タイヤゲージ

タイヤゲージとは

タイヤゲージ

タイヤゲージとは、タイヤの空気圧 (タイヤ内圧) の測定や空気圧を調整する器具です。

エアゲージもしくはマスターゲージとも呼ばれます。交通事故を防止するため、自動車のタイヤ空気圧は日常的に確認および調整することが大切です。

タイヤ空気圧が低下している状態で走行するとスタンディングウェーブ現象が起き、タイヤが異常加熱を引き起こして走行中にバーストします。タイヤの空気圧が低下した状態では走行抵抗が増え、ハンドル操作力が重くなり、燃費にも悪影響を及ぼします。

タイヤゲージの使用用途

タイヤゲージはタイヤの空気圧を測定するために使用され、タイヤ内圧が不十分な場合には空気や窒素ガスを補充します。

タイヤの空気圧は一般にタイヤ自体が完全に冷えている状態の際の空気圧を計測します。真夏と真冬では気温差があるため、真夏に適正な空気圧に設定していたとしても真冬になると空気圧が適正でなくなる場合が多く、冬前に一度はタイヤゲージを使用しての空気圧測定が推奨されます。一般的に推奨される点検頻度は2ヶ月に1度程度です。

自動車のタイヤに空気を充填するにはエアコンプレッサが必要となるため、ガソリンスタンドなどでエア充填装置を借用し補充します。

タイヤゲージの原理

タイヤゲージの空気圧測定方法は、内部の構造としてピストンを使用した方法が主流です。タイヤのエアバルブにタイヤゲージを接続すると、内部に構成されているバネと一体化されたピストンが、タイヤ内部からの空気圧によって押し出されてタイヤゲージ内部を移動し、その移動量により位置を空気圧表示に変換して、数値がメーター表示されます。

また、棒状での簡易的な表示形式のタイヤゲージにも、上記のピストン構造が内部搭載されています。ピストンの位置をそのままゲージに表示することができ、目盛りを読み取ることで空気圧を測定します。

ピストンが内蔵されているダイヤル表示タイプは、ピストンの移動量を回転式のメーターでその位置を変換することにより、空気圧表示を読み取る構造です。いずれの表示方式にも内部ストッパーが内臓され、測定した値の最高値を記憶して読み取る仕組みです。

また、ダイヤル式タイプにはブルドン管式も存在します。ブルドン管式とは、タイヤゲージ内部構造に楕円形をした金属パイプが入っており、空気圧でその金属部品を変形させることにより空気圧を測定し、メーター表示させる方式です。ピストン式よりもブルドン管式の方が測定精度が高い傾向にあります。

タイヤゲージの選び方

タイヤゲージのタイプを大まかに分類すると、計測した値ををダイヤル形式で表示するものや、棒状のゲージで表示するタイプもの、及びデジタル表示式などが存在します。価格は空気圧の測定精度によって上下します。

使用用途に応じてタイヤゲージに精度を求める場合は、価格相応の物を選択し、精度の高いタイヤゲージで計測することが大切です。

日本国内で基準テストをクリアして正規認証を獲得しているタイヤゲージには、日本工業規格であるJISマークが入っています。このマークがない場合は性能・精度の根拠について確からしさが欠けるため、購入時はこの様なマークを判断材料とします。

タイヤゲージのその他情報

1. タイヤ空気圧を調整する際のコツ

タイヤは空気圧によってトレッドの摩耗状態が若干変わります。例えば、タイヤ空気圧を高めに設定すると、タイヤのトレッド中心部分が摩耗しやすくなります。反対に、タイヤ空気圧を低めに設定するとタイヤのトレッド両端部分が摩耗しやすくなります。タイヤの摩耗状態をよく観察して、バランスよく使用するように空気圧を調整すると長持ちさせることが可能です。

2. タイヤゲージの精度

タイヤゲージで正確な空気圧の値を測定するためには、タイヤ本体の状態を良く確認する必要があります。

激しい走行後のタイヤは熱を持っており、内部の空気が膨張しているため走行直後は正確な値が表示されない可能性があります。正確にタイヤ空気圧を測定するためには、自動車を屋内のアスファルトやコンクリート上に移動させ、タイヤを十分に冷ました状態で測定することが重要です。

タイヤゲージの精度は製品によって誤差の大きさが異なります。低価格のタイヤゲージは、空気圧の誤差は大きくなり、競技車両などでは使用が難しいです。インチアップされたタイヤや低扁平率のタイヤを履いている場合はタイヤが引っ張られる傾向があり、空気圧の誤差が走行中のバーストに繋がるため危険です。

