コバルト磁石

コバルト磁石とはコバルト磁石

コバルト磁石とは、コバルトが含有された磁石です。

多くはサマリウムコバルト磁石のことを指します。強磁性を有するコバルトと希土類のサマリウムを1:5や2:17の組成の合金にすると、強力な磁石としての性質を持ちます。ネオジム磁石の次に強い磁力を持っており、温度特性に優れているため、産業界では重要な磁石です。

コバルト磁石の使用用途

コバルト磁石は温度特性の面でネオジム磁石よりも優れています。高温下でも磁力が減少しないので、温度安定性が必要とされる用途に適しています。一方、もろく壊れやすいため、強度が求められる場合の使用には注意が必要です。

以下はコバルト磁石の使用用途の一例です。

  • OA機器などの電装モーター
  • 電気自動車駆動用などの産業モーター
  • 回転センサー
  • 医療用精密部品
  • 音響機器や発電機

コバルト磁石の原理

コバルト磁石とは、コバルトを主成分とする磁石の総称です。コバルトとその他の金属元素を合金化することで作成されます。

コバルトは原子番号27、元素記号Coで表される遷移金属元素で、強磁性を有しています。周期表では鉄と同じ9族に属しており、銀白色で鉄に似た性質を持ちます。ただし、硬く酸化されにくい特徴も有します。

コバルト磁石の種類

アルニコ磁石とサマリウムコバルト磁石の2種類に分類されます。

1. サマリウムコバルト磁石

サマリウムは原子番号62、元素記号Smで表される希土類元素です。灰白色でやわらかい性質を持っています。サマリウム自体には強磁性はありません。コバルト組み合わせ、SmCo5 (1-5系) やSm2CO17 (2-17系) 合金にすると、高い磁力を発揮するようになります。

ネオジム磁石よりも熱安定性や耐食性に優れているため、磁気センサーなどの車載製品、スマートフォン用カメラのアクチュエータ、医療機器などに使用されています。一方で、機械的強度が弱いため、使用可能な箇所が制限されます。

開発当初はサマリウム1に対してコバルトの組成比を5にした磁石でしたが、日本の物理学者である俵好夫博士がサマリウムとコバルトに加え、鉄・・ジルコニウムなどの複数の遷移金属元素を加えたコバルト磁石を開発しました。この磁石はコバルト系統の磁石の中で非常に高い性能を示すということが研究結果により明らかになりました。

現在市販されているサマリウムコバルト磁石の組成の一例として、コバルト 51wt%、サマリウム 26wt%、鉄 17wt%、銅 6wt%が含まれているものがあります。耐熱性という点で他の磁石よりも優れていますが、コバルトを多く含んでいるので、価格が高くなる傾向にあります。

2. アルニコ磁石

アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、およびチタンを含む合金によって形成される磁石です。アルミニウム (Aluminum)、ニッケル (Nickel) 、コバルト (Cobalt) の頭文字から名づけられました。

高い磁気感受性と耐熱性を持つ点が特徴です。一般的には音響機器やモーター、発電機などの産業機器に使用されます。温度によって磁気特性が変化するため、高温環境で使用されることが多いです。

アルニコ磁石にはアルニコ2、アルニコ5、アルニコ8などの種類があります。

アルニコ2はアルニコ磁石の中で最も強い磁力を持ち、音響機器のピックアップに使用されます。アルニコ5は高温で安定した磁力を持ち、モーターや発電機などの産業機器に使用されます。アルニコ8はアルニコ5よりも強い磁力を持ち、高い磁気エネルギーを発生させるため、モーターや発電機の高性能化に使用されます。

コバルト磁石のその他の情報

コバルト磁石の発火

コバルト磁石は条件によっては発火するため、取り扱いに注意が必要です。特に、磁石表面が乾燥している状態やきれいに研磨されている状態では発火しやすく、低い温度で燃えてしまう可能性があります。

また、コバルト磁石は衝撃によって欠けやすく、コバルト合金の微粉末が生じる場合があります。この金属粉末は自然発火の危険性があるため、消防法における危険物第二類の可燃性固体に指定されています。コバルト磁石が摩耗して合金粉末が生じるような使い方を避け、安全に使用する必要があります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jinstmet/76/1/76_1_96/_pdf/-char/en
https://www.neomag.jp/mag_navi/column/column002.html
https://www.neomag.jp/products_navi/smco/smco_introduction.html
https://www.neomag.jp/mag_navi/mames/mame_seibun.html

ケーブルクランプ

ケーブルクランプとはケーブルクランプ

クランプ」とは、物を挟む構造のものの総称です。
例えば、医療業界でははさみのような形状をした器具のことを指し、器官をはさんで液体を遮断するときなどが主な使用用途です。このため、医療用クリップとも呼ばれています。このように各業界に応じてクランプという言葉が使われていますが、この記事では、ケーブルを挟む「ケーブルクランプ」についてお話しします。「ケーブルクランプ」とは、配線をまとめるための工具です。

