ネジインサート

ねじインサートとは

ネジインサート

ねじインサートとは、めねじの強化や補修のために使われる部品です。

ねじ止めしたい母材の強度が弱くタップによるめねじ加工ができない場合や、タップでめねじを加工して母材の強度が弱くてめねじがつぶれやすい場合に、母材にねじ込むことによってめねじになります。おねじと嵌合するめねじがあるため、機械要素としてはナットの一種です。

また、ボルトと母材との間を埋めるブッシュとも言えます。ねじインサートにもいくつかの種類が存在し、商品名で呼ばれることが多くあります。具体的には、金属でよく使用されているEサート、イリサート、エンザート、プラスチック製の母材に対して使用される樹脂用インサートなどです。

近年は部品の軽量化が要求され、低密度の材料の使用も増えてきました。軽く弱い素材を締結する強いめねじをつくるために使用されるのが、ねじインサートです。

ねじインサートの使用用途

ねじインサートは、プラスチック部品など、材料強度が低い部品にめねじをあけたい場合に使用します。プラスチック製部品をねじ締結する際の方法として、まず下穴をあけておき、タッピングねじで締結することも可能です。しかし、そもそもめねじの強度が弱いこと、タッピングねじでは繰り返しの着脱できない可能性もあるため、ねじインサートがよく使われています。

金属製部品の場合は、M3などねじ径が小さい場合や、ねじのかかりしろが少ない場合 (通常3山以下) に、ねじを強く締めるとめねじが破損しやすいため、ねじインサートを使用します。

また、ねじインサートはめねじが破損する、いわゆるなめてしまった場合のリペアにも使用します。めねじよりも少し大きい径のをあけ、そこにねじインサートを挿入することによって、なめてしまっためねじと同じサイズのめねじを再生することが可能です。

ねじインサートの原理

ねじインサートは締結に使うめねじを持ったねじインサートを、一回り大きいおねじによって母材にねじ込み固定することで、めねじを形成します。金属用のねじインサートとしてよく使われているのは、コイル状のEサートと、エンザートです。

Eサートは指定のタップ加工がされた部位に専用工具で挿入しますが、ねじの着脱を繰り返し行うとねじヘリサートが抜けてしまうことがあります。エンザートは穴加工がされた部位にボルトを使って挿入できるため、現場での修繕などでよく使われます。エンザートのねじ山は、Eサートのねじ山に比べて強いのが特徴です。

ねじインサートの種類

ねじインサートは挿入方法によって、大きく3種類に分けられます。

1. コイルタイプ

最も普及しているのがコイルタイプです。ねじ山形状を持つ線材をコイル状にしたもので、ピッチのずれなどにも対応できるのが特徴があります。

2. セルフタップタイプ

ねじインサートを固定するめねじ加工が不要で、下穴に対して直接ねじインサートをねじ込みます。

3. 圧入タイプ

圧入タイプで、ねじインサートの固定にねじは使わず、圧入によって固定するものです。

ねじインサートのその他情報

ねじインサートの使い方

一般的にねじインサートを使用する際には、大きく4つの工程が必要です。手順は以下の通りですが、セルフタップタイプならめねじ加工は不要、圧入タイプはねじ加工そのものが不要となります。

まず、ねじインサートを固定するために、部品にドリル加工で穴を開けます。一般的なねじ締結の際の下穴加工と目的は同じですが、ねじインサートの下穴径の大きさは一般的なねじの下穴径とは異なります。あらかじめ使用するねじインサートに指定された下穴径を確認しておくことが大切です。

次に、タップ加工でねじインサート用のめねじを作ります。タップ加工の要領は通常と変わりません。3つ目の手順として、ゲージ検査を行います。ゲージはインサートねじ用の限界プラグゲージを使います。判定は通り側が通り、止まり側が2回転以上入らないことです。

最後に、ねじインサートを挿入します。専用工具を用いる製品やタングと呼ばれる部分を切り取る製品であれば、タングを切り取り作業は完了です。

参考文献
https://www.sanyu-seiki.com/first/whats_insert.html

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