イオン交換樹脂のメーカー14社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
イオン交換樹脂とは、水溶液中に存在するイオンと自身が保有するイオンを交換する多孔性樹脂の総称です。自身のもつ電荷により、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に大別され、用途に応じて使い分けがされます。陽イオン交換樹脂は、自身の持つ水素イオンを解離し、陽イオンと結合します。一方で、陰イオン交換樹脂は、陰イオンと結合し、自身の持つイオンと交換します。この性質を利用して、重金属イオンの回収や純水の製造などで活躍しています。
イオン交換樹脂は、純水の精製や硬水の軟水処理、重金属イオンの分離・回収、硝酸の除去、医薬品の精製など幅広い用途に利用されています。そのため目的に応じて、最適なイオン交換膜の種類を決定します。また、イオン交換樹脂の寿命は4年程度ですが、使用方法を誤ると寿命が大幅に短縮されます。例えば、純水を製造する際に水道水を直接イオン交換樹脂に通すと、水道水中の塩素が樹脂を劣化させます。そのため活性炭で塩素を除去してから使用するのが一般的です。
イオン交換樹脂は、陽イオンと陰イオンどちらのイオンを交換するかによって大別されます。
一般的には、直径0.5mmほどの球状粒子をカラムに充填して使用します。実際に使用する際は、結合・吸着能力を事前に確認する必要があります。例えば、電解質水溶液中の電荷が大きいほど、もしくは疎水性が高いほど強く結合します。そのため、1価の陰イオンはF-<Cl-<Br-<I-の順に、1価の陽イオンはLi+<Na+<K+<Rb+<Cs+の順に強く保持されます。また、吸着能力はカラム温度やイオン交換機の疎水性の度合い、溶液の濃度に依存するため、最適な条件の探索は必須になります。
イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に大別されます。陽イオン交換樹脂は水溶液中の陽イオンと水素イオンの交換、陰イオン交換樹脂は陰イオンと水酸化物イオンの交換に使われて、水溶液中のイオンを分離することができます。この作用寿命は高分子中に含まれる交換器数に比例し、一定量のイオンを交換すると能力は失われていきます。
イオン交換樹脂は使い捨てではなく、再生し再利用することができます。陽イオン交換樹脂は塩酸、陰イオン交換樹脂は水酸化ナトリウムに浸漬することで、元のイオン(水素イオンと水酸化物イオン)に置き換わり能力を回復することができます。この作用を利用しイオン交換樹脂は再生し繰り返し使うことができます。
イオン交換樹脂は使用と再生を繰り返して使用されますが、徐々にその有効能力は減衰していきます。その原因はイオンを取り込むイオン交換基が、酸やアルカリに晒され分解してしまう、或いは有機物等の汚れが交換基を覆い、能力を発揮できなくなるためです。
性能の低下した樹脂を廃棄する場合、炭化水素の高分子が主体の樹脂のため焼却処理することが一般的です。ここで交換基がスルホン基であれば含有する硫黄が燃焼により酸化物となり、硫酸ガス、亜硫酸ガス、硫酸化合物となって、大気汚染や酸性降下ばいじんの原因となります。また廃棄する樹脂に塩化物イオンが含有すると、焼却燃焼によりダイオキシン発生が危惧されるなど、焼却残渣の処理や大気汚染などに配慮した処理が必須です。
イオン交換樹脂は水中に溶け込んだイオンを除去する能力に優れています。この作用を利用し純水製造装置に採用されていますが、その他の不純物は除去することが出来ないだけでなく、不純物によりイオン交換樹脂の寿命を縮めることにもなります。原水にもよりますが、前段に砂ろ過と活性炭吸着を置き、RO膜を挿むことによって、樹脂をイオン除去に特化した配置とする純水装置が一般的です。
参考文献
http://www.purolite.co.jp/2013-01-29-573#i-5
http://ier.organo.co.jp/ion_exchange/index.html
https://www.diaion.com/youto/
https://kcr.kurita.co.jp/wtschool/004.html
https://patents.google.com/patent/JP2005219011A/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaie1990/11/2/11_2_45/_pdf
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
イオン交換樹脂 TRIシリーズは、陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂の2種類を混合したタイプのイオン交換樹脂です。カートリッジに樹脂が充填されていて、蛇口に取付けるだけでナトリウムや塩素などのイオンを除去することができ、容易に純水が得られます。
イオン交換樹脂の再生時期を知らせるLEDランプが標準装備されており、カートリッジ交換の目安として使用することが可能です。処理水の主要な用途としては、加湿装置への供給水や電子部品の洗浄用水・化学分析用水などが挙げられます。
高架橋度イオン交換樹脂 Muromac ULシリーズは、最先端の技術に求められる水質を実現するため、イオン交換樹脂からの不純物溶出を極限まで抑えたイオン交換樹脂です。
従来のイオン交換樹脂では原料などに由来する微量の有機物が溶出し、水質低下を引き起こすという課題がありました。Muromac ULシリーズでは樹脂の架橋度を高めることで耐酸化性の向上を実現すると同時に、高分子量の有機物の溶出を低減することに成功しています。
イオン交換容量が大きいため、樹脂の長寿命化が達成されていることも特徴的です。
伸栄化学産業のイオン交換樹脂は、酸性や塩基性など、交換基が異なるさまざまなタイプが用意されたイオン交換樹脂です。井戸水・水道水などの用水処理や排水処理、ワイヤー放電加工機などに利用されています。
強酸性の陽イオン交換樹脂は硬水から軟水を製造する用途で用いられますが、強塩基性の陰イオン交換樹脂を併用すれば純水を製造することも可能です。純水を製造するには、これら2つの樹脂を直列につないだ複床式と、同一のイオン交換棟に充填する混床式という2通りの方法があります。
イオン交換樹脂 ダイヤイオンは、60年間の製造実績があり、豊富なラインアップが用意されているイオン交換樹脂です。軟水・純水などの製造以外にも、医薬品の精製や半導体製造用の超純水といった多様な用途で使用されています。
イオン交換のタイプは基本的な陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に加え、塩類の分離に適した両性イオン交換樹脂の3タイプです。また多孔性に基づいてゲル型・ポーラス型・ハイポーラス型に大別されており、用途に応じて使い分けることができます。
イオン交換樹脂 キレスパールシリーズは、純水製造などさまざまな場面で使用されている低コストなイオン交換樹脂です。
陽イオン交換樹脂タイプはナトリウムやカルシウム・マグネシウムイオンなどの陽イオンを吸着する特性を持ち、軟水の製造や原料・製品の不純物除去などが可能です。
陰イオン交換樹脂タイプは塩素イオンなどの陰イオンを吸着でき、陽イオン交換樹脂と併用して純水を製造したり、シアン化金などの貴金属を回収したりする目的で利用されます。