レアメタル

レアメタルとは

レアメタル

レアメタルの定義は明確ではありませんが、地殻中の存在量が少ない、経済的・技術的な理由で採取が困難である、産業において安定的な確保が重要である金属を総称するものです。

レアメタルの主な産出国はオーストラリア、中国、ロシア、南アフリカであり、世界で争奪戦が過熱しています。

このほか鉄、アルミニウムなどのように生産量が多く様々な材料に使用される金属はベースメタルと呼ばれ、金、銀、プラチナやパラジウムなど8元素は希少で耐腐食性があり貴金属と呼ばれます。

レアメタルの使用用途

レアメタルは耐食性、耐熱性、強磁性、超電導などの特性を持つことから、材料の耐食性を強めたり、融点を高めたり、強度を増大させる目的で利用されています。

リチウム、コバルト、ニッケルはバッテリーの正極材として、ネオジム、ジスプロシウムは、強力な永久磁石としてPCのHDDや電気自動車の駆動用モーター、家電に使用されています。タンタルは電化製品内部にある基板のコンデンサー、タングステンはその硬さを利用し工具に使用されています。

インジウムは、液晶パネルの透明電極を作る上で不可欠な元素であり、ニオブは超低温で使われるリニアモーターカーの超電導磁石や超高熱にさらされるロケット衛星のエンジンノズルの合金に使われています。ガリウムは、LEDやパワートランジスタの高性能化を通してエネルギー変換効率の向上をもたらしました。

レアメタルの用途

図1. レアメタルの用途

レアメタルはさまざまな分野に応用されていますが、単独で使用されることはあまりありません。大抵はベースメタルに加え、合金化することで機能を発揮しています。

レアメタルの特徴

レアメタルは、ベースメタルへの添加で構造の強化、材料への新しい機能付与する共通の特徴を持ちます。

タンタルは誘電率が高く、耐食性、耐酸性に優れ、加工性に優れた金属であり、そのため電化製品内部のコンデンサーに使用します。

タングステンは高温で硬度、耐熱などに優れた特性を持つため、厳しい環境下で使用が想定される工具の金属部分に加工されます。

非常に有用なレアメタルですが、需要と供給のバランスが度々崩れるという問題点も抱えています。需給バランスが崩れると、価格の乱高下が起こり、産業活動に多大な影響を与えます。

また石油と同様にレアメタルも資源であり、枯渇のリスクがあります。2050年までに多くの種類の金属が現有の埋蔵量を使い切ってしまい、インジウムなどいくつかのレアメタルでは埋蔵量をはるかに超える需要が懸念されています。

近年ではこの需給バランスに対応するため、地上に蓄積された都市鉱山資源からレアメタルを取り出すリサイクル技術開発も行われています。

レアメタルのリサイクル技術

都市鉱山からレアメタルを取り出す技術の期待が高まっています。リサイクルのメリットには次のようなことが考えられます。

  • 抽出可能量がある程度明確であり、探索の必要がない。
  • 加工を経て集約的に使用したものであるため、一般に天然鉱石より高品質である。
  • 採鉱・精錬の観点で、省資源・省エネルギーの可能性が大きい。

都市鉱山から金属を抽出するには、一般的に「解体、成分分離」→「目的物質の抽出、素材化」というプロセスを踏むことになります。

天然資源に乏しい日本にとって都市鉱山開発は大きな可能性を持ち、重要な課題になってきています。使用済みの携帯電話や小型電子機器を回収し、そこからレアメタルを抽出しようという取り組みが開発されていますが、次のような課題もあります。

分散

携帯電話など億の小型電子機器は個々の消費者の手元に分散して存在しており、それらを効率的に集めなければ、リサイクルのプロセスに乗せるのが困難である。

廃棄物

レアメタルが小型電子機器に高純度で含まれていても、多くの部分はプラスチック等の別物質であり、レアメタル以外の物質の有効利用を考慮しなければならない。

コスト

一台の携帯電話には100円程度のレアメタルしか含まれておらず、これより低いコストでレアメタルを分離・抽出・回収する技術(仕組み)を開発しなくてはならない。

参考文献
https://www.nims.go.jp/research/elements/rare-metal/study/index.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/63/10/63_618/_pdf/-char/ja

レーヨン

レーヨンとは

レーヨン

レーヨンとは、木材など植物を原料から製造された化学繊維です。

綿、麻、シルク、ウールなどの天然繊維と対をなす存在です。レーヨンの歴史は1800年後半ごろが始まりと言われています。当時の繊維はカイコなどの自然由来の天然繊維でしたが、そのカイコが不作である時期が続き、それに対処するために植物を素材とし人工的に繊維を作る研究が盛んに行われました。

レーヨンが開発される前に、アセテート (酢酸セルロース)、銅アンモニウムレーヨン (キュプラ) が開発されました。しかし、前者は光沢があり美しいものの染色が難しいこと、後者は原料に綿を使用するため高価であることが課題となりました。

