鉄筋加工

鉄筋加工とは

鉄筋加工とは、鉄筋コンクリート造り (RC (英: Reinforced Concrete) 造) で建築する際に、強度を高めるために使われる鉄筋の加工のことです。

使われている鉄筋は、太さが通常12種類 (D10~D51) です。材質は、圧延した鋼の表面にリブ (節) と呼ばれる突起を設けた棒状の部材です。鉄筋加工に使用される加工機械は専用のものが製作され、大量生産しています。

鉄筋加工の使用用途

鉄筋が使われる場所は主に建築物で、使用箇所によって種類が分けられています。組む順番は建築の進め方に合わせて基礎が作られ、柱が建てられ、梁、壁、床へと、それぞれに鉄筋を組みこんだ鉄筋コンクリートが組み込まれます。

柱は、縦と横に鉄筋が組まれます。その接合をフープ巻きと呼び、同じように床も縦横の鉄筋を組むことで主筋と配力筋で荷重を支えます。それぞれの鉄筋が交差するところでは、ワイヤーを使った固定が行われています。

現場で使われた鉄筋の仕様は、コンクリートで固められた後では視認できなくなるため、その前に工事写真撮影時のボードに記載しておくのが通例です。

鉄筋加工の種類

鉄筋は、以前丸鋼 (突起無し) と異形棒鋼 (突起有り) の2種類がありましたが、現在ではほぼ異形棒鋼に集約されています。

鉄筋加工は、異形棒鋼を所定の長さに切断する加工と指定された曲げの加工が行われています。切断加工は、専用工具となる「鉄筋カッター (油圧式や電動式) 」や専用の自動切断機を使って行われます。

曲げ加工は、指定された形状に工場で鉄筋自動曲げ機を使って行われていますが、現場でも鉄筋ベンダーを使った電動式工具での加工も行われています。曲げ形状は、主にR曲げとスパイラル曲げですが、特殊な曲げ加工に対応した加工機も製作されています。

加工とは別に、鉄筋には使う場所で呼び方を変え、その名称で使用される鉄筋が指定されています。呼び方には、基礎のベースに埋め込まれる「下筋」、柱部分の「柱筋」、梁に使われる「梁筋」、壁の「壁筋」、床の「スラブ筋」が主なものです。

タングステン加工

タングステン加工とは

タングステン加工とは、「重い石」と訳される粉末焼結金属のタングステンに対する加工のことです。

タングステンは融点や硬度が高く、とても加工が難しい金属です。金属の見た目は銀灰色で、電気抵抗が大きく金属的に安定しています。耐熱性が高いため、熱処理炉のような超高温下で用いる材料として幅広く活用されます。また、熱膨張率が低く超高温での形状安定性が非常に高いです。

高硬度のために加工が難しい一方で機械的には優れていますが、衝撃に弱い一面があるため使用の際は注意が必要です。

タングステン加工の使用用途

タングステン加工は、機械的安定性が要求される分野での使用が多いです。高硬度で加工に時間がかかるため、製品への使用も限定的です。タングステン自体が高価な切削用工具として使われる場合もあります。

工業用や医療用としてタングステンは、普段の生活と密接な関係があります。電子レンジの電磁波発生源となるマグネトロンだけでなく、釣りに使う錘やスポーツ関連商品などにも用いられています。放射線に対する高い遮蔽能力があり、医療現場でも使用可能です。

以前は白熱電球フィラメントに使われていましたが、現在ではほとんどがLEDに置き換わりました。

タングステン加工の種類

タングステン加工の具体例は、旋盤加工フライス加工タップ加工です。

1. 旋盤加工

旋盤加工では、チップ素材の選択で面粗度に差が出ます。例えばサーメットのチップではすくい角が大きくなり、切りくずの厚さが薄く切削抵抗が小さいため、面粗度が上がります。その一方で超硬合金のチップではチップの先端のすくい角が小さく、切りくずが厚く、切削抵抗が大きいため結果として面粗度が荒くなります。