ケーブルクランプには、複数本のケーブルを単にまとめるもの、まとめた上で壁などに固定する機能をもつもの、壁などに複数本のケーブルをまとめて引き込むものと様々な形態のものがあります。

ケーブルクランプの構造例

ケーブルクランプの最も簡単な構造としては、結束バンドのように、複数本まとめてホールドするものが挙げられます。
例えば、図1aに示すように、ハンドル部から伸縮可能なベルトが出ており、図1bに示すようにハンドル部の凹部にケーブルを配した後、ベルトで固定するタイプなどがあります。

ケーブルクランプの構造図

図1. ケーブルクランプの構造図

なお、複数本のケーブルをまとめた状態で壁などに固定する構造が一般的であり、図2に示すように、ケーブルクランプの固定台裏面の接着面で壁などに貼り付け固定するのが一般的です。

貼り付け型ケーブルクランプの構造図

図2. 貼り付け型ケーブルクランプの構造図

ボルトやネジで壁に固定するタイプもあります。固定するケーブルによって、材質も形状も様々なものが存在し、上述の様に比較的簡単な構造のもののほかに、オフィスや作業場などでケーブルをルーティングするのに便利な形状のものもあります。

例えば図3aおよび図3bに示すような、金属製の枠とウレタンなどの樹脂による挟み込み部により形成されている部品を対にしてケーブルを挟み込むタイプは代表的なタイプです。

挟み込み型ケーブルクランプの構造図

図3. 挟み込み型ケーブルクランプの構造図

このように、ケーブルを挟み込んだ状態で壁などに固定し、壁にケーブルクランプの大きさの穴をあけるだけでケーブルのルーティングを可能とします。

また、くし型構造を有し、くしの凹部にケーブルを挟み込んでまとめるタイプのものも一般的です。さらには、図4に示すようなハニカム構造を有した箱型のものもあります。

箱型ケーブルクランプの構造図

図4. 箱型ケーブルクランプの構造図

このハニカム構造の穴部にケーブルを貫通させることでクランプするため、固定が非常に簡単です。

図3の形状のものやくし型のもの、図4で挙げた形状のものは、ルート内でケーブル同士が物理的に接触しないようにする、電気的に触れ合わないようにする、もしくは途中に配置された装置などに物理的および電気的に触れないようにするなどの処置が必要な場合によく使われます。

なお、使用するケーブルや使用状況に応じて、3Dモデルなどのソフトを使用しケーブルのモデリング等を行い、必要なサイズのクランプを設計して特注のクランプを使用することも珍しくありません。さらには、複数本のケーブルをまとめたケーブルクランプを複数個まとめて配置するためのボックスなども流通しています。

まとめ

ケーブルをまとめる際には、ケーブルの材質や使用環境、使用目的に応じたケーブルクランプを使用する必要があります。

特にケーブルルーティングをおこなう際には、環境に応じてケーブル同士を物理的にも接触させず、電気的に絶縁できる構造のケーブルクランプやケーブルクランプを収納するボックスなどを使用するのが好ましいと言えます。

グラップル

グラップルとは

グラップル

グラップルとは、林業や農畜産業、土木建築などの現場で使用される油圧ショベルに着けるアタッチメントのことです。

木や瓦礫などを掴んで移動させるためのもので、クレーンゲームのアームのような形をしています。グラップルとは英語の「Grapple」に由来し、レスリングの「組みあい」のようにしっかりと掴むという意味です。

油圧ショベルは、グラップル以外にもバケットやクラッシャーのように沢山のアタッチメントを付け替えることにより、現場のニーズに応じて多種多様に使用されています。

グラップルの使用用途

グラップルの使用用途では、林業の分野で最も多く使用されています。

木材を人手で運搬することは非常に大変であり、山林の足場の急峻な斜面で作業することや、未整備の道路で大きな重機の搬入が困難であることも多いため、小回りの利く比較的中小型の油圧ショベルにグラップルを取り付ける場合が多いです。主に丸太などの木材を移動させるために使用されます。

グラップルはとても汎用性があり、作業現場では欠かせない工業用機械です。現場の整理整頓からトラックへの積み込み、撤去作業、荷物の卸し作業など様々な作業が可能になるため、林業以外にも土木建築業や産業廃棄物収集、木材家屋の解体等の業界で広く利用されています。

グラップルの原理

グラップルは、油圧ショベルの油圧の駆動力を利用して、トングと呼ばれるグラップルのフォークの箇所を開閉させて物を挟み込みます。油圧式の場合にはトングは両開きであることが多いため開口幅を広く確保することが可能です。

一方で機械式のものもあり、その場合はシリンダーで片側のトングを開閉させてつかむ形式となっています。

トングが花びらのような4から5枚のトングを開閉するタイプは「オレンジグラップル」とも呼ばれ、一度に大量のものを掴むことができますが、油圧式駆動でアタッチメントの取り付けには各々のトングに配管が必要です。

