日本ハネウェル株式会社

日本ハネウェル株式会社の概要

日本ハネウェル株式会社はハネウェル ノースアトランティックホールディングス リミテッドの100%子会社です。

Honeywell International, Inc.について

ハネウェル株式会社は1886年に設立されたアメリカの多国籍企業で、本社をアメリカのニュージャージー州に構えており、従業員数は10万人となっています。

Honeywell Internationalの事業セグメントについて

Honeywell Internationalは下記4つの事業セグメントがあります。2021年1Qの売上をHoneywell IRより記載します。また、ここでは、簡易のため 1ドル = 100円とします。

  • Honeywell Aerospace (2,631億円)
  • Honeywell Building Technologies (1,358億円)
  • Safety and Productivity Solutions (SPS) (2,118億円)
  • Performance Materials and Technologies (PMT) (2,436億円)

Honeywell 2021年1QのIR

株式会社村田製作所

株式会社村田製作所の会社概要

村田製作所は1944年に京都市で創業されました。創業当初は陶器製品を製造する町工場でした。現在の主力製品はコンデンサで、売上の38.5%を占めます。(2020年度通期)

売上のセグメント別の比率は下記になります。

  • コンデンサ: 38.5% 
  • 圧電製品: 8%
  • その他コンポーネント: 23.8%
  • モジュール: 29.7%

また、村田製作所は2020年11月の会社説明会にて下記を会社のコアコンピタンスとして発表しています。

  • 材料技術
  • 生産技術
  • 積層技術
  • 高周波技術

株式会社村田製作所の今後の展望

スマートフォンやパソコン、AV機器、家電製品などのエレクトロニクスの中心分野から、自動車、エネルギー、ヘルスケアへの進出を戦略として掲げています。

2020年通期ではセグメント別の売上は下記となっています。

  • AV (4.4%)
  • 通信 (49.5%)
  • コンピュータ及び関連機器 (17.9%)
  • カーエレクトロニクス (16.8%)
  • 家電・その他 (11/4%)

参考

2020年11月会社説明会

2020年通期決算

株式会社村田製作所の歴史

  • 1944年: 村田昭によって創業
  • 1969年: 東京証券取引所市場第二部に上場
  • 2004年: 長岡京に本社を建設

株式会社村田製作所の株価

株価は現在(6月7日時点)では、約5.8兆円で、2012年頃から株価は増大しています。

画像参照元: google検索スクリーンショットより

カテゴリー
絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

Metoreeを運営するZAZA株式会社が日本熱測定学会に加入しました

メトリーを運営するZAZA株式会社が日本熱測定学会に加入しました。

引き続き様々な形で技術の進歩に貢献をしていきます。

日本熱測定学会法人会員一覧はこちら

カッティングプロッタ

カッティングプロッタとは

カッティングプロッタとは、シート状のものをカットする機械です。

ドロー系のソフト (お絵描き系のソフト) で描画した線のデータをカットパスとして、データに沿ってカットします。一般的には、半切り用途でも使用されることが多いです。

シール材料のシートを使用し、半切りすることで任意の形状のシールやステッカーを作成できます。機種によってはカットや半切りに加え、紙に折り目を付けるスジ入れや、ミシン目の加工をすることも可能です。

また、スキャナで紙に書かれた線や絵を読取り、そこからカットパスを自動で生成して簡単に編集したりできる機種もあります。

カッティングプロッタの使用用途

カッティングプロッタは、看板やポスターなどのサイン用途、店内用のポップの切り抜きなどに使用されます。剥離紙のついたシール用のシートは、半抜でシール形状の抜き加工にも使用されます。

カッティングプロッタは自由な形状に切り抜けますが、処理スピードは速くないため、大量生産には不向きです。アパレル業界では、衣類の開発段階などで各パーツをカッティングプロッタで紙を切り出して使用することもあり、特別な仕様のカッティングプロッタも増加傾向です。

インクジェットプリンターとカッティングプロッタが一体となっている機種も多くあります。ロール状のメディアをセットし、プリントを行い、その下流でカッティング加工を行います。プリントと切り抜き加工を一度で済ませられるため、非常に効率的です。

