表面張力計

表面張力計とは

表面張力計

表面張力計とは、液体や固体が表面をできるだけ小さくしようとして発生する張力 (表面張力) を測定するための装置です。

例えば、コップに液体が入っている状態を想定してみます。コップの中にある液体は周辺分子との分子間力によって互いに引き合いながら打ち消しあうため安定な状態ですが、コップと空気の表面にある液体は空気側から引っ張られる分子間力が小さいため、すこし丸く膨らんだ形状になります。

これが表面張力であり、表面張力が大きい液体ほど大きく膨らみます。この力は比較的大きく、洗剤の洗浄力やインクジェットなどで重要な物性になります。

Fig1 表面張力について

図1. 表面張力について

表面張力計の使用用途

表面張力計は、洗剤や食品、はんだなどの品質管理や研究開発の場面で使用されます。インクジェットや塗液、はんだの濡れの調査、被覆やマイクロ流体工学の分野などで重要視されています。

表面張力を測定し、適切にコントロールすることで、製造過程や使用時の泡の発生や撹拌のしやすさの調整、コーティング欠陥の有無などが変化します。表面張力計の選定の際には、評価の精度や計測時間、対応している液体の種類、測定範囲などを考慮することが大切です。

表面張力計の原理

Fig2 表面張力計の種類

図2. 表面張力計の種類

表面張力の測定方法は多く開発されており、液滴から計算する「懸滴法」、プレートを表面が引っ張る力を測定する「プレート法」、液体表面にリングを接触させ、そのリングを引っ張る力を測定する「リング法」、毛細管を上昇する液体の高さを測定する「毛細管法」などがあります。

1. プレート法 (ウィルヘルミー法、懸垂法) 

測定時は、プレートを測定対象の液体と接触している状態から持ち上げます。その時の持ち上げることに必要な力を測定し、別途測定するプレートと液体との接触角、プレートの寸法から、表面張力を測定します。接触角がわからない場合においても、完全にプレートを濡らすことができればθは0になるので測定できます。

プレートを静止してく測定することでもできるため、動的表面張力・静的表面張力の両方を測定可能です。一方、プレートをある程度濡らさなければならないため、通常は30mL以上の液体を用意しなくてはなりません。

2. リング法

測定時はプレート法と同じように、リング状の測定器具を測定対象の液体と接触している状態から持ち上げ、持ち上げるのに必要な力を測定します。プレート法とは異なり、力は随時モニタリングし、リングと液体が離れたときの力を用いて表面張力を測定します。

界面活性剤溶液のような表面張力が経時的に変化する溶液の測定はできません。 また、リング法ではラメラ長も測定することができます。ラメラとは、泡沫内にある薄い泡膜のことです。ラメラ長が長いと伸びても泡が消えないということになり、泡が安定して残りやすくなります。

3. 懸滴法

測定対象の液体を液滴として固定し、その液滴の形状を方程式などを用いて分析することで表面張力を測定する方法です。画像処理などによって測定するため、測定するカメラの性能や使用するアルゴリズムの影響により精度が異なります。

プレート法で測定しにくい粘度が高い液体、溶融ポリマーや油と水など液体と液体間の界面張力測定などに向いています。

4. 毛細管法

毛細管を上昇する液体の高さ、液体の密度を測定することにより表面張力を計算します。毛細管現象を利用しています。

5. 最大泡圧法

サンプル液体中に、挿した細管に気体を流し気泡を発生させます。気泡を発生させるときにかかる最大圧力 (最大泡圧) を計測し、表面張力を算出します。

また、先端で新しい気泡が生成した時から最大泡圧となるまでの時間をバブルライフタイムと呼び、この間に界面活性剤が吸着すると圧力が低下するため、様々なバブルライフタイムで試験することで動的表面張力が測定が可能です。

表面張力計の選び方

Fig3 表面張力計の種類

図3. 表面張力計の比較

それぞれの表面張力計には、必要な液量や得意な液・苦手な液が存在しています。測定したい液の物性や確保できる量を確認して適切な表面張力計を選定してください。

表面張力計のその他情報

静的表面張力と動的表面張力

表面張力には、静的表面張力と動的表面張力があります。一般的に動的表面張力のほうが大きく、時間がたつにつれて値が下がっていきます。これは親水基と疎水基をもつ界面活性剤が時間がたつにつれて気液界面に集まり、表面に吸着されるためです。

水の表面が疎水基が集まるので、表面張力の値が水の高い値から疎水性の油に近い値になります。十分に時間が経ち、一定の表面長力になったときの濃度を臨界ミセル濃度と呼び、動的表面張力が測定できる測定器はこの臨界ミセル濃度を決定することもできます。

