AIOCR

AIOCRとは

AIOCRとは、OCR (英: Optical Character Reader) 技術にAI (英: Artificial Intelligence) を組み合わせたものです。

OCRは、手書きやプリントされた文字をスキャナやデジカメで読み取りテキストデータに変換する技術です。この従来のOCRの技術にAIの技術を活用し、融合させた新しいOCR処理技術がAIOCRと呼ばれています。

AI OCRはAI (人工知能) の中でも、特にディープラーニング (英: Deep Learning) と呼ばれる深層学習の機能を取り入れ、文字の特徴やパターンを学習し、文字の認識精度や文字範囲やレイアウトの解析精度を向上させることが可能となりました。また、これまで困難であった罫線や取り消し線、文字の癖などの読み取りができるようになりました。

AIOCRの使用用途

AIOCRでは、従来のOCRが苦手としていた手書き文字や複数のレイアウトが混在した帳票、より精度の高い文字認識を必要とする業務で使用されています。

1. 手書き文字を扱う場合

手書きの伝票やアンケート、問診表、申込書、作業日報など手書きの書類を扱うことが多い業務で使われます。

2. レイアウトが複数混在している場合

中小企業の現場に多いFAXで届く各社からの注文書や請求書などレイアウトが統一できない業務に適しています。

3. 文字認識の精度を上げたい場合

大量のドキュメントを読み込んでデジタル化する現場では読み取り精度が1%違っても修正工数が大きく変わります。AIによる学習により認識精度が向上し工数削減になります。

AIOCRの原理

AIOCRは、深層学習方式で文字を認識しています。手書きによる文字認識の原理は、例えば「犬」をディープラーニングで学習したAIが、犬の画像を見て、それが犬であると認識できるのと同じです。犬の画像を犬と認識するのは、数多くの犬の画像を学習させることで、特徴を抽出・分類した結果を使って推定しています。

それと同様に、手書き文字を認識する場合も、手書き文字の画像を大量に学習させることで、特徴を抽出・分類していきます。その結果、AIが手書き文字の内容を自動的に判断し、読み取る精度を高めていくことが可能になります。つまり、非定型の文字データであっても、手書きの文字メモであっても、取引先ごとに異なる伝票などであっても、項目を判断してデータ化が可能です。

深層学習方式の課題は、各処理の組み合わせをするために学習データが大量に必要になることが挙げられます。また、大量のデータを処理するために、高性能な演算装置 (GPU等) が必要となる場合もあります。

AIOCRの選び方

AIOCRの製品を選ぶ際は、以下のポイントに注意します。

1. 対象原稿の文字種類

読み取る原稿内に使われている文字が手書きなのか、印字された文字なのか、あるいは混在なのかで対応できる製品が違ってきます。それぞれに向き不向きがあり、間違った製品を選択すると文字認識の精度が低くなってしまいます。

2. 対象帳票のフォーマット

読み込みを行う対象帳票のフォーマットが限定されているのか、限定されていないかにより変わってきます。フォーマットが限定されている場合は事前にフォーマットの定義を行うタイプの方が読み取り精度が高くなります。

反対にフォーマットが限定されていない場合は帳票のフォーマットをAIに学習させて抽出するタイプが適しています。

3. 他システムとの連携

紙媒体に記載されている文字をAIOCRで読み取ってテキストデータにして完了ではなく、他の業務システムへの入力データとなることが多いです。自社で連携が必要な業務システムと問題なく接続できるかを確認します。また、最近普及してきているRPAとの親和性も確認ポイントの1つです。

4. コストパフォーマンス

AIOCRの料金体系はさまざまです。月額固定やページ当たりの従量課金などがあります。自社の使用シーンや規模感を考えて有利なサービスを選択します。

5. 操作性

AIOCRを実際に利用するのはシステム部門のユーザではなく、経理や人事、マーケティングなどです。AIOCRを活用してもらうためにも、業務にあった操作性に優れたシステムを導入するのがポイントです。