カッティングプロッタは布材料のカットも可能であるため、服飾の切り抜き用途でも使用されます。

カッティングプロッタの原理

材料に刃物を押し付けながら、刃物もしくは材料を動かすことによって、材料を任意の形に切り出せます。X軸とY軸の座標を正確に制御して刃物もしく材料を動かせますが、座標補正も時には必要です。

また、きれいに材料を切り出すには、刃物の材料や刃物を押し付ける強さや速さ、移動速度などの条件をそれぞれの材料に適したものにする必要があります。刃物を使用して材料を切り出すため、刃物は消耗品です。

定期的に交換する必要があります。刃物の受けになるマットも同時に消耗し、品質に影響を与えるので同様に交換が必要です。

カッティングプロッタの種類

カッティングプロッタは2種類に大別することができます。1つは刃物がX方向のみ移動し、切断する材料をY方向に搬送するタイプで、グリッドローリングタイプと呼ばれます。

もう1つは、切断する材料を固定しておき、刃物がX-Y 両方向に移動するタイプです。テーブルタイプまたはフラットベッドタイプと呼ばれます。

1. グリッドローリングタイプ

グリッドローリングタイプは、カッティング時に切断する材料を前後に動作させながら刃を左右に動作させます。装置を小型化できるのが特徴で、卓上における小型の機器も多数あります。

このタイプで抜きの加工をする場合は、専用の粘着性のあるマットに材料を貼り付けなければなりません。材料を前後に送りながらカッティングをするため、切り離されてしまうと搬送できなくなるからです。

カッティングに使用する材料は巻かれた状態でセットすることが多く、小型であるにも関わらず長い材料を一度に切り出すことができます。

2. テーブルタイプ

テーブルタイプのカッティングプロッタは、テーブルに無数の小さな穴が開いており、真空ファンなどで材料を吸着して固定します。そして、カッターがX-Y方向に移動して任意の形状に加工を行います。

テーブルタイプのカッティングプロッタは、商業用や産業用など、さらに種類があります。用紙への折り目を付ける筋入れツール、レーザーカット用のツール、刃物に振動を与えて厚手の材料を切るツールなど、ツールも多いです。

グリッドローリングタイプに比べて、厚い材料を切り出せますが、作業時間が長くなってしまう傾向があります。

参考文献
https://japan.mimaki.com/product/cutting/
https://www.trade-sign.com/magazine/1651/

オイルコンパウンド

オイルコンパウンドとは

オイルコンパウンドとは、電子部品の絶縁、放熱、撥水、真空シールなどを目的に塗布されるペースト状のオイル製品です。

基油となる成分に様々な増調剤を混ぜて増粘化させ、さらに用途にあった添加物が加えられています。オイルコンパウンドは、撥水性や熱酸化安定性などが高く電気特性を持ち、広範囲の温度帯にわたって特徴を発揮することができます。

なお、コンパウンドとは、車のボディの細かいキズを目立たなくさせる研磨剤として広く知られています。英語の「compound」は、2つあるいはそれ以上の要素や部分が結合したものという意味です。オイルコンパウンドも基油に、さまざまな添加物が混ぜられています。

オイルコンパウンドの使用用途

オイルコンパウンドは電子機器や、真空のシール部分などに塗布して使われます。

1. 電子機器

電子部品においては、主に放熱を促進させるために使われます。電子素子は電気を消費することによって発熱しますが、熱を溜め込んだままだと正常な動作を継続することができません。

そこで、早く熱を放出できるように、オイルコンパウンドが塗布されています。具体的には、トランジスタやサーミスタといった半導体素子などの放熱用に塗布されています。私たちの身近な製品での使用例は、家電製品や自動車、パソコンなどです。

2. 真空シール

シールを目的に塗布されるオイルコンパウンドは、真空を扱う機器の摺り合わせ部分、ガスケットやパッキンなどに塗布されます。真空用のオイルコンパウンドは揮発する成分を減らすことによって、高真空の環境においても、オイルコンパウンドの成分が揮発するのを防いでいます。

オイルコンパウンドの原理

オイルコンパウンドは、基油にシリコーンオイルを用いる場合が多いです。充填剤には、金属石鹸以外の材料である非石鹼系の化合物を用いてグリース状の製品にしています。シリカの微粉末状のものや、金属粉などが代表的です。

オイルコンパウンドには、鉱物油由来から作られるオイルコンパウンドと、シリコーンオイル由来から作られるオイルコンパウンドがあります。鉱物由来のものは極圧潤滑に優れているのが特徴です。

