ウィットねじとは
ウィットねじとは、1841年にイギリスでウイットウォースによって考案され、ねじ山の角度が55度の三角ねじです。
ねじの各種の寸法がインチ単位で表されるインチねじの1つでもあり、記号としてWで表されます。ウィットねじは、史上はじめて作られたねじの規格でしたが、日本では1968年にウィットねじに関するJIS規格が廃止されました。
しかし、現在もなお水道関係や建築関係において、アンカーボルトやアイボルトなど壁面の固定具のねじなどに多く使用されています。
ウィットねじの使用用途
ウィットねじは水道関係や建築関係において、多く用いられています。例えば、アンカーボルトやアイボルトなど、壁面の固定具のねじなどに有用です。
ウィットねじの原理
ウィットねじの特徴は、ねじ山の角度は55度であることです。私たちが通常使用しているメートルねじや、ウィットねじ以外のインチねじのねじ山の角度は60°です。また、ねじ山の形状は三角形の三角ねじで、メートルねじや他のインチねじと変わりません。
ウィットねじは、ねじのサイズの基本寸法がインチで表されるインチねじの1つです。ねじの外径寸法はインチ寸法 で表わされ,ねじ山のピッチ (となり合うねじ山とねじ山の距離) は、1インチ=25.4mmについての山の数で表されます。インチねじにはウィットねじのほかに、ユニファイねじが挙げられます。
ウィットねじのその他情報
1. ウィットねじの主な材質と主な表面処理
ウィットねじの材質は一般的なねじと同様に、多岐に渡ります。 適切な使い方の項で述べますが、強度に関わりがあるため、特に人命にかかわる機器の設計であれば十分に検討しなければなりません。
また、電蝕対策も重要な要素です。ウィットねじの材質と、相手の機械要素および固定する対象物との材質が異なると、金属の電位差が生じて腐食する場合があります。特にアルミやステンレスの場合は注意が必要です。
ウィットねじの表面処理も一般的なねじと同様に、先に述べた電蝕による腐食対策や、外観品質、価格に応じて選びます。
2. ウィットねじの使い方
ウィットねじは一般的なねじと同様に、適正な使い方をしないと、相手側のナットが破損したり、ウィットねじを使用して組み立てた製品や、機器が破損したりすることがあります。ねじ締結に関するトラブルを防ぐために、基本的な考え方は下記の通りです。
- ウィットねじと相手側のねじが壊れないよう、締め付ける力が許容範囲内であること。
- ウィットねじに加わる、繰り返しの力 (振動などによる) が、許容範囲内であること。
- ウィットねじの座面 (お互いに接触する側の面。工具が触れる面ではない) に加わる圧力で、締め付ける対象物 (金属や木材など) を陥没させないこと。
- ウィットねじを締め付けることで、締め付ける対象物を壊さないこと。
3. ウィットねじのゆるみ止め
ウィットねじは一般的なねじと同様に、適正に使ったとしても、徐々にゆるんでいくと固定する対象が外れることで、固定する対象によっては人命にかかわる大事故に発展する可能性があります。ゆるみの発生原因には、下記の2つが挙げられます。
- ウィットねじに加わる繰り返し振動
- 外気温または固定するもの自体からウィットねじに加わる、繰り返しの発熱
ウィットねじを強く締める方法は一般的なねじと同様に効果がありますが、ウィットねじが折れたり、ねじ穴が破壊することの原因にもなります。特に人命にかかわる機器を設計する場合には、ウィットねじの適正な使い方で述べた通り、締め付ける力の許容範囲の計算をしなければなりません。
購入した製品のねじを締め付けなおす場合、すでに定められた締め付け力の規定があるときは、それに従ってねじの締め付けを行います。その他ゆるみ止めの方法として、ゆるみ止め用接着剤を使う方法や、ダブルナット、ゆるみ止め専用に設計された製品を使う方法もあります。
参考文献
https://www.jsme.or.jp/jsme-medwiki/16:1000732
https://neji-no1.com/information/standard/index07.html
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/