ねじ切りカッター

ねじ切りカッターとは

ねじ切りカッターとは、マシニングセンタNCフライス盤を使用し、ヘリカル補間でめネジ加工ができる加工工具の一種です。そのため、加工機械がヘリカル補間に対応している必要があります。

加工は通常のタップとは異なりミーリング加工でおこなうため、切削抵抗が少なく折損のリスクを低くできます。万が一折損した場合でも簡単に除去することができます。

同じねじピッチであれば様々なネジ径サイズを、プログラム変更だけで加工することができます。

ねじ切りカッターの使用用途

ねじ切りカッターは、タップでは困難な高硬度鋼に対応したものもあります。

この他にも下穴、ねじ切りを一本のねじ切りカッターで行うことが可能なタイプもあります。

ねじ切りカッターは、切り屑排出空間を大きく確保でき、ミーリング加工であるため、高精度・高面粗度のねじ穴加工が可能です。

通常のタップは、高いトルクが必要で切削時に欠損などによるトラブルが懸念されますが、ねじ切りカッターは、低トルクで加工ができるため安定した切削が可能です。

ねじ切りカッターの原理

ねじ切りカッターは、同一ピッチのねじであれば、右ねじ、左ねじに関わらず呼び径の違うねじを工具1本で加工できます。

加工寸法の調整は、プログラム変更で調整することができるため、精度ごとに工具をそろえる必要がなく、工具管理が容易で工具費の削減が可能です。

ねじ切りカッターの加工は、エンドミルの側面加工に似ており、大径のねじ加工でも通常のタップ加工に比べて低トルクの機械で加工が行えます。

ミーリング加工により切り屑が細かくなり、タップ加工のような長い切り屑が発生しません。そのため、切り屑によるトラブルがない安定した加工が行えます。

不完全山が1山でねじを加工することができ、ミーリングチャックで工具を把握して加工するため深さ方向の精度は非常に高くなります。下穴に余裕がない止り穴加工に最適な工具です。

管用テーパねじを加工する場合、通常のタップ加工ではストップマークがつきますが、ねじ切りカッターではストップマークがつきません。また真円度も良くなるため、耐密性に優れたねじ加工が可能なメリットを有しています。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/fs_machining/T0108000000/T0108060000/
https://www.osg.co.jp/media_dl/technical/file/t_33.pdf

ストレートリーマ

ストレートリーマとは

ストレートリーマ

ストレートリーマはリーマ加工(高精度の穴仕上げ加工)に使用される刃物の形状一つです。同様の加工で、よく似た刃物として、スパイラルリーマがあります。

リーマ加工は、下穴を空けた後に、高精度の穴仕上げを実施することで所定の寸法と小さな直径不同を持つ穴を作ります。

このリーマは、手作業のハンドリーマや、機械設備によるリーマのどちらにも使用することがあります。

使用される刃物の材質は様々で、複数のメーカから選択して入手できます。
材質やシャンクや歯の長さで種々ありますが、おおよそ数千円から2万円程で入手できます。近年、新品だけでなく、中古品やオークションサイトでも入手可能で、比較的低価格で入手できます。

ストレートリーマの使用用途

例えば、ハンドリーマでこのリーマを使用する場合、まず、仕上げの穴寸法を確認したうえで、下穴を空けます。この際、高精度の穴仕上げでの取り代を、リーマ直径やワーク材質を考慮して選択した方が良いです。

次に、下穴部に、このリーマを通していきます。高精度の穴仕上げは下穴に沿った加工になるが、リーマがまっすぐ通っているか確認するために、スコヤ等でワークと直角になっているかを確認しながら作業することもあります。

ハンドリーマの場合は、特に経験が必要で、高精度の穴仕上げ時の回転や送りの速度は一定にすることが求められます。これはワークの出来栄えに影響するためです。

ストレートリーマの原理

このリーマは、穴を空けるボール盤で使用するドリルの歯が真っ直ぐ長さ方向に付いている見た目をしています。

高精度の穴仕上げは、仕上げの穴寸法より若干小さな直径寸法で穴を空け、その後、このリーマを下穴に沿って通すことで、リーマの取り代分が切削加工で除去され、精度のよい仕上げ状態が得られます。

ボール盤のドリルでの穴あけに対して、取り代や刃物形状の違いにより、精度のよい仕上げができますが、注意点もあります。

刃が真っ直ぐなので、仕上げ面がびびることがあります。これは、機械加工でも起こることで、クランプ力不足や下穴の出来栄え、切削時に使用する油・回転させる速度・送り速さの影響があります。手作業の場合では十分な経験が要ります。

同様の加工で使用することがあるスパイラルリーマとは、歯の形状が異なり、切子の出方が異なります。スパイラルリーマは歯がねじれており、加工時の切子は加工部先端からワークの穴の入り口方向に出されます。

ストレートリーマを新たに選んで入手する場合は、加工ワークを確認したうえで、各社の様々な商品から選択できます。 

参考文献
https://www.nikken-kosakusho.co.jp/product/?category=3
http://www.ymkt.co.jp/item.php?s=REAMER
http://www.fptools.com/products/

