エアピッカー

エアピッカーとは

エアピッカーとは、中空の円筒形状のゴムが、エアーを注入することでドーナツ形に膨らみワークの内側に接触し、その摩擦により保持する機械部品で、ワークの内面を保持し接触部に傷とつけない特徴を持っています。
エアピッカーと同じ原理で、ワークの外面を保持するものをエアーグリッパーと呼んでいます。

適用ワーク内径が例えばφ16~21など幅があるので、1つのエアピッカーで複数種のワークを把持することができます。

一般的にはクロロプレンゴムが使用されていますが、高い耐熱性が必要な箇所や食品業界向けにシリコン製もあります。

エアピッカーの使用用途

エアピッカーはガラス瓶やペットボトル、缶、内側しか触ることができないプリンターのドラムなどの搬送や燃料タンク、マフラー、ポンプなどのエアリークテストにも使用されています。

サランラップなどロール状製品の巻取りや搬送にも使用されています。

1つのサイズで異径のワークをつかむことができる特徴を活かし、産業用ロボットや協働ロボットのハンド(エンドエフェクタ)に採用され、ワークの内側把持でも活躍しています。

シリコンタイプは化学的に安定しており温度依存性が小さく耐寒性・耐熱性に優れている特徴を活かし食品や衣料品関係の搬送でも使用されています。

エアピッカーの原理

エアーピッカーは最大で自重の70倍までの重さのワークを空気の注入・排気により確実で高速に把持面に傷をつけることなく把持、リリースすることができる機械部品の一つです。

ゴム部が同心円状に膨らむことで、一つのサイズで異径のワークを把持できるためチャック交換の工数を削減することができます。

反面、経年変化によるゴムの割れや傷部からのリークなどがあると、把持機能を失うので、鋭利なものがあたらないように注意したり、紫外線などによる劣化を防ぐもしくは環境にあわせた素材選びの必要があります。

摩擦により保持するため、摩擦係数の低いワーク(ジュラコンなど)や表面に水分や油分など摩擦力をさげるような物質がついたワーク、形状的にすべりやすい部品を把持する際は十分な安全係数を見込む必要があります。

割れやすい部品の把持する力は供給する圧力で調整できるため、エアーレギュレーターと一緒に使用するのが一般的です。

参考文献
https://www.bridgestone.co.jp/products/dp/pneumatic_holders/examples.html
https://jp.misumi-ec.com/pdf/mold/10_mo0089.pdf

荷重計測器

荷重計測器とは

荷重計測器

荷重計測器は,ロードセル(LOAD CELL)と呼ばれています。LOAD;荷重を受ける,CELL:単位素子という意味になります。つまり,力(質量やトルクなど)を電気信号に変換して出力するセンサとなります。

ロードセルで最も多く用いられているのが,ひずみゲージ式で,高精度で温度変化などの影響が小さいこと,シンプルな構造で,製作,メンテナンスが簡単であること,可動部分,摩擦部分が少なく,長寿命で性能が維持されることなどといった特徴があります。 

荷重計測器の使用用途

ロードセルは,力の測定が行われるあらゆる場所で使われています。機器に内蔵されているものであるため,直接目にすることはほとんどありませんが,産業用はかり,天秤,台はかり,体重計,試験機などに搭載されています。ロードセルには,ビーム型,S字型,コラム型,ダイヤフラム型といった種類があり,用途によって使い分けています。多くの台はかりにはビーム型,産業用はかりにはコラム型,引張力を測定する際は,S字型が使用されます。

荷重計測器の原理

ひずみゲージ式のロードセルの原理について簡単に説明します。

ここで,ひずみゲージとはどういうものかということですが,多くの金属には機械的な伸び縮みを与えると,電気抵抗が変化するという性質を持っています。ひずみゲージは,金属が持つこの性質を利用して,電気抵抗の変化からひずみを検出するものです。

ロードセルの構成は,起歪体(歪みが生じる部分)とひずみゲージからなり,起歪体にひずみゲージを張り付けて使われます。ひずみが大きく発生する部分にひずみゲージを張り付けて,測定を行います。