また、バケットと呼ばれる、物をすくって格納し運搬する格納機能を兼ね備えた「バケットグラップル」と呼ばれるタイプも広く使用されています。

グラップルのその他情報

1. 林業での高性能な作業機械

グラップルは林業機械で非常に広く使用されていますが、林業は伐採から木材の運搬、造材工程の各所で様々な高性能な林業機械が使われています。

例としてはプロセッサ (造材機械) やスイングヤーダ (旋回ブーム式タワー付集材機械) 、フォワーダ (積載式集材車両) 、ハーベスタ (伐倒造材機械) などがあり、昨今の高機能な林業機械は、人手を極力削減し高性能高機能化での作業効率改善のため、複数の工程を一台で対応可能にした小回りの利く機械の開発が増えています。

そのため各々の機械にグラップルをアタッチメントとして取り付けるだけでなく、バケット機能を集積したバケットグラップルや、木材の伐採のためのを集積したチェーンソー内蔵グラップルなど、開発メーカーの創意工夫が随所にあふれた機械が存在します。

2.その他の現場での活用

グラップルは主に木造家屋の解体現場でよく利用されており、別名で「フォーク」とも呼ばれていますが、ビルなどの解体現場では違うアタッチメントが広く活躍しています。

例えば、現場の瓦礫を粉砕するための、ラッシャー (大割) やパクラー (小割) と呼ばれるものです。大きな岩、コンクリートの柱や梁等などそのままでは運べないものを、砕いて小さくするためのアタッチメントです。形状はカニの足のような形をしています。

また畜産業現場では、牧草ロール、麦稈ロールなどの比較的体積の大きな柔らかい牧草の積み下ろしのために「ベールグラップル (ベールグラブ) 」と呼ばれる専用のグラップル・アタッチメントが活躍しています。

参考文献
https://www.ydec.co.jp/magazine/magazine_kenki/1618
https://www.weblio.jp/content/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AB
https://www.nipponcat.co.jp/blog/attachment/backhoe.html
http://www.iwafuji.co.jp/products/forest_gs.html

クーラントホース

クーラントホースとは

クーラントホース

クーラントホースとは、主に金属加工のうち切削加工において、クーラント液を切削部位に供給するために使われるホースです。

クーラント液は切削加工において重要な役割を担っており、クーラントホースも切削加工に欠かせません。また、クーラントホースで供給されるものはクーラント液以外に、工業用水、鉱物油、油などもあります。

クーラントホースは切削部位に対して、適切な位置からクーラント液を供給できるように、自由自在に形状を変えることが可能です。さらにホースを曲げてホース全体の形状を変化させても内径は変わらず、クーラントの流量が変化することはありません。複数のピースでホースを形成しており、ピースは追加や取り外しが可能です。

クーラントホースの使用用途

クーラントホースは主に、金属の切削加工機械で使われています。マシニングセンタなど、切削油を与えながら加工するほとんどの機械に必要な部品です。

切削加工機械において、クーラント液を供給する方法は大きく分けて、外部給油方式と内部給油方式の2つです。このうちクーラントホースは、外部給油方式で使われます。

なお、内部給油方式は中空構造の切削工具の中空穴からクーラント液を供給するセンタースルー方式や、工具近傍の経路からクーラント液を供給するサイドスルー方式があります。

クーラントホースの原理

一般的な樹脂製のクーラントホースは、複数のピース部品からできています。それぞれのピース部品を結合させることによってホースとなります。

ただし、両端に取り付けられているのはそれぞれ機械への接続部品と、吹き出し口になる部品です。また、所々に特定のジョイントコネクタを装着することで流量をコントロールできる仕様のものもあります。

各ピース部品はホース形状が自由自在に変化できるようなジョイント構造になっています。お互いのはめあいによってホース形状を自由に変えながらも、切削加工中にはホース形状を保たなければなりません。

ホース形状が変わると、クーラント液を切削部位に供給できなくなってしまうからです。また、それぞれのピース部品はホース形状が変わっても、ホースの内径は変化しない形状になっています。

クーラント液のその他情報

1. クーラント液の効果

切削加工におけるクーラント液には大きく分けて冷却、潤滑、洗浄、防錆の効果があります。

冷却効果
まず冷却効果は、切削加工で生じる発熱を抑えます。加工する部品がステンレス鋼など熱伝導率が低い金属の場合、切削加工中に熱が逃げず高温となり、焼け、ひずみや反りが発生しやすくなります。

クーラント液による冷却が重要です。他にも工具の熱変形を抑え、工具寿命を伸ばし、加工精度も安定します。

潤滑効果
潤滑効果は加工の抵抗力を抑え、工具の摩耗も低減させることによって、工具寿命を伸ばします。さらに構成刃先という切削で除去された切粉が工具の刃先に溶着し、刃先の一部になってしまう現象も防ぎます。

洗浄効果
洗浄効果は、切削による切粉を洗い流します。さらにクーラント液よりも粘度の高い切削油であれば、切粉の飛散も防ぎます。

防錆効果
クーラント液は加工機械の加工部分の部品の錆を防ぐ効果もあります。クーラント液が金属部品の表面を覆うことによって空気と部品とを遮断し、錆の進行を抑制します。

