バッテリーテスタ

バッテリーテスタとは

バッテリーテスタ

バッテリーテスタとは、二次電池の劣化診断のために、バッテリの内部抵抗や電圧をプローブで簡単に測定できる機器です。

通常、二次電池は充放電を繰り返すことで、内部抵抗が増加し、その性能が徐々に低下します。バックアップ用の二次電池も経年劣化する恐れがあり、その性能を予め診断しておくことは重要です。

バッテリーテスタを用いれば、装置を停止させることなく、ただちにバッテリ性能を診断します。さらにデータは内部メモリに保存され、PCへと転送することで、データ管理も容易に行うことが出来ます。

バッテリーテスタの使用用途

バッテリーテスタは鉛蓄電池リチウムイオン電池のような二次電池の劣化具合を診断するために使用されます。

近年では、スマートフォンや電気自動車などに搭載される二次電池の需要が高まっており、その劣化状況を診断するためにバッテリーテスタは役立ちます。

測定リードを電極端子に接触させることで、測定から保存を短時間に行うことができます。そのため、バッテリの状態を把握したい現場でただちに測定し、保存されたデータをPCによって管理したい場面で有効です。

バッテリーテスタの原理

バッテリーテスタの基本的な原理は、バッテリーに電流を流したときの電圧を測定し、内部抵抗を測定するというシンプルなものです。

バッテリーテスタにはさまざまな種類があるため、求める測定精度と予算に応じて適切なものを選択する必要があります。ここでは直流電源を用いるものと、交流電源を用いるものに分けて原理を説明します。

1. 直流電源タイプ

抵抗測定は測定信号電流Iを流し、電圧系にて電圧Vを測定することで、内部抵抗Rをオームの法則により測定します。抵抗の測定方法としては2端子法と4端子法がありますが、バッテリーテスタでは測定精度の高い4端子法が用いられます。それぞれの概要図は下記のようになります。

直流電源タイプ

図1. バッテリーテスタの概要図

2端子法では電流が配線抵抗r1、R、配線抵抗r2を流れた後に電流計にて測定されます。そのため、電圧系では配線抵抗を含んだ抵抗(R+r1+r2)にかかる電圧が測定値として表示されるため、測定誤差が生じます。

4端子法の場合では、電圧計の抵抗が十分に大きいため、並列で接続されている電圧計および配線抵抗r3、r4にはほとんど電流が流れません。その結果、電圧計で測定される電圧は抵抗Rの両端電圧となるため、配線抵抗r1~r4を無視した正確な内部抵抗を測定することが可能です。

2. 交流電源タイプ

バッテリーテスタ_直流電流タイプと交流電流タイプ

図2. 直流電流タイプと交流電流タイプの模式図

交流電源を用いることで、低い抵抗値も精度よく測定することができます。また、インピーダンス法を用いることができるため、バッテリーを装置に接続したまま抵抗値を測定することが可能です。

バッテリーテスタのその他情報

バッテリーテスタの重要性

ニッケル水素電池やリチウムイオン電池のような二次電池は充放電を繰り返すと劣化が進み、内部抵抗が増加するため、一定の使用回数や使用時間が経過すると、バッテリの出力が低下してきます。

また電池内部セルの短絡による故障では電圧が低下したり、バッテリ自体の発熱が生じたりすることがあります。停電時の電源障害が発生した場合にPCなどに電力を供給するシステムとして、UPS (英: Uninterruptible Power Supply) があります。

UPSの模式図

図3. UPSの模式図

UPSには鉛蓄電池などの二次電池が搭載されており、予期せぬ電源障害時に起動することで、PCやストレージ、ネットワーク機器などの故障を防ぐことが出来ます。

万一の場合に正常にUPSが機能するためにバッテリの状態をモニタする必要があります。そこでバッテリーテスタを使用すれば、装置を停止させることなく、バッテリの劣化状況を短時間で診断することができます。

参考文献
https://catalog.orixrentec.jp/pdf/15021600.pdf?k=bbdd53f10e10c28a15309a6e395a0b7152cb772c
https://www.daiichi-kagaku.co.jp/wp-content/uploads/2019/03/BT3554.pdf
https://www.matsusada.co.jp/product/psel/cdisc/
https://www.nanophoton.jp/applications/secondary-battery/lesson-1

バランサー

バランサーとは

バランサーとは、重量物などを運搬する際に、その重量負荷を軽くするための機構を備えた機械のことを意味します。

従来、人手での重量物の運搬は、作業者が直接重量物を持ち上げ運んでいました。重量物の重さが直接作業者に加わるため大変な重作業でした。

しかし、バランサーを用いることでそれが改善されます。バランサーに搭載されているクレーンで荷物を吊り上げて重量を0kgに近づけることが可能で、あとは作業者が搬送先へ誘導するだけで荷移しが完了します。これによって、作業負荷を大きく削減することができます。