6. 実績

実績の確認も大事なポイントです。可能であれば、自社の業務と類似の事例がある製品を選ぶと良いです。

トリアセテート

トリアセテートとは

トリアセテート

トリアセテート (英: tri-acetate) とは、繊維の原料として有名な化合物で、半合成繊維 (英: semi-synthetic fiber) の一種です。

半合成繊維の原料は植物由来の木材パルプや動物から天然繊維として採取し、工場などで化学的に処理します。トリアセテートの原料は植物由来であり、環境にもやさしく加工が容易な繊維として注目されています。

トリアセテートの使用用途

植物由来であるトリアセテート繊維は衣類や生活用品などに使用されています。和服、シャツ、ネクタイ、スカーフ、洋服の裏地、傘の羽の部分、カーテン、小物類がトリアセテートを使用した代表的な製品です。

タバコのフィルター部分にもトリアセテート繊維が使用される場合もあります。トリアセテート繊維の吸湿性によって口にくわえている状態でもタバコの葉が湿気るのを防ぎます。

トリアセテートの特徴

トリアセテートは木材パルプを原料とし、酢酸による化学処理で生成します。木材パルプの基本骨格であるセルロースの水酸基 (-OH) を酢酸基 (-OCCH3) に置換した化学構造を持っており、厳密には92%以上が酢酸基に置き換わっています。

吸湿性、保湿性、繊維の中でも軽い、絹のような光沢性、高い弾力性、熱可塑性、染色しやすい点などがメリットです。とくに光沢性があるため弾力性により高級感を持つ衣類を製造可能です。撥水性も高く、アウトドア製品の素材にも向いています。

デメリットは耐アルカリ性、耐熱性、強度などが低く、排気ガスにより変色し、マニキュアの除光液などに溶ける点です。除光液や排気ガスがトリアセテート繊維に付着して内部に染み込むと染料分子が分解し、色落ちや変色に繋がります。

トリアセテートの構造

アセテート繊維 (英: acetate fiber) にはトリアセテート、ジアセテート、アセテートがあります。トリアセテートやジアセテートは酢酸基の数が違います。

1. トリアセテート

アセテート繊維に3個の酢酸基が結合しています。

2. ジアセテート

アセテート繊維に2個の酢酸基が結合しています。

3. アセテート

酢酸基が1個だけ付いたアセテート繊維です。ただしアセテートは繊維の名称としても使用され、アセテートにトリアセテートやジアセテートも含まる場合もあります。アセテートはジアセテートを示すことも多いです。

トリアセテートの選び方

トリアセテートにはジアセテートと共通した特徴や異なる特徴があり、ジアセテートとはメリットとデメリットが違います。

1. 発色性

アセテートには染色しやすい繊維が多く、トリアセテートの発色性はジアセテートよりも優れています。淡色から濃色まで、色の幅が広いです。光沢感がありドレスのような高級感を持つ衣料品やインテリア資材に使用されます。

2. 強度

トリアセテートは強度が必要な衣料品に向いています。ジアセテートより化学繊維としての要素が強いためです。セルロースから作られる繊維は水を吸いやすく、水分を含むと強度が低下する場合があります。ジアセテートと比べてトリアセテートの吸水性は半分程度で、濡れても強度が下がりにくくシミにもなりにくいです。

3. 弾力

トリアセテートの肌触りは柔らかく弾力があります。化学繊維としての要素が強いトリアセテートはジアセテートと比較してシワになりにくいです。

4. 耐熱性

ジアセテートよりもトリアセテートには耐熱性があり、加工の幅が広く、熱セット性に優れています。アセテート繊維は熱により変形するため、シワ加工にも適しています。

5. デメリット

トリアセテートにペンキ屋除光液が付くと繊維が溶けます。ストーブや車から出るガスに弱く、変色や退色の原因になります。アルカリに弱いため、アルカリ性の粉末洗剤や石鹸は使用できません。着用時にはシワができにくいですが、洗濯で脱水してもシワが取れにくいです。

研磨剤

研磨剤とは

研磨剤

研磨剤とは材料の表面を削る、もしくは磨く目的で使用される製品で、粉状もしくは粒状のものが一般的ですが、広義では水分、油分と混合させた性状のものも含まれます。

かつては天然のガーネット等を粉砕して作られていましたが、今日では人工的に製造されたものが主流で、加工物の材質や目的に応じてアルミナや炭化ケイ素、ダイヤモンド等を粒状にしたものが使用されています。

