ベルヌーイチャック

ベルヌーイチャックとは

ベルヌーイチャックとは、「ベルヌーイの定理」と呼ばれる流体の流れに対するエネルギー保存則を応用した非接触型のチャックのことです。

製造現場では、ワークの把持および搬送を目的として利用されることが多く、比較的薄くて軽いものの搬送用ロボットなどに搭載されています。技術が進歩し、精密機器が増加している近年、ワークに傷をつけない非接触型のチャックは半導体業界などで注目を浴び、需要も増加の傾向にあります。

ベルヌーイチャックの使用用途

ベルヌーイチャックは非接触でワークを把持・搬送できる特徴から、ワークの物理的ダメージや破損、汚れ、静電気の発生などを嫌う半導体ウエハ、ガラス基盤等の製造現場でよく利用されています。

また、衛生管理が徹底される食品などの把持・搬送にも、ベルヌーイチャックは有用です。今後は食品だけにとどまらず、医療の分野でも使用の範囲が広がっていくことが予想されています。

ベルヌーイチャックの原理

供給ポートで圧縮空気が供給されて、吸着面側のノズルから噴出されます。圧縮空気は旋回流となり、真空の発生が生じます。これがサイクロン効果です。

圧縮空気が対象ワークと吸着面の間から大気に放出されるとベルヌーイ効果が働き、チャック中心部に対して圧力降下が生じます。この時に発生する負圧によって、ワークを引き上げることが可能です。

また、ベルヌーイ効果の吸引力に加えて、サイクロン効果の遠心力による中心圧力降下を利用すると、より高い把持力を有することができます。これによって、より幅広いワークに対応することも可能です。

ベルヌーイチャックのその他情報

1. ベルヌーイチャックのメリット

ベルヌーイチャックの最大のメリットは、非接触でワークの把持ができる点にあります。半導体ウエハなどの製造現場で使用されていた従来の吸着パッドによる吸引把持と比べると、安全性が格段に向上し搬送中にワークの品質を低下させることが少なくなりました。

従来の吸着パッドには樹脂素材等が使用されており、ワークに細かい傷がついてしまうのが課題でした。また、真空吸着方式を用いるため、穴の開いたワークに対しては使用できません。

それに対して、ベルヌーイチャックはワークとの接触が無いので、ワークを傷つける心配がないのが魅力です。

2. ベルヌーイ効果

水や空気などの流体が勢いよく流れた時に、流体周辺の圧力が低下します。ベルヌーイ効果とは、この圧力の低下により周囲の物質を引き付ける現象のことです。

チャック先端からワークに対して勢いよく空気を放射方向に噴射することで、チャック中心部で圧力効果が発生します。ベルヌーイ効果でワークのチャックへの引き付けが発生し、ワークの吸着が可能となります。

3. 使用上の注意点

ベルヌーイチャックは、搬送対象物との初期位置が常用です。初期位置がベルヌーイチャックと対象物で遠い位置にある場合、吸着力が弱まってしまうためです。初期位置を設定する際は、搬送対象物の重さよりも十分に大きな持ち上げる力をベルヌーイチャックが発揮できるかを検討します。

初期位置が離れたワークを搬送する場合、搬送時に勢いがついてしまって対象物がベルヌーイチャックと接触してしまうことがあります。このような事故を防ぐためにもベルヌーイチャックと対象物との初期位置を検討することは重要な項目です。

また、ベルヌーイチャックは垂直方向は吸着できていますが、水平方向は搬送対象物を吸着しているわけではありません。そのため、水平方向への安定度を増大するのに補助器具が必要です。

上述した通り、吸着パッドでは吸引が困難であった穴が空いたワークに対してもベルヌーイチャックは使用可能です。しかし、穴が空いたワークに対しては発揮できるリフト力が低下する傾向があるので注意が必要です。

参考文献
https://www.jel-robot.co.jp/products/BERNOULLI_CHUCK.html
http://jvia.gr.jp/wordpress/wp-content/uploads/2014/07/22ab0619dd6fbf44546f58e23ed88718.pdf

プロトラクタ

プロトラクタとは

プロトラクタ

プロトラクタとは、金属製の定規と分度器が合体した形で、ワークにあてて角度を測る測定機器です。

角度計の一種であり、角度の測定やケガキ (線を引くこと) に利用される測定工具のことを指し、デジタル表示が可能で、任意の角度でゼロ調整ができるデジタル式のプロトラクタも存在しています。