バランサーの使用用途

バランサーは、重量物の運搬作業に用いられます。

工場のラインや荷捌き場などで使用されることが多く、コンベヤやパレットへ重量物を無重力ライクの状態で移載できます。

バランサーを使用するために法的な資格は必要ありません。しかし、重量物を宙に吊り上げ運搬するという危険作業であるため、十分に取扱いに注意し、作業をしっかりと理解してから使用することが望まれます。

また、バランサーを使用する際、クレーンに重量物を固定する必要があり、その際にクレーン運転や玉掛け業務の知識・実務経験が必要となります。これらの資格の取得や講習の受講を完了しておくことがおすすめです。

バランサーの特徴

バランサーは、搬送する重量物に合わせて様々な種類が用いられ、それぞれ特徴があります。以下に、代表的な種類とそれぞれの特徴を示します。

  1. ホイスト
    ホイスト式は、上空にレールが組まれ、そこをバランサーが移動して目的地まで到達します。
    例えばバランスホイストと呼ばれる方式では、巻取ドラムが搭載され、内部がシリンダ形式となっており、圧縮空気の供給・排気により巻取ドラムが回転しながら前進したり、後進したりします。
  2. エア式
    エア式は、エア駆動のみで動作するバランサーです。重量物をクレーンに保持させる際にもエアーによる吸着によって行われ、クレーンの動作もシリンダによる駆動によって実現されます。
  3. 電動式
    電動式は、電気駆動で動作するバランサーです。重量物を取り付けたクレーンは、モーター駆動によって動作します。モーター制御技術によって動きが制御されるため、位置再現性が高く、定位置で同じことを繰り返すような作業に適しています。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/798/
https://www.toyokoken.co.jp/faq/

ビーカー

ビーカーとは

ビーカー

ビーカーは主に化学実験で使用される液体を入れておく容器です。

化学メーカーや理系学部に在籍する人以外も、小学校などの理科実験で1回は使用したことがある実験器具です。

材質は主にガラスが使用されており、これは化学薬品を入れても反応せず保存・撹拌などが容易に行うことができるからです。

ただガラス以外にも、石英、ステンレス、プラスチック樹脂などの素材を使用したビーカーもあり、用途によって使い分けをします。

ビーカーの使用用途

ビーカーの使用用途は化学薬品の一時的な保存や、液体混合のための撹拌、固体の溶解です。

ビーカーは基本蓋がないため長期保存には向きませんが、次の作業ため数時間程度の保存に使用されます。

混合・溶解の場合は、磁力で撹拌させるマグネチックスターラーと一緒に使用します。

使用中の注意点としては、ガラス製が多いため、乱暴に取り扱ったり、落下させると割れます。危険な薬品を入れておくため、安全に気をつける必要があります。

ビーカーの原理

ビーカーはその口の広さから、化学薬品の出し入れ、粉末などの固体の添加などを容易行えるよう設計されています。

一方で化学薬品の量り取りには不向きな器具です。ビーカーには目盛りが記載されていますが、数値誤差は1~数%あり、正確な秤量を必要とする化学実験で量り用として使用してはいけません。

また普通のビーカー以外にも、化学実験の原理を考慮しコニカルビーカー、トールビーカーと呼ばれるものを使用します。

コニカルビーカーは底面よりも口側を細くした構造をしています。中和滴定など化学薬品を上方向から添加していく際に跳ねて飛び散り辛くしたり、手で持って撹拌しやすい構造原理になっています。

トールビーカーは普通ビーカーの胴回りを細くし、背を高くした構造をしています。背を高くしているため撹拌時に化学薬品がこぼれにくくなっています。

またマントルヒーターなどの加熱機器にセットしやすく、加熱実験にも適しています。

ポリ塩化ビニリデン

ポリ塩化ビニリデンとはポリ塩化ビニリデン

図1. ポリ塩化ビニリデンの基本情報

ポリ塩化ビニリデン (polyvinylidene chloride、PVDC) とは、塩素を含むビニリデン基を重合させた非晶性の熱可塑性樹脂に属する合成樹脂です。

構造は-[CH2CCl2]n-で表されます。CAS番号は9002-85-1です。無色透明の合成樹脂で、フィルム状もしくは繊維状の製品として市場に供給されている物質です。

他のシート状の樹脂と比較して熱や酸、アルカリへの耐性に優れており、酸素透過度や透湿度も低いことから、食品包装用のラップ等に使用されています。市場製品には塩化ビニル (PVC) またはアクリロニトリルなどとの共重合体が使用されており、単体で使用されることはほとんどありません。

ポリ塩化ビニリデンの使用用途

ポリ塩化ビニリデンは開発当初は繊維としての利用が主でしたが、今日最も利用されている用途は家庭用の食品包装ラップです。また、酸素や湿度からのバリア性を高めるため、ポリエチレンやポリ塩化ビニル等の樹脂と重ね合わせて多層フィルムの一層としても多く用いられています。

繊維としては、今日では各種ネット、排水処理用担体膜、ろ過布や、更にはドールヘアなどにも使用されています。衣料用には向きませんが、繊維製品としても様々な用途で活用されている素材です。