ひずみゲージの抵抗変化とひずみの間には比例関係があり,以下の式が成り立ちます。
ΔR/R = K ×ε
R:元の抵抗値
ΔR:伸縮によって変化した抵抗値
K:比例定数(ゲージ率)
ε:ひずみ

発生した電気抵抗は,ホイートストンブリッジ回路で検出されます。ホイートストンブリッジ回路は,小さい電気抵抗を検出するのに適した電気回路で,4個の抵抗がひし形のような形状に組まれています。

参考文献
https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcetthowto/
https://www.aandd.co.jp/products/loadcell/introduction/cell_intro01.html#h01
https://www.aandd.co.jp/pdf_storage/tech_doc/loadcell/t_cell_faq_ver1.pdf

ケーブルベア

ケーブルベアとは

ケーブルベアとは、丈夫な連結構造で配線を保護する装置です。

これらのリンクは電線が内部に収容され、機械の動作に伴って適切に配線されたまま移動できる仕組みです。ケーブルチェーンやケーブルキャリアなどとも呼ばれます。ケーブルなどを外部からのダメージや絡まりから保護し、整然とした状態で保持することが可能です。これにより、ケーブルの寿命を延ばし、故障やメンテナンスのリスクを減少させます。

また、機械や装置の可動部分にケーブルを追随させるため、制限された空間内でのスムーズな動作が実現します。これにより、機械の性能や生産性が向上します。ケーブル被覆が傷つくリスクも低減するため、安全性を向上させることも可能です。

ただし、ケーブルベアの設計や選択は、使用する機器や環境に合わせて適切に行う必要があります。不適切な設計や選択が行われるとケーブル摩耗などの問題が発生する可能性があります。

ケーブルベアの使用用途

ケーブルチェーンは、さまざまな産業や分野で広範な使用用途があります。以下はケーブルベアの使用用途一例です。

1. 産業ロボット

 産業用ロボットは自動化された製造ラインや工場で使用される機械です。これらのロボットは高度な運動能力を持ち、製品の組み立てや加工などの作業を行います。

ケーブルベアはロボットアームの各関節部分にケーブルを保護しながら接続させ、運動に伴うケーブルの引っ張りや絡まりを防止します。これにより、ロボットの運動範囲が広がり、高速かつ正確な作業が可能となります。

2. 自動化生産ライン

自動化された生産ラインでは、製品の組み立てや検査、梱包などが自動的に行われます。センサーケーブルや電力ケーブルなどの多くの配線が異なる機器間で移動することが必要です。ケーブルベアはこれらのケーブルを整理し、損傷や絡まりを防ぎつつ生産ライン全体の効率を向上させます。

3. 医療機器

医療分野では、高度な技術を持つ医療機器が使用されています。MRIスキャナーやCTスキャナーなどの装置は精密な動作を要求されるため、内部のケーブルを保護しつつ動作の安定性を確保することが重要です。ケーブルベアはこれらの機器内部でケーブルを整理し、安全かつ効率的な運用を支援します。

ケーブルベアの原理

ケーブルベアは連結されたリンクからなる構造を持ち、内部にケーブルや配管を収容して機械の可動を可能にする装置です。これらのリンクは互いに関節で連結されているため、ケーブル全体が曲がったり伸びたりすることができます。材質としてはアルミや鉄などの金属が使用され、環境に応じて硬質プラスチックが用いられることも多いです。

また、ケーブルベアはケーブルや配管が動作時に摩擦や衝撃を受けるのを軽減することも可能です。ケーブルが絡まることや損傷するリスクを低減するため、機械の正常な運用が維持されます。

ケーブルや配管を外部の環境要因から保護する役割も担います。これにより、化学物質や塵埃などからケーブルを守り、信頼性を向上させることが可能です。

ケーブルベアの選び方

ケーブルベアを選ぶ際に考慮すべき要素は、多岐にわたります。

1. 幅

ケーブルベアの幅は、内部に収容するケーブルや配管の量とサイズに影響を与えます。幅が広いほど、より多くのケーブルを収容することが可能です。

必要なケーブルの数や種類、直径などを考慮し、幅を適切に選ぶことが重要です。幅が狭すぎるとケーブルが絡む可能性があり、幅が広すぎると効率的な保護が難しくなる可能性があります。