参考文献
https://www.face-kyowa.co.jp/science/theory/what_surface_tention.html
https://www.contact-angle.jp/contact-angle/surface-tension/measurement-principle/

タイヤゲージ

タイヤゲージとは

タイヤゲージ

タイヤゲージとは、タイヤの空気圧 (タイヤ内圧) の測定や空気圧を調整する器具です。

エアゲージもしくはマスターゲージとも呼ばれます。交通事故を防止するため、自動車のタイヤ空気圧は日常的に確認および調整することが大切です。

タイヤ空気圧が低下している状態で走行するとスタンディングウェーブ現象が起き、タイヤが異常加熱を引き起こして走行中にバーストします。タイヤの空気圧が低下した状態では走行抵抗が増え、ハンドル操作力が重くなり、燃費にも悪影響を及ぼします。

タイヤゲージの使用用途

タイヤゲージはタイヤの空気圧を測定するために使用され、タイヤ内圧が不十分な場合には空気や窒素ガスを補充します。

タイヤの空気圧は一般にタイヤ自体が完全に冷えている状態の際の空気圧を計測します。真夏と真冬では気温差があるため、真夏に適正な空気圧に設定していたとしても真冬になると空気圧が適正でなくなる場合が多く、冬前に一度はタイヤゲージを使用しての空気圧測定が推奨されます。一般的に推奨される点検頻度は2ヶ月に1度程度です。

自動車のタイヤに空気を充填するにはエアコンプレッサが必要となるため、ガソリンスタンドなどでエア充填装置を借用し補充します。

タイヤゲージの原理

タイヤゲージの空気圧測定方法は、内部の構造としてピストンを使用した方法が主流です。タイヤのエアバルブにタイヤゲージを接続すると、内部に構成されているバネと一体化されたピストンが、タイヤ内部からの空気圧によって押し出されてタイヤゲージ内部を移動し、その移動量により位置を空気圧表示に変換して、数値がメーター表示されます。

また、棒状での簡易的な表示形式のタイヤゲージにも、上記のピストン構造が内部搭載されています。ピストンの位置をそのままゲージに表示することができ、目盛りを読み取ることで空気圧を測定します。

ピストンが内蔵されているダイヤル表示タイプは、ピストンの移動量を回転式のメーターでその位置を変換することにより、空気圧表示を読み取る構造です。いずれの表示方式にも内部ストッパーが内臓され、測定した値の最高値を記憶して読み取る仕組みです。

また、ダイヤル式タイプにはブルドン管式も存在します。ブルドン管式とは、タイヤゲージ内部構造に楕円形をした金属パイプが入っており、空気圧でその金属部品を変形させることにより空気圧を測定し、メーター表示させる方式です。ピストン式よりもブルドン管式の方が測定精度が高い傾向にあります。

タイヤゲージの選び方

タイヤゲージのタイプを大まかに分類すると、計測した値ををダイヤル形式で表示するものや、棒状のゲージで表示するタイプもの、及びデジタル表示式などが存在します。価格は空気圧の測定精度によって上下します。

使用用途に応じてタイヤゲージに精度を求める場合は、価格相応の物を選択し、精度の高いタイヤゲージで計測することが大切です。

日本国内で基準テストをクリアして正規認証を獲得しているタイヤゲージには、日本工業規格であるJISマークが入っています。このマークがない場合は性能・精度の根拠について確からしさが欠けるため、購入時はこの様なマークを判断材料とします。

タイヤゲージのその他情報

1. タイヤ空気圧を調整する際のコツ

タイヤは空気圧によってトレッドの摩耗状態が若干変わります。例えば、タイヤ空気圧を高めに設定すると、タイヤのトレッド中心部分が摩耗しやすくなります。反対に、タイヤ空気圧を低めに設定するとタイヤのトレッド両端部分が摩耗しやすくなります。タイヤの摩耗状態をよく観察して、バランスよく使用するように空気圧を調整すると長持ちさせることが可能です。

2. タイヤゲージの精度

タイヤゲージで正確な空気圧の値を測定するためには、タイヤ本体の状態を良く確認する必要があります。

激しい走行後のタイヤは熱を持っており、内部の空気が膨張しているため走行直後は正確な値が表示されない可能性があります。正確にタイヤ空気圧を測定するためには、自動車を屋内のアスファルトやコンクリート上に移動させ、タイヤを十分に冷ました状態で測定することが重要です。

タイヤゲージの精度は製品によって誤差の大きさが異なります。低価格のタイヤゲージは、空気圧の誤差は大きくなり、競技車両などでは使用が難しいです。インチアップされたタイヤや低扁平率のタイヤを履いている場合はタイヤが引っ張られる傾向があり、空気圧の誤差が走行中のバーストに繋がるため危険です。

