近接スイッチ

近接スイッチとは

近接スイッチ

近接スイッチとは、非接触で金属物体の接近を検出することができるスイッチです。

電磁誘導作用などを利用して金属物体の接近を検出し、接点として出力します。近接スイッチに必要な電源の要求仕様や接点構成には様々なラインナップがあり、状況に合わせて選定する必要があります。

近接スイッチの使用用途

近接スイッチは、工場内などの装置で機械の駆動状態を検出するために用いられます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 油圧プレスの動作検知
  • 産業用ロボットの動作検知
  • 重要なバルブや扉の開閉状態検知
  • サーボモーターの位置決め検知用
  • 回転装置の回転数検知

上記の箇所で機械動作を検知して、警報を発報したりシーケンス制御を実施したりします。近年では、防水性や耐熱性の製品も販売されています。鉄片などを取り付けることで容易に機械の状態を検出可能なため、鉄鋼分野などの大型装置へ使用されるケースも多いです。

近接スイッチの原理

近接スイッチの種類は様々ですが、誘導形の近接スイッチが最も多く使用されます。誘導形近接スイッチは、電磁コイル、発振回路、ケーシングなどで構成されます。

1. 電磁コイル

電磁コイルは、接近してきた金属に誘導電流を発生させる部品です。電磁コイルは常に高周波磁界を出力しており、鉄片などの金属が近づくと電磁誘導が発生します。この電磁誘導によって金属物体内に誘導電流が発生します。

2. 発振回路

発振回路は、電磁コイルで出力した電力をフィードバックして出力する部品です。金属物体内部に発生した誘導電流は金属内で熱へと変換され、電力損失となります。この電力損失を検出し、出力回路へ送り出すのが発信回路です。一般的に発信回路と出力回路は同一基板に構成され、出力回路から接点信号として外部へ出力します。

3. ケーシング

ケーシングは、これらの回路部品を保護するための外枠です。ケーシングにはおねじが切ってある場合が多く、ロックナットと合わせて機械装置へ固定します。また、ケーシングと回路部品を絶縁するために、通常はケーシング内部に樹脂が充填されます。

近接スイッチのその他情報

1. 近接スイッチの位置決め

近接スイッチを使用する際は取り付け位置の位置決めが必要です。近接スイッチは非接触式で、金属などの被接触体の接近を検知して接点出力します。近接スイッチの位置決めとは、被接触体との接近距離を近接スイッチの位置調整によって行うことです。

近接スイッチには仕様によって検出距離が決まっています。この検出範囲に被検出体が入ると近接スイッチ出力動作します。遠すぎると動作しないため、適正距離を近接スイッチの位置調整によって定めることが必要です。

近接スイッチの反応をLED発光で知らせる製品も販売されています。このような製品は出力動作を近くで目視できるため、位置調整作業の際に便利です。ただし、製品にによってLEDの発光パターンが異なる点は注意が必要です。検出範囲に入っているものの出力動作には至らないという場所でも発光する製品もあります。このような製品は多くの場合、発光色が複数あります。

例えば、検出範囲に入るとオレンジ色で、被検出体を近接スイッチにさらに近づけて出力動作の際には緑色に発光する製品があります。そのため、使用する製品の取扱説明書をよく読むことが重要です。

2. 近接スイッチの故障

近接スイッチが動作不良を起こした場合、近接スイッチの故障が疑われます。故障原因にはさまざまな理由が考えられますが、一般的な原因は以下の2件です。

電源喪失
テスターなどで近接スイッチへ電源供給が正しくされているか確認します。電源供給がない場合は電源喪失が原因です。電源回路やアースが正常でない場合、被検出体が近づいても信号出力はありません。この場合、電源回路・アース線の断線や電源装置の故障などが疑われます。

近接スイッチの位置ずれ
取り付け位置のずれも原因となる場合があります。位置ズレによって検出範囲から遠ざかった場合は位置調整で復元可能です。しかし、被検出体が近づきすぎて近接スイッチに接触すると、近接スイッチが物理的に損傷している場合もあります。

物理的な破損が原因の場合は、近接スイッチの取替を要します。その他、近接スイッチが故障する原因として、ノイズや過電圧なども考えられます。

3. 近接スイッチと検出物体

近接スイッチは主に金属物体の検知に使用します。理由として、動作原理に電磁誘導を使用していることが挙げられます。電磁誘導を発生させるためには、検出する鉄片が導電性であることが条件です。

しかし、近年では導電性が無い金属でも、敏感に検出ができるような誘導型近接スイッチも開発されています。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/knowledge/common/prox_switc1.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/41/17/index.html
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/knowledge/common/goodusage5.html