2. リンク数

ケーブルベアのリンク数は全体の長さや曲がり具合に影響を与えます。リンク数が多いほど、ケーブルベアの曲がりや伸縮に有利です。

作業領域や可動部の許容範囲に合わせて、適切なリンク数を選ぶことが重要です。過度に長いケーブルベアは不必要な抵抗を生じる可能性があるため、必要な範囲内で調整することが望まれます。

3. 材質

ケーブルベアの材質は環境条件や使用目的によって選ばれます。一般的には、プラスチックや金属が一般的な材質です。

プラスチック製のケーブルベアは軽量で扱いやすく、非常に幅広いアプリケーションに適しています。金属製のケーブルベアは耐久性が高く、高負荷や過酷な環境での使用に有利です。

4. 最大速度

ケーブルベアが機械や装置の可動部分に取り付けられる場合、最大速度が重要です。ケーブルベアの最大速度はチェーン自体やケーブルの引っ張りに影響を与えます。高速な動作が必要な場合は最大速度を適切に選び、ケーブルが過度な引っ張りにさらされないようにする必要があります。

参考文献
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/cable-carrier/cableveyor/plastic/
http://www.mekatoro.net/digianaecatalog/tsubaki-keburu/Book/tsubaki-keburu-P0004.pdf

ネジインサート

ねじインサートとは

ネジインサート

ねじインサートとは、めねじの強化や補修のために使われる部品です。

ねじ止めしたい母材の強度が弱くタップによるめねじ加工ができない場合や、タップでめねじを加工して母材の強度が弱くてめねじがつぶれやすい場合に、母材にねじ込むことによってめねじになります。おねじと嵌合するめねじがあるため、機械要素としてはナットの一種です。

また、ボルトと母材との間を埋めるブッシュとも言えます。ねじインサートにもいくつかの種類が存在し、商品名で呼ばれることが多くあります。具体的には、金属でよく使用されているEサート、イリサート、エンザート、プラスチック製の母材に対して使用される樹脂用インサートなどです。

近年は部品の軽量化が要求され、低密度の材料の使用も増えてきました。軽く弱い素材を締結する強いめねじをつくるために使用されるのが、ねじインサートです。

ねじインサートの使用用途

ねじインサートは、プラスチック部品など、材料強度が低い部品にめねじをあけたい場合に使用します。プラスチック製部品をねじ締結する際の方法として、まず下穴をあけておき、タッピングねじで締結することも可能です。しかし、そもそもめねじの強度が弱いこと、タッピングねじでは繰り返しの着脱できない可能性もあるため、ねじインサートがよく使われています。

金属製部品の場合は、M3などねじ径が小さい場合や、ねじのかかりしろが少ない場合 (通常3山以下) に、ねじを強く締めるとめねじが破損しやすいため、ねじインサートを使用します。

また、ねじインサートはめねじが破損する、いわゆるなめてしまった場合のリペアにも使用します。めねじよりも少し大きい径のをあけ、そこにねじインサートを挿入することによって、なめてしまっためねじと同じサイズのめねじを再生することが可能です。

ねじインサートの原理

ねじインサートは締結に使うめねじを持ったねじインサートを、一回り大きいおねじによって母材にねじ込み固定することで、めねじを形成します。金属用のねじインサートとしてよく使われているのは、コイル状のEサートと、エンザートです。

Eサートは指定のタップ加工がされた部位に専用工具で挿入しますが、ねじの着脱を繰り返し行うとねじヘリサートが抜けてしまうことがあります。エンザートは穴加工がされた部位にボルトを使って挿入できるため、現場での修繕などでよく使われます。エンザートのねじ山は、Eサートのねじ山に比べて強いのが特徴です。