クーラント液が以上の効果を発揮するために、切削加工においてクーラントホースは重要な部品です。

2. クーラントホースの材質

クーラントホースの多くは樹脂製で、ポリアセタール樹脂が用いられています。ポリアセタール樹脂が選ばれているのは、クーラント液には油成分が含まれているからです。

クーラントホースの多くは樹脂製ですが、ステンレス製もあります。一般的にクーラント液は水溶性ですが、ステンレス製のクーラントホースなら、主に油性の切削油や薬品にも強く、ホース自体の強度もあるため、長期使用が可能です。

参考文献
http://www.mst-corp.co.jp/locline/
https://www.sandvik.coromant.com

クロム銅

クロム銅とは

クロム銅 (英: Chromium Copper) とは、クロムをわずかに添加することで機能を整えた合金です。

銅由来の熱伝導性や電気伝導性にクロム由来の高い硬度などの優れた性質を兼ね備えており、産業的に非常に重要な材料です。

クロム銅は高温下で長時間使用しても劣化することが少ないため、抵抗溶接機用の電極やガスタービン用軸受の裏金、非鉄金属用の連続鋳造鋳型などの用途に使用されています。

クロム銅の使用用途

クロム銅には熱伝導性や耐磨耗性に優れているため、産業に広く使用される合金材料です。以下はクロム銅の使用用途一例です。

1. 機械部品

クロム銅はその強度と硬度から、ギアやベアリングなどの機械部品に使用されることがあります。自動車や航空機、建設機械などの高性能機械に使用されることが多いです。

2. 摩耗品

クロム銅は高い耐摩耗性と強度を有するため、摩耗部品に使用されることがあります。半導体や液晶用のバッキングプレートや非鉄金属用の連続鋳造鋳型がその一例です。特に、高負荷状態で使用される摩耗部品には、クロム銅がよく使用されます。

また、抵抗溶接機用の電極に使用される場合があります。抵抗溶接機は金属の表面を加熱して接合する装置で、電極は抵抗加熱によって金属表面を加熱するために使用されます。クロム銅は抵抗加熱による高温にも耐え、加熱時に生じる接触抵抗が低いため、溶接の効率が良くなります。また、耐摩耗性が高いため、電極の寿命を延ばすことができます。

3. 装飾品

クロム銅は美しい外観と耐食性があるため、装飾品やジュエリーなどの製品に使用されることがあります。リングやブレスレットとして加工されます。磨きやすく、鏡面仕上げや艶消し仕上げなどの仕上げも可能です。

ただし、価格が高いため一部の高級ブランド品などでしか使用されないことがあります。また、アレルギーを引き起こす可能性があるため、皮膚に直接触れる部品に使用される場合はコーティングや合金化が必要です。

クロム銅の性質

クロム銅 (英: Chromium copper) は銅を主成分として、クロムをわずかに添加することで、機能性を向上させた銅合金の1種です。

銅 (英: Copper) は原子番号29、元素記号Cuで表される赤褐色の金属です。延性や展性に富み、加工がしやすいことが特徴です。また、熱伝導性や電気伝導性に優れているため、電線や調理器具などに使用されます。

クロム (英: Choromium) は原子番号24、元素記号Crで表される銀白色の金属です。金属の中でも硬くて耐食性があることが特徴です。鉄との合金であるステンレス鋼としての用途が広く知られています。また、クロムめっきとしても使用されています。

クロム銅は高い電気伝導性や熱伝導性を有しています。また、クロム由来の高い硬度を有しているため、耐磨耗性や耐疲労性に優れています。高温で長時間使用しても能力の低下が少ないことが特徴です。

クロム銅のその他の情報

クロム銅に関する規格

クロム銅に関する規格の一例としては、「JIS Z 3234 (1999) : 抵抗溶接用銅合金電極材料」が挙げられます。これは銅合金製の抵抗溶接電極などについて規定された規格で、さまざまな銅合金を対象にしています。クロム銅についても、その特性、形状などによって2種類の分類法で規定されています。

1つ目の分類では、クロム銅は2種 (熱処理などによって、優れた機械的特性と高温特性を有する銅合金) に分類されています。棒状、板状などの形状ごとに分けられ、それぞれ厚さや径、引張強さ、硬さ、導電率、軟化特性温度などの項目で規定されています。

2つ目の分類はISO 5182に準拠した分類で、クロム銅はAタイプの2種に分類されています。ここでは、組成、形状、硬さ、電気伝導度、軟化特性温度などの項目が記載されています。特に大きな違いがクロムやジルコニウムなどの金属の含有率で、CuCr1ではCr: 0.3%~1.2%、CuCr1ZrではCr: 0.5~1.4%、Zr: 0.02~0.2%、CuCrZrではCr: 0.4~1.0%、Zr: 0.02~0.15%と細かく規定されています。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/pdf/tool/09_to0844.pdf
http://www.yamatogokin.co.jp/index.php?page_id=28
https://www.hata-cu.com/blog/post-135/
http://www.yamatogokin.co.jp/index.php?page_id=42
https://kikakurui.com/z3/Z3234-1999-01.html