一方で、シリコーン由来のオイルコンパウンドは、耐熱、耐寒、耐水、耐候や電気特性などにも長けている上、化学的に安定しているため、よりさまざまな用途で用いられています。

オイルコンパウンドのその他情報

1. オイルコンパウンドの倜度と滴点

オイルコンパウンドのカタログには、倜度 (ちょうど) と滴点というデータが記載されています。倜度とは、オイルコンパウンドの硬さ、柔らかさを示す尺度です。倜度の数値が大きいほど柔らかいオイルコンパウンドで、数値が低いほど硬いことを意味します。

なお、滴点は耐熱性を示すデータです。オイルコンパウンドは加熱されると軟化し、いずれ成分が分離してしまいます。耐熱性を評価する測定試験機において、オイルコンパウンドが柔らかくなり液化し、滴下に至った温度を滴点として評価しています。

使用環境が高温である際には、特に倜度や滴点のデータから目的にあった製品であるかどうかを見極めることが大切です。

2. シリコーングリスとの違い

オイルコンパウンドと類似したものに、シリコーングリスがあります。両者は明確に区別されるものではありませんが、シリコーングリスは主に潤滑や粘着を目的に用いられることが一般的です。対してオイルコンパウンドは、主に放熱やシール用に使われます。

なお、シリコーン (Silicone) は、ケイ素樹脂のことで、ケイ素が含まれている有機化合物を指します。有機化合物なので、自然界に存在するものではありません。

一方で、シリコン (Sillicon) はケイ素です。元素記号のSiで表される元素であり、主に岩石や土壌などに存在しています。日常生活で混同されていることが多いですが、両者は別物です。

参考文献
https://www.silicone.jp/contact/qa/qa103.shtml
https://www.silicone.jp/products/type/grease/index.shtml
https://www.monotaro.com/g/00018493/
https://www.shinetsu.co.jp/jp/products/silicones-business/silicone-greases-silicone-oil-compounds/
https://www.moribe.biz/silicon/534.html

エクストルーダ

エクストルーダとは

エクストルーダとは、食品や医薬品、プラスチックやゴム、セラミックスなどの原料に対して加工を行える加工機のことです。

原料を搬送しながら同時に加工できます。エクストルーダの加工処理としては、加熱、加圧、混錬、押し出し成形などがあります。特に押し出し成形は、原料を加熱して圧力をかけ、一定の形状に押し出せるため、プラスチックやゴムの製造に用いられます。また、エクストルーダは、豊富な種類のノズル形状を取り揃えており、ノズル形状を変えることによって、多様な形状や用途に使用可能です。そのため、需要に応じて簡単に生産ラインを変更でき、少量多品種の製造に適しています。

一方で、エクストルーダは、加工中に発生する摩耗、オーバーヒートなどの問題があります。そのため、特定の材料に対して使用する場合には、高度な技術や専門知識が必要です。また、加工後に洗浄する必要があるため、設備が大掛かりになる場合もあります。

エクストルーダの使用用途

エクストルーダは、食品や医薬品などの原料を加工し、形状や性質を調整するなど使用用途は多岐にわたります。

1. 食品加工分野

まず、食品加工分野でのエクストルーダの使用についてです。例えば、大豆ミートのようなたんぱく質の原料を組織化するための加工や、膨化食品の製造、飴の製造、ペットフードの製造などに使用されます。また、エクストルーダは、オートミールのような穀物製品の生産にも広く使用されています。

2. 医薬品製造分野

医薬品製造分野でも、エクストルーダは広く使用されています。エクストルーダを使用することで、医薬品の粉末成分を粘着性のある錠剤への変換が可能です。錠剤の形状やサイズを調整でき、薬の投与量を調整できます。

3. その他の分野

エクストルーダは、化粧品の製造、燃料の製造、塗料の製造、樹脂の製造など、幅広い分野で使用されています。使用する場所としては、研究所、食品工場、医薬品工場、化学工場、樹脂工場などが挙げられます。

エクストルーダの原理

エクストルーダは原料と水分を混ぜながら加工する機械であり、材料を内部に送り込みスクリューの回転によって材料を混ぜながら加圧し、ダイを通して外部に押し出すことで成り立ちます。

