PH電極

pH電極とは

pH電極とは、水溶液のpHを測定する際に使用する電極です。

pHは溶液中の水素イオン活量を示す値ですが、濃度が薄ければ水素イオン濃度の逆数の常用対数で示した値とほとんど一致します。溶液の液性を示す、ごく一般的な指標として広く使われています。

pH電極はpH計の測定部であり、ガラスや内部液の繊細な構造のために使用期限を定めて使用されています。

pH電極の使用用途

医薬品、水質管理など、研究分野から工業分野、環境分野まで、pHを測定する場所では広く、ガラス電極が使用されています。

破損の恐れがあっても使えるプラスチック電極や、寒天培地などのゲル、食肉など食品の表面測定や布・紙などのシート状材料にも使える製品も販売されています。

pH電極の原理

1. ガラス電極

ガラス電極法は、ガラス電極と比較電極の間に生じる電位の差を測定することで、pHを測定する方法です。厚さ0.2~0.3mmのごく薄いガラスの膜の内側と外側に、pHが違う溶液があれば、そのpHの差に応じて起電力が生じます。通常、pHガラス電極の内部液には、pH7の標準液が用いられます。

2. 比較電極

比較電極は起電力が安定している電極を用います。比較電力の先端には測定器と電気的接続を保つため、液絡部が設けられています。この液絡部が電気的接続を保つとともに、内部液が少しずつ流出します。一般的には多孔性セラミックが用いられます。塩化カリウム溶液などが内部液として使われます。この比較電極の起電力をガラス電極と比較することでpHが測定できます。

3. 温度センサー

pHは温度によって測定値に誤差を生じるため、温度センサーが必要です。

4. 複合電極

ガラス電極と比較電極、温度センサーを一体化したのが複合電極です。複合電極は1本の電極を測定したい試料に浸漬するだけでpH測定が可能で、取扱いや洗浄などの維持管理が比較的容易で便利な構造であるため、一般的なpH計に多く使われています。

pH電極のその他情報

1. pH電極の規格

日本工業規格
pH測定が広く行われるにともなって、日本工業規格「JIS Z 8802 pH測定方法」が、1958 年に制定されました。この規格の制定を受けて1960年には「JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極」が、規格化されています。両規格は、この後、何度か改正が行われました。「JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極」では、電極の種類や性能 から構造及び寸法、試験方法、表示について規定されています。

計量法
現在の経済産業省である通商産業省において、1972年に計量法の一部が改正され、ガラス電極式pH計が追加されました。計量法上では、PH計は検出部と測定部にわけられ、それぞれ規定されています。

ガラスpH電極で測定した結果を、行政への届け出や品質検査などに使用する場合には、検定に合格した電極を使用する必要があります。検定の保証期限は、平成10年4月1日の計量法では検出部 (電極) が2年、指示部が6年とされています。なおガラス電極式以外のpH計は、検定の対象外です。

日本薬局方
日本薬局方のpH測定法では、医薬品などに用いるために5回繰り返し測定するときは指示値の再現性が±0.05以内のものを用いなければならないなど、厳密な要件が規定されています。

2. pH電極の使用方法

ここでは、一般的に使用されている複合電極の使用方法をご紹介します。

測定準備
1. ガラス電極のキャップを外し、目視でクラックなどがないことを確認します。
2. 内部液の量を確認し、少なければ追加します。内部液の液面はサンプルより高い位置になるようにします。
3. 標準液や試料に浸けたとき、液絡部と温度補償電極が液面より下になるように電極ホルダーを調整します。
4. 内部液にインジケーターが入っている場合は、インジケーターが浮いていることを確認します。もし沈んでいる場合には内部液を交換し、しばらく置きます。
5. 内部液に気泡があれば、電極を軽く振るなどして取り除きます。
6. 内部液の蓋をあけておきます。
7. 電極の先を純水で洗い、清浄なワイパーを使って抑えるように水分を除去します。
8. 試料のpHを正確に量りたい場合には、校正用の標準液と試料を恒温槽につけ、温度を安定させます。

校正
1. 測定する試料のpHが、間に入るようにして、2種類以上のpH標準液を用いて校正を実施します。
2. 電極表面に気泡がついていれば取り除きます。

測定
1. 試料に電極をつけます。このとき、液絡部と温度センサーと内部液の液面の間に試料液面が来るようにします。
2. pHが安定したら測定を実施します。
3. 測定が終了したら内部液の蓋を閉め、電極を純水で洗浄します。

保管
電極のキャップについているスポンジを純水で湿らせ、キャップをして保管します。

参考文献
https://www.tactec.co.jp/download/hamilton_dl/hamilton_pH_info_1.pdf
https://www.horiba.com/jpn/water-quality/support/electrochemistry/the-basis-of-ph/measuring-ph-using-a-glass-electrode/detector-glass-electrode/
https://www.horiba.com/jp/ja/cafe/38/

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