タイフレキホース

タイフレキホースとは

タイフレキホース

タイフレキホースとは、特殊なコーティングを施したホースのことです。

アルミ箔やオレフィン系樹脂でコーティングすることによって気密性を高めたり、ガラスによる特殊コーティングによって耐熱性を高めたりしています。また、伸縮性が高く柔軟な動きが可能です。

一般的に軽量な物が多いため、動かしたり曲げたりすることが簡単にできます。用途に応じて様々なコーティングを施したタイフレキホースが用いられ、排気や吸気、特殊な気体の輸送に用いられます。

タイフレキホースの使用用途

1. 建築および建設業界

タイフレキホースは、建物や構造物の建設現場で水、ガス、燃料などの流体の供給に使用されます。その柔軟性により、狭いスペースや複雑な形状にも適応し、効率的な配管が可能です。

また、耐久性があり、長期間の使用にも耐えるため、建築プロジェクトで重要な役割を果たしています。

2. 農業および園芸

農業や園芸業界において、水や農薬の散布、灌漑などにタイフレキホースが活用されます。畑や庭園の広範なエリアに均一に水を供給したり、必要な薬剤を効率的に散布するのに役立ちます。その柔軟性と耐久性は、農作業の効率向上が実現可能です。

3. 工業用途

工業分野では、タイフレキホースが化学物質の輸送や流体の排出、機械への冷却水供給などに使用されます。さまざまな種類の液体やガスを効率的に輸送することができ、生産プロセスの円滑な運行に貢献します。

4. 自動車産業

自動車のエンジンルーム内で冷却水や油を輸送するためにタイフレキホースが利用されます。エンジンやエンジン周辺部品の適切な冷却や潤滑を確保するために欠かせない製品です。

5. 医療分野

タイフレキホースは、医療機器や医療設備においても使用されています。例えば、酸素供給や排泄物の輸送に活用され、患者のケアにおいて重要な役割を果たしています。

6. 一般家庭用途

タイフレキホースは一般家庭でも広く使用されており、洗濯機や飲料水の供給などに利用されます。その柔軟性により、家庭内でのさまざまな流体の取り扱いが簡便に行えます。

タイフレキホースの原理

1. 多層構造の柔軟性

タイフレキホースは複数の層から構成され、内側の層は流体が通る部分であり、耐久性のある素材で覆われています。その外側には、柔軟性を持つ層があり、ホース全体が曲げられたり伸縮したりする柔軟性を提供します。この多層構造により、ホースは多様な形状や方向に適応し、流体の供給や輸送が可能です。

2. 耐久性のある材料

タイフレキホースは、耐圧性と耐摩耗性のある特殊な合成材料で作られており、内部の流体を確実に保持するために、耐腐食性が高く、漏れを防ぐ性質を持つ素材が使用されます。外側の柔軟な層は、環境や使用条件に対する耐久性を高めるために設計されています。

3. フレキシブルな接続

タイフレキホースは、コネクタやジョイントを介して他の機器や配管に接続されます。この接続部分も特別に設計されており、ホースが曲がったり伸びたりする際にも、流体の漏れや遮断を最小限に抑える役割を果たします。これにより、安全で効率的な流体の輸送が実現可能です。

4. 温度と圧力の適応性

タイフレキホースは、広範な温度と圧力範囲で使用可能なように設計されています。高温環境や高圧状態下でも、内部の流体を適切に保持する能力を持ちます。また、低温環境下でも割れにくい素材が使用されており、多様な状況で安定した性能を発揮が可能です。

タイフレキホースの種類

1. 耐熱性ホース

この種類のタイフレキホースは、高温環境での使用に適しています。耐熱性のある特殊な素材を使用しており、高温の流体や蒸気の輸送において安定した性能を発揮が可能です。工業用ボイラーや加熱プロセスなど、高温が求められる場面で活躍します。

2. 耐圧性ホース

耐圧性の高いタイフレキホースは、圧力のかかる流体の輸送に使用されます。内部の材料や補強層の設計によって、高圧状態下でも流体の漏れを最小限に抑えることが可能です。石油やガス業界など、圧力が重要な産業で利用されます。

3. 化学耐性ホース

化学薬品や腐食性のある流体を取り扱う際に使用されるタイフレキホースです。内部の材料は耐薬品性に優れており、腐食や化学反応を防ぎます。化学プラントや製薬産業などで重要な役割を果たします。