エクストルーダの機構は、投入部分、スクリュー部分、バレル、ダイから構成されています。材料は投入部分から入り、スクリューによって混合され、圧力がかかってバレル内を通り、ダイから外部に押し出されます。材料の運搬と同時に加工を行えるため、効率的な加工が可能です。

スクリューの種類や回転速度を調節することにより、材料が内部にとどまる時間を計算し、外部に出す圧力を変化させて調節できます。形状を自在に変えられ、薄いシート状や四角や円形などの形状の製品を製造が可能です。

エクストルーダの種類

エクストルーダは、シングルスクリューエクストルーダ、ツインスクリューエクストルーダ、バッチ式エクストルーダ、連続式エクストルーダ、低温エクストルーダの5種類が存在します。

1. シングルスクリューエクストルーダ

シングルスクリューエクストルーダは、1本のスクリューで原料を押し出すタイプのエクストルーダです。主に小規模な加工工場や研究機関で使用され、コストが比較的安価であることが特徴です。

2. ツインスクリューエクストルーダ

ツインスクリューエクストルーダは、2本のスクリューで原料を押し出すタイプのエクストルーダで、高い加工能力を持ち、製品の形状によっては、より均一に製造できます。このため、大量生産が必要な食品やペットフードなどの製造に使用されます。

3. バッチ式エクストルーダ

コンパクトな形状のバッチ式エクストルーダは、小規模な食品メーカーや研究機関などで使用されることがあります。簡単な構造で、加工過程が見えるため、研究開発に適しています。

4. 連続式エクストルーダ

連続式エクストルーダは、大量生産に適しており、高い加工能力を持っています。特に、連続式エクストルーダの中でも特に大型のものは、非常に高い生産性を発揮できる点が特徴です。

5. 低温エクストルーダ

圧力と温度を調整できる低温エクストルーダもあります。低温で押し出すため、原料の栄養素を保持でき、健康食品やスナック菓子などの加工に適しています。

参考文献
https://www.suehiroepm.co.jp/machine_twin.html
http://www.aichi-inst.jp/shokuhin/other/up_docs/news1201-3.pdf
http://www.cc.rim.or.jp/~nposaka/line/extruder.html
https://www.suehiroepm.co.jp/machine_twin.html

RFアンプ

RFアンプとは

RFアンプ

RFアンプのRFは「Radio Frequency」の略称であり、ラジオやスマートフォンに代表される移動体無線通信などに用いられる高周波を意味するため、RFアンプとは高周波電力増幅器のことを指します。

一般的なアンプにおいては、入力された電圧や電流を増幅して出力させる機能を有しますが、RFアンプの場合はこの機能ではなく、直流バイアスを用い高周波電力を入力電力に対してアンプの利得分だけ信号増幅させることができます。そのため、直流のバイアス用の電力をそのまま損失することなく、高周波の電力増幅用に比較的高効率に利用できるのが特徴です。

またRFアンプは受信回路と送信回路のどちらに使うかによって、求められる電気的な特性すなわちアンプの種類が異なることに注意が必要です。直流の電力の損失をすることなく、高周波の電力に増幅変換させることができるのが特徴で、効率が良いRFアンプとされています。受信回路と送信回路のどちらに使うかによって、種類が異なります。

RFアンプの使用用途

通信用の高周波回路は、受信用と送信用のブロックに分けられ、この受信と送信のどちらに使うかによって、一般にRFアンプの種類は異なります。

送信側に用いられるRFアンプをパワーアンプ(PA)といい、高い増幅度が求められるアンプです。扱う電力が大きいために発熱抑制による信頼性の維持やバッテリーの消費電力抑制の観点から、消費電力が小さいすなわちアンプの効率が大きいことが重要視されます。また用途によっては、アンプ自体が信号を歪ませないために十分な線形性(リニアリティ)が必要です。

一方で受信用に使用されるRFアンプをローノイズアンプ(LNA)と呼びます。ノイズの中に信号が埋もれないようにし、通信時の受信感度をあげて通信品質を維持するために、アンプ自体が発生するノイズ(NF)が小さいことが特徴です。

RFアンプの原理

Si系のMOSFETやSiGeなどのバイポーラトランジスタ、および化合物半導体であるGaAsやGaNなどの結晶を用いたHBTやHEMT等がRFアンプ用の半導体素子として用いられます。RFアンプの諸特性、最大出力電力や利得(ゲイン)、効率、線形性(リニアリティ)、雑音指数などに応じて、最適な半導体素子を選定することが大切です。