2. フライス加工

フライス加工では荒加工の設定を湿式にして回転数を落とし、乾式で仕上げ加工すると仕上がりが安定します。湿式で仕上げ加工した場合には、仕上がりが安定しません。

3. タップ加工

タングステンなどの難削材のタップ加工は負荷が大きいためタップが折れやすく、送り速度が制限され加工に時間がかかります。荒加工で穴を開けた後にプラネットカッタを用いると、加工時間を短縮できます。

タングステン加工の選び方

1. 旋盤加工

旋盤加工では、特別高硬度のチップを使用すると逆に面が粗くなってしまうため、サーメット (英: CERMET) と呼ばれるチップ使用が推奨されています。CERMETはセラミックとメタルの合成語です。

2. フライス加工

フライス加工では、旋盤加工と同様に回転数を落として湿式で荒加工し、乾式で仕上げ加工が良いとされています。

3. タップ加工

タップ加工も同様で、使用するタップも「プラネットカッタ (超硬合金製のめねじ加工用工具の商品名) 」の使用が推奨されており、下穴を開けた後に使用すると作業時間を大幅に短縮可能です。

4. 切削加工

高硬度工作物の切削加工では「チッピング (バイトの刃先が欠けることで滑りやすくなる現象) 」を考慮し、乾式での荒加工後の仕上げは切削油を使った「クーラント加工」で行う工夫もされています。

タングステン加工の構造

タングステンの原子番号は74で、元素記号はWと表されます。比重は19.3g/cm3であり、金と同等で鉛の1.7倍の重さで、硬度も高いです。融点は金属中でも最高の3,422°Cであり、熱膨張係数は金属中で最小です。

タングステンは密度が高く、放射線遮へい能力に優れています。鉛もガンマ線やX線のような放射線の遮へい材に使用できますが、環境への負荷や人体への影響が大きいです。それに対してタングステンは、放射線遮へい能力は鉛より高いです。環境負荷も小さいため、医療分野でX線CTなどに利用されます。

タングステンは硬度が高いです。炭素と結合するとさらに硬度が高くなって、モース硬度は9になります。タングステンカーバイド (英: tungsten carbide) は、タングステンの炭化物で、化学式はWCです。硬度がとても高く、旋盤やドリルなどの金属の切削工具に使用されています。

旋削加工

旋削加工とは

旋削加工

旋削加工とは、切削加工の1種で、旋盤という加工機械で工作物を回転させながら「バイト」と呼ばれる工具を当てて表面を削る除去加工です。

旋盤を使用するため旋盤加工と呼ばれる場合が多くあります。工作物は基本的に回転対称形状に限定され、使用目的に応じてバイトを選びます。

旋削加工の使用用途

旋削加工は、円筒形状の製品を加工する場合に使用されます。例えば、ねじ、ボルト、シャフト、ニップルなどの加工です。

旋削加工は、バイトの種類を変えて複雑な形状を加工できるだけでなく、回転数を変えて加工精度が厳しい切断面の仕様にも対応できます。スマートフォンや自動車部品などの精密さが問われる機器部品の加工に最適です。

旋削加工の原理

旋削加工では、円筒形の工作物を旋盤に取り付け、高速回転させながらバイトを押し付け、外周や側面など削ります。仕様にあった形状や長さにするには、適切なバイトを選択することが重要です。

旋削加工の品質を保ちながら効率的に作業を行うには、「旋盤の速度」「主軸の回転数」「バイトの切り込み量」の3つのバランスを吟味する必要があります。旋盤の速度が上がれば加工時間が短くなりますが、精度が落ち、工具寿命が短くなってしまうためです。

また、切り込み量が多いと刃先が工作物に深く入り込み、摩擦抵抗が大きくなって切削熱も高くなります。刃先の欠損を引き起こしやすくなるので、適切な切り込み量を設定することが大切です。

