耐圧試験機

耐圧試験機とは

耐圧試験機とは、電気機器が高電圧状態に耐えられるか、その絶縁能力を確認するための機器です。

絶縁力が不十分だと、高電圧が適用された時、絶縁破壊が生じ、それが利用者の感電、機器の損傷、火災の発生、最悪の場合だと爆発にまで繋がる可能性があります。このような危険を回避するため、日本では電気用品安全法が制定され、各種電気機器が耐えなければならない、最低限の電圧レベルを定めています。

耐圧試験機は、その電気用品安全法で規定された電圧での検証をするために活用される機器です。

耐圧試験機の使用用途

耐圧試験機は、どのくらいの電圧まで耐えられるのかを確認する際に使用されます。絶縁破壊が起きた機器に直接触れたとき、人間の体を通じて地へと電流が流れるという経路が形成され、感電事故が生じます。

これを防ぐためには、機器から外へ電流が漏れないように全面的に絶縁することが効果的です。また、別の対策として、機器から電流が漏れた際に電流の流れを抵抗値がほぼゼロの経路に誘導する方法もあります。

通常、これらの対策は機器の設計段階で考慮されます。設計後、機器が想定通りの絶縁耐圧を持っているか確認するために耐圧試験機は有用です。

耐圧試験機の原理

耐圧試験機による検証では、通常使用される電圧の数十倍にあたる数キロボルトの交流あるいは直流電圧を機器に適用します。具体的な手法としては、電源の2つの端子間を短絡させ、この端子と機器の筐体やキャビネットなどの外部部分との間に一定時間、高電圧を印加します。

この高電圧印加後、機器の動作が試験前と同じであれば合格です。耐圧試験機による検証は、電気用品安全法などの法令に準拠して行われ、機器が規格を満たしているかの確認をするため、正確な試験が不可欠です。印加する電圧やその印加時間が正確でなければ、試験の価値は無いと言えます。

このため、耐圧試験機は定期的に校正を行う必要があります。校正用の標準機器を用意し、テスト対象の試験機の表示値が標準機器と比較してずれていないか確認し、調整を行います。適切な管理の一環として、校正された試験機には、校正日などを明記したステッカーを貼るのが一般的です。

耐圧試験機の構造

1. 電源部

電源部は、試験機自体への電源供給と高圧を生成するための電力変換を担当します。ACやDCの供給が可能なものや、特定の電圧・周波数範囲に対応したものがあります。

2. 高圧生成部

高圧生成部は特定の電圧を生成し、被試験体に供給する役割を果たします。安全な操作を保証するために、高圧生成部は通常、適切な絶縁材料で覆われています。

3. 制御部

制御部は、試験の設定と管理を担当します。通常はデジタルインターフェースを持ち、試験のパラメータ設定や結果の読み取りが可能です。

4. 測定部

測定部は試験中の電圧と電流を監視し、被試験体の耐圧性能を評価します。多くの場合、過電流または電圧異常が発生した際に試験を自動的に停止する機能を持ちます。

5. 出力部

出力部は高圧を被試験体に供給します。接続はプローブやクリップなど、さまざまな種類のコネクタを介して行われます。

それぞれの部分は、試験機の安全性、精度、信頼性に直結するため、耐圧試験機を選ぶ際は構成要素を理解しておくことが重要です。

耐圧試験機の選び方

1. 耐圧範囲

各耐圧試験機は、特定の電圧範囲に対応しています。試験したい製品の電圧範囲と試験機の耐圧範囲が一致することを確認する必要があります。

2. 絶縁抵抗計測機能の有無

絶縁抵抗を試験することも、重要な検査の一部です。この機能がある機種を選ぶと、より包括的なテストが可能になります。

3. 信頼性と安全性

メーカーの信頼性と機器の安全性も考慮するべきです。メーカーが規格を満たしていることを証明する適切な認証を持っているかどうか、事前に確認しておくと安心です。

4. 操作性と視認性

使いやすさと読み取りやすさも重要な選択基準です。大きくて明瞭なディスプレイと直感的な操作性を持つ製品だと、作業をスムーズに行えます。

5. サポートとメンテナンス

購入後のサポートとメンテナンスが確実に提供されることも重要です。サポート体制が整っているメーカーであれば、万が一のときに対応してくれます。

参考文献
https://kesoku-blog.com/?p=1730
https://www.hioki.co.jp/jp/products/listUse/?category=35
https://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/?d=safetytest