ガラス切断機

ガラス切断機とは

ガラス切断機

ガラス切断機とは、ガラスを切断するための機械です。

ガラスの加工は、素板と呼ばれる主にインチ単位で製作された定寸寸法の物を必要なサイズである原寸に切断することから始まります。

定寸とは、例えば石膏ボード合板に代表されるサブロク板 (3ftx6ft = 36inches x 72 inches = 914mm x 1829mm) のように、ホームセンターに売っていて人の手で簡単に移動できるものから、 96inches x 144inches = 2438mm x 3658mmのように、天井クレーンが無ければ運べない大きさまで様々な定寸が存在します。

ガラス切断機の原理

ガラス切断機の原理は、まず表面にキズを付けてからその部分を切断します。キズ付けの際はカッターに入れる力を一方向にしなければ、素材のガラスに亀裂が入ってしまい、綺麗に切断できなくなります。

切断機または手動ガラスカッターは、ホイールカッターの刃先から油が出る構造になっています。これは、キズを入れた表面に油を入れることで、キズに沿ったガラスの割り作業をスムーズに行うためです。仮に油なしでキズを割った場合、ガラスに付けたキズに沿わずに割れる (「走る」と表現される切断の失敗) が起こります。

ガラス切断はガラスカッターと呼ばれる道具を用いて手動で行う場合もあります。その際には、上記のような理由と切断の状態から、職人の方の力量によって加工の良し悪しが変わります。

ガラス切断機の使用用途

ガラス加工を行う際、一番最初に使用するものがガラス切断機です。その後、加熱などの加工が行われ、製品として出荷されます。

ガラス素材の一番の特性である割れやすい点を活かして変形させ、様々な製品に応用します。

ガラス切断のその他情報

ガラス切断の手順

ここでは主に建築用・産業用ガラス (厚みは2mm-19mm程度) を例とします。

切断の大まかな手順は下記の通りです。

1. 切断の準備
切断加工を行うガラスを切断機の台に置き、水平直角を確認しながら切断の準備をします。

自動制御で切断を行う場合は、パソコン上で無駄な加工が出ないように制御してから加工します。透明なガラスのように、縦横の差がないものであれば効率よく使用することができますが、模様のある型板ガラスなどは、縦横の使用可否があるため、切断前の検討は慎重に行う必要があります。切断のシミュレーションと縦横使用の可否およびロス率の計算ができたら、切断工程に進みます。

2. ガラス表面にキズをつける
ガラスの切断は、切るというより割るイメージです。ガラスの主成分は酸化ケイ素の結晶体ですが、分子構造は金属に代表されるような結晶構造ではなくアモルファス結晶です。

不規則に構造が壊れるという性質があり、その点を逆利用して切断します。表面にキズを付け、そのキズに沿ってガラスに力を加えて割る方法でガラス寸法を揃えます。ホイールカッターと呼ばれる回転する刃物でガラス表面にキズをつけていきます。

3. 切断する
キズを付けた部分を手動で折ってガラスを切断します。機械で切断する場合、NC旋盤と同様の原理を使用した機械で、X,Y方向の座標を目標にヘッドが動作することで、正確な寸法でホイールカッターヘッドが動作して素板ガラスの表面にキズを付けていきます。

切断機ヘッドが走った後に、作業員がガラスを割りますが、切断機のテーブルに切断機ヘッドが走ったキズに沿ってガラスを持ち上げる割り台が備えられているため、キズの入った部分だけを持ち上げることで正確に素板ガラスを割ることができます。

ガラスの割れやすい特徴を活かして、上記のような切断加工方法が採用されています。

参考文献
https://kodama-glass.co.jp/kgpress/archives/21733
https://www.sanshiba-g.co.jp/setubi/setsudan.html
http://www.op.titech.ac.jp/lab/Take-Ishi/html/ki/hg/et/sb/glasscutter/glasscutter.html
https://www.giya-man.com/column/3/

カムスイッチ

カムスイッチとは

カムスイッチ

カムスイッチとは、取っ手をひねることで操作するスイッチのことです。

一般的には電気接点を切り替えるスイッチを指しますが、玄関の錠前なども広義にはカムスイッチに該当します。カムスイッチはカム機構を有する点が最大の特徴です。

カムとは回転軸に取り付けることで、モノの運動方向を変えることができる仕組みを指します。カム機構はさまざまな製品に採用されており、メリーゴーランドや自動車排気弁の開閉がその一例です。

カムスイッチの使用用途

カムスイッチは、産業においてさまざまな用途で使用されます。以下はカムスイッチの使用用途一例です。

  • 真空遮断器などの高圧遮断器操作用
  • 作動する装置の選択用
  • 電流指示計の相切替用
  • 産業装置の電源切替用
  • 大型モーターの始動用

強電の分野では堅牢で壊れにくいことから、古くから高圧遮断器の手動入切操作にカムスイッチを使用します。誤操作防止のために、引くことで操作可能となるカムスイッチを使用するのが一般的です。