旋削加工の種類

1. 外周加工

外周加工は、工作物の外周を削る加工方法です。「外丸削り」「段削り」「テーパ削り」「曲面削り」「溝加工」「突切り」「ローレット加工」が含まれます。

2. 端面加工

端面加工は、工作物の端面を削る加工方法です。「端面削り」「正面削り」「面取り」が含まれます。

3. 穴あけ加工

穴あけ加工は、工作物に穴を開ける加工方法です。端面にドリルを押し当て穴をあける「穴あけ」と、既にある穴の内側の径を拡大する「中ぐり」が含まれます。

4. ネジ加工

ネジ加工は、工作物の外周や穴の内側にネジ山を作る加工方法で「ネジ切り加工」とも呼ばれます。外周のネジ山を作る「雄 (お) ネジ切り」、穴の内側のネジ山を作る「雌 (め) ネジ切り」が含まれます。

5. 総形加工

総形加工は、仕様条件を満たす形状になるように成型された総形バイトを使います。複雑な形状でも効率的に削ることができる加工方法です。

旋削加工のその他情報

1. バイトの種類

旋削加工では、主に「片刃バイト」「剣バイト」「突切りバイト」「中ぐりバイト」「ネジ切りバイト」「ローレット工具」「ロータリーバイト」が使われています。

  • 片刃バイト (外形や端面の加工)
  • 剣バイト (刃先が剣のような形状) 
  • 突切りバイト (工作物を突っ切る時に使用)
  • ネジ切りバイト (ネジ切り加工に使用)
  • ローレット工具 (ローレット加工に使用)
  • ロータリーバイト (刃先が回転するバイト)

2. バイトの構造上の分類

バイトを構造上で分類すると、「スローアウェイバイト」「ロウ付けバイト」「ソリッドバイト」に分けられます。

スローアウェイバイト
スローアウェイバイトは、切れ味が悪くなった時に刃先 (チップ) を交換できる構造のバイトです。刃先を研磨する手間がかかりません。

ろう付けバイト
ろう付けバイトは、刃先がろう付けされている構造のバイトです。大量の旋削でも刃欠けしにくく、粗加工に向いています。しかし、刃先を研磨する手間がかかります。

ソリッドバイト
ソリッドバイトは、シャンク (柄の部分) とチップ (刃の部分) が一体型構造のバイトです。「ムクバイト」や「完成バイト」とも呼ばれます。切れ味が悪くなっても刃先だけ交換はできないので、再研磨して使用します。

3. 切粉の形状

旋削加工で削り出された切粉には次のような形状があり、旋削加工の良否判断の参考にされています。

  • 流れ形 (切削時の抵抗が少なく良好)
  • せん断形 (切削時の抵抗が不安定で精度が低い)
  • むしれ形 (切削に干渉があり傷が残る)
  • き裂形 (工作物が脆くき裂が残る)

フランジ加工

フランジ加工とは

フランジ加工

フランジ加工とは、フランジ (英: flange) を追加する加工のことです。

フランジは「つば」とも訳され、円筒形で部材からはみ出して出っ張った部分の総称です。

フランジは機械部品や電子部品の固定から、建材の設置、流体を流すパイプの接続まで、幅広い分野に使われます。パイプの接続では流体の漏れを防ぐことが大きな課題であり、使う素材に合わせて加工されます。

フランジ加工の使用用途

建物の中で使用される排水管の引き回しを行う配管作業で、管同士の接続や開閉弁のような部品の取り付けにフランジが必要です。

自動車ではタイヤホイールを取り付ける車軸側のフランジだけでなく、シャフトのつなぎやエキゾーストパイプのつなぎにも使われています。鉄道車両では、車輪の内側に見える脱輪防止用のつばに使用されています。

フランジ加工の原理

フランジ加工は、一般的に旋盤加工切削加工板金加工などの通常の加工と並行して行います。

1. 旋盤加工

回転対象部材に適用される旋盤加工では、フランジの形状も丸形が基本形です。あとでボルトの通し穴を付けて、必要に応じてねじ切り加工が行われます。

2. 切削加工

切削加工は、角形フランジや形状の複雑なフランジの製作に適しています。

3. 板金加工

板金加工でフランジをつける場合は、プレスによる曲げ加工絞り加工で行われます。

4. 曲げ加工

曲げ加工には3種類 (V曲げ、L曲げ、U曲げ) の加工法があり、使用目的に合わせて選択可能です。

  • V曲げ: 曲げ角度が調整でき、直角以外の角度をつけたフランジ形成に適しています。
  • L曲げ: 1面のみに直角フランジを作りたいときに使用されます。
  • U曲げ: 2面の直角曲げでフランジを形成したいときに使われます。

