サイトグラス

サイトグラスとは

サイトグラス

サイトグラス (英: Sight Glass) とは、流体の流れや液面位置の監視するための機器です。

流れ監視の用途では、「サイトフロー」「フローサイト」「サイトフローインジケーター」とも呼ばれることもあり、配管内流体の流れの有無や流量程度を監視することが目的です。液面の確認の用途では、「サイトフローゲージ」とも呼ばれることもあり、液面位置 (レベル) の監視が目的となっています。

上記2つの用途では、機器の形状や構造、取り付け方法が大きく異なります。

サイトグラスの使用用途

サイトグラス_図1

図1. サイトグラスの使用例

サイトグラスは、前述のように下記2つの用途があります。

1.  流体流れの監視

流体の流れ監視の場合のサイトグラスは、発電所や工場などで敷設されている配管に、フランジやねじ込みで接続されています。配管内部を流れる蒸気や水、薬品などさまざまな液体の流れを、運転員やメンテナンス作業者が目視で監視を行っています。

2. 液面位置の監視

液面位置監視の場合のサイトグラスは、減速機や軸受 (ベアリング) を使用している機械のハウジング側面の穴に、ねじ込みや打ち込み (はめ込み) で取り付けられています。運転員やメンテナンス作業者が、適正な液面レベルの確認と、適正給油量の確認を目視で行っています。

サイトグラスの原理

サイトグラス_図2

図2. サイトグラスの原理

サイトグラスの原理は、上記2つの用途によって異なります。

1. 流体流れの監視

流体流れ監視用のサイトグラスは、大きく分けて下記の2つの方法で視認する構造です。

  • 液体の流れている状態を、渦や気泡を目視で確認
  • 流体の流れによってフラップや羽根車を回転させ目視で確認

2. 液面位置の監視

液面位置監視用のサイトグラスは、オイルなどの液体の適正位置 (レベル) に取り付けられ、液面がサイトグラス取り付け位置に達すると、サイトグラス内に液体が入り込み、液面を確認する構造です。

一般的に、液面が中央位置付近になるようにオイルなどを給油します。ただし、サイトグラス内全てが液体で充満されている場合は、必要以上に給油されていることを示しています。

サイトグラスの構造

サイトグラスの構造による種類は、下記のとおりです。

1. 流体流れ監視用

サイトグラス_図3

図3. 流れ監視用サイトグラスの種類

透視式
透視式サイトグラス内部は特別な機構はなく、流体が通過する際の渦や気泡により確認する構造です。二液流体で使用した場合は、色合いなどで混合状態を確認することができます。

フラップ式
フラップ式サイトグラス内部に、フラップと呼ばれる板がピンなどの軸に取り付けられ、流体の流れに応じてフラップの角度が変化することで、流れ状態を確認する構造です。流量が多いほどフラップの角度は水平に近くなります。

ボール式
ボール式サイトグラス内部には数個のボールがあり、流体の流れに応じてボールが浮遊し回転することで、流れ状態を確認する構造です。流量が多いほどボールの動きは早くなります。

羽根車式
羽根車式サイトグラス内部に、羽根車が取り付けられ、流体の流れによって羽根車が回転することで、流れ状態を確認する構造です。流量が多いほど羽根車の回転は速くなります。

ノズル式
ノズル式サイトグラス内部には、ノズルと呼ばれるパイプ状のものがあり、ノズルら滴下する流体を確認します。ノズル式は、流体がガラスと接触しないため、ガラスの汚れが少ないのが特徴です。このタイプは少流量用で、垂直配管に設置し流れ方向は、上から下向きに使用に限定されます。

ランタン式
ランタン式サイトグラス本体は、ガラスでパイプ状になっているため、360°どの方向からも流れの確認ができます。液体に使用する場合は、液体の残留が少ないのが特徴で、液体だけではなく紛体などの流れの監視にも適しています。このタイプも、垂直配管に設置し流れ方向は、上から下向きに使用に限定されます。

2. 液面位置監視用

サイトグラス_図4

図4. 液面位置監視用サイトグラスの種類

ねじ込み式
ねじ込み式サイトグラスは、減速機ハウジングなどに加工されためすねじに、ねじ込んで取り付けます。サイトグラス内部には、反射板があり視認しやすいタイプと、反射板がないタイプがあります。

打ち込み式
打ち込み式サイトグラスは、減速機ハウジングなどに加工された単純な穴に、はめ込んで取り付けます。サイトグラス内部には、ねじ込み式と同様に反射板がありとなしがあります。

ドーム型
ドーム型サイトグラスは、ガラス面が半球状のドーム型で、ねじ込んで取り付けます。

その他のサイトグラスの情報

1. サイトグラスの材質

サイトグラスに使用されている代表的な材質は、下記のとおりです。

流体流れ監視用 (本体部分)

  • ねずみ鋳鉄品 JIS G5501 FC200など
  • 球状黒鉛鋳鉄 (ダクタイル鋳鉄) JIS G5502 FCD450など
  • 高温高圧鋳鋼品 JIS G5151 SCPH2など
  • ステンレス鋳鋼鋼品 JIS G5121 SCS13A, 14Aなど
  • 青銅鋳物 JIS H5120 CAC406など
  • その他 内部の流体通過部分にライニングやコーティングを施したものなど

液面位置監視用

  • 炭素鋼、ステンレス鋼、樹脂など

窓に使用されているガラスは、使用する流体の種類や圧力・温度によって異なった材質になります。

流体流れ監視用は、強化ガラスや高温用はホウケイ酸ガラスなどを使用しています。液面位置監視用は、ポリカーボネート樹脂 (PC) や強化ガラスです。

2. 規格

サイトグラスに関する規格には下記があります。

  • JIS F7218 船用筒形サイトグラス Shipbuilding-Cylindrical sight glasses
  • JIS F7234 船用平形サイトグラス Shipbuilding-Flat sight glasses

3.  選定や仕様に関する注意点

蒸気配管のドレン排出配管には、圧力計ボールバルブグローブバルブ、ドレン回収装置、ストレーナスチームトラップ減圧弁、逆止弁、電磁弁などの後流側にサイトグラスが設置されていることがあります。そのため、サイトグラスに到達するまでにウォーターハンマーやフラッシュ蒸気、キャビテーションが発生することで、正確に流量を計測できないなどの問題が発生します。

また、高温流体で使用する場合の問題点は、蒸気によりサイトグラスも高温状態になり、急激な冷却による温度低下が生じると、サイトグラスのガラス部には熱衝撃などで破損することです。したがって、サイトグラスを取り付ける場所や環境を考慮して、型式や特にガラス材質の選定を行う必要があります。

参考文献
https://www.wasinokiki.co.jp/product/sightglass.html
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M2000000000/M2020000000/M2020020000/
https://www.three-mmm.co.jp/product/sight-glass/flange-type/index.html
https://www.sekiyu-gakkai.or.jp/jp/kankou/kikaku/f.html#JPI-7S-15-2011
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0070/index
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https://j-net21.smrj.go.jp/development/energyeff/Q1205.html
https://www.ansi.org/

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