精密ステージ

精密ステージとは

精密ステージ

精密ステージとは、X軸方向およびY方向、あるいは回転方向に精密に動かすことができるステージです。

機種によって移動可能な軸が異なり、1軸~4軸以上まで様々な種類の精密ステージがあります。

ステージの移動はピッチが小さい送りねじが使用されており、マイクロメーターや減速機付きモーターを使用してマイクロメートルオーダーでテーブルを動かすことができるため、極小サイズのサンプルの観察などに使用されます。

精密にステージを動かせる反面、ステージを動かすことのできる可動域は数センチメートル程度と小さいため、ステージを大きく移動させたい用途には不向きとなります。

精密ステージの使用用途

精密ステージは、X軸、Y軸、Z軸、その他3軸の回転方向など各軸方向を精密に独立して動かすことができるため、サンプルに位置を正確に制御したい場合に使用されます。

半導体素子を始めとした微小物体を観察するための顕微鏡のステージとして使用する場合や加工機械を用いて精密な加工を行うためのワーク固定用ステージとする場合、光学レンズ検査時の光軸合わせなどの検査用ステージなどとして使用する場合、高精度の位置決めで部品を接合するためのステージとして使用される場合があります。

精密ステージの原理

精密ステージは高精度のリニアガイドと送りねじ、送りねじを回転させるためのマイクロメータまたは減速機付きモータによって構成されており、可動軸の数だけこれらの機構が組み込まれています。送りねじを1回展させるとねじのピッチ分(コンマ数ミリメートル程度)ステージが移動します。

マイクロメータを使用する場合には、マイクロメータに刻まれた特殊な目盛りを読み取ることで移動量を把握することができます。

モータを使用する場合には、モータ内部にロータリーエンコーダが内蔵されており回転数を検知できるため、ステージの移動量を制御することができます。

精密ステージは使用用途によってX軸のみの1軸ステージからX軸とY軸の2軸ステージ、Z軸や回転を加えた3軸から6軸のステージと様々な製品が展開されています。6軸精密ステージで1軸のみを使用するようないわゆる大は小を兼ねる使い方をすることは可能ですが、精密ステージは可動軸数が多いほど価格も大きく上がるため必要最小限のスペックのものを選定することをおすすめします。

参考文献
https://www.orimvexta.co.jp/product/detail/?id=007001
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/d0015.html

空気抜き弁

空気抜き弁とは

空気抜き弁

空気抜き弁とは、水や油などの液体配管に混合する空気を排出するためのバルブです。

エアベントと呼ばれる場合もあります。

空気抜き弁は流体中に一定量以上の空気が混合していると自動的に空気の排出動作を行うため、配管中に接続しておくだけで特別な操作を必要とせずに機能します。

空気抜き弁を用いて液体配管から空気を抜くことで配管の輸送効率を向上させるとともに、配管や継手の振動や異音、ポンプの故障などを防ぐことができます。

空気抜き弁の使用用途

空気抜き弁は空気や油などの流体が流れる経路において空気を排出するために使用され、流体経路内において空気の混合が予想される箇所や空気が混合していると不都合な箇所に設置されています。

空気が混合しやすい箇所としては、加熱により内部の空気が膨張する温水ボイラやソーラーシステム、空気が溜まりやすい配管やタンクの頂部が挙げられます。また、空気が混合していると不都合な箇所としては、ポンプの入り口部などが挙げられます。

空気抜き弁の原理

空気抜き弁は排出口の開閉を行う弁体と弁座、弁体に接続されたフロートによって構成されています。流体内の混合空気量が少量の場合には、フロート位置は十分に高く弁体と弁座が接触することで閉じられています。流体内の空気量が増加すると水位の低下に伴ってフロートの位置も下がり、弁体と弁座が離れることによって排出口が開き、流体の圧力によって空気が排出されます。一定量の空気を排出した後に再度フロートが浮き上がり弁も閉じられます。以上のプロセスによって、空気抜き弁は手動操作や動力を必要とせずに自動で空気の排出動作を実行することができます。

また、空気抜き弁に吸気機能を加えることで流体経路内の負圧を解消できる機能を有したものを吸排気弁と呼びます。吸排気弁は一時的な断水時などに流体経路内が負圧になった場合に急速に空気を流入させ負圧を解消することで、経路内の逆流を防ぐことができます。