4. 食品用ホース

食品や飲料の輸送に使用されるホースで、食品安全基準を満たす材料で作られています。食品工場やレストランなどで、衛生的かつ安全な流体の取り扱いを保証します。

5. 真空用ホース

真空状態での流体輸送に適したタイプです。内部の材料と構造により、真空下でもしっかりと流体を供給できます。半導体製造や研究機関などで使用されます。

6. 静電気放電防止ホース

静電気の放電を防ぐために導電性素材を使用したホースです。可燃性の液体やガスの取り扱い時に静電気による火災のリスクを軽減します。石油化学業界や粉体輸送で重宝されます。

参考文献
https://tigers.jp/product/detail/67
https://tigers.jp/product/detail/59
https://tigers.jp/product/detail/66

ハンドタップ

ハンドタップとは

ハンドタップ

ハンドタップとは、各種ボルトをねじ込むためのめねじを、切削加工によって形成する工具です。

下穴として開けられた穴につい加工するように使用し、手作業の切削加工によってねじ山を形成します。また、ハンドタップは3本セットになっており、1番から3番まで順番に使うことによって、めねじを仕上げていきます。

タップにはさまざまな種類があります。代表的な種類は、ポイントタップスパイラルタップ、ハンドタップ、管用タップなどです。

いずれのタップの場合でも、あらかじめ加工された下穴に各種タップをねじ込むことで、切削加工によってねじ形状を形成します。また、下穴には通り穴と止まり穴の2種類があります。加工する下穴によって、使用するタップが異なる場合もあります。

ハンドタップの使用用途

ハンドタップは、金属加工の現場で広く用いられています。金属製の部品に対して、別の部品を組み付ける際には、ねじによる固定が多く用いられます。その際に、ねじを締め込むめねじを形成するために、ハンドタップが使われます。

ハンドタップは基本的に手作業で使いますが、決して機械加工に使えないわけではありません。匡ハンドタップは切粉を排出できず抱え込んでしまうので、大量生産や自動運転される機械加工には不向きです。

ハンドタップの原理

手動でねじ穴を切削加工するハンドタップには、先・中・上もしくは、呼び方の違いで1番・2番・3番の種類があります。順番に使用することによって、めねじを形成します。

1. 先 (1番) タップ

先 (1番) タップは、下穴に対して初めに使用するタップです。先端が細くなっており、下穴の喰いつき部となる先端部の刃部が9山削られています。

2. 中 (2番) タップ

中 (2番) タップは、主に先タップで加工したねじ山に喰いつきながら加工します。そのため、先端から5山分はテーパー形状で細くなっています。

3. 上げ (3番) タップ

上げ (3番) タップは、先端部の刃部が1.5山しか削られていません。止まり穴であっても、先・中では加工できない奥まで加工することができます。

 

タップは1回転させるとねじの1ピッチ分加工される仕組みになっています。まず、先 (1番) タップの先端部を下穴に喰いつかせ、そこにタップが倣うようになり、ハンドタップを回転させるごとに、1ピッチ分の加工がすすみます。通常は、1回転させて1/4回転戻すなど、一度に削り込まないように加工します。

ハンドタップのその他情報

1. ハンドタップの使い方

ハンドタップの場合、あくまで手作業となるため、下穴に対してタップをまっすぐ加工していくことが重要となります。先 (1番) タップの先端部を喰いつかせる際に、曲がっているとそのねじにならってしまうので、斜めにならないように注意が必要です。

タップの番手順に、タップの切込みに倣いながら、無理やりにならないように加工していきます。また、加工する際は、切削油を塗ります。切削油によってタップの摩擦抵抗が軽減され、切粉の排出性が高まり、よりスムーズに切削を進めることができます。

2. ハンドタップハンドル

タップドリルにハンドルを取り付け、手動でねじ穴を開けることが出来る工具です。タッピングオイルを使用しながら少しづつ回し加工します。

ハンドタップハンドルは、タップのサイズに合ったハンドルを選定する必要があります。サイズの合わないハンドルを使用するとタップが空回りし、破損する場合があります。

3. スパイラルタップ

スパイラルタップは、溝の部分が螺旋状 (ねじれ状) になっており、切粉が溝に沿って排出されます。また、切粉が外に排出されタップ穴に切粉が溜まることがなく加工できる特性から、止まり穴のタップ加工に利用されます。

止まり穴の加工に使用されるので、特定の位置までの加工を行う必要があり、手動ではあまり使用されません。手動での加工を行う場合は、ハンドタップの1番もしくは2番のタップで加工します。

参考文献
https://www.nachi-fujikoshi.co.jp/tool/tap_c/index.htm
https://www.osg.co.jp/products/tap/index.html
https://info.alumania.net/
https://blog.f-gear.co.jp/item/tap2/#i-3
https://pon-osi.com/taptukaiwake/