充填接着剤

充填接着剤とは

充填接着剤とは、接着対象の隙間を埋められる (充填できる) 特徴をもった接着剤です。

接着剤が硬化するには時間がかかりますが、一旦硬化した後は強度がかなり強くなるため、部材の接着はもちろん、シーリング目的にも利用されています。部材同士を接着してからすぐであれば多少動かすことも可能で、位置合わせも容易です。

代表的な充填接着剤としてはエポキシ接着剤が挙げられますが、接着剤は配合によって性能が大きく異なるため、目的に応じた選択が必要です。

充填接着剤の使用用途

1. 建築産業

充填接着剤は、建築現場での重要な役割を果たしています。コンクリートや石材の接着や充填、隙間の埋め合わせに使用されます。建物の構造的な安定性や耐久性の向上が可能です。

2. 自動車産業

自動車の製造や修理において、充填接着剤は不可欠な役割を果たしています。車体の部品同士の接着や充填、防音や防振のための素材として使用されます。

3. 家具産業

家具の製造や修理においても、充填接着剤が使用されます。木材や合板の接着や充填、部品同士の組み立てに使用され、家具の強度や耐久性を高めます。

4. 金属加工

金属部品の接着や充填にも充填接着剤が用いられます。金属同士の接着や部品同士の結合に使用され、溶接やリベットなどの代替としても利用されます。

5. 電子機器産業

電子機器の製造において、小さな部品や基板の固定に充填接着剤が使用されます。微細な部品の固定や電子部品の保護に貢献します。

6. 医療機器産業

医療機器の製造や修理にも充填接着剤が活用されます。生体に対する安全性が重要なため、適切な医療用素材を使用して製造されます。

7. 家庭用品の製造

プラスチックやゴムなどの家庭用品の製造や修理にも充填接着剤が使用されます。容器の修理やプラスチック部品の接着に適しています。

充填接着剤の原理

1. 物質の接触と拡散

充填接着剤は、接着したい物質の表面に塗布されます。この際、接着剤は物質の微細な凹凸に入り込み、物質同士の接触面積を増加させます。接触面積の増加により、接着剤と物質の間での相互作用する原理です。

2. 分子間力

充填接着剤の原理は、主に分子間力に基づいています。物質の表面に存在する分子同士は、静電相互作用などの分子間力によって引き寄せられます。充填接着剤の分子も同様に、接着面の物質との間で分子間力を形成する仕組みです。

3. 硬化反応

一般的に、充填接着剤は塗布後に硬化反応を起こします。硬化剤や触媒を用いて、接着剤中の分子が反応して高分子化合物を形成する仕組みです。この硬化反応により、接着剤は固体化し、物質同士をしっかりと結合させます。

4. 機械的な相互作用

充填接着剤は、分子間力に加えて物質同士の機械的な相互作用によっても接着を強化します。接着剤の硬化後、物質同士は接着剤の高分子構造によって挟み込まれ、物理的な結びつきも形成されます。

5. 表面改質

充填接着剤は、接着面の表面改質も促進する役割を果たします。一部の充填接着剤は、接着面を親水性や親油性に変化させることで、物質同士の接触を増加させ、接着性を向上させます。

充填接着剤の種類

1. エポキシ接着剤

エポキシ接着剤は2成分から成る接着材料で、耐久性や強度が高い特徴があります。金属、プラスチック、セラミックスなど多様な素材に使用され、硬化後は堅固な結合を形成します。

2. ポリウレタン接着剤

ポリウレタン接着剤は耐熱性や耐候性に優れ、柔軟な特性を持つ接着剤です。木材やゴム、プラスチックの接着に使用され、振動や伸縮に対する耐性が求められる場面で活用されます。

3. シリコーン接着剤

シリコーン接着剤は高い耐熱性と耐候性を持ち、防水性能にも優れています。ガラスや金属、プラスチックとの接着に適しており、屋外や高温環境での使用に向いています。

4. アクリル接着剤

アクリル接着剤は速乾性や透明性があり、多様な材料との接着に利用されます。プラスチック、ガラス、金属などの素材に使用され、屋内外問わず幅広い環境で活躍します。

5. 瞬間接着剤 (シアノアクリレート)

瞬間接着剤は、非常に迅速に硬化する特性を持つ接着剤です。小さな部品の接着や修理に使用され、強力な接着を求められる場面で重宝されます。

6. 熱硬化性接着剤

熱硬化性接着剤は加熱によって硬化する種類の接着剤で、耐熱性が求められる場面で使用されます。金属の接着や電子部品の固定に適しています。

7. UV硬化接着剤

UV硬化接着剤は、紫外線によって迅速に硬化する接着剤です。透明性が高く、ガラスやプラスチックなどの透明素材の接着に使用されます。

参考文献
http://www.bousyoku.com/publics/index/107/
https://www.hermetic.co.jp/tag/
https://www.cemedine.co.jp/home/adhesive/epoxy/index.html