安価な繊維が求められたことから、イギリスのクロス (C.F.Cross) 、ベバン (E.J.Bevan) 、ビードル (C.Beadle) によって開発されたのが、綿よりも安価な原料である木材パルプを使用した製法です。1800年代の終わりに製造方法が構築され、1900年に入ると工業化が始まり、現在では世界各国で使用されています。

レーヨンの使用用途

繊維であるレーヨンの主な用途は、シーツやカーテン、洋服、下着などのインテリア用品から衣料品です。シルクに似た感触を持つと言われるため、衣料品のなかでも薄く肌触りにこだわる製品に使用されることが多く、かつ安価に製品を製造できるというメリットも合わせ持っています。

ほとんどが衣料品への使用ですが、タイヤの骨組みとなるタイヤコードや外科用の手術道具などにも使用されており、産業上欠かせない素材です。

レーヨンの性質

レーヨンは、植物などに豊富に含まれるセルロースが主成分です。セルロースを化学処理し溶液状にした後、繊維状に再生することから、化学繊維の中でも再生繊維という種類に分類されます。

ポリエステルナイロンなどと同じ高分子ですが、レーヨンの重合度は約300で、合成繊維と比較すると分子量が小さいのが特徴です。天然由来の原料から生産されているため、自然界の微生物によって分解される性質があります。

レーヨンの特徴

レーヨンの長所として、肌触りが良い、光沢感を持つ、染色しやすく発色性に優れている、ドレープ性に優れている、耐熱性があることが挙げられます。また、高い制電性を有することから、静電気の発生が少ない点も長所の一つです。

特に通気性、かつ吸湿性も有しているため夏服はもちろん、冬服でも裏地の素材として使用されています。一方、短所として、水に弱く吸湿すると極端に強度が低くなる、洗濯時に縮みやすい、寸法安定性が低いことが挙げられます。これは合成繊維とは異なる特徴なので、日々の取り扱いに注意が必要です。

レーヨンの種類

繊維表示の際は、平均重合度が450以上の場合はレーヨン、RAYON、ポリノジックのいずれかで表記されます。その他の場合は、レーヨンもしくはRAYONと表記されます。

ポリノジックとは、レーヨンの中でも高重合度および高結晶度な繊維の名称です。ポリノジックは強度が高く、水に強く、寸法安定性に優れています。また、レーヨンと比較してハリ・コシがあること、細デニールの繊維が製造できることが特徴です。

その他、オーストラリアのレンチング社が商標登録しているモダールという繊維もレーヨンに分類されます。繊維表示ではレーヨン (モダール) と表記されます。モダールは原料にブナの木材を利用するため、複数の木材を混ぜて製造されるレーヨンと比較すると、水に強く、強度が高いことが特徴です。

レーヨンのその他情報

レーヨンの製造方法

レーヨンは、アルカリ処理したセルロース原料を二硫化炭素で溶解し、硫酸ナトリウムなどの酸性溶液中で紡糸して製造されます。二硫化炭素で溶解した溶液は、ビスコースと呼ばれることから、レーヨンはビスコースレーヨン、ビスコース繊維と記載されている場合があります。

開発当初は引張強度が弱く、燃えやすいという致命的な欠点を持っていましたが、後の研究より、レーヨン製造時に添加剤を加えながら繊維状にしていくことで欠点を克服していきました。そのため現在のレーヨンは天然と合成繊維、どちらの特徴も有している繊維です。

参考文献
https://www.contrado.jp/blog/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AF/

レバースイッチ

レバースイッチとは

レバースイッチ

レバースイッチとは、レバーを倒した方向を検知して接点の出力を行うスイッチのことを指します。

レバースイッチは、スティック部分と、接点端子で構成されます。スティック部分は、左右の2方向か、上下左右の4方向へと傾倒できる場合があります。前者の場合、小型のスイッチはディップスイッチと呼ばれることも多くあります。一般にレバースイッチと言うと、思い浮かべられるのは後者です。

また、スティック部分は人が操作しやすいように、先端に丸い樹脂を取り付けることもあります。

レバースイッチの使用用途

レバースイッチは、一般家庭でも目にすることがある部品の一つです。

最も身近な例は、市販ゲーム機のコントローラです。近年のコントローラは、押しボタン数点とレバースイッチ1~2本で構成されています。レバースイッチの倒れた方向を読み取り、ゲーム機に出力することで操作を行います。

