コイルドウェーブスプリング

コイルドウェーブスプリングとは

コイルドウェーブスプリング (英: Coiled Wave Spring) とはコイルスプリングの一種で、特殊な波形を持ったコイル状のスプリングです。

一般的なコイルスプリングと同じく、コイルドウェーブスプリングは物体を支えたり、振動を吸収したりする目的で使用されます。

一般的なコイルスプリングとの違いは、よりコンパクトである点、同じ長さのスプリングと比較してより多くの弾性エネルギーを蓄えることができる点の2つです。

コイルドウェーブスプリングはスペースの制約のある環境や、コンパクトな製品に最適です。組み立てや取り外しが比較的簡単であるため柔軟な設計が可能です。軽量な材料で作られることが多くため、製品の重量を軽減する目的で使用されることもあります。

多くの弾性エネルギーを蓄えることができるため、コイルドウェーブスプリングは振動を吸収する能力が高く、物体に伝わる衝撃を軽減でき、製品の耐久性を向上させることができます。

ただし、コイルドウェーブスプリングはその特殊な波形の形により応力が集中してしまう箇所が存在します。応力の集中はスプリングの寿命や強度に影響を与える可能性があるため、適切な材料と設計によって応力が集中することを最小限に抑えることが重要になります。

コイルドウェーブスプリングの使用用途

コイルドウェーブスプリングは一般的なコイルスプリングと比べてコンパクトで振動を吸収する能力が高いためさまざまな分野の製品に使用されています。

 

以下はコイルドウェーブスプリングの使用用途一例です。

1. 自動車

シートやシートベルトのテンション調整に使用されます。シートやシートベルトの張り具合が調整できることは、自動車を利用するときの快適性および安全性の向上につながっています。

また、ドアヒンジにも使用されます。 車のドアを開閉する際の支えにコイルドウェーブスプリングを使うことで、ドアの動きが滑らかでスムーズになります。

2. 家電製品

冷蔵庫、洗濯機、オーブンなどの家電製品の扉や蓋のヒンジにも使用されます。開閉時にコイルドウェーブスプリングが扉や蓋を支えることで動作がスムーズで確実になり、扉や蓋が負荷なくしっかりと閉まり安全に使用できます。

家電製品の場合、使用時にモーターなどが作動して振動や騒音が発生することがあります。コイルドウェーブスプリングを使えば振動や騒音を吸収し、製品の静粛性を向上させることができます。

3. 釣具

 釣り竿のリールにコイルドウェーブスプリングを使うことで、より高い荷重を支えることができるようになるため耐久性が向上します。

 また、特殊な波型がたわみを安定させ、竿や糸の弾性エネルギーを蓄えておくこともできるため、力が無駄なく制御されリールの巻き取りや放出がスムーズかつ効果的になります。

コイルドウェーブスプリングの原理

コイルドウェーブスプリングは、一般的なコイルスプリングにも使用される平線材を波形状に成形して作られます。

波形に成形することでバネが圧縮または伸張するときの変形が波形全体に影響してエネルギーが均等に分散されるようになり、ばねの働きが効率的になります。また波形はエネルギーを蓄えやすく、元の形に戻る力も強いため一般的なコイルスプリングに比べて高性能かつ高寿命になります。

波形に成形すること小型化と軽量化が可能です。波形にすることで同じ大きさのスプリングでもより大きな荷重を支えられるようになるため、同じ荷重を支える場合は必要な材料が少なくなります。

コイルドウェーブスプリングの選び方

コイルドウェーブスプリングを選ぶ際は、以下のような要素を考慮します。

1. 直径

直径は、コイルドウェーブスプリングのワイヤの太さになります。直径が大きいスプリングほど一般的に強度が高くなりますが、ワイヤの太さは動きや重さに影響を与えます。

適切な直径を選ぶためには、スプリングが必要とする最大荷重や応力を確認することが必要です。

2. 自由長

自由長は、コイルドウェーブスプリングに負荷がかかっていない未圧縮時の全長です。スプリングの動作範囲や装置内での適切な配置を確保するためには、適切な自由長を選ぶことが必要です。

3. 材質

コイルドウェーブスプリングの材質は性能や耐久性に直接影響を与える重要な要素です。一般的にステンレス鋼、合金鋼、炭素鋼などが材質として使用されます。

製品の使用環境や要求される耐久性・耐腐食性などを考慮して適切な材質を選ぶことが必要です。

4. 最大荷重

コイルドウェーブスプリングの最大荷重は、スプリングが正常かつ安全に動ける限界の重量です。最大荷重を超える負荷がスプリングにかかると変形したり破損する可能性があります。

適切な最大荷重を選ぶためには、スプリングにかかると予想される負荷を確認する必要があります。

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