目盛りは明瞭に見えるようデザインされており、光沢を抑えることで見やすさを確保しています。主に機械や金型の組立や測定、配管工事、建築などの工事現場で必要不可欠です。

プロトラクタの使用用途

角度の測定はもちろんのこと、金属や木材に角度をケガキする際にも利用されます。このような作業時には、ロックナットと呼ばれるねじを利用して、定規と分度器を固定し、設定した角度で保持が可能です。

プロトラクタは機械加工、金型製作、治具の設定、角度ゲージの加工、建築現場での排水管やその他の配管工事、建物の構築といった多くの場面で使用されます。内角や外角の測定に加え、溶接継手の開先角度を測るゲージタイプもあり、これらは溶接作業にも利用されます。

プロトラクタの原理

通常のプロトラクタは金属製の器具で、定規と分度器が一体化しています。これで外角の測定は可能ですが、内角や小さな角度の測定は困難です。インサイドプロトラクタと呼ばれる種類では、分度器の外側に2本のアームがあり、三角形を形成する構造となっています。

このアームを内角に当てることで、内角の測定が可能となります。ゲージタイプのプロトラクタでは、溶接の開先角度など小さな角度を測定が可能です。これは開先加工した製品に直接差し込んで角度を測定します。

また、溶接作業や板金加工に適したアングルプロトラクタという種類もあり、溶接後の肉盛りや膨らみに干渉せずに測定できるように特殊な形をしています。スラントルールという測定面に強力な磁石を備えたプロトラクタもあり、水平器の要領で鉄筋の勾配を測ることができ、この種類は建築工事に特化した測定器です。

プロトラクタの種類

各プロトラクタは特定の作業や用途に適しており、効率的かつ正確な角度の測定を実現します。選択するプロトラクタは、作業の内容や要求される精度によって異なります。具体的な種類は以下の通りです。

1. 標準プロトラクタ

最も一般的なプロトラクタは金属製の定規と分度器が一体化した形をしており、主に外角の測定に使用されます。

2. デジタルプロトラクタ

角度の表示がデジタルで、任意の角度でゼロ調整が可能です。これにより、読み取りが容易で、高精度の測定が可能となります。

3. インサイドプロトラクタ

分度器の外側に2本のアームがあり、内角の測定が可能です。アームを内角に当てることで、角度の測定が行えます。

4. ゲージタイプのプロトラクタ

主に溶接の開先角度を測定するために使用され、開先加工された製品に直接差し込んで角度を測定します。

5. アングルプロトラクタ

溶接作業や板金加工に特化しており、溶接後の肉盛りや膨らみに干渉しないように特殊な形をしています。

6. スラントルールプロトラクタ

測定面に強力な磁石を備えており、水平器の要領で鉄筋の勾配を測定することができます。このタイプは主に建築工事に特化しています。

プロトラクタの選び方

プロトラクタの選び方は、使用目的、測定範囲、測定精度、材質、価格などによって異なります。以下に、プロトラクタの選び方についていくつかの基本的なポイントを示します。

1. 使用目的

使用目的を明確にして、どのタイプのプロトラクタが最適であるかを判断します。例えば、内角を測定する場合はインサイドプロトラクタ、溶接作業にはアングルプロトラクタやゲージタイプのプロトラクタが適しています。

2. 測定範囲と精度

必要な測定範囲と精度を確認し、これに適したプロトラクタを選びます。デジタルプロトラクタは高精度の測定が可能であり、読み取りも容易です。

3. 材質

使用環境を考慮して材質を選びます。金属製のプロトラクタは耐久性に優れていますが、プラスチック製のものは軽量で取り扱いが容易です。

4. 価格

予算に応じてプロトラクタを選びます。高価なプロトラクタは高精度で品質が良い傾向にありますが、低コストのものでも基本的な測定は十分に行えます。

5. 目盛の見やすさ

目盛がはっきりと読める、かつ目盛の色が見やすいものを選びます。また、光沢が少ないものが好ましいです。

プロトラクタを選ぶ際には、上記のポイントを参考にして、自分のニーズと要求に最適なものを選びましょう。

参考文献
http://catalog.sokuteikougu.com/index.html?page=178

プレート熱交換器

プレート熱交換器とは

プレート熱交換器とは、複数のプレートを用いて2つの流体間で熱を転送するための装置です。

複雑なプレス形状をしている薄板を使用して、高い伝熱性能を実現しています。特徴として非常に軽量であることや、サイズがコンパクトであることが挙げられます。また、プレートを交換することで容易に設計変更ができるため、フレキシブルな熱交換システムを構築可能です。