空気抜き弁は種類によって適用可能な流体と最低比重が規定されており、最低比重未満の比重の流体に対しては機能が保証されていません。ほとんどの空気抜き弁が水に対応していますが、油やその他の流体を扱う場合には、事前に空気抜き弁の選定作業が必要となります。

磁選機

磁選機とは

磁選機 (磁力選別機) とは、磁石によって対象物の中に含まれる金属類を取り除くための機器です。

磁石などを使用し、磁性物質を取り除きます。磁選機によって除去できる金属はスチール、ステンレスさらにはアルミニウムなど軽金属も含まれます。

数10ミリメートルから数マイクロメートル程度の微少な金属も除去可能です。

磁選機の使用用途

磁選機は、さまざまな産業分野において利用されます。代表的な使用用途は、鉄鋼業や鉱業における原料の選別です。

1. 鉄鋼業

鉄鋼業では、鉄鉱石やスクラップから鉄を分離するために使用されます。鉄鋼の製造プロセスでは純粋な鉄が必要なので、他の不純物を取り除く磁選機が重要な役割を果たします。

廃棄物やリサイクル素材中の磁性物質を取り除くためにも使用され、リサイクルプロセスの効率化や材料回収に寄与します。

2. 鉱業

鉱業では、鉱石や鉱砂中の磁性物質を分離するために使用されます。具体的には、鉄鉱石中の鉄分を取り除くときです。銅などの精錬業ではステンレスやアルミが有害な不純物となる場合があるため、磁選機によって排除します。

3. 食品・製菓・製紙・パルプ産業

食品・製菓・製紙・パルプ産業などでは、原材料内に混入した金属類を除去するために使用します。製造工程で微少金属が混入することもあるため、それらを除去して安全に製造するために必要不可欠な機器です。

4. セメント・飼料・肥料業

セメント・飼料・肥料業などでも、金属部品の除去を目的に使用されます。

磁選機の原理

磁選機の原理は比較的簡単で、磁性物質を引き寄せる磁力の作用を利用して非磁性物質との分離を行います。磁選機には、磁力を発生する磁石などが使用されます。

磁石は強力な磁場を生成し、磁性物質が引き寄せられます。磁性物質は磁力線に従って磁石に引き寄せられるため、磁選機の近くにある磁性物質は磁石に吸着します。

磁石の近くにある非磁性物質は、磁力に引き寄せられません。したがって、非磁性物質は磁選機内を通過することが可能です。このようにして、磁性物質と非磁性物質を分離することができます。

磁選機において磁力で引き寄せられた磁性物質は、回収や取り除くのための機構が用意されます。磁選機の回転ドラムやベルト上に付着した磁性物質は、圧縮空気などで取り除かれます。

磁選機の種類

磁選機には大きく分けてベルトコンベア式・吊り下げ式・ドラム式・湿式などの種類があります。

1. ベルトコンベア式

ベルトコンベア上に磁力体を配置し、物質を運搬しながら磁性物質を分離する装置です。ベルトコンベアは磁力体の上を通過するため、磁性物質は磁力体に付着して非磁性物質はベルトコンベア上を通過します。

ベルトコンベア式は、大量の物質を処理することができます。そのため、リサイクル産業や鉄鋼業などの高い生産性が要求される場面に適しています。

2. 吊り下げ式

吊り下げられた磁力体を使用して磁性物質を分離する装置です。磁力体はフレームや支持構造に取り付けられ、物質が通過する通路の近くに配置されます。磁性物質は磁力体に引き寄せられ、非磁性物質は通過します。

吊り下げ式はコンベアやパイプラインに組み込むことが可能です。そのため、既存のシステムに簡単に組み込んで利用することができます。

3. ドラム式

回転するドラム状の磁力体を使用して磁性物質を分離する装置です。物質はドラムに沿って通過し、磁性物質はドラムの表面に吸着します。一方、非磁性物質はドラムを通過して分離されます。ドラムの回転によって磁性物質は別の領域に移動し、回収または分離が行われます。

ドラムの表面に磁性物質が吸着するため、分離効果と効率が高い点が特徴です。

4. 湿式

液体環境中で使用される磁選機です。液体中に浮遊する磁性物質を分離するため、湿式の環境で運転されます。一般的には液体中に浮遊する磁性粒子をドラム状磁力体によって引き寄せて回収・分離します。