3. タイヤゲージの校正

タイヤゲージを長期間使用し続けていると徐々に誤差が発生するため、定期的な校正が必要です。一番正確な方法はタイヤメーカーから校正器材を借りて実施する方法です。

校正機本体にコンプレッサからのエアホースを接続して一定の値になる空気圧に調整します。次にタイヤゲージを校正機のバルブに接続し、校正機側とタイヤゲージ側の数値が同じかどうかを確認します。誤差がある場合は校正機側の数値と同じ値になるようにタイヤゲージ側を調整します。一致するまでこの工程を繰り返すことで校正が完了します。

参考文献
https://www.goo-net.com/pit/magazine/110286.html
https://www.diylabo.jp/column/column-878.html
https://carby.b-engineer.co.jp/car_100503/car_100515/1031754

蒸気発生装置

蒸気発生装置とは

蒸気発生装置

蒸気発生装置は、水を加熱することによって蒸気を生成する装置です。

電気を使用して水を加熱して蒸気を得る方法と、タービンや燃焼炉などがある場合は、そこから発生する熱を使用して水を加熱し蒸気を得る方法があります。電気を使用して蒸気を得る方法としては、電極式と電熱式があります。飽和蒸気をさらに加熱することによって、過熱蒸気を生成する装置もあり、加熱蒸気は蒸気機関や発電の動力源や殺菌や乾燥などに使用されます。

蒸気発生装置の使用用途

蒸気発生装置は、食品の生産工場、セラミックス製品の製造工場、化学製品の製造プラント、医療機器の製造現場などで使用されます。主な使用例としては、蒸気発生器から発生させた蒸気を使用して、食品の加熱や殺菌、セラミックス製品や化学製品の加熱、威力機器の殺菌などになります。

蒸気発生装置の選定の際には、発生させる蒸気量や蒸気の圧力、発生させる蒸気の種類、蒸気の温度、消費電力やサイズ、メンテナンス性などを考慮する必要があります。

蒸気発生装置の原理

蒸気発生装置は、給水部と蒸気生成部、蒸気の吐き出し部で構成されています。蒸気生成部では、生成方法の違いによって、電極式と電熱式、外部からの熱供給式に分類することができます。それぞれの動作原理について説明します。

電極式

水が入っている容器、2つの電極で構成されています。使用する水は、蒸留水ではなく、不純物が含まれている水を使用する必要があります。動作時は、電極にそれぞれ電圧を印加すると、不純物が移動することによって、エネルギーが生じ、そのエネルギーによって、水が蒸発することで、蒸気を得ます。使用する水の種類によっては、電極に塩が付着する可能性があるため、注意が必要です。

電熱式

電熱式は、電源に接続された電熱棒と水が入っている容器で構成されています。動作時は、電熱棒に電気が流れると電熱棒が発熱し、その発熱によって水を蒸発させ、蒸気を得ます。

外部からの熱供給式

ガスタービンや蒸気タービン、燃料炉などがある工場においては、それらから発生する熱を回収し、水を加熱することで蒸気を得ます。外部からの熱が蒸気を発生させる熱に満たない場合は、追加で加熱などを行います。 

参考文献
https://www.wetmaster.co.jp/about/knowledge/formula/steam_formula/
https://kita-boiler.co.jp/business/vs/

クラックスケール

クラックスケールとは

クラックスケール

クラックスケールとは、その名称通り、RC建造物やコンクリート塀、庇などのひび割れを測定する定規である。構造物における耐震補強のための補修、修繕の目安は解離幅が0.5cm以上とされているが、ひび割れの走行が大きい場合は、このクラックスケールを用いて修繕の必要性を検討する。

他、ペン型スケールや超音波診断測定器、CTスキャンなどと組み合わせることによって、老朽の度合いを検証でき、更なる詳細な測定診断が可能になります。

クラックスケールの使用用途

使用例では、塗り壁などのモルタル収縮で起きる収縮クラックの測定、塗膜の劣化から起こるヘアークラック、構造物の不同沈下から起こる構造クラックの測定に使用されています。

巨大な貯水水槽などのRC構造物においては、水分やイオンの勾配でコンクリートのPhが狂い中性化してしまうものです。コンクリートの経年劣化は避けられませんが、決壊、崩落の恐れがあることを念頭に、このようなクラックスケールを用いて定期点検を実施しています。

クラックスケールの原理

用具の特徴として、クラックスケールの材質はプラスチック製、ステンレス、アルミ材などが多く出回っており、専門店でなくとも大抵のDIYショップで購入が可能です。安価なものでは300円位~からと手頃な価格です。