連続使用すると、汚れなどによって熱効率が悪化します。プレート熱交換器はコンパクトで運び出しも可能なため、熱効率回復を目的とした分解清掃が容易です。清掃中は予備器を準備設置して運転するユーザーが多いです。

プレート熱交換器の使用用途

プレート熱交換器は、その特性により、多くの産業分野で使用されます。

1. エネルギー産業

エネルギー産業では、オイルクーラーやガス処理に使用されます。エンジンオイルやギヤオイルなどは運転に伴い熱を持つため、プレート熱交換器で冷却します。また、排ガス処理用の冷却塔などは廃液が熱を持つので、プレート熱交換器で冷却して処理します。

2. 化学プラント

化学プラントにおいても、多く使用される機器です。化学反応を制御するためには、温度の制御が非常に重要です。プレート熱交換器によって反応物の温度を上下させることで、反応速度を遅くしたり促進したりすることができます。

 

その他、海洋産業や空調システムなども用途の1つです。海洋産業では海水淡水化プラントなどで使用され、空調システムでは冷却塔の循環水冷却などに使用されます。

プレート熱交換器の原理

プレート熱交換器は、プレートと呼ばれる平板の金属板が複数枚重ねられます。その間に2つの流体が流れる仕組みです。プレートの表面には細かい突起がついており、これによりプレートの表面積が増加して熱伝達率が向上します。

一方の流体はプレートの一側に流し込まれ、他方の流体はプレートの反対側に流し込まれます。流体がプレートの間を通過する際に、プレートの表面に触れて熱交換を行います。冷却媒体の流体は熱を吸収し、熱媒体流体は熱媒体は熱を放出します。

プレート熱交換器の種類

プレート熱交換器は、主に2種類存在します。

1. ブレーシングプレート熱交換器

積層したプレート間をそれぞれの温度の流体が流れるプレート熱交換器です。それほど高くない温度差でも、熱交換を行うことができます。この方式の最大のメリットは、その他の熱交換器と比べてもサイズが小さいことです。

ただし、分解が難しいことからメンテナンス性能が悪い点がデメリットです。プレート内では高い乱流性能を出せるので、伝熱係数は高くなります。また、乱流を用いて中を自動で洗浄することも可能です。

2. ガスケットプレート熱交換器

プレート間をゴム製のガスケットで仕切ったプレート熱交換器です。全体を分解できることが大きな特徴です。プレート同士をボルトで締結している構造をしています。

伝熱プレートを積層する構造であることから、伝熱プレートの増減で任意の伝熱面積に変更することが可能です。非常にメンテナンス性が高く、比較的小型で熱交換の効率が高いことが特徴です。 

プレート熱交換器のその他情報

プレート熱交換器の保全

プレート熱交換器のメンテナンスは以下の順番で進めることが多いです。

  • 目視によるひび割れ確認
  • 分解・ガスケット取り外し
  • 水洗後に化学洗浄し、更に水洗
  • ガスケット取付け後、組立て
  • 通液テスト

水洗工程ではジェット洗浄とブラシによる物理的な洗浄を施します。化学洗浄は一般的に硝酸を使用し、付着スケールを除去後に苛性ソーダで中和洗浄します。最後に水洗し、薬液を洗い流します。

化学洗浄には濃厚な硝酸と苛性ソーダを用いるため、有毒な亜硝酸ガスを吸い込んだり、薬品による薬傷が発生する危険性が高いです。したがって、化学物質に対する知識を持った技術者が行います。

排水も処理困難なため、メンテナンスを専門業者やメーカーに委託するケースがほとんどです。大手のメーカーはメンテナンスサービスも商品として準備しています。

参考文献
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period03.html
https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=4588 
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period03.html
https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=4588#h3_3
https://www.johnsoncontrols.com/ja_jp/services-and-support/equipment-maintenance/plate-type-heat-exchanger

プラテンローラー

プラテンローラーとは

プラテンローラーとは、サーマルヘッドを使用した印刷を行うプリンターやコピー機などの印刷機において、紙送りとサーマルヘッドへの圧着を担う部品として使用されるローラーです。

一般的に、金属製の芯金の周りに樹脂が成形されています。このプラテンローラーが汚れていると、紙が詰まったり、2枚同時に紙を引き込んでしまったりなど、紙送りの不具合が発生します。また、印刷不良などの不具合も発生するため、定期的な清掃が必要です。