産業用としては、クレーンの運転などにも使用します。遠隔にある装置を動作させる備品をテレコンと呼びますが、近年クレーン等運転をテレコンで行うことがあります。

レバースイッチの原理

レバースイッチは、押ボタンスイッチやトグルスイッチ等と基本的に同じ仕組みとなっています。

押ボタンスイッチは、人力によってボタン部分を押すと、その力を利用して接点を短絡又は開放する仕組みです。また、人が押していないときはばね等の力によって定位置まで戻ります。レバースイッチも動作自体は同様の仕組みとなっており、人力によってレバーを倒す力を利用して接点を短絡開放させます。

レバースイッチと押ボタンスイッチの相違点は、レバースイッチは2方向又は4方向へ倒すことが出来る一方、押ボタンスイッチは押引の2動作しか検知できない点です。従って、レバースイッチは最低でも2接点有し、押ボタンよりも複雑な操作が可能です。

レバースイッチにも、接点部分における接点容量が存在します。接点容量とは、扱える電気信号の上限値が存在します。レバースイッチは、押ボタンスイッチより複雑な操作が可能な反面、一般に押ボタンスイッチよりも接点容量が低いことが多いです。従って、レバースイッチでは100V以下の計装信号を扱う場合がほとんどです。

 

レンチ

レンチとは

レンチ

レンチ (英語: wrench) とは、ボルトやナットなどをねじって回す工具のことです。

レンチと似た言葉にスパナがあります。両者の違いはアメリカ英語 (レンチ) なのか、イギリス英語 (スパナ) なのかで、両者同じ工具のことを意味しています。しかし、日本ではレンチとスパナを言い分けることがあり、先端が開放されたものをスパナ、それ以外をレンチと呼びます。

レンチの形状や大きさはさまざまです。独特の形状と機能を持つため、自動車や自転車の修理、家具の組み立て等、幅広い場面で活躍しています。

レンチの使用用途

レンチの主な使用用途は、ネジやボルトを締め付ける、または緩める作業です。例えば、自転車のパーツを取り付けたり、家具を組み立てたりする際に必要になります。また、自動車の修理や家庭の水道管の修理など、専門的な作業にも用いられます。さらに、レンチは形状によって特定の用途に使われるものもあります。

レンチの原理

レンチはテコの原理で動作します。ボルトを締める際に、指ではどれだけ力を入れてもある一定以上絞められないのに対し、レンチを使うと少しの力で簡単に締められることをイメージできると理解しやすいです。

ボルト頭の位相とレンチの位相を合わせて差し込みます。このときほんの少し力を加えると、ボルトの一辺とレンチの一辺が接触するところで動かなくなります。次にレンチをしっかり握り、先ほどと同じ方向に強い力で締めます。するとボルトの中心を軸にしてボルトとレンチが回転動作 (締め付け動作) する仕組みです。

テコの原理でいうと、力を加えているレンチを握っているところが力点で、回転運動しているボルトの中心が支点です。そして、力を受けているボルトの一辺とレンチの一辺が接触している部分が作用点となります。

レンチの種類

レンチには様々な種類があります。今回は以下のレンチ15種類を簡単に紹介します。

1. トルクレンチ

トルクレンチ

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トルクレンチは、ボルトをどのくらいの力 (トルク) で締め付けたかを確認出来るレンチです。ダイヤルが付いており、力の値をセットすると、指定力以上の力がかかると空転してそれ以上の力がかからないようになります。

例えば、自動車のタイヤ交換を行う際には、メーカーごとに規定されたトルクでボルトを締める必要がありますが、その際に利用されます。 

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2. メガネレンチ

メガネレンチ

メガネレンチは、持ち手に対して先端に角度がついており、スペースが無い場所での作業に適しています。

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3. モンキーレンチ (アジャスタブルレンチ)

モンキーレンチ画像出典元: Amazon

モンキーレンチは、ねじ部分を回すことで、開口部が開いたり狭くなります。このように口幅が調整できるため、1本であらゆる大きさのボルトに対応できます。

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4. コンビネーションレンチ

コンビネーションレンチ

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コンビネーションレンチは、両端がスパナとメガネレンチになっているレンチです。1本2役こなせるお得なレンチです。

5. 打撃レンチ

打撃レンチ

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柄の部分をハンマーなどでの打撃を想定した設計になっており、打撃による強い力で締め付けられるレンチです。

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6. 六角棒レンチ

六角レンチ

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締め付け用工具の差し込み穴が六角穴形状のねじ類を締め付け、緩めるためのレンチです。レンチ全体もしくは先端形状が正六角形になっていて、短柄と長柄の長さが異なるL字形棒状のレンチです。

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7. ラチェットレンチ

ラチェットレンチ

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ラチェットレンチは、ラチェット機構を用いた一方向にしか回転がしないレンチです。このラチェット機構によりボルトを早く閉めることができます。

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8. クロウフットレンチ

クロウフットレンチ

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クロウフットレンチは、通常のレンチでは届かない場所のボルトなどを閉めることのできるサイズの小さいレンチです。