研磨剤は単独で利用されることは少なく、より利便性を高めるため、結合剤で固めて人造砥石として、あるいは紙や布に付着させ研磨シートとしても利用されることが多いです。

研磨剤の使用用途

研磨剤は金属やプラスティック等の表面を磨くことにより、寸法精度や光沢感を向上させる目的で使用されています。
研磨剤のJIS規格は粒度(粒の大きさ)によって主に定義されます。研磨加工は一般的に加工速度に優れた粒度の大きなものを最初に使用し、その後求められる精度に合わせて小さなものを用いることが一般的です。

また、研磨作業は通常平面的に行われますが、研磨剤を付着させたブラシ等を回転体に取り付けることにより、曲面や内径を加工することも可能です。

研磨剤の原理

研磨は、硬い微粒子を用いて材料表面を少しずつ削ることで、表面の凹凸を小さくする作業であり、用いられる硬い微粒子を研磨剤と呼びます。

研磨加工には研磨剤粒子を結合剤で固めた工具を用いた固定砥粒方式と、研磨剤粒子をばらばらの状態で使用する遊離砥粒方式があります。

固定砥粒方式の場合、砥粒が固定されているため加工物に対して切り込む加工となり、研磨時間や加工効率に優れています。

一方、遊離砥粒方式では砥粒がテンどうする形で加工物を削る方式であり、より高精度な加工面が得られます。

研磨剤の原理

図1. 研磨剤の原理

研磨加工はラッピングのような粗研磨とポリシングのような精研磨の二種類に分けられます粗研磨では高能率加工、寸法精度や形状制度の確保のために行われ、比較的粒度が低く、高硬度の研磨剤が一般的に用いられます。精研磨は表面粗さをより小さくする工程で、粒度が高く、軟質の弾性のある微粒子が一般的に用いられます。粗研磨で研磨する表面の形状を整え、精研磨で表面をつや出し・鏡面化していきます。

研磨する表面の材質やどの程度まで研磨するかにより、適切な研磨剤の材質・粒度を選定する必要があります。

研磨剤の特徴

研磨剤の原料には幾つかの種類がありますが、原料によって硬度や反応性が異なるため使い分けがされています。

最も汎用されている研磨剤はアルミナのコランダム結晶を用いたもので、ジルコニアチタンと併用することにより硬く靭性に優れているため、主に鉄やステンレスの研磨に用いられています。

また、炭化ケイ素を用いた研磨剤はアルミナよりさらに硬く靭性に優れており、かつダイヤモンドより安価なため金属、非金属の研磨に幅広く用いられていますが、摩擦熱で高温になった環境では鉄と研磨面で反応し、研磨剤としての性能を急速に失うため、鉄やステンレスの研磨には不向きです。

より硬度を重視したものとしてはダイヤモンドや窒化ホウ素を原料としたものがあり、硬さを活かして研磨をより効率的に行うことができますが、いずれも高価であること、また、ダイヤモンドは炭化ケイ素と同様に鉄やニッケルと反応し、性能を失ってしまうため、利用は特定の用途に限られています。

浄水装置

浄水装置とは

浄水装置

浄水装置とは水道が整備されていない環境で飲用水、生活用水を確保するための装置です。

浄水装置に河川水や湖水等を入れると活性炭やフィルター、塩素投入によって汚濁の除去や微生物の殺菌が行われ、飲用可能なレベルまで浄化されます。

また、家庭用浄水器も広義の浄水装置の一種で、同様にフィルターろ過等の機能が備わっていますが、汚染よりはむしろ水道水中の残留塩素等を除去し、飲みやすさの向上や肌への刺激を減少させることを目的としています。

浄水装置の使用用途

浄水装置は水道が整備されていない、もしくは災害等で水道が利用できない地域において、あるいは作業現場やイベント会場等、一時的に飲用水もしくは生活用水が必要になる場所で利用されます。水源としては淡水が用いられますが、一部の装置では海水の脱塩も可能です。