5. 絞り加工

絞り加工とは、金型に乗せた部材をブランクホルダーで抑えながらパンチングし、合わせてブランクホルダーで圧を加える加工法のことです。周辺部のフランジ形成と合わせて、容器を製作する際に使われています。

フランジ加工の種類

加工されたフランジには、曲げフランジ、縮みフランジ、伸びフランジ、複合フランジなどの種類があります。

1. 曲げフランジ

曲げフランジは長方形のブランクの端部を曲げるだけです。最も基本的なフランジ加工で、加工線が直線型になります。

2. 縮みフランジ

縮みフランジは加工線が凸型の弧を描きます。端部が扇形に広がっているブランクを使用して、加工で扇部が圧縮され、フランジ部にシワやたるみが生じやすいため注意が必要です。

3. 伸びフランジ

伸びフランジは加工線が凹型の弧を描きます。縮みフランジと逆向きの扇形を端部に有するブランクを用いて、加工の際に引っ張り応力によって素材が引き伸ばされます。縮みフランジとは異なり、割れに注意が必要です。

4. 複合フランジ

複合フランジは曲げ、縮み、伸びの3つを組み合わせた難易度が高い加工です。任意の形状にブランク端部を立ち上げて、全体でフランジの高さを一定に仕上げます。

フランジ加工の選び方

フランジ加工を施すと簡単にネジ穴を作ることが可能です。他の部品を使用せずに金属板にネジ穴が作れて、立ち上がりの高さでネジが切れて固定可能です。

フランジ加工によって立ち上げた先にパイプを溶接すると、根元の角がなくなります。曲面の立ち上がりには汚れが溜まりにくいため、メンテナンスが容易です。フランジ加工によって強度の高い溶接も可能になります。

その一方で、柔らかい材質のフランジ加工には注意が必要です。パンチを押し込むと穴が変形して立ち上がりが作れない場合もあり、立ち上がり部分の強度も低くなります。厚みのある板も、フランジ加工には適していません。負荷が高く、想定したように変形しない可能性があります。

ナットなどと比較すると、フランジ加工によるネジ山の数は少ないです。したがってネジの付け外しを繰り返すと、ネジ山が潰れる場合もあります。ナットを溶接するか、カシメナットの利用など、別の方法を検討する必要があります。

リーマー加工下穴

リーマー加工下穴とはリーマー加工下穴

リーマー加工下穴とは、リーマー加工前の下処理加工です。リーマー加工による最終寸法より細かな下穴処理を実施します。そのため、精度の高い穴(滑らかで真円)を加工することが可能になります(手作業、機械作業と同様)。

ただし、下穴による取り代が細かすぎると仕上げ不良が発生します。一方、取り代が大きすぎると切り屑(バリ)による施工性が悪化に直面します。そのため、取り代をリーマーの種類や加工材料によって適切に選定することが不可欠になります。

リーマー加工下穴の使用用途

リーマー加工下穴の使用用途は、前述の通り、リーマー加工精度を向上させることにあります。ただし、リーマーの種類や加工材料によって、下穴の取り代を適切に設定する必要があります。

そこで、参考としてリーマー直径に対する取り代(直径)を記載します。

  • 「リーマー直径=5mm以下の場合、取り代=0.1~0.2mm」
  • 「リーマー直径=5~20mmの場合、取り代=0.2~0.3mm」
  • 「リーマー直径=20~50mmの場合、取り代=0.3~0.5mm」
  • 「リーマー直径=50mm以上の場合、取り代=0.5~1.0mm」

となります。なお、実際にリーマー加工を実施する必要がある場合は施工業者と十分に協議の上、決定する必要があります。

リーマー加工下穴の種類

リーマー加工下穴の原理は、一般的にドリル(穴あけ工具)を専用の機械に取り付けて、回転・軸方向に上下させることで非常にシンプルです。

また、加工時には回転速度、掘削速度、1回毎の削り量などにより制御することが可能です。ちなみに、機械を使用する場合は、マシニングセンタ等の工作機械によりNC加工(専用コマンド用いる)をすることにより手作業より高精度の加工を実現可能です。以上のように、リーマー加工下穴処理を実施するとリーマー加工精度が向上します。