湿式環境では磁性物質が液体に沈降しやすく、回収率が高い場合があります。

参考文献
https://kenki-corporation.jp/2018/06/15/hanging-type-magnetic-separator/

磁気ビーズ

磁気ビーズとは

磁気ビーズとは磁性を持ったナノサイズの粒子のことです。食品やバイオ研究、医療分野で活躍しています。この磁力を用いて様々な物質の分離や精製を簡単に行うことができるのです。また、磁石を用いて磁気ビーズを動かすため、機械的な運動が必要かったり洗浄が簡単だったりするメリットもあります。また、多くの会社が磁気ビーズの開発を手がけており、その種類は様々です。均一な形状や強力な磁力、分散性や吸着性が求められます。

磁気ビーズの使用用途

磁気ビーズは様々な分野で活躍しています。例えば医療分野です。磁気ビーズを用いることで細胞や微少な細菌、たんぱくや核酸などの分離・精製ができます。代表的な応用技術は免疫沈降です。抗原の含まれる溶液に一次抗体を入れます。次にタンパク質や二次抗体を付着させた磁気ビーズを溶液に加えます。最後に外側から磁石を当てることで、磁気ビーズのみ壁面に吸着させることができます。これにより効率よく迅速に分離させることができるのです。

磁気ビーズの原理

磁気ビーズはその特性を活かして様々な分野で用いられます。ここでは、その代表的な特徴についてご紹介していきます。

  • 分離・精製に役立つ点
    磁気ビーズの最大の特徴はタンパク質や核酸などの分離・精製が簡単にできる点です。特定の官能基を持たせることが可能で、迅速に結合させたり取り除いたりすることができます。また、磁力を使うことで磁気ビーズのみ取り出すことができるので、高濃度の試料を精製することが可能です。
  • 効率よく洗浄できる点
    外部から磁石を当てることで磁気ビーズのみ取り出すことができます。洗浄作業においては、精製した物質も洗浄してしまったり不純物が残ってしまったりします。しかし磁気ビーズを使用することで高濃度の状態で生成物を取り出すことが可能で、サンプルロスを減らすことができます。さらに、強力な磁力を用いて磁気ビーズを取り除くので効率よく洗浄が可能です。一般的な洗浄よりも少ない時間で十分な洗浄ができます。

参考文献
https://www.cytivalifesciences.co.jp/technologies/immuno_precipitant/mag_sepharose.html
https://www.veritastk.co.jp/sciencelibrary/special/dynabeads-portal.html
https://ruo.mbl.co.jp/bio/support/method/immunoprecipitation.html

帯鋸盤

帯鋸盤とは

帯鋸盤

帯鋸盤とは、木材や金属などの板状あるいは円筒状の部材を切断するための機械のことです。

帯状の刃を高速回転させ、切断作業を行います。また、バンドソーとも呼ばれています。帯鋸盤の特徴は、刃が帯状で輪になっていることです。

内部で高速回転する刃が部分的に露出しており、部材に当てながら刃あるいは部材を動かすことで、効率的に切断可能です。一方、往復運動を行う糸のこ盤と比較して、帯鋸盤は切り屑の排出性能が高い点が魅力と言えます。

帯鋸盤は、厚みがある部材の切断や高速で切断したい場合に特に適しています。また、直線状の刃を持つ糸のこ盤とは異なり、帯鋸盤は切断速度が速く、作業効率が向上することが期待できます。

帯鋸盤の使用用途

帯鋸盤の使用用途、主に木材やプラスチックなどの板材、棒材、パイプの切断です。また、機種によっては金属部材や食品を切断することもできます。

板材を切断する際には、縦型の帯鋸盤が一般的に使用されます。板材側を動かすことで切断を行うため、効率的な作業が可能です。一方、棒材やパイプの切断には横型の帯鋸盤が適しており、水平に配置された刃を固定した部材に押し当てることで切断を行います。

また、作業場所で電源が確保できない場合や部材を固定して切断したい場面には、充電可能なポータブルタイプの帯鋸盤が最適です。さまざまな場所での切断作業が可能となり、作業の幅が広がります。