9. 防爆レンチ

防爆レンチ

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防爆レンチは、衝撃などを加えても火花が起きないような材質で作られたレンチです。

10. 絶縁レンチ

絶縁レンチ

画像出典元: Amazon

絶縁レンチは、絶縁性能が施されたレンチです。通電状態のものを扱うときに利用され、作業者の感電を防ぐことができます。

11. パイプレンチ

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パイプレンチとは、パイプをつかみ回すための工具で、滑りやすい円筒をつかむことができます。

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12. シャーレンチ

シャーレンチ

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シャーボルトと呼ばれる特殊なねじを締結するための専用のレンチです。

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13. モーターレンチ

モーターレンチ

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一般的なモンキーレンチでは口開き幅が足りないような大きなボルトを締めるようのレンチです。

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14. インパクトレンチ

インパクトレンチ

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内部に備えられたハンマー機構が、衝撃 (インパクト) を加えることで、強い力で締め付けられる電動のレンチです。

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15. フックレンチ

フックレンチ

画像出典元: Amazon

フックレンチは、先端が半円型のフックのような形になっているレンチのことで、ナットや軸受け用ナットを締め付ける際に使用する場合が多いです。

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参考文献
https://www.haikanbuhin.com/blog/post-1437/

ロッカスイッチ

ロッカスイッチとは

ロッカスイッチ

ロッカスイッチとは、操作ボタンの形状が両端を交互に押すことで、シーソーのようにオンオフできるスイッチのことです。

名前の由来として、操作ボタンの動きが上下に揺れるように見えるため、揺れるを意味する英語の「rock」から名づけられています。また、操作時の動きからシーソースイッチと呼ばれることもあります。

ロッカスイッチは電子部品のスイッチの1種で、さまざまな電子機器のオン/オフなどの操作に用いられています。操作すると「カチッ」と操作した手応えがあるため分かりやすいのが特徴です。また、操作ボタンがそのまま電子機器のオン/オフ状態を示すことができるので、操作後のスイッチの状態から視覚的に電子機器のオン/オフ状態がわかります。

ロッカスイッチにも種類があり、1度スイッチが押されてから押された状態を保持し続けるオルタネート型と、スイッチを押し続けている間だけ状態が保持され、スイッチが押されなくなると元に戻るモーメンタリ型が存在します。

ロッカスイッチの使用用途

ロッカスイッチは、さまざまな電子機器の電源オン/オフなどのボタンに広く使用されています。使用例は、コンピュータや複写機、プリンタなど、家電製品からPC周辺機器、事務機器、業務用機器の電源スイッチなどです。住宅の照明のオン/オフスイッチにもよく用いられています。

ロッカスイッチの種類は数多く、操作部の形状や色、スイッチの大きさや操作時のクリック感の有無まで多種多様です。その他にも、スイッチ部が照光するタイプやスイッチに流せる定格許容電流も100アンペアを超えるような大電流にも対応できるなど、用途を考慮したうえで適切な製品を選定する必要があります。

ロッカスイッチの原理

ロッカスイッチは、操作ボタン、弓ばね、内蔵ケース、カバー、接点端子などで構成されています。

1. 操作ボタン

操作ボタンは、オンオフを切り替えるときに人が操作する部分で、丸型や長方形型等の様々な形状や種類があります。上面にオン/オフの状態を示す印字があるや、印字ではなくオン側だけに突起がついているようなタイプもあります。内部の弓ばねに接続されています。

2. 弓ばね

弓ばねは、板ばねを弓状に曲げた部品です。操作ボタンをオン位置にすると、可動する接点側が固定接点側に移動し高い接触力を発生させて接触状態を安定させます。

操作ボタンをオフ位置にすると、可動する接点が固定接点から引き剥がされる様に動くことで電流の流れを止めます。可動する接点が引き剝がされる様に動作するため、接点同士の溶着や電蝕の発生を防止できるのがメリットです。

3. 内臓ケース・カバー

内蔵ケース・カバーは、弓ばねや接点端子などを収納し内部を覆うケースやカバーで樹脂製のものが一般的です。

4. 接点端子

接点端子は、スイッチの端子部で外部の電子回路と接続される部分です。スイッチが3極など多極に渡る場合は、1つの端子が分配されて2つの端子と接続していたりするため、使用する前に内部の回路構造をよく確認しておくことが重要です。

確認を怠ると、ショートなどが発生する可能性があります。

ロッカスイッチの種類

ロッカスイッチの種類として、スイッチを押した際の挙動が変化します。大きく分けて、

1. オルタネート型

一般的なスイッチにある、1度押すことで押した状態が保持されるタイプです。反対側を押すまで状態が保持されるため、電源ボタン等の状態を長く保つ時に使用されます。使用例として、家の照明スイッチなどが挙げられます。