プラテンローラーの使用用途

プラテンローラーは、サーマルヘッドを使用した熱による印刷機構を持つ印刷機の紙送り、またはサーマルヘッドへの圧着を担う部品として使用されています。一般的な家庭で使用するようなプリンターからオフィスなどで使用される大型の複合機まで、サーマルヘッドを使用した印刷機には欠かせない部品です。

身近な例としては、レシートを印刷する印刷機などが挙げられます。一方で、インクジェット方式のようなサーマルヘッドを使用しない印刷機にはプラテンローラーは搭載されていません。

プラテンローラーの原理

印刷物を紙に印字する方式には、感熱方式と熱転写方式があります。プラテンローラーは、これらの熱を利用したプリント方式で使用される装置です。

いずれの方式でも、紙を押し付ける役割と送り出す役割を担っています。耐久性やコストを考慮し、目的に応じた方式の選択が必要です。

1. 感熱方式

感熱方式では、感熱紙と呼ばれる熱に反応して印字ができる紙を使用します。プラテンローラーが感熱紙をサーマルヘッドと呼ばれるヒーターの並んだデバイスに押し付けることで、感熱紙に所望の内容を印字することが可能です。

リボンを使用せず、感熱紙のみで印刷可能な点がメリットとして挙げられます。一方で、感熱紙は普通紙とは異なり、熱への耐久性は低い点がデメリットです。

2. 熱転写方式

熱転写方式では、転写紙と呼ばれる紙とリボンと呼ばれるインクを転写紙に移すものをプラテンローラーに送り込みます。プラテンローラーは、転写紙とリボンが重なった状態でサーマルヘッドに押し付けます。

加熱されたリボンが転写紙にインクを染み出させることで、印字が行われる仕組みです。熱転写方式は熱への耐久性が感熱方式よりも高くなっています。

プラテンローラーの構造

プラテンローラーは、一般的に棒状の金属製の芯金の周りに樹脂が成形された構造です。周りに成形されるものがゴム素材のものがほとんどですが、中には使用用途に合わせて様々な樹脂を使用したものも存在します。

ゴム素材が多い理由は、プラテンローラーの以下の2つの機能に起因します。

  • 紙を搬送する
  • 紙をサーマルヘッドに押し付ける

上記の機能を満たすには、紙の搬送には適度な摩擦力が必要になるとともに、印刷に使用するサーマルヘッドへの圧着を均一な力分布で行う必要があるため、ゴム素材を使うことが多いです。

プラテンローラーのその他情報

プラテンローラーのメンテナンス

紙の搬送などの上記機能を担う部品であることから、プラテンローラーは定期的なメンテナンスが重要です。ゴミの付着やローラーの劣化などにより、「摩擦力が低下し、紙送りが正常にできなくなる」「紙を2枚重ねて搬送してしまう」などのトラブルが発生することがあります。

基本的に、プラテンローラーを使用した印刷機の取扱説明書には、メンテナンスが必要となる印刷枚数の目安などが記載されています。この目安をきちんと確認し、定期的にアルコールを少量含ませた布でローラーの汚れやゴミをふき取るなどのメンテナンスを行うことが、印刷品質の継続に不可欠です。

参考文献
https://www.mars-tohken.co.jp/tech-info/trend/detail/flags-170-label_printer_maintenance.html

プラスチックパレット

プラスチックパレットとは

プラスチックパレット

倉庫などでフォークリフトが台に乗せられた荷物を運んでいるのを目にされることは多いと思います。

荷物を乗せている台を荷役台、通称パレットといい、木製のものとプラスチック製のものがあり、プラスチック製のものがプラスチックパレットです。プラスチックパレットは、輸送や物流、保管などに使用され、保管の際には荷物の下敷きとなり、荷物の保護の役目も果たします。

プラスチックパレットのその他情報

1. プラスチックパレットの形状

プラスチックパレットは、すのこ状の形状をしています。

プラスチックパレットの形状(1)

図1. プラスチックパレットの形状(1)

図1に示すように、すのこ状の板材の荷物を搭載する荷物搭載面に直交する側面の貫通孔は、フォークリフトの爪を差し込んで持ち上げるためのものです。

図1のように荷物を乗せる荷物搭載面が上面だけで片面だけ使用可能なタイプと、図2および図3に示すように上下面が荷物搭載面Aおよび荷物搭載面Bとなっており、両面使用可能なタイプがあります。

プラスチックパレットの形状(2)

図2. プラスチックパレットの形状(2)