ポータブル露点計

ポータブル露点計とは

ポータブル露点計

ポータブル露点計とは、持ち運びが可能な露点計です。

露点計とは空気中の水蒸気の量を測定して、露点温度を求める装置です。露点温度は空気中の水蒸気が凝結して水滴となる温度であり、湿度を示す重要な指標の一つです。ポータブル露点計は携帯可能なサイズでありながら高精度の測定が可能であり、様々な産業や用途で使用されています。

ポータブル露点計は持ち運んで使用することを想定して設計されているため、軽量で小型なことが特徴です。重量はセンサー部が200~400g程度、本体を合わせても1kg~3kg程度の製品が多く販売されています。設置と保守の簡単さから、品質確認用のスポットチェックによく利用されています。

駆動電源はバッテリーやニッケル充電式電池または単三電池などが使用されています。連続動作時間は10~48時間程度の製品が多いです。また、持ち運び可能なサイズのベンチマウント型露点計も販売されています。

ポータブル露点計の使用用途

ポータブル露点計は露点計測に幅広く使用されます。以下はその用途の一例です。

1. 建築業

建物内の湿度が高いと結露やカビの発生が増加し、建物の耐久性や健康に影響を与える可能性があります。露点計は建物内外の湿度を測定し、必要な空調や換気システムの設計や運用をサポートします。また、建築材料の乾燥状態は品質の維持や施工の効率性に直結するため、建材の乾燥状態を監視し、施工前の湿度監視をすること場合も多いです。

2. 空調業

露点計は空調の性能を評価するために使用されます。特に、空気中の水分の管理が重要な場所や設備での使用が一般的です。空調の設計や保守において、適切な湿度制御を確保するためのデータを提供します。

また、露点計は冷蔵庫や冷凍庫内の湿度を測定し、適切な冷却効果を確保するのに役立ちます。これにより、冷蔵対象物の品質を維持し、保存期間を延長することが可能です。

3. 食品・製薬産業

露点計は食品や製薬品の製造プロセスにおける湿度管理のための重要なツールです。食品や薬品は製品の保存時に適切な湿度レベルを維持することが必要です。露点計は製品の品質を維持し、微生物の発生を抑制します。

4. エネルギー産業

発電所や製油所などのエネルギー設備では、冷却システムの効率性が重要です。露点計は冷却装置内の湿度を監視し、効率的な運用を支援します。これにより、設備の性能を最適化し、トラブルを予防することが可能です。

ポータブル露点計の原理

ポータブル露点計は水蒸気の凝結現象を利用して湿度を測定します。空気中の水蒸気が一定の温度に達すると、水蒸気は液体に凝結し、露点と呼ばれる温度になります。露点計はこの露点温度を検知することで湿度を計測します。

一般的な原理は冷却された表面に空気を流し、その表面で水蒸気が凝結する温度を測定する方法です。湿度を検知するセンサーを冷却された表面に設置します。このセンサーが露点温度に達したときに水蒸気が凝結することで生じる信号を検出する仕組みです。

なお、ポータブル露点計は測定結果の取り扱いを効率的に行うため、パソコンとの接続やデータ転送が可能なものが多いです。サンプル温度変化に依存する露点変動を補正する機能をもつ製品もあります。

ポータブル露点計の種類

露点計には、鏡面冷却式と静電容量式の2種類が存在します。

1. 鏡面冷却式

鏡面冷却式は冷却された鏡面に空気を通過させ、その鏡面上で水蒸気が凝結する温度を測定します。空気中の水蒸気が鏡面に接触すると水蒸気が冷却され、その温度が露点に達したときに水滴が形成されます。このときの鏡面の温度が露点温度です。

鏡面冷却式露点計は構造が比較的シンプルで丈夫なため、耐久性が高い点が特徴です。そのため、屋外や過酷な環境での使用にも適しています。

2. 静電容量式

静電容量式は二枚の電極の間の空気中の水蒸気の静電容量を測定することで湿度を計測します。水蒸気が多いほど、電極間の静電容量が増加します。この静電容量の変化を元に、湿度や露点温度を推定する仕組みです。

静電容量式は一般的に低消費電力で動作します。そのため、電池の寿命が長く、長時間の連続使用やフィールドワークに有利です。

参考文献
https://www.michell-japan.co.jp/category/water_analyzer/mil_water_analyzer/
https://www.rex-rental.jp/large/070/middle/080/product/20594
http://www.nykk.co.jp/products/dew_point_recorder.html
https://www.tekhne.co.jp/products/dewpoint/tk100_nk-1/
https://www.dp-nagano.co.jp/products/ndsd.html
https://www.daiichi-kagaku.co.jp/situdo/measure/daiichi_kagaku/multi_dew/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=mult_diew&gclid=CjwKCAiAz4b_BRBbEiwA5XlVVhvM-X4vEr9HvBkMToOXF4dJzMdRHR8Ahw4UrC1HX0VXC7HfYgy6yBoC9dQQAvD_BwE

