みがき棒鋼とは
みがき棒鋼とは、熱間圧延で製造されたコイルや棒鋼をさらに冷間引き抜きや冷間圧延、研磨などの工程によって仕上げた鉄鋼製品です。
みがき棒鋼は寸法精度が高く、表面が滑らかで光沢のある外観を持つのが特徴です。
製造工程では、まず酸化膜 (スケール) をショットブラストや酸洗いで除去し、その後、冷間引き抜きまたは冷間圧延によって目的の寸法に整えます。さらに矯正や切断、必要に応じて熱処理を行うことで、真直度の高い精密棒鋼に仕上げられます。
使用される材質は、機械構造用炭素鋼 (S45Cなど) 、合金鋼 (SCM435など) 、快削鋼 (SUM23、SUM24Lなど) 、ステンレス鋼 (SUS304、SUS303など) などです。形状も丸棒・六角棒・角棒・平棒などがあり、用途や設計要件に合わせて選定されます。
みがき棒鋼の使用用途
みがき棒鋼は、その高い寸法精度と美しい表面仕上げを生かして、機械・自動車・産業設備など多くの分野で活用されています。
1. 自動車部品
自動車分野はみがき棒鋼の最大需要先の一つです。シャフト、ピストンロッド、ドライブシャフト、ギア、ボルトなど、回転や摺動が生じる部品に多く使われます。これらの部品は高い強度と耐摩耗性、さらに滑らかな表面が求められるため、みがき棒鋼が最適です。特に、仕上げ精度の高さにより、後加工の研磨工程を省略できる場合もあります。
2. 産業機械・工作機械部品
工作機械や産業用設備では、スピンドル (回転軸) 、リニアガイド、シャフト、ギア部品などに使用されます。真直度の高いみがき棒鋼は機械の精密動作を支える重要な素材です。また、耐摩耗性と表面硬度のバランスに優れているため、長期間の使用でも寸法変化が少なく、安定した性能を維持できます。
3. 油圧機器・建設機械
油圧シリンダーのピストンロッドや建設機械の油圧軸部などにも使用されます。これらは高圧下で繰り返し動作するため、表面の滑らかさと耐摩耗性が重要です。みがき棒鋼の平滑な表面はシールの摩耗を防ぎ、油漏れを抑制する効果があります。
4. 家電・電子機器・装飾用途
見た目の美しさや精密な寸法が求められる製品にも適しています。例えば、家電製品の内部シャフト、オフィス機器の摺動部、さらには家具やディスプレイ什器の金属パーツなど、デザイン性と機能性を両立する素材として最適です。