硬さ基準片

硬さ基準片とは

硬さ基準片

硬さ基準片とは、金属の硬さ試験をする際に硬さ試験機の確らしさを確認するために使用する基準片 (試験片) です。

硬さが明らかな基準片で硬さ試験を行い、既知の値と同等の試験結果が得られたならば、その硬さ試験機は正しい試験が行えるものと判断することができます。硬さとは、ある定義によって定められた試験を行った際に得られる結果であり、重さなどといった物理量ではありません。

そこで、使用する硬さ測定機で試験を行い、基準の値が出力されるかを確認するために使用します。 

硬さ基準片の使用用途

硬さ基準片は、主に金属材料部品の製造現場で用いられます。特に熱処理工程においては、金属組織試験とともに熱処理工程の品質確認として、硬さ試験は重要です。さらに、正しい硬さ試験を行う上で、硬さ基準片による確認は欠かすことができません。

産業用部品や試験部品で特に熱処理を施し、所定の硬さが必要とされる部材や部品の品質を確認する際の1つの確認項目として、硬さを確認する場合があります。硬さを確認する際には、事前に硬さ基準片にて、所定の硬さが出力されるかを確認します。

硬さ試験には複数の試験方法とスケールと呼ばれる種類があります。硬さ標準片も、実際に行う試験方法とスケールにあった試験片が必要です。

硬さ基準片の原理

硬さ標準片は、標準片内において硬さにばらつきが少ないこと、経年変化をしないことが必要です。材料にはSKS3、SK85、C2600P、S10C、S45Cなどが用いられます。

詳細は「JIB B 7730 HR硬さ基準片規格」「JIS B 7731 HS硬さ基準片規格」「JIS B 7735  HV硬さ 基準片規格」「JIS B 7736 HB硬さ基準片規格」で定められています。

硬さ基準片のその他情報

1. 硬さ試験の必要性

工業の分野において熱処理を施し、必要な機械的特性を得ることは多いですが、引張り強さ等の材料強度に関する品質を確認する際、該当の強度確認をすることは時間的にも金銭的にも合理的ではありません。場合によっては、破壊試験でなければ確認できないものもあります。この品質確認を代替特性として使用することが多いのが硬さ試験です。

硬さ試験は比較的容易で、表面硬さを測定する場合であれば、測定時に微小の測定痕が付きますが、後工程 (旋削や研削) の加工取り代にて、測定痕を除去できるほどの大きさで測定することができます。

例えば、比較的高硬度を測定するHRCスケールでは、硬さ測定は、被測定物に所定の寸法を持つ高硬度の圧子を所定の荷重で押しつけ、被測定物の表面に生成されたくぼみのサイズより硬さを算出します。

2. 硬さ試験の意味

硬さ基準片は、試験時に生成されるくぼみが、既知の基準値内に収まるように作られています。ただし、硬さ基準片は硬さの絶対値を保証するものではなく、所定の範囲の硬さであることを保証しているものです。

これは、硬さ基準片 (所定の範囲の硬さであることを保証すること) を校正する圧子も絶対値を校正しきれないことが影響します。よって硬さ基準片は、硬さの絶対値を保証するものでなく、所定の範囲の硬さが出力されることを保証するものです。

3. 硬さ標準片の耐用度

硬さ標準片には十分な熱処理が施されており、硬さは経時変化するものではありません。しかし、試験による圧痕の周辺部には加工硬化が生じるため、一度できた圧痕の近くで試験をすることは避けるべきです。圧痕の間隔は、その大きさの4倍を確保することが望ましいとされています。

このため、硬さ標準片は使用できる限界があり、圧痕が大きいほど使用可能な回数は少なくなります。目安として60HRCの標準片で約500回、30HRCの標準片は約260回、90HRBの標準片は約250回、60HRBの標準片は約200回程度とされています。

参考文献
https://www.sanko-web.co.jp/products/products_cat/01/
http://www.asahigroup.net/standardized-blocks.html
http://o-kk.com/altimater/

視覚センサー

視覚センサーとは

視覚センサーとは、一般的にビデオカメラでキャプチャーした画像信号からノイズ成分などを除去するとともに信号のデジタル化を行った後に、被測定物の位置や大きさ、形状、色などの特徴を抽出して物体として認識するためのセンサーのことを言います。

視覚センサーの利用例として、製品などの外観検査が挙げられます。
通常、製品の外観検査は経験を積んだ作業者によるチェックが行われますが、集中力を長時間計時しながら行う作業のため、非常に大変な作業で、もしも、チェック漏れにより出荷されてしまうとユーザクレームにもつながりかねません。

この様な製品の外観検査において視覚センサーを用いて製品の画像を取り込み、あらかじめ用意してある正常な製品のデータと比較することにより、短時間に精度の高い検査を行うことが可能となります。

視覚センサーの使用用途

視覚センサーは現在では様々な分野で利用されています。

産業の現場では、目視検査に代わるシステムへ導入されています。前述の通り傷や欠陥をチェックする外観検査や数量のカウントや欠品をチェックする有無検査に応用されています。