また、図1および図2、図3に示すようなフォークリフトの爪を差し込む貫通孔が二方向のものと、この貫通孔に直交する貫通孔を有し、四方向に貫通孔があるタイプがあります。貫通孔の形状がハンドリフトに対応しているものや、パレット内にRFIDタグなどの追跡認識用タグを取り付け可能なものは非常に有用です。

2. プラスチックパレットのサイズ

プラスチックパレットのサイズは、1100mm×1100mmの正方形で構成された11型がもっとも一般的で、1400mm×1100mmの長方形で構成された14型や1000mmを下回る小型のパレット、2000mm超の大型サイズもあります。

3. プラスチックパレットの耐久性におけるメリットとデメリット

木製パレットと比較されるプラスチックパレットですが、木製パレットが吸湿による腐食などに弱いのに対し、プラスチックパレットは、吸湿しないため腐食を少なくすることが出来、木製パレットよりも耐久性に優れています。また、木製パレットのように害虫、バクテリアの影響を受けないため、耐久性に優れています。

ただし、プラスチックパレットでは、荷物を乗せる面が一体成型のため、木製パレットのように破損した部分だけを取り換えて補修することは出来ません。

4. プラスチックパレットの荷物への影響におけるメリット

プラスチックパレットでは、木製パレットのように荷物搭載面にひび割れおよび木の「ササクレ」が発生しないため、搭載した荷物底面に傷がつきにくいのがメリットです。

また、木製パレットでは、においの吸着が起こりますが、プラスチックパレットはにおいを吸収しないため、搭載した荷物に臭いが移ることがないという大きなメリットがあります。そのため、におい移りが懸念される商品の搬送にも適しています。

5. その他プラスチックパレットのメリット

プラスチックパレットは、質量が軽いため、運搬の際の労力や負担を減らし、労働環境を改善できるメリットもあります。

木製パレットは、廃棄の際、リサイクルすることが出来ず、廃棄物として処理することになりますが、プラスチックパレットは、廃棄時に、プラスチックを粉砕し、ペレット加工し、またプラスチックパレットとして再生利用できるというメリットがあります。これは、昨今のエコロジーやSGDSの観点からも高く評価される点です。

参考文献
https://www.nppc.co.jp/entertain/comparison/

フラットパネル

フラットパネルとはフラットパネル

フラットパネルは、建設現場で使用される凹凸のない白い囲いになります。従来は、鋼板を囲いとしていましたが、外側からボルトなどを外すことで開けることができるという安全面の不安を、外側にボルトなどを取り付けない凹凸のないものとすることで解消しています。強度についても、ほとんどの製品で鋼板と同程度になっています。白を基調としており、光沢のある製品が多いため、建設現場の周辺を美しく見せる効果も期待できます。基本的には、建設現場の内側に鉄パイプやフックを使用して土台を設置し、取り付けます。

フラットパネルの使用用途

フラットパネルは、建設現場の囲いとして使用されます。フラットパネルを使用することにより、建設現場への部外者の侵入を防ぐほか、白を基調としているため、見た目も美しく景観を汚すことが少なくなります。フラットパネルにイラストなどを貼ることも可能になります。フラットパネルの選定の際には、囲いを設置する高さ、パネル1つの大きさ、質量や構造などの取り付けやすさ、塗装の色合い、強度などを考慮して選定する必要があります。

フラットパネルの特徴

フラットパネルの特徴を説明します。フラットパネルは、アルミ枠とポリプロピレン樹脂、亜鉛メッキ鋼板などを使用して、片側に白色の塗装がされている構造となっています。鋼板のみの囲いに比べて、アルミ枠などを使用している製品は軽量になっています。構成される要素を変更することで、防音機能が高い製品もあります。

取り付け時は、フラットパネルとJ型のフック、鉄パイプ、コーナーパネル、ジョイント金具、幅調整フラットパネルが必要となります。設置場所に必要な幅のフラットパネルをジョイント金具で繋げます。その際、幅調整パネルで必要な幅を調整します。その後、フラットパネルと鉄パイプをJ型フックで接続します。鉄パイプは、土台となる鉄パイプと接続され、フラットパネルは地面に固定されます。コーナー部では、直角に曲がったコーナーパネルを用いて、別方向のパネルと接続します。 

参考文献
https://www.gatekogyo.co.jp/Poli_Flat_Panel.html
https://www.meijishoko.com/products/gate/page05.php