多様な使用用途から、帯鋸盤は製造業や建築業などの現場で幅広く活用されています。適切な機種やタイプを選ぶことで、効率的かつ正確な切断作業が実現できます。

帯鋸盤の原理

帯鋸盤は、木材や金属、プラスチックなどの部材を切断するための工具です。帯状の刃を高速回転させることにより、部材を効率的に切断可能です。

帯鋸盤の刃は、幅広の帯状の金属に歯が切られた形状で、輪のようになっています。輪状の刃は、機械内部の2つの車輪にかけられ、モーターによって高速回転します。切断作業を行う際には、部材をテーブルの上に置き、切断したい箇所を露出した刃に押し当てます。刃が回転することで、部材に摩擦が生じ、切断が可能です。

帯鋸盤の原理により、糸のこ盤と比較して、切り屑の排出性能が高く、切断速度が速いという利点があります。また、帯状の刃は糸のこ盤のように往復運動を行わないため、振動が少なく、より安定した切断が可能です。さらに、曲線や直線を含む複雑な形状の切断にも対応できるという点がメリットです。

帯鋸盤の種類

帯鋸盤には、主に縦型帯鋸盤、横型帯鋸盤、ポータブル帯鋸盤の3種類が存在します。帯鋸盤の種類を理解し、用途に応じて適切な機種を選ぶことで、効率的かつ正確な切断作業が可能となります。

1. 縦型帯鋸盤

縦型帯鋸盤は、一般的に木材やプラスチックの板材を切断する際に使用されます。縦型帯鋸盤は、立てられた刃を高速回転させ、切断部材をテーブル上で移動させることで切断が可能です。曲線や直線の切断が容易に行えるため、家具製作や木工などの分野でよく利用されています。

2. 横型帯鋸盤

横型帯鋸盤は、主に金属やプラスチックの棒材やパイプを切断する際に適しています。切断対象の部材を固定し、水平に配置された刃を押し当てることで切断を行います。金属加工や機械加工などの現場で重宝されるタイプです。

3. ポータブル帯鋸盤

ポータブル帯鋸盤は、電源が確保できない場所や移動が必要な場面で活躍する、充電式の帯鋸盤です。小型で軽量なため、持ち運びが容易で、現場での作業に大変便利です。建築現場や屋外での作業など、さまざまな場面で使用できます。

圧着機

圧着機とは

圧着機

圧着機とは、金属製の端子と電線を結合する際に用いられる「圧着」と呼ばれる作業を行うために使用する工具のことです。

圧着とは、電線と圧着端子を専用のカシメ型で押しつぶすことによって電気的に結合させる作業のことを指します。圧着機は、電線と圧着端子の大きさや幅に合わせた専用のカシメ型を上下にそれぞれ装着し、両者を挟み込むようにして押しつぶします。

圧着機のカシメ部分はペンチのような見た目となっており、力を加えることで圧着端子側に塑性変形を発生させ電線に対して端子が噛み込むことで結合する構造です。

圧着機には手動式と電動式があり、用途によって使い分けられます。特に太い電線に使用する場合には主に電動式が用いられています。その理由は、電線のサイズに伴って圧着端子も比例してサイズが大きくなるため、圧着時に端子が塑性変形を起こしにくくなり、より大きな力を掛けないと圧着できず、人力では対応できない場合があるためです。

圧着機の使用用途

圧着機は様々な場所で電線の圧着に使用されています。

例えば自動車や家電製品等です。これらの内部には様々な機能を使えるようにするため、たくさんの電線が配線されていますが、電線と電線の継ぎ目部分にあたるコネクタには、各電線と圧着端子が1対の状態でコネクタへ挿入されています。この各電線と端子の圧着作業において圧着機を用いることで、信頼性の高い電気的な結合をさせることができます。

具体的な圧着作業の手順としては、電線の皮膜を剥ぐことで内部の芯線を露出させ、圧着端子に電線を重ねた状態でセットします。その後、圧着機に装着された専用のカシメ型で上下から挟み込み、力を加えることで端子に塑性変形を起こさせ結合します。

また、圧着は熱や薬剤に弱い部分にも用いられています。電線を結合させる場合は圧着以外にもはんだ付けを行うことで電気的に結合できますが、はんだ付けは熱を加える必要があるため場合によってはんだ付けが難しい物もあります。対して圧着は熱や薬剤を必要としないので、加工のスピードも早く電気的な接続の信頼性も高いため多くの電線で使用されています。

