エリプソメーター

エリプソメーターとは

エリプソメーター

エリプソメーター (英: Ellipsometer) とは、光学特性を利用して薄膜の厚さや物質の光学常数を非接触、非破壊で測定する為の機器のことです。

日本語では楕円偏光解析装置と呼びます。測定対象に対して斜めから光源より光を当て、反射した光をセンサーで受光し、偏光状態の変化を測定する事で測定対象の光学常数を定量化します。

一般的にはエリプソと呼ばれますが、分光エリプソメーターが正しい呼び方です。光を透過しない不透過膜や表面が粗く十分な反射をしない場合は、測定ができません。

エリプソメーターの使用用途

エリプソメーターとは、光学定数の測定とそれを基にした膜厚の測定が主な用途です。反射偏光を測定するため、あまり厚みのある対象物 (1mm以下程度) は測定できません。

しかし、薄膜に対しては0.01nmスケールの分解能を有する装置もあるので、高精度に薄膜の厚さを測定する際に多用されます。半導体製造工程での薄膜成膜後の測定や各種コーティング、レンズ等の光学膜の光学特性測定、膜を構成する物質の結晶化率、組成、光学異方性等が測定できます。

また、装置によっては液体の光学特性も測定することも可能です。

エリプソメーターの原理

光源から斜めに投光された光を測定対象物 (膜) に当て、反射した光を受光センサーで受けて偏光の変化を測定します。投光側の光は既知のため、受光した光との差異を波長毎に測定し、フィッティング解析を行います。

エリプソメーターの光源は大きく、単波長のレーザー光源と分光タイプのキセノンランプ光源の2種類です。前者は単波長のみのため限られた測定しかできませんが、安価なのがメリットです。

後者は多層膜の解析や膜と膜の境界 (界面) の測定など、より詳細な測定が可能ですが、光源の校正や装置の高額化などのデメリットがあります。エリプソメーターの測定では、測定対象物の設置状態が重要であり、水平に設置されているかを測定するオートコリメーターも備えられています。

また、光源からの入射角も非常に重要なので、オートコリメーターからのデータと光源の角度 (固定値) を比較し、解析に利用されます。

エリプソメーターの選び方

1. 測定目的に合った波長範囲

エリプソメーターは、光の波長によって測定される性質が異なります。測定したい材料の特性や目的に合わせて、適切な波長範囲を持つエリプソメーターを選ぶことが重要です。

一般的な可視光から近赤外線までの波長範囲をカバーするエリプソメーターが多いですが、用途によってはより広い波長範囲を必要とする場合もあります。

2. 測定精度と感度

エリプソメーターの測定精度や感度は重要な要素です。高い精度と感度を持つエリプソメーターを選択することで、より正確な薄膜の光学特性や薄膜厚の測定が可能になります。特に研究や製造プロセス制御などの分野では、高精度な測定が求められます。

3. 自動化と使いやすさ

エリプソメーターの操作が簡単で、自動化されているかどうかを確認します。自動化されている場合、多くの測定を迅速に行えるため、効率的なデータ収集が可能です。また、使いやすいインターフェースやソフトウェアを持つエリプソメーターを選ぶことで、操作がスムーズに行えます。

4. サンプルサイズと形状への適合性

測定したいサンプルのサイズや形状に合わせて、適切な測定装置を選ぶことが重要です。一般的に、大きなサンプルや特殊な形状のサンプルにも対応できるエリプソメーターが求められます。さらに、非破壊測定が可能な非接触式のエリプソメーターも選択肢に入れて考慮すると良いです。

参考文献
https://www.horiba.com/jp/scientific/products-jp/ellipsometers/thin-film-metrology/guidance/1/

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