一時は燃焼時に発生するダイオキシンが社会問題となったため、分別回収や他の成分への置き換えが試みられていました。しかし、今日では焼却炉の燃焼温度向上により、通常の可燃ごみとして取り扱うことが可能です。

ポリ塩化ビニリデンの原理

ポリ塩化ビニリデンの原理を合成方法と性質の観点から解説します。

1. ポリ塩化ビニリデンの合成方法

図2. ポリ塩化ビニリデンの合成 – 1

ポリ塩化ビニリデンの工業的製法は以下の通りです。

  1. エチレンと、塩化ナトリウムを電気分解して得られる塩素または塩化水素とを反応させて、1,2-ジクロロエタンを製造します。
  2. 1,2-ジクロロエタンから塩化ビニルを合成します。
  3. 塩化ビニルに塩素を反応させて1,1,2-トリクロロエタンを得た後、水酸化カルシウムまたは水酸化ナトリウムを反応させ、脱塩酸反応により塩化ビニリデンモノマーを合成します。
  4. 乳化剤や少量の添加剤 (塩化ビニルなど) などを加えながら重合し、ポリ塩化ビニリデンを得ることができます。

ポリ塩化ビニリデンの合成-1

図3. ポリ塩化ビニリデンの合成 – 2

2. ポリ塩化ビニリデンの性質

ポリ塩化ビニリデンは、125 °Cを越えると分解し、塩化水素が発生することが知られています。耐水性を持ち、化学薬品類に対する優れた耐薬品性を持つ物質です。ただし、高温においてはジメチルホルムアミドやジエチルホルムアミドに溶解します。

適度な弾性を持ち、防湿性とガスバリア性の両方を兼ね備えるという性質は、他のプラスチックフィルムにない特徴です。また、酸素透過度は、ポリ塩化ビニルやポリエチレンと比較しても、極めて低くなっています。

3. ポリ塩化ビニリデンの製品化工程

ポリ塩化ビニリデンを主用途であるフィルムとして製品化する場合には、一度加熱溶融して冷却、延伸することによって成型を行っています。この時に素材をより柔らかくするため、アセチルクエン酸トリブチル等の可塑剤が添加されます。可塑剤は製品に残留し一定量が溶出しますが、人体には無害です。

ポリ塩化ビニリデンの耐熱性、強度を強化する場合、製造工程においてナイロンポリプロピレンにポリ塩化ビニリデンを挟み込み、多層フィルムとする場合があります。これはフィルム製品のみならず、ラテックスや漁網等の製造の際にもにも利用されている手法です。

ポリ塩化ビニリデンの種類

現在の主なポリ塩化ビニリデン製品には、フィルムや合成繊維などがあります。フィルム状の製品は、家庭用のラップや、業務用食品包装材料などが中心です。合成繊維は、防塵用フィルター、ろ過布、漁業用の網、釣り糸やブラインドなどの製品に加工して提供されています。

工業用途などを想定した化学材料としても販売されており、粉末・フィルムなどの種類があります。フィルム製品は、厚さ0.0125mm , 0.033mm , 0.043mmなどの種類があり、コイルもしくは正方形などの形状です。

また、産業用では織物・紙などにコーティングする水系高バリア性樹脂ディスパージョンとしても供給されています。

参考文献
https://vdkyo.jp/index.html
https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/factsheets_wrapfilm_140331.pdf

ピペット

ピペットとは

ピペット (英: pipette) とは、目的の量の液体を吸い取ったり、それを容器などにうつしかえる際に用いられる実験器具のことです。

化学や生物学などの自然科学分野から、医学や薬学などの応用科学分野まで幅広く利用されています。ピペットには複数の種類があり、使用目的によって使い分けられます。使用されている素材は、主にガラス製とプラスチック製の2種類です。

ガラス製ピペットは耐薬品性や耐熱性に優れているため、洗浄や乾熱滅菌による再利用が可能です。プラスチック製ピペットは耐薬品性や耐熱性においてガラス製よりも劣りますが、安価な上ディスポーザブルなので洗浄の手間を省き、コンタミを防ぐことができます。

ピペットの類似製品に、スポイトがあります。スポイトはプラスチック製で一定量を吸い込むのに対して、ピペットは製品に応じてプラスチック製やガラス製など種類は様々です。中には、取り付けるアタッチメントや設定次第で吸い込む量を調節できるものもあります。

ピペットの使用用途

ピペットの使用用途は主に以下の2種類に分けられます。

  1. 液体を計量したい (液体分取)
  2. 液体を別の容器に移し替えたい (液体移動)

なお、目的によって使われるピペットが異なります。そのため、用途を考慮した上で選定する必要があります。

ピペットの原理

マイクロピペットは、大きく分けて「チップホルダー」「グリップ」「プッシュボタン」「液量設定ダイヤル」から構成されます。

液量設定ダイヤルを操作することで吸い込む量が調節され、プッシュボタンによって内部のピストンを動かして空気の量を変化させ、それによって液体を吸引、吐出する仕組み (エアーディスプレイスメント方式) です。内部にはO-リングという円形のゴムがあり、気密性を保ったまま内部のピストンを動かすことができます。

