ファインセラミックス

ファインセラミックスとは

ファインセラミックス

世の中の材料は「金属材料」「有機高分子材料」「セラミックス」の3つに大別され、その中でもセラミックスは硬度が高く、熱や化学的に安定であることが特徴です。 従来のセラミックスはオールドセラミックスと呼ばれ、ガラスやセメント、陶磁器などで天然鉱物を混合したり、焼いたりして成形しますが、ファインセラミックスは化学プロセスに基づいて作られます。

ファインセラミックスは十分に制御された製造プロセスで化学組成や結晶構造、粒子形状を制御しているため、オールドセラミックスと比較して機械的、電子的、物理的、化学的に優れて高機能を持つものを指します。 ファインセラミックスの始まりは1940年からだと言われており、セラミックスを工業製品への応用や新たな機能を付与する開発が盛んになりました。

ファインセラミックスの使用用途

ファインセラミックスは構造、電子、工学、生体、磁性材料として幅広い分野で使用されており、例えば電子部品や産業用装置、医療機器など製造業務に必要な機器になります。

半導体や液晶製造装置ではウェハと呼ばれる素子となるものを加工します。このウェハを装置に固定し、表面を研磨するのにファインセラミックスが使用されます。

医療機器では手術用器具やインプラント部品、放射線装置のX線絶縁部品に使用しています。

上記以外にも情報機器や環境関連、エネルギー関連、航空宇宙、電子工業部品として応用されています。

ファインセラミックスの特徴

ファインセラミックスの定義は難しいですが、JISでは「化学組成、結晶構造、微細組織・粒界、形状、製造工程を精密に制御して製造され、新しい機能又は特性をもつ、主として非金属の無機物質」と定義されています。

ファインセラミックスの製造工程は原料の調合から始まり、造粒、成形、生加工、焼成、2次加工、検査を経て作られます。

普通のセラミックスよりも粒状や純度の高い原料粉末を調合し、精密な装置でマイクロからナノレベルで構造コントロールされたものが、ファインセラミックスとして世の中に出ていきます。特に熱的特性は金属や有機材料と比較すると優れているため、熱の籠りやすい産業装置内部ではファインセラミックスが重宝します。

一方でファインセラミックスのデメリットは、脆く、加工しにくいことです。粉末状の原料を成形しているため、高いところから落下させるだけでも、その衝撃で割れてしまいます。そのため1度ある形に整えたファインセラミックスを、別の形に加工することも難しいです。

ファインセラミックスの種類

ファインセラミックスは2種類に大別されます。一つ目が焼成工程を加えたものがエンジニアリングセラミックスであり、研削・研磨加工しかできなくなりますが、耐摩耗性に優れています。材質としてはアルミナ窒化ケイ素ジルコニアなどがあります。

一方、焼成工程を加えないものをマシナブルセラミックスと呼び、強度はエンジニアリングセラミックスより弱いですが、切削加工が可能になります。材質としてはホートベル、マセライト、マコールなどがあります。

また、ファインセラミックスには様々な材質があり、材質により異なる特性を有しております。ここでは代表的なセラミックス材料をいくつか紹介します。

アルミナ(Al2O3)

アルミナは酸化アルミニウムのことであり、最も汎用的なセラミックスです。電気絶縁性、耐摩耗性、耐熱性、化学的安定性に優れながら非常に安価であることが特徴です。

ジルコニア(ZrO2)

ジルコニアは優れた強度と靭性を有しており、熱膨張率が金属に近いことから金属と組み合わせて利用されたりもします。また、セラミックスでは難しいハサミなどの刃物類にも使用されます。

炭化ケイ素(SiC)

炭化ケイ素は天然には存在しない人工化合物です。1500℃もの高温でも優れた強度を有しており、軽量で耐食性にも優れています。このような特徴から、ヒーター周辺部品のような耐熱材料として利用されます。

この他にも多岐にわたる種類のファインセラミックスがあり、特殊なセラミックスとして多孔質セラミックスや透明セラミックスなどもあります。使用する環境に考慮して、適した材質・特性を有するファインセラミックスを選定することが重要です。

参考文献 https://www.kyocera.co.jp/fcworld/first/about.html https://yutakasangyo.co.jp/ceramic/use.html https://asuzac-ceramics.jp/technology/tech90.htm

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