測定メモリも特徴的で0.05幅から2mm程度までの線幅が順番に印刷されています。10~15cm前後の長さで作業着ポケットにしまえるサイズのものが主流で、ステンレスなど金属スケールでは中ごろに透かし穴が開けてあるのが特徴です。

クラックを計測し警鐘する基準mmは、対象物により一概には決められません。床打ちのモルタルに1cmの幅があっても緊急補修するかは自由です。しかしマンション修繕のタイミングを考慮するとしては3mm幅でも大問題であるし、水槽ならば0.3mmでもモルタル修繕はいち早く検討したいところです。

そのような事例では、見つけたときにこまめに測定できるクラックスケールは大変利便性があるスケール用品です。

参考文献
https://concrete-mc.jp/crack-measurement/

かしめ工具

かしめ工具とは

かしめ工具かしめ工具とは、金属などの物体を塑性変形させることで2つの部品を密着させる工具です。

かしめ工具の「かしめ」は、加締めに由来すると言われています。例えば、電気配線において、圧着端子と電線を密着させる際に、圧着端子のバレルの部分に電線をあててバレルを塑性変形させて、電線を包み込むように密着固定させます。この際に使用する工具は圧着工具とも言われる、かしめ工具の一種です。

その他のかしめ工具には、リベットを用いて2つの部品をつなぎ合わせるリベッターなどがあります。

かしめ工具の使用用途

かしめ工具は電線と端子を圧着して接続する作業や、リベットなどの接合部品を塑性変形させて2つの部品を固定する作業などに使用されています。

1. 圧着端子用

圧着端子には、バレルのサイズや形状、スリーブの有無など様々な種類の端子があります。その端子の使用に適さないかしめ工具を使用して端子を圧着してしまうと、圧着が不十分となり電線が端子から抜けやすくなります。従ってかしめ工具を使用する際には圧着端子の形状にあった工具を選ぶ必要があります。

2. リベット留め用

リベット留めに使用する手動の工具もかしめ工具に含まれます。リベット留めには、接合する2つの部品の両面からアクセスできる場合と、片面からしかアクセスできない場合があります。片面からしかアクセスできない接合に使用するリベットのことをブラインドリベットと言い、ブラインドリベットを使用した接合作業に使用する工具をリベッターとも言います。

なお、手動ではかしめできない大きなリベットを使った接合や、多数のリベットを高速でかしめる工程などでは、カシメ機という電力サーボや油圧、空気圧等を利用した機械が使用されます。

かしめ工具の原理

かしめ工具は、金属や樹脂などの接合部品を塑性変形させることで、対象となる部材どうしを接合させます。塑性変形とは、強い圧力を加えることで、圧力を加えられた物体の形状が変化して元の形に戻らない変形のことを言います。

圧着端子の塑性変形では、バレルと呼ばれる円筒形の部分に、電線を通してからバレルを小さく潰してしまうことで、圧着端子と電線が密着します。

リベットのかしめでは、接合する2つの部材に穴を開けて、その穴を重ね合わせます。その穴を貫通させる形でリベットの胴体を通します。そして、穴の反対側に出てきたリベットの胴体に強い圧力を加えて、リベットの頭と同じように、穴の直径よりも大きくしてしまうことで、リベットが抜けなくなります。

かしめ工具の構造

1. 圧着端子用のかしめ工具

圧着端子用のかしめ工具はペンチに似た形をしています。

かしめ工具を使用して電線に圧着端子を圧着する際には、まず電線の被膜を剥く必要があります。この作業にはワイヤストリッパなどと言われる専用の工具が使用されます。かしめ工具にはこのストリッパの機能や電線を切断する機能が付いているものもあります。ストリッパの機能を備えたかしめ工具は、電工ペンチとも言われます。

圧着端子のバレル部分に電線の金属部分を差し込んでかしめ工具にセットします。セットした後に片手でかしめ工具を握ることで圧着できます。かしめ工具は一度握ると元に戻らないようにできていますので、圧着に失敗しても途中でやり直しはきかずに最後まで握り込まなければなりません。最後まで握り込むとリリースされて持ち手がフリーになり元の位置に戻るようになっています。このため、失敗すると失敗した部分を切り捨てて初めからやり直さなければなりません。

2. リベット用のかしめ工具

リベットのかしめ方法には、プレスカシメ、スピンカシメ、ブラインドカシメなどの種類があります。このうち、プレスカシメとスピンカシメは比較的大きなリベットをかしめるときに使用され、強い圧力や回転力を必要とします。

手動のかしめ工具を使用したかしめは、主にブラインドカシメで行われます。ブラインドカシメは、2つの部品を接合させる際に、片方からしか作業出来ない場合に用いる方法です。ブラインドリベットを、接合させる部材の穴に通した後で、リベットの円筒形状になった胴体に貫通しているマンドレルを手元側に引き抜き、リベット胴体の端部を変形させることによってカシメます。