ボトル充填機

ボトル充填機とは

ボトル充填機

ボトル充填機とは、液体から高粘度の物質まで、幅広い粘度のものをさまざまな形状のボトルに充填するための装置です。

ボトルの形状によらず対応する機能が求められるほか、充填物へのコンタミなどが防げる仕様になっています。飲料や食品に使用される事例が多く、無菌充填が可能なものや洗浄・キャッピング機構をもたせたものなど、高品質化を支える機能をもっています。

手作業での充填で生じうる課題を解消し、充填速度と充填精度を向上できます。また、それによって作業時間の短縮や工程の自動化、メンテナンスの簡略化に役立ちます。生産現場のニーズに合わせた製品が多く、新商品開発による新しい容器にも柔軟に対応できる追従機構をもつ製品などもあります。

ボトル充填機の使用用途

液体から高粘度のものまで、どんな粘度のものでも充填可能なため、食品をはじめとする幅広い製品の充填に用いられています。充填するボトルの種類もペットボトル、ガラス瓶、プラスチックボトルとさまざまです。

食品

  • しょうゆ、めんつゆといった液状のもの
  • ドレッシング、ソースといった高粘度なもの
  • 乳酸菌飲料、牛乳、乳飲料
  • 清涼飲料
  • 焼肉のたれ
  • 味噌加工品
  • フルーツソース

食品以外

  • シャンプー、リンス
  • 化粧水、乳液など

ボトル充填機の原理

ボトル充填機は、幅広い飲料や食品に使用される充填機です。そのため、そうした商品の特性に応じた特徴をもつものが多いです。

新製品への対応が可能
どんな形状のボトルにも対応できるよう、スクリューやスターホイル、ホルダーを使用することなく搬送できる機構を持たせた製品もあります。
新製品開発のたびに交換部品が発生することがないため、設備費用や開発期間の短縮、製造工程のスピード化に役立ちます。

多品種への対応が可能
一度生産した製品の充填量、速度、ノズル追従条件等を記憶できる製品や、ボトル以外にもスパウトパウチなどと兼用できる製品もあります。
簡単に充填物の品種切替ができるため、商品ラインナップが豊富な飲料・食品の分野で活躍します。

高品質な充填が可能
容器洗浄を同時に行えるものや滅菌機構を搭載したものもあります。
搬送工程のコンベヤごと丸洗いできる製品もあります。
より清潔な環境での充填が可能となるので、商品の高品質化に寄与します。

その他、以下のような、さまざまなニーズに対応した製品があります。

  • ホット充填に対応したもの
  • ボトル口径が狭くすぼまった形状に対応したもの
  • 充填後のキャッピングも行えるもの

参考文献
https://www.oshiosangyo.co.jp/product/wsb/
https://www.shikoku-kakoki.co.jp/business/machine/products/bottle.html
https://www.wist.co.jp/product/228/
http://www23.big.or.jp/~ube/DKJC/BABYWORKS.htm

セーバーソーブレード

セーバーソーブレードとは

セーバーソーブレード

セイバーソーブレードのセイバーソーとは電動のノコギリのことで、レシプロソーとも呼ばれています。

セイバーソーは電動ですので、切断する際にも手が疲れないので長時間を行う際には必須アイテムになります。また、セイバーソーブレードのブレードは刃のことであり、様々な素材から作られていますので、ブレードを交換することで木材のみではなく鉄などの硬い素材も切断することが可能になります。

セイバーソーの中には往復運動に楕円軌道を加えてオービタル機構を持っているものもあり、一般的なセイバーソーよりも切断力が高くなっています。

セーバーソーブレードの使用用途

セイバーソーブレードはセイバーソーの替え刃ですので、用途に合わせたブレードを選択して使用します。

柔らかい素材である木材や塩化ビニルの配管などの切断にはそれほど気を遣うことはありませんが、ステンレスパイプなど非常に硬い素材を切断する際には専用のセイバーソーブレードを用います。木材用のブレードでステンレスパイプを切断してしまうと、刃がすぐにダメになってしまい使い物にならなくなります。

セイバーソーブレードの形状は細長いので、狭い隙間にもアクセスできる上に電動で動きますので保持するだけで切断出来てしまいます。このため、庭の樹木の剪定作業などにも使用されています。

