電極帯

電極帯とは

電極帯とは、水槽のような液体の入った容器でその水位を検知する機器一式のことです。

ビルの屋上などにある受水槽の水位検知に使用されている電極棒と同じような働きをしています。電極帯は、耐気性に優れたステンレス製のより線を塩ビで被覆した電線と検知用の「割りシズ」と呼ばれる金具を組み合わせ使用され、割りシズを所要の間隔で必要数取付けて使います。

割りシズは、電極帯の電線に食い込むようにビスが取付けられるため、浸水した割りシズと一番深いところに取付けられたコモンとなる割りシズ間で液体を通し通電されるもので、ちょうど電極棒の先端に相当します。

電極帯の使用用途

電極帯は、オフィスビルをはじめマンション、ホテルなど大勢の人が活動している場所で多量の水が使われ排水されるような場所に設置される受水槽や排水層の水位監視に使用されています。

電極棒では不向きとされる浮遊物に起因する不具合が生じやすい排水層や液面まで距離があるためショートしやすい槽などで効果を発揮します。検知された信号は、受水槽であれば適正な水量の維持に使用され、排水層では川や海へ排水できる水質レベルまで調整する処理槽への移送制御などに使われます。

電極帯のその他情報

電極帯の特徴

電極帯は、通常は3本の電線と3カ所の割りシズで構成を組み、電極棒の短・中・長に対応して満水・渇水・コモンの先端と同じような働きをします。割りシズは、ビスを電線の被覆に食い込ませ電線に接触させることで、そのポイントで電線が露出した状態をつくり、電極棒の先端と同様の電気的状態となります。

電極帯は、低水位ポイントの割りシズを超えて水量が減ってくると、それまで短絡していた回線が開放されることにより、制御機器で低水位と判断します。

一方、高水位ポイントの割りシズまで水量が増えてしまうと、槽から液体が溢れないようにするため制御機器で満水と判断し満水警報の発出等の処理が行われます。電極帯の基本構成は、電極棒と同様に満水・渇水とコモンとなりますが、補充用のポンプ制御に使用されるフロートを無くすためにもう1ポイント割りシズを設けて対応することも可能です。

あるいは、槽が深いために電極帯の高・低の割りシズ間距離が長くなる場合は、コモンとの導通が不安定となりやすいため、高・低のほかさらにポイントを追加する対応も必要になってきます。

電動パレットトラック

電動パレットトラックとは

電動パレットトラック

電動パレットトラックとは、その名の通り、パレットを持ち運ぶための運搬用のリフトや走行用のトラックが電動式のものを言います。

電動ハンドリフト(ハンドフォーク)とも呼ばれ、現在の自動車のEV化の流れの中で、物流関係の市場において世界的にも急成長している分野です。

通常のフォークリフトのような資格や経験が不要であり、フォークリフト有資格者の不足や作業者の高齢化に悩む、昨今の物流の現場で広く受け入れられています。

電動パレットトラックの使用用途

電動パレットトラックは、パレットの上げ下げと持ち運びを、狭いエリア内でも正確かつスムーズに行える利点があるために、各物流の現場や倉庫内で広く使用されています。

特に人力のハンドリフトはその手軽さから以前から使用されていましたが、ハンドゆえにパレットの重量制限があり、重量の重いパレットの上げ下げと自走含めた持ち運びの使用用途に対して、電動式のハンドリフトに自走が可能である電動パレットトラックが登場しています。

電動パレットトラックの原理

一般に電動パレットトラックは、フォークリフトのように運転者が乗車して、フォーク上のアームを用いてパレットの出し入れをする訳ではなく、ハンドル部分を作業者が立った状態でけん引したり押したりしながら一緒に走行します。そのために経験の浅い現場の作業者でも、専用のフォークリフト資格が不要であり、比較的簡便に操作ができる電動式のトラックです。