3. タイヤゲージの校正

タイヤゲージを長期間使用し続けていると徐々に誤差が発生するため、定期的な校正が必要です。一番正確な方法はタイヤメーカーから校正器材を借りて実施する方法です。

校正機本体にコンプレッサからのエアホースを接続して一定の値になる空気圧に調整します。次にタイヤゲージを校正機のバルブに接続し、校正機側とタイヤゲージ側の数値が同じかどうかを確認します。誤差がある場合は校正機側の数値と同じ値になるようにタイヤゲージ側を調整します。一致するまでこの工程を繰り返すことで校正が完了します。

参考文献
https://www.goo-net.com/pit/magazine/110286.html
https://www.diylabo.jp/column/column-878.html
https://carby.b-engineer.co.jp/car_100503/car_100515/1031754

蒸気発生装置

蒸気発生装置とは蒸気発生装置

蒸気発生装置は、水を加熱することによって蒸気を生成する装置のことを言います。

電気を使用して水を加熱して蒸気を得る方法と、タービンや燃焼炉などがある場合は、そこから発生する熱を使用して水を加熱し蒸気を得る方法があります。電気を使用して蒸気を得る方法としては、電極式と電熱式があります。飽和蒸気をさらに加熱することによって、過熱蒸気を生成する装置もあり、加熱蒸気は蒸気機関や発電の動力源や殺菌や乾燥などに使用されます。

蒸気発生装置の使用用途

蒸気発生装置は、食品の生産工場、セラミックス製品の製造工場、化学製品の製造プラント、医療機器の製造現場などで使用されます。主な使用例としては、蒸気発生器から発生させた蒸気を使用して、食品の加熱や殺菌、セラミックス製品や化学製品の加熱、威力機器の殺菌などになります。

蒸気発生装置の選定の際には、発生させる蒸気量や蒸気の圧力、発生させる蒸気の種類、蒸気の温度、消費電力やサイズ、メンテナンス性などを考慮する必要があります。

蒸気発生装置の原理

蒸気発生装置は、給水部と蒸気生成部、蒸気の吐き出し部で構成されています。蒸気生成部では、生成方法の違いによって、電極式と電熱式、外部からの熱供給式に分類することができます。それぞれの動作原理について説明します。

  • 電極式
    水が入っている容器、2つの電極で構成されています。使用する水は、蒸留水ではなく、不純物が含まれている水を使用する必要があります。動作時は、電極にそれぞれ電圧を印加すると、不純物が移動することによって、エネルギーが生じ、そのエネルギーによって、水が蒸発することで、蒸気を得ます。使用する水の種類によっては、電極に塩が付着する可能性があるため、注意が必要です。
  • 電熱式
    電熱式は、電源に接続された電熱棒と水が入っている容器で構成されています。動作時は、電熱棒に電気が流れると電熱棒が発熱し、その発熱によって水を蒸発させ、蒸気を得ます。
  • 外部からの熱供給式
    ガスタービンや蒸気タービン、燃料炉などがある工場においては、それらから発生する熱を回収し、水を加熱することで蒸気を得ます。外部からの熱が蒸気を発生させる熱に満たない場合は、追加で加熱などを行います。 

参考文献
https://www.wetmaster.co.jp/about/knowledge/formula/steam_formula/
https://kita-boiler.co.jp/business/vs/

クラックスケール

クラックスケールとは

クラックスケール

クラックスケールとは、その名称通り、RC建造物やコンクリート塀、庇などのひび割れを測定する定規である。構造物における耐震補強のための補修、修繕の目安は解離幅が0.5cm以上とされているが、ひび割れの走行が大きい場合は、このクラックスケールを用いて修繕の必要性を検討する。

他、ペン型スケールや超音波診断測定器、CTスキャンなどと組み合わせることによって、老朽の度合いを検証でき、更なる詳細な測定診断が可能になります。

クラックスケールの使用用途

使用例では、塗り壁などのモルタル収縮で起きる収縮クラックの測定、塗膜の劣化から起こるヘアークラック、構造物の不同沈下から起こる構造クラックの測定に使用されています。

巨大な貯水水槽などのRC構造物においては、水分やイオンの勾配でコンクリートのPhが狂い中性化してしまうものです。コンクリートの経年劣化は避けられませんが、決壊、崩落の恐れがあることを念頭に、このようなクラックスケールを用いて定期点検を実施しています。

クラックスケールの原理

用具の特徴として、クラックスケールの材質はプラスチック製、ステンレス、アルミ材などが多く出回っており、専門店でなくとも大抵のDIYショップで購入が可能です。安価なものでは300円位~からと手頃な価格です。