また、内部にはバネもあり、押したプッシュボタンはバネの力によって自動で戻ろうとするため、液体の吸引および吐出が可能となります。

ピペットの種類

ピペットには様々な種類があり、適切な選定が大切です。また、種類によって使い方も異なります。

1. 液体分取用のピペット

ホールピペット
ホールピペットは、液体を正確に計量するための器具です。ガラス管の中央あたりが膨らんでおり、上部に目盛線が引かれています。精巧に作られており、非常に高い精度で液体を計量できます。

ピペット先端を液体につけて、ストローで吸い込むように液体をガラス管の中に入れ、目盛線の少し上まで吸い上げ、口を離した瞬間にガラス管上部を指で押さえることで計量します。ただし、現在では吸い込み時に危険な試薬を誤飲するのを防ぐため、上部にゴム製の安全ピペッターやオートピペッターを取り付け、液体を吸引・吐出することが多いです。

メスピペット
メスピペットも、正確に液体を計量できる器具です。ガラス製やプラスチック製のものがあり、ピペット全体に目盛りがついています。ホールピペットと同様、上部にゴム製の安全ピペッターやオートピペッターを取り付け、液体を吸引・吐出します。

マイクロピペット
マイクロピペットは、液体をμL単位で計量できる器具です。使用方法としては、まず、液量を設定するダイヤルを回し、吸い取りたい量の数値に合わせます。次に、グリップを利き手で握って、親指を上部のプッシュボタンに置きます。

チップホルダーの先端に適した大きさのチップを取り付け、しっかりはめます。そして、プッシュボタンを押し、液体の吸引および吐出を行います。最後に、プッシュボタンの近くにあるイジェクターボタンを押し、チップを取り外すという流れです。

2. 液体移動用のピペット

駒込ピペット
駒込ピペットは、液体を別の容器に移動させたい場合に使用します。スポイトに似た形状をしていますが、薬品に用いることを考えて耐薬品性の高いガラスなどの素材でできていることが多いです。ゴム球を上部に取り付け、液体を吸引・吐出します。

パスツールピペット
パスツールピペットは、液体を吸い込む先端部分が細長いガラス製のピペットです。パスツールピペットには目盛りがないため、少量の液体を移動させるために使用されることが多く、基本的に使い捨てで使用します。駒込ピペットと同様、ゴム球を上部に取り付け、液体を吸引・吐出します。

参考文献
https://axel.as-1.co.jp/contents/t_tb/li_glass
https://nippongene-analysis.com/special-feature/sp004/

ファーストリカバリーダイオード

ファーストリカバリーダイオードとは

ファーストリカバリーダイオード (英: Fast Recovery Diode) とは、高速動作が可能なPN接合ダイオードです。

高速ダイオードとも呼ばれ、FRDと略される場合もあります。構造や機能は一般の整流ダイオードと同じですが、整流ダイオードが500Hz以下の低周波の整流に適しているのに対し、ファーストリカバリーダイオードは数kHz〜100kHzの高周波の整流に適しています。

ファーストリカバリーダイオードにはオン状態から完全なオフ状態になるまでの逆回復時間trrを小さくするための対策が施され、整流ダイオードのtrrが5〜10us程度に対し、ファーストリカバリーダイオードのtrrは50〜100ns程度です。

ファーストリカバリーダイオードの使用用途

ファーストリカバリーダイオードは高周波電流を抑制する力率改善 (英: Power Factor Correction) 回路に組み込まれてスイッチング電源に使用可能です。

力率改善回路はPFC回路と略され、ダイオード、インダクタ、MOSFETで構成されます。PFC回路の連続動作モードではインダクタ電流が0Aになる前にMOSFETがオン状態になるため、ダイオードに電流が流れている間に強制的にオフになり、リカバリ電流が流れてスイッチングノイズが発生します。このノイズを防ぐためにtrrが小さいファーストリカバリーダイオードを利用可能です。

またファーストリカバリーダイオードはAC/DCコンバータやインバータ回路にも使われています。

ファーストリカバリーダイオードの構造

ファーストリカバリーダイオードはPN接合ダイオードです。P層からの電極端子をアノード、N層からの電極端子をカソードといい、アノードからカソードへ流れる順方向の電流だけを通し、逆方向の電流はほとんど通さない性質があります。この性質を利用してファーストリカバリーダイオードは交流を直流に変換可能です。

構造や機能は一般的な整流ダイオードと同じですが、ファーストリカバリーダイオードにはtrrを小さくするための対策が施されています。

PN接合付近に電子線の照射や貴金属の拡散でキャリアトラップを作るとN層に侵入した正孔はアノード側に向かう途中でキャリアトラップに捕えられて消滅するため、正孔の移動時間は短くなりtrrが小さくなります。