なお、最大積載荷重が1トン以上のフォークリフトでは「フォークリフト運転技能講習」の受講が必要となり、実技や試験もあります。

リフト部はフォークリフト同様に2本の平行したフォーク(爪)をパレット底部に入れます。電動パレットトラックの機種は幅広くありますが、通常1トンから2トン程度までのパレット積載重量に対応しているものが多いです。ただし、電動式や手動式を問わずハンドリフトの場合はフォークの間の間隔が狭く、例えば木製のパレットの事例など、その種類によっては取り扱えないパレットもあります。使用可能なパレットの種類や積載重量が実際の現場の用途に適合するか、事前によく確認することが大切です。

ちなみに駆動用の電動部に関しては専用充電器で100Vの家庭用コンセントで充電可能なものや、リチウムイオンバッテリー搭載型の機種など様々なものがあります。

塗工機

塗工機とは

塗工機

塗工機 (英: coater) とは、被塗材に塗工材料を塗る機械です。

塗工機はコーターとも呼ばれます。被塗材には、紙をはじめ樹脂製のフィルム、不織布、アルミ箔など多くの素材が使われ、塗工材料には接着剤やコーティング剤などがあります。

塗工機は、機能的に大きく分けると「塗る」と「固化」という2つの技術が使われており、塗るための重要な要素は、被塗材と塗工材料との「濡れ」です。

一般的な塗工機は、塗布する対象物の形状や塗布する薬品、目的によって塗布する方法が異なります。そのため、さまざまな用途に応じてロールコータスピンコータ、ディップコーター、スリットコーターなどが用いられます。

塗工機の使用用途

塗工機が使われる分野は、光学関連分野をはじめエレクトロニクス分野、事務用品、日常品と多岐にわたります。特に、エレクトロニクス分野での利用が盛んで、フレキシブル基板をはじめ電池電極、導電性フィルム絶縁テープ、各種電子部材などに使用されることが多いです。

パソコン、液晶テレビ、スマートフォン、タブレットなど、薄型で高機能・高密度化が必要な半導体製造分野では、フォトリソグラフィ工程のフォトレジスト塗布でスピンコーターやスリットコーターが利用されます。また、FPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野でも同様です。

さらに、二次電池や太陽電池、自動車部品をはじめ、住宅建材・繊維・医療などで使用される機能性フィルムやシート状製品に対して、ロールコータやその他薄膜塗布用のコーターなどが使用されます。

塗工機の原理

塗工機の目的は、被塗材への塗工材料の接着と表面処理を含めた機能追加であり、そのため、各種の塗工機が用途に応じ製造され、使い分けられます。

塗工機の代表的な種類として、以下の6つが挙げられます。

1. ロールコータ

ロールコータは、フィルムやシートなどの薄い平面状の基材へ塗工材料を塗布することを目的として、各種ローラーを複数組み合わせることで、最適な塗工面を得る機械です。

塗布する薬液の液溜まりに接するローラーの回転と、フィルムやシートなどの材料の巻取り回転とを利用して塗布するグラビアコーターやリバースコーターなどがあります。塗布する薬液の性質や粘度、塗布する膜厚に応じてさまざまな塗布方法が用いられます。

ロールtoロールでの塗布は、最も高速塗布に向いている方法です。この方法の特徴は、塗布液と被塗布対象物の間でビードを形成し被塗布対象物、または被塗布対象物とロールの両方が移動したり回転したりすることで、塗液にせん断力をかけ薄く塗布することです。このビードを安定化させることが、高品質な塗布には欠かせません。

2. スピンコータ

スピンコータは、一般的に回転するテーブルと薬品を塗布する機構で構成されます。主に回転するテーブルには塗布される製品などの材料が待機し、製品などの材料に薬液を吐出後、テーブルが回転する遠心力で製品などの材料全体に薬液が広がり薬液膜が形成されます。

最も薄く塗布できる手法ですが、複数枚の塗布や連続生産ができないため、大量生産には不向きです。

3. ディップコーター

ディップコーターは、ディップ方式と呼ばれ、ディップコート液に浸けて引き上げる塗布に用いられます。対象物の形状は問わず、塗布液のロスが少なく、均一な薄膜を形成することができるのが特徴です。

4. スリットコーター

スリットコーターは、スリットの入ったノズルから塗液を吐出することで塗布するコーターです。ダイコーター、スロットダイなどと呼ぶこともあります。被塗布対象物はテーブルの上に載せられ、薬液ノズルから薬液を吐出しながら製品などの材料をスキャンすることで薬液膜が形成されます。

