ピンプランジャーとは
ピンプランジャー (英: Pin Plunger) とは、ワークなどの対象物に接触して動作する部分 (アクチュエータ) にピンを使用しているプランジャの一種です。
ストロークプランジャーと呼ぶこともあります。プランジャー (またはプランジャ) とは、ワークの位置決めや位置固定するための機械要素です。先端アクチュエータのピンは、荷重が働くと本体内のスプリングが圧縮し沈み込みます。また荷重が無くなるとスプリング力で元の位置に戻ります。他にアクチュエータの種類により、ボールプランジャー、ローラプランジャーがあります。
ピンプランジャーの使用用途
図2. ピンプランジャーの使用例
ピンランジャーは、工作機械や工場の生産設備機械などで、ワークなどの位置決めや固定目的で使用します。ピンプランジャーのピンは、位置決めの対象物や治具を直接または間接的に、プランジャのスプリング力で押し、位置を調整します。ピンランジャーは、アクチュエータにピンを使用しているため、ボールプランジャーに比べてアクチュエータのストロークが長いことが特長です。
図2は工場などの使用例で、ワーク位置調整用治具の左右位置を中心に維持するため、治具の左右にピンプランジャーが使用されています。
ピンプランジャーの原理
図3. ピンプランジャーの構造と種類
ピンランジャーは、主にピン (アクチュエータ) 、ボディ (本体) 、スプリングで構成されています。
1. 動作方式
ピンランジャーは、アクチュエータに荷重が働くとアクチュエータがスプリングを押し圧縮され、ピンが本体内で往復動作を行います。
2. スプリング力
ピンランジャーの対象物の押し付ける力は、スプリング力によって決まります。軽荷重用は、スプリング力が少し弱くピンが対象物を押さえる荷重が小さく、重荷重用は、スプリング力が強くピンが対象物を押さえる荷重が大きいタイプです。
3. 荷重とストローク
ピンランジャーのピンが沈み込むための荷重とピンのストローク (往復動作距離) の関係は、図3中のグラフに示しているとおり比例関係で直線的に変化します。ピンのストロークと荷重は下記式で算出します。(F: 荷重、K: バネ定数、S: ストローク)
F = K × S
ピンプランジャーの種類
1. 取り付け方法 (ボディ形状)
ピンランジャーの種類は、前述の動作方式以外に、取り付け方法とボディ形状による下記2種類があります。
- はめ込み式 (圧入式)
取り付け用の穴にはめ込んで取り付けます。取り付け穴ピンプランジャーの本体外径のはめ合いで固定されます。 - ねじ込み式
ボディ外面はねじ加工が施され、ブラケットのねじ加工された穴や単純な穴に挿入し、ナットで締め付けて取り付けます。
また、あらかじめねじ部に嫌気性接着剤などが塗布され、ゆるみ止め加工を施したタイプもあります。このゆるみ止めは、一旦緩めるとゆるみ止めの効果はなくなるため、改めて同様のゆるみ止め接着剤を塗布する必要があります。
- フランジ式
ボディ端部がフランジ形状で、フランジ部の取り付け用穴と、穴あけされたブラケットなどを、ボルト・ナットで締め付けて取り付けます。
2. 荷重
前述したように軽荷重用や重荷重用があり、メーカのカタログなどで確認し、適切な荷重を得られる型式を選定します。
3. ピンの形状と材質
一般的にピンの先端部形状は、平坦と球形があります。またピンの材質は、ピンに接触する対象物により使い分け、一般的に鋼製 (炭素鋼、ステンレス鋼) 、樹脂製 (ポリアセタール POM) などがあります。
ピンプランジャーのその他情報
プランジャーには図1に示すように、ブロックプランジャーやインデックスプランジャーがあります。ピンとスプリングの往復動作で同様の構造であるため、ピンプランジャーの一種に位置づけられる場合もあります。
ブロックプランジャーは、ボディが円筒形ではなく矩形で、両端がフランジ形状で、ボルトなどで取り付けます。インデックスプランジャーは、一般的なピンプランジャーと同様にねじ込み取り付けですが、動作はピンと連結されたノブを引くことで、ピンが沈み込みます。ノブを元の位置に戻すとピンは突き出た状態に戻ります。また、ノブを引いた状態で回すとロックされるタイプもあります。
参考文献
https://www.nbk1560.com/resources/machine_element/article/plunger-about/?SelectedLanguage=ja-JP
https://www.imao.co.jp/introduce/plunger.html