ファーストリカバリーダイオードの原理

ダイオードに電流が流れている順バイアスの状態で急に逆バイアスをかけると、P層の正孔はアノード側に、N層の電子はカソード側に移動し、順方向の電流とは逆向きのリカバリ電流が流れます。正孔と電子が完全に移動してPN接合付近に空乏層ができ、リカバリ電流が流れなくなるまでの時間がtrrです。

順電流が大きいと正孔と電子はPN接合面を通り過ぎ、反対側の領域に侵入します。ここで急な逆バイアスを印加するとN層に入り込んだ正孔がアノードに戻るまでに時間がかかり、この時間がtrrを決定可能です。

ファーストリカバリーダイオードでは逆バイアスをかけたときのリカバリ電流が急に収束し、リンギング (ゆれ) が発生するとノイズの原因になります。したがってファーストリカバリーダイオードには逆回復時間が小さいだけでなく、リカバリ電流がゆるやかに回復する特性も重要です。

ファーストリカバリーダイオードの選び方

整流ダイオードは大きく4種類に分けられ、ファーストリカバリーダイオード、汎用タイプ、スイッチングタイプ、ショットキーバリアダイオードなどです。

1. ファーストリカバリーダイオード

trrを改善した高速ダイオードで、800Vのような高耐圧も可能です。ただし高耐圧高電流仕様は2V程度が標準的で、近年は順方向電圧 (VF) を低くした種類も多いです。

2. 汎用タイプ

整流用にダイオードを組み合わせたダイオードブリッジです。電池や電源を逆接続したときに過電流が流れないよう保護用に使用されます。扱える電流でVFは違い、シリコンのPN接合でできたダイオードの一般的なVFである1V程度が標準的です。trrは50Hz/60Hzなどの商用電源の整流が前提です。

3. スイッチングタイプ

主に電源の切り替えに使われ、VFは汎用タイプと同じです。trrは汎用タイプと比べて高速ですが、ファストリカバリダイオードやショットキーバリアダイオードのような速度はありません。

4. ショットキーバリアダイオード

半導体と金属の接合で生じる障壁を用います。スイッチング特性が速く、VFが低いです。VFは10Aなどの大電流でも0.8V程度、数Aなら0.5V前後です。逆方向のリーク電流が大きいため熱暴走を起こす可能性があります。

参考文献
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/e-learning/discrete/chap2/chap2-2.html
https://www.shindengen.co.jp/products/semi/column/basic/diodes/frd.html
https://www.semicon.sanken-ele.co.jp/sk_content/an0014_jp.pdf

ファインセラミックス

ファインセラミックスとは

ファインセラミックス

世の中の材料は「金属材料」「有機高分子材料」「セラミックス」の3つに大別され、その中でもセラミックスは硬度が高く、熱や化学的に安定であることが特徴です。 従来のセラミックスはオールドセラミックスと呼ばれ、ガラスやセメント、陶磁器などで天然鉱物を混合したり、焼いたりして成形しますが、ファインセラミックスは化学プロセスに基づいて作られます。

ファインセラミックスは十分に制御された製造プロセスで化学組成や結晶構造、粒子形状を制御しているため、オールドセラミックスと比較して機械的、電子的、物理的、化学的に優れて高機能を持つものを指します。 ファインセラミックスの始まりは1940年からだと言われており、セラミックスを工業製品への応用や新たな機能を付与する開発が盛んになりました。

ファインセラミックスの使用用途

ファインセラミックスは構造、電子、工学、生体、磁性材料として幅広い分野で使用されており、例えば電子部品や産業用装置、医療機器など製造業務に必要な機器になります。

半導体や液晶製造装置ではウェハと呼ばれる素子となるものを加工します。このウェハを装置に固定し、表面を研磨するのにファインセラミックスが使用されます。

医療機器では手術用器具やインプラント部品、放射線装置のX線絶縁部品に使用しています。

上記以外にも情報機器や環境関連、エネルギー関連、航空宇宙、電子工業部品として応用されています。

ファインセラミックスの特徴

ファインセラミックスの定義は難しいですが、JISでは「化学組成、結晶構造、微細組織・粒界、形状、製造工程を精密に制御して製造され、新しい機能又は特性をもつ、主として非金属の無機物質」と定義されています。

ファインセラミックスの製造工程は原料の調合から始まり、造粒、成形、生加工、焼成、2次加工、検査を経て作られます。

普通のセラミックスよりも粒状や純度の高い原料粉末を調合し、精密な装置でマイクロからナノレベルで構造コントロールされたものが、ファインセラミックスとして世の中に出ていきます。特に熱的特性は金属や有機材料と比較すると優れているため、熱の籠りやすい産業装置内部ではファインセラミックスが重宝します。

一方でファインセラミックスのデメリットは、脆く、加工しにくいことです。粉末状の原料を成形しているため、高いところから落下させるだけでも、その衝撃で割れてしまいます。そのため1度ある形に整えたファインセラミックスを、別の形に加工することも難しいです。