フラットドリル

フラットドリルとは

フラットドリルとは、通常のドリルとは異なり、先端が平らな形状をしている切削工具のことです。

平らな形状のため、通常のドリルでは加工が困難な斜面や曲線に対しても穴をあけられます。さらに、座ぐり加工や交差する穴をあけるような加工にも使用されます。

加工した穴の終端側にバリがでにくく、穴が曲がったりすることも少なく平らに真っすぐ穴をあけることが可能です。そのため、薄い鋼板の通し穴にも適しています。また、工具の寿命を長くするために、定期的に切れ味を研ぐ必要があります。研ぎ方によっては、先端の平らな形状が失われることがあるため注意が必要です。

様々な素材に対して穴をあけられますが、素材の硬度によっては、適切な加工条件を選択する必要があります。また、使用するドリルの径や先端角度も、加工する素材や穴の形状によって適切に選択が必要です。

フラットドリルの使用用途

フラットドリルは、通常のドリルでは加工が困難な傾斜面や曲線に対しての穴あけ加工に使用されます。斜面に対して垂直な穴をあけられ、座ぐり加工によって平らな面を作って深穴加工時の案内を作ることも可能です。加工した穴の終端側にバリができにくく、平らに真っすぐ穴をあけられるため、薄い鋼板の通し穴にも適しています。

さらに、フラットドリルはRになっている面や交差している穴にも対応し、さまざまな形状に対して柔軟に穴あけ加工ができるため、自動車部品や電子部品、航空機部品など、幅広い分野で使用されています。

また、高い剛性を持ち、加工による振動を抑えることが可能です。高速加工にも対応できるため、生産性向上や加工品質の向上など、多くのメリットが得られます。

フラットドリルの原理

フラットドリルは、平面状の刃物で穴をあけることで成り立ちます。刃物が完全に平面状になっているため、座ぐり加工をする際に穴の中央に盛り上がりができず、深い穴加工の前加工ができる点が特徴です。また、貫通穴では、鉄の厚みが薄くなる部分が軟弱になることを抑制し、終端のバリが出にくくなるため、鉄板を短時間で効率的に穴あけ加工できます。

しかし、フラットドリルの刃物全体に負荷がかかるため、切りくずを出す力が通常のドリルと比べると弱く、深い穴を開けられないことがデメリットです。また、ねじれ角が穏やかな形状になっているため、切りくずを出す力が弱くなってしまうことも深い穴加工に制限をかける要因となります。

フラットドリルの種類

フラットドリルには、主にフルートドリルとスパイラルドリルの2種類があります。使用用途に適した種類を選ぶことが、高精度な加工や生産性の向上に繋がります。

1. フルートドリル

フルートドリルは、先端が完全に平らなフラットタイプのドリルです。主に、座ぐり加工や深穴加工の前加工など、平面を作る前加工に使われます。また、鉄板を短時間で効率的に穴あけ加工ができるため、量産加工に適しています。しかし、深い穴をあけようとすると、切りくずが出せなくなるため、フルートドリルだけの加工には限界があるでしょう。

2. スパイラルドリル

スパイラルドリルは、先端が平らではなく、らせん状になっています。スパイラルの角度によって、切りくずを効率よく排出できるため、深穴加工に適しています。また、フルートドリルよりも切削力が強く、加工速度も速いため、一般的なドリルと同様に、あらゆる加工に使用可能です。ただし、フラットドリル特有の問題である、刃物全体への負荷がかかってしまうことがあります。

参考文献
https://faq.osg.co.jp/faq/show/703

フライトコンベア

フライトコンベアとは

フライトコンベアは、両側に搬送用のチェーンやベルトがついている土台と、その中央にフライトと呼ばれる板状の金属で構成されている、輸送機器になります。駆動時は、両側のチェーンやベルトが動作することに付随して移動するフライトによって、輸送対象物を押し出すようにして輸送を行います。通常は、チェーンやベルトの部分は、密閉されており、輸送対象の物質が外部に漏れないような工夫がされています。そのため、付着率が高い物質や、含水率が高い物質など、輸送することが難しいものを輸送することに適しています。

フライトコンベアの使用用途

フライトコンベアは、化学工場や鉱山、ゴミや泥水の処理施設などで利用されます。使用例としては、粘性や含水性が高く、輸送することに通常の輸送機器では、適さないような化学製品の原料の輸送や、輸送時に粉塵が発生する鉱山から掘り出される物質などの輸送になります。フライトコンベアの選定の際には、輸送する対象がそのフライトコンベアに適しているかどうか、輸送速度やメンテナンス性、高温下、高粉塵下での耐久性、サイズ、消費電力量、騒音レベルなどを考慮する必要があります。