最後に、そもそもリーマー加工とは何かといいますと、加工した穴とはめる軸との組合せ(嵌め合い)のために、下穴処理した内側をより精工に、軸中心でより精度の高い穴開け加工になります。そのため、下穴加工後にリーマー加工を実施する必要があります。リーマー加工では、刃付の工具を回転させリーマー加工下穴に接触させることで、内側の表面のみを切削するため、高精度の穴開けが可能となります。ちなみに、リーマー加工は、±0.01mm程度の寸法精度が要求される場合などに施工します。

銅板加工

銅板加工とは

銅板加工

銅板加工とは、導電性、伝熱性に優れた銅板の加工のことです。

導電率が高く耐食性があることから電気関連分野や屋外向けの建築用資材などで使用されますが、は熱伝導が良いため溶接にはなじみません。

銅板加工の使用用途

銅板は小さな電気接点から調理器具、屋外向けの建築用屋根材、表面色が好まれる装飾品などで使用されます。銅板加工は、通常の切断加工曲げ加工をはじめ、装飾品で使用されるような手間のかかる彫り込みも行われています。

銅は鉄やアルミ、ステンレスといった他の金属に比べて強度がなく、ねばりがあるため成形が難しい素材と言われています。

銅板加工の種類

銅板加工は、切断加工、曲げ加工、切削加工表面処理などの通常の金属加工と同様の加工が行われます。

切断加工は、銅が柔らかいため刃を使った切断は不向きで、レーザー光照射によるレーザーカット加工でも、フャイバーレーザーを使った機械でないと難しいです。昇圧した水を極めて小径のノズルから噴出させることによって切断加工するウォータジェット加工も行われていますが、高価なガーネットという研磨剤が必要になるために大量生産には不向きです。

タレットパンチプレスという金型を使った打ち抜き加工や、銅の特性を活かしたワイヤーカットという高度な切断加工も行われています。この切断加工は、素材を水中に浸し、電流を流したワイヤーを当てることで発する熱で銅を溶かしながら切断します。曲げ加工は、加工自体は容易ですが、加工後の板内側のしわや外側ののびを考慮した加工制御が必要となる場合もあり、注意が必要です。

切削加工はフライス加工旋盤加工で行われています。銅板はねばりなどの特性があるのでバリなどが出現しやすいです。超硬の工具が適しており、切れ味が悪い工具を使用すると切削面が荒くなるためよく研磨された切れ味の良い工具を使用する必要があります。

ま銅板は高温になると溶着する場合があるのでクーラントが切削面にかかっているかの確認が必要です。銅の特性上、水溶性のクーラントは変色する場合があるため油性のクーラントが適しています。

また、細かい加工が必要とされる装飾品分野ではエッチング加工と呼ばれる薬品の腐食作用を応用した加工も行われています。このほかの表面処理としては、通常の表面研磨以外にもヘアライン加工アルマイト加工などがあります。

ねじ切り加工

ねじ切り加工とは

ねじ切り加工

ねじ切り加工とは、金属の工作物を削り、らせん状のギザギザした「ねじ山」を作る切削加工のことです。

ボルトのような「雄ねじ (おねじ) 」とナット内側の溝を切った部分の「雌ねじ (めねじ) 」の2種類があり、規格に定められた径やピッチに対応します。

ねじ切り加工の使用用途

ねじ切り加工は、ねじを必要とする以下のような用途に使われます。

1. 部品同士を固定する

ねじ切り加工を用いて、部品を固定するための雄ねじと雌ねじを作ります。多くの場合、雄ねじにはボルト、雌ねじにはナットを加工します。

2. 配管を通る流体の量を調整する

ねじ切り加工を用いて、配管の出入り口の内径に雌ねじを、出入り口を塞ぐための雄ねじを作ります。雄ねじは回転させることにより直動するので、配管を通る気体や液体の流量を調整が可能です。