セーバーソーブレードの原理

セイバーソーブレードには素材の他にも刃の数や大きさ、ブレードの厚さ、長さなどの大事な要素があります。

セイバーソーブレードの刃の数は一つ一つの刃の大きさにも関係しており、刃の数が少ないと一つ一つの刃の大きさが大きくなります。刃の大きなセイバーソーブレードを使用すると、切断する際の速度は速くなりますが、刃が大きいので切断面が粗くなってしまうというデメリットがあります。一方で、刃の小さなブレードですと切断速度は遅いですが、切断面が綺麗になります。

厚みの厚いブレードは薄い物に比べて丈夫ですので、硬い物を切断する際には厚い方が適しています。一方で、厚みが厚いと切断面が雑になってしまう上に切削屑も多くなります。薄いと切断面は綺麗になりますが、刃が曲がりやすく折れやすくなります。

ブレードの長さは長い方が大きな物が切断できますが、作業性を考えると短い物の方が使いやすいと言えますので、ブレードは用途に合わせて選択することが大切です。

セーバーソーブレード

セーバーソーブレードの切断能力は、切断する対象物の材質とその太さ・厚さによって決まります。一般的に「最大切断寸法」と表記されることがあります。殆どのメーカーは切断可能寸法としてφ表記(直径寸法)、数値はパイプなど筒状の材料での切断可能寸法を表現しているので、この数値をもとに機種を選定するのが望ましいです。 さらに、切断能力を補填するためのセーバーソーブレードの付加機能として、振動を抑制することで身体の疲労軽減の効果が期待できる低振動機構、 雨水や粉塵に強い防塵防滴仕様、しゃくり動作によって切断速度が向上したオービタル機構といわれる機能があります。

低振動機構は、震動をカウンタバランスにより軽減します。より高い精度を求める作業に適しているほか、身体への疲労軽減の効果が期待できるといったメリットが挙げられます。

防塵防滴仕様は、粉塵や雨水に耐性のある構造となっており、雨天時の屋外作業であったり、粉塵の多い作業現場でも気を遣うことなく使用できます。

オービタル機構は、しゃくり運動をブレードの動きに追加することで、材料へのブレードの食い込みを大きくすることで、切断スピードを速くできる機能です。切断スピードは速くなる一方で、切断面が荒くなりバリが発生しやすいというデメリットもあります。

セーバーソーブレードの切断能力に関わる各種要素

  • 切断する材料
    鋼材スパイラルダクト、ステンレス、木、鋳鉄、ALCなどの材料の違いによって能力が変わります。
  • 山数(刃数)
    セーバーソーブレードの刃数が多い程、切断面がバリのない状態に近くなりますが、切断速度は落ちます。逆に刃数が少ない程、切断速度は速くなりますが、切断面にバリが発生します。
  • ブレード長さ(刃渡り)
    各メーカー150mm~300mm程度のブレード長さがあります。ブレード刃渡りが長い方が切断面が広くなる一方で、本体へのブレも大きくなるので機器本体をしっかりと抑える必要があります。扱いやすさを考慮するのであれば、短いブレードの方が作業はしやすいです。
  • ブレード厚さ
    ブレードが薄いと切削屑が少なくなり仕上がりもキレイですが、材料が堅くてぶ厚い場合は、厚みのあるブレードが必要です。

セーバーソーブレードの使い方

セーバーソーブレードの使い方
①スピード調整:トリガーを引いた状態でダイヤルを回してスピードを調整します。
②材料への固定:切断したい対象箇所にセーバーソーブレードをあてます。
③切断:トリガーを引いて始動します。刃が切断個所からブレないようにしっかりと手で持ちます。
(刃が斜めになっていたりすると、折れる可能性があり大変危険です。)

参考文献
https://www.bildy.jp/mag/reciprocating_saw_blade/
https://www.bildy.jp/mag/reciprocating_saw/#i
https://www.bildy.jp/mag/reciprocating_saw/
http://benrikougu.com/saver-saw/

シックネスゲージ

シックネスゲージとは

シックネスゲージ

シックネスゲージとは、基本的な測定器 (定規やマイクロメータ等) で計測出来ない物体間スキマ寸法を測定する工具です。

スキミゲージとも呼ばれます。基本的に寸法はノギス等で測定しますが、その測定器で測定不可な場面でもシックネスゲージであれば寸法測定可能な状況があります。

特に目視でもスキマは見えるけど、判断がつかない場面で使用する場合が多いです。シックネスゲージは寸法別で薄い金属板が複数枚用意され、それを重ね合わせることでスキマ寸法を測定します。

シックネスゲージの使用用途

シックネスゲージは、ノギス等の測定器では計測できない製品間に存在するスキマを測る際に使用されています。ある厚みをもった薄板を重ね合わせてスキマ寸法を測定します。

シックネスゲージの一枚一枚をリーフと呼び、リーフ厚さは日本工業規格で規格化されています。一般的にシックネスゲージは、厚さの異なるリーフを複数枚組合せて使う測定器です。材質はステンレス薄板や炭素鋼が利用されており、耐変形や耐腐食性があります。