測定メモリも特徴的で0.05幅から2mm程度までの線幅が順番に印刷されています。10~15cm前後の長さで作業着ポケットにしまえるサイズのものが主流で、ステンレスなど金属スケールでは中ごろに透かし穴が開けてあるのが特徴です。

クラックを計測し警鐘する基準mmは、対象物により一概には決められません。床打ちのモルタルに1cmの幅があっても緊急補修するかは自由です。しかしマンション修繕のタイミングを考慮するとしては3mm幅でも大問題であるし、水槽ならば0.3mmでもモルタル修繕はいち早く検討したいところです。

そのような事例では、見つけたときにこまめに測定できるクラックスケールは大変利便性があるスケール用品です。

参考文献
https://concrete-mc.jp/crack-measurement/

かしめ工具

かしめ工具とは

かしめ工具

もともとかしめとは金属の板同士を変形させて繋ぎ合わす工法を言いますが、電線と端子を圧着して接続する際にもかしめという言葉が使用されます。

電線に端子を繋げる際には、専用のかしめ工具を使って端子を押しつぶして電線と強固に接続させますので、電気配線の接続では幅広く使用されている工具です。

かしめ工具で圧着するので工具のみではんだは必要なく、電線の先端処理のみが必要ですので非常に簡単な作業となります。

かしめ工具の使用用途

かしめ工具は電線と端子を圧着して接続する以外にも留め具などを圧着して固定する際にも使用されています。

端子にはサイズや形状、スリーブの有無など様々な要素がありこれらの組み合わせにより多くの種類の端子があります。スリーブの有無は使用するかしめ工具の形状も異なりますので、使用に適さないかしめ工具を使用して端子を圧着してしまうと圧着が不十分となり端子が敗戦から抜けやすくなりますので使用の際には気を付ける必要があります。

かしめ工具の原理

かしめ工具を使用して電線に端子を圧着する際にはまず電線の被膜を剥く必要があり、この作業にもワイヤストリッパなどと言われる専用の工具が使用されます。かしめ工具にはこのストリッパの機能や電線を切断する機能が付いているものもあり、このようなタイプの工具は電工ペンチなどと呼ばれています。

電線の被膜を剥くと金属がむき出しになります。この金属と端子が直接繋がっていないと電気は流れません。そして端子の穴に電線の金属部分を差し込んでかしめ工具にセットします。セットしたのちに片手でかしめ工具を握ることで圧着できます。かしめ工具は一度握ると元に戻らないように出来ていますので、圧着に失敗しても途中でやり直しはきかずに最後まで握り込まなければなりません。最後まで握り込むとリリースされて持ち手がフリーになり元の位置に戻るようになっています。このため、失敗すると失敗した部分を切り捨てて初めからやり直さなければなりません。

かしめ工具は圧着工具と呼ばれる

「かしめ工具」はよく「圧着工具」と呼ばれます。現場では「圧着、圧着」と呼ばれています。かしめ工具(圧着工具)では、何をかしめるのかによって専用の工具が必要です。「端子」と呼ぶことがありますが、「圧着端子」「リベット」「リングスリーブ」「スナップボタン」などかしめるものの種類はたくさんあります。少し効率が悪いことに、これら端子やリベットですが、サイズも数種類あり、大きさごとに専用の工具が必要です。電気工事士が使うリングスリーブ用の圧着工具は極小(〇)、小、中、大の4種類が1つの工具でかしめられるものがあります。
しかし、圧着端子などはサイズごとに1つの工具が必要で、たくさんの種類を使うほど工具がたくさん必要なので、出来るだけ種類を絞った方がコストパフォーマンスが良くなります。

100均のかしめ工具

100均の「かしめ工具」と言えば、「スナップボタン」をかしめることができる「かしめ打ち具」とか「スナップパンチ」とか呼ばれているものです。電気工事などに使う「圧着工具」などは置いているのを見たことがありません。

プロの電気工事士が100均の工具で現場作業をしているのもお客さんの立場から考えると困ってしまいます。圧着端子用やリベット、リングスリーブ用は、工具専門店やホームセンターで手に入ります。ネット通販の方がたくさんの種類があって便利です。実際に握って試せないのが玉に瑕です。

かしめ工具の代用になるもの

かしめ工具が手元にない時、代用になるものを探してしまいます。例えば、ラジオペンチや、ペンチ、などが候補に挙がるのですが、あまりおすすめは出来ません。かしめるだけが目的ならば使えないことはないのですが、求める機能を果たせなかったり、見た目が悪くなったりしてしまいます。かしめた時は良かったけれど、その後必要な時に外れてしまうのが最悪です。