3. 位置を決める

ねじ切り加工を用いて、位置を決めるためのねじを加工します。例えば、顕微鏡のピントを合わせる際に使われる「調整ねじ」のように、微調整しながら部品の位置を決める、また固定することが可能です。

4. 部品を送る

ねじ切り加工を用いて、工作物を送るねじを加工します。例えば、旋盤の工具の送りに使われるねじです。部品を固定しながらねじを回して直動させて加工します。

ねじ切り加工の原理

ねじ切り加工には2つの原理があります。工作物を削ってねじを切る方法と、工作物を変形させてねじを切る方法です。

1. 切削加工

切削加工とは、工作物を削ってねじを切る方法です。さらに、ねじの仕様通りの凹凸を施した工具を使って削る方法と、旋盤に「バイト」と呼ばれる刃を取り付けて削る方法に分類されます。工作物が大型の場合、「ねじ切り盤」と呼ばれる大型のねじ切り加工に特化した旋盤を使います。

2. 転造加工

転造加工とは、工作物を変形させてねじを加工するのが転造加工です。ねじの仕様通りの凹凸を施した工具に工作物を固定し、回転させながら圧力をかけて成形します。工作物を削らないので、削りくずが出ません。また、精度が高いねじを切れるので、大量生産に向いています。

ただし、転造加工では変形が可能な柔らかい素材を使う必要があるため、使える素材は限定されます。

ねじ切り加工の種類

ねじ切り加工には、雄ねじ加工に「ダイス」、雌ねじ加工に「タップ (タップ加工) 」を使う場合、「バイト」と呼ばれる工具を使う場合、工作物を圧力により変形させてねじを切る使う場合があります。

1. ダイスとタップを使用する場合

ダイスとタップにはねじと同じギザギザが付いていて、回転させながらねじを切ります。手動加工の場合、ダイスやタップにハンドルをつけます。機械加工の場合、ダイスやタップを旋盤チャックに固定します。

2. バイトを使用する場合

バイトはねじの仕様によってさまざまな種類があります。旋盤に工作物を固定して回転させながらバイトを押しつけてねじを切ります。

バイトを送る方向を使い分ければ、「右ねじ (時計方向) 」あるいは「左ねじ (反時計方向) 」に加工が可能です。旋盤の作業をコンピューター制御によって自動化する「NC旋盤」を使えば大量生産が可能になります。

3. 圧力により変形させる場合

塑性変形が可能な素材を使って、あらかじめねじの仕様に合わせた凹凸を施した工具に工作物を固定し、圧力をかけながら回転させてねじを成形します。これが切りくずの出ない「転造」というねじ加工で、加工時間を短縮し、大量生産も可能にします。

ねじ切り加工のその他情報

切削加工と転造加工の違い

ねじ切り加工では、「切削加工」と「転造加工」で下記のような違いがあります。違いを理解したうえで、加工方法を選択することが必要です。

1. 初期投資費用や生産時間
切削加工の場合、旋盤やフライス盤マシニングセンタなどの工作機械を使用してダイスやタップを取り変えることにより、さまざまな形状のねじを製造します。手間と時間をかけた小量多品種のねじの生産に最適です。

転造加工の場合は、目的の製品の仕様や形状にあわせた転造盤が必要なため初期投資費用が高めです。しかし、加工時間が短く耐久性も高いため、大量生産に向いています。

2. 強度
金属素材には「ファイバーフロー」と呼ばれる金属組織の流れがあります。切削加工では、このファイバーフローを切断するため、ねじの強度が低下します。

一方、転造加工ではファイバーフローが切断されず強度が低下しません。そのため、切削加工よりも転造加工の方が強度が高いのです。

3. 切りくず
切削加工は材料を切削するため切りくずが出ますが、転造加工は圧力をかけて材料を変形させるため切りくずが出ません。そのため切削加工よりも転造加工の方が無駄がなく環境にも優しい加工方法と言えます。