スキマ寸法に応じて、使用するリーフを選択して測定します。寸法測定のコツは、スキマに対しゲージが入るシックネス厚みと入らない厚みを見分けることです。リーフ単体で使用する場合と複数枚を組合せ任意厚みにして使用する場合があります。

シックネスゲージの原理

日本工業規格では、よく清掃され薄く塗油したリーフが、滑らかにスキマへ挿入されたリーフ合計厚みを寸法値とします。寸法値正しさを証明するため、その合計寸法値リーフより0.01mm厚いリーフを組み合わせ、スキマへ挿入できないことを確認します。なお、測定時はシックネスゲージを無理にスキマへ挿入しないよう注意が必要です

リーフ先端形状には、A形とB形があります。A形は先端が円状で、B形は先端に丸みがある尖形です。リーフ厚さは0.01m〜0.09mmと0.1mm〜3.00mmがあります。リーフ長さは75mm/100mm/150mmがあり、幅は12.7mmです。測定器はそのリーフ厚みを組合せて製品化されており、目的に応じて選択可能です。

測定する前は、必ずリーフ表面に汚れやサビやキズが無いことを確認した上で利用することも大切です。

シックネスゲージの特徴

シックネスゲージの特徴は、ノギス等で計測できない狭い空間スキマを、板厚精度が管理された薄板を重ね合わせて簡易に計測できることです。代表的な使用例として、エンジンカムシャフトとタペット間のクリアランス調整が挙げられます。

このスキマはエンジンカムシャフトとタペット間に必要ですが、設計最適値が存在します。現在、測定方法は複数存在しますが、アナログ測定器でも最新型エンジンの最終チェック工程で活用されており、まだまだ利用価値があり、信頼できる測定器です。

参考文献
https://www.shinwasokutei.co.jp/products/73782/

バキュームピック

バキュームピックとはバキュームピック

バキュームピックとは、真空状態を利用して対象物をピックアップするためのツールです。

バキュームピンセットとも呼ばれ、機能や用途はほぼ同じです。吸着部のパッドのサイズやノズルの口径、曲がりの有無といった異なるパーツが数種類同梱されております。このため、吸着したい対象物の平坦面の広さや形状に応じて、最適な組み合わせで使用が可能です。

パッドはシリコーンゴムなどの絶縁体素材で作られているため、静電気を避けたい作業に適しています。

バキュームピックの使用用途

バキュームピックは、指でつまむのが難しい場合や通常のピンセットでは掴めない部品をピックアップするのに使用されます。

カメラ、望遠鏡、顕微鏡などのレンズ、傷つきやすいレンズやガラス製品にも傷を付けることなく、組み立て、分解、メンテナンスを行うことが可能です。球体や複雑な形状のパーツにも有効で、精密機器の製造や組み立ての他、プラモデルの部品、クリアパーツ、ビーズなどにも使用されます。

IC (集積回路) や電子部品のチップやパーツにも適しており、吸着部にはシリコーンゴムなどの絶縁性のある素材が使用されているため、静電気が心配な物にも安心して使用できます。電池などのピンセットではつまみにくいものや、薄いシールや箔の吸着にも適しています。

バキュームピックの原理

バキュームピックは内部に空気室が設けられており、空気室は指先で圧縮可能です。空気室を圧縮した状態でピックの先端を対象物に押し当て、放すと空気室が真空状態になり、対象物が吸着します。

空気孔を指で押さえたり放したりして吸着や取り外しを行うものや、グリップを握ることで操作できるものもあります。特に後者は、手袋をしたままでも使用でき、ピックを持つ手の角度による作業性の影響を受けにくいのが特徴です。また、注射器のような形状で、ノックによってばねの力を利用して真空状態を作り出す製品もあります。

これは小型で安価なため、持ち運びが便利ですが、ロック機構がないため、吸着させたままでの保持には向かないものの、その分非常に軽量で取り回しの良さが特徴です。さらに、手動で真空状態を作るタイプ以外に、電源を利用してエアーを使用するバキュームピックもあります。

こちらは電源に接続し、スイッチ一つで使用できるため操作が簡単で、機構がシンプルなため動作音も少ないです。電源を使用するため持ち運びには不便ですが、その分吸着力が強いのが特徴です。

バキュームピックの選び方

バキュームピックを選ぶ際には、使用する目的や環境に合わせて機種を選定することが重要です。まず、使用する対象物の種類を考えましょう。

精密機器の組立やメンテナンス、または小型電子部品の取り扱いなど、対象物が小さく繊細な場合は、微細な操作が可能な高精度のモデルが適しています。一方で、比較的大きな物体を扱う場合は、吸着力が強く、持続性のあるモデルが必要です。