ファインセラミックスの種類

ファインセラミックスは2種類に大別されます。一つ目が焼成工程を加えたものがエンジニアリングセラミックスであり、研削・研磨加工しかできなくなりますが、耐摩耗性に優れています。材質としてはアルミナ窒化ケイ素ジルコニアなどがあります。

一方、焼成工程を加えないものをマシナブルセラミックスと呼び、強度はエンジニアリングセラミックスより弱いですが、切削加工が可能になります。材質としてはホートベル、マセライト、マコールなどがあります。

また、ファインセラミックスには様々な材質があり、材質により異なる特性を有しております。ここでは代表的なセラミックス材料をいくつか紹介します。

アルミナ(Al2O3)

アルミナは酸化アルミニウムのことであり、最も汎用的なセラミックスです。電気絶縁性、耐摩耗性、耐熱性、化学的安定性に優れながら非常に安価であることが特徴です。

ジルコニア(ZrO2)

ジルコニアは優れた強度と靭性を有しており、熱膨張率が金属に近いことから金属と組み合わせて利用されたりもします。また、セラミックスでは難しいハサミなどの刃物類にも使用されます。

炭化ケイ素(SiC)

炭化ケイ素は天然には存在しない人工化合物です。1500℃もの高温でも優れた強度を有しており、軽量で耐食性にも優れています。このような特徴から、ヒーター周辺部品のような耐熱材料として利用されます。

この他にも多岐にわたる種類のファインセラミックスがあり、特殊なセラミックスとして多孔質セラミックスや透明セラミックスなどもあります。使用する環境に考慮して、適した材質・特性を有するファインセラミックスを選定することが重要です。

参考文献 https://www.kyocera.co.jp/fcworld/first/about.html https://yutakasangyo.co.jp/ceramic/use.html https://asuzac-ceramics.jp/technology/tech90.htm

フックスイッチ

フックスイッチとは

フックスイッチ

フックスイッチとは、フックにものをかけることでオンオフするスイッチです。

固定電話機の受話器を置く部分にあるスイッチに使用されています。受話器を本体のフックにかけていたため、この名称がついています。通話中にフックスイッチを押してすぐ話す動作をフッキングと呼び、保留と通話を切り替える等に使用することがあります。

近年は、携帯電話やスマートフォンなどのコードレス電話が普及しており、受話器をフックにかける必要がなく、使用される製品が減ってきています。

フックスイッチの使用用途

主に固定電話で使用されています。公衆電話やオフィスや家庭で用いられている固定電話の中で、受話器がコード付きのものについては、受話器を置くことで通話を切ることができ、フックスイッチが使われています。

近年は、携帯電話やスマートフォンなどのコードレス電話が普及しています。コードレスで通話の入り切りはフックスイッチ以外のボタンなどで行うため、フックスイッチは使われていません。そのため、使用される製品は減ってきています。

フックスイッチの原理

フックスイッチは2つの状態があり、電話の受話器が電話機に置かれた状態はオンフック、受話器を上げた状態はオフフックです。

オンフック状態の場合、フックスイッチが受話器によって押下されており、フックスイッチの接点は解放されています。オフフック状態の場合、フックスイッチの押下状態が解除され、接点が電気的に接続されている状態になります。

フックスイッチの動作原理は、受話器の重量によりフックボタンが押され、軸を中心にボタンが回転することで、内部のスイッチレバーが回転し接点の接続が行われます。

スイッチの制御に電気的な制御はなく、人が通話を切る際に受話器を置く動作を入力として、メカ的な動作により電気的な導通がされます。また、人が通話をする場合に受話器を取る動作を入力として、メカ的な動作によりスイッチの電気的な非導通が確保されます。

参考文献
https://www.d-kuru.com/diary-detail/944

プライヤ

プライヤとは

プライヤ

プライヤとは主に金属製品をつかんだり曲げたりするための手工具です。プライヤにはさまざまな種類があり、用途によって形状や機能が異なりますが、一般的には二本の腕を持ち、それぞれの腕の先にははさみのような切断部がついています。また腕の内側には鋸歯状の溝があり、物をつかんだり回転させたりするための溝として使われます。
プライヤの用途には針金や鉄線の切断や曲げ、ナットやボルトの取り付けや取り外し、金属の成形、電線の接続、管の曲げなどがあり、プライヤの種類にはニッパー、ペンチなどがあります。

