研磨剤

研磨剤とは

研磨剤

研磨剤とは材料の表面を削る、もしくは磨く目的で使用される製品で、粉状もしくは粒状のものが一般的ですが、広義では水分、油分と混合させた性状のものも含まれます。

かつては天然のガーネット等を粉砕して作られていましたが、今日では人工的に製造されたものが主流で、加工物の材質や目的に応じてアルミナや炭化ケイ素、ダイヤモンド等を粒状にしたものが使用されています。

研磨剤は単独で利用されることは少なく、より利便性を高めるため、結合剤で固めて人造砥石として、あるいは紙や布に付着させ研磨シートとしても利用されることが多いです。

研磨剤の使用用途

研磨剤は金属やプラスティック等の表面を磨くことにより、寸法精度や光沢感を向上させる目的で使用されています。
研磨剤のJIS規格は粒度(粒の大きさ)によって主に定義されます。研磨加工は一般的に加工速度に優れた粒度の大きなものを最初に使用し、その後求められる精度に合わせて小さなものを用いることが一般的です。

また、研磨作業は通常平面的に行われますが、研磨剤を付着させたブラシ等を回転体に取り付けることにより、曲面や内径を加工することも可能です。

研磨剤の原理

研磨は、硬い微粒子を用いて材料表面を少しずつ削ることで、表面の凹凸を小さくする作業であり、用いられる硬い微粒子を研磨剤と呼びます。

研磨加工には研磨剤粒子を結合剤で固めた工具を用いた固定砥粒方式と、研磨剤粒子をばらばらの状態で使用する遊離砥粒方式があります。

固定砥粒方式の場合、砥粒が固定されているため加工物に対して切り込む加工となり、研磨時間や加工効率に優れています。

一方、遊離砥粒方式では砥粒がテンどうする形で加工物を削る方式であり、より高精度な加工面が得られます。

研磨剤の原理

図1. 研磨剤の原理

研磨加工はラッピングのような粗研磨とポリシングのような精研磨の二種類に分けられます粗研磨では高能率加工、寸法精度や形状制度の確保のために行われ、比較的粒度が低く、高硬度の研磨剤が一般的に用いられます。精研磨は表面粗さをより小さくする工程で、粒度が高く、軟質の弾性のある微粒子が一般的に用いられます。粗研磨で研磨する表面の形状を整え、精研磨で表面をつや出し・鏡面化していきます。

研磨する表面の材質やどの程度まで研磨するかにより、適切な研磨剤の材質・粒度を選定する必要があります。

研磨剤の特徴

研磨剤の原料には幾つかの種類がありますが、原料によって硬度や反応性が異なるため使い分けがされています。

最も汎用されている研磨剤はアルミナのコランダム結晶を用いたもので、ジルコニアチタンと併用することにより硬く靭性に優れているため、主に鉄やステンレスの研磨に用いられています。

また、炭化ケイ素を用いた研磨剤はアルミナよりさらに硬く靭性に優れており、かつダイヤモンドより安価なため金属、非金属の研磨に幅広く用いられていますが、摩擦熱で高温になった環境では鉄と研磨面で反応し、研磨剤としての性能を急速に失うため、鉄やステンレスの研磨には不向きです。

より硬度を重視したものとしてはダイヤモンドや窒化ホウ素を原料としたものがあり、硬さを活かして研磨をより効率的に行うことができますが、いずれも高価であること、また、ダイヤモンドは炭化ケイ素と同様に鉄やニッケルと反応し、性能を失ってしまうため、利用は特定の用途に限られています。

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