クロム銅

クロム銅とは

クロム銅 (英: Chromium Copper) とは、クロムをわずかに添加することで機能を整えた合金です。

銅由来の熱伝導性や電気伝導性にクロム由来の高い硬度などの優れた性質を兼ね備えており、産業的に非常に重要な材料です。

クロム銅は高温下で長時間使用しても劣化することが少ないため、抵抗溶接機用の電極やガスタービン用軸受の裏金、非鉄金属用の連続鋳造鋳型などの用途に使用されています。

クロム銅の使用用途

クロム銅には熱伝導性や耐磨耗性に優れているため、産業に広く使用される合金材料です。以下はクロム銅の使用用途一例です。

1. 機械部品

クロム銅はその強度と硬度から、ギアやベアリングなどの機械部品に使用されることがあります。自動車や航空機、建設機械などの高性能機械に使用されることが多いです。

2. 摩耗品

クロム銅は高い耐摩耗性と強度を有するため、摩耗部品に使用されることがあります。半導体や液晶用のバッキングプレートや非鉄金属用の連続鋳造鋳型がその一例です。特に、高負荷状態で使用される摩耗部品には、クロム銅がよく使用されます。

また、抵抗溶接機用の電極に使用される場合があります。抵抗溶接機は金属の表面を加熱して接合する装置で、電極は抵抗加熱によって金属表面を加熱するために使用されます。クロム銅は抵抗加熱による高温にも耐え、加熱時に生じる接触抵抗が低いため、溶接の効率が良くなります。また、耐摩耗性が高いため、電極の寿命を延ばすことができます。

3. 装飾品

クロム銅は美しい外観と耐食性があるため、装飾品やジュエリーなどの製品に使用されることがあります。リングやブレスレットとして加工されます。磨きやすく、鏡面仕上げや艶消し仕上げなどの仕上げも可能です。

ただし、価格が高いため一部の高級ブランド品などでしか使用されないことがあります。また、アレルギーを引き起こす可能性があるため、皮膚に直接触れる部品に使用される場合はコーティングや合金化が必要です。

クロム銅の性質

クロム銅 (英: Chromium copper) は銅を主成分として、クロムをわずかに添加することで、機能性を向上させた銅合金の1種です。

銅 (英: Copper) は原子番号29、元素記号Cuで表される赤褐色の金属です。延性や展性に富み、加工がしやすいことが特徴です。また、熱伝導性や電気伝導性に優れているため、電線や調理器具などに使用されます。

クロム (英: Choromium) は原子番号24、元素記号Crで表される銀白色の金属です。金属の中でも硬くて耐食性があることが特徴です。鉄との合金であるステンレス鋼としての用途が広く知られています。また、クロムめっきとしても使用されています。

クロム銅は高い電気伝導性や熱伝導性を有しています。また、クロム由来の高い硬度を有しているため、耐磨耗性や耐疲労性に優れています。高温で長時間使用しても能力の低下が少ないことが特徴です。

クロム銅のその他の情報

クロム銅に関する規格

クロム銅に関する規格の一例としては、「JIS Z 3234 (1999) : 抵抗溶接用銅合金電極材料」が挙げられます。これは銅合金製の抵抗溶接電極などについて規定された規格で、さまざまな銅合金を対象にしています。クロム銅についても、その特性、形状などによって2種類の分類法で規定されています。

1つ目の分類では、クロム銅は2種 (熱処理などによって、優れた機械的特性と高温特性を有する銅合金) に分類されています。棒状、板状などの形状ごとに分けられ、それぞれ厚さや径、引張強さ、硬さ、導電率、軟化特性温度などの項目で規定されています。

2つ目の分類はISO 5182に準拠した分類で、クロム銅はAタイプの2種に分類されています。ここでは、組成、形状、硬さ、電気伝導度、軟化特性温度などの項目が記載されています。特に大きな違いがクロムやジルコニウムなどの金属の含有率で、CuCr1ではCr: 0.3%~1.2%、CuCr1ZrではCr: 0.5~1.4%、Zr: 0.02~0.2%、CuCrZrではCr: 0.4~1.0%、Zr: 0.02~0.15%と細かく規定されています。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/pdf/tool/09_to0844.pdf
http://www.yamatogokin.co.jp/index.php?page_id=28
https://www.hata-cu.com/blog/post-135/
http://www.yamatogokin.co.jp/index.php?page_id=42
https://kikakurui.com/z3/Z3234-1999-01.html

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