5. スプレーコーター

ガラスなどの素材の表面に行われるスプレー塗布で使われています。

6. インクジェットコーター

製版を使わずに高精細印刷ができるもので、エレクトロニクス分野では欠かせない基板への精細パターン製作が可能です。

塗工機のその他情報

コーティングの欠陥

高性能な塗工機にて塗布を行っても、塗液や塗布条件によっては綺麗な塗布面が得られないことがあります。塗布や乾燥によって、塗布面に欠陥が生じる場合があり、これらの欠陥は、各々対策方法が分かっており、対策が必要です。

1. 塗布によって発生する欠陥
塗液を塗布する際に、空気が逃げ切れないために発生する空気同伴、塗布方向に対して逆圧力勾配ができるために発生するリブすじ、塗液中に泡があるために発生するすじやホールなどが挙げられます。

2. 乾燥によって発生する欠陥
乾燥速度が早すぎるために発生するゆず肌、熱風乾燥によって発生する風紋、塗膜の収縮による割れなどです。

乳鉢

乳鉢とは

乳鉢

乳鉢とは、固体の粉砕や複数の固体の混合に用いられる鉢状の器具です。

通常は乳棒と共に使用されます。世界各地で古くから用いられており、穀物の脱穀や顔料の粉砕などに使用されてきました。

少量の固体を取り扱う場合が多く、大量の粉体を処理する場合には通常粉砕機や粉体混合機が用いられます。乳鉢・乳棒での粉砕を自動化した自動乳鉢や同様の原理を用いた粉砕機である擂潰機なども製品として販売されています。

乳鉢の使用用途

乳鉢の使用用途は固体の粉砕や複数種類の固体の混合ですが、手動で作業するため主に比較的少量の固体を取り扱います。

乳鉢は同様の用途に用いられる機械類と比較すると処理量が少ない反面、少量の固体を粉砕・混合する場合には手軽さや歩留まりの良さなど、多くの利点を持った製品です。

少量かつ高価な固体で広く使用されており、実験・分析用途や薬品の調合のみならず、調味料などの食品の粉砕・混合や鉱物を含む顔料の調合などにも用いられています。

乳鉢の特徴

乳鉢の適切な素材は擦り潰す固体で異なり、特徴を抑えて選ぶ必要があります。

1. 石

汚れを落としやすく、頑丈で力強い粉砕可能です。石素材の重たい乳棒を用いるため、コーヒー豆、ナッツ、医薬品などの硬い固体も容易に粉砕できます。古典的なデザインや天然大理石の美しいタイプなどもあります。

2. ステンレス

扱いやすい素材で、水洗いで汚れが落ちやすく、サビに強いため手入れが容易です。胡麻、香辛料、にんにく、薬などの粉砕に用いられます。にんにくの強い香りが残りにくく、清潔な状態で使用できます。

3. ガラス

離乳食作りなど、キッチン用品に使用されます。石やステンレスより軽量で持ち運びやすく、滑らかい食感のベビーフードやフルーツの擦り潰しに適しています。シンプルで目立たず、食器棚に置いても違和感がありません。

乳鉢の種類

乳鉢に使用される材質は数多くあり、メリットやデメリットを考慮して選ぶ必要があります。

1. メノウ製

比較的軽くて粒度が細かい素材に使用可能です。複数の形状があり、深型は粉砕中の飛散を抑えます。特大の口径を持つタイプは実験前に大量のサンプルが必要な際の粉砕に向いています。

2. タングステンカーバイド鋼製

硬くて脆い少量の試料の粗砕きや摺り潰しに利用可能です。乳鉢や乳棒が試料と接触する箇所には超硬質鋼のタングステンカーバイドをライニングしています。外面はステンレス鋼で覆って錆を防止し、台は安定しています。