2. モーメンタリ型

モーメンタリ型は、スイッチを押している間だけ接点が接続され、手を離すことでオフの状態に自動的に戻るタイプです。オルタネート型と違い、こちらはスイッチを入れている間だけ動作するようにしないと危険な場合によく用いられます。

使用例として、電気ポットのお湯を出すボタンや電動ドリルの作動ボタンなどが挙げられます。

 

ロッカスイッチは主にオルタネート型が広く用いられていますが、モーメンタリ型・オルタネート型どちらも用途に合わせて適切なタイプを選定する必要があります。

参考文献
https://ednjapan.com/edn/articles/1809/04/news011.html

亜鉛

亜鉛とは

亜鉛

亜鉛 (原子番号30、化学記号Zn) とは、光沢のある銀白色を帯び、密度が高くて融点が低い材料です。

亜鉛は空気中で酸化されると表面に酸化皮膜を形成します。他の金属を保護するために、めっき材料として使われることがあります。これは亜鉛が他の金属よりも優先的に酸化するためです。

亜鉛めっきは、自動車部品や建築用鋼材などの金属製品の保護や装飾に用いられていたり、また亜鉛が錆びにくいために水道管や屋根材や船舶の防水塗料などにも使われたりします。乾電池や合金の材料としても使われます。

亜鉛の使用用途

亜鉛は電池、鋼材、合金、建築材料、自動車部品、家電製品、医薬品、農業、化粧品など幅広い分野で使用されます。具体的な例は下記の通りです。

  1. 電池: アルカリ電池やニッケル・亜鉛電池など
  2. 鋼材: 亜鉛めっき鋼板やガルバリウム鋼板など
  3. 合金: 亜鉛は真鍮や亜鉛アルミニウム合金、亜鉛ニッケル合金、亜鉛チタン合金など
  4. 建築材料: 屋根材や外壁材や防水材など
  5. 自動車部品: ホイールやバッテリーなど
  6. 家電製品: 冷蔵庫の扉や電子機器の筐体など
  7. 医薬品: 亜鉛は咳止め薬や皮膚炎の治療薬など
  8. 農業: 肥料や飼料、土壌改良剤、防虫剤など
  9. その他: 化粧品やインクや塗料や火薬など

亜鉛の種類

亜鉛には合金を含めて様々な種類があり、以下はその一部です。

  1. SHG (Special High Grade) 亜鉛
    高純度の亜鉛です。電気的に安定しています。
  2. 亜鉛ニッケル合金
    亜鉛とニッケルを含む合金で腐食に対する耐性が高くて導電性があります。
  3. 亜鉛アルミニウム合金
    アルミニウムと亜鉛を含む合金で強度が高いため、軽量化に活用できます。
  4. 亜鉛チタン合金
    チタンと亜鉛を含む合金で耐食性や強度が高い合金です。

亜鉛の性質

1. 耐食性

亜鉛は酸化反応を起こし、表面に酸化被膜を形成し、この酸化被膜は亜鉛を腐食から守ります。亜鉛の耐食性は、酸化被膜の形成とその保護効果によるものです。

酸化反応によって亜鉛の表面に形成される酸化被膜は、一般的に亜鉛酸化物である亜鉛酸化物 (ZnO) が主成分であり、この酸化被膜は、亜鉛の表面を覆う薄い層であり密着性があります。この酸化被膜は亜鉛を保護し、酸素や水分、さらには酸化物や腐食物質の侵入を防ぎます。もし亜鉛の表面が傷ついたり剥がれたりした場合、新たな酸化被膜が再生されて亜鉛を腐食から守り続けます。

また亜鉛は他の多くの金属よりも腐食が早く進行する性質を持つため、亜鉛めっきや亜鉛合金を他の金属の表面に施すことで、亜鉛が優先的に酸化され、基材の腐食を防げることが特徴です (犠牲防食) 。

2. 電気伝導性

亜鉛の原子構造により電子が自由に移動できるため、亜鉛は電気伝導性が高い金属です。亜鉛は電気の導体としての役割だけでなく、電気化学的な反応や電気分解の過程においても重要です。電解めっきなどの応用では、亜鉛が陽極として使用され、金属のめっきや保護被膜の形成に役立っています。

3. 磁気特性

亜鉛の結晶構造が磁場に対して強く反応しないため、純粋な亜鉛は磁気特性が非常に弱い金属です。しかし亜鉛合金では、亜鉛以外の金属の結晶構造や電子配置によって磁性を示すようになることがあります。

例えば、亜鉛と鉄を組み合わせた亜鉛鉄合金は磁性を持つ金属です。亜鉛と鉄の結晶構造や電子配置が互いに影響しあい、合金全体に磁気特性が現れます。このような亜鉛合金は、磁気応用や磁性材料として使用されることがあります。