ねじインサートの種類

ねじインサートは挿入方法によって、大きく3種類に分けられます。

1. コイルタイプ

最も普及しているのがコイルタイプです。ねじ山形状を持つ線材をコイル状にしたもので、ピッチのずれなどにも対応できるのが特徴があります。

2. セルフタップタイプ

ねじインサートを固定するめねじ加工が不要で、下穴に対して直接ねじインサートをねじ込みます。

3. 圧入タイプ

圧入タイプで、ねじインサートの固定にねじは使わず、圧入によって固定するものです。

ねじインサートのその他情報

ねじインサートの使い方

一般的にねじインサートを使用する際には、大きく4つの工程が必要です。手順は以下の通りですが、セルフタップタイプならめねじ加工は不要、圧入タイプはねじ加工そのものが不要となります。

まず、ねじインサートを固定するために、部品にドリル加工で穴を開けます。一般的なねじ締結の際の下穴加工と目的は同じですが、ねじインサートの下穴径の大きさは一般的なねじの下穴径とは異なります。あらかじめ使用するねじインサートに指定された下穴径を確認しておくことが大切です。

次に、タップ加工でねじインサート用のめねじを作ります。タップ加工の要領は通常と変わりません。3つ目の手順として、ゲージ検査を行います。ゲージはインサートねじ用の限界プラグゲージを使います。判定は通り側が通り、止まり側が2回転以上入らないことです。

最後に、ねじインサートを挿入します。専用工具を用いる製品やタングと呼ばれる部分を切り取る製品であれば、タングを切り取り作業は完了です。

参考文献
https://www.sanyu-seiki.com/first/whats_insert.html

ブラシレスDCモータードライバ

ブラシレスDCモータードライバとは

ブラシレスDCモータードライバ

ブラシレスDCモータードライバとは、マイコンなどの制御部からの指示を元にしてモーターを駆動、制御するための半導体デバイスです。

半導体のディスクリート部品を使用し、ドライブ回路を作成することは可能です。しかし、ブラシレスDCモーターの制御はとても複雑なため部品点数が多くなり、ソフトウェアでの制御も複雑になります。

そこで、ソフトウェア開発工数と部品点数を減らすことを目的に、モータードライバが使用されることがあります。 

ブラシレスDCモータードライバの使用用途

ブラシレスDCモータードライバは、ブラシレスDCモーターが使用される機器に必須のデバイスです。ブラシレスDCモーターは、ブラシレスDCモータードライバにで回転数を正確に制御可能です。ハードディスクやNC制御の機械、自動車及びハイブリッド自動車などに使用されています。

特に自動車では、ドアロック用モーター、電動パワーステアリング用モーター、ヘッドライト光軸駆動用モーター用など多数使われています。 

ブラシレスDCモータードライバの原理

モーターの中では電磁石は固定されています。そのため、コイルに流す電流の向きを変えることで、「引き合う・反発する」という電磁石の極性を決めることが可能です。

ブラシレスDCモーターを駆動させるには、電子的なコントロールが必要です。モーターを回転させるために、モーター巻き線に流れる電流の向きを変化させることで、回転磁界を生み出す必要があります。

交流電源を利用して動作するインダクションモーターなどは、交流電圧を使用することで回転磁界を作ります。しかし、ブラシレスDCモーターは直流電源で動作するため、同様の方式は使えません。

DCモーターの中でもブラシ付きDCモーターに関しては、整流子とブラシが電流の向きを変化させる役割を担います。一方で、ブラシレスDCモーターはトランジスタなどの半導体スイッチを使用することで、電流の向きを変化させることが可能です。

ブラシレスDCモータードライバの特徴

ブラシレスDCモータードライバを使うメリットとして、豊富なオンチップ保護機能やマイコン制御ソフトウェアの作成工数の短縮が挙げられます。その他、部品点数を削減し基板実装面積の最小化し、簡単にモーター駆動を実現することが可能になる点もメリットです。

また、ブラシ付きDCモーターでは、上述した通りブラシを用いて電流の向きを制御します。しかし、ブラシは摩耗するため定期的に交換の必要があり、短寿命で保守の手間がかかる点がデメリットです。ブラシレスDCモータードライバはブラシを使用しない電流制御のため、長寿命でメンテナンス性が高くなっています。