また、通常の浄水装置はウイルス等の微細な物質は除去しきれないことがありますが、逆浸透膜等を用いた製品ではより細かい成分の除去が可能です。当初は宇宙船のような閉鎖環境での水循環を想定して開発されましたが、現在では普遍的に用いられています。

浄水装置の特徴

浄水装置は原水に含まれている不純物を吸着、沈殿、逆浸透等の原理を応用することによって取り除きます。

装置中に導入された原水にはまず凝集剤が添加され、比較的大きな物質を重力によって沈殿させて取り除きます。その後、処理水は砂等を用いたフィルターを通すことによって物理ろ過され、また、次亜塩素酸等を投入することによって殺菌されます。製品によってはフィルターと塩素殺菌の実施後、活性炭フィルターを通すことにより、先に添加した塩素や他の有害物質を取り除く工程があるものも存在します。

沈殿及びろ過、消毒等を経由した処理水は飲用水、生活用水として実用的なものですが、さらに純度を高める場合は酢酸セルロースやポリアミド製の逆浸透膜を使用し、処理水を加圧することによって水のみを選択的に透過させます。

逆浸透膜はあらゆる物質の除去が可能で、高純度の水の製造が可能です。逆浸透膜は目詰まりしやすいため、水を一定の方向に流して流れと垂直方向にある膜に浸透させ、処理水を濃縮するクロスフロー方式が採用されています。

洗浄カゴ

洗浄カゴとは

洗浄カゴ

洗浄カゴとは企業や大学などの実験室、製造部署などで使用した数個以上の器具を一度に洗うため入れておく金属製のカゴです。

実験室などで使用される器具はガラス製のものが多く、下に落としただけで割れるうえ、1回の実験で大量の使用器具が出ます。

そのため洗い場まで個別に使用器具を持っていく過程でも器具破損のリスクはあります。

そこで洗浄カゴに使用した器具を入れることで、一度に洗い場までもっていくことができ、かつ洗浄後もカゴに入れてそのまま乾燥させるこもできます。

洗浄カゴの使用用途

洗浄カゴの使用用途は、実験などで使用した器具を洗浄工程において効率良く洗浄作業を進めるためです。

1つ目は洗い場まで持っていくまでに、洗浄カゴに器具をひとまとめに入れることです。

2つ目は洗い場で使用します。洗浄カゴのごと洗浄液の中に漬けながら洗う場合、カゴの中から1つずつ取り出して器具を洗うなどできます。

3つ目は洗った器具を再度洗浄カゴに戻して大型の乾燥機にカゴごと入れて乾燥させます。

洗浄工程にて器具をひとまとめに扱えますので、効率よく、かつ破損リスクを抑えることができます。

洗浄カゴの原理

洗浄カゴの形状は、直方体や円柱状などあり使用する場所や頻度によって適切に選びます。

材質はステンレス製のものが主流であり、網目状となるようステンレスの糸を編み込んで金網として制作します。

ステンレスが使用されている理由としては、水が掛かってもサビに強いこと、洗浄カゴごと大型の乾燥機に入れるため80~100℃の温度に耐えることが挙げられます。

金網の洗浄カゴを組み上げた後は電解研磨仕上げを施します。

網目状とするためステンレスの交差部分は溶接しますので、酸化した状態となります。そのため長期間使用すると錆が発生し、壊れやすくなります。

電解研磨仕上げは、研磨溶液の中に洗浄カゴを入れて電気を流すとステンレス表面が溶解して表面に被膜を形成します。この被膜により防錆性が向上して品質維持に繋がります。

また金網型ではなく、ステンレスの平板に丸穴のパンチング加工を施して制作しら洗浄カゴもあります。金網より強度が強くなります。

洗浄瓶

洗浄瓶とは

洗浄瓶

洗浄瓶とは、洗浄液を押し出して使うためのノズルを備えた透明または半透明のプラスチック容器です。

洗瓶 (せんびん) とも呼ばれ、工場・研究所や大学などの教育機関にある実験室で見られます。工程や実験で使用した器具が汚れた場合に水や溶剤で洗い、汚れを除去しますが、この際に都度洗浄用の精製水や溶剤を取りに行っていたのでは時間が掛かり不便です。