フライトコンベアの原理

フライトコンベアの動作原理を説明します。フライトコンベアは、コンベアの土台、土台の両端に位置しているモータに接続された駆動用のチェーンやベルト、そのチェーンやベルトに等間隔で取り付けられているフライトと呼ばれる板で構成されています。チェーンやベルト、フライトはコンベアの土台を一周するように取り付けられています。コンベアの両端は、汚泥物質や輸送時に粉塵が発生する輸送対象を輸送するために、液体や粉塵が漏れないように密閉されている構造となっていることが一般的です。

動作時は、モータが回転しチェーンやベルトを移動させ、それと連動してフライトも移動します。フライトによって、輸送対象を押し出すように移動します。輸送対象が、土台の下側を通過する場合もあります。チェーンやベルトの取り付け方によって、上下や左右の向きに方向転換させるような設計を行うこともできるため、自由度の高い輸送が可能なことが特徴です。 

参考文献
https://www.j-showa.com/items/item-2.html
https://kenki-corporation.jp/2018/06/09/flight-conveyor/

フライスカッター

フライスカッターとは

フライスカッター

フライスカッターとは、工作機械に取り付けられる回転刃を持つ切削工具です。

正面フライスやフェイスミルとも呼ばれます。テーブル上の加工物を切削する際に使用され、広い範囲を一度に切削することが可能です。

他の切削工具と比較して、フライスカッターは広い平面や側面を効率よく削れるため、様々な工作物の加工に適しています。多くの金属加工作業では、まず平面を削ることから始めることが一般的であり、その点でもフライスカッターは非常に重要な役割を果たしています。

フライスカッターの使用用途

フライスカッターは主に平面や側面、段付き加工などの面加工に用いられ、高い面精度での加工が可能です。刃物の直径が大きいことが一般的であり、円周状に複数枚のチップ (刃) を均等に配置しています。フライスカッターにはさまざまな種類が存在し、チップの枚数や外径、さらには刃の取り付け角度が異なります。

そのため、平面加工を行う際にも、加工箇所に応じて適切なカッターを選定することが大切です。複数のフライスカッターを併用しながら加工を行うことで、より効率的で精度の高い加工が実現できます。そのため、フライスカッターは、金属加工業界において幅広く活用されており、その重要性はますます高まっています。

フライスカッターの原理

フライスカッターの原理は、直径が大きいほど多くの面積を削れる点にあります。ただし、その分機械にかかる負荷も大きくなるため、パワーの大きい工作機械が必要です。

また、チップの枚数にも注意が必要です。枚数が多いほど一枚にかかる負荷が小さくなり、1回転あたりの切削量が増えます。そのため、直径が大きく、かつ枚数が多いカッターが加工能率が高くなります。ただし、枚数が多い場合、切りくずがカッターに詰まりやすくなるため、荒加工では注意が必要です。

さらに、刃の取り付け角にも種類があり、カッターを横から見たときの挿入角 (アキシャルレーキ角) と、裏から見たときの挿入角 (ラジアルレーキ角) が用途によって異なります。例えば、アルミや銅といった軟鉄の加工には、両方の角度が大きいカッターを選びます。一方、鋳鉄などの硬い金属の加工では、切りくず排出性を重視し、両方の角度が小さいカッターを選びます。

フライスカッターのその他情報

1. フライス用サイドカッター

サイドカッターは、長く深い溝を大量にフライス加工する場合、特に横型フライス加工機を使用する場合に使用されています。サイドカッターを使用することにより、開いた溝、閉じた溝、ギャングスリット加工、突切りなどの溝フライス加工を行うことが可能です。

さまざまな外径や厚みに対応したものが展開されており、これらを使い分けることにより、目的とする溝の長さや深さの加工形状を得ることが可能です。サイドカッターを使用する際には、少なくとも1つの刃先が常に切削部に食付くように、カッターサイズ、ピッチおよび位置を制御する必要があります。

また、サイドカッターによる切削加工はガウンカットによって行うことが推奨されています。

2. フライスカッターの切削条件

フライスカッターで切削するため条件には、切削速度、送り速度、カッターの外径などがあり、使用するカッターの材質や被切削対象物の材質によって適宜設定が必要です。送り速度に関しては、カッターの長寿命化を優先する場合や被切削対象物が硬い場合、荒加工の場合、摩耗の進行が急激な場合には比較的小さく設定されます。