プライヤの使用用途

1. 物をつかむ

プライヤは、物をつかんで持ち上げるために使用されます。特に小さな部品や針金、細い管など手でつかむことが難しいものをつかむのに適しています。

2. 物を切る

プライヤの先端部分が切断刃になっているものもあり、針金や軟鋼線などの細い金属を切断できます。

3. 曲げる

プライヤは金属やプラスチックの板材を曲げられます。折り曲げたい部分にプライヤを当て、力をかけることで曲げられます。

4. 圧着する

圧着プライヤは端子や電線を圧着するために使用されます。圧着部分に端子や電線を挟み込み、力をかけることで、しっかりと圧着できます。

5. ボルトやナットを回す

プライヤにはボルトやナットをつかんで回すための溝があります。ドライバーがない場合や狭い場所での作業などで利用されます。

6. 金属板を切断する

ニッパープライヤは、金属板などを切断するために使用されます。手で力をかけることで、金属板をきれいに切断できます。

7. 線を取り付ける

プライヤの一種であるペンチは、電線などを固定するために使用されます。ペンチの先端には細い鋼線をつかむための溝があり、鋼線をつかんで曲げられます。

プライヤの原理

プライヤは「梃子 (てこ) の原理」を利用しています。

プライヤでは、二本の腕がピンで連結され、ピンが中心となって、二本の腕は動く構造です。一方の腕がピンで固定され、もう一方の腕が可動するようになっています。腕の両端の内,口がない側の端 (手で持つ部分)を手で握ると、可動する腕の端にある二つの口 (物をつかむ部分) が閉じるようになっていて、それによって物を挟めます。

「梃子の原理」により、手で握った力より大きな力が口の部分に発生するのが、プライヤの仕組みです。プライヤは挟む物に力をかけることで、挟んだ物を掴んだり曲げたり切断したりできます。プライヤの種類によっては、口の部分の形状が異なっていたり、専用のカッターが備わっていたりすることがありますが、基本的な動作原理は同じです。

プライヤーの種類

プライヤには多くの種類があり、以下はその一部です。メーカーによって名称は異なる場合があります。

1. ペンチプライヤ

細い先端を持ち、小さな部品や針金をつまんだり曲げたりするのに適しています。

2. コンビネーションプライヤ

複数の機能を持った万能なプライヤで、つまむ、曲げる、切る、接続するなどの作業に使用できます。

3. ロングノーズプライヤ

先端が長く細いプライヤで、狭い場所に手を入れたり細かい作業したりするのに適しています。

4. ラジアルプライ

ラジアルジョイントと呼ばれる独特の構造を持ち、多角形や円形などの形状をした物体をつかめます。

5. ワイヤーストリッパープライヤ

電線の皮を剥いたり端子を圧着できたりするプライヤです。

6. ロックプライヤ

ロック機構がついたプライヤでつまんだものをしっかりと固定できます。

7. フィッシュプライヤ

先端部分が湾曲したプライヤで配管工事などで使用されます。

8. ホースグリッププライヤ

先端部分が湾曲し、円筒状のものをつかむのに適したプライヤです。

9. ベンドノーズプライヤ

先端部分が曲がったプライヤで、ワイヤーや金属板などを曲げたり曲げた形を保持したりするのに適しています。

10. リベットツール

リベットを作る際に使用され、複数のサイズのリベットを収容できるようになっています。

プライヤの特徴

長所

(多目的な用途)
プライヤは様々な素材を切断したり曲げたりつまんだり回転したりできる多目的な工具です。木材、金属、プラスチック、電線などを扱えます。

(強力な握力)
プライヤは大きな握力を発揮できます。このため硬い素材や太いワイヤーなども簡単につまめます。

(ピンポイントでの作業が可能)
プライヤの先端部分は細くなっているためピンポイントでの作業が可能です。例えば小さなネジや細い電線をつまんだり細かい部品をつまんで取り外したりできます。

(操作が簡単)
プライヤは簡単に操作できます。使い方を覚えるのも簡単であり、初心者でも扱いやすい工具です。

(安価な価格帯)
プライヤは様々な種類がありますが、一般的には比較的安価な価格帯で販売されています。高価なものもありますが、手頃な価格帯のものも多いため手軽に手に入れられます。

短所

(力の限界)
プライヤは小型のものから大型のものまでありますが、力の限界があります。大きな力をかける必要がある場合や硬い素材を扱う場合には、別の工具を使った方がよい場合があります。

(傷つける可能性がある)
プライヤの先端は硬くて鋭利な場合があります。そのため素材を傷つける可能性があることに注意が必要です。特に柔らかい素材を扱う場合には、優しく扱う必要があります。

これらの短所は、プライヤを正しく使い、適切な場面で使うことで解決することができます。また、プライヤ以外の工具を併用することで、効率的に作業を進められます。

プライヤのその他情報

プライヤの材質は、耐久性や強度、表面の滑りやすさ、耐腐食性などの性質に影響を与えます。プライヤの主な材質についての説明は以下の通りです。

1. スチール

スチールはプライヤの一般的な材質で、比較的安価であり、一般的な使用には十分な強度を持ちます。ただし錆びやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。

2. クロムバナジウム鋼

クロムバナジウム鋼は、スチールよりも強度が高く、曲げや切断などの重い作業にも耐えられます。また耐久性に優れ、長期間使用しても変形しにくいことが特徴です。

3. チタンコーティング

チタンコーティングは、プライヤの表面にチタンの膜を形成することで、表面を硬くして滑りにくくできます。また耐腐食性に優れ、使用後に洗浄することで長期的に使用できます。

