フラスコとは
フラスコとは、主に化学実験で使用する化学薬品を一時的に貯蔵したり、化学薬品を混合、反応、加熱、蒸留させるための容器です。
主なフラスコの種類には、三角フラスコ、ナスフラスコ、メスフラスコなどがあり、三角フラスコは小学生の理科実験で使うため最も有名です。
一般的に材質は容器に入れた化学薬品と反応しないためガラス製で作られています。そのほか金属や合成樹脂製などの素材もありますが、あまり使用されていません。
フラスコの使用用途
フラスコの使用用途には化学反応、加熱、蒸留などがあり、用途によって適切なフラスコを選択します。
ビーカーと同じように化学薬品を保存できますが、長期保存には向いておらず数時間程度の保存しかできません。共栓付き三角フラスコは入り口を栓で塞げるため、手を振りながら化学薬品を混合できます。マグネチックスターラーを使用し、自動撹拌で化学薬品を混合可能です。
フラスコの特徴
フラスコには数多くの種類が存在し、特徴が異なります。
1. 三角フラスコ
オーソドックスなフラスコです。入り口が細くて底面になると胴回りが広がり三角の形状になります。ビーカーよりも入り口が小さいので、液面からの蒸発を防ぎ、液が飛び散りにくいため手で持ちながら降りやすいです。
2. ナスフラスコ
底面が球形状になっており、形が野菜の茄子に似ています。溶媒蒸留からフラスコ内に残った固体化合物や粘性の高い液体を掻き出しやすいため、ロータリーエバポレータなどの蒸留試験で使用される場合が多いです。
3. メスフラスコ
胴体部は三角に近い形状で、15cm程度の上部が細長い入り口の管になった秤量用のフラスコです。管の上部に容量が標線と呼ばれるラインで記載されており、標線まで液体を入れると胴体部記載の容量を秤量できます。秤量の誤差は0.25mL以下のため、精製水による化学薬品の希釈などに使用されます。
4. カシアフラスコ
メスフラスコよりも首が長いです。首の部分に目盛りが付いています。
5. 丸底フラスコ
首の部分がすり合わせ付きになった球状のフラスコです。薬品の反応による衝撃や圧力に耐えるため、ガラスが肉厚になっています。
6. 坂口フラスコ
上部の首が長く、下部は半球状で、往復振とう培養に用いられます。通気量が高く、振とうの際に飛沫が上がりにくいです。ただし形が特殊なため内部の洗浄が難しいです。
7. 白鳥の首フラスコ
フラスコの首が長く、S字に折り曲げ加工されています。蒸気や空気の出入りを止めず、フラスコ内に埃などが入らない構造です。
8. ケルダールフラスコ
ナスフラスコの首が長いタイプです。内部で薬品を分解し、反応を起こす場合に使用されます。
9. 枝付きフラスコ
蒸留装置に組み込んで蒸留に使うフラスコです。ガラス管が丸底フラスコの長い首の途中に突き出ています。
10. 二ツ口フラスコ
温度計の挿入や薬品の投入のために2つの口を持っています。口が3つある三ツ口フラスコや口が4つある四ツ口フラスコも用途に応じて選択可能です。
11. セパラブルフラスコ
胴部だけのフラスコです。口部をセパラブルカバーやクランプで密着させて使用します。洗浄しやすく、カバーを変えれば口数も変更可能です。
12. ソックスレー抽出器専用フラスコ
ソックスレー抽出器に用います。
フラスコの種類
三角フラスコには複数の種類が存在します。
1. 共栓付き三角フラスコ
すり合わせのガラス栓が首の部分にある三角フラスコです。手で激しく振りながら内容物を混合できます。
2. バッフル付き三角フラスコ
内部に突起があり、微生物の培養でよく使用されます。旋回振とうで液体培地の通気量を上げます。綿栓やシリコセンはコンタミネーションを防ぎ、通気を確保可能です。
3. ヨウ素フラスコ
共栓付き三角フラスコの栓やすり合わせ部分の上に液を貯める構造を有します。ヨウ素価の測定などに利用されます。
4. ブフナーフラスコ
突き出た短いガラス管を首に持つ肉厚の三角フラスコです。主に吸引ろ過で使われ、管と真空ポンプのような真空源を接続し、フラスコ内部を減圧できます。
参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/837/
http://www.setsunan.ac.jp/~p-jisshu/kiguzuroku2.htm