ピンプランジャー

ピンプランジャーとは

ピンプランジャーとは物体の位置を決めたり固定したりするために用いられるプランジャと呼ばれる部品の一つです。先端部分がピンになっているためピンプランジャーと呼ばれます。他にも先端部分がボールのボールプランジャーや取り外しが可能なインデックスプランジャなどがあります。内蔵されているバネによって先端が押し当てられることで固定や位置決めをしています。様々な機械に組み込まれており、金属加工や半導体の製造現場で重宝されています。

ピンプランジャーの使用用途

ピンプランジャーは物体の位置決めや固定のために様々な場所で使用されています。どのプランジャもバネが内蔵されており、バネの張力によって先端部分が押しつけられます。対象物の穴や溝に先端が入ることで位置を決定したり簡単な固定が可能なのです。また、先端がピンになっているピンプランジャーは先端がボールであるプランジャに比べてストロークが長いことが特徴的です。位置決めや固定以外にも金属や金型のプレス機器に用いられ、突き出しに役立てられています。

ピンプランジャーの原理

ピンプランジャーは先端のピンが物体に当たることで位置決めや固定を行います。ここではその仕組みや原理についてご紹介します。

ピンプランジャーの構造は単純で内蔵されたスプリングと呼ばれるバネの先端にピンが取り付けられています。他のプランジャも同様で先端がボール状のものが一般的です。どのプランジャも対象に押しつけることで位置決めや固定を行います。押しつけられたプランジャの先は内部に収納されますが、対象の穴や溝の位置に来るとバネの張力によって飛び出します。この仕組みによって位置決めや固定ができるのです。単純な仕組みの割に十分な性能で様々な機械に用いられています。

プランジャは大きく分けて三種類に分けられます。先端がボール状のボールプランジャーは滑らせた動かすことに適しており、摺動部の位置決めに用いられます。また、インデックスプランジャーは手動で先端を引くことができるため、位置決めや固定の解除が可能です。さらに、ピンプランジャーは先端のピンの長さによって固定や位置決め以外にも突き出しに用いることができます。

参考文献
https://www.nbk1560.com/resources/machine_element/article/plunger-about/?SelectedLanguage=ja-JP
https://www.imao.co.jp/introduce/plunger.html

リブスターベルト

リブスターベルトとは

リブスターベルト

リブスターベルトとはV字型のベルトと平ベルトを組み合わせたベルトのことです。伝導性が高い上に優れた柔軟性を持っており、高性能ベルトとして様々な機械に用いられます。ベルトの重量が軽く動かした際に発熱も少ないため、高速回転が可能です。また、振動や騒音が少ないというメリットもあります。さらに、高速回転が必要な機械や高伝導率が求められる機械はもちろん、コンパクトな設計が必要な場合にも重宝されるベルトです。

リブスターベルトの使用用途

リブスターベルトは産業機械から家庭用の健康器具まで様々な機械に使用されています。特に、伝導率が高いことと発熱や騒音の発生が少ないことから、高速回転が必要な機械に組み込まれます。例えば自動車のエンジンです。効率よく作動することが可能で、機械に全体をコンパクトにすることができます。また、回転運動が必要な工作機械や健康器具にも用いられます。振動や騒音が少ないスムーズな動きは身近な機械にも利用しやすいのです。

リブスターベルトの原理

リブスターベルトはV字型ベルトと平ベルトを組み合わせた高機能ベルトです。ここではその構造や特徴につてご紹介します。

構造としては大きく分けて「上布」、「心線」、「接着ゴム」、「リブゴム」の四つ部分からできています。ベルト上部を保護する上布と合成繊維を用いて安定性を高めた心線によって平ベルトができており、耐圧性や圧縮耐性に優れたリブゴムによってV字型ベルトができています。これらを強固な接着力をもつ接着ゴムで結合させることによりリブスターベルトは完成します。

特徴としては主に次の三つがあげられます。

  • 高い伝達効率
    力や運動を効率よく伝達することが可能で、約98%の伝導効率を誇ります。
  • 高速回転が可能
    ベルト自体が軽量であり熱をあまり発生させないことから、高速回転が可能です。高速回転が必要なエンジンなどに利用されています。
  • コンパクト
    コンパクト設計が可能です。リブスターベルトを用いることで装置自体をコンパクトにして省エネ化を進めることができます。