そこで、予め洗浄瓶に溶媒を入れておき、手近に置いて必要な時にすぐ使用できるようにしておきます。また、ノズルを備えた、片手で操作できる容器を用いることで、洗浄作業が容易になります。

洗浄瓶の使用用途

洗浄瓶の使用用途は、実験や作業を終了した後の水や有機溶媒など洗浄液による器具の洗浄です。洗浄瓶の先端はノズル状になっており、ここから器具に直接洗浄液を掛けることですすぎ洗いを行います。

あるいは、洗浄瓶からウエスやペーパーワイパーなどに洗浄液を染み込ませて拭き、汚れを除去する使い方も可能です。また、洗浄としての使用方法ではありませんが、実験で少量ずつ液体を注ぎ足すときにも用いられることもあります。例えば、メスシリンダーの標線に水や溶媒の液面をあわせるときなどです。

洗浄瓶の構造

通常、洗浄瓶は可塑性プラスチックのボトルとノズルで構成されます。ボトルの上部にノズルが付いており、容器内部に向かってチューブが伸びています。使用時にはチューブの下端は容器内部の洗浄液に浸されている状態です。

ボトルの材質はポリエチレン製が主流です。柔軟性があるボトルを握ることで操作します。なお、プラスチックの成分が溶出すると問題がある用途のために、ガラス製の洗浄瓶も一部メーカーから提案されています。

洗浄瓶のその他情報

1. 洗浄瓶の使い方

使用するときはボトルを手で持ち、ボトルの側面を握るように押して圧力を加え、内容物の液体をノズルから噴出させます。ボトルを片手で握るだけでよいので、実験中や洗浄中に容易に使用することが可能です。

握りを緩めれば、外気がノズルからチューブを介して容器内に入ります。必要に応じて繰り返し噴出させることが可能です。

2. 使用する洗浄用液体

洗浄瓶で使用するのはイオン交換水や蒸留水などの精製水やメタノールエタノールアセトン、イソプロパノールなどの洗浄用溶媒です。

トルエンのようにポリエチレンに影響する溶媒の場合、短時間の使用時のみに洗浄瓶に入れて使用する運用とする必要があります。

3. カラーコード

洗浄瓶内に入っている溶媒を識別しやすくするため、カラーコードと呼ばれる色ラベルが洗浄瓶に貼られている場合があります。ただし、洗瓶のメーカーにより色が異なることもあるので、事前に確認することが重要です。カラーコードのルールが混在すると、取り違いの原因となってしまいます。

標準的には、水は青、エタノールは白、アセトンは赤の表示がされることが多いとされています。

4. 印刷表示

洗浄瓶に内容物名が印刷された状態で販売されている洗浄瓶があります。これは表示を記載する手間が省け、印刷であるため表示が消えにくく、取り違え防止に役立てられるものです。

また、洗浄瓶に菱形の図形 (図形内に数字を記載) が印刷されている洗浄瓶もあります。この菱形図形は、全米防火協会 (英: National Fire Protection Association, NFPA) が策定・管理しているファイア・ダイアモンドまたはそれを簡略化したものです。

ファイア・ダイアモンドは色分けされた4つの小さい菱形からなります。左の青は、健康障害性、上の赤は燃焼性、右の黄は不安定性、下の白は特記事項です。それぞれの項目について、無害の0から危険度大の4まで数字が記されています。

5. 環境温度変化による漏出・噴出

洗浄瓶は噴出に内圧を用いる構造であるため、環境温度が上がると温度変化で内圧が上がり、内用液がノズルから出てくることがあります。特に、有機溶媒はもともと蒸気圧が高い (揮発性が高い) ため内圧が高まりやすく、比重と表面張力が小さいため流出しやすいことも相まって流出や噴出を起こしやすいです。