ブラシレスDCモータードライバのその他情報

1. ブラシレスDCモーターのコイル構成

ブラシレスDCモーターは3つのコイルを有します。コイルの一方は他のコイルと接続されており、1つをプラス、他方をマイナスに接続することで2つのコイルに電流を流す仕組みです。

各コイルは2つの半導体スイッチと接続されており、スイッチを順に制御することでモーターを回転させています。ブラシレスDCモーターは半導体スイッチを順に制御して回転磁界を作り、モーターを回転させるためブラシレスDCモータードライバが必要になります。

2. マイコンとの関係

モーターを回転、駆動させるタイミング、速度を制御するために、マイコンは必要なデバイスです。しかし、マイコンが有する入出力ポートからはモーターを直接回転、駆動できるようなドライブ能力がないことがほとんどです。

この場合、マイコンとモーターの間で制御するための信号をモータードライバが代わりに行うことで、モーターを駆動することが可能になります。モータードイバより信号を受け取ったモーターは、各電磁石の極性を変えて、モーターを動かします。

参考文献
https://emb.macnica.co.jp/articles/7058/

ドアセンサー

ドアセンサーとは

ドアセンサ

ドアセンサーとは、ドアが開いたり閉じたりしたことを検知するためのセンサーです。

一般的に建物や車両などの出入り口やドアに設置されます。物理的なドアの動きや変化を検知して、適切な動作を実行するのが目的です。ドアセンサーはセキュリティシステムに組み込むことで、不正な侵入を検知することが可能です。

ドアが無理やり開けられた場合や、開いたことがない時間帯に開いた場合にアラームを発するなど、セキュリティを強化することができます。また、自動ドアや自動制御システムに使用され、人がドアを手動で開け閉めする動作が不要となります。特に高頻度で利用される場所では、効率的な解決策です。

ただし、一部のドアセンサーは、振動や環境の変化によって誤って動作することがあります。これにより誤ったアラームや自動ドアの開閉が発生する場合も多いです。

ドアセンサーの使用用途

ドアセンサーは、さまざまな用途で使用されます。以下は主な使用用途の一例です。

1. 自動ドア

自動ドアは、ドアセンサーを用いて人がドアに近づいたときに自動的に開閉する仕組みです。センサーは一般的に赤外線や超音波を利用して、人の動きを検知します。人がドアに近づくと、センサーが反応してドアが自動的に開く装置です。

公共施設や商業施設、病院などで特に利用されます。バリアフリーのアクセスを提供し、出入りをスムーズにすることが可能です。

2. セキュリティ

建物や施設のセキュリティ強化に重要な役割を果たす部品です。ドアセンサーはドアに取り付けられ、ドアの開閉を監視します。不正な侵入が試みられたり、営業時間外にドアが開いたりした場合、アラームシステムによって警告を発信することがあります。

3. アクセス制御

ドアセンサーは、アクセス制御システムにも活用されます。センサーが認識する特定の条件を満たすユーザーだけがドアを開けられるように制御することで、セキュリティを強化することが可能です。

例えば、スマートカードや指紋認証などを用いてアクセスを管理する場合にドアセンサーが活用されます。

ドアセンサーの原理

ドアセンサーは、さまざまな方法でドア開閉を検知します。ただし、共通する原理はドアの開閉による物理的な変化を検知することです。これらのセンサーはドアの状態を検知するために、開閉によって発生するさまざまな物理的な変化をセンシングする仕組みを持っています。

センサーが物理的な変化を検知すると、それに応じた信号を生成することが多いです。例えば、ドアが閉じた場合には閉信号を生成し、ドアが開いた場合には開信号を生成します。

センサーが生成した信号は、セキュリティシステムや自動制御システムなどに伝達されます。これにより、適切なアクションが実行することが可能です。セキュリティシステムには、ドアの開閉状態に応じたアラームを発信するために利用されます。

ドアセンサーの種類

ドアセンサーには、さまざまな種類があります。以下は一般的なドアセンサーの種類一例です。

1. 磁気センサー

ドアとドアフレームに磁石を取り付けて使用されるセンサーです。ドアが閉じるとドア本体に取り付けた磁石がドアフレームの磁石に引き寄せられるため、磁石同士が接触します。この磁石同士の接触を検知することで、ドアが閉じていることを確認することが可能です。