参考文献
https://www.mitsuboshi.com/japan/product/general/kind/vbelt/ribstar.html

スプロケットアイドラー

スプロケットアイドラーとは

スプロケットアイドラー

スプロケットアイドラーとは、チェーンの経路を変えたり力を受けて回転したりする部品のことです。チェーンの動力を他の部品に伝達する役割も担います。アイドラーは様々な形状をしていますが、その中でもチェーンの力を伝えるスプロケットアイドラーは歯車状になっており、チェーンの溝に引っかかることで回転します。内部にはベアリングが内蔵されており、チェーンの動きに合わせてなめらかに回転することが可能です。様々な機械に組み込まれている部品の一つです。

スプロケットアイドラーの使用用途

スプロケットアイドラーはチェーンの動力を伝えるために使用されます。最も身近な使用例は自転車でしょう。サドルの回転によって発生した力はチェーンとスプロケットアイドラーに伝達されます。この動力が車輪に加わることで回転して、自転車は前に進むことができるのです。自転車以外にも回転運動が必要なエンジンや発電機にはなくてはならない部品です。数多くの輸送機械や工作機械、食品包装機械などに組み込まれて使用されています。

スプロケットアイドラーの原理

スプロケットアイドラーは回転することでチェーンの動力を他の部品に伝えます。ここではその原理や構造についてご紹介します。

アイドラーはベルトやチェーンの経路を変化させたり回転によって動力を伝える部品です。構造はどれもほとんど同じで、歯車の様な形をしています。内部にはベアリングが組み込まれ、中心をナットで固定することでなめらかに回転することが可能となります。側面にベルトやチェーンが引っかかって作動するので、使用するベルトやチェーンの種類に応じて側面の形状は違います。平ベルトを使用する場合は平らな面ですが、タイミングベルトを使用する場合は規則的な凹凸のある形状となります。

スプロケットアイドラーの場合はギザギザとした側面が特徴的です。この形状はスプロケットと呼ばれ、この部分がチェーンに引っかかって動作します。チェーンによって回転させられたスプロケットアイドラーが軸やギアに動力を伝達するのです。チェーンと常に摩耗されることから劣化が少ない金属製のものが多く使用されます。一方で軽量化を図るために樹脂製のものが使用される場合もあります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/machine_design/md05/g0077.html
https://www.imao.co.jp/introduce/idle.html
https://www.monotaro.com/s/c-29102

タップタイト

タップタイトとは

タップタイトとは雌ねじを必要としない高性能なネジの一つです。似たようなネジにタッピンネジという物がありますが、形状や特性が異なります。通常のネジには雄ねじと呼ばれるボルトと雌ねじと呼ばれるナットがあります。これら両方のねじ山が組み合わさることによりネジは締結されているのです。しかし、タップタイトは雌ねじを必要としません。その形状から締め付ける際に相手側に直接雌ネジ加工を施して締結することができるのです。

タップタイトの使用用途

タップタイトはその性能の高さから様々な場所で使用されています。例えば、高い作業性を求められる場面です。雌ねじが必要ないため、タップタイト一つで締結することが可能で作業効率が上がります。また、比較的トルクが小さいので締め付けの負担が少ないのです。可塑性プラスチックや薄板などに用いられます。一方で取り外しが必要になる場合には適していません。緩み止め効果が高く、一度締結してしまうと取り外しが難しいからです。

タップタイトの原理

タップタイトはその独特な形状から優れた特徴を持っています。ここではその構造や特徴についてご紹介します。

タッピンネジと同様に単純な構造をしていますが、軸部分がおにぎり型の三角形であることが特徴的です。三角形の頂点部分によって相手側を押し広げて、雌ねじ加工を施すのです。この構造によって優れたいくつかの特徴があります。

  • 作業効率が高い
    他のネジに比べて作業効率が高いことが特徴です。三角形の頂点部分のみ穴の側面に触れるためトルクが小さくて済みます。小さな力でも締め付けることができるので作業効率が上がるのです。しかし下穴が小さすぎるとトルクも大きくなってしまうので注意が必要です。タップタイトが緩まない程度の適度な下穴を開ける必要があります。
  • 緩みにくい
    また、緩みにくいという特徴もあります。相手側を押し広げて雌ねじ加工を施すと、材料は伸縮し抵抗力が発生します。この力がタップタイトの緩みを軽減し、高い緩み止め効果を発揮するのです。振動や衝撃がある製品にも使用することができます。

参考文献
https://www.tsurugacorp.co.jp/dictionary/tapping_drill/tapping_drill_tapping.html
https://www.nittoseiko.co.jp/nitto-blog/2017/08/09/4
https://wilco.jp/docs/technical-data/tec_10.html