ブラインドリベットの胴体部分は比較的細くて薄いため、小さな力でも変形できます。従ってハンディタイプのリベッターが多く使用されています。

参考文献
https://diytools1.com/2016/04/10/post-13890/
https://www.diylabo.jp/basic/basic-87.html
https://sewingschool.hapimade.com/hook/

荷重測定器

荷重測定器とは荷重測定器

荷重測定器 (英: load measuring instrument) とは、物体を引張る力や押す力を測定する機器です。

代表的な荷重測定器は、フォースゲージロードセルトルク計などの種類があり、それぞれの測定器で検出できる力の種類が異なります。

例えば、フォースゲージは押し引きなどの動作時に発生する力を測定し、ロードセルは力の変換器として使用され、また、トルク計は回転やねじれの力を測定します。

荷重測定器の使用用途

荷重測定器は、材料の硬度や機器を操作する際に発生する力の大きさや様々な物体にかかる力の大きさなどを数値で表すために使用されます。

1. フォースゲージ

フォースゲージは、主に手で持って、測定対象に直接押し引きの作用を行う場合に使用されます。例えば、ファスナーやシャッターの開閉などの動作時にかかる力の測定です。

また、フォースゲージをスタンドに固定して測定を行うことで、均一で再現性のある測定が可能です。そして、測定対象の硬度試験や開閉試験などの用途にも使用されます。

2. ロードセル

ロードセルは、主に装置などに取り付けて荷重測定のための変換器として使用されます。測定対象によって、使用するロードセルの大きさや形が異なり、小型から大型の形状まで幅広くあります。

3. トルク計

トルク計は、回転トルクやひねり力などを測定する際に使用します。測定対象か、トルク計のどちらかを手で持って、持っていない方に締め付けや開閉動作を行って測定します。

キャップの開け閉め力の測定や、ねじ締め動作力の測定などに用いられるケースも多いです。そのほか、エンジンなどの出力トルクの測定や、回転機械の負荷トルクの測定用途もあります。

荷重測定器の原理

フォースゲージは、押し引きの動作力や、剥離・摩擦などで生じる力を測定します。ばねを利用するタイプと、ロードセルを内蔵するタイプがあります。

ばねを利用するタイプは、荷重によるばねの変形量を機械的に指示する方式です。ロードセルは、計測した力を電気信号に変換することで数値化します。変換する方式はいくつかあり、中でもひずみゲージ式がもっとも多く使用されています。

力がかかることで変形した量からひずみを測定することができるひずみゲージを用いる方法です。この他、ピエゾ圧電式・金属薄膜式・静電容量式・光ファイバー式などが使われるケースもあります。

トルク計は、回転動作における力を測定するため、回転軸のねじれ角度の変化を位相差として感知し、これを電気信号に変換して測定します。

荷重測定器のその他情報

1. 荷重測定器とロードセル

デジタル表示をする荷重測定器は、ロードセルを使って荷重を検出します。ロードセルとは、金属にひずみゲージを貼った荷重センサーです。ロードセルの金属部は荷重容量によって設計されており、荷重により金属が変形する量をひずみゲージの伸縮で抵抗値の変化に置き換え、それを電気的に増幅して荷重値に変換します。増幅した荷重をデジタルの表示計に表示します。

ロードセルを使った荷重測定器は、荷重値の表示精度が高いです。ただし、衝撃や過荷重により金属が塑性変形を起こしやすく、荷重測定器のロードセル部分の取扱いには注意が必要です。落下させない、衝撃を与えない、過荷重が加わえないなどが重要になります。

2. テンションゲージ

テンションゲージは、駆動ベルト、チェーンなど、伝動するために張られた張力を計測する荷重測定器です。張力は、2点間に引っ張られた力を言い、2点間の距離・引張方向に対し垂直方向へ加えた荷重と、この荷重によるベルトなどの「たわみ」を使用して計算で算出します。

伝動ベルト以外にも、印刷用輪転機の用紙が張られる力や、機織りでの糸の張られた力、鋼板ロールからプレス機に送られる鋼板の引っ張られる力なども同様に計測します。テンションゲージと呼ばれるものは、アナログタイプとデジタルタイプの2種類です。

たわみ量が同時に計測できるもの、規定された2点距離をゲージの機構として保持して、張力を独自の規格で表示するものがあります。また、デジタル・アナログのフォースゲージそのものを指す場合もあります。