3. チタン製

比較的軽量で、金属のコンタミネーションを避ける場合に使用されます。

4. ステンレス製

耐食性に優れ、錆びにくいです。

5. ジルコニア製

部分安定化ジルコニア (英: partially stabilized zirconia) は耐摩耗性に優れており、破壊靭性に強いです。

6. 炭化ホウ素製

モース硬度が9.3で、ダイヤモンドに次ぐ硬度を有します。軽くて高強度かつ低摩耗性が特徴で、ファインセラミックのような硬い素材を粉砕できます。

7. 石英ガラス製

モース硬度が7の硬質ガラスを使用します。耐食性や耐熱性に優れ、硬度が高いため摩耗による試料へのコンタミネーションは非常に微量です。

8. PEEK製

ポリエーテル・エーテルケトンを指し、絶縁性、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性などに優れています。

乳鉢の選び方

乳鉢は用途に応じてサイズや形状、材質を選定する必要があります。少量の固体処理を目的とする製品が多く、手動で作業するためあまり大きな製品は用いられません。乳鉢の形状は深めの椀状と浅めの皿状のものに大別され、固体を粉砕する場合には椀状、混合または微細化する場合には皿状のものが一般的に用いられています。

乳鉢は様々な種類の材質が販売されていますが、材質によって処理できる固体が異なるだけでなく、使用方法も異なるため注意が必要です。比較的硬度の低い固体を粉砕する場合には磁製やガラス製の製品が用いられます。通常磁製やガラス製の乳鉢の表面を荒く仕上げることで圧搾粉砕を容易に行えますが、衝撃には弱いため打ち砕くような使用は厳禁です。その一方で比較的硬い固体を粉砕する場合には金属製やメノウ製の製品が多く用いられています。金属製やメノウ製は硬度が高く丈夫で、表面が平滑に加工されているため乳棒を打ち付けて粉砕可能です。

万能研削盤

万能研削盤とは

万能研削盤

万能研削盤とは、それ一台で回転研削箇所の汎用性と自由度を高く設定できる円筒研削盤に属する工作機械をいいます。そのため万能研削盤ならではの特徴として、外面研削時に砥石(といし)台と工作物の主軸台を自由に旋回でき、任意に角度変更ができる構造になっており、作業範囲が広いです。

また外面研削のみならず、内面研削加工やテーパー研削、端面加工にも対応可能であり、そのための専用装置も取り付けできる構造になっています。

万能研削盤の使用用途

通常は工作物の外面や内面を回転する砥石を用いて研削する用途に用いられますが、万能研削盤は円筒研削盤の中でもその汎用性に特徴がありますので、通常は円筒状になっていることの多い工作物において、形状がテーパー状になっている工作物などにも用いられたりします。

なお円筒研削盤は、他のセンターレス(心なし)研削盤などと比較して、特に工作物の真円度や表面仕上げの加工寸法に対して、高い精度が求められる場合に使われることが多いです。

万能研削盤の原理

万能研削盤は円筒研削盤の一種であることから、円筒研削盤が高精度の切削加工が可能な理由を説明します。

円筒研削盤はセンターレス研削盤と異なり、工作物の両端を主軸台や心押し台で固定します。工作物がしっかりと固定(チャック)された状態で回転研削するため、心がなく工作物の外形の状態や真円度に影響を受けやすいセンターレス研削盤と比較して研削の加工精度を高くできます。

また高い精度で加工できるもう一つの理由には砥石台の使用があげられます。砥石とは砥粒(とりゅう)と呼ばれる硬度の高い粉末を、結合剤等で固めた石のことです。

砥粒はまさに削る刃物に相当しますが、回転した砥石からは摩耗した砥粒がはがれて落ちて、次の表面上の新しい砥粒が使えるので、砥石はエンドミル(ドリル)のように再研磨が不要なことも特徴で、加工精度を高く保つことができます。

なお、砥粒の材料には硬度の高いダイヤモンド粒子やCBN砥粒などが一般に用いられますが、研削したい工作物に適した砥石材料は異なるために、用途に応じ砥石を使い分けることが大切です。

さらに万能研削盤ならではの特徴的な構造として、研削箇所の自由度をあげるために砥石台が二重に旋回可能な構造のものもあります。内面研削加工の専用装置については、上方へのはね上げ式が一般的ですが、中には砥石台を180度旋回することで対応する砥石台の後方設置式もあります。