スチールベルト

スチールベルトとは

スチールベルト

スチールベルトとは、薄いステンレス鋼板で作られたベルトのことです。

主に物体の搬送や動力の伝達などに用いられます。また、耐熱性や耐摩耗性、耐薬品性が高いため、様々な機械の部品としても使用されています。

スチールベルトは特に強度や硬度が高いステンレス鋼が使用されているため抗張力が高く、使用していても伸び縮みしないのが特徴です。工業機械はもちろん、衛生面の高さから医薬品の製造や、食料品の加工のための機械などに重宝されています。

スチールベルトの使用用途

スチールベルトはその優れた特性を活かして、様々な場所で使用されます。具体的な用途は、以下の通りです。

1. オイルスキマー

オイルスキマーは、廃液に含まれる油を回収するものです。スチールベルトの耐油・耐熱性を活かして、切削部品メーカーや食品製造工場などで使われます。

2. ヒートシーラー

ヒートシーラーは例えばお菓子の袋、化粧品など外側のフィルムの熱圧着用に使われます。スチールベルトの耐熱性はもちろん、非粘着性を活かした利用例です。

3. 半導体検査搬送

コンデンサ・キャパシタ等を製造する半導体メーカーにて、製品の搬送用に用いられます。ベルトの伸びが少ないため高精度な位置出しができること、静電気対策、発塵が少ないため、スチールベルトが使われています。

4. 画像検査用

さまざまな製品の製品の製造ラインでは、画像検査が多く行われるようになりました。検査する製品の搬送にスチールベルトが用いられます。

精密機械では塵などが品質に影響するため、スチールベルトの発塵が少ないメリットが活かされます。さらに板厚の均一性の高さも、画像検査においてはレンズと製品を常に同じ距離に保つ上で、大切な特性です。

5. 食品搬送

スチールベルトは、さまざまな食品の搬送に使われています。例えば、冷凍用の肉や魚、チョコレートなどです。

また、スチールベルトで搬送しながら、食品を切断したり、加熱する場合もあります。スチールベルトの耐熱性、衛生面での安全性、耐熱性、耐刃性の高さが選ばれる理由です。

スチールベルトの原理

スチールベルトは金属でありながら、薄板にすることによってベルトに求められる屈曲性を得ています。鉄鋼材料の中でも強度の高いステンレス鋼板の特性によって、ベルトとして屈曲が繰り返されても破断しません。

さらに、金属ならではの高強度、耐熱性、伸びや縮みの少なさ、衛生面での安全性から、幅広い用途に利用されています。

スチールベルトの特徴

スチールベルトは優れた点から様々な機械に用いられています。ここではその特徴についてご紹介します。

1. 伸び縮みが少ない

ステンレス鋼でできているため、金属の伸び縮みが少ないという特徴があります。長時間力が加わる動力部分でも変形せずに使用することが可能です。

2. 耐熱性や耐摩耗性が高い

熱や摩耗に強いという特徴もあります。駆動中に熱や摩擦を発生させやすい回転部分にも利用できます。

3. 発塵やほつれが少ない

スチールベルトは摩耗耐性や硬度が高いことから、ゴムベルトのような発塵やほつれは発生しません。長期間使用できるため、メンテナンスの負担を小さくすることができます。

4. 衛生的である

ステンレスは錆びにくいことから、衛生面でも高い安全性を有します。ステンレスは表面に酸化した不動態を形成するため、それ以上酸化することが無く、さびが進行しません。

衛生面で安全なため、食品加工機械や医薬品の製造機械、チョコレートの形成機械などに用いられます。

5. 静電気を帯びにくい

ステンレスは静電気を帯びにくいため、半導体製品の搬送にも安心して使用できます。また微粉末の搬送にも利用されていますが、静電気によって微粉末がベルトに付着することがありません。               

6. 表面の平坦性が高い

スチールベルトは、高い表面平坦性を有します。フィルムや樹脂シートなどの表面成形に向いた特徴です。

参考文献
https://www.weltec.jp/feature/05-steelbelt-hatchuu-sample.html
https://www.dymco.co.jp/dymco_blog

カム

カムとは

カム

カムとは運動の種類や方向を変更することができる機械部品の一つです。カムの運動を接触子を通して従動節に伝えることで運動を変更させることができるのです。例えば円状カムの回転運動を棒状の従動節の上下運動に変えることができます。単純な構造のため寿命が長く、メンテナンスも少ないことが特徴です。また、他の部品に力が伝わることが少ないため効率がよく無駄の少ない装置と言えます。カムの形状は様々で用途に応じて適したものを使用しなければ成りません。