参考文献
https://www.forcegauge.net/faq/56788.html
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/category/h_torque2.htm
https://www.unipulse.tokyo/techinfo/loadcetthowto/
https://www.forcegauge.net/mesurement/used/top
https://www.forcegauge.net/know-how/measurement
https://tml.jp/knowledge/transducers/load_cell-example.html
https://www.toyo.co.jp/files/user/img/product/mecha/pdf/MAG_TMTFRTLB.pdf

溶接用保護具

溶接用保護具とは

溶接用保護具

溶接用保護具は、溶接作業時に安全に溶接作業を行うために身につける各種保護具です。例えばアーク溶接では、火花や強烈な光から体を守る必要がありますし、感電にも注意する必要があります。このため、事故や怪我を起こさなためにも作業に適した服装で作業することが重要です。

アーク溶接では主に以下の保護具を身につけて作業する必要があります。
例えば、溶接用保護面、安全帽、遮光メガネ、防塵マスク、腕カバー、前掛け、溶接用革製保護手袋、安全靴、足カバーなどです。

溶接用保護具の使用用途

溶接に必須な保護具の使用用途は以下の様なものです。

  • 溶接用保護面
     溶接時に発生する有害光線から作業者の目を保護し、スパッタなどから顔面や頭部を保護します。
  • 防塵マスク
     アーク溶接ではフェーム等の粉塵が舞うために、これらを吸い込まないようにする必要があります。
  • 前掛け
     溶接時には火花が飛ぶため、燃えにくい服装で作業する必要があります。化繊や綿などは燃えやすいため、革製の前掛けが適しています。
  • 溶接用革製保護手袋
     前掛けと同様に燃えにくく、熱が伝わりにくい素材であることが必要なため、革製の手袋が最適です。

溶接用保護具の原理

ここでは溶接用保護具のうち、主に溶接用保護面について説明します。

溶接用保護面はJISで規定されており、主な形状としてヘルメット形とハンドシールド形があり、ヘルメット形にはヘッドギアタイプと安全帽取り付けタイプに分かれます。どちらのタイプも溶接を行う際に発生する紫外線や強烈な可視光線から目を守ることと、溶接時に飛び散るアークやスパッタから顔や頭部、のどを保護するために使用します。

どのタイプの溶接用保護面にもシールドが装備されていますが、シールドに採用されている主な材質はアクリルポリカーボネートになります。これらは二種類の素材は、耐衝撃性や耐熱性、対薬性に違いがあるため、作業に適したシールドを選定する必要があります。  

溶接用保護面はJISで規定されていますが、指定品目ではないためJISマークの付く製品はありません。ただし、溶接用保護面を選ぶ基準としては着用者の視界を妨げず、シールドが自由に交換出来るものを選択すると良いでしょう。また、溶接時の光線が溶接用保護面の細部からもれない事も重要な確認項目の1つになります。

参考文献
http://www.monozukuri.org/mono/db-dmrc/arc-weld/case/skill/sk16.html
https://job-con.jp/guide/navi252

耐摩耗鋼板

耐摩耗鋼板とは

耐摩耗鋼板とは、非常に優れた耐摩耗性を持つ鋼板のことです。

摩耗とは物質同士の接触や摩擦によって表面が削れる現象のことであり、機械部品や建築材料など、幅広い分野で問題となっています。耐摩耗鋼板は摩耗に強く耐久性が高いため、過酷な環境下で使用される部品や機械に用いられます。また、一般的な鋼板に比べて薄くても十分な強度を持つため、部品の軽量化にも貢献します。

しかし、耐摩耗性を向上させるために、鋼材には硬質な素材が用いられているため、加工が困難であるというデメリットもあります。そのため製造コストが高くなってしまう場合もあります。

材料は炭素鋼がベースで、クロム、マンガン、モリブデン、バナジウムなどの合金を加えることにより硬度や強度を高めます。また、耐摩耗性だけでなく耐食性や耐熱性などの特性を持つ製品もあります。

耐摩耗鋼板の使用用途

耐摩耗鋼板は、建設機械の分野で使用されることが多いです。建設機械は土砂や岩石といった強い摩擦力を生み出す材料を扱うため、部品の耐久性が求められます。そのため、耐摩耗鋼板が使われます。

例えば、ブルドーザーやダンプトラックの排土板、油圧ショベルのバケット部分など、長時間使用される部分には耐摩耗鋼板が必要です。部品が劣化することで生じるコストやダウンタイムを減らすため、強度や摩耗性に優れた素材が必要だからです。

また、農業機械や鉱業機械、製鉄所の設備などでも耐摩耗鋼板が使用されています。機械や設備では、異物混入や高温・高圧などの過酷な環境下での使用が求められます。そのため、強度や摩耗性だけでなく、耐食性や耐熱性といった性能が必要です。