かしめ工具でリベットをかしめる

リベットは、釘のような形状をしています。かしめ工具でその釘の形状の部品を引き抜くことで、その先についた部品が押しつぶされ2つ以上の物をかしめることができます。この作業は専用のかしめ工具以外ではほとんど無理です。リベットも「ブラインドリベット」、「ソリッドリベット」、「平リベット」など形状によって呼び名があります。それぞれについて専用のかしめ工具が必要なので、リベットに合った工具を準備しましょう。

参考文献
https://diytools1.com/2016/04/10/post-13890/
https://www.diylabo.jp/basic/basic-87.html
https://sewingschool.hapimade.com/hook/

荷重測定器

荷重測定器とは荷重測定器

荷重測定器 (英: load measuring instrument) とは、物体を引張る力や押す力を測定する機器です。

代表的な荷重測定器は、フォースゲージロードセルトルク計などの種類があり、それぞれの測定器で検出できる力の種類が異なります。

例えば、フォースゲージは押し引きなどの動作時に発生する力を測定し、ロードセルは力の変換器として使用され、また、トルク計は回転やねじれの力を測定します。

荷重測定器の使用用途

荷重測定器は、材料の硬度や機器を操作する際に発生する力の大きさや様々な物体にかかる力の大きさなどを数値で表すために使用されます。

1. フォースゲージ

フォースゲージは、主に手で持って、測定対象に直接押し引きの作用を行う場合に使用されます。例えば、ファスナーやシャッターの開閉などの動作時にかかる力の測定です。

また、フォースゲージをスタンドに固定して測定を行うことで、均一で再現性のある測定が可能です。そして、測定対象の硬度試験や開閉試験などの用途にも使用されます。

2. ロードセル

ロードセルは、主に装置などに取り付けて荷重測定のための変換器として使用されます。測定対象によって、使用するロードセルの大きさや形が異なり、小型から大型の形状まで幅広くあります。

3. トルク計

トルク計は、回転トルクやひねり力などを測定する際に使用します。測定対象か、トルク計のどちらかを手で持って、持っていない方に締め付けや開閉動作を行って測定します。

キャップの開け閉め力の測定や、ねじ締め動作力の測定などに用いられるケースも多いです。そのほか、エンジンなどの出力トルクの測定や、回転機械の負荷トルクの測定用途もあります。

荷重測定器の原理

フォースゲージは、押し引きの動作力や、剥離・摩擦などで生じる力を測定します。ばねを利用するタイプと、ロードセルを内蔵するタイプがあります。

ばねを利用するタイプは、荷重によるばねの変形量を機械的に指示する方式です。ロードセルは、計測した力を電気信号に変換することで数値化します。変換する方式はいくつかあり、中でもひずみゲージ式がもっとも多く使用されています。

力がかかることで変形した量からひずみを測定することができるひずみゲージを用いる方法です。この他、ピエゾ圧電式・金属薄膜式・静電容量式・光ファイバー式などが使われるケースもあります。

トルク計は、回転動作における力を測定するため、回転軸のねじれ角度の変化を位相差として感知し、これを電気信号に変換して測定します。

荷重測定器のその他情報

1. 荷重測定器とロードセル

デジタル表示をする荷重測定器は、ロードセルを使って荷重を検出します。ロードセルとは、金属にひずみゲージを貼った荷重センサーです。ロードセルの金属部は荷重容量によって設計されており、荷重により金属が変形する量をひずみゲージの伸縮で抵抗値の変化に置き換え、それを電気的に増幅して荷重値に変換します。増幅した荷重をデジタルの表示計に表示します。

ロードセルを使った荷重測定器は、荷重値の表示精度が高いです。ただし、衝撃や過荷重により金属が塑性変形を起こしやすく、荷重測定器のロードセル部分の取扱いには注意が必要です。落下させない、衝撃を与えない、過荷重が加わえないなどが重要になります。

2. テンションゲージ

テンションゲージは、駆動ベルト、チェーンなど、伝動するために張られた張力を計測する荷重測定器です。張力は、2点間に引っ張られた力を言い、2点間の距離・引張方向に対し垂直方向へ加えた荷重と、この荷重によるベルトなどの「たわみ」を使用して計算で算出します。

伝動ベルト以外にも、印刷用輪転機の用紙が張られる力や、機織りでの糸の張られた力、鋼板ロールからプレス機に送られる鋼板の引っ張られる力なども同様に計測します。テンションゲージと呼ばれるものは、アナログタイプとデジタルタイプの2種類です。