カムの使用用途

カムは運動の方向を変化させる必要がある様々な機械や装置に使用されています。例えばエンジンの排気弁です。ガソリン自動車はエンジンを使用して車を使用するときに大量の排気ガスを排出します。これをスムーズに排気するためにカムが利用されているのです。自動車内部に組み込まれたカムによってエンジンの回転運動はバルブの往復運動に変化させられます。このカムの動きが従動節を通して伝わることでタイミング良く弁を開閉させることができるのです。

カムの原理

カムは様々な形状を持っており、簡単に運動の方向を変化させます。ここでは形状ごとの運動の原理や特徴についてご紹介します。カムは大きく分けると二つの種類に分けられます。

  • 平面カム
    平面的で単純な構造のカムのことです。直進板カムや回転板カムなどがあります。直進板カムでは緩やかな凹凸を付けたカムを往復運動させることで、接触子を通して運動が伝わった従動節に上下運動を伝えることができます。また、回転板カムではいびつな回転板を回転させることで接触子を通して従動節に上下運動を伝えることができるのです。一般的に卵形の回転板によって棒や板状の従動節に周期的な運動を与えます。
  • 立体カム
    立体的でより複雑な構造のカムのことです。円筒カムや球面カム、斜板カムなどがあります。円筒カムや球面カムはそれぞれ立体構造に溝があり、これに沿って従動節が動くことで複雑な運動の変化が可能になります。斜板カムは傾斜を付けた面を回転させることで従動節に上下運動を与えています。

カムの設計

カムの設計を行うためには、まずカム機構の形式を選択します。具体的にはカム(平面カムまたは立体カム)と従動設の種類(直動型または揺動型)を決定します。

つぎに出力運動の詳細を決定します。具体的にはカムのタイミング線図の作成を行います。線図の作成に際しては、カムが半分動いたら次のカムが動き出す1/2オーバーラップ法を使用します。

つぎにカム機構の諸元を決定します。具体的には、圧力角やレバー長といった機構の大きさなどの条件を決定します。

圧力角は、従動節がカムに作用する力の方向(軸線)と、カムが回転することによって従動節におよぼす力の方向(法線)が作る角度です。圧力角は、小さいほどカムと接する面にかかる荷重(面圧荷重)が小さくなり、カムは円滑に運動できます。

カム径は、カムの最大圧力角に基づいて決定されます。カムの最大圧力角は、直動型においては約30°、揺動型においては約45°または、カムの回転数が100rpm以下の場合は45°以下、それ以上の場合は30°以下が目安とされています。カムの外径は最大圧力角をこの値以下に設定する必要があります。

つぎにこれまでのステップで決定した条件で、圧力角、曲率半径などを計算し、適切な形状か確認します。具体的には、圧力角、曲率半径などを厳密に計算。最大圧力角、凸の最小曲率半径、凹の最小曲率半径などが許容範囲内かどうか確認します。

最後に幾何特性データを用いて、面圧、機構要素の強度、転がり疲労寿命、剛性などが要求性能を満足することを確認します。

確動カム

確動カムは、従動節に対してカムの動きを確実に伝達する機構のことをいいます。カムの回転が高速になると、従動節はカムの動きに追従できなくなります。そこでバネなどを使用して拘束を与えることにより、確実にカムに仕事をさせることが出来るようにした機構です。

確動カムとしては、正面カム、円筒カム、円すいカム、球面カムなどが挙げられます。

参考文献
http://hikari-cam.co.jp/cam/about-cam
https://d-engineer.com/kikaiyouso/cam.html
https://www.fukudaco.co.jp/support/glossary/cam-mechanism.html
http://hikari-cam.co.jp/cam/cam-seisaku-nagare/cam_design
http://kousyoudesignco.dip.jp/mecha8.html

3相インバータ

3相インバータとは

3相インバータ

3相インバータとは、インバータ回路を用いて交流の電圧値や周波数を変化させるインバータ装置のことです。

インバータ装置の中でも、変換対象が3相交流であるものを3相インバータと言います。インバータ回路とは、スイッチング機能を使用して直流電流を交流電流に変換させる回路です。

インバータ装置はコンバータ、コンデンサとこのインバータ回路の3つから成り立っています。

3相インバータの使用用途

インバータの制御方式には次に示すものがあり、使用用途に応じて制御方式を使い分けます。

1. VVVF

「Variable Voltage Variable Frequency」の略で、可変電圧可変周波数制御のことを指します。出力交流電力の電圧と周波数を任意制御できる方式です。

