プレート熱交換器とは
プレート熱交換器とは、複数のプレートを用いて2つの流体間で熱を転送するための装置です。
複雑なプレス形状をしている薄板を使用して、高い伝熱性能を実現しています。特徴として非常に軽量であることや、サイズがコンパクトであることが挙げられます。また、プレートを交換することで容易に設計変更ができるため、フレキシブルな熱交換システムを構築可能です。
連続使用すると、汚れなどによって熱効率が悪化します。プレート熱交換器はコンパクトで運び出しも可能なため、熱効率回復を目的とした分解清掃が容易です。清掃中は予備器を準備設置して運転するユーザーが多いです。
プレート熱交換器の使用用途
プレート熱交換器は、その特性により、多くの産業分野で使用されます。
1. エネルギー産業
エネルギー産業では、オイルクーラーやガス処理に使用されます。エンジンオイルやギヤオイルなどは運転に伴い熱を持つため、プレート熱交換器で冷却します。また、排ガス処理用の冷却塔などは廃液が熱を持つので、プレート熱交換器で冷却して処理します。
2. 化学プラント
化学プラントにおいても、多く使用される機器です。化学反応を制御するためには、温度の制御が非常に重要です。プレート熱交換器によって反応物の温度を上下させることで、反応速度を遅くしたり促進したりすることができます。
その他、海洋産業や空調システムなども用途の1つです。海洋産業では海水淡水化プラントなどで使用され、空調システムでは冷却塔の循環水冷却などに使用されます。
プレート熱交換器の原理
プレート熱交換器は、プレートと呼ばれる平板の金属板が複数枚重ねられます。その間に2つの流体が流れる仕組みです。プレートの表面には細かい突起がついており、これによりプレートの表面積が増加して熱伝達率が向上します。
一方の流体はプレートの一側に流し込まれ、他方の流体はプレートの反対側に流し込まれます。流体がプレートの間を通過する際に、プレートの表面に触れて熱交換を行います。冷却媒体の流体は熱を吸収し、熱媒体流体は熱媒体は熱を放出します。
プレート熱交換器の種類
プレート熱交換器は、主に2種類存在します。
1. ブレーシングプレート熱交換器
積層したプレート間をそれぞれの温度の流体が流れるプレート熱交換器です。それほど高くない温度差でも、熱交換を行うことができます。この方式の最大のメリットは、その他の熱交換器と比べてもサイズが小さいことです。
ただし、分解が難しいことからメンテナンス性能が悪い点がデメリットです。プレート内では高い乱流性能を出せるので、伝熱係数は高くなります。また、乱流を用いて中を自動で洗浄することも可能です。
2. ガスケットプレート熱交換器
プレート間をゴム製のガスケットで仕切ったプレート熱交換器です。全体を分解できることが大きな特徴です。プレート同士をボルトで締結している構造をしています。
伝熱プレートを積層する構造であることから、伝熱プレートの増減で任意の伝熱面積に変更することが可能です。非常にメンテナンス性が高く、比較的小型で熱交換の効率が高いことが特徴です。
プレート熱交換器のその他情報
プレート熱交換器の保全
プレート熱交換器のメンテナンスは以下の順番で進めることが多いです。
- 目視によるひび割れ確認
- 分解・ガスケット取り外し
- 水洗後に化学洗浄し、更に水洗
- ガスケット取付け後、組立て
- 通液テスト
水洗工程ではジェット洗浄とブラシによる物理的な洗浄を施します。化学洗浄は一般的に硝酸を使用し、付着スケールを除去後に苛性ソーダで中和洗浄します。最後に水洗し、薬液を洗い流します。
化学洗浄には濃厚な硝酸と苛性ソーダを用いるため、有毒な亜硝酸ガスを吸い込んだり、薬品による薬傷が発生する危険性が高いです。したがって、化学物質に対する知識を持った技術者が行います。
排水も処理困難なため、メンテナンスを専門業者やメーカーに委託するケースがほとんどです。大手のメーカーはメンテナンスサービスも商品として準備しています。
参考文献
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period03.html
https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=4588
https://www.hisaka.co.jp/phe/workbook/first_period03.html
https://www.apiste.co.jp/column/detail/id=4588#h3_3
https://www.johnsoncontrols.com/ja_jp/services-and-support/equipment-maintenance/plate-type-heat-exchanger