また、高度な画像解析技術との組み合わせにより、文字判別や3次元測定が実現しています。

更に金属や木目、樹脂製品などの表面の傷や汚れ、食品類の外観的な形状や汚れ、異物混入のチェックの他、プリント基板における部品実装状態やはんだ付け不良の検出、半導体への異物混入や傷のチェックなどにも使われています。

視覚センサーの原理

画像センサーとして利用される素子としてCCDセンサーおよびCMOSセンサーがあります。
CCDセンサーは、光を検出してこれを電圧に変換することができるフォトダイオードを利用します。

フォトダイオードでは、光を電圧に変換する性質があります。変換された電圧を増幅して
これを集めて1つの画像データとして出力します。

他方、CMOSセンサーも同様にしてフォトダイオードが利用されますが、画素ごとに電圧変換されたデータは、ノイズを除去したのちに、画素ごとのデータを集めて1つの画像データとして出力されます。

従来は性能及びコスト的な理由からCCDセンサーを中心に使用されていましたが、現在ではCMOSセンサーの性能も上がってきたことからCMOSセンサーに置き換わりつつあります。

CCDセンサーもしくはCMOSセンサーより取り出された1枚の画像データは、デジタルデータへ変換された後にASICなどのシステム制御コントローラの制御の下、蓄積可能なデータに変換されてメモリー内に転送されます。

一般的に、メモリー上に蓄積された画像データを活用して、各種、目的や用途に応じて画像データの処理が行われます。例えば画像のサイズ、色、形状などの特徴抽出を行い、リファレンスデータと比較して外観検査を行うことなどが想定されます。

参考文献
https://www.tem-inc.co.jp/contents/small-camera/167/

角型コネクタ

角型コネクタとは

角型コネクタとはその形状が角型のものを指しますが、対象となるコネクタは多岐にわたります。

映像信号を伝送するためのD-SUB端子を始めDVI端子、HDMI端子、DISPLAYポート端子などこれらは形状およびサイズは異なりますが全て角型コネクタです。

また、PCやスマホなどに接続して各種信号を伝送したり周辺機器と接続する際に使用するUSB端子は様々な形状のものがありますがその多くは角型コネクタを使用していると言えます。

イーサネット用の信号伝送用に使用されているRJ-45と言われるコネクタもちょっと特殊な形状をしていますが角型コネクタのカテゴリーです。

角型コネクタの使用用途

角型コネクタとして、映像信号を伝送するために従来はD-SUBコネクタが主流でしたが、信号のデジタル化に伴い現在ではDVI端子コネクタを経て、HDMIやDISPLAYポート端子コネクタに置き換わっています。

DVI端子はVGA規格の後継としてアナログRGBをサポートした規格で、HDMIが出てくるまで唯一のデジタル規格でしたが現在、メーカーでは当規格に対応した機器の開発は行われていません。

DISPLAYポートはDVIの置き換えを目的として開発されたデジタルインターフェース規格です。

またUSB端子は、角型コネクタの1種としてPCやスマホとその周辺機器である各種ドライブユニット、USBメモリやプリンタ等との接続に利用されている非常にポピュラーなコネクタです。

角型コネクタの原理

現在、角型コネクタの代表的な製品としてHDMIコネクタとUSBコネクタが挙げられます。

HDMIコネクタはデジタルの映像信号および制御信号を伝送するために使われます。例えばテレビとDVD/BD/HDD等のレコーダーを接続する場合に使われたり、TVとAVアンプを接続する場合に使われたりします。

またPCとテレビを接続してPCの映像をテレビで嗄声する場合にも使用されます。

テレビとDVD/BD/HDD等のレコーダーを接続する場合、レコーダー側の映像信号をテレビ上で再生するという使い方が基本ですが、HDMIは前述のように制御信号も伝送します。

これをHDMI-CEC(Consumer Electronics Control)と呼んでいます。これは、例えば、テレビのリモコンを使って接続されているレコーダーを同時に制御したりすることができる機能です。

リモコンでテレビの電源をオンした場合に同時にレコーダーの電源をオンしたり逆にオフしたりすることが可能です。更にテレビのリモコンを使ってレコーダーのコンテンツを選択して実行したりすることも可能です。

HDMIの規格は関連するメーカー団体により標準化がされており、そのサブセットであるHDMI-CECの規格も標準化がなされているため、基本的なコマンドはメーカーによらず共通です。

従って、メーカーの異なるテレビとレコーダーを接続しても基本的な制御はサポートされています。

他方でUSBコネクタは、HDMIが映像信号などの伝送が中心であるのに対して、デジタルデータの伝送を中心として使用されています。

HDMI同様にUSBの技術規格も関連メーカーが中心となりその標準化がすすめられてます。

1996年に初めてUSB1.0として規格化され、以降、進化と改良がすすめられ2019年9月にはUSB4がリリースされています。

最大伝送速度がUSB1.0では半二重で123MbpsであったものがUSB4.0では前二重40Gbpsまで上がっています。

参考文献
https://www2.elecom.co.jp/cable/adapter/?category=client-personal
https://sakidori.co/article/259227
https://hytec.co.jp/useful/video5122
https://www.biccamera.com/bc/i/topics/osusume_hdmi_cable/index.jsp
https://xn--pc-mh4aj6msdqgtc.com/column/video-output-types.html
https://smartlog.jp/163540
https://online.stereosound.co.jp/_ct/17238491