圧着機の原理

圧着機は、荷重を掛けて電線と圧着端子を専用のカシメ型で押しつぶすことにより2つを結合させる工具です。

駆動方式は手動式と電動式の圧着機がありますが、ここではこの2つの原理や特徴について紹介します。

1. 手動式圧着機

ペンチのような形状をしており、人が手に持って圧着を行います。電線と圧着端子をセットし、挟み込むように押しつぶすことで圧着します。

メリットは、人の手によって圧着を行なうため、作業する場所を選ばず手軽に作業を行えることで、機械的にも電気的にも信頼性の高い結合が可能な点です。

デメリットは、動力が人力なため作業時に加えられる荷重に限界がある点です。そのため、特に太い電線の場合は荷重を加えると変形した圧着端子が元に戻ろうとする力が働くため、上手く圧着できない場合があります。

2. 電動圧着機

手動圧着機と同様に圧着を行いますが、押しつぶす作業を電動で行います。

電動のメリットは、太い電線も圧着ができるという点です。電線が太くなるほど圧着端子も比例して大きくなるため、端子に塑性変形を発生させるためには大きな力を必要とします。しかし、電動圧着機ならば加える荷重を容易にコントロールできるため、太い電線でも結合させることができます。

特に大電流が流れている箇所の電線は耐熱の関係から非常に太い電線が使用されているため、電動の圧着機が用いられています。

デメリットは、手軽にどこでも設置できない点です。動力が電動であるため、使用するためには電池や電源が必要になり屋外での使用は難しくなります。また、重量も重く小型化は難しくなり、本体の価格も高くなります。

参考文献
https://diytools1.com/2016/04/10/post-13890/
https://t-denso.com/archives/256
https://genki-heiwado.com/kougu/blog/2016/11/15/

動粘度計

動粘度計とは動粘度計

動粘度計とは、流体の動粘度を知るための計測具です。

動粘度は「動粘度計数」とも呼ばれ、流体の流れの伝わりにくさを表す数値です。動粘度に類似した用語に「粘度」がありますが定義は異なります。

粘度は「粘度計数」とも呼ばれ、流体の「さらさら」や「どろどろ」といった粘り気を定量的に示すものです。粘度は流体中の物体の動きにくさを表し、動粘度は流体自体の動きにくさを表すものです。また、動粘度は「粘度をその流体の同一状態における密度で除した値」と定義されており、動粘度も粘度計を用いて計測されます。

粘度、動粘度ともに日本産業規格「JIS Z 8803 液体の粘度測定方法」 によって、6つの粘度計にを用いた測定方法が定められています。

動粘度計の使用用途

動粘度はその物質の扱いやすさや性質を決定する重要なパラメーターであることから、動粘度計は流体製品の検査や製品開発の面で役立てられます。例えば、食品分野では飲料水は、粘度の差異で飲みやすさが変わり、クリーム状の食品も扱いやすさや口溶けなどが変わってきます。

食品分野以外の動粘度計の活用分野は製薬、塗料や工業油などの石油化学製品の品質管理、検査、製品開発です。

動粘度計の原理

動粘度も粘度計から測定されます。動粘度計も粘度計も同じと認識して問題ありません。JIS Z 8803では毛細管粘度計、落球粘度計、共軸二重円筒形回転粘度計、単一円筒形回転粘度計、平板形回転粘度計、振動粘度計による、それぞれの粘度測定方法が規定されています。

いずれの測定原理も、流体を回転させる、細管に流す、ボールを沈める、振動を与えるなど、流体を変形させて生じる変化から動粘度を評価するものです。

動粘度計の種類

代表的な粘度計は4つあります。また、毛細管粘度計以外は計測器で測定されるのは粘度です。動粘度は粘度を密度で除して求める必要があります。

1. 毛細管粘度計

毛細管粘度計は試料となる流体を細管に通して、流れる時間から動粘度を求めます。動粘度は粘度を密度で割ったものですが、毛細管粘度計は動粘度を直接求めることができます。毛細管粘度計は長く使われてきており、価格も安価なのが特徴です。

2. 落球粘度計

落球粘度計は史料となる流体中にボールを落とし、ボールの落下時間を測定して粘度を測定します。ニュートン流体であれば、幅広い粘度の測定が可能です。ニュートン流体とは、せん断速度が変化しても粘度が変わらない流体のことです。

