近接スイッチとは
近接スイッチとは、非接触で金属物体の接近を検出することができるスイッチです。
電磁誘導作用などを利用して金属物体の接近を検出し、接点として出力します。近接スイッチに必要な電源の要求仕様や接点構成には様々なラインナップがあり、状況に合わせて選定する必要があります。
近接スイッチの使用用途
近接スイッチは、工場内などの装置で機械の駆動状態を検出するために用いられます。具体的な使用用途は、以下の通りです。
上記の箇所で機械動作を検知して、警報を発報したりシーケンス制御を実施したりします。近年では、防水性や耐熱性の製品も販売されています。鉄片などを取り付けることで容易に機械の状態を検出可能なため、鉄鋼分野などの大型装置へ使用されるケースも多いです。
近接スイッチの原理
近接スイッチの種類は様々ですが、誘導形の近接スイッチが最も多く使用されます。誘導形近接スイッチは、電磁コイル、発振回路、ケーシングなどで構成されます。
1. 電磁コイル
電磁コイルは、接近してきた金属に誘導電流を発生させる部品です。電磁コイルは常に高周波磁界を出力しており、鉄片などの金属が近づくと電磁誘導が発生します。この電磁誘導によって金属物体内に誘導電流が発生します。
2. 発振回路
発振回路は、電磁コイルで出力した電力をフィードバックして出力する部品です。金属物体内部に発生した誘導電流は金属内で熱へと変換され、電力損失となります。この電力損失を検出し、出力回路へ送り出すのが発信回路です。一般的に発信回路と出力回路は同一基板に構成され、出力回路から接点信号として外部へ出力します。
3. ケーシング
ケーシングは、これらの回路部品を保護するための外枠です。ケーシングにはおねじが切ってある場合が多く、ロックナットと合わせて機械装置へ固定します。また、ケーシングと回路部品を絶縁するために、通常はケーシング内部に樹脂が充填されます。
近接スイッチのその他情報
1. 近接スイッチの位置決め
近接スイッチを使用する際は取り付け位置の位置決めが必要です。近接スイッチは非接触式で、金属などの被接触体の接近を検知して接点出力します。近接スイッチの位置決めとは、被接触体との接近距離を近接スイッチの位置調整によって行うことです。
近接スイッチには仕様によって検出距離が決まっています。この検出範囲に被検出体が入ると近接スイッチ出力動作します。遠すぎると動作しないため、適正距離を近接スイッチの位置調整によって定めることが必要です。
近接スイッチの反応をLED発光で知らせる製品も販売されています。このような製品は出力動作を近くで目視できるため、位置調整作業の際に便利です。ただし、製品にによってLEDの発光パターンが異なる点は注意が必要です。検出範囲に入っているものの出力動作には至らないという場所でも発光する製品もあります。このような製品は多くの場合、発光色が複数あります。
例えば、検出範囲に入るとオレンジ色で、被検出体を近接スイッチにさらに近づけて出力動作の際には緑色に発光する製品があります。そのため、使用する製品の取扱説明書をよく読むことが重要です。
2. 近接スイッチの故障
近接スイッチが動作不良を起こした場合、近接スイッチの故障が疑われます。故障原因にはさまざまな理由が考えられますが、一般的な原因は以下の2件です。
電源喪失
テスターなどで近接スイッチへ電源供給が正しくされているか確認します。電源供給がない場合は電源喪失が原因です。電源回路やアースが正常でない場合、被検出体が近づいても信号出力はありません。この場合、電源回路・アース線の断線や電源装置の故障などが疑われます。
近接スイッチの位置ずれ
取り付け位置のずれも原因となる場合があります。位置ズレによって検出範囲から遠ざかった場合は位置調整で復元可能です。しかし、被検出体が近づきすぎて近接スイッチに接触すると、近接スイッチが物理的に損傷している場合もあります。
物理的な破損が原因の場合は、近接スイッチの取替を要します。その他、近接スイッチが故障する原因として、ノイズや過電圧なども考えられます。
3. 近接スイッチと検出物体
近接スイッチは主に金属物体の検知に使用します。理由として、動作原理に電磁誘導を使用していることが挙げられます。電磁誘導を発生させるためには、検出する鉄片が導電性であることが条件です。
しかし、近年では導電性が無い金属でも、敏感に検出ができるような誘導型近接スイッチも開発されています。
参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/knowledge/common/prox_switc1.html
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/41/17/index.html
https://www.fa.omron.co.jp/product/special/knowledge/common/goodusage5.html