次に、バキュームピックの種類では手動式と電動式の二種類が一般的です。手動式は、手で空気室を圧縮して真空状態を作り出すタイプで、コンパクトで簡単に扱えるため、持ち運びが必要な場面や短時間の使用に適しています。電動式は、電源を接続して使用するタイプで、連続的な作業や強い吸着力が求められる場合に最適です。

また、電動式は手動式よりも作業効率が良く、長時間の使用にも疲れにくいという利点があります。

バキュームピックのノズルやパッドの選定も重要です。吸着する物体のサイズや形状に適したノズルやパッドを選ぶことで、安定した吸着が可能となります。細かい部品を扱う場合は、小さくて細いノズルが、広い面積を持つ物を扱う場合は、より大きなパッドが適しています。

環境への適応性も考慮する必要があります。静電気が問題となる作業環境では、静電気防止機能が付いたモデルを選ぶべきです。また、清潔さが求められる環境では、材質が清潔に保ちやすく、薬品や汚れに強い材質を選ぶことが望ましいです。

バキュームコントローラ

バキュームコントローラとは

バキュームコントローラとは、計測環境の真空度を一定のレベルに保つための制御装置です。

真空コントローラとも呼ばれます。真空度を計測するためのセンサーと、制御用の電磁弁、計測環境および真空ポンプとの接続バルブが一体となっています。センサーでの計測から真空度の制御・管理までを一台で完結して行えるのが大きな特徴です。機能がひとつにまとまっていることで、真空度の監視をはじめ、バキュームコントローラ自体のメンテナンスも容易です。

バキュームコントローラの使用用途

バキュームコントローラは、計測環境の真空度を制御する装置なので、真空度を一定に保ちたい環境で使用されます。

密閉容器内の真空度測定・制御のほか、室内全体の圧力測定にも使用されます。耐薬品性のあるセンサー (セラミック製など) を用いることで、大気以外の圧力も計測・制御可能です。

バキュームコントローラの原理

バキュームコントローラは、圧力センサーによって絶対圧を測定し、真空ライン用と大気開放用の電磁弁によって制御を行い、真空度を一定に保っています。構造としてはセンサー、電磁弁、バルブが一体化されており、別途制御機器を必要としないという特徴があります。バキュームコントローラを測定したい密閉容器や環境と真空ポンプの間に接続することで、真空度の計測から密閉容器や環境の圧力制御までをまとめて行えます。

制御の際に用いられる値はセンサーでの計測値となるため、センサーの精度が重要です。そのため、センサーの点検や必要に応じた交換といったメンテナンスが大切です。互換性をもたせることでセンサーのみの交換が可能なメーカーもあります。材質はセラミック製のものやシリコン半導体センサーなどがあり、大容量の真空容器にも対応可能なセンサー分離型のものや、腐食性ガスにも対応可能な耐腐食型もあります。

背面などに取付クランプが付いたものもあり、既存の支柱等への固定も容易です。また、制御の過程で回収した溶媒などの突沸を防ぐ機構や耐溶媒性に優れた材質の工夫などがなされています。停電時での動作が可能な製品もあります。

参考文献
https://www.sibata.co.jp/products/products2708/
https://www.tgk.co.jp/products/list.php?category_id=163
https://www.ika.com/ja/Products-Lab-Eq/Vacuum-csp-158/

バキュームクランプ

バキュームクランプとは

バキュームクランプとは、真空状態を作り出すことでワークを固定する治具のことです。

真空クランプとも呼ばれます。バキュームクランプは、物体を非常に強力に固定することができます。真空の力は非常に強力であり、物体をしっかりと保持します。また、吸着させるために直接触れる必要がなく、物体を傷つける心配がありません。

さまざまな形状や素材の物体に適応することも可能です。平らな表面や曲線面など、さまざまな形状の物体を固定することができます。複雑な形状の加工物を搬送・固定する際にも適しています。

真空システムはベースユニットに内蔵されていることも多く、別途真空ポンプ真空エジェクタを必要としないところもメリットです。加工物交換の際も真空状態のオンオフ切り替え操作のみで交換作業に移れるため、作業性にも優れています。

バキュームクランプの使用用途

バキュームクランプは、さまざまな産業で使用されます。特に、非破壊かつ強固に加工物を固定したい場合に重宝される治具です。搬送機器や加工機器に使用されることが多いです。

1. CNC加工機

CNC (英: Computer Numerical Control) 加工機において、ワークピースを固定するために使用されます。加工する素材を吸引し、確実に位置決めすることで、高精度な加工を可能にします。

2. 組立作業

組立作業において、部品や製品の固定にも有用です。電子機器の基板や部品の組み立て時に使用されることがあります。基板のはんだ付けや配線作業時に使用される場合も多いです。

