RFアンプ

RFアンプとは

RFアンプ

RFアンプのRFは「Radio Frequency」の略称であり、ラジオやスマートフォンに代表される移動体無線通信などに用いられる高周波を意味するため、RFアンプとは高周波電力増幅器のことを指します。

一般的なアンプにおいては、入力された電圧や電流を増幅して出力させる機能を有しますが、RFアンプの場合はこの機能ではなく、直流バイアスを用い高周波電力を入力電力に対してアンプの利得分だけ信号増幅させることができます。そのため、直流のバイアス用の電力をそのまま損失することなく、高周波の電力増幅用に比較的高効率に利用できるのが特徴です。

またRFアンプは受信回路と送信回路のどちらに使うかによって、求められる電気的な特性すなわちアンプの種類が異なることに注意が必要です。直流の電力の損失をすることなく、高周波の電力に増幅変換させることができるのが特徴で、効率が良いRFアンプとされています。受信回路と送信回路のどちらに使うかによって、種類が異なります。

RFアンプの使用用途

通信用の高周波回路は、受信用と送信用のブロックに分けられ、この受信と送信のどちらに使うかによって、一般にRFアンプの種類は異なります。

送信側に用いられるRFアンプをパワーアンプ(PA)といい、高い増幅度が求められるアンプです。扱う電力が大きいために発熱抑制による信頼性の維持やバッテリーの消費電力抑制の観点から、消費電力が小さいすなわちアンプの効率が大きいことが重要視されます。また用途によっては、アンプ自体が信号を歪ませないために十分な線形性(リニアリティ)が必要です。

一方で受信用に使用されるRFアンプをローノイズアンプ(LNA)と呼びます。ノイズの中に信号が埋もれないようにし、通信時の受信感度をあげて通信品質を維持するために、アンプ自体が発生するノイズ(NF)が小さいことが特徴です。

RFアンプの原理

Si系のMOSFETやSiGeなどのバイポーラトランジスタ、および化合物半導体であるGaAsやGaNなどの結晶を用いたHBTやHEMT等がRFアンプ用の半導体素子として用いられます。RFアンプの諸特性、最大出力電力や利得(ゲイン)、効率、線形性(リニアリティ)、雑音指数などに応じて、最適な半導体素子を選定することが大切です。

RFの周波数によっては、カットオフ周波数(fT)と呼ばれる周波数応答が足りずに十分な増幅度を引き出せない場合があります。よって半導体デバイスの構造から決定される単体周波数特性は、RFアンプを構成する上で非常に重要な因子です。

アンプデバイスに所望のDC(直流)バイアスを印加し、アンプの入出力の負荷線を最適に設定することで、アンプの特性は決まります。この際、基本波周波数のインピーダンス設定の他高調波インピーダンスの設定も重要であり、バイアスの与え方と相まってさまざまな動作級(A級、C級、F級など)を設定できます。

RFアンプのその他情報

RFアンプの特性

RFアンプの特性に、1dBコンプレッション、ゲイン、雑音指数などがあります。ゲインとパワーのカーブにおいて、アンプの飽和動作により、ゲインが1dB抑圧された電力の出力量の最大値の指標として用いられるものを、1dBコンプレッションといいます。

送信側では大きな出力が求められるため、1dBコンプレッションの領域が大きいものを選択し、上限まで使用するのが通例です。RFアンプは入力と出力の電力比である増幅度によって、周波数特性を表現することが可能で、周波数の決まった範囲の中にあることを性能の判断基準にします。

ゲインは大きい方が望ましいですが、消費電力やノイズとのトレードオフになるため注意が必要です。雑音指数は、信号とノイズの比が悪化する度合いを表現したものです。受信側のRFアンプを選択する際には、小さい雑音指数を選ぶようにしましょう。

参考文献
https://knowledge.support.sony.jp/electronics/support/articles/S1110278003116
https://engineer-climb.com/rf-amp/

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