たわみ量が同時に計測できるもの、規定された2点距離をゲージの機構として保持して、張力を独自の規格で表示するものがあります。また、デジタル・アナログのフォースゲージそのものを指す場合もあります。

参考文献
https://www.forcegauge.net/faq/56788.html
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/h_torque2.htm
https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcetthowto/
https://www.forcegauge.net/mesurement/used/top
https://www.forcegauge.net/know-how/measurement
https://tml.jp/knowledge/transducers/load_cell-example.html
https://www.toyo.co.jp/files/user/img/product/mecha/pdf/MAG_TMTFRTLB.pdf

溶接用保護具

溶接用保護具とは

溶接用保護具

溶接用保護具は、溶接作業時に安全に溶接作業を行うために身につける各種保護具です。例えばアーク溶接では、火花や強烈な光から体を守る必要がありますし、感電にも注意する必要があります。このため、事故や怪我を起こさなためにも作業に適した服装で作業することが重要です。

アーク溶接では主に以下の保護具を身につけて作業する必要があります。
例えば、溶接用保護面、安全帽、遮光メガネ、防塵マスク、腕カバー、前掛け、溶接用革製保護手袋、安全靴、足カバーなどです。

溶接用保護具の使用用途

溶接に必須な保護具の使用用途は以下の様なものです。

  • 溶接用保護面
     溶接時に発生する有害光線から作業者の目を保護し、スパッタなどから顔面や頭部を保護します。
  • 防塵マスク
     アーク溶接ではフェーム等の粉塵が舞うために、これらを吸い込まないようにする必要があります。
  • 前掛け
     溶接時には火花が飛ぶため、燃えにくい服装で作業する必要があります。化繊や綿などは燃えやすいため、革製の前掛けが適しています。
  • 溶接用革製保護手袋
     前掛けと同様に燃えにくく、熱が伝わりにくい素材であることが必要なため、革製の手袋が最適です。

溶接用保護具の原理

ここでは溶接用保護具のうち、主に溶接用保護面について説明します。

溶接用保護面はJISで規定されており、主な形状としてヘルメット形とハンドシールド形があり、ヘルメット形にはヘッドギアタイプと安全帽取り付けタイプに分かれます。どちらのタイプも溶接を行う際に発生する紫外線や強烈な可視光線から目を守ることと、溶接時に飛び散るアークやスパッタから顔や頭部、のどを保護するために使用します。

どのタイプの溶接用保護面にもシールドが装備されていますが、シールドに採用されている主な材質はアクリルポリカーボネートになります。これらは二種類の素材は、耐衝撃性や耐熱性、対薬性に違いがあるため、作業に適したシールドを選定する必要があります。  

溶接用保護面はJISで規定されていますが、指定品目ではないためJISマークの付く製品はありません。ただし、溶接用保護面を選ぶ基準としては着用者の視界を妨げず、シールドが自由に交換出来るものを選択すると良いでしょう。また、溶接時の光線が溶接用保護面の細部からもれない事も重要な確認項目の1つになります。

参考文献
http://www.monozukuri.org/mono/db-dmrc/arc-weld/case/skill/sk16.html
https://job-con.jp/guide/navi252

耐摩耗鋼板

耐摩耗鋼板とは

耐摩耗鋼板とは、非常に優れた耐摩耗性を持つ鋼板のことです。

摩耗とは物質同士の接触や摩擦によって表面が削れる現象のことであり、機械部品や建築材料など、幅広い分野で問題となっています。耐摩耗鋼板は摩耗に強く耐久性が高いため、過酷な環境下で使用される部品や機械に用いられます。また、一般的な鋼板に比べて薄くても十分な強度を持つため、部品の軽量化にも貢献します。

しかし、耐摩耗性を向上させるために、鋼材には硬質な素材が用いられているため、加工が困難であるというデメリットもあります。そのため製造コストが高くなってしまう場合もあります。

材料は炭素鋼がベースで、クロム、マンガン、モリブデン、バナジウムなどの合金を加えることにより硬度や強度を高めます。また、耐摩耗性だけでなく耐食性や耐熱性などの特性を持つ製品もあります。

耐摩耗鋼板の使用用途

耐摩耗鋼板は、建設機械の分野で使用されることが多いです。建設機械は土砂や岩石といった強い摩擦力を生み出す材料を扱うため、部品の耐久性が求められます。そのため、耐摩耗鋼板が使われます。

例えば、ブルドーザーやダンプトラックの排土板、油圧ショベルのバケット部分など、長時間使用される部分には耐摩耗鋼板が必要です。部品が劣化することで生じるコストやダウンタイムを減らすため、強度や摩耗性に優れた素材が必要だからです。