3. 回転粘度計

回転粘度計は試料となる流体の中に円筒形の回転子を入れて、一定の速度で回転させた際の円筒面に生じるトルクを計測することによって粘度を求めます。回転子の種類によって共軸二重円筒型、単一円筒型、コーンプレート型などの種類があります。コーンプレート型は回転数に変化を加えることによって、非ニュートン流体の流体特性も調べることが可能です。

4. 振動粘度計

振動粘度計は、試料の中に浸した振動片に一定の振動数を与えた際に受ける粘性抵抗を計測する方式です。振動粘度計は、流体が流れている状態でも測定できるのがメリットです。

動粘度計のその他情報

1. 動粘度の単位

動粘度のSI単位はm2/sです。かつてはSt (ストークス) = cm2/s が使われていました。1m2/s = 1cSt (センチストークス) になります。なお、粘度の単位はSI単位ではPa・s 、旧単位ではP (ポアズ) cP (センチポアズ) です。

2. 粘度との違い

言葉では似ている動粘度と粘度ですが、両者の関係は密度によって大きく変化します。つまり、異なる流体で動粘度と粘度を比較した際、両者の大小関係は大きく逆転することに注意が必要です。

例えば、水と乾燥空気を比較した場合、乾燥空気の動粘度は水の約15倍ですが、乾燥空気の粘度は水の約1/55程度しかありません。水の密度は乾燥空気の密度よりも約800倍以上大きいため、動粘度と粘度との関係性は大きく変化します。

なお、ギア油のようなドロっとした油の場合には、動粘度と粘度のいずれも、水よりも圧倒的に大きくなります。

参考文献
https://www.sibata.co.jp/downloads/pdf/manual/M026110-_07.pdf
https://www.atago.net/japanese/new/databook-viscosity_kind.php

偏心測定器

偏心測定器とは

偏心測定器

偏心測定器 (英: eccentricity indicator) とは、シャフト等の偏心や曲がり、振れを測定する計測器です。

偏心検査器、偏心計、同心測定器とも呼びます。偏心は、本来あるべき中心点と比べて位置がずれていることを言います。ワークの偏心の他、振れ・曲がり・同心度・同軸度などの測定が可能です。

偏心量は、通常ダイヤルゲージを使用して測定します。ワークの両端面に加工されたセンター穴を、測定器の両センターにてクランプします。ダイヤルゲージを測定したい箇所にセットし、ワークを回転させることで測定が可能です。

ダイヤルゲージ法のほか、レーザーや光学による反射式、透過式などの測定法があります。

偏心測定器の使用用途

偏心測定器は、回転する切削工具類、各種アーバ、クランクシャフト、歯車、ピストンヘッド等の偏心度の測定に使用されます。また、レンズの偏心量を測定する測定器もあります。

偏心測定器のテーブル上面と、両センターとの平行度は確実です。また、ワークの重量によって誤差が発生したり、経年変化による狂いが生じたりしないように、剛性が大きい構造になっています。

通常偏心測定器を使う目的は、切削や研削加工など、機械加工後の精度確認です。曲がり測定の場合は、熱処理を施した後の歪み確認として使います。

多段形状をしたシャフト形状のワーク端面部にダイヤルゲージを当てることで、両センターを基準とした端面の直角度を測定することも可能です。

偏心測定器の原理

1. 機械式測定

センター基準の測定

偏心測定器のセンターは、通常鋼を焼入れして製作されています。硬いワークに使用したり、測定頻度が高かったりする場合は、先端に超硬材をろう付けした超硬センターを使用する場合もあります。

ワーク端面部がセンター穴ではなく、内径加工が施されているワークには、傘型センターを使用します。傘部の角度と、内径加工部の面取り角が同じセンターが必要です。

ダイヤルゲージをワークの外面に当て、ワークを少しずつ回転しながら、ワーク外面の位置の変化を読み取ります。センター基準の偏心測定です。

外径基準の測定

偏心測定器の両センターによるクランプではなく、2つ1組のローラーの上にワークの外径を載せて、ワーク両端に2組の計4つのローラーで支える方法です。ワークを回転させることで偏心の測定が可能です。外径を基準とした測定値になります。

また、2つ1組のローラーの上にワークの片側を載せて、その上部にクランプのためのローラーを取り付けることで、片持ちで測定できる偏心測定器もあります。内径加工のある円筒形状で、外径を基準とした内径の同軸度を測定したい場合は、内径にダイヤルゲージを当てて回転させることで測定が可能です。