また、電流指示計の相切替にもカムスイッチが使用されます。電流指示計に使用する場合は変流器と接続されているため、回路が開路しない構成にして使用します。

カムスイッチの原理

カムスイッチは操作部、機構部、接点部などで構成されます。

1. 操作部

操作部は、人が操作する持ち手となる部分です。硬質な合成樹脂が使用されることが多く、ボルトなどで機構部に接続されます。操作部の表面には白線や矢印が記されており、機構部表面の銘板と合わせてカムの位置を目視できるようになっています。

2. 機構部分

機構部分は、ハンドルの位置によって接点構成を変化させる部分です。ハンドルと直結された主軸にカムが取り付けられており、カムが接点を開閉動作させます。後付けでカムを増減させることができる製品も多く、必要なだけカムや接点を組み合させて使用します。

3. 接点部分

接点部分は、回路を操作するための電気接点です。多くの場合はカムスイッチの裏面に端子台が取り付けられており、丸端子などで端末処理した配線を接続します。接点とカムの構成は製品によってさまざまです。

カムスイッチの種類

カムスイッチは用途に応じてさまざまな種類が販売されています。代表的なカムスイッチの種類は、以下のとおりです。

1. ハンドルタイプ

ハンドルタイプは、操作部が握り手となっている種類です。大型モーターの始動用や遮断器手動開閉用のカムスイッチは、多くの場合この種類が使用されます。ハンドルタイプの中でも大容量機器に対しては、手前へ引くことで操作できる引き操作タイプが多く使用されます。

ハンドルタイプは上記の用途から、入切断の3ノッチの種類が多く使用されますが、それ以上のノッチ数がある製品も販売されています。可逆式のモーターに対しては左右で正転逆転、中央で切というカムスイッチもあります。

2. キーロックタイプ

キーロックタイプは、ハンドル部が錠となっている種類です。関係者以外が誤って操作しないようにしたい場合などに使用します。産業機械の制御主幹電源などに使用することが多く、この用途より2ノッチのタイプが多く使用されます。

3. 360°タイプ

360°タイプは、その名の通り360°回転する種類のカムスイッチです。主に産業装置の選択・操作用に使用します。先端のハンドル部分は、キク型や卵型などさまざまな種類が販売されています。

このタイプのカムスイッチは接点の構成が複雑な製品も多いのが特徴です。故障した場合は古いカムスイッチの接点構成を一つずつ確認し、同構成の製品を指定して購入します。

カムスイッチのその他情報

カムの種類

カム機構は同じ運動を繰り返しても壊れにくく、耐久性が高い点が特徴です。構造も単純なため、メンテナンスも容易です。カム機構の種類は平面カムと立体カムの2種類に大分されます。

平面カム
平面カムはローラーが回転して運動の向きを変更させる単純な構造です。簡単な構造のため、安価かつ堅牢で広く使用されます。カムスイッチでは平面カムが使用される場合が多いです。

立体カム
立体カムは円筒や球体の形状をしており、平面カムよりもその動作面積をコンパクトに出来るという特徴があります。

参考文献
http://www.todensha.co.jp/camswitch_overview/
https://www.fujielectric.co.jp/technica/faq/camswitch/07.html
http://sequence.goldhurricane.com/2007/01/post_65.html
http://www.todensha.co.jp/camswitch/
http://www.kumagaya.or.jp/~tarai/toppic8.htm

カスタム電源

カスタム電源とは

カスタム電源 (英語:custom power supply) とは、客先要望の形状、容量、規格、特性などに合わせて開発する特注電源です。

近年は鉛蓄電池で構成されていた電源の蓄電池ニッケル水素電池リチウムイオン電池に置き換えた上でランニングコストを削減しようという流れがあります。

CASE対応に伴い、今後電動車に搭載されていた車載用電池などのリユースも活性化していくことが予測されています。

カスタム電源の使用用途

代表的な使用例を次に示します。

1. 無停電電源装置

系統接続された電力が遮断された際に、それらの電力供給をバックアップするために使用されます。

2. ESS (エネルギー貯蔵システム)

容量型と言われるエネルギー密度に強みがある蓄電池 (一般的にはリチウムイオン電池) を直並列接続し、1つの大きな蓄電池とした形で使用します。

3. 溶接電源

電源内に電力を貯め、その電力を瞬間的に放出することでTIGやMIG溶接を行うための電力を取り出す場合に使用されます。

カスタム電源の原理

カスタム電源は、一般的にバッテリーマネージメントシステム (BMS) 、蓄電池 (鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池) 、充電器、DC-ACインバータの構成となっています。

用途に応じて、容量や出力などのスペックを可変にするために、蓄電池の種類を変更したり、バッテリーマネージメントシステムを通じ制御方式を変えたりして、カスタマイズしていきます。

カスタムする上で一番大きなウェイトを占めるのは蓄電池であり、最近は一般的にリチウムイオン電池が使用されることが多いです。リチウムイオン電池の場合、大きく分けて出力型と容量型の2つの種類があります。