限界ゲージ

限界ゲージとは

限界ゲージとは、製品の寸法の良否を素早く判定するための検査具です。

検査する対象が許容される形状の上限と下限の形状に対となるゲージを用意します。通るべきゲージを通過し、通過してはいけないゲージで通過しないことを確認することによって、製品の形状の良否を判定する仕組みです。

寸法を図るのではなく、通過の可否によって良否が判定されます。比較的簡単な作業で、大量の製品の検査を行うことができる検査具です。限界ゲージが広く使用される部品にねじがあります。ねじの諸元は複数あり測定も困難なため、限界ゲージによる品質管理が大変有効です。

ねじの限界ゲージにはおねじを検査するリングゲージと、めねじを検査するプラグゲージの2つがあります。ねじは種類とサイズと精度がさまざまなので、検査対象にマッチした各ゲージを準備することが大切です。検査は検査人による差を極力なくすような工夫 (ねじを挿入する力を一定にする工夫や作業ルールの統一等) が必要となります。

限界ゲージの使用用途

限界ゲージは主に大量生産される部品の製造工程において、工程管理のために使用されます。ノギスやダイアルゲージなど、細かい数字を測定する計測器を使うと作業に手間がかかったり、作業者によって測定結果にばらつきも生じかねません。

限界ゲージを用いれば比較的容易に、ばらつきも抑えた品質管理が可能です。限界ゲージが多く使われるねじの製造においては、転造や切削によるねじ成形後、めっきなどの表面処理後、ねじ製造メーカーの出荷検査、ねじ使用工場での受け入れ検査などに、限界ゲージが使われます。

ねじの出来上がりの良否判断は、2次元的な寸法やパラメータでは評価ができません。これは、1つのねじ形状の評価ではなく、1つの母材に複数のねじ形状が存在しているためです。1つ1つのねじ形状は適正であっても、例えば隣り合うねじの相対的な位置にずれがあると、ねじははめ合わせることはできません。

ねじ以外ではさまざまな部品の生産工程において、板厚や形状の高さや幅、穴の大きさを管理する際に、限界ゲージが用いられます。

限界ゲージの原理

限界ゲージの原理は、通り側のゲージを通過し、止まり側のゲージは通過しないことをあわせて確認することです。通り側のゲージは許容される形状の最大形状の穴や軸などが作られ、止まり側のゲージには許容される形状の最小の穴や軸などの形状が作られています。

通り側のゲージを製品が通過することによって、製品の形状は規格の上限を超えていないと判断され、逆に止まり側のゲージを製品が通過しないことによって、製品の寸法が下限よりも大きいと判断できます。

限界ゲージの種類

限界ゲージとして多く用いられるねじ用の限界ゲージの種類は以下の通りです。

1. ねじ用リングゲージ

リングゲージは、おねじの検査に用いる限界ゲージです。円盤の中心にめねじ形状があり、対象のねじが通過、または通過しないことでねじの形状を検査します。ねじ形状には複数の諸元があり、すべてが満たされていなければなりません。

現場で直面するのが、通過用のリングゲージに対して、ある程度のトルクを加えることで通過する場合です。通過用のリングゲージの通過に僅かな抵抗があったからといって、実際の相手部品と嵌合できないというわけではありません。

また、リングゲージを扱う際のトルクについても、JISやISOでの規定はありません。企業同士の取引においては、良否の判定についてあらかじめ合意しておくことが大切です。

2. ねじ用プラグゲージ

プラグゲージはめねじの検査に使います。使い方はリングゲージと同じです。

3. 摩耗点検用ゲージ

リングゲージ、プラグゲージ共に、特に通り用のゲージは検査によって製品と摺動するため摩耗が生じます。そこで、通過用のゲージの摩耗を点検するために、摩耗点検用ゲージがあります。通り用ゲージは摩耗点検用ゲージを通過しないことによって、摩耗が許容範囲内であるか確認することが大切です。

ねじ用の限界ゲージは種類が細かく分かれています。特にねじの規格はJISもISO規格に準じていますが、今なお旧JIS規格が広く使われているのが実情です。ねじ精度はISOでは軸と穴と同様のはめあい方式が採用されていますが、旧JISでは1級から3級までの等級で区分けされていました。

また、めっきなどの表面処理の厚さは、ねじ有効径に大きな影響を及ぼします。場合によっては表面処理の前後で、ゲージを使い分けることも必要です。

参考文献
https://www.osg.co.jp/media_dl/flier/file/p_9.pdf
https://issoku.jp/wps/wp-content/uploads/2018/10/catalog-p56_LimitGauge.pdf

拡張ボード

拡張ボードとは

拡張ボードとは、パソコンやCPUボードに接続して新たな機能を実現したり、機能を強化したりする場合に使用されるボードのことです。

また、機器に組み込むワンチップマイコンが搭載されているメインの基板に対して同様の理由で増設する基板のことを拡張ボードと呼ぶこともあります。

市販されているパソコンやCPUボードは、世の中の一般的なニーズに合わせて仕様が決められているため、それを超える使い方はできません。装備された機能だけでは対応できない場合があります。拡張ボードは、この様な場合に有用です。

