塗工機

塗工機とは

塗工機

塗工機 (英: coater) とは、被塗材に塗工材料を塗る機械です。

塗工機はコーターとも呼ばれます。被塗材には、紙をはじめ樹脂製のフィルム、不織布、アルミ箔など多くの素材が使われ、塗工材料には接着剤やコーティング剤などがあります。

塗工機は、機能的に大きく分けると「塗る」と「固化」という2つの技術が使われており、塗るための重要な要素は、被塗材と塗工材料との「濡れ」です。

一般的な塗工機は、塗布する対象物の形状や塗布する薬品、目的によって塗布する方法が異なります。そのため、さまざまな用途に応じてロールコータスピンコータ、ディップコーター、スリットコーターなどが用いられます。

塗工機の使用用途

塗工機が使われる分野は、光学関連分野をはじめエレクトロニクス分野、事務用品、日常品と多岐にわたります。特に、エレクトロニクス分野での利用が盛んで、フレキシブル基板をはじめ電池電極、導電性フィルム絶縁テープ、各種電子部材などに使用されることが多いです。

パソコン、液晶テレビ、スマートフォン、タブレットなど、薄型で高機能・高密度化が必要な半導体製造分野では、フォトリソグラフィ工程のフォトレジスト塗布でスピンコーターやスリットコーターが利用されます。また、FPD (フラットパネルディスプレイ) 製造分野でも同様です。

さらに、二次電池や太陽電池、自動車部品をはじめ、住宅建材・繊維・医療などで使用される機能性フィルムやシート状製品に対して、ロールコータやその他薄膜塗布用のコーターなどが使用されます。

塗工機の原理

塗工機の目的は、被塗材への塗工材料の接着と表面処理を含めた機能追加であり、そのため、各種の塗工機が用途に応じ製造され、使い分けられます。

塗工機の代表的な種類として、以下の6つが挙げられます。

1. ロールコータ

ロールコータは、フィルムやシートなどの薄い平面状の基材へ塗工材料を塗布することを目的として、各種ローラーを複数組み合わせることで、最適な塗工面を得る機械です。

塗布する薬液の液溜まりに接するローラーの回転と、フィルムやシートなどの材料の巻取り回転とを利用して塗布するグラビアコーターやリバースコーターなどがあります。塗布する薬液の性質や粘度、塗布する膜厚に応じてさまざまな塗布方法が用いられます。

ロールtoロールでの塗布は、最も高速塗布に向いている方法です。この方法の特徴は、塗布液と被塗布対象物の間でビードを形成し被塗布対象物、または被塗布対象物とロールの両方が移動したり回転したりすることで、塗液にせん断力をかけ薄く塗布することです。このビードを安定化させることが、高品質な塗布には欠かせません。

2. スピンコータ

スピンコータは、一般的に回転するテーブルと薬品を塗布する機構で構成されます。主に回転するテーブルには塗布される製品などの材料が待機し、製品などの材料に薬液を吐出後、テーブルが回転する遠心力で製品などの材料全体に薬液が広がり薬液膜が形成されます。

最も薄く塗布できる手法ですが、複数枚の塗布や連続生産ができないため、大量生産には不向きです。

3. ディップコーター

ディップコーターは、ディップ方式と呼ばれ、ディップコート液に浸けて引き上げる塗布に用いられます。対象物の形状は問わず、塗布液のロスが少なく、均一な薄膜を形成することができるのが特徴です。

4. スリットコーター

スリットコーターは、スリットの入ったノズルから塗液を吐出することで塗布するコーターです。ダイコーター、スロットダイなどと呼ぶこともあります。被塗布対象物はテーブルの上に載せられ、薬液ノズルから薬液を吐出しながら製品などの材料をスキャンすることで薬液膜が形成されます。

5. スプレーコーター

ガラスなどの素材の表面に行われるスプレー塗布で使われています。

6. インクジェットコーター

製版を使わずに高精細印刷ができるもので、エレクトロニクス分野では欠かせない基板への精細パターン製作が可能です。

塗工機のその他情報

コーティングの欠陥

高性能な塗工機にて塗布を行っても、塗液や塗布条件によっては綺麗な塗布面が得られないことがあります。塗布や乾燥によって、塗布面に欠陥が生じる場合があり、これらの欠陥は、各々対策方法が分かっており、対策が必要です。

1. 塗布によって発生する欠陥
塗液を塗布する際に、空気が逃げ切れないために発生する空気同伴、塗布方向に対して逆圧力勾配ができるために発生するリブすじ、塗液中に泡があるために発生するすじやホールなどが挙げられます。

2. 乾燥によって発生する欠陥
乾燥速度が早すぎるために発生するゆず肌、熱風乾燥によって発生する風紋、塗膜の収縮による割れなどです。

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