いずれの場合も、ワーク径の大きさに応じて、2つのローラーのスパンを調整する必要があります。

2. 非接触測定の原理

レーザー式偏心測定器

回転中の外径の振れが測定可能です。反射型のレーザー変位計を使用して、回転体の外面にレーザーを当て、反射波を検出して距離の変動を測定します。回転速度の10倍以上のサンプリング速度が必要です。

透過型のレーザー寸法測定器でも測定が可能です。レーザーを回転体外面の円周方向に当て、受信器で振れ量のp-p値を測定します。回転速度の10倍以上のサンプリング速度が必要です。

さらに、透過型2次元レーザー寸法測定器を使用すれば、複数ポイントの位置の変動が測定できます。円周上に切られたV溝や突起部の振れを測定可能です。

光学式偏心測定器

凸レンズ・凹レンズの偏心量を測定する方法です。反射式と透過式があります。反射式偏心測定器は、反射方式により被検レンズの外径とレンズの球面中心との偏心量を測定する装置です。

透過式偏心測定器は、レンズの透過偏心を測定する装置です。透過偏心は、透過光が光軸からずれた量のことす。光軸はレンズ両面の球心を結ぶ線を指します。

偏心測定器のその他情報

偏心測定器の使用方法

まず、偏心測定器のテーブル上で、ワークの長さに応じて左右のセンターを任意の位置にセットして、それぞれをロックします。左右のセンターの内、片側のセンターは、レバー操作により出入りする構造になっています。

これを操作することで、センターを引きこませた状態にしてワークをセットし、レバーを戻すことでワークはクランプされます。ばねの力によって、一定の保持力でワークを支持することが可能です。

ダイヤルゲージをワークの外面に当て、ワークを回転させます。そのときに得られる指針の変化が偏心量です。

レジスト塗布装置

レジスト塗布装置とは

レジスト塗布装置とは、基板など目的の物体の表面にレジスト材を塗布するための装置です。

レジスト材とは、光に対する感受性を持つ樹脂からなる電子材料のことを指します。

レジスト塗布装置は、塗布の方式によってスピンコータとスプレーコータに分けられます。一般的にレジスト塗布に用いられるのは前者のスピンコータです。スピンコータは1から数十ミクロン程度の厚さまでの成膜が可能で、平坦なものへの塗布に適した装置です。表面の起伏が多い立体的なものへの塗布には、スプレーコータが用いられます。 

レジスト塗布装置の使用用途

レジスト塗布装置で塗布するレジスト材は、半導体の加工に用いられる材料です。そのため、レジスト塗布装置は半導体の製造過程に組み込まれる場合が多いです。

レジスト材は、レーザー加工などにおけるフォトマスクの役割で用いられます。作業者の手によるマニュアル操作でレジスト材を塗布することもできますが、膜圧などを均一にそろえて成膜することは難しいでしょう。塗布できていない部分が生じたり、厚みが不足またはしたりするとその後の加工がうまく行えず、品質がばらついてしまいます。

レジスト塗布装置によって均一にレジスト材を塗布することは、品質管理の観点では非常に重要です。

レジスト塗布装置の原理

レジスト塗布装置は前述の通り、スピンコータとスプレーコータが主流です。スピンコータとスプレーコータでは、塗布の方式が異なります。

1. スピンコータ

スピンコータは、遠心力を利用して塗布を行う装置です。塗布したい物体にレジスト材を滴下した後、その物体を高速で回転させます。この回転により遠心力が発生することで、レジスト材を隅々まで行き渡らせることができるのです。

スピンコータによる塗布を行う際は、表面の起伏の部分でレジスト材の広がりが止まってしまうことがあるので、起伏が激しいものの場合は塗布が困難です。こうした場合には、スプレーコータを用いることがあります。

2. スプレーコータ

スプレーコータは、スプレー噴霧による塗布方式が採用された装置です。レジスト材をスプレーで吹き付けて塗布を行います。装置によって均一な塗布を行う仕組みはさまざまで、スプレーノズルを動かして各部の塗布を行ったり、スプレーノズルは固定したまま塗布対象の物体を回転させたりする装置があります。 

参考文献
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/lightedge/200708/100334.html
http://www.ltj.co.jp/tech_spin.php
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure/sealing/coater-type/spin.jsp