3. 印刷

グラフィックスおよび印刷業界においても、広告看板などの大型の素材を加工・印刷するために使用します。これらの素材は比較的薄く柔軟であり、正確な位置決めが必要です。バキュームクランプは、真空の力を利用して素材を固定し、移動や振動によるずれを防止することが可能です。

バキュームクランプの原理

バキュームクランプの動作には真空が必要です。真空は空気やガスがほとんど存在しない状態を指し、真空ポンプなどの装置を使用して生成します。真空ポンプは密閉された容器内の空気やガスを取り除き、容器内を真空状態にします。

真空が生成された後、物体とクランプの間にシールを形成します。一般的にはゴム製またはシリコン製のシールパッドが使用されることが多いです。バキュームクランプの下部に取り付けられており、物体との接触面に密着します。

シールが形成された後、真空ポンプから供給される真空力によってシールパッド内圧を低下させます。この結果、シールパッドは物体に密着し、物体を吸引することが可能です。バキューム力によって物体が固定され、動かれることなく保持されます。

バキュームクランプを解除するには、真空力を解放することが必要です。真空ポンプからの供給を停止するか、空気をシールパッドに供給することで実現します。真空力が解放されると、シールパッドと物体の間の接触が解除され、物体を取り外すことが可能です。

バキュームクランプの選び方

バキュームクランプを選ぶ際は、固定対象の特性や、固定力の要求性能、材質などを考慮して選定します。これらを考慮しながら、予算に見合ったバキュームクランプを選ぶことが重要です。

1. 固定対象

まずは、固定する物体の素材や形状などを考慮することが必要です。一部のバキュームクランプは、特定の素材に適している場合があります。また、曲面や不規則な形状など、異なる形状の物体に対応できるかどうかも確認します。

2. 固定力・吸引力

固定に必要な力や吸引力も、選定する際の重要な要素です。固定する物体の重量や安定性に応じて、必要な固定力が異なる場合があります。使用状況に応じて、適切な固定力できるバキュームクランプを選ぶ必要があります。

3. 作業環境

作業環境に応じてバキュームクランプの材質も選定することが必要です。高温用のセラミック製や耐食用のステンレス製なども販売されています。用途に応じてさまざまな材質から選定します。

参考文献
https://www.imao.co.jp/vacmagic.html
https://www.izumi-js.co.jp/vacuumclamp/
http://www.schmalz.co.jp/products/vacuum-clamp.html

ソフトダウンステー

ソフトダウンステーとは

ソフトダウンステー

ソフトダウンステーとは通常のステーよりもゆっくりと降りてくるように作られたステーのことです。

ステーとは扉や蓋などに蝶番と共に取り付けて抵抗となるトルクを発生させることで扉や蓋をゆっくりと開くようにする機器のことです。大きな棚の扉などには大抵ステーは取り付けられています。

ソフトダウンステーは普通のステーよりもゆっくりと開閉が出来る上に開ける途中の位置をキープしたりできますので、扉を開けたまま作業を行うような場合に設置すると便利です。

ソフトダウンステーの使用用途

ソフトダウンステー棚の扉を上から下向きに開ける場合、下から上に開ける場合の両方で使用されます。この場合に使用されるソフトダウンステーは上から下向き用と下から上向き用で異なる仕様になっています。

特に、開ける途中で扉から手を放してもその位置で止まってくれる上に、開けるときや閉めるときに抵抗となるトルクが発生しますので、ついつい力を入れ過ぎた場合でも扉は激しく開いたり閉まったりせずゆっくりと動きますので、余計な破損を回避することができます。このため、テレビボードなどによく使用されています。

ソフトダウンステーの原理

ソフトダウンステーにはラプコン機構と呼ばれる機構が組み込まれており、この機構により通常のステーよりもゆっくりとまたソフトな動作を実現しています。

ラプコン機構とは粘度の高い液体が入ったシリンダによるダンパー構造を言います。このシリンダーの中ほどにはオリフィスと呼ばれていますが、狭くなっている箇所があります。開閉の際にはシリンダー内の液体が押されたり引かれたりしてオリフィスを通ることで抵抗が生まれ、これにより抵抗となるトルクが発生します。このトルクは液体の粘度に依存しており、粘度を調整することでトルクが調整されます。また、粘度は温度によって変化し、温度が高くなるにしたがって粘度が下がるという特徴がありますし、温度が低すぎると凍ってしまいます。このため、通常使用の温度範囲で安定した粘度が得られる液体を選択す必要があります。

ソフトダウンステーは基本的に2つで1対となっており、右側用と左側用に分かれています。このソフトダウンステーは蝶番がつけられた扉と棚本体の両者をつなぐように取り付けられます。

参考文献
https://search.sugatsune.co.jp/product/r/rlapcon/
https://www.takigen.co.jp/tech/stay.html