また研削方式の汎用性向上のため、主軸台は回転と固定の切換えが可能で、回転速度が調整可能なことが求められています。

マグボール

マグボールとは

鋼材や鉄板などに、下穴をあけたり、ネジ穴加工すなわちネジ立て作業をする場合、通常はボール盤を用いてドリルやタップにて加工しますが、その作業スタンドが磁石により取り付け可能になっている器具をマグボールといいます。

卓上の小型のボール盤の土台に相当する箇所がマグネット(磁石)式になっており、作業スタンドを鋼材にフレキシブルに設置する事ができるため、作業性の向上や、加工に際しての場所を含め汎用性を上げることができます。

マグボールの使用用途

マグボールはその特徴から、使用用途としては複雑な形状の鋼材の側壁への穴あけや、持ち運びが困難な金属板へのボール加工およびタップ作業に特に適しています。もちろん通常のボール盤としての作業にも使用可能です。

またその用途に応じて、簡易的な手回し型のハンディタイプの機種から、電動式の高速な反復繰り返し作業が対応可能な機種まで、多様な機器がそろっており、自分の使用用途に適した機種が選べるようになっています。

マグボールの原理

マグボールの最大の特徴である土台の吸着部のマグネット(磁石)には、電磁式のものと永久磁石式のものがあります。吸着部は丸形の形状であることが多く、裏あて材を用いることで、薄い金属板への穴あけもできます。

ボール盤での穴あけや、タップでのネジ立ての作業には、手回し式のタイプと電動式のもの、およびラチェット式など、用途に応じて多様なタイプがありますが、その各々にマグネット吸着部が設置されています。取り付け金具の交換により、穴開け用のドリルからネジ立て作業用のタッパーへの工具変換が行える機種が多いです。そのためにマグボールはマグタップと呼ばれることもあり、二つの役目を兼ねた機種になります。

マグボール自体が使用環境を選ばず、汎用性を上げる目的のため、小型以外に持ち運びが容易で軽量であることを特徴としている機種もあり、そのような機種の場合は、例えばタップ立てを鋼材の平面のみならず、側面に取り付けて容易に作業ができるのが魅力です。

キャスター付き作業台

監修:山金工業株式会社

キャスター付き作業台とは

キャスター付き作業台

図1. キャスター付き作業台

キャスター付き作業台とは、天板と脚部によって構成された作業台の脚先又は底面部に移動用のキャスターが取り付けらた作業用のテーブルです。

会社などで使用される会議用のキャスター付きテーブルと異なり、外観のデザインよりも天板に積載する物の質量や、作業によって発生する荷重・衝撃に耐えられる機能を優先した製品です。

積載物を載せたまま移動できるタイプや、移動時は積載物を載せずにレイアウト変更を簡単に行える機能に限定したタイプなど様々にあります。

キャスター付き作業台の使用用途

キャスター付き作業台は、大きく分けて積載物を載せたまま移動できるタイプと、移動時に積載物を載せずにレイアウト変更を簡単に行える機能に限定したタイプがあります。

積載物を載せたまま移動ができるタイプは積載物が重量物であるケースが多く、工程間を積載製品を移動させる為に都度台車等で積み降ろしをしなくても良いように作業台に載せたまま次工程に移動する事ができる為、効率的にも安全面でもメリットは多いです。さらに加工作業や組立て作業を行う際にはペダル操作によってキャスター機能からアジャスターによる固定機能に切替が簡単にできます。

一方、移動時には積載物を載せずにレイアウト変更を簡単に行える機能に限定したタイプは主に軽量の製品を扱うケースが多く見られ検品・検査、包装、組立てなど流通加工業やアッセンブリー工場などで使用されています。

キャスター付き作業台の原理

一般的な作業台の構造は、天板と天板を支える天枠部材と全体を支える脚部 (鳥居脚) から成り立っています。

横揺れを防止するために脚部にはツナギパイプという間口方向に取付ける部材で剛性を保つ構造になっていますが、キャスター付き作業台の場合はさらに脚先や底面にキャスターが予め取りつけられている構造です。