さらに、可燃性の有機溶媒の場合は火災危険、劇物の有機溶媒の場合は有害性危険が問題となります。そのため、洗浄瓶を扱うときには温度変化が大きいところに置かないことが安全上重要です。また、漏れ防止用の密閉コックを設けた洗浄瓶もあります。コック付きの洗浄瓶は使用時のみコック開とし、使用しないときはコック閉としておきます。

脱臭装置

脱臭装置とは

脱臭装置とは、事業所や家庭などから発生する悪臭を減らすために使用される装置です。

最も知られている脱臭装置は家庭用の空気清浄機などに使用されている光触媒やイオン発生器を利用した方法で、適用範囲が狭く臭いが比較的弱い場合に適しています。

工場や廃棄物処理場などの特定の物質に起因する臭気が強く発生する場所では、原因物質を選択的に分解除去するための装置が開発されて取り入れられています。

脱臭装置の使用用途

脱臭装置は有機溶媒や食品などを扱う工場や事業所、あるいは下水や廃棄物の処理場で作業安全性の向上や不快感の軽減、排出規制の順守を目的として使用可能です。

脱臭装置によって除去可能な物質の種類やコスト、脱臭にかかる時間が大きく異なるため、想定される環境に応じた使い分けが重要です。

臭気が比較的弱くて周辺環境への影響が懸念されない場合には対象物質の分解や吸着を行わず、そのまま排気や希釈をする方法が採用される場合もあります。

脱臭装置の原理

脱臭装置には様々な種類があり、大別して以下の3種類の原理により脱臭を行います。

1. 分解

最も広く用いられている方法は臭気の原因となる物質の分解です。光触媒やイオン発生器は臭気の原因となる物質の酸化分解を促進します。より直接的な手段として有機溶剤を加熱して燃焼させる燃焼法や溶媒に吸収させて分解する洗浄法なども存在します。効率的ですが、排気や排水処理が必要です。

2. 吸着

臭気の原因となる物質を吸着する方法も古くから用いられています。導入コストと汎用性に優れた活性炭吸着や高濃度の有機溶剤に適した吸収塔を利用した方法などが存在し、他の手段と組み合わせて使用されています。

3. 芳香

臭気が比較的弱く、不快感の軽減が目的の場合には臭気を他の匂いで打ち消す方法が用いられる場合もあります。マスキング法と呼ばれ、消臭芳香剤を用いた方法です。効果の持続性や芳香剤自体の臭気が問題になる可能性があります。