耐摩耗鋼板の原理

耐摩耗鋼板は、鋼材表面に特殊な合金層を形成することにより耐摩耗性を向上させています。

合金層は、主にクロム、マンガン、モリブデン、バナジウム、ニッケル、ボロン、タングステンなどの元素で構成されています。これらの元素は、鋼材表面に薄い層を形成し、表面を硬化させることが可能です。この硬化した表面は、高い耐摩耗性を持ちます。

また、耐摩耗鋼板は鋼材中に特殊な結晶構造を持つことも特徴のひとつです。結晶構造は鋼材の内部に微小な結晶を形成することで、表面硬度を高める効果があります。結晶構造により、鋼材は耐摩耗性を持つだけでなく強度も向上します。

耐摩耗鋼板のその他情報

1. 耐摩耗鋼板の溶接

耐摩耗鋼板を使用する建設機械用のバケットや排土板などの構造物は、ねじ止めなどの機械締結だけでは作製することができず溶接による接合が必要になる場合があります。

耐摩耗鋼板では、一般的にMAG溶接や被覆アーク溶接などが広く利用されますが、溶接による接合部に要求される特性や施工の状況によって注意すべき点が3つあります。

接合部に耐摩耗特性が必要かどうか
接合部が土砂などと接触する部分でない場合は耐土砂特性が必要でないため、溶接棒も広く選択できます。接合強度だけを考慮すればよいため同種の耐摩耗鋼でなくても良く、溶接性に優れる軟鋼や予熱の必要がないオーステナイト系ステンレス溶接材など、構造物や施工ニーズに合わせることが可能です。

一方で、接合部にも耐摩耗性が要求される場合は、溶接性に優れる耐摩耗鋼を選択する必要があるため、選択肢が狭まります。また、耐摩耗鋼は鋼板の状態で性能が最高となるように設計され作りこまれていますが、接合時に加わる熱によって軟化し耐摩耗性が低下するため、高温での軟化抵抗を向上するシリコン (Si) 添加量が多い耐摩耗鋼などを選択する必要があります。

溶接割れの発生
耐摩耗鋼板はで高い耐摩耗性を発現させるために、炭素やクロムなどの合金元素が大量に添加されていて、溶接割れの感受性の指針の一つである炭素等量が高くなっています。

炭素等量が高いほど耐摩耗特性は高くなりますが、一方で溶接割れがしやすくなるため溶接の際に脆化の原因となる水素の混入を低減したり、予熱により拘束力を低下させるなどの工夫が必要です。

予熱温度の管理
耐摩耗鋼板は一般的に200℃以上の温度に曝されると材料が軟化して、耐摩耗性が低下するため、溶接による熱影響や溶接割れの防止目的で施される予熱によって耐摩耗性などの低下に注意する必要があります。溶接後の残留応力の開放や組織健全化を目的とした後熱処理は基本的に施しません。 

2. 耐摩耗鋼板の熱処理

耐摩耗鋼板では、オーステナイト域から急冷し硬質で耐摩耗性に優れるマルテンサイトを得る「焼入れ」と、靭性を向上させて割れにくくさせる「焼戻し」の2つの熱処理が特に重要になります。

焼入れでは、冷却速度が遅いと硬度が不十分で要求通りの耐摩耗性が得られない点に注意が必要です。焼戻しでは、温度が高すぎると靭性は向上しますが逆に硬さが低下して耐摩耗性が得られなくなるため、両方のバランスを考えた温度設定と管理が重要になります。

参考文献
https://seizotimes.com/%E8%80%90%E6%91%A9%E8%80%97%E9%8B%BC%E6%9D%BF
https://www.morikawa-tc.jp/hardox
https://www.weld.nipponsteel.com/techinfo/weldqa/detail.php?id=27TLDD2

精密切断機

精密切断機とは

精密切断機

精密切断機とは、高い精度で金属を切り出すことが可能な装置のことです。

JISB1010で「といし車を用いて工作物を切断する工作機械」と定義されており、特に精密切断機ではダイヤモンドやCBNホイール (立体晶窒化ホウ素) などの硬度が高い物質をといしに使用します。摩擦面が粗くならず、バリやカエリ、ホコリのない試料片を作成することが可能です。

また、CCDカメラを搭載した機種では、モニターで切断部を拡大できます。切断面の位置をより正確に決定することが可能となり、より精度の高い切断ができます。精密切断機は、電子部品や半導体などの製造業界をはじめ、自動車や航空機、医療機器など、さまざまな産業で幅広く利用されています。