キャスター付き作業台のその他情報

天板表面素材の違いによる用途拡大

1. 低圧メラミン化粧板
パーチクルボードを芯材とし、メラミン含侵シートを熱圧一体成型した化粧板です。表面硬度は7Hです。

2. ポリエステル化粧合板
パーチクルボード芯とペーパーコア芯により非常に軽く移動も苦になりません。表面硬度は3Hです。

3. 塩ビシート
パーチクルボードに塩ビシートを貼った天板です。弾力性がありワークへのキズを防ぎます

4. メラミン化粧板
メラミン化粧板は硬度があり、芯材はパーチクルボードやペーパーコア仕様で耐荷重別に様々です。表面硬度は8Hです

5. スチール
粉体塗装を施した金属製天板です。強度は高いですが鋭利なもので引っかくと表面の塗膜にキズが付くため注意が必要です。

本記事は軽量作業台を製造・販売する山金工業株式会社様に監修を頂きました。

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ケガキゲージ

ケガキゲージとは

ケガキゲージとは、ケガキや墨付けと呼ばれる加工位置の決定と材料への書き込みを行うための工具です。外観はT字状に直尺を組み合わせた形状であり、縦棒部分がノギスと同様に副尺構造となっているため、横棒部分を基準線とした場合の平行線を容易に引くことが可能です。またノギスと同様に主尺と副尺が同軸方向にあることから、線間距離を測定することも可能です。

ノギスと類似した構造ですが、ノギスは長さの計測のみに用いられ、対象物を挟み込んで測定を行うのに対し、ケガキゲージは対象物や基準線と平行にケガキを行うことが出来、さらに対象物に引っ掛けたり、添えたりすることでも正確な測定が可能となります。

ケガキゲージの使用用途

ケガキゲージの使用用途としては、第一に基準線と平行にケガキを行うことが挙げられます。ケガキゲージは主尺の先端部分がT字の横棒のように広がっていることから、ここに基準線を合わせるか、対象物に引っかけるように固定することで、正確に平行線をけがくことができます。主軸先端部分に目盛りを打った製品もあるため、2軸方向のケガキも容易であり、平板への穴あけの位置決定などにも有効な工具です。

第二の使用用途としては線間距離の測定が挙げられます。通常は直尺やノギスを用いて行う作業ですが、直尺が対象物に添えて、またノギスが対象物を挟んで測定するのに対し、ケガキゲージは対象物に引っ掛けた形で測定が可能です。このため平板での端からの距離や、対象物が設備や機会に固定された状態での測定などに効果的といえます。

ケガキゲージの特徴

ケガキゲージの特徴は、平行線をケガくことに特化した構造であるということにあります。副尺を固定することで、同じ幅の平行線を容易にケガくことが可能なため、用途によっては高い精度を保ったまま、作業時間を大幅に短縮することが可能です。一方でケガキゲージは構造上、基準線が出ないものを取り扱うには適しておらず、歪みやバリなどがあると正確なケガキや測定が困難であることには留意する必要があります。

平行線をケガくことと同様に、平行線や製品の長さを測定することも可能ですが、構造上の点から主尺外寸での測定となります。同様の用途に用いられるノギスは内寸での測定となることから、混同しないように注意が必要です。また同様の線間距離の測定が行える製品にハイトゲージがあります。ハイトゲージは高精度な測定が可能である一方、大型であるために機器の固定が必要であり、更に縦方向の測定にのみ特化した製品です。これに対してケガキゲージは軽量で持ち運びが可能であり、複数軸方向の測定に使用可能であるという特徴があります。

溶接マグネット

溶接マグネットとは

溶接マグネット

溶接マグネットとは溶接などの作業時に部材を適切な位置で固定するための磁石付きの治具のことであり、別名マグネットホルダーやマグホールドとも呼ばれます。

溶接作業では溶接する二つの材料を溶接したい位置で固定又は保持し、作業を行う必要があります。軽く小さな材料であれば片手で保持した状態でもう一方の手で溶接することも可能ですが、片手での作業は安定性が悪く、正しい位置での溶接が困難なばかりか、やけどや材料同士による作業者の挟まれなどの危険を伴います。また重量物を取り扱う場合には手での保持は困難です。そのような場合に溶接マグネットを用いることによって2つの金属材料一定の角度で保持・固定できることから、両手が空いた状態で溶接作業を行うことができます。