拡張ボードの使用用途

パソコンやCPUボードに使われる拡張ボードは、CPUが搭載されたマザーボード上に直接差し込んで使用することが一般的です。このマザーボード上のインターフェースとして従来はPCIバスが使われていましたが、現在では、PCI expressという高速化されたバスインターフェースに切り替えられています。

拡張ボードの種類は非常に多様で入出力を拡張するためのI/Oボード、イーサネット接続のためのLANボード、USB端子を増設するためのUSB増設ボード、グラフィックの描画性能を高速化するためのグラフィックボード、音声出力を強化するためのサウンドボード、更には、PCでテレビ放送を受信するためのテレビチューナボードなどもあります。

拡張ボードの原理

一般的に拡張ボードを接続するためのPCIバスもしくはPCI expressがマザーボード上の空きスロットとして用意されているのは、デスクトップ型PCのみです。ノートPCは物理的にこのスロットを用意することが困難であることから基本的に拡張ボードを装着することはできません。

拡張ボードはハードウェアのみでは役に立ちません。汎用的なUSB増設ボードなどを除いて、デバイスドライバおよび拡張ボードによってはユーティリティアプリケーションもペアで使用する必要があります。

1. USB増設ボード

拡張ボードの中で良く使われるのがUSB増設ボードです。購入時、PCに装備されているUSBポートはTYPE-Aと言われる標準的なサイズのものが一般的です。

しかし、数に限りがあり、USBポート経由で様々な周辺デバイスを接続すると不足することがあります。TYPE-Aを更に拡張ボードで増設する使い方が効果的です。

加えて、最近ではTYPE-Cと言われるUSBコネクタが良く使われます。上下いずれの向きで差し込んでも大丈夫なタイプであり、かつコンパクトであることから好んで使われます。このTPY-Cを用意するために増設ボードを使用することもあります。

2. IO拡張ボード

特殊な拡張ボードとして、IO拡張ボードがあります。製品によって、周辺の温度や湿度などのアナログ情報を取得しこれをA/D変換した後にCPUに入力するタイプの拡張ボードです。

拡張ボードのその他情報

1. PCI

高速バス規格の1つで、「Peripheral Component Interconnect」の略称です。拡張スロットだけではなく、コンピュータのない部分バスとしても使用されている規格です。バス速度は33MHzと66MHzの2種類ありますが、通常使用される32ビットPCIでは33MHzが標準です。

2. PCI Express

PCI Expressは2002年に規格化されたPCIに代わる規格として汎用インターコネクト技術です。2019年に32Gbpsの通信速度を実現する規格が規定されており、現在も高速化の規格が検討されています。PCI Expressを持つインタフェースは増加しており、航空や車載分野にも使用されている規格です。

PCIバスの転送速度を上昇させるためにクロックの高速化やバス幅の拡張が検討されていました。しかし、クロックの高速化ではデータ線上のデータとクロックの同期ができるボード開発が難しい等の課題がありました。そこで新たに開発された規格がPCI Expressです。

参考文献
https://jpn.nec.com/fc/fcpro_series/option/op_board.html
https://note.cman.jp/pci/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/el_control/E1600000000/E1603000000/E1603010000/
https://time-space.kddi.com/ict-keywords/20190116/2549

リニアボールスライド

リニアボールスライドとはリニアボールスライド

リニアボールスライドは、直線運動を案内する部品の一つです。

収納に使用する一段だけの引き出しのような外観をしています。

可動部は、前後に滑らかで高精度な直線運動をして、繰り返し同じ動きをする機能を持っています。

スライドのサイズや剛性や材質等、各社のメーカカタログから、用途と必要機能に沿ったものを選択することができます。

製造メーカ工場の自動化や、半導体の製造・検査装置が社会に広がる中で、必要とされている部品の一つです。

リニアボールスライドの使用用途

最も多い使用方法は、工場自動化における製造設備や半導体の製造・検査装置に組み込まれて、精密で何度も同じ直線運動を繰り返す部分に組み込まれて使用されるケースです。

その他、医療機器関連や工作機関連や建設関連にも使用用途が広がっています。

リニアボールスライドは、多数の種類が各社から販売されています。標準のタイプに対して、更に精密な動きが可能なもの、耐食性を上げたもの、剛性が高いもの、取り付けが特に容易なもの、使用用途や環境によって、最適な商品を選ぶことができます。

リニアボールスライドの原理

リニアボールスライドは、主にテーブル(外枠)、ベッド(引き出し)、複数の球から構成されています。

外枠と引き出しとは、U字の形状になっており、外枠は内側に、引き出しには外側に、球が転がるための溝があり、外枠と引き出しは、引き出しに外枠が閉じた箱のような状態で、間に球が入った状態で組み立てられています。

直線運動をする時は、例えば、外枠が固定されて、引き出しが前後する時、外枠と引き出しのレールが前後に相対運動をして、挟まれている球は転がり運動をします。これにより、非常に滑らかで精度の良い前後運動をすることが可能になります。