ステンレス曲げ加工

ステンレス曲げ加工とはステンレス曲げ加工

ステンレス曲げ加工とは、ステンレス製の板材や丸棒、角棒といった棒材を使って目的とする角度や形状に曲げる加工のことです。

ステンレスは、耐食性に優れるため広い範囲で使われていますが、他の金属に比べて硬いことから加工が難しいです。加工には経験が必要とされ、熟練の作業者や専用の機械に依存するものと考えられていましたが、使用目的に合わせたステンレス材の開発や加工機械の改良が行われています。

ステンレス曲げ加工の使用用途

ステンレス曲げ加工は、使用用途が多彩でステンレス板の曲げ加工やパイプの曲げ加工が知られています。

例えば、製品のケースを形づくる箱型曲げから、取付用のコの字に曲げたコの字型曲げ (ハット型) というように、曲げる面ごとに名称が異なることからも、使用範囲が広いことがわかります。

ステンレス曲げ加工の種類

ステンレス曲げ加工は、材料の形状によりステンレス板曲げ加工とパイプの曲げ加工に分けられますが、板曲げ加工が多く、その他の曲げ加工はわずかな量です。

1. 板曲げ加工

板の曲げ加工には、箱状に曲げる箱曲げをはじめとして、曲げる面の角数1角~6角までと形状や曲げ角度で各種名称があります。種類は、1角曲げともいわれるL字型曲げ、2角曲げのコの字型曲げ (ハット型曲げ) 、4角曲げの箱型曲げがあり、目的により使い分けます。

2. パイプの曲げ加工

パイプの曲げ加工は、曲げの角度で分類される程度です。直角に曲げるL字型の1角曲げとコの字型の2角曲げ、U字型の曲げ加工があります。曲げ加工に使用される工具や機械は、ベンダーという名称が使われています。板曲げ加工の機械は大きな板を高圧で曲げるプレスブレーキが知られています。

ポリカーボネート加工

ポリカーボネート加工とは

ポリカーボネート加工

ポリカーボネート加工とは、熱可塑性樹脂であるポリカーボネートの切断、切削、曲げ、溶接などの加工のことです。

ポリカーボネートで現在流通している板の形状には、平板、中空板、波板の3種類があります。

ポリカーボネートは耐衝撃性 (アクリルの50倍) や対候性に優れ、自己消化性があり、透明度も高いです。その一方で、有機溶剤に対し応力腐食性が強く、有機溶剤配合の接着剤は使用できず、表面に傷がつきやすいことも欠点です。

ポリカーボネート加工の使用用途

ポリカーボネートは金属では対応が難しい分野の製品として、切削加工や板形状の切断、曲げ、溶接のような加工が行われます。切断加工では材質の硬いことが、利点でもあり欠点です。切断面が鋭利となるため、切断加工後の面取りは欠かせません。

ポリカーボネート加工された製品は、メガネレンズやスマートフォンのケースを代表として、透明性を活かしたパーテーションなどに利用されます。

ポリカーボネート加工の種類

主にポリカーボネート加工では、切断加工とそれに伴う面取り、曲げ加工、切削加工、接着を行います。溶接も可能ですが、金属で利用するような電気溶接機アーク溶接機は使えないため、ホットジェットなどの熱風による専用溶接機が使用されます。

1. 切断加工

切断加工では、アクリルカッターが使われています。数が少なければディスクグラインダーでの切断や、薄い平板なら金切りバサミでも切断できます。

2. 曲げ加工

曲げ加工も加熱して曲げができないため、アルミサッシで行うような溝へのはめ込みに似た加工が使われます。

3. 切削加工

切削加工は金属に対して行う加工に比べ、マシニング加工や旋盤加工でも手軽な方法です。精巧な製品を製作できるため、コスト面での優位性が発揮できます。

4. 接着

接着は溶剤もしくは接着剤による接着のいずれも可能です。溶剤の選択を誤ると、透明性などの本来の特性を損ねる可能性があり、注意が必要です。

ポリカーボネート加工の原理

ポリカーボネートの各種加工には、板棒や丸棒に成形された材料を用います。

ポリカーボネートのマシニング加工では、まず加工する製品の図面に基づいて、NCデータを準備します。加工に用いる工具の動く速度、方向、回転数のような各種加工条件を設定可能です。ポリカーボネート板材を少し大きめの長さや幅にカットします。NCルーターに材料をセットして、NCデータに従い側面を削って穴を開けます。加工後にはバリを取り除き仕上げを行い、最後に正しく穴径や寸法などを加工できているか検査が必要です。