溶接マグネットの使用用途

溶接マグネットの使用用途は、溶接作業や組み立て作業時に複数の金属材料をある一定の位置や角度で保持・固定することです。その名の通り溶接作業において用いられることが多く、特に手では保持が困難な重量物や、細かな作業が必要な場合などで多く用いられます。製品によって保持できる角度は様々であり、製品によっては丸パイプや丸棒を保持可能な製品もあるため、用途に応じた選定が可能です。

また、溶接以外の金属材料の加工や組み立て作業時の仮止めにも用いることが可能であり、簡易的なマグネットホルダとして用いることもできます。

溶接マグネットの選び方

溶接マグネットの選び方として、最も一般的なポイントは保持できる角度です。溶接マグネットは部材を保持する角度を一定に保つことが大きな特徴であることから、保持できる角度の種類が多い製品が一般的には使用しやすいといえます。

一方で複数の角度を有する製品の場合、角度をつける位置によっては大型の部材は使用が困難になるため、注意が必要です。

次のポイントは磁石の種類です。通常の溶接マグネットは鉄やアルミなどで成形した外枠の側面に強力な永久磁石をつけているため、重量物は適切な位置への設置や溶接後の脱着が困難なことや、位置の微調整が困難なこと、鉄粉などの磁性を帯びたごみを吸着してしまうため、不具合の原因となる可能性があります。

このような場合には、電磁石を用いることで時期をオンオフ可能としたスイッチ付きの製品が市販されています。 更に溶接マグネットはマグネットの種類によって保持できる重量が決まっています。大型の材料を固定する場合などに、保持重量以下のマグネットを用いると落下などの危険が高まることから、注意が必要です。

ラウンドスリング

ラウンドスリングとは

荷物の吊り上げや運搬に使用するベルト器具を言います。ラウンドスリングは、ほかのスリング(つり索)に比べて素材とベルトとしての構成が非常に柔らかい点が特徴であり、ワイヤロープや、チェーンスリングよりも運搬の際に荷物を絞りやすいという利点があります。

よってその柔軟性を生かし、重量機器の玉掛けなどにもよく使用されます。
基本的にはシャックルなどと共に使用しますが、ラウンドスリングを機器にまきつけて玉掛け作業を行うこともあります。

ラウンドスリングの使用用途

ラウンドスリングの場合には、荷物をくるむための使用用途が主になります。

ホイストやクレーンなどでの荷物の吊り上げ、吊り卸し時の手法には、一般にチョーク(絞り)吊り、バスケット(籠)吊りやストレート(一本)吊りなどがあります。

ラウンドスリングが柔軟な素材で荷物にフィットするスリングであるために、ワイヤーロープやチェーンなどに比べて運搬時に加重がかかった際に荷物を傷つけにくく、軽量かつコンパクトということで、使用時に持ち運びに便利なベルトであると言えます。

ラウンドスリングの原理

一般にラウンドスリングは、JIS(日本工業規格)に準じて製造されています。

ラウンドスリングは、ベルトスリングとは違い、最大使用荷重を幅で判断できないために、このJISで決められた色で最大使用荷重を判断しますが、一本で上げ下げするストレート吊りの場合は最大使用荷重がそのまま荷物の重量に相当にするのに対して、チョーク(絞り)吊り、バスケット(籠)吊りの場合には、必ずしも荷物の重量とスリングの色の最大使用荷重値が同じにはならない点に注意が必要です。

この辺の色と最大使用荷重の吊り方での関係は、スリングの長さにも依存するため使用する前に製造販売メーカーに、よく確認をしましょう。

さらに実際に現場にて角張った物を吊り上げる場合や、横滑りのおそれのある際は、角度によっては荷重による応力が集中し強度が低下する懸念があります。ラウンドスリングの保護のためにコーナーパットや当て布などで補強する配慮が大切です。

また前述の玉掛け作業を行う場合には免許が必要で、労働安全衛生法に定められた有資格者が行わなければなりせん。

なおラウンドスリングの素材には、一般のポリエステルより強度が高いとされる、強力ポリエステル糸の束をナイロン素材の表面布で包んだ構造がよく用いられています。