4. 融点

亜鉛の融点は約419.5℃であり、比較的高い融点を持っています。この高い融点は、亜鉛の原子構造と結合の強さによるものです。亜鉛は密に詰まった結晶構造を持つ金属であり、原子同士は強い金属結合によって結ばれているため、亜鉛の融点は比較的高くなります。

亜鉛の融点が高いため、亜鉛は比較的高い温度まで加熱されても、その結晶構造が安定な状態を保ちます。よって亜鉛は高温処理や高温環境下での使用に適しています。

5. 可鍛性と展性

亜鉛は、「可鍛性(鍛造性)」と「展性」を持つ金属です。

可鍛性 (鍛造性)
亜鉛の可鍛性は、高温における結晶構造の変化によるものです。加熱によって亜鉛の結晶が拡散し、結晶粒が成長すると、亜鉛は柔らかくなり、鍛造で容易に形状を変更できます。鍛造は、熱い金属を圧力の下で形状を変える加工方法です。亜鉛は高温で鍛造されることが一般的であり、加熱によって可塑性が増すため、容易に鍛造できます。

展性
亜鉛は加熱されると結晶が拡散し、結晶のスライドと滑りが促進されるため、亜鉛は引っ張りや圧縮といった応力を受けると容易に変形できます。亜鉛の展性は、圧延に適しています。

亜鉛のその他情報

亜鉛めっきの経年劣化

亜鉛めっきは金属表面を保護する効果がありますが、時間が経過するにつれて効果が低下することがあります。特に摩擦や腐食などによって表面層が剥がれると、下層の金属表面が露出して錆びや腐食が進行することがあります。

亜鉛めっきは金属表面を保護するための効果があるものの、劣化や腐食が進行する可能性があるため、適切なメンテナンスが必要です。

安全コントローラ

安全コントローラとは

安全コントローラとは、セーフティーコントローラとも呼ばれ、安全入力機器からの信号を元に機械の起動を制御する機器のことを指します。故障や意図しない人的操作などの挙動を検知した場合、自己判断によって異常を検出し、安全出力をOFFにします。そうすることで、機械の起動が停止します。

安全コントローラの入力としては、安全プラグレーザーセンサー非常停止スイッチなどがあり、主に作業者などに危害を加える可能性がある挙動を検知した場合に動作するようにシステム構築されます。

安全コントローラの使用用途

安全コントローラは、主に作業者の安全を守る仕組みの構築に用いられます。

安全コントローラのタイプは2種類存在し、セーフティPLCと呼ばれる複雑なプログラミングができるものと、セーフティリレーユニットと呼ばれるプログラミングできないものがあります。セーフティリレーユニットは、入力と出力が1セットずつのタイプから、複数の入力と出力を持ち、簡単な安全制御回路を構築できるタイプがあります。

いろいろな条件を加味して動作制限を判断したい場合にはセーフティPLCが、単純・即座に動作制限を判断したい場合にはセーフティリレーユニットが適しています。このように、自分の実現したいシステムに合わせて両者を使い分けることが重要です。

安全コントローラの原理

安全コントローラは、入力側の安全プラグやレーザーセンサー、非情停止スイッチなどと電気的に接続されています。また、同じように出力側の機器とも電気的に接続されています。

安全コントローラは、入力側の機器の電気的な接続を常に監視しています。例えば、生産ラインに設置されている操作盤には非常停止スイッチが搭載されています。作業者がなんらかの理由で非常停止スイッチを押下すると、非常停止スイッチと安全コントローラ間の電気的接続が遮断されます。安全コントローラは、電気的接続が遮断されたことを検知し、出力側の機器の電気的接続を即座に遮断します(セーフティーリレーユニットが採用されている場合)。そうすることで、非常停止スイッチが押下されたとほぼ同時に出力側の機器の動作を停止できるのです。

一方セーフティPLCが採用されている場合は、プログラミングされている処理に合わせて出力側の動作が制限されます。プログラミングは自由度が高く、さまざまな動作が実現できますが、人的被害を防ぐような用途の場合、処理の速さが被害の大きさに関わるため、しっかりとシステムを検討する必要があります。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/safety/knowledge/caution/controller.jsp

安全プラグ

安全プラグとは

安全プラグ

安全プラグとは、セーフティープラグとも呼ばれる、いわゆるインターロックプラグです。

インターロックとは、それが動作の条件となって機械などの動きを制限するもののことを指します。

生産装置や産業機器に安全プラグを設置することで、不用意に人が安全プラグを抜いたときにそれらの稼働を停止させることができます。人に危害が加わる可能性のある稼働部に設けられることが多く、作業者の安全を確保するために非常に重要な役割を担っています。

安全プラグの使用用途

安全プラグは、生産ラインに設置されている安全柵の扉や、工作機械・産業機械などの扉部などに設置されます。また、機器や装置の操作盤に設置されている製品もあります。

生産ラインの場合、安全扉の鍵として安全プラグが採用されている場合が多いです。生産ラインの稼働中は安全プラグが簡単には引き抜けないようになっています。もしも生産ラインの稼働中に作業員が安全プラグを抜いた場合、即座に生産ラインの稼働が停止し、人的被害を回避することができます。