精密切断機の使用用途

精密切断機は、その名の通り、さまざまな材料を切断するために使用されます。金属やセラミックス、合成樹脂、鉱物、生物試料、電子材料など幅広い分野で活躍しており、切断面の形状観察にも役立っています。SEM (走査電子顕微鏡) やマイクロスコープなどで観察されることが一般的です。

そのほか、電子部品や半導体、自動車や航空機の部品、さらには医療機器などの製造業界でも利用されています。産業では、精密さと品質が求められるため、精密切断機の重要性はますます高まると予想されています。

精密切断機を使用する大きなメリットは、チッピング (といしの刃先が丸く欠けてしまう現象) やクラック (切断試料に細かいヒビが入ってしまう現象) を防げることです。そのため、試料の品質を維持しながら切断作業を行えます。

精密切断機の原理

精密切断機は、高い硬度の砥石を用いて、金属やセラミックス、合成樹脂、鉱物、生物試料、電子材料などさまざまな素材を緻密に切断します。切断面は、SEM (走査電子顕微鏡) やマイクロスコープなどで形状観察を行うのが一般的です。精密切断機の利用により、チッピング (といしの刃先が丸く欠ける現象) やクラック (切断試料に細かいヒビが入る現象) を防げます。

精密切断機には、乾式タイプと湿式タイプがあります。乾式タイプは、試料に対して直接切断作業を行いますが、湿式タイプでは試料とといしの間に切削液が入り込むことで、焼付きを起こさずに切断することが可能です。

砥石には、ダイヤモンドやCBNホイール (立体晶窒化ホウ素) などの高い硬度を持つ材料が使用されており、精密切断機の高い切断精度を生み出しています。また、切断過程で発生する熱や摩擦を最小限に抑えることで、切断面のバリやカエリ、ホコリが無い試料片を作成可能です。

精密切断機のその他情報

精密切断機の制御方法

精密切断機には、試料と砥石の動きによって「上下動切断」「スライド切断」「振動切断」「スキップ切断」という4つの制御方法があります。湿式タイプでは、振動によって切削液が試料と砥石の間に入り込みます。

熱に弱く加工時に変形しやすい材料や、複雑な形状、硬度の高い材料も切断可能です。切削液はクーラントや切削油とも呼ばれ、水溶性と不水溶性の2種類があります。

水溶性切削液は作業環境の掃除のしやすさや引火しにくさから使用されることが多く、水溶性切削液にはエマルジョンタイプ、ソリューブルタイプ、ケミカルソリューションタイプがあり、JISによってA1種、A2種、A3種と規定されています。

さらに、試料の硬度に応じて砥石の回転速度を変えられる砥石の可変切断や、回転速度を一定にする砥石の周速制御切断が可能です。そのため、試料の硬度や形状に合わせて最適な切断方法を選択する必要があります。

参考文献
https://www.stc-jp.co.jp/products/kishu_search/setsudan/toishi_setsudan/

小型結束機

小型結束機とは

小型結束機

小型結束機とは、小包や雑誌、新聞の梱包、配線などを紐できつく縛り、結束できる機械です。

手で結束する場合、紐の間にすき間が出来て強く縛れないことがあります。小型結束機を使用した場合、増し締め用のレバーが備え付けられているため、簡単に結束の強度を調整でき、緩みなく結束できます。

片手でも操作できるため、日常家庭から電気工事の配線といった場面で効率的に結束作業を行うことが可能です。

小型結束機の使用用途

小型で汎用性も高く、家庭から産業、学術分野など様々な場面で使用されます。

小型結束機は、農産物や食品等の袋口を閉じたり荷物を紐で縛ってまとめたりする際に使用されています。

電気工事の現場では、簡単に配線を縛ってまとめることができるため、よく使用されています。細い配線などであれば、結束機を使わずとも縛ることはできますが、工事用の太い配線などでは小型結束機が便利です。また、網状のネットが破損した場合にも、小型結束機により簡単に補修できます。

小型結束機の原理

小型結束機は、機械に結束用のバンドを装着し対象に仮に縛り付けます。手元のレバーを引くことで徐々に片側の紐が送り出され、縛る強度が高まります。

結束用としてよく使われるバンドは、PET (ポリエステル) 、PP (ポリプロピレン) といった素材が代表的です。バンドの表面には細かい凹凸が刻印されており、滑り止めの役割を果たしています。

参考文献
https://www.askul.co.jp/s/14-1405-1405002-14010050005/
https://www.bildy.jp/mag/reinforcingbarbindingmachine-guide/
https://www.webshiro.com/syouhinsetumei5/MB11SL-KP.html