用途としては鉄道車両の交流モータ制御が挙げられ、最近ではエアコン等にも使用されています。

2. CVVF

「Constant Voltage Variable Frequency」の略で、定電圧可変周波数制御のことを指します。出力交流電力の周波数を任意制御できる方式です。

使用用途としてはIH調理器等があります。高周波電流を流すことでより強く加熱することができます。また、低周波電流を流すと低温で加熱することが可能になります。

3. CVCF

「Constant Voltage Constant Frequency」の略で、定電圧定周波数制御のことを指します。電圧低下を起こすことなく、安定した電源を配給するのが目的です。コンピュータの電源やUPS (無停電電源装置) 等で使用されます。

3相インバータの原理

3相インバータは、交流電流が入力されるとコンバータ回路にて直流電流に変換します。コンバータ回路ではダイオードが使用されており、このダイオードは交流を一方向の直流電流に変換するのが役割です。

変換された直流電流はその後、インバータ回路に入力されます。インバータ回路にはPWMと呼ばれる制御方式で動作しています。ここでは、インバータ回路とその制御方式について詳細に説明します。

1. インバータ回路

インバータ回路では、一般的にパルス幅変調が用いられています。略称ではPWM (英: Pulse Width Modulation) と呼ばれ、スイッチのON/OFF比率をコントロールすることで所定の出力を制御します。

本制御を用いることにより、低消費電力と小型化をすることが可能です。インバータ回路ではスイッチのON/OFFで負荷を流れる電流の向きが逆向きになります。このスイッチング技術と呼ばれる技術で、交流の生成を実現しています。

2. PWM

PWM制御方式の一つに、三角波比較方式と呼ばれるものがあります。三角波比較方式では実現したい周波数の正弦波 (交流) とキャリアと呼ばれる三角形の形をした波の高低をオペアンプに入力して比較します。

正弦波がキャリアよりも大きい値を持つときは、スイッチング制御信号はONを出力します。一方、正弦波がキャリアよりも小さい値を持つときはOFFを出力します。この比較を繰り返すことで、スイッチング制御信号であるパルス波を出力することが可能です。

なお、別の方式としてVFM (Variable Frequency Modulation:周波数可変変調) があります。本方式はPWMと比較すると、低負荷時にはVFMの方が高効率で動作します。

3. RL過渡応答

インバータが出力したパルス信号は、誘導モータ等に渡された際にRL過渡応答を示します。RL過渡応答とは、抵抗とインダクタンスの直列回路を含む回路では入力電圧に対して回路に加わる電圧は緩やかに上昇した後に定常状態 (入力電圧) となる応答のことです。

RL過渡応答を考慮してスイッチング周波数を調節することで、誘導モータ等に滑らかな交流を与えることが可能になります。

3相インバータのその他情報

3相交流とは

3相交流とは、電圧値が等しく、位相が120度ずつ異なる3つの交流を指します。位相が少しずつずれていることで各位相における交流の総和が0になります。負荷に送電した後電源に戻る電流総和が0になるため、3相交流では帰路の回路が不要になる点がメリットです。

なお、3相インバータは3相交流を変換対象としています。3相交流は他の単相交流等と比較して電力効率が良いことから、電力線内の電力輸送に使用されています。

参考文献
https://www.matsusada.co.jp/column/inverter.html
https://www.fujielectric.co.jp/products/column/inverter/inverter_02.html
https://take26.com/vvvf_inverter

超音波計測器

超音波計測器とは

超音波計測器

超音波測定器とは、超音波 (人間の耳に聞こえない高い振動数をもつ音波) を気体・液体・固体の対象物に伝え、反射・吸収などの特性を利用して対象物のさまざまな状態を測定する機器です。

音波には反射・速度・減衰などの特性があります。媒質 (音波伝達の媒介をする物質) の材質・濃度・流量など影響で、音波の反射・速度・減衰などの特性が変化します。この音波の特性が変化することを測定することにより、媒質の特性を調査可能です。