安全プラグの原理

安全プラグは、電気的接続でインターロックとしての役割を果たします。

生産ラインはPLCによってラインコントロールされていることが多いです。この場合インターロックとして、PLCプログラム内での論理回路によるインターロックと、IO通信などのハードウェア的な接続によるインターロックが存在します。

安全プラグはハードウェア的に(電気的に)PLCと接続されており、IO通信によってインターロックの役割を担います。安全プラグが引き抜かれた場合、電気的に接続が遮断されます。PLCは論理計算をせずとも、電気的な通信の状態を監視するだけで安全プラグの状態を把握できます。そのため、もし安全プラグが引き抜かれたときに、即座に生産ラインの稼働を停止する処理を実行できます。

このような電気的な接続を作り出すため、安全扉に取り付ける安全プラグは、鍵と鍵穴のようなふたつの部材から構成されることが多く、鍵が鍵穴に挿入されていれば電気的通信ON状態、鍵が鍵穴から抜けたときに電気的通信がOFF状態に遷移するように構成されています。

参考文献
https://blog.rittal.jp/g186

安全メガネ

安全メガネとは

安全メガネ

安全メガネは、ごみ、チリ、金属粉、化学薬品などが目に侵入するのを防ぐメガネです。

「保護メガネ」や「実験用メガネ」と呼ばれることもあります。使用する場所は大学やメーカーなどの実験室や作業室、野外にて電動工具やレーザー装置を使用する作業現場など多岐にわたります。

普通のメガネと異なり、種類や構造、材質などがJIS規格で厳しく定められています。安全メガネの一種に保護ゴーグルと呼ばれるものもあり、安全メガネよりも性能が一段上のものになります。

安全メガネの使用用途

安全メガネは、目に入った際に大事になるような物品を扱うような現場で使用され、労働安全衛生法で使用条件が定められています。また、法律で定められていない場所でも事業所ごとに使用を義務付けている場合もあります。

使用方法は普通のメガネと同じで、アーム部分を耳にかけることで装着完了となります。現在は普通のメガネの上からでも装着できる安全メガネも市販されています。自身の目を保護するため、使用前に傷や変形がないかなどを十分にチェックする必要があります。

安全メガネの種類

安全メガネは様々な現場で用いられることから、その種類は多岐に渡ります。具体例は下記の通りです。

1.オーバーグラスタイプ

一般的な安全メガネには度入りのものが存在しません。そのため、普段メガネで視力矯正をしている人のために、メガネの上から装着できるようになっています。一般の安全メガネよりもレンズの部分が広くなっており、メガネの上からでも充分に覆うことが可能です。

2.耐熱タイプ

生物系の研究現場では、滅菌環境下での作業が必要な場合があります。その際は、使用する器具は全てオートクレーブ等によって高温で滅菌処理する必要があります。一般的な安全メガネは高熱での滅菌状態 (約120℃) には耐えられずに変形してしまいますが、耐熱タイプのものを選べば問題なく滅菌処理することができます。

3.防傷加工タイプ

安全メガネは化学系や生物系の現場だけでなく、研磨や切削などを行う現場でも用いられます。金属片などが飛び散る恐れがあるため、防傷加工された安全メガネを利用することで安全に作業できます。他にも女性用の小型サイズのものや曇り止め加工されたものなどがあり、使用する場所や人物によって種類を選ぶことが可能です。

安全メガネの構造

安全メガネと普通メガネの構造の違いはレンズ部分の形です。普通のメガネはレンズ回りは隙間が空いていますが、安全メガネは目の周囲が囲まれています。

安全メガネを使用する場面では、レンズの隙間から異物が混入しただけでも重大な事故ととなる可能性があるので、より保護性の高い構造となっています。

安全メガネのその他情報

1. 安全メガネの基準

安全メガネは、普通のメガネよりも耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性、曇りにくいなどの機能が高いです。使用する環境が化学薬品に囲まれた実験室、熱く振動や衝撃の強い野外の作業現場など、酷な場所にも耐えられる構造となっています。

耐衝撃性の基準は重量44gの鉄球を約1.3mの高さから落下させてレンズへ衝撃を与えた場合に割れや亀裂が入らないこと、耐熱性の基準は55℃で変形がないことなどがあります。

2. 安全メガネの材質

安全メガネの材質は、レンズ部分はポリカーボネート、アクリル樹脂など硬く、衝撃性に強い特徴を持つプラスチック樹脂が使用されています。フレーム部分はポリプロピレン、軟質のポリ塩化ビニルなど柔らかく、加工の容易な特徴を持つ材質です。