また、転がり運動を円滑に行うために、球を等間隔に保つリテナー(隣り合う球と球が接触しないように適正な距離を保つための部品)が組み込まれたものが多くあります。リテナーのずれを防止する機能が付いており、より安定した滑らかさが得られる種類のものもあります。

設備に取り付けて使用することが多く、取り付けは比較的容易にできるように各社工夫されているが、安定して精密な動きを得るためには、使用・取り付けの際には、各社のカタログに沿って取り扱うことが重要です。

参考文献
https://www.ikont.co.jp/product/chocudo/chc21.html
https://www.thk.com/?q=jp/node/6719
https://www.orange-book.com/ja/c/products/index.html?itemCd=LSP2080+++++++++++++++++++++++4289
https://www.growingnavi.com/series/3261_LSP/

スパイラルリーマ

スパイラルリーマとは

スパイラルリーマとは、穴あけ加工に用いられる切削工具の1種です。

円錐形の本体部分と螺旋状の刃部分から構成されていて、刃部分は回転すると穴の壁面に対して斜めに切り込みを入れます。スパイラルリーマは、穴の直径を調整するために使用される工具です。

切削時に生じる切りくずをスムーズに排出可能で、また螺旋状の刃は穴の直径を一定に保ちながら精度良く削り取れます。また、スパイラルリーマは一般的に手動で使用されますが、CNCマシンに取り付けても使用可能です。

スパイラルリーマの使用用途

以下はスパイラルリーマの代表的な使用用途の一部です。

  • 穴あけ加工
    自動車のエンジン部品や航空機のフレームなどの穴あけ
  • 精度の高い穴あけ加工
    精密機械の部品や医療機器の製造
  • 溝切り加工
    歯車や軸受けの溝などの加工
  • 素材の種類に応じた切削加工
    金属やプラスチック、木材などの加工
  • 長穴の加工
    自動車のフレームや船舶の構造部品など

スパイラルリーマの原理

スパイラルリーマが穴を拡大する過程は以下のようになります。

1. スパイラルリーマの挿入

スパイラルリーマのシャンク部分を適切な工具 (ハンドルやドリルチャックなど) に取り付け、次にスパイラルリーマの刃先部分を穴の初期位置に挿入します。刃先は穴の中心軸に合わせて正確に配置することが必要です。

2. 回転と進行

スパイラルリーマを固定した工具を回転させながら穴を拡大していきます。回転によって刃先が穴の壁面に接触して切削が始まり、同時にスパイラルリーマを穴に進行させます。進行速度は加工物の材料や切削条件に合わせて適切な調整が必要です。

3. 切削と切りくずの排出

スパイラルリーマの刃先が回転しながら穴の壁面に切り込みを入れます。この切削過程で切りくずが発生しますが、スパイラルリーマの構造によって、切りくずが刃先に付着することなくスムーズに排出されるため、刃先はスムーズかつ一定の力で穴を拡大し、円形の形状を保ちながら切削します。

4. 穴の拡大と仕上げ

スパイラルリーマを回転させながら穴を拡大していきます。切削はスムーズかつ均一に行われ、高い精度で穴を拡大できます。状況に応じて途中で切削条件の調整や冷却や切りくずの除去が必要です。

5. 検査と仕上げ

穴が目的の直径に拡大されたら、加工の品質を確認するために穴の寸法や形状を測定します。測定結果が設計要件や目的に合致していることを確認します。

スパイラルリーマの構造

スパイラルリーマの主な構造は以下の通りです。

1. 刃先部分

スパイラルリーマの刃先部分は、円筒形状の刃先が螺旋状に配置されていることが特徴的です。螺旋状に刃先が配置されることで、リーマが穴の内部を効率的に切削してスムーズに拡大可能で、また螺旋構造によって切りくずが刃先に付着することが軽減され、刃先の摩耗が軽減されます。

2. シャンク部分

スパイラルリーマのシャンク部分は、ハンドルやドリルチャックなどの工具に取り付けるところです。刃先部分を回転させる役割を持っています。

3. 刃部分

スパイラルリーマの刃部分は、刃先部分からシャンク部分までの間です。刃部分は、螺旋状に配置された刃先部分と同じく円筒形状をしており、穴の内部を切削します。

スパイラルリーマの種類

スパイラルリーマには様々な種類がありますが、以下はその一部です。名称はメーカーによって異なる場合があります。

1. ストレートシャンクタイプ

スパイラルリーマのシャンクが直線状であり、切削部分が螺旋状になっています。ストレートシャンクタイプは、ストレートシャンクのドリルチャックやコレットチャックに取り付けて使用されます。

2. テーパーシャンクタイプ

スパイラルリーマのシャンクがテーパー状になっていて、テーパーシャンクのドリルチャックなどに取り付けて使用されます。テーパーシャンクタイプのスパイラルリーマは、特に旋盤などの機械による加工作業に適したタイプです。