RFの周波数によっては、カットオフ周波数(fT)と呼ばれる周波数応答が足りずに十分な増幅度を引き出せない場合があります。よって半導体デバイスの構造から決定される単体周波数特性は、RFアンプを構成する上で非常に重要な因子です。

アンプデバイスに所望のDC(直流)バイアスを印加し、アンプの入出力の負荷線を最適に設定することで、アンプの特性は決まります。この際、基本波周波数のインピーダンス設定の他高調波インピーダンスの設定も重要であり、バイアスの与え方と相まってさまざまな動作級(A級、C級、F級など)を設定できます。

RFアンプのその他情報

RFアンプの特性

RFアンプの特性に、1dBコンプレッション、ゲイン、雑音指数などがあります。ゲインとパワーのカーブにおいて、アンプの飽和動作により、ゲインが1dB抑圧された電力の出力量の最大値の指標として用いられるものを、1dBコンプレッションといいます。

送信側では大きな出力が求められるため、1dBコンプレッションの領域が大きいものを選択し、上限まで使用するのが通例です。RFアンプは入力と出力の電力比である増幅度によって、周波数特性を表現することが可能で、周波数の決まった範囲の中にあることを性能の判断基準にします。

ゲインは大きい方が望ましいですが、消費電力やノイズとのトレードオフになるため注意が必要です。雑音指数は、信号とノイズの比が悪化する度合いを表現したものです。受信側のRFアンプを選択する際には、小さい雑音指数を選ぶようにしましょう。

参考文献
https://knowledge.support.sony.jp/electronics/support/articles/S1110278003116
https://engineer-climb.com/rf-amp/

PH電極

pH電極とは

pH電極とは、水溶液のpHを測定する際に使用する電極です。

pHは溶液中の水素イオン活量を示す値ですが、濃度が薄ければ水素イオン濃度の逆数の常用対数で示した値とほとんど一致します。溶液の液性を示す、ごく一般的な指標として広く使われています。

pH電極はpH計の測定部であり、ガラスや内部液の繊細な構造のために使用期限を定めて使用されています。

pH電極の使用用途

医薬品、水質管理など、研究分野から工業分野、環境分野まで、pHを測定する場所では広く、ガラス電極が使用されています。

破損の恐れがあっても使えるプラスチック電極や、寒天培地などのゲル、食肉など食品の表面測定や布・紙などのシート状材料にも使える製品も販売されています。

pH電極の原理

1. ガラス電極

ガラス電極法は、ガラス電極と比較電極の間に生じる電位の差を測定することで、pHを測定する方法です。厚さ0.2~0.3mmのごく薄いガラスの膜の内側と外側に、pHが違う溶液があれば、そのpHの差に応じて起電力が生じます。通常、pHガラス電極の内部液には、pH7の標準液が用いられます。

2. 比較電極

比較電極は起電力が安定している電極を用います。比較電力の先端には測定器と電気的接続を保つため、液絡部が設けられています。この液絡部が電気的接続を保つとともに、内部液が少しずつ流出します。一般的には多孔性セラミックが用いられます。塩化カリウム溶液などが内部液として使われます。この比較電極の起電力をガラス電極と比較することでpHが測定できます。

3. 温度センサー

pHは温度によって測定値に誤差を生じるため、温度センサーが必要です。

4. 複合電極

ガラス電極と比較電極、温度センサーを一体化したのが複合電極です。複合電極は1本の電極を測定したい試料に浸漬するだけでpH測定が可能で、取扱いや洗浄などの維持管理が比較的容易で便利な構造であるため、一般的なpH計に多く使われています。

pH電極のその他情報

1. pH電極の規格

日本工業規格
pH測定が広く行われるにともなって、日本工業規格「JIS Z 8802 pH測定方法」が、1958 年に制定されました。この規格の制定を受けて1960年には「JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極」が、規格化されています。両規格は、この後、何度か改正が行われました。「JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極」では、電極の種類や性能 から構造及び寸法、試験方法、表示について規定されています。

計量法
現在の経済産業省である通商産業省において、1972年に計量法の一部が改正され、ガラス電極式pH計が追加されました。計量法上では、PH計は検出部と測定部にわけられ、それぞれ規定されています。