超音波計測器の使用用途

超音波計測器の使用用途

図1. 超音波計測器の使用用途

超音波測定器で調査する対象を物質の三態で分類すると、固体・液体・気体・混合状態に分けられます。

1. 個体
固体の例は、金属の厚みの測定です。超音波を金属内に照射し、反射して戻るまでの時間を計測すれば、金属の厚みが分かります。

2. 液体
液体の例は、魚群探知機です。超音波を海中に照射し、魚群・海底で反射して戻るまでの時間を計測すれば、魚群の大きさや位置、海底までの距離が分かります。

3. 気体
気体の例は、ガスの流速計です。気体中の音波がガスの流速の影響で変化することを利用して、ガスの流速を測定します。

4. 混合状態
混合状態の例は、超音波画像診断装置です。超音波はX線画像やCT画像と異なり放射線の被曝がないので、胎児の様子を見る目的に利用されます。

超音波計測器の原理

波の特性とパラメーター

図2. 波の特性とパラメーター

1. 超音波のパラメーター

一般に「波」には波長・振幅・振動数・速度・周期というパラメーターがあります。

正弦波は、次式で示すことができます。

y = Asin (2π / T) (xt / v)

ここで、yは縦軸の位置、Aは振幅、Tは周期、xは横軸の位置、tは時間、vは速度です。振動数fと波長λは、それぞれ以下のように示すことができます。

f = 1 / T

λ = Tv

これらのパラメーターは音波についても当てはまります。音波の場合、同一の音波でも媒質が異なると上記のパラメーターが変化します。

2. 超音波による計測

超音波による計測は、媒質ごとに超音波の特性が変化することを利用します。

たとえば音速の関係は気体 < 液体 < 固体です。同じ固体でも物質により音速は異なります。このような特性を利用することで以下のような計測が可能です。

1. 個体
同じ条件の固体中の音速は一定と見なせますので、音速と固体中に照射した音波が反射して戻るまでの時間がわかれば、固体の厚みが測定可能です。

2. 液体
海中の条件をほぼ一定と見なせば、照射された超音波が魚群で反射して戻るまでの時間から、魚群の位置を推定できます。

3. 気体
媒質が移動している場合、

(媒質中の音速) = (本来の音速) + (媒質の速度)

という関係が成り立ちます。このことを利用すれば、媒質中の音速を測定することにより、媒質の速度を測定可能です。

4. 混合状態
音の減衰には減衰係数・距離・周波数が関係しており、減衰係数は媒質によって異なります。この関係を利用して、減衰係数を計測することにより媒質の状態を推定することが可能です。

超音波計測器のその他情報

1. 超音波厚さ計測器

超音波厚さ計は、測定物の片面にトランスデューサー (探触子) を当てることにより測定物の厚さを測定する計測器です。

トランスデューサーから発信される超音波は接触媒質を通り、測定物を通過するとともに測定物の反対面において反射してトランスデューサーへと戻ります。物質内を通解する超音波には固有の音速値があります。超音波厚さ計は、この物質固有の音速値と、超音波が発信されその後反射して戻ってくるまでの時間とに基づいて測定物の厚さを計測します。

測定物としては、金属、ガラスやプラスチックなど様々な材質のものが適用されます。さらに測定物としては、平らなものから湾曲状までさまざまな形状のものが適用されます。

2. 超音波計測器の使い方

超音波厚さ計の使い方

図3. 超音波厚さ計の使い方

超音波厚さ計の使用方法としては、以下の測定方法が知られています。

1. 1回測定法
1回測定法は、測定物に探触子 (トランスデューサー) を接触させて厚さを測定する方法です。測定物の腐食や減肉が軽度の場合に適しています。

2. 2回測定法
2回測定法は、トランスデューサーを90度回転させて1回測定法を2度行う測定方法です。2回の測定のうち小さい値を測定値として採用するもので、1回測定法よりも測定精度が高まります。

3. 多点測定法
多点測定法は、測定点を中心とする円の内側を複数回測定する方法です。複数回中最も小さい値を測定値として採用するもので、局部腐食が進行している箇所の測定に適しています。

4. 精密測定法
精密測定法は、測定物における腐食の発生がある程度進んでいると予想される箇所について、腐食による肉厚の減少量の分布状況を測定する方法です。

5. 連続測定法
連続測定法は、厚さの変化を確認するために行う測定方法であり、測定物の断面厚さの変化に基づき裏面の状態を推測することができます。厚さの変化は、一定間隔で1回測定法にて測定するか、連続的にスキャンすることで確認します。 管材の場合には、外観上は異常が無くても内側から減肉が進行している場合があります。

6. その他の測定方法
管材の厚さ測定には、ニ振動子探触子が使用され、1回測定法若しくは2回測定法が用いられます。なお測定時には、トランスデューサーの接触方向が重要となります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpa/11/1/11_KJ00004292192/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jshpreview/14/3/14_3_218/_pdf/-char/ja
https://www.dakotajapan.com/mpseries/point.html
https://www.dakotajapan.com/mpseries/point/measurement.html