レーヨン

レーヨンとは

レーヨン

レーヨンとは、木材など植物を原料から製造された化学繊維です。

綿、麻、シルク、ウールなどの天然繊維と対をなす存在です。レーヨンの歴史は1800年後半ごろが始まりと言われています。当時の繊維はカイコなどの自然由来の天然繊維でしたが、そのカイコが不作である時期が続き、それに対処するために植物を素材とし人工的に繊維を作る研究が盛んに行われました。

レーヨンが開発される前に、アセテート (酢酸セルロース)、銅アンモニウムレーヨン (キュプラ) が開発されました。しかし、前者は光沢があり美しいものの染色が難しいこと、後者は原料に綿を使用するため高価であることが課題となりました。

安価な繊維が求められたことから、イギリスのクロス (C.F.Cross) 、ベバン (E.J.Bevan) 、ビードル (C.Beadle) によって開発されたのが、綿よりも安価な原料である木材パルプを使用した製法です。1800年代の終わりに製造方法が構築され、1900年に入ると工業化が始まり、現在では世界各国で使用されています。

レーヨンの使用用途

繊維であるレーヨンの主な用途は、シーツやカーテン、洋服、下着などのインテリア用品から衣料品です。シルクに似た感触を持つと言われるため、衣料品のなかでも薄く肌触りにこだわる製品に使用されることが多く、かつ安価に製品を製造できるというメリットも合わせ持っています。

ほとんどが衣料品への使用ですが、タイヤの骨組みとなるタイヤコードや外科用の手術道具などにも使用されており、産業上欠かせない素材です。

レーヨンの性質

レーヨンは、植物などに豊富に含まれるセルロースが主成分です。セルロースを化学処理し溶液状にした後、繊維状に再生することから、化学繊維の中でも再生繊維という種類に分類されます。

ポリエステルナイロンなどと同じ高分子ですが、レーヨンの重合度は約300で、合成繊維と比較すると分子量が小さいのが特徴です。天然由来の原料から生産されているため、自然界の微生物によって分解される性質があります。

レーヨンの特徴

レーヨンの長所として、肌触りが良い、光沢感を持つ、染色しやすく発色性に優れている、ドレープ性に優れている、耐熱性があることが挙げられます。また、高い制電性を有することから、静電気の発生が少ない点も長所の一つです。

特に通気性、かつ吸湿性も有しているため夏服はもちろん、冬服でも裏地の素材として使用されています。一方、短所として、水に弱く吸湿すると極端に強度が低くなる、洗濯時に縮みやすい、寸法安定性が低いことが挙げられます。これは合成繊維とは異なる特徴なので、日々の取り扱いに注意が必要です。

レーヨンの種類

繊維表示の際は、平均重合度が450以上の場合はレーヨン、RAYON、ポリノジックのいずれかで表記されます。その他の場合は、レーヨンもしくはRAYONと表記されます。

ポリノジックとは、レーヨンの中でも高重合度および高結晶度な繊維の名称です。ポリノジックは強度が高く、水に強く、寸法安定性に優れています。また、レーヨンと比較してハリ・コシがあること、細デニールの繊維が製造できることが特徴です。

その他、オーストラリアのレンチング社が商標登録しているモダールという繊維もレーヨンに分類されます。繊維表示ではレーヨン (モダール) と表記されます。モダールは原料にブナの木材を利用するため、複数の木材を混ぜて製造されるレーヨンと比較すると、水に強く、強度が高いことが特徴です。

レーヨンのその他情報

レーヨンの製造方法

レーヨンは、アルカリ処理したセルロース原料を二硫化炭素で溶解し、硫酸ナトリウムなどの酸性溶液中で紡糸して製造されます。二硫化炭素で溶解した溶液は、ビスコースと呼ばれることから、レーヨンはビスコースレーヨン、ビスコース繊維と記載されている場合があります。

開発当初は引張強度が弱く、燃えやすいという致命的な欠点を持っていましたが、後の研究より、レーヨン製造時に添加剤を加えながら繊維状にしていくことで欠点を克服していきました。そのため現在のレーヨンは天然と合成繊維、どちらの特徴も有している繊維です。

参考文献
https://www.contrado.jp/blog/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%B3%E3%81%A8%E3%81%AF/

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