使用期限はレンズ部分が3年、フレーム部分が5年とも言われています。ねじや蝶番にゆるみがないかやレンズに傷やひびがないかを日頃確認し、違和感を感じたらすぐに新品と交換しましょう。

参考文献
https://www.askul.co.jp/f/special/product_column/protectiveeyewear/
https://www.yamamoto-kogaku.co.jp/safety/support/goggle/

応力解析ソフトウェア

応力解析ソフトウェアとは

応力解析ソフトウェア

応力解析ソフトウェアとは、物体にかかる応力をシミュレーションするソフトウェアです。

応力とは、物体の内部にかかる単位面積あたりの力(内力の単位面積当たりの力)です。物体を変形させようとすると物体には応力がかかり変形・破断しますが、その過程で物体の内部にかかる応力は目視で検証することが不可能です。

そこでコンピュータを用いて物体の応力を解析し、物体が応力に耐えうるか検証するために応力解析ソフトウェアが使用されます。

応力解析ソフトウェアの使用用途

応力解析ソフトウェアは、主に構造物の強度を評価・検証するために用いられます。例えば、機械の設計段階では構造物に加わる力を求め、耐性を評価します。必要に応じて機械の構造や材質を見直し、より高強度に設計し直します。

応力解析ソフトウェアがなかった時代には設計した機械を実際に製作し、実験で応力解析を行なっていました。しかし、毎回実験を行って時間や費用が膨む課題があったため、応力解析ソフトウェアで実験の手間や費用を削減しました。

応力解析ソフトウェアの原理

応力解析ソフトウェアの基本的な原理は、有限要素法 (英: Finite Element Method, FEM) から成ります。有限要素法とは「微分方程式を近似的に解くための数学的手法」のことを指します。

コンピュータ上で物体を解析をする場合、コンピュータは数式の処理しかできないため、物体の性質を数式で表す (モデル化する) 必要があります。物体の構造や性質を近似的にモデル化する手法を有限要素法と言います。有限要素法では、複雑な構造・性質を持つ物体を有限の要素に細かく分割します。

例えば東京タワーでは、複雑な構造を赤い棒一本一本を分割することで近似が容易になります。有限要素のひとつであれば比較的簡単な数式で表すことが可能です。分割された各微小領域を数式で表し、それらをつなぎ合わせることで物体全体の性質を近似します。つまり、複雑な構造物を一度有限な細かい要素に分割し、それぞれの要素で応力や変位を求めた後、全体を繋ぎ合わせるということです。

このように元々ひとつの複雑な物体を、複数の有限要素が一体となったものと捉え、各有限要素の構造・性質をモデル化し、それを合算することで物体の変位や応力を解析する手法が有限要素法 (解析は有限要素解析) です。

応力解析ソフトウェアのその他情報

力の種類は大きく外力と内力に分けられます。また、単位面積あたりの内力を応力と言います。

1. 外力と内力と応力

外力
外力とは物体の外部に働く力のことです。例えば、棒のような部材を外から接している面で引っ張る力が外力です。外力は物体外部から加えられる力なので、手で引っ張る、機械で圧縮する行為で発生します。

内力
内力は物体の内部に働く力のことです。外力が加わっている部材を仮想的に切断すると、外力と釣り合うように内力が発生します。外力は手で引っ張るなどの行為で目に見える概念ですが、内力は物体の変形や破断などを評価する上で重要な概念です。

応力
応力は、物体の内部にかかる単位面積あたりの力です。そのため単位は力の単位[N]ではなく圧力と同じ[Pa]になります。外力が加わっている物体は、外力と釣り合うように内力が発生するため、外力が大きいほど内力も大きくなります。

物体の変形や破断を考える場合は内力に注目しますが、内力のみでは部材の寸法などを考慮することができないため、内力を面積で割った単位面積当たりの力である応力が必要になります。応力を利用すれば、物体の大きさに関わりなく物体にかかる負荷を検証可能です。

2. 応力の種類

応力の種類は引っ張り応力とせん断応力の2種類に大きく分けられます。

引っ張り応力とは、物体が引っ張られて生じる応力で、物体の仮想的な切断面に一様に分布します。せん断応力は、物体をせん断する際に作用する応力です。例えば、ハサミで段ボールを切る際はせん断によって段ボールを切るため、ハサミと段ボールにはせん断応力が発生します。

引っ張り応力とせん断応力を組み合わせると、複雑な問題に対処可能です。例えばにんじんの両端を両手で持って折り曲げる動作をすると、中心に引っ張り応力とせん断応力がかかり、中心付近で折れます。

橋などの構造物で同じことが発生すると大事故を引き起こすため、このような事態を避けるために応力解析ソフトウェアを使って物体にどのような応力がかかるのか検証する必要があります。

参考文献
https://d-engineer.com/zairiki/ouryokutoha.html