脱臭装置の種類

脱臭装置の方式によって数多くの種類に分類されます。

1. 燃焼法

臭気を持つ物質を高温で処理し、酸化分解する方法です。具体例として、直接燃焼法、触媒燃焼法、蓄熱燃焼法などが挙げられます。

2. 洗浄法

臭気を出す物質と洗浄液を気液接触させ、中和や酸化分解によって脱臭します。

3. 吸着法

臭気を細かい孔に吸着させます。セラミックス、ゼオライド、活性炭などが主に用いられます。

4. イオン酸化法

空気中の酸素を放電でイオン化して酸素クラスターを発生させ、臭気を有する物質をイオン分解します。

5. 光触媒法

光触媒の表面に紫外線を当てて生じる活性酸素類を臭気を持つ物質に接触させて酸化分解します。

6. オゾン酸化法

臭気を有する物質とオゾンを接触させて酸化分解します。

7. 希釈法

大量の空気で希釈し、排気口、煙突、窓などから換気によって排出します。

8. 生物脱臭法

微生物による生態系物質循環作用を用いて分解脱臭します。スクラバー式や曝気式などの液相型と充填塔法や土壌法のような固相型に分けられます。

9. プラズマ分解法

高電圧プラズマによって生じた活性酸素プラズマで酸化分解します。

10. 化学的捕捉法

超高分子化合物水溶液を圧縮空気で臭気に噴霧します。

脱臭装置の選び方

脱臭効果を得るために正確に臭気の種類や性質を把握して脱臭方式を選定する必要があります。

1. 燃焼法

高濃度の臭気を脱臭できますが、建設費や維持費がかかります。

2. 洗浄法

物質を特定した場合には効果的です。装置が大きく、消臭剤費用が必要です。

3. 吸着法

装置がシンプルで、高湿度や高温の臭気には適していません。

4. イオン酸化法

高濃度臭気の脱臭はできませんが、安全性が高いです。

5. 光触媒法

定期的な洗浄が必要で、触媒機能を回復できます。

6. オゾン酸化法

コンパクトですが、オゾンを吸引すると有害です。

7. 希釈法

濃度が低ければあらゆる臭気に効果があります。

8. 生物脱臭法

条件管理が難しいですが、自然にやさしいです。

9. プラズマ分解法

設置例は少ないものの安定しています。

10. 化学的捕捉法

対応できない種別を除いて脱臭剤をカスタムメイドできます。

補修剤

補修剤とは

補修剤

補修剤とは衝撃や疲労、経年劣化等によって生じた建造物のひび割れ、隙間等を埋め、防水性能や強度を維持することを目的として使用する製品です。

補修剤は接着剤の一種であり、補修剤をひび割れや穴の部分に注入して空気に触れさせる、あるいは主剤と硬化剤を混ぜ合わせることにより、穴埋め及び強度の補修が可能です。しかし、使用後に穴開けや塗装等を行うことを想定し、接着目的のものよりも硬化後の柔軟性を求めているものも多く存在します。

補修剤の使用用途

補修剤は建造物や機械の補修に幅広く使用されています。

コンクリートやプラスティック、金属等に発生したひび割れや設計上の間隙は美観を損ね、また強度の低下や漏水等を引き起こすため、早急な修理が必要です。

補修剤を対象面に注入して使用することにより、事後保全として失われた美観や機能を回復させ、また、水分や他の劣化因子の侵入による劣化の進行を予防することが可能です。

また、劣化がより進んだ対象面に関しては間隙部分への注入を行わず、表面のみをシーリングする方法が取られることもあります。

補修剤の原理

補修剤はシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等が空気中の水分、もしくはポリアミン、ポリアミドと反応して硬化する原理を利用しています。

シリコーン樹脂の場合、表面にアルコキシ基が存在しますが、環境中の水分と加水分解を起こし、架橋されることによってゴム弾性体となります。また、エポキシ樹脂の場合もポリアミン、ポリアミドと分子中のエポキシ基が反応して架橋構造が生まれますが、分子中に強固なアミド結合が生まれるため、より接着力が強く、硬くなります。

車両や建造物の修理等で補修剤に強度を求める場合はエポキシ樹脂のような結合の強いものが適していますが、プラスティック面への使用や補修後の加工には適していません。一方、対象面への密着や柔らかい材質使用が求められる場合には弾性に優れたシリコーン樹脂が適しています。

また、シリコーン樹脂を改良したものとして分子中のメチル基の一部を官能基に置き換えた変性シリコーン樹脂が挙げられ、塗装面への使用が可能であること、より柔軟性に富んでいるため外壁等で用いられています。