磁気センサーはシンプルで耐久性があり、多くの場所で利用されています。

2. 光センサー

ドアの開閉によって光の遮蔽を検知する原理で動作するセンサーです。一般的に赤外線を使用し、ドアの開閉位置にセンサーを設置します。ドアが閉じているときには、光のビームがセンサーまで直接届きますが、ドアが開くと光のビームが遮られることで開いた状態を検知します。

光センサーは非接触で動作するため、自動ドアやセキュリティシステムに広く利用することが可能です。

3. プレッシャーセンサー

ドアの開閉によって生じる圧力変化を検知するセンサーです。一般的にドア本体の一部に設置され、ドアが閉じるときにはその部分がドアフレームに密着して圧力がかかります。ドアが開くと、密着していた部分が離れることで圧力が変化します。

プレッシャーセンサーは耐久性が高く、屋外などの厳しい環境でも使用されることが多いです。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/products/safety/safety-door/

高電圧オペアンプ

高電圧オペアンプとは

高電圧オペアンプ(英語: High voltage operational amplifier)とは、数十~数百 Vの入出力電圧で動作させることができるオペアンプのことです。標準的なオペアンプではカバーできない電圧範囲を扱う場合に使用します。

使用する際には、高電圧に伴う規制や安全性を考慮し、保護回路なども含めて適切に設計する必要があります。場合によっては大電流による発熱が生じるため、放熱設計や熱保護も重要になります。

高電圧オペアンプの使用用途

高い電圧を扱うアプリケーションにおいて、標準的なオペアンプの動作電圧範囲ではカバーできない場合に高電圧オペアンプの使用が選択肢として挙げられます。

例えば、インクジェットプリンタや超音波トランスデューサなどに用いられるピエゾ変換器、他のICやモジュールのテストを行う自動試験装置、光による検出や測距のシステムに用いられる高輝度レーザーダイオードなど、これらの用途では高い電圧において正確な制御が必要になるため、高電圧オペアンプが用いられます。

高電圧オペアンプの原理

高電圧オペアンプの動作は標準的なオペアンプと基本的に同じであり、反転入力と非反転入力の電位差を非常に高い利得で増幅します。入力インピーダンスが高い、出力インピーダンスが低い、2つの入力端子間のイマジナリーショートなど標準的なオペアンプと同じように使うことができます。

高い電圧範囲に対応させるために、標準的なオペアンプに外付け部品を組み合わせて出力電圧をブーストする方法もあります。しかし、回路が複雑でコストが高くなること、部品が多く基板レイアウトの制約があること、部品の特性ばらつきや基板レイアウトに影響されて出力に歪みが生じ直線性が悪化することなどが問題点として挙げられます。

高電圧オペアンプを用いることでこれらの問題が解決されます。他にも、ESD保護回路、スルーレートを速くするブースト回路、容量性や誘導性の負荷に対しても安定して駆動させる回路、過熱保護や過電流保護回路などが一つのICとしてパッケージされているものもあるため、そのようなものを用いると設計が容易になります。

参考文献
https://www.analog.com/media/jp/technical-documentation/data-sheets/ADHV4702-1_jp.pdf

永磁チャック

永磁チャックとは

永磁チャック

永磁チャック (英: Permanent Magnetic Chuck) とは、工作機械や精密加工機械などにおいて金属工作物を保持するための磁力装置です。

永磁チャックは永久磁石を内蔵しており、電源を必要とせずに磁力を発生させることができます。電源を必要とせずに磁力を発生するため、電力消費が非常に少ない点が特徴です。

これにより、電気代を節約できるだけでなく、工場のエネルギー効率を向上させることができます。また、電磁チャックと比較して、永磁チャックは制御装置や電源の設定が不要です。そのため、取り扱いが簡単であり、作業者の操作負荷が軽減されます。

ただし、永久磁石の性質上、磁力の調整が電磁チャックよりも難しいことがあります。磁力を変更したい場合には、磁石の交換や特殊な手段が必要となることが多いです。また、高温環境では永磁チャックの磁力が低下する可能性があるため注意が必要です。