また、農業機械や鉱業機械、製鉄所の設備などでも耐摩耗鋼板が使用されています。機械や設備では、異物混入や高温・高圧などの過酷な環境下での使用が求められます。そのため、強度や摩耗性だけでなく、耐食性や耐熱性といった性能が必要です。

耐摩耗鋼板の原理

耐摩耗鋼板は、鋼材表面に特殊な合金層を形成することにより耐摩耗性を向上させています。

合金層は、主にクロム、マンガン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、ボロン、タングステンなどの元素で構成されています。これらの元素は、鋼材表面に薄い層を形成し、表面を硬化させることが可能です。この硬化した表面は、高い耐摩耗性を持ちます。

また、耐摩耗鋼板は鋼材中に特殊な結晶構造を持つことも特徴のひとつです。結晶構造は鋼材の内部に微小な結晶を形成することで、表面硬度を高める効果があります。結晶構造により、鋼材は耐摩耗性を持つだけでなく強度も向上します。

耐摩耗鋼板のその他情報

1. 耐摩耗鋼板の溶接

耐摩耗鋼板を使用する建設機械用のバケットや排土板などの構造物は、ねじ止めなどの機械締結だけでは作製することができず溶接による接合が必要になる場合があります。

耐摩耗鋼板では、一般的にMAG溶接や被覆アーク溶接などが広く利用されますが、溶接による接合部に要求される特性や施工の状況によって注意すべき点が3つあります。

接合部に耐摩耗特性が必要かどうか
接合部が土砂などと接触する部分でない場合は耐土砂特性が必要でないため、溶接棒も広く選択できます。接合強度だけを考慮すればよいため同種の耐摩耗鋼でなくても良く、溶接性に優れる軟鋼や予熱の必要がないオーステナイト系ステンレス溶接材など、構造物や施工ニーズに合わせることが可能です。

一方で、接合部にも耐摩耗性が要求される場合は、溶接性に優れる耐摩耗鋼を選択する必要があるため、選択肢が狭まります。また、耐摩耗鋼は鋼板の状態で性能が最高となるように設計され作りこまれていますが、接合時に加わる熱によって軟化し耐摩耗性が低下するため、高温での軟化抵抗を向上するシリコン (Si) 添加量が多い耐摩耗鋼などを選択する必要があります。

溶接割れの発生
耐摩耗鋼板はで高い耐摩耗性を発現させるために、炭素やクロムなどの合金元素が大量に添加されていて、溶接割れの感受性の指針の一つである炭素等量が高くなっています。

炭素等量が高いほど耐摩耗特性は高くなりますが、一方で溶接割れがしやすくなるため溶接の際に脆化の原因となる水素の混入を低減したり、予熱により拘束力を低下させるなどの工夫が必要です。

予熱温度の管理
耐摩耗鋼板は一般的に200℃以上の温度に曝されると材料が軟化して、耐摩耗性が低下するため、溶接による熱影響や溶接割れの防止目的で施される予熱によって耐摩耗性などの低下に注意する必要があります。溶接後の残留応力の開放や組織健全化を目的とした後熱処理は基本的に施しません。 

2. 耐摩耗鋼板の熱処理

耐摩耗鋼板では、オーステナイト域から急冷し硬質で耐摩耗性に優れるマルテンサイトを得る「焼入れ」と、靭性を向上させて割れにくくさせる「焼戻し」の2つの熱処理が特に重要になります。

焼入れでは、冷却速度が遅いと硬度が不十分で要求通りの耐摩耗性が得られない点に注意が必要です。焼戻しでは、温度が高すぎると靭性は向上しますが逆に硬さが低下して耐摩耗性が得られなくなるため、両方のバランスを考えた温度設定と管理が重要になります。

参考文献
https://seizotimes.com/%E8%80%90%E6%91%A9%E8%80%97%E9%8B%BC%E6%9D%BF
https://www.morikawa-tc.jp/hardox
https://www.weld.nipponsteel.com/techinfo/weldqa/detail.php?id=27TLDD2

精密切断機

精密切断機とは

精密切断機

精密切断機とは、高い精度で金属を切り出すことが可能な装置のことです。

JISB1010で「といし車を用いて工作物を切断する工作機械」と定義されており、特に精密切断機ではダイヤモンドやCBNホイール (立体晶窒化ホウ素) などの硬度が高い物質をといしに使用します。摩擦面が粗くならず、バリやカエリ、ホコリのない試料片を作成することが可能です。

また、CCDカメラを搭載した機種では、モニターで切断部を拡大できます。切断面の位置をより正確に決定することが可能となり、より精度の高い切断ができます。精密切断機は、電子部品や半導体などの製造業界をはじめ、自動車や航空機、医療機器など、さまざまな産業で幅広く利用されています。