出力型の蓄電池では、溶接電源などの瞬間的に大電流が必要な用途向けのカスタム電源の構築が可能です。また、容量型の蓄電池は、ESSなどのエネルギー密度が求められる用途向けのカスタム電源を構築できます。

カスタム電源の特徴

1. 小型・軽量、集約化

電子部品はハイブリッドICを主に採用して高密度実装が可能となり、基板の小型、軽量化が実現できます。また、標準電源を複数使用して回路設計をする場合、複数の電源を集約することにより、全体が小型軽量になります。

2. 制御系

カスタム電源に必要な制御系もカスタム電源メーカーから提案され、効率向上と応答性向上が可能です。

3. 高機能

デジタル制御を採用しており、リモート制御やモニタリングができます。デジタル制御は効率や応答性向上のために、複雑な制御が可能です。

また、インバータ、機器の制御、I/O回路の搭載も可能です。インバータは誘導モータや、永久磁石同期モータの駆動用です。

4. 充電制御

定電流・定電圧・充電多段制御・充放電制御 (双方向) など、デジタル制御と組み合わせて各種充電方式に対応が可能です。

5. 小ロット対応

カスタム電源のメーカーによっては、1台からの小ロットに対応が可能です。自社工場を有する会社では、生産性向上のため、小ロットの対応は敬遠されがちですが、小ロット生産に対応ができるメーカーもあります。

カスタム電源のその他情報

1. カスタム電源のメリット

電源メーカなどが販売している標準電源は、汎用性が高い反面、目的や用途からは過剰なスペックになるケースが多いといえます。少量を調達するにはコスト面で不利になります。

カスタム電源は、産業用、工業用、民生用などの用途に合わせ、性能・特性・安全性などを考慮して設計されているので、コストパフォーマンスが高いことがメリットです。

ただし、少量を短納期で調達する場合は、開発費と納期がデメリットになります。

2. カスタム電源の事例

カスタム電源の開発事例は多くあります。

  • 高電圧電源
  • 両替機用電源
  • OA機器用電源
  • 大型充電器用電源
  • 入浴装置用電源
  • DC-DCコンバータ用電源
  • LED照明用定電流電源
  • 半導体検査装置用電源
  • タッチパネル用電源など

https://www.crbox.co.jp/products/custom-power-supply/what-is-custom-power-supply.html
https://growwill.co.jp/products/ps/custom/

エンドミル研磨機

エンドミル研磨機とはエンドミル研磨機

エンドミル研磨機とは、エンドミルと呼ばれる工具を研磨して再利用する機械のことです。

エンドミル工具は製品を加工する際に使われる切削工具で、穴開けや面加工など多様な加工が可能です。外形形状は数枚の刃が螺旋状に連なっています。

枚数は2枚から4枚の刃が一般的ですが、これよりも刃の枚数が多いものもあり、多種多様です。なお、現場で一般的に使用されているエンドミルは下記の通りです。

エンドミル研磨機の使用用途

エンドミル研磨機の使用用途としては、大量生産されたエンドミルの研磨や、再利用可能なエンドミルの研磨が挙げられます。また、異なる形状のエンドミルも研磨可能で、多種多様な刃形状に対応した研磨機も存在します。

エンドミル研磨機は、エンドミルの研磨作業を効率化することが可能です。エンドミル研磨機にセットしたエンドミルを回転させながら研磨することで、高精度な刃先研磨ができます。エンドミル研磨機は、工場や工作所で使われることが多く、自動化されたエンドミル研磨機もあります。

エンドミル研磨機は、刃先の研磨に限らず、側面刃や外周刃の研磨も可能です。ただし、外周刃を研磨する際には、切削精度や刃厚などを考慮し、研磨量を制限する必要があります。

エンドミル研磨機の原理

エンドミル研磨機の原理は、砥石を用いた研削加工による研磨で成り立ちます。エンドミルは砥石に対して垂直に接触するように取り付けられ、回転しながらエンドミルの研削加工を行うことが可能です。

エンドミル研磨機は、専用の研削装置によって砥石を自動的に移動させられます。エンドミルの刃先形状に合わせて、砥石の移動量や角度を調整する機能や研削の際に生じる熱を冷却するための冷却装置が付属している場合もあります。

エンドミル研磨機は、研削加工による砥石の磨耗により、定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンス時には、砥石の交換と研削装置の調整を行うことで、エンドミル研磨機の維持管理を行います。

エンドミル研磨機の種類

エンドミル研磨機の種類として、フラットエンドミル、ボールエンドミル、ラフィングエンドミル、ラジアスエンドミルの4種類があります。

それぞれ異なる形状をしているため、専用のエンドミル研磨機が必要です。また、一般的には多機能なエンドミル研磨機にアタッチメントを取り付けることで、さまざまな種類のエンドミルを研磨が可能になります。