ガラスpH電極で測定した結果を、行政への届け出や品質検査などに使用する場合には、検定に合格した電極を使用する必要があります。検定の保証期限は、平成10年4月1日の計量法では検出部 (電極) が2年、指示部が6年とされています。なおガラス電極式以外のpH計は、検定の対象外です。

日本薬局方
日本薬局方のpH測定法では、医薬品などに用いるために5回繰り返し測定するときは指示値の再現性が±0.05以内のものを用いなければならないなど、厳密な要件が規定されています。

2. pH電極の使用方法

ここでは、一般的に使用されている複合電極の使用方法をご紹介します。

測定準備
1. ガラス電極のキャップを外し、目視でクラックなどがないことを確認します。
2. 内部液の量を確認し、少なければ追加します。内部液の液面はサンプルより高い位置になるようにします。
3. 標準液や試料に浸けたとき、液絡部と温度補償電極が液面より下になるように電極ホルダーを調整します。
4. 内部液にインジケーターが入っている場合は、インジケーターが浮いていることを確認します。もし沈んでいる場合には内部液を交換し、しばらく置きます。
5. 内部液に気泡があれば、電極を軽く振るなどして取り除きます。
6. 内部液の蓋をあけておきます。
7. 電極の先を純水で洗い、清浄なワイパーを使って抑えるように水分を除去します。
8. 試料のpHを正確に量りたい場合には、校正用の標準液と試料を恒温槽につけ、温度を安定させます。

校正
1. 測定する試料のpHが、間に入るようにして、2種類以上のpH標準液を用いて校正を実施します。
2. 電極表面に気泡がついていれば取り除きます。

測定
1. 試料に電極をつけます。このとき、液絡部と温度センサーと内部液の液面の間に試料液面が来るようにします。
2. pHが安定したら測定を実施します。
3. 測定が終了したら内部液の蓋を閉め、電極を純水で洗浄します。

保管
電極のキャップについているスポンジを純水で湿らせ、キャップをして保管します。

参考文献
https://www.tactec.co.jp/download/hamilton_dl/hamilton_pH_info_1.pdf
https://www.horiba.com/jpn/water-quality/support/electrochemistry/the-basis-of-ph/measuring-ph-using-a-glass-electrode/detector-glass-electrode/
https://www.horiba.com/jp/ja/cafe/38/

PCRプレート

PCRプレートとは

PCRプレートとは、PCR実験を行う際に反応容器として用いるプラスチック製実験器具です。ウェル(穴)と呼ばれる窪みに試料を入れ、PCR反応を行います。

PCRチューブを用いる場合と比べて、サンプル数が比較的多い、中規模~大規模実験の場合に用いられます。32ウェルプレート、48ウェルプレート、96ウェルプレート、384ウェルプレートなど、様々な大きさのものがあり、形状や、色なども、様々な種類があります。また、自動化プロセスを利用することができるのもプレートの特徴です。

PCRプレートの使用用途

PCRプレートとPCRの原理

図1. PCRプレートとPCRの原理

PCRとは、polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の頭文字をとった略語であり、DNAポリメラーゼを使用して短時間に対象のDNA配列を1コピーから数百万コピーまでに増幅する手法です。具体的には、下記1〜3の一連の反応を「サイクル」と呼び、25〜35サイクルを繰り返します。

  1. 変性:2本鎖DNAテンプレートを加熱し、DNA鎖を分離させます
  2. アニーリング:プライマと呼ばれる短いDNA分子を、標的DNAの隣接領域に結合させます
  3. 伸長:DNAポリメラーゼが、各プライマーを起点として3′末方向に向かってテンプレートの相補鎖を合成します

PCRにおいて、温度サイクルおよびインキュベート時間を自動制御するのに用いられる装置がサーマルサイクラーです。正しくPCRプレートを選択するためにも、自分の使用するサーマルサイクラーや機器の仕様を正しく理解しておくことが必要です。

また、PCRにはスタンダードPCR、グラジエントPCR、リアルタイムPCR/qPCRなどの様々な種類があり、目的に合わせて適切なPCRを選択する必要があります。同時に実験の種類に合わせて実験器具・試薬を適切に準備することも重要です。