精密切断機の使用用途

精密切断機は、その名の通り、さまざまな材料を切断するために使用されます。金属やセラミックス、合成樹脂、鉱物、生物試料、電子材料など幅広い分野で活躍しており、切断面の形状観察にも役立っています。SEM (走査電子顕微鏡) やマイクロスコープなどで観察されることが一般的です。

そのほか、電子部品や半導体、自動車や航空機の部品、さらには医療機器などの製造業界でも利用されています。産業では、精密さと品質が求められるため、精密切断機の重要性はますます高まると予想されています。

精密切断機を使用する大きなメリットは、チッピング (といしの刃先が丸く欠けてしまう現象) やクラック (切断試料に細かいヒビが入ってしまう現象) を防げることです。そのため、試料の品質を維持しながら切断作業を行えます。

精密切断機の原理

精密切断機は、高い硬度の砥石を用いて、金属やセラミックス、合成樹脂、鉱物、生物試料、電子材料などさまざまな素材を緻密に切断します。切断面は、SEM (走査電子顕微鏡) やマイクロスコープなどで形状観察を行うのが一般的です。精密切断機の利用により、チッピング (といしの刃先が丸く欠ける現象) やクラック (切断試料に細かいヒビが入る現象) を防げます。

精密切断機には、乾式タイプと湿式タイプがあります。乾式タイプは、試料に対して直接切断作業を行いますが、湿式タイプでは試料とといしの間に切削液が入り込むことで、焼付きを起こさずに切断することが可能です。

砥石には、ダイヤモンドやCBNホイール (立体晶窒化ホウ素) などの高い硬度を持つ材料が使用されており、精密切断機の高い切断精度を生み出しています。また、切断過程で発生する熱や摩擦を最小限に抑えることで、切断面のバリやカエリ、ホコリが無い試料片を作成可能です。

精密切断機のその他情報

精密切断機の制御方法

精密切断機には、試料と砥石の動きによって「上下動切断」「スライド切断」「振動切断」「スキップ切断」という4つの制御方法があります。湿式タイプでは、振動によって切削液が試料と砥石の間に入り込みます。

熱に弱く加工時に変形しやすい材料や、複雑な形状、硬度の高い材料も切断可能です。切削液はクーラントや切削油とも呼ばれ、水溶性と不水溶性の2種類があります。

水溶性切削液は作業環境の掃除のしやすさや引火しにくさから使用されることが多く、水溶性切削液にはエマルジョンタイプ、ソリューブルタイプ、ケミカルソリューションタイプがあり、JISによってA1種、A2種、A3種と規定されています。

さらに、試料の硬度に応じて砥石の回転速度を変えられる砥石の可変切断や、回転速度を一定にする砥石の周速制御切断が可能です。そのため、試料の硬度や形状に合わせて最適な切断方法を選択する必要があります。

参考文献
https://www.stc-jp.co.jp/products/kishu_search/setsudan/toishi_setsudan/

小型結束機

小型結束機とは

小型結束機

小型結束機とは、小包や雑誌、新聞の梱包、配線などを紐できつく縛り、結束できる機械です。

手で結束する場合、紐の間にすき間が出来て強く縛れないことがあります。小型結束機を使用した場合、増し締め用のレバーが備え付けられているため、簡単に結束の強度を調整でき、緩みなく結束できます。

片手でも操作できるため、日常家庭から電気工事の配線といった場面で効率的に結束作業を行うことが可能です。

小型結束機の使用用途

小型で汎用性も高く、家庭から産業、学術分野など様々な場面で使用されます。

小型結束機は、農産物や食品等の袋口を閉じたり荷物を紐で縛ってまとめたりする際に使用されています。

電気工事の現場では、簡単に配線を縛ってまとめることができるため、よく使用されています。細い配線などであれば、結束機を使わずとも縛ることはできますが、工事用の太い配線などでは小型結束機が便利です。また、網状のネットが破損した場合にも、小型結束機により簡単に補修できます。

小型結束機の原理

小型結束機は、機械に結束用のバンドを装着し対象に仮に縛り付けます。手元のレバーを引くことで徐々に片側の紐が送り出され、縛る強度が高まります。

結束用としてよく使われるバンドは、PET (ポリエステル) 、PP (ポリプロピレン) といった素材が代表的です。バンドの表面には細かい凹凸が刻印されており、滑り止めの役割を果たしています。

参考文献
https://www.askul.co.jp/s/14-1405-1405002-14010050005/
https://www.bildy.jp/mag/reinforcingbarbindingmachine-guide/
https://www.webshiro.com/syouhinsetumei5/MB11SL-KP.html