3. ショートリーマ

切削部分が短く、一般的に短い穴の加工に使用されます。ショートリーマは、制御が容易でスペースに制約のある環境での使用に適したタイプです。

4. ロングリーマ

切削部分が長く、深い穴の加工に使用されます。ロングリーマは、加工対象の深い穴まで到達できる長さがあることが特徴です。

5. ハンドリーマ

手動で操作するためのリーマであり、主に手作業による加工に使用されます。ハンドリーマは、精度や仕上げが求められる細かい作業に適していることが利点です。

6. マシンリーマ

機械加工の自動化された加工工程に使用されるリーマです。マシンリーマは、旋盤やフライス盤などの機械に取り付けて使用され、効率良くかつ高精度で加工できます。

7. ボールエンドミルリーマ

ボールエンドミルとリーマの特徴を組み合わせたリーマです。切削部分がボールエンドミルのような球状の形状をしており、特に曲面や円形の穴の加工に適しています。

スパイライルリーマのその他情報

1. スパイラルリーマの長所

切削能力
スパイラルリーマは、高い切削能力が長所です。その特殊な刃の螺旋構造により切削抵抗が低くなって切削速度が向上し、また削りくずの排出が容易になります。

剛性と安定性
スパイラルリーマは、強度と剛性が高い工具です。切削負荷が高い状態でも振動や歪みを最小限に抑えられるため、高精度で穴加工できます。

仕上げ品質
スパイラルリーマは、穴の仕上げ品質が高いことも長所です。穴の直径の精度が良好で均一に表面を仕上げられるため、要求された穴寸法や表面状態を満たせます。

長寿命
スパイラルリーマは、耐久性があり長寿命です。特に高品質なハードメタルやコーティングが施されている場合、摩耗や切れ味の劣化を抑えられます。よって長時間の連続作業やハードな材料の加工でも、高い性能を維持できます。

広範な用途
スパイラルリーマは、様々な用途で利用されます。例えば金属やプラスチックの穴加工、精密な位置決め穴の加工、特殊な形状の穴の加工などに使用されます。その汎用性と柔軟性により、幅広い産業や製造工程に適用できるので便利です。

2. スパイラルリーマの短所

高価
スパイラルリーマは、高品質な材料と特殊な設計が必要なため比較的高価です。特に大型や特殊な仕様のものは高価になるため、初期投資や交換費用が他のリーマに比べて高くなる可能性があります。

使用制限
スパイラルリーマは、特定の材料や穴のサイズ範囲に最適化されているため、異なる材料やサイズの穴に使用する場合、最適な切削条件や性能を得ることが難しい場合があります。さらに、特殊な形状の穴や深い穴の加工には、特別な工夫や装置が必要です。

切りくずの管理
スパイラルリーマは、切削時に大量の削りくずが発生します。削りくずを適切に処理しないと、作業環境や機械の切削能力に悪影響を与える可能性があります。定期的に清掃したり適切な切削液を使用したりして、切りくずを管理することが必要です。

3. 切削性能の向上

スパイラルリーマの切削性能は、切削刃の形状やコーティング、螺旋角の設定などによって向上することがあります。特に高硬度の材料や深穴加工で最適な切削条件を設定することで、高い切削性能を発揮します。

4. スパイラルリーマの特殊用途

スパイラルリーマは、形状やコーティングなどを変えることで、特定の用途に対応する工具として使用されます。例えば、スパイラルリーマの先端部を球面形状にすることで、球面加工が可能なボールエンドミルリーマがあります。

5. 自動加工装置との組み合わせ

スパイラルリーマは、自動加工装置と組み合わせて使用できます。自動加工装置は、加工寸法や位置を正確に制御できるため、スパイラルリーマのような精密な工具と相性が良く、両者を組み合わせて使用することで、加工精度と作業効率を向上できます。

ダイヤエンドミル

ダイヤエンドミルとは

ダイヤエンドミル (ダイヤモンドエンドミル) は、ダイヤモンドコーティングが施された切削刃を持つエンドミルの一種です。ダイヤモンドコーティングは、超硬性と優れた熱伝導性を持つダイヤモンド粒子を基材に付着させていて、切削性能が高く耐摩耗性があります。
ダイヤエンドミルは、主に硬い材料や脆い材料の加工に使用され、切削速度が高く耐久性も高いため、切削精度が向上します。ダイヤエンドミルは、通常、金属やセラミックス、石材、シリコンカーバイドなどの硬度が高い材料を切削するために使用されます。