PCRプレートの構造

PCRプレートの各部の名称

図2. 96ウェルPCRプレートの各部の名称

1. ウェル部分の構造

材質は、一般的にポリプロピレンが用いられています。ポリプロピレンは化学的に不活性であるため、熱サイクル中の温度の急激な変化に耐え、反応成分の吸収も最小限に抑えることができます。効率良い熱伝導のため、管壁は均一で薄くなるように製造されています。ウェルの色は、透明、半透明、白色などの種類があります。

製造にあたっては、埃や、エンドヌクレアーゼ、パイロジェン、DNAなどの不純物が含まれることの無いよう、清潔な製造環境が用意されます。これは、製造中に製品が汚染されると、不純物が残存してPCRを阻害したり、DNA断片が非特異的増幅のテンプレートとなったりして、実験精度の低下が起きるためです。

2. プレート部分の構造

32ウェル、48ウェル、96ウェル、384ウェルなど、様々なサイズのプレートがあります。96ウェルプレートの中には、24ウェルずつ(稀に8ウェルや32ウェル)に分割できるようになっているものもあります。また、フレームの色には様々なものがあり、同時に複数のプレートを使用する場合、異なる色のものを使い分けることで、モニタリングがしやすくなります。

スカートとは、プレートを取り囲むパネルのことで、形状はノンスカート、セミスカート、フルスカートの3種類があります。また、プレート表面の周辺部位はデッキと呼ばれ、フラットデッキとレイズドデッキがあります。プレートの角の加工処理にはノッチという名前がついています。

シーリングにはキャップまたはフィルムを用います。プレートの大きさや、サンプル数、開閉頻度などに合わせて選択することが重要です。

PCRプレートの選び方

PCRプレート / 部材の種類の例

図3. PCRプレート / 部材の種類の例

1. ウェル部分

まずは、実験の種類に合わせて選択することが大切です。例えば、ウェルが透明の製品は、内容物の確認が容易ですが、ホワイトの製品は蛍光がウェル外に屈折拡散するのを防ぐ効果があるため、qPCRの感度が上昇します。

ウェルの容量サイズが反応液量に合ったものを使用することもまた重要です。反応液量が多すぎる場合には、熱伝導が十分でなかったり、反応液が漏れたりする可能性がありますが、一方、反応液量が不足する場合には、反応液の蒸発や、サンプルの消失が起こる恐れがあります。一般的に、ウェルの容量サイズは、96ウェルプレートの場合は0.2 mLまたは0.1 mL、384ウェルプレートの場合は0.02 mLであることが多いです。

また、自分の使用するサーマルサイクラーやその他機器に合ったものを使用することも大切です。ウェルの高さは、通常の高さのもの(スタンダードプロファイル)の他に、高さが低いもの(ロープロファイル)の2種類があります。ロープロファイル製品は、Fastサーマルブロックに対応しています。また、空間領域が小さいため、熱伝導率が高くなります。

2. プレート形状

使用するサーマルサイクラー等の機器の仕様に合わせて選択することが必要です。特に、ロボットプラットフォームを用いて自動化する場合は用途にあったものを選ばなければなりません。

例えば、セミスカート及びフルスカートプレートには側面があるのでロボットグリッパーで掴むことができ、更に、ハイスループット実験での記録と追跡に用いるバーコードを付けることが可能です。また、自動化用プレートには強力なポリカーボネートフレームで構成されたものを選ぶことが必要です。

なぜなら、ロボットグリッパーからかかる力や、急速な加熱・冷却に耐えなければならないためです。これらのプレートにおいても、反応液への効率的な熱伝導のためウェル部分は均一で薄いポリプロピレンである必要があります。

フラットデッキは、ほとんどのサーマルサイクラーに適合するデザインですが、一部のサーマルサイクラーや機器ではレイズドデッキが適合します。また、使用する機器により適したノッチの位置も異なっています。

ウェルの位置を示すレタリングには、隆起レタリングと彫刻レタリングがあります。隆起レタリングの方が見やすい反面、自動化する場合には確実に周縁部をシーリングできる彫刻レタリングの方がより適しています。

参考文献
https://www.n-genetics.com/products/search/detail.html?product_id=3879
https://www.bio-rad.com/ja-jp/category/pcr-plates?ID=N5WAKA15
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/qpcr-basic47/