放熱材

放熱材とは

放熱材

放熱材とは温度制御実施が必須な部品等に対して、熱を逃げやすくするための材料になります。

材料の形態としては、ゲル状、コンパウンド、フィラー、接着剤、シート状などで各製品に使用されています。

電子部品に発生する熱は、電子製品の動作を鈍くするだけでなく、動作不良や故障の原因になります。

特に昨今は高性能かつ大規模容量のデータを扱う電気製品が出てきているので、現在の放熱材はいかに効率良く熱を逃げやすくするかに重点が置かれて開発されています。

放熱材の使用用途

放熱材の使用先は、主に電気製品の内部に組み込まれています。

分野はIT、産業装置、家庭用電子機器、自動車、パワーデバイスなど多岐に渡ります。

使用箇所は電気を入れることで、熱が発生し温度が急激に上昇して高温となるマザーボード上のCPUなどです。

特に熱の発生量は製品の特性や使用時間、他の部品との兼ね合いで異なります。

そのため事前にシミュレーションにて発生熱量を計算しておき、熱発生量の多い製品ほど高性能な放熱材を使用します。

放熱材の原理

放熱材は熱を逃がすものなので、熱エネルギーの物理特性と密接な関係を持っています。

熱エネルギーは、電気を流すなどの物理作用によって変換され物体の温度を上げるエネルギーとなります。

そのため物体の温度を下げるには、熱エネルギーを外に移動させる作用ということになりますから、外界いわゆる空気層に熱を逃がすことになります。

しかし空気層は熱伝導率が低いため、高温物体から熱を逃がすのは容易ではありません。ですので放熱材はその役割を担っていることになります。

放熱材は熱伝導率の高い材料になりますので、CPUなどの高温となる部品に塗ったり、貼ったりすることで、熱を放熱材へ移動させます。

放熱材は空気層と接触していますので、放熱材に溜まった熱は空気層へ発散されていきます。

このとき放熱材は空気層へ熱移動しやすくするため、空気との接触面積を大きくするための形状となるよう作られています。

このような過程を得て、電子部品の温度を下げて故障とならないようにしています。

ホースクランプ

ホースクランプとは

ホースクランプ

ホースクランプとは、図1に示すようなゴムホースなどの配管や継手などの接続部分を固定するために使用するリング状の金属製の部品です。

ホースクランクやホースバンドとも呼ばれており、様々な工業機械に利用されています。

ホースクランプの使用状態模式図

図1. ホースクランプの使用状態模式図

ホースクランプの構造

ホースクランプにはネジで締め付けて使用するネジ式と、ホースクランプ自体のばねの力で締め付けて使用するばね式があります。

1. ネジ式ホースクランプ

ネジ式のホースクランプには、ワイヤー式とウォーム式があります。

ネジ式のホースクランプのうち、ワイヤー式は、図2に示すような構造を有しており、リングに締め付け板がついていて、ボルトを締めるとリング全体も締まる構造です。

ワイヤー式ホースクランプ模式図

図2. ワイヤー式ホースクランプの模式図

また、ネジ式のホースクランプのうち、ウォーム式は、リング表面にコマが設けられております。

図3に示すように、ウォームネジを締めると、バンドの刻みとウォームねじと一体化して移動するカシメ部材が噛み合ってオレンジの矢印のようにリング外周を移動し、バンドが引き込まれて締め付けられる構造です。

ウォーム式ホースクランプの模式図

図3. ウォーム式ホースクランプの模式図

ネジの力で強く締め付けることができるので、ホースクランプの径を大きく、幅を広くしても確実にホースを固定することが可能です。

2. ばね式ホースクランプ

ばね式のホースクランプには、ワイヤー式とプレート式があります。
ワイヤー式のばね式ホースクランプは、図4に示すように、ワイヤー一本をクランプ形状に湾曲させた構造です。

ワイヤー式のバネ式ホースクランプの模式図

図4. ワイヤー式のばね式ホースクランプの模式図

ホースを挟み込む際には、黄緑の矢印の方向に広げ、オレンジの矢印で示すワイヤーが元の形に戻ろうとする力でクランプする為、軽い力でホースなどを固定できます。

プレート式ホースクランプは、プレートをクランプ形状に湾曲させた構造で、ワイヤー式と同様にプレートが元の形状に戻ろうとする力でクランプします。

プレートが一重のシングル式以外にプレート部分が二重になっているダブル式もあり、シングル式よりもダブル式の方が締め付ける力が強力です。

プレート式ホースクランプでは、サイズが大きくなるにつればねの反力も強く取り扱いが難しくなるため、ホースクランプの径や幅の範囲は規格で決まっています。

ホースクランプのその他情報

ホースクランプの材質

ホースクランプは最初に述べた様に、金属、特に耐腐食性の高い金属よりなり、一般的な針金や樹脂製のバンドと比べ、環境による腐食や劣化がかなり抑えられています。

このようなホースクランプの材質は、ステンレスとスチールメッキの2種類です。

スチールメッキ製のホースクランプは安価ですが錆が発生しやすいです。

なので、工場や港などの特殊な環境で使用する場合は、耐腐食性の高いステンレス製のホースクランプが使用されています。

まとめ

このようにホースクランプは、構造(固定方法)や、材質、サイズに多数の種類があります。

使用する環境や取り付けるホースの種類、用途により、適切なホースクランプを選定して使用することが大切です。