
アルミパイプ曲げ加工には、ベンダーと呼ばれる専用曲げ工具が使用されます。中が空洞のパイプを扱うため、曲げた際に傷がつかないよう、加工方法や工具の選定に工夫が必要です。
アルミパイプ曲げ加工の使用用途
アルミパイプは軽量・耐食性・加工のしやすさという特性から、さまざまな業界で使用されます。
1. 産業設備製造
工場の生産ラインや自動化設備では、軽量かつ強度のあるフレームや配管を支える設備として使用されます。特にロボットアームのフレームやコンベアの支柱など、精密な動作が求められる装置で不可欠です。
2. 自動車
自動車のフレームやシャーシの軽量化のために使われます。ロールバーやマフラーのパイプなど、安全性や耐熱性を求められる部品にも必要です。
3. 建築
建築物の手すりやガードレールなど、屋外でも腐食しにくい部材として使用されます。サッシフレームやカーテンウォールを支える材料にも利用され、デザイン性と耐久性を両立しています。
4. 医療
車いすのフレームや歩行補助器具など、軽量で扱いやすい医療機器に不可欠な材料です。ストレッチャーや介護ベッドのフレームにも採用され、移動時の負担軽減に貢献しています。
5. 電子機器
エアコンや冷蔵庫の配管など、耐久性と熱伝導性が求められる部品に利用されます。スピーカースタンドやカメラリグなど、振動を抑えつつ軽量化を求められる機器への活用事例も多いです。
アルミパイプ曲げ加工の原理
アルミパイプの曲げ加工では、材料の特性に応じ適切な加工条件の設定が重要です。特に以下の4つの原理が曲げ品質に大きく影響します。
1. 圧縮応力
曲げ加工では、パイプの内側に圧縮応力が発生します。これは曲げた部分が内側へ押し縮められる際に生じる力です。適切に制御しないと材料が変形し、シワの原因になります。
2. 引張応力
パイプの外側には引張応力が働きます。これは曲げた際に外側が引き伸ばされることで発生する力です。適切な加工条件を設定しないと外側に亀裂が入り、破断の原因になります。
3. 最小曲げ半径
最小曲げ半径は、材料が破損せずに曲げられる最小半径です。パイプの板厚や材料の伸びやすさによって変化します。無理に小さな半径で曲げると、外側が損傷しやすくなります。
アルミパイプ曲げ加工の種類
アルミパイプ曲げ加工は、曲げたあとの加工方法で分類されています。加工方法は押し曲げ、圧縮曲げ、回転引き曲げ、3次元曲げが一般的です。
1. 押し曲げ
最もシンプルな加工方法で、パイプの両端を固定して曲げ部分に型を押し当てて曲げます。
2. 圧縮曲げ
曲げる加工で使う金型の種類によって主に曲げ型、締付型、圧力型の3種類があります。
3. 回転引き曲げ
パイプを専用型に引き込みながら曲げる方法です。高い寸法精度を求められる自動車部品や建築資材の製造に適します。
4. 3次元曲げ
固定型と可動型の2種類を駆使して曲げていく加工を指します。通常の2次元曲げと異なり、汎用性に優れた加工方法です。
ほかにも、ロール回転曲げや引っ張り曲げなどがあります。ロール回転曲げはパイプを代表として、アルミ押出し材を円形、アーチ状、スパイラル上などに曲げ、引っ張り曲げは放物線や楕円などの曲げに適しています。
アルミパイプ曲げ加工の選び方
アルミパイプ曲げ加工は、加工方法の特性に合わせて選ぶことが大切です。
1. 押し曲げ
品質よりも生産性を重視する用途に向いています。現在では現場配管用のハンドツールのほか、特定の形状に限定した専用曲げに用いられます。
2. 圧縮曲げ
3種類の曲げ治具のみでも、パイプを容易に曲げられる方法です。マンドレルを使うことなく曲げられ、安くて機械の作業性も良いです。パイプの2か所以上を同時に曲げたり、切断や曲げの自動加工に使用されます。回転引き曲げは応用範囲が広い加工方法です。
3. ロール回転曲げ
可動ロールの位置調整によって、自由に曲げ半径が決められ治具コストを節約できます。一般的に連続曲げや曲げ角度を2ヶ所以上設定できません。
4. 引っ張り曲げ
ロール成形材やアルミサッシュ材などの材料加工が多いです。航空機の機体やエスカレーターのような高い付加価値のパーツ加工に限定されます。設備コストや専有スペースも非経済的であり、作業性は劣りますが精密加工が可能です。