PCRチューブ

PCRチューブとは

PCRチューブ

PCRチューブとは、PCR実験を行う用途に特化して作られているプラスチック製チューブです。通常、材質にはポリプロピレンが用いられ、サイズや形状、色など、豊富な種類の展開があります。

PCRチューブの使用用途

PCRチューブとPCRの原理

PCRとは、polymerase chain reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)の頭文字をとった略語であり、DNAポリメラーゼを使用して短時間に対象のDNA配列を1コピーから数百万コピーまでに増幅することができる手法です。具体的には、下記1〜3の一連の反応を「サイクル」と呼び、25〜35サイクルを繰り返すことにより、指数関数的に標的DNAのコピーを合成します。

  1. 変性:2本鎖DNAテンプレートを加熱し、DNA鎖を分離させます
  2. アニーリング:プライマと呼ばれる短いDNA分子を、標的DNAの隣接領域に結合させます
  3. 伸長:DNAポリメラーゼが、各プライマーを起点に3′末方向にテンプレートの相補鎖を合成します

PCRにおいて、温度サイクルおよびインキュベート時間を自動制御するのに用いられる装置がサーマルサイクラーです。PCRチューブは、サーマルサイクラーでの使用を想定して製造されています。正しくPCRチューブを選択するためにも、自分の使用するサーマルサイクラーの仕様を正しく理解しておくことが必要です。

また、PCRにはスタンダードPCR、グラジエントPCR、リアルタイムPCR、qPCRなど様々な種類があるため、目的に合わせて適切なPCRを選択する必要があります。同時に実験の種類に合わせて実験器具・試薬を適切に準備することも重要です。

PCRチューブの構造

PCRの例

材質は、通常ポリプロピレンが用いられます。ポリプロピレンは化学的に不活性であり、熱サイクル中の温度の急激な変化にも耐えるためです。また、サーマルサイクラーからの熱伝達を高めるため、管壁は薄く均一になるように製造されます。

さらに、埃や、エンドヌクレアーゼ、パイロジェン、DNA、潤滑剤、染料、重金属、充填剤などの不純物が含まれることの無いよう、細心の注意を払って製造されます。これは、製造中に製品が汚染されると、埃の粒子が残存してPCRを阻害したり、DNA断片が非特異的増幅のテンプレートとなったりして、実験精度の低下が起きるためです。

構造は、サンプルを入れるチューブ部分と、キャップ部分から構成されます。1本ずつ分かれているシングルタイプや、複数のチューブが連なった8連タイプ・12連タイプがあります。

キャップの形状には、フラット型とドーム型があり、1つのチューブに対してキャップが1つ付いているタイプのものと、複数キャップが連なっていてチューブと別になっているものの2種類に分けることができます。

チューブ部分は、通常の高さのもの(スタンダードプロファイル)の他に、高さが低いもの(ロープロファイル)の2種類があります。透明なクリアタイプの他、白色のものもあります。

PCRチューブの選び方

実験の種類に合わせて選択し、自分の使用するサーマルサイクラーに合ったものを使用することが大切です。例えば、クリアチューブ(透明タイプ)は、内容物の確認が容易ですが、ホワイトチューブは、蛍光がチューブ外に屈折拡散するのを防ぐ効果がありqPCRの感度が上昇します。

ドーム型のキャップはサーマルサイクラーの熱を迅速に伝えることができる一方、フラット型のキャップはマーカーで印を付けることができる、試料回収の際、ニードルで刺しやすい、などの利点があります。

高さが低いロープロファイルタイプのチューブは、反応容器中の空間領域が最小限に抑えられているため、蒸発の影響を減らし、熱伝導率が通常のものより高くなります。ロープロファイルチューブはFastサーマルブロックに対応しているため、Fastチューブと呼ばれることもあります。

また、PCRチューブは小〜中規模のPCR実験に適しているため、規模が大きくなる場合は、PCRプレートを用いることが適当です。

参考文献
https://m-hub.jp/biology/1898/105
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/pcr/pcr-plastics.html
https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cloning/cloning-learning-center/invitrogen-school-of-molecular-biology/pcr-education/pcr-qpcr-plastics/pcr-qpcr-plastics-considerations.html
https://www.funakoshi.co.jp/contents/67629
https://www.corning.com/jp/jp/products/life-sciences/products/genomics/pcr.html