4. アルミニウム合金

アルミニウム合金は軽量で扱いやすいため、持ち運びやすいプライヤに適しています。ただしスチールやクロームバナジウム鋼に比べて強度が低く、重い作業には向いていません。

5. プラスチック製

プラスチック製のプライヤは、金属製品を傷つけないために使用されることがあります。また軽量で持ち運びやすいため、作業場所によっては便利です。ただし金属製品に比べて強度が低く、重い作業には向いていません。

フラスコ

フラスコとは

フラスコ

フラスコとは、主に化学実験で使用する化学薬品を一時的に貯蔵したり、化学薬品を混合、反応、加熱、蒸留させるための容器です。

主なフラスコの種類には、三角フラスコ、ナスフラスコ、メスフラスコなどがあり、三角フラスコは小学生の理科実験で使うため最も有名です。

一般的に材質は容器に入れた化学薬品と反応しないためガラス製で作られています。そのほか金属や合成樹脂製などの素材もありますが、あまり使用されていません。

フラスコの使用用途

フラスコの使用用途には化学反応、加熱、蒸留などがあり、用途によって適切なフラスコを選択します。

ビーカーと同じように化学薬品を保存できますが、長期保存には向いておらず数時間程度の保存しかできません。共栓付き三角フラスコは入り口を栓で塞げるため、手を振りながら化学薬品を混合できます。マグネチックスターラーを使用し、自動撹拌で化学薬品を混合可能です。

フラスコの特徴

フラスコには数多くの種類が存在し、特徴が異なります。

1. 三角フラスコ

オーソドックスなフラスコです。入り口が細くて底面になると胴回りが広がり三角の形状になります。ビーカーよりも入り口が小さいので、液面からの蒸発を防ぎ、液が飛び散りにくいため手で持ちながら降りやすいです。

2. ナスフラスコ

底面が球形状になっており、形が野菜の茄子に似ています。溶媒蒸留からフラスコ内に残った固体化合物や粘性の高い液体を掻き出しやすいため、ロータリーエバポレータなどの蒸留試験で使用される場合が多いです。

3. メスフラスコ

胴体部は三角に近い形状で、15cm程度の上部が細長い入り口の管になった秤量用のフラスコです。管の上部に容量が標線と呼ばれるラインで記載されており、標線まで液体を入れると胴体部記載の容量を秤量できます。秤量の誤差は0.25mL以下のため、精製水による化学薬品の希釈などに使用されます。

4. カシアフラスコ

メスフラスコよりも首が長いです。首の部分に目盛りが付いています。

5. 丸底フラスコ

首の部分がすり合わせ付きになった球状のフラスコです。薬品の反応による衝撃や圧力に耐えるため、ガラスが肉厚になっています。

6. 坂口フラスコ

上部の首が長く、下部は半球状で、往復振とう培養に用いられます。通気量が高く、振とうの際に飛沫が上がりにくいです。ただし形が特殊なため内部の洗浄が難しいです。

7. 白鳥の首フラスコ

フラスコの首が長く、S字に折り曲げ加工されています。蒸気や空気の出入りを止めず、フラスコ内に埃などが入らない構造です。

8. ケルダールフラスコ

ナスフラスコの首が長いタイプです。内部で薬品を分解し、反応を起こす場合に使用されます。

9. 枝付きフラスコ

蒸留装置に組み込んで蒸留に使うフラスコです。ガラス管が丸底フラスコの長い首の途中に突き出ています。

10. 二ツ口フラスコ

温度計の挿入や薬品の投入のために2つの口を持っています。口が3つある三ツ口フラスコや口が4つある四ツ口フラスコも用途に応じて選択可能です。

11. セパラブルフラスコ

胴部だけのフラスコです。口部をセパラブルカバーやクランプで密着させて使用します。洗浄しやすく、カバーを変えれば口数も変更可能です。

12. ソックスレー抽出器専用フラスコ

ソックスレー抽出器に用います。

フラスコの種類

三角フラスコには複数の種類が存在します。

1. 共栓付き三角フラスコ

すり合わせのガラス栓が首の部分にある三角フラスコです。手で激しく振りながら内容物を混合できます。

2. バッフル付き三角フラスコ

内部に突起があり、微生物の培養でよく使用されます。旋回振とうで液体培地の通気量を上げます。綿栓やシリコセンはコンタミネーションを防ぎ、通気を確保可能です。

3. ヨウ素フラスコ

共栓付き三角フラスコの栓やすり合わせ部分の上に液を貯める構造を有します。ヨウ素価の測定などに利用されます。

4. ブフナーフラスコ

突き出た短いガラス管を首に持つ肉厚の三角フラスコです。主に吸引ろ過で使われ、管と真空ポンプのような真空源を接続し、フラスコ内部を減圧できます。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/837/
http://www.setsunan.ac.jp/~p-jisshu/kiguzuroku2.htm