ダイヤエンドミルの使用用途

ダイヤエンドミル (ダイヤモンドエンドミル) の主な使用用途は以下の通りです。

  1. 硬材加工
    チタン合金やインコネルなどの高温耐性材料の切削、セラミックスやシリコンカーバイドの加工

  2. 精密加工
    宝石の彫刻や宝飾品の加工、光学部品の製造、レンズの切削、時計の歯車や機械部品の加工

  3. 高速加工
    大量生産や高速切削、高硬度材料の高速加工

  4. 硬質合金加工
    タングステンカーバイドやチタンカーバイドの加工

  5. 複合材料加工
    炭素繊維強化プラスチック (CFRP) の切削加工、グラファイトやセラミックスを含む複合材料の切削

    CFRPは、Carbon Fiber Reinforced Plastic (炭素繊維強化プラスチック) の略称です。

ダイヤモンドエンドミルの種類

代表的な種類は以下の通りです。

  1. ボールエンドミル
    ダイヤモンドコーティングまたはダイヤモンド刃を持つ球状の切削刃を持ち、曲線や凹凸面の加工に適しています。

  2. フラットエンドミル (平刃エンドミル)
    ダイヤモンドコーティングまたはダイヤモンド刃を持つ平らな切削刃を持ち、直線的な面や溝の加工に使用されます。

  3. ラジアスエンドミル
    ダイヤモンドコーティングまたはダイヤモンド刃を持つ円弧状の切削刃を持ち、曲線や複雑な形状の加工に適しています。

  4. テーパーエンドミル
    先端が円錐状になっているエンドミルで、ダイヤモンドコーティングをしていたり、またはダイヤモンド刃を持っていたりすることがあります。穴の拡大や面取りなど、特定の形状の製作に使用されます。

ダイヤエンドミルの原理

ダイヤエンドミル (ダイヤモンドエンドミル) の切削過程は以下の通りです。

  1. 切削条件の設定
    切削する材料や目的に応じて、適切な切削条件 (回転速度、送り速度、切削深さ、切削方向など) を設定します。

  2. 位置決め
    ダイヤエンドミルを工作機械に取り付けます。ダイヤエンドミルの位置は、工作機械のスピンドルや工具ホルダーによって確保されます。

  3. 切削開始
    切削工具が回転しながら加工対象物に接触します。ダイヤエンドミルの刃先が材料に接触することで、切削が開始されます。

  4. 切削力の発生
    刃先が材料に切り込む際に切削力が発生し、材料が削り取られます。切削力の大きさは切削条件や加工材料の特性によって異なります。

  5. 材料の削り取り
    ダイヤエンドミルの切削刃が回転しながら材料を削り取ります。刃先の形状に応じて、削り取られる材料の形状やサイズが変化します。

  6. 冷却や潤滑
    切削中に熱が発生するため、冷却液や切削液を使用して切削箇所を冷却することが一般的です。これにより、切削工具と材料の寿命を延ばし、切削精度を維持します。

  7. 切削終了
    加工範囲の切削が終了したら、切削を停止します。切削箇所を冷却液や切削液で洗浄し、加工表面を清掃します。

ダイヤエンドミルの特徴

長所

ダイヤエンドミルの主な長所は「高い切削性能」、「耐摩耗性」、「高い熱伝導性」、「良好な表面仕上げ」、「様々な材料に適用可能」です。以下にて説明します。

高い切削性能
ダイヤモンドコーティングの効果によりダイヤエンドミルは非常に硬度が高いため、硬い材料や脆い材料の切削において優れた切削性能を発揮することが利点です。高速かつ効率的な切削が可能であり、加工時間を短縮できます。

耐摩耗性
ダイヤモンドは非常に耐摩耗性が高く、切削時の摩耗を最小限に抑えられます。そのためダイヤエンドミルは長時間の切削作業においても寿命が長く、切削工具の交換頻度を減らせるので便利です。

高い熱伝導性
ダイヤモンドは優れた熱伝導性を持っているため、切削時に発生する熱を効果的に逃がし、切削箇所の温度上昇を抑え、切削時の熱による損傷や変形を最小限に抑えます。

良好な表面仕上げ
ダイヤエンドミルの鋭利な切削刃によって切削面は滑らかになるため、高い加工品質や滑らかな仕上げ面が求められる部品の製造に適しています。また切削時の振動やバリの発生を抑えるため、仕上げ工程を削減できることも利点の一つです。

様々な材料に適用可能
ダイヤエンドミルは、様々な産業分野で広く使用されています。金属加工、セラミックス加工、プラスチック加工など、様々な材料の切削に適用可能です。

短所

ダイヤエンドミルの主な短所は「高価格」、「切削材料の限定」、「脆性」、「切削音や振動」です。以下にて説明します。

高価格
ダイヤエンドミルは、高性能であり、耐摩耗性が高いため、通常のエンドミルよりも高価です。ダイヤモンドコーティングや高品質な材料の使用による製造コストの上昇が要因です。

切削材料の限定
ダイヤエンドミルは主に硬い材料や脆い材料の切削に使用されますが、柔らかい材料や粘り強い材料の切削には適していません。刃先の特性やコーティング材料の制約から、一部の材料や加工条件においては他の切削工具がより適している場合もあります。

脆性
ダイヤエンドミルは非常に硬くて脆い材料であるため、適切な手入れや取り扱いが必要です。過度な振動や衝撃によって刃先が損傷する可能性があります。また適切な冷却や潤滑を行わないと、熱による刃先のダメージや摩耗が発生することがあります。

切削音や振動
ダイヤエンドミルは高速かつ効率的な切削を行うため、切削音や振動の発生が比較的大きい場合があります。

ダイヤエンドミルのその他情報

一部のダイヤエンドミル (ダイヤモンドエンドミル) には、刃先を交換できるダブルエッジタイプがあります。このタイプのエンドミルは刃先部分が取り外し可能になっており、刃先部分の破損や摩耗が発生した場合には、刃先部分を交換することで加工を継続できます。