永磁チャックの使用用途

永磁チャックは工作機械や精密加工機械において、さまざまな用途で利用されます。以下は永磁チャックの主な使用用途のいくつかです。

1. 研削

研削加工は、主に平面や円筒などの金属製工作物の表面を高精度で削る加工方法です。研削機は研削盤と呼ばれるテーブルの上に工作物を乗せ、砥石を回転させて工作物の表面に切り込みを加えます。

永磁チャックは研削盤のテーブルに取り付けられ、工作物をしっかりと保持する役割を果たす装置です。これにより、工作物が砥石によって正確に削られ、高い平面精度や仕上げ品質が得られます。

研削は歯車や軸受などの精密な部品の製造や、表面仕上げが重要な場合に広く使用されます。

2. フライス盤

フライス盤は回転するフライスカッターを用いて、金属製工作物の表面や形状を削る加工方法です。永磁チャックはフライス盤のテーブルに取り付けられ、工作物を固定します。

フライス盤ではフライスカッターを複数の軸に沿って動かすことで、工作物を加工します。永磁チャックの使用により工作物が安定して保持され、複雑な形状や穴の加工が可能です。フライス盤は、金属製部品の切削や形状加工に広く用いられます。

3. エンドミル盤

エンドミル盤は、小さな金属製部品やワークピースの精密な加工に用いられる機械です。永磁チャックはエンドミル盤のテーブルに取り付けられ、小さな工作物を確実に保持します。エンドミル盤では、エンドミルと呼ばれる細くて長い切削工具を用いて穴あけや溝切り、複雑な形状の加工が行われます。

永磁チャックの使用により、小さな工作物がしっかりと固定され、高い精度と安定性が確保されます。エンドミル盤は、電子部品や精密機器の製造において重要な役割を果たします。

永磁チャックの原理

永磁チャックは、永久磁石による磁力を利用して工作物を保持する仕組みです。永久磁石は外部の電力供給なしで、永続的に磁力を発生する特性を持っています。これを利用して工作物を引き寄せる磁力を発生し、固定することが可能です。

チャック本体は鋼製または鋳鉄製であることが多く、永久磁石が内蔵されています。矩形や円形などの平面状であり、工作物を保持する面があります。チャック本体に内蔵された永久磁石は複数の磁極を持っており、通常はS極とN極が交互に配置されていることが多いです。これにより、チャックの面全体に均一な磁力が発生します。

加工作業中には、工作物を磁力によってしっかりと固定させることが可能です。工作物がずれることなく、高い加工精度が実現できます。また、電源を必要としないため、電磁チャックと比較して電力消費が少なく、省エネルギーな保持方法として利用されます。

永磁チャックの選び方

永磁チャックを選ぶ際には、以下の重要な要素を考慮することが重要です。これらの要素によって、加工対象や作業条件に最適な永磁チャックを選択できます。

1. サイズ

永磁チャックの選び方の基本は、加工する工作物のサイズと形状に合わせることです。工作物がチャックの表面に十分に収まるか、固定できるかを確認します。

2. 保持力

加工対象の重さと固定が必要な保持力を考慮します。工作物の重量に対して適切な保持力を持つ永磁チャックを選択し、安全かつ効果的な保持ができることが重要です。

3. 平坦度

加工の精度や平坦度が要求される場合は、永磁チャックの平面精度も重要です。高い平面精度が得られるチャックを選択し、加工品質を確保します。

参考文献
https://www.jsat.or.jp/sites/default/files/2017-11/2008622162557.pdf
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/ninja/021
https://www.magever.net/magnet-yoke/

リブ

リブとは

リブは反り防止や機械強度を増すために使われる機械構造の一つです。

リブ構造が最もよく用いられるのは成形品です。特に薄い板を成形する場合、様々な要因で反りが発生します。その反りを抑えるためにリブ構造が用いられます。

単純に板厚を増すと使用材料が増えたり逆にボイドと呼ばれる空気が入りやすくなったりするため、強度を高めるという点では、剛性に影響する断面二次モーメントや強度に影響する断面係数を大きくするためのリブ構造をつける方が効果的です。