一方、切削性のよい材料の場合、仕上げ削りや精密仕上げなど平滑な仕上げ面が必要な場合には送り速度が比較的高く設定されます。

参考文献
https://www.sandvik.coromant.com/ja-jp/knowledge/milling/pages/groove-or-slot-milling.aspx
https://mrt-metalsaw.com/archives/technology/condition
https://www.atom21.co.jp/dcms_media/other/calc.pdf

ピラニ真空計

ピラニ真空計とは

ピラニ真空計

ピラニ真空計とは、電気抵抗を利用した、真空度を測定するためのセンサーです。

ピラニ真空計の装置は小型のため持ち運びが容易で、操作も簡便なため、真空度を測定するための多くの場面で使用されています。ピラニ真空計は、ピラニゲージや単にピラニとも呼ばれています。

ピラニ真空計はシンプルな構成と安価が特徴で、測定子を測定環境に設置すると、真空度によって測定子への電流が変わり、真空度の測定が可能です。一般的に、ピラニ真空計は、コントローラと測定子で構成されており、測定範囲は約0.5Paから2KPa程度となっています。

原理上、測定範囲の下限付近では、精度が悪くなるので、圧力値が重要な測定では他の真空計が必要です。中には、測定子とコントローラが分離できるのピラニ真空計もあります。真空計の中には測定範囲でしか使用できず、範囲外で使用すると壊れてしまうものもありますが、ピラニ真空計はそのような心配はなく、大気圧から動作できることが魅力です。

ピラニ真空計の使用用途

ピラニ真空計は、真空到達度管理が必要なチャンバーや石英管などに接続された流体回路中や表面清浄度が求められる場所で使用されています。具体的には、中真空領域の測定によく使用されています。

中真空領域とは、油回転真空ポンプを使用して到達できる真空状態であり、フロンガス吸引等の測定時の計測などが一例です。ピラニ真空計は、高真空~超高真空排気系の粗引きラインや、高真空ポンプの背圧ラインに使用されることが多いです。

しかし、気体の種類や組成によって表示値が異なるので、絶対圧力を測定するためには事前に充分な較正が必要になります。また、ピラニ真空計は、理化学実験で真空状態を作る際や真空蒸着、凍結乾燥、医療用機器、分析機、レーザー応用装置、真空排気装置、半導体製造装置のプラズマエッチング空間、電子顕微鏡の真空パック等の測定にも使用されています。

ピラニ真空計の原理

ピラニ真空計は、電気抵抗型の真空計であり、電流を流したプラチナ (白金) 線へ気体が衝突する際に消失する熱エネルギーから電流を算出します。その電流値から圧力に逆算するということです。この微小圧力が、そのまま真空度に相当します。

ピラニ真空計の測定子内にはプラチナ製の極細の線が張ってあり、このプラチナ線に電力を加え温度を200度程度に加熱します。このプラチナ線に空気がぶつかるとプラチナ線から熱を奪い、プラチナ線の温度を200度に保つためにコントローラはより多くの電力をプラチナ線へ与えるのです。

逆にプラチナ線にぶつかる気体分子がなければ、プラチナ線の温度は少ない電力でも200度を保持することが可能です。プラチナ線へ供給する電力量の変化を測定することにより、測定環境内の真空度が計測できるようになります。

また、ピラニ真空管の精度を保つためにはプラチナ線の管理が重要です。プラチナ線は通電を繰り返すことにより消耗し、新品時に比べ、200度にするためにより多くの電力を必要にするようになるため、定期的な交換が必要になります。また、プラチナ線へのゴミの付着なども測定精度に影響を及ぼすため、定期的な清掃も欠かせません。

真空計のその他情報

真空度の定義

圧力は、低真空、中真空、高真空、超高真空などの真空度で分けられており、ピラニ真空計では低真空から中真空まで測定できます。真空度はJIS (日本工業規格) により、以下のように圧力の範囲によって5つに分類されています。

  • 低真空 (low vacuum): 105Pa~102Pa
  • 中真空 (medium vacuum): 102Pa~10-1Pa
  • 高真空 (high vacuum): 10-1Pa~10-5Pa
  • 超高真空 (ultra high vacuum): 10-5Pa~10-8Pa
  • 極高真空 (extremely high vacuum): 10-8Pa以下

参考文献

http://www.nucleng.kyoto-u.ac.jp/people/ikuji/edu/vac/chap3/pirani.html