1. フラットエンドミル

フラットエンドミルは、切削面が平らなエンドミルです。主に、平面や溝の加工に使用されます。研磨方法は刃先を面取りすることで、切れ味を回復させます。

研磨角度は、通常の加工で使用する角度よりもやや小さく設定されます。面取り角度が大きすぎると刃先が丸くなり、加工精度が低下するためです。

2. ボールエンドミル

ボールエンドミルは、切削面が球状のエンドミルです。主に、曲面の加工に使用されます。研磨方法は、球面を形成するために、刃先を丸めることです。

切削角度やラジアス角度、切削幅など、研磨角度は複雑であり、高度な技術が必要です。ボールエンドミルの研磨には、専用の研削装置が必要です。

3. ラフィングエンドミル

ラフィングエンドミルは、粗加工用のエンドミルで、通常のエンドミルよりも厚めの刃が特徴です。主に、溝の加工に使用されます。

研磨方法は、刃先を面取りし、側面の刃を研磨することです。側面の刃は、切削深さに比例して、研磨角度を調整する必要があります。

4. ラジアスエンドミル

ラジアスエンドミルは、切削面に曲線がついたエンドミルです。主に曲面の加工に使用されます。研磨方法は、曲面を形成するために、刃先を丸めることです。

ボールエンドミルと同様に、研磨角度は複雑であり、高度な技術が必要になります。ラジアスエンドミルの研磨には、専用の研削装置を使います。

エリプソメーター

エリプソメーターとは

エリプソメーター

エリプソメーター (英: Ellipsometer) とは、光学特性を利用して薄膜の厚さや物質の光学常数を非接触、非破壊で測定する為の機器のことです。

日本語では楕円偏光解析装置と呼びます。測定対象に対して斜めから光源より光を当て、反射した光をセンサーで受光し、偏光状態の変化を測定する事で測定対象の光学常数を定量化します。

一般的にはエリプソと呼ばれますが、分光エリプソメーターが正しい呼び方です。光を透過しない不透過膜や表面が粗く十分な反射をしない場合は、測定ができません。

エリプソメーターの使用用途

エリプソメーターとは、光学定数の測定とそれを基にした膜厚の測定が主な用途です。反射偏光を測定するため、あまり厚みのある対象物 (1mm以下程度) は測定できません。

しかし、薄膜に対しては0.01nmスケールの分解能を有する装置もあるので、高精度に薄膜の厚さを測定する際に多用されます。半導体製造工程での薄膜成膜後の測定や各種コーティング、レンズ等の光学膜の光学特性測定、膜を構成する物質の結晶化率、組成、光学異方性等が測定できます。

また、装置によっては液体の光学特性も測定することも可能です。

エリプソメーターの原理

光源から斜めに投光された光を測定対象物 (膜) に当て、反射した光を受光センサーで受けて偏光の変化を測定します。投光側の光は既知のため、受光した光との差異を波長毎に測定し、フィッティング解析を行います。

エリプソメーターの光源は大きく、単波長のレーザー光源と分光タイプのキセノンランプ光源の2種類です。前者は単波長のみのため限られた測定しかできませんが、安価なのがメリットです。

後者は多層膜の解析や膜と膜の境界 (界面) の測定など、より詳細な測定が可能ですが、光源の校正や装置の高額化などのデメリットがあります。エリプソメーターの測定では、測定対象物の設置状態が重要であり、水平に設置されているかを測定するオートコリメーターも備えられています。

また、光源からの入射角も非常に重要なので、オートコリメーターからのデータと光源の角度 (固定値) を比較し、解析に利用されます。

エリプソメーターの選び方

1. 測定目的に合った波長範囲

エリプソメーターは、光の波長によって測定される性質が異なります。測定したい材料の特性や目的に合わせて、適切な波長範囲を持つエリプソメーターを選ぶことが重要です。

一般的な可視光から近赤外線までの波長範囲をカバーするエリプソメーターが多いですが、用途によってはより広い波長範囲を必要とする場合もあります。

2. 測定精度と感度

エリプソメーターの測定精度や感度は重要な要素です。高い精度と感度を持つエリプソメーターを選択することで、より正確な薄膜の光学特性や薄膜厚の測定が可能になります。特に研究や製造プロセス制御などの分野では、高精度な測定が求められます。

3. 自動化と使いやすさ

エリプソメーターの操作が簡単で、自動化されているかどうかを確認します。自動化されている場合、多くの測定を迅速に行えるため、効率的なデータ収集が可能です。また、使いやすいインターフェースやソフトウェアを持つエリプソメーターを選ぶことで、操作がスムーズに行えます。

4. サンプルサイズと形状への適合性

測定したいサンプルのサイズや形状に合わせて、適切な測定装置を選ぶことが重要です。一般的に、大きなサンプルや特殊な形状のサンプルにも対応できるエリプソメーターが求められます。さらに、非破壊測定が可能な非接触式のエリプソメーターも選択肢に入れて考慮すると良いです。

参考文献
https://www.horiba.com/jp/scientific/products-jp/ellipsometers/thin-film-metrology/guidance/1/