リブの使用用途

力が加わる箇所の強度を増したいところで使用されます。単純に板厚を厚くすることで、強度を増すことができますが、部品が重たくなったり、材料費が高くなるなどの問題もあるため、剛性に影響する断面二次モーメントや強度に影響する断面係数を大きくするためにリブ構造が用いられます。

また、意匠面など外観部品で複雑な形状に向いているプラスチックの成形品の場合、平面部が反ってしまい、意匠を損ねることがあるので、反り対策にも用いられています。

リブの原理

板金部品で強度を増すためにはリブを溶接する方法もありますが、曲げ部に三角リブとよばれるプレス加工によるリブ形成の方法もあります。プレス加工の場合、溶接ほどの作業工数がかからないため、安価に補強リブをいれることができます。

プラスチック成形品の場合、リブが太ければ太いほど反りは減りますが、太すぎるとリブの裏側は凹んでしまうヒケを引き起こしてしまいます。裏側の意匠が気にならない場合は、ある程度太くても問題ありませんが、通常は板厚の1/2程度の太さのリブをつけることでヒケを防ぐことができます。

また、リブの高さは板厚の3倍以下、根元のRは板厚の1/4~1/2程度が基準となっています。高すぎるとリブがショートなど成形不良の原因になり、根元のRが小さい場合は、応力集中により壊れやすくなります。逆にRが大きすぎると、その部位だけ肉厚となりヒケが発生したり、ボイドが発生して逆に強度を弱めてしまいます。
成形品なので抜き勾配も必要で、0.5~1.5°が必要です。

参考文献
https://seihin-sekkei.com/plastic-design/rib-design/

絶縁型ゲートドライバ

絶縁型ゲートドライバとは

縁型ゲートドライバ(英語: Isolated gate driver)とは、スイッチング電源スイッチングレギュレータに用いられるスイッチング素子(パワーMOSFETIGBTなど)のオン/オフを制御する電子回路の一つで、制御システムから信号が入力される低電圧側とスイッチング素子を駆動する高電圧側が分離されています。

つまり、制御システムを大電力の電力変換部から電気的に隔離させることができるため、電源システムの安全性を向上させることができます。

絶縁型ゲートドライバの使用用途

大電力を扱う電源システムでは、スイッチング素子をはじめ電力変換部の各部品には数百 Vの高電圧が印加されたり、数十 Aの大電流が流れることがあります。

万が一、電源システムの故障や各部品の損傷が発生した場合、そのような高電圧や大電流が制御システムに突入し、制御システムが破壊される可能性があります。さらに、そのシステムをユーザが扱っている場合、感電の危険性もあります。

このような事故を防ぐために、絶縁型ゲートドライバを用いて制御システムを電力変換部から隔離することは有効な手段であると言えます。

絶縁型ゲートドライバの原理

ゲートドライバには低電圧側の制御システムで高電圧側のスイッチング素子を駆動する際のインタフェースの役割があります。

例えば、スイッチング素子としてパワーMOSFETを用いる場合、オンさせるときはソースに対してゲートにかける電圧をしきい値電圧より十分に高くする必要があります。通常この電圧は制御システムより高い電圧になります。また、高速にオン/オフさせるために、ゲート容量の充放電時間を早くすることも重要です。つまり、ゲートドライバはレベルシフタとしての機能とアンプとしての機能を持っています。

絶縁型ゲートドライバによって低電圧側と高電圧側が分離されるため、使用する際はそれぞれに異なる電源を供給します。また、信号パスも分離されるため、信号を伝搬する手段としてトランスフォトカプラといった部品が用いられます。

これらの絶縁する手段によって、同相過渡耐圧(CMTI)やサージ耐圧といった性能が変わってくるので、用途に応じて適切に選ぶ必要があります。また、信号の伝搬遅延時間や立ち上がり/立ち下がり時間といった性能も考慮する必要があります。

参考文献
https://www.analog.com/media/jp/analog-dialogue/volume-52/number-2/articles/isolated-gate-drivers-what-why-and-how_jp.pdf
https://detail-infomation.com/gate-driver-type/