ポリカーボネート加工の構造

ポリカーボネート樹脂は、分子構造内に炭酸エステル構造を有する熱可塑性の非晶性樹脂です。炭酸エステル構造の化学式は-O-(C=O)-O-と表されます。主原料にビスフェノールAを用いて、ポリカーボネート樹脂は製造されます。

ポリカーボネート加工の選び方

ポリカーボネートはエンジニアリングプラスチックの代表であり、プラスチックの中でも非常に高い耐衝撃性を持っています。同じ厚みで比較すると、ガラスのおよそ200倍で、アクリルのおよそ30倍の耐衝撃性です。燃えにくく衛生的で、長期的に低温から高温まで使用できます。耐熱温度は120°Cで熱にも強く、光線透過率はガラスと同じ85〜91%で、透明度のある採光材です。

その一方でポリカーボネートは、アルカリ性や有機溶剤に弱く、耐薬品性が悪いです。ポリカーボネートの製品にアルカリ性の薬品が付着するとひびが入り、変形する可能性があります。流動性や成形性も悪いです。

ただし他の樹脂と混ぜて、双方の特性を補う原料も作り出されています。具体的には、流動性の改善のためにABS樹脂とアロイ化したグレードのほか、耐薬品性の向上のためにPBT樹脂やPET樹脂のような結晶性樹脂とアロイ化したグレードも知られています。

曲げ加工ベンダー

曲げ加工ベンダーとは

曲げ加工ベンダー

曲げ加工ベンダーとは、板やパイプを曲げるために使う工具、もしくは機械を指します。

曲げ加工では、どうしても戻ろうとする力が働き、スプリングバックと呼ばれる戻りを常に念頭において加工を考えなくてはいけません。

自動機であれば制御でカバーすることも可能ですが、加工精度が要求されるときは部材の見直しも必要です。

工具を使った手動での曲げ加工では、戻りも考慮して少し大きめに曲げたり、段階的に曲げていくといった対策が行われています。

曲げ加工ベンダーの使用用途

曲げ加工ベンダーは、加工部材が板ものであれば大きな力を必要とするため、金型に押し当てて曲げていけるプレスブレーキのような曲げ加工機を使用し、所要の曲げ加工を行っています。

パイプ状の部材であれば、手動で曲げ加工できる専用工具も各種つくられており、目的に合わせ使い分けることもできる一方で、複雑な曲げ加工が可能な3D加工機で対応することも可能です。

曲げ加工精度が厳しくなるほどスプリングバックの影響を考慮する必要が増し、場合によっては戻りの少ない部材の検討も必要になってきます。

曲げ加工ベンダーの種類

曲げ加工ベンダーの種類は、曲げる部材や曲げ方、曲げ底の形状で変わってきます。

板状の部材では、力が必要となるため専用曲げ加工機(プレスブレーキ等)やプレス機で加工するのが一般的です。

パイプの曲げ加工は、径の細いパイプであれば、手動の各種ベンダーが製作されていますが、パイプが太くなると加工機の使用がメインとなってきます。

また、曲げ加工数が多い場合や複雑な曲げが要求される場合は、使う機械も選ぶ必要がでてきます。

よく使用される加工機械としては、必要に応じ、曲げ方を制御可能なものや高度な3D曲げまで自動で行えるCNCベンダーといったものも使われています。

曲げ方による分類では「V曲げ」と呼ばれるV字形の比較的角度の浅い曲げや「パーシャルベンディング」という「自由曲げ(エアーベンディング)」の一種で曲げ角度を調整できるもの「矯正曲げ(コイニング))という加工精度が上げられる曲げ方があります。

曲げ底の形状による分類では、V曲げのほか「R曲げ」や「ロール曲げ」、段違いに曲げる「Z曲げ」、U字形に折り曲げる「ヘミング曲げ」といった曲げが使い分けられています。