スチールベルトとは
スチールベルトとは、薄いステンレス鋼板で作られたベルトのことです。
主に物体の搬送や動力の伝達などに用いられます。また、耐熱性や耐摩耗性、耐薬品性が高いため、様々な機械の部品としても使用されています。
スチールベルトは特に強度や硬度が高いステンレス鋼が使用されているため抗張力が高く、使用していても伸び縮みしないのが特徴です。工業機械はもちろん、衛生面の高さから医薬品の製造や、食料品の加工のための機械などに重宝されています。
スチールベルトの使用用途
スチールベルトはその優れた特性を活かして、様々な場所で使用されます。具体的な用途は、以下の通りです。
1. オイルスキマー
オイルスキマーは、廃液に含まれる油を回収するものです。スチールベルトの耐油・耐熱性を活かして、切削部品メーカーや食品製造工場などで使われます。
2. ヒートシーラー
ヒートシーラーは例えばお菓子の袋、化粧品など外側のフィルムの熱圧着用に使われます。スチールベルトの耐熱性はもちろん、非粘着性を活かした利用例です。
3. 半導体検査搬送
コンデンサ・キャパシタ等を製造する半導体メーカーにて、製品の搬送用に用いられます。ベルトの伸びが少ないため高精度な位置出しができること、静電気対策、発塵が少ないため、スチールベルトが使われています。
4. 画像検査用
さまざまな製品の製品の製造ラインでは、画像検査が多く行われるようになりました。検査する製品の搬送にスチールベルトが用いられます。
精密機械では塵などが品質に影響するため、スチールベルトの発塵が少ないメリットが活かされます。さらに板厚の均一性の高さも、画像検査においてはレンズと製品を常に同じ距離に保つ上で、大切な特性です。
5. 食品搬送
スチールベルトは、さまざまな食品の搬送に使われています。例えば、冷凍用の肉や魚、チョコレートなどです。
また、スチールベルトで搬送しながら、食品を切断したり、加熱する場合もあります。スチールベルトの耐熱性、衛生面での安全性、耐熱性、耐刃性の高さが選ばれる理由です。
スチールベルトの原理
スチールベルトは金属でありながら、薄板にすることによってベルトに求められる屈曲性を得ています。鉄鋼材料の中でも強度の高いステンレス鋼板の特性によって、ベルトとして屈曲が繰り返されても破断しません。
さらに、金属ならではの高強度、耐熱性、伸びや縮みの少なさ、衛生面での安全性から、幅広い用途に利用されています。
スチールベルトの特徴
スチールベルトは優れた点から様々な機械に用いられています。ここではその特徴についてご紹介します。
1. 伸び縮みが少ない
ステンレス鋼でできているため、金属の伸び縮みが少ないという特徴があります。長時間力が加わる動力部分でも変形せずに使用することが可能です。
2. 耐熱性や耐摩耗性が高い
熱や摩耗に強いという特徴もあります。駆動中に熱や摩擦を発生させやすい回転部分にも利用できます。
3. 発塵やほつれが少ない
スチールベルトは摩耗耐性や硬度が高いことから、ゴムベルトのような発塵やほつれは発生しません。長期間使用できるため、メンテナンスの負担を小さくすることができます。
4. 衛生的である
ステンレスは錆びにくいことから、衛生面でも高い安全性を有します。ステンレスは表面に酸化した不動態を形成するため、それ以上酸化することが無く、さびが進行しません。
衛生面で安全なため、食品加工機械や医薬品の製造機械、チョコレートの形成機械などに用いられます。
5. 静電気を帯びにくい
ステンレスは静電気を帯びにくいため、半導体製品の搬送にも安心して使用できます。また微粉末の搬送にも利用されていますが、静電気によって微粉末がベルトに付着することがありません。
6. 表面の平坦性が高い
スチールベルトは、高い表面平坦性を有します。フィルムや樹脂シートなどの表面成形に向いた特徴です。
参考文献
https://www.weltec.jp/feature/05-steelbelt-hatchuu-sample.html
https://www.dymco.co.jp/dymco_blog