空気圧縮機

空気圧縮機とは

空気圧縮機

空気圧縮機とは、空気を高圧に圧縮する機械のことです。

コンプレッサとも呼ばれ、空気を吸い込んでピストンやローターなどの部品で圧力をかけて、タンクに貯めたり、ホースやパイプで送り出したりします。空気圧縮機は、工業や建設、医療などのさまざまな分野で利用されています。

それぞれの用途によって使用する圧力や空気量が変わり、圧縮空気を生成する空気圧縮機にも条件に応じて色々な種類があります。空気量や吐出圧力 (空気圧) によって、適した空気圧縮機の種類と大きさ (機器サイズ・出力) が決めらているのが一般的です。

空気圧縮機の使用用途

空気圧縮機は空気を高圧にする機械で、さまざまな用途に活用できます。

1. 土木・建設分野

ドリルやハンマー、レンチなどのエアーツールの動力源として用います。電動工具よりも軽くて小さくてパワフルで、火花や熱を発生しないので安全です。

2. 塗装分野

自動車や家具など、表面に均一に塗装するためのエアーブラシやスプレーガンにも圧縮空気が用いられます。この圧縮空気の供給源として空気圧縮機は使用されます。

3. 工業分野

圧縮空気は自動調節弁にも用いられます。この場合、DCSやPLCなどの制御機器からのデジタル調節電気信号をその出力に応じた空気圧信号に変換して、その空気圧を調節量として利用することが多いです。

4. その他

空気圧縮機から送られた高圧の空気を使って、埃やゴミを吹き飛ばして清掃する際に用いられます。電子部品や機械などの細かい部分に付着した汚れを除去できます。

また、空気圧縮機から送られた高圧の空気を使って、温度を下げたいときにも有用です。空気を急速に膨張させると、温度が低下します。この原理を利用して、食品や医薬品などの冷却に使われます。冷却用のエアーチラーが代表例です。

空気圧縮機の原理

空気圧縮機は、ボイル・シャルルの法則に基づいて動作します。ボイル・シャルルの法則とは、一定量の気体が温度が一定であれば、体積と圧力は反比例する法則です。

つまり、体積が小さくなれば圧力が大きくなります。空気圧縮機はこの法則を利用して、以下の順序で高圧の空気を作り、必要な場所に供給します。

1. 吸引

空気圧縮機は周囲の空気を吸引します。空気は吸引する際にフィルターで浄化され、異物や汚れが取り除かれます。

2. 圧縮

吸引された空気は、高速回転する圧縮機の内部で圧縮されます。これにより、空気の分子が密に詰まり、空気圧力が増加します。一般的なタイプの空気圧縮機には、ピストン型とロータリースクリュー型があります。

3. 貯蔵

圧縮された空気はタンク内に貯蔵されます。タンクは高圧空気を安定して供給できるようにするためのバッファーとして機能します。

4. 供給

貯蔵された圧縮空気は、バルブや調整器を通じて必要な場所に供給されます。エアツール、自動車のタイヤ、製造プロセス、または他のアプリケーションに使用される圧縮空気は、効率的にエネルギー源として利用されます。

空気圧縮機の種類

空気圧縮機は、圧縮方法によって以下の4つに分類されます。

1. 往復式コンプレッサ

ピストンとシリンダーで構成された空気圧縮機です。ピストンが往復運動して、シリンダー内の空気を圧縮します。レシプロ式は高圧にできますが、振動や騒音が大きく、熱を発生しやすいです。

2. 回転式コンプレッサー

ローターとハウジングで構成された空気圧縮機です。ローターが回転運動し、ハウジング内の空気を圧縮します。振動や騒音が小さく、熱を発生しにくいです。

3. 遠心式コンプレッサー

インペラ (羽根車) の遠心力により気体に速度エネルギーを与え、それを圧力に変換して気体を圧縮するコンプレッサです。大型化に適している一方で、高圧縮には適していません。

4. 軸流式コンプレッサー

翼型断面を有する翼を回転させることにより、気体を軸方向に流して圧縮するコンプレッサです。段階的に圧縮するため高圧縮にも対応可能で、大型化にも適しています。

空気圧縮機には、圧縮方法以外にも分類の仕方があります。圧縮段数 (1段、2段、多段) 、潤滑・シール方式 (給油式、ドライオイルフリー式、水潤滑式オイルフリー) 、冷却方式 (空冷、水冷) 、制御方式 (インバーター、アンロード制御、安全弁制御) 、形状 (タンクマウント型、パッケージ型) などが代表例として挙げられます。

参考文献
https://www.ihi.co.jp/compressor/technical-info/basic.html
